説明

移動するワークピースを加工するための加工システム

加工システム(10)が、産業用ロボット(16)によって、移動するワークピース(12)の加工を行い、産業用ロボット(16)を、ワークピース(12)及び/又は移動可能なワーク担持ユニット(14)に一時的に固定結合させることができ、産業用ロボット(16)は、非結合動作位置(42)で、能動的に作用する駆動ユニット(20)によってワークピースとは無関係に移動させることができる担持デバイス(18)によって担持され、結合動作位置(44)で、浮動軸受システム(22)によって、担持デバイス(18)に対して浮動に取り付けられ、さらに、産業用ロボット(16)の制御ユニット(36)及び/又は少なくとも1つの製造ユニット(40)が、担持デバイス(18)上に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の、ワークピース及び/又は移動するワークピース担持ユニットに断続的に固定結合させることができる産業用ロボットによって、移動するワークピースを加工するための加工システムであって、産業用ロボットが、ワークピース等に結合していない非結合動作位置にあるときには、能動的に作用する駆動ユニットによりワークピースとは無関係に移動可能な担持デバイスによって担持され、ワークピース等に結合する結合動作位置にあるときには、浮動軸受システムによって担持デバイスに対して浮動に取り付けられる、加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載された種類の加工システム及び方法は、当業者に知られている。例えば、特許文献1が、同期して随伴移動される産業用ロボットによって、移動するワークピースに対する作業操作を行うための方法及びデバイスを開示する。随伴移動される産業用ロボットは、全作業段階の間、即ちワークピースに結合されている状態において、平均で、ワークピースを移動する搬送デバイスの速度で前進される。このために、搬送デバイスで測定される搬送の速度が、基準速度として調速機に入力され、産業用ロボットのサブフレームの駆動機構に加えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10313463B3号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、冒頭に記載された種類の代替的な加工システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する加工システムによって実現される。本発明による加工システムは、さらに、産業用ロボットの制御ユニット及び/又は少なくとも1つの製造ユニットが、担持デバイス上に配置されることによって特徴付けられる。このようにすると、その周囲に対して実質的に自律的な加工システムを作成することが可能である。ここで、担持デバイスは、適切な場合には、プラットフォームとして実現されることがある。
【0006】
製造ユニットは、有利には、さらなる産業用ロボット、及び/又は負荷キャリア、及び/又は加工ユニット、又は別の機能ユニットであってよい。さらに、製造ユニットは、交換可能及び/又は拡張可能なモジュールとして実現することができる。担持ユニットは、この場合、交換可能及び/又は拡張可能なモジュールとして実現することができる。加工システムは、連続製造又は連続組立ての状況で複雑な及び/又は異なる加工作業を行うのに特に適している。
【0007】
好ましい実施形態によれば、産業用ロボットの結合動作位置で、駆動ユニットが、担持デバイスに対して能動的に作用せず、担持デバイスが、浮動軸受システムにより、移動するワークピース及び/又は移動するワークピース担持ユニットによって少なくとも断続的に随伴移動される。この場合、「結合させることができる産業用ロボット」とは、そのベース、又はその担持ユニットに関してワークピースに結合させることができる産業用ロボットと理解され、産業用ロボットの作業移動は、使用される結合システムとは無関係に行うことができる。したがって、加工システムは、非結合の産業用ロボットをワークピースとは無関係に移動させるための、ワークピースから独立した駆動ユニットを含む。産業用ロボットが、移動するワークピース及び/又は移動するワークピース担持ユニットに結合されるとき、担持デバイスは、挿間される浮動軸受システムにより、移動するワークピースによって産業用ロボットがここで随伴移動されることによって、随伴して牽引される。したがって、産業用ロボットのこの結合動作位置では、駆動ユニットは、担持デバイスに対して、したがって産業用ロボットに対して能動的に作用しない。移動するワークピースに対して産業用ロボットの移動を適合させるための複雑なフィードバック制御システムをもはや必要としないので、この加工システムは有利である。ワークピースは、例えば、車両本体シェル、或いはまた他のワークピース、特に連続製造の状況で製造される又は取付けられるものであってよい。
【0008】
有利には、担持デバイスは、低摩擦で産業用ロボットを移動させるための浮動担持ユニットを有する。浮動担持ユニットは、この場合、エアクッション・ユニットとして実現することができる。低摩擦での担持デバイスの移動は、結合動作位置で、担持デバイスを随伴移動させる産業用ロボットの、擾乱を受けず、再現性のある、正確な牽引動作を可能にする。
【0009】
好ましい実施形態によれば、駆動ユニットは、摩擦輪システムとして、特に、作動させることができる摩擦輪システムであって、担持デバイス用に提供される案内システムに接続される又は接続可能である少なくとも1つの摩擦輪を含む摩擦輪システムとして実現される。案内システムは、例えば、1つ又は複数のガイド・レールであってよく、これは、工場操作中に比較的簡単に取り付けることができる。摩擦輪システムは、担持デバイスの所定の移動又は移行に特に適しており、この担持デバイスは、浮動担持ユニット又はエアクッション・ユニットによって、低摩擦でサブフロア上で移動させることができる。
【0010】
この場合、移動は、案内システムによってその位置が定められた移動である。
【0011】
担持デバイスは、プラットフォームを有することができ、プラットフォームに対して、産業用ロボットが、非結合動作位置にあるときには固定結合され、結合動作位置にあるときには浮動接続される。産業用ロボットは、それにより、非結合動作位置にあるときには、位置を定められた様式でプラットフォームに接続することができ、一方、結合動作位置にあるときには、プラットフォームに対して浮動に配置され、それにより擾乱力(場合によっては反力)を、プラットフォームから、産業用ロボットに結合されたワークピースに伝達することはできない。したがって、産業用ロボットの各動作位置で、産業用ロボットと担持デバイスとの、位置決め又は加工に関して好ましい接続(固定又は浮動)が保証される。
【0012】
産業用ロボットは、好ましくは、挿間された特に切換え可能な高さ補償システムを介してプラットフォームに接続される。高さ補償システムは、できるだけ自動式で、結合された産業用ロボットのプラットフォームに対するZ方向(高さ方向)での生じ得る公差の補償を行う。そのような高さ公差は、例えば、担持デバイスの浮動により、又は移動するワークピースの場合には位置的な不正確さにより生じることがある。
【0013】
可能性のある実施形態の変形態様によれば、プラットフォームは、浮動担持ユニットによって低い移動力で担持することができる。プラットフォームは、特にエアクッション・ユニットによる、低摩擦でのサブフロア上での移動の実現に特に良く適しており、さらに、切換え可能な高さ補償システムと、場合によってはワークピース加工用のさらなる機能デバイスとを有する、浮動式に取付けられた産業用ロボットの自由度の高い構成を可能にする。この場合、結合動作位置では、産業用ロボットは、エアクッション・システムによってプラットフォームに浮動接続させることができる。非結合動作位置では、対照的に、産業用ロボットは、浮動軸受が作動停止された状態で、固定して、したがって位置を定められた様式でプラットフォームに接続することができる。
【0014】
有利には、産業用ロボットは、産業用ロボットの移動に応じて産業用ロボットの制御ユニットによって特に再配置によって適切な補償位置に導くことができる重量補償ユニットを有する。重量補償ユニットは、例えば、適切に再配置可能又は移動可能な重量要素を含むことができ、重量要素の移動制御式の構成が、産業用ロボットの移動に応じて重量補償を実現できるようにする。これは、結合動作状態にあるとき、産業用ロボットがプラットフォームに対して浮動に取り付けられ、且つまた移動中に重量補償ユニットによって常に平衡状態で保持されるので、特に有利である。重量要素の再配置の代替として、重量補償は、ピストン/シリンダ・システムによって実現することもでき、このシステムは、プラットフォーム上に支持され、産業用ロボットに接続され、同様に、産業用ロボットの移動に応じて制御ユニットによって適切に作動又は位置決めされなければならない。さらに、場合によっては、追加の衝撃吸収体も提供されることがあり、衝撃吸収体は、産業用ロボットのブームをプラットフォームに接続し、それにより、加速効果から生じる産業用ロボット・システムの望ましくないねじれ運動を防止することができる。
【0015】
加工システムは、好ましくは結合デバイスを含み、この結合デバイスは、作動させることができる浮動軸受ユニットによって産業用ロボットに結合される。さらに、結合デバイスは、結合動作位置では、産業用ロボットに固定して接続することができ、非結合動作位置では、産業用ロボットに浮動接続される。この場合、産業用ロボットへの結合デバイスの接続は、産業用ロボット上に直接的に、或いはまた、産業用ロボット側にある担持デバイスのプレートを介して間接的に実現することができる。産業用ロボットへの結合デバイスの切換え可能な浮動取付けにより、結合デバイスを、ワークピースに対して又はワークピース担持ユニットに対して穏やかに接続させることが可能である。この理由は、結合動作中、産業用ロボットへの結合デバイスの浮動取付けの作動により、産業用ロボットの重量が、ワークピースに対して擾乱又は損害効果を有さないからである。
【0016】
好ましい実施形態によれば、結合デバイスは、移動するワークピース担持ユニットへの接続を行うための接続システムと、移動するワークピースへの接続を行うための把持システムとを有する。ワークピース担持ユニット及びワークピースへの結合デバイスのそのような併用の接続、特に固定接続は、加工すべきワークピースへの結合デバイスの特に穏やかな接続を行うことを可能にする。
【0017】
本発明のさらなる利点は、説明によって開示される。
【0018】
本発明は、複数の好ましい例示実施形態及び概略図面を参照してより完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による加工システム10の概略上面図である。
【図2】図1の加工システムの一部の拡大概略斜視図である。
【図3】図1の加工システムの一部の拡大概略斜視図である。
【図4】図1の加工システムの一部の拡大概略斜視図である。
【図5】図1の加工システムの一部の拡大概略斜視図である。
【図6】さらなる代替実施形態による、本発明による加工システムの概略斜視図である。
【図7】さらなる代替実施形態による、本発明による加工システムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1によれば、加工システム10が、ワークピース搬送路13を含み、ワークピース搬送路13の上で、示される例示実施形態によれば加工すべき車両本体であるワークピース12が、矢印48の方向で加工ラインに沿って搬送される。さらに、加工システム10は、産業用ロボット搬送路17を含み、産業用ロボット搬送路の上で、産業用ロボット16を矢印50、52に従って移動させることができる。例えばボディシェルであってよい車両本体12が、ワークピース担持ユニット14(アダプタ・デバイスとも呼ばれる)によって、位置を定められた様式で担持され、矢印48に従ってワークピース搬送路13上で移動される。産業用ロボット16は、担持デバイス18に配置され、担持デバイス18は、駆動ユニット20によって、車両本体12又はワークピース担持ユニット14とは無関係に、矢印50、52に従って産業用ロボット搬送路17上で移動させることができる。加工システム10は、産業用ロボット16によって、移動する車両本体12の加工を行う。この目的で、産業用ロボット16を、移動する車両本体12及び/又は移動するワークピース担持ユニット14に断続的に固定結合させることができる。図1では、加工システム10がそのような結合動作位置44で表される。
【0021】
図2は、産業用ロボット搬送路17のサブフロア11上で産業用ロボット16を担持する担持デバイス18の概略背面図を示す。産業用ロボット16は、挿間された浮動軸受システム22を介して、担持デバイス18によって担持される。浮動軸受システム22は、第1の担持プレート62を含み、第1の担持プレート62に産業用ロボット16が固定接続される。第1の担持プレート62は、さらに、挿間された高さ補償システム46及び複数のガイド・ユニット60を介して、浮動軸受システム22の第2の担持プレート64に接続される。高さ補償システム46は、調節可能なシリンダ・システムとして実現することができ、このシステムによって、両方向矢印56に従う、第2の担持プレート64に対する第1の担持プレート62の所望の高さ調節、したがって第2の担持プレート64に対する産業用ロボット16の特に自動式の高さ補償が、結合段階中に可能である。第2の担持プレート64は、挿間されたエアクッション・システム32を介して、担持デバイス18のプラットフォーム30に接続され、それによって、両方向矢印58に従う、第2の担持プレート64の、したがってまた産業用ロボット16のタンブリング運動の形態での回転式公差補償が、特に結合動作位置44で可能である。担持デバイス18のプラットフォーム30は、エアクッション・ユニット26の形態での浮動担持ユニット24によって、産業用ロボット搬送路17のサブフロア11に対して支持され、それによって、プラットフォーム30は、浮動軸受システム22及び産業用ロボット16と共に、矢印50、52に従って、産業用ロボット搬送路17に対して低摩擦で移動することが可能である。図3〜5でより詳細に表され、以下でより詳しく説明される結合デバイス66が、第1の担持プレート62に接続される。
【0022】
図3〜5によれば、結合デバイス66は、結合フレーム68と結合アーム70とを含む。結合デバイス66は、特に複数のベロー・シリンダの形態での浮動軸受ユニット72によって、第1の担持プレート62に接続される。浮動軸受ユニット72は、それぞれの動作位置、即ち非結合動作位置42(図4参照)と結合動作位置44(図5参照)とに応じて作動させることができる。移動するワークピース担持ユニット14への結合デバイス66の接続を行うために、結合デバイス66は、結合フレーム68上に複数のセンタリング要素78を設けられた接続システム84を有する。さらに、移動する車両本体12への結合デバイス66の接続は、結合アーム70に配置された把持システム80によって行うことができる。図5に従って示される例示実施形態の場合、把持システム80は、車両本体12のBピラー82への結合デバイス66の固定接続を行う。車両本体12又はワークピース担持ユニット14への結合デバイス66の動作上好ましく且つ位置的に正確な結合を保証するために、結合デバイス66は、その結合フレーム68上に、遮光システム74と、ダンパを有するストップ・シリンダの形態でのストップ・システム76とを有する。
【0023】
上述した加工システム10に加えて加工システム10の2つの代替実施形態を示す図6及び7によれば、産業用ロボット16及び/又は第1の担持プレート62及び/又は第2の担持プレート64が、重量補償ユニット34を設けられる。重量補償ユニット34は、この場合、適切に移動可能な、特に適切に移行可能な補償重量を含むように実現することができる。適切な場合には、車両本体12の加工中に移動する産業用ロボット16の適切な重量補償の目的で、補償シリンダ・システム及び/又は補償衝撃吸収体(緩衝装置)を提供することもできる。1つ又は複数の制御ユニット36及び/又は1つ又は複数の製造ユニット40を、プラットフォーム30上に配置することができる。製造ユニット40は、1つ又は複数の産業用ロボット(図7参照)及び/又は1つ又は複数の負荷キャリア(図6、7参照)及び/又は1つ又は複数の加工ユニット(図7参照)であってよい。適切な場合には、製造ユニット40は、交換可能及び/又は拡張可能なモジュールとして実現することができる。
【0024】
図5〜7によれば、加工システム10は、特にガイド・レールの形態での案内システム54を含み、案内システム54は、矢印50、52に従って、担持デバイス18又はプラットフォーム30の所定方向への移動を保証する。プラットフォーム30の移動は、駆動ユニット20によって実現され、駆動ユニット20は、例えば摩擦輪システムとして実現され、これは、ガイド・システム54と、適切な場合には切換え可能な動作作用接触状態にあり、プラットフォーム30が産業用ロボット搬送路17上で案内システム54に沿って矢印50、52に従ってワークピースとは無関係に移動することを可能にする。
【0025】
車両本体12を加工するための加工システム10の機能は、以下のように説明される。車両本体12が、ワークピース担持ユニット14によって矢印48(図1参照)に従ってワークピース搬送路13上で移動される間、産業用ロボット16を伴う担持デバイス18は、非結合動作位置42(図3参照)にあり、特に、ワークピース搬送の方向(矢印48)で特定の距離だけ離れた産業用ロボット搬送路17上の位置にある。したがって、産業用ロボット16は、移動する車両本体12に対する所定の結合領域内に位置決めすることができるように、矢印50の方向で、ワークピース担持ユニット14の移動によって産業用ロボット搬送路17上で移動されなければならない。この目的で、最初に、第1の担持プレート62、したがってまた結合デバイス66が、高さ補償システム46によって、ストップ・システム76に関する規定のストップ高さまで持ち上げられる。次いで、ストップ・システム76は、非活動位置(図3参照)から、所定の活動位置(図4参照)に旋回される。ここで、駆動ユニット20及び浮動担持ユニット24によって、存在する任意のブレーキの解放に続いて、プラットフォーム30を、移動する車両本体12の方向で、矢印50に従って産業用ロボット路17上で低摩擦で加速及び移動させることができ、最終的に、結合デバイス66が図4に従った位置に達する。遮光システム74の位置依存作動の際、プラットフォーム30の接近速度は自動的に減少されて、ワークピース担持ユニット14に対する結合デバイス66のスムーズな位置決めを保証する。この目的で、結合デバイス66の遮光システム74は、ワークピース担持ユニット14と協働する。さらに、プラットフォーム30は、搬送の方向(矢印50)で、移動する車両本体12に対して移動され、最終的に、同様にワークピース担持ユニット14と協働するストップ・システム76が所定のストップ位置に達する。この瞬間まで、案内システム54に沿ったプラットフォーム30の移動は、駆動ユニット20によってワークピースとは無関係に行われる。
【0026】
ここで取られるストップ位置は、搬送の方向(矢印50、48)で、プラットフォーム30とワークピース担持ユニット14との正確に一致する移動を保証する。ここで、浮動軸受ユニット72(図3参照)を作動させることができ、それによって、結合フレーム68を、センタリング要素78によって、それに対応して適切な受取部を設けられたワークピース担持ユニット14内に挿入することができ、位置を定められた押込み式の接続を形成する。適切である場合には、さらに、結合フレーム68とワークピース担持ユニット14との押込み式の係止を行うことができる。さらに、ここで、結合アーム70と車両本体12のBピラー82との固定接続が、把持システム80の作動によって作成される。この操作段階では、結合デバイス66は、浮動軸受ユニット72によって、第1の担持プレート62に関して、したがって産業用ロボット16に関して浮動に取り付けられる。次いで、高さ補償システム46が、両方向矢印56(図2参照)の方向で固定の動作位置から浮動動作位置に切り換えられ、それによりZ方向補償が可能であり、第1の担持プレート62、したがってまた産業用ロボット16と結合デバイス66との間の公差変動を補償する。遅くともこの時点で、エアクッション・システム32も作動され、それによって、プラットフォーム30に対する第2の担持プレート64の浮動取付けが実現される。ここで、浮動軸受ユニット72が作動され、それによって、前述のZ方向補償と、第1の担持プレート62の角度位置補償(図2参照、両方向矢印58)とを同時に保証しながら、結合デバイス66と第1の担持プレート62、したがってまた産業用ロボット16との固定結合が行われる。作用するエアクッション・システム32及び高さ補償システム46により、車両本体12の最小の移動でさえも、第1の担持プレート62、したがって産業用ロボット16に直接、比較的小さい力で伝達することができる。産業用ロボット16の能動重量補償ユニット34が、車両本体12の加工に対して好ましい効果を有する移動する産業用ロボット16の重量補償を保証する。
【0027】
したがって、全ての結合ステップを、移動する本体12で行うことができる。結合動作位置44(図5参照)が確立された後、担持デバイス18は、浮動軸受システム22により、車両本体12の移動によって且つワークピース担持ユニット14の対応する移動によって、比較的低い摩擦力を克服してサブフロア11上で随伴移動される。したがって、担持デバイス18は、移動する車両本体12及び移動するワークピース担持ユニット14に随伴して牽引され、ここでは、作動状態にされていたが、その間に非作動状態にされた駆動ユニット20は、もはや担持デバイス18に対して能動駆動式に作用しない。
【0028】
ここで、車両本体12は、ワークピース搬送路13に沿って搬送されるとき、加工システム10によって、再現性があり正確で自由度の高い様式で加工することができる。ここで、加工ラインに沿った、固定された搬送路セクション及び緩衝コースは必要ない。自動化された、特に完全に自動化された加工操作を、搬送プロセスと一体化することができる。可能性のある加工システム10の適用分野は、例えば、接着結合による絶縁マットの取付け、懸架ストラットの取付け、窓ガラスの取付け、スペア又は緊急用車輪の設置、及び/又は電池の取付けである。適切である場合には、加工システム10によって、車両本体12の直接加工中に同時に、車両本体12及び/又は搭載部品にさらなる準備作業を行うこともできる。
【0029】
加工システム10は、車両本体12又はワークピース担持ユニット14に、車両本体12の搬送の方向(図1参照、矢印48)で後方から近付くことができるように実現することができ、また、車両本体12の搬送の方向と逆に前から近付くことができるように実現することもできる。このプロセスに関して、加工システム10は、ストップ・システム76を非活動位置(図3参照)にして、ストップ接触を有さずにワークピース担持ユニット14を通り過ぎることができるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(12)及び/又は移動可能なワークピース担持ユニット(14)に断続的に固定結合させることができる産業用ロボット(16)によって、移動するワークピース(12)を加工するための加工システム(10)であって、前記産業用ロボット(16)が、非結合動作位置(42)にあるときには、能動的に作用する駆動ユニット(20)によってワークピースとは無関係に移動可能である担持デバイス(18)により担持され、結合動作位置(44)にあるときには、浮動軸受システム(22)によって前記担持デバイス(18)に対して浮動に取り付けられる、加工システム(10)であって、
さらに、前記産業用ロボット(16)の制御ユニット(36)及び/又は少なくとも1つの製造ユニット(40)が、前記担持デバイス(18)上に配置されることを特徴とする加工システム(10)。
【請求項2】
前記製造ユニット(40)が、さらなる産業用ロボット、及び/又は負荷キャリア、及び/又は加工ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記製造ユニット(40)が、交換可能及び/又は拡張可能なモジュールとして実現されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記担持デバイス(18)が、交換可能及び/又は拡張可能なモジュールとして実現されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項5】
前記産業用ロボット(16)の前記結合動作位置(44)で、前記駆動ユニット(20)は、前記担持デバイス(18)に対して能動的に作用せず、前記担持デバイス(18)は、前記浮動軸受システム(22)により、前記移動するワークピース(12)及び/又は移動するワークピース担持ユニット(14)によって少なくとも断続的に随伴移動されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の加工システム(10)。
【請求項6】
前記担持デバイス(18)が、低摩擦で前記産業用ロボット(16)を移動させるための浮動担持ユニット(24)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項7】
前記浮動担持ユニット(24)が、エアクッション・ユニット(26)として実現されることを特徴とする請求項6に記載の加工システム。
【請求項8】
前記駆動ユニット(20)が、摩擦輪システムとして、特に、作動させることができる摩擦輪システムであって、前記担持デバイス(18)用に提供される案内システム(54)に接続される又は接続可能である少なくとも1つの摩擦輪を含む摩擦輪システムとして実現されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項9】
前記担持デバイス(18)がプラットフォーム(30)を有し、前記プラットフォーム(30)に対して、前記産業用ロボット(16)が、非結合動作位置(42)にあるときには固定接続され、結合動作位置にあるときには浮動接続されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項10】
前記産業用ロボット(16)が、挿間された切換え可能な高さ補償システム(46)を介して、前記プラットフォーム(30)に接続されることを特徴とする請求項9に記載の加工システム。
【請求項11】
前記プラットフォーム(30)が、前記浮動担持ユニット(24)によって低い移動力で担持されることを特徴とする請求項9あるいは10に記載の加工システム。
【請求項12】
前記産業用ロボット(16)が、結合動作位置(44)にあるとき、エアクッション・システム(32)によって前記プラットフォーム(30)に浮動接続されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項13】
前記産業用ロボット(16)が、該産業用ロボット(16)の移動に応じて、前記産業用ロボット(16)の制御ユニット(36)によって再配置することにより、適切な補償位置にもたらされる重量補償ユニット(34)を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項14】
作動させることができる浮動軸受ユニット(72)によって前記産業用ロボット(16)に結合される結合デバイス(66)を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項15】
前記結合デバイス(66)が、前記結合動作位置(44)では、前記産業用ロボット(16)に固定接続され、前記非結合動作位置(42)では、前記産業用ロボット(16)に浮動接続されることを特徴とする請求項14に記載の加工システム。
【請求項16】
前記結合デバイス(66)が、前記移動するワークピース担持ユニット(14)への接続を行うための接続システム(84)と、前記移動するワークピース(12)への接続を行うための把持システム(80)とを有することを特徴とする請求項14あるいは15に記載の加工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−539623(P2009−539623A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512429(P2009−512429)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001262
【国際公開番号】WO2007/140827
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】