説明

移動体用記録媒体再生装置、移動体の記録媒体再生方法、移動体用記録媒体再生プログラムおよび移動体用記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体

【課題】記録媒体再生装置で再生性速度を制御する際に目的地や経由地に到着とコンテンツの盛り上がりとが重ならないようにすることができる移動体用記録媒体再生装置、移動体の記録媒体再生方法、移動体用記録媒体再生プログラムおよび移動体用記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】光ディスク11からデータをリッピングしている際に、コンテンツの盛り上がり区間を特定し、経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なる場合には、経由地到着予想時間と重ならないように再生速度を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車などの移動体に搭載され光ディスクなどの記録媒体を再生可能な移動体用記録媒体再生装置、移動体の記録媒体再生方法、移動体用記録媒体再生プログラムおよび移動体用記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車などの移動体にはCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体を再生する再生装置が搭載されているものが多くなり、搭乗者は移動中にこれらの記録媒体に記録された音楽や映画等のコンテンツを視聴して楽しむことができる。一般的にこれらのコンテンツは再生速度が一定であり、その速度は、音楽や映画等が記録媒体に対して録音、録画されたときと同じ速度で再生される。
【0003】
このような一定速度の再生では、自動車が目的地に到着するよりも早くコンテンツの再生が終了してしまったり、又は到着時にコンテンツの再生が終了しない場合がある。到着時よりも早くにコンテンツの再生が終了する場合、その後目的地に到着するまで搭乗者はコンテンツを楽しむことができずにドライブが退屈になり、又はコンテンツ再生のための再操作を行う必要がある。逆に、到着時にコンテンツの再生が終了しない場合、搭乗者は再生の残り部分が気掛かりとなり、場合によっては最後まで再生するためにアイドリングをさせてしまう可能性がある。
【0004】
他方、近年の自動車には目的地や経由地までの適切な経路を設定して案内するナビゲーションシステムを搭載するものが増えてきている。一般的なナビゲーションシステムでは、目的地や経由地を設定すると、そこまでのルートを検索する際に該ルートの走行距離及び到着予想時間を求めることができる。
【0005】
ここで、上述した一定速度の再生時に発生する問題に対して、例えば、特許文献1に記載された移動体用コンテンツ再生装置や特許文献2に記載された車両用ビデオ再生速度制御装置が提案されている。特許文献1に記載された移動体用コンテンツ再生装置は、到着予想時間算出する手段と記録媒体に格納されているコンテンツを再生する手段を備え、再生速度制御手段で到着予想時間に合わせてコンテンツの再生が終了するように再生速度を制御している。特許文献2に記載された車両用ビデオ再生速度制御装置は、目的地までの到着予想時間よりもビデオ再生残り時間が長いと判定された場合、目的地への到着予想時間が経過するまでにビデオ再生が終了するように再生速度を算出し、この算出した再生速度にてビデオ再生することをビデオ再生装置に指示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−31898号公報
【特許文献2】特開2007−256077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された移動体用コンテンツ再生装置や特許文献2に記載された車両用ビデオ再生速度制御装置では、到着予想時間に終わるように再生速度全体を制御しているので、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンも制御されて、コンテンツを十分に楽しめなくなるという問題がある。
【0008】
また、経由地がある場合、経由地到着時に、盛り上がりが来てしまうと、区切りのよい視聴ができず、やはりアイドリングなどを発生してしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、例えば、記録媒体再生装置で再生性速度を制御する際に目的地や経由地に到着とコンテンツの盛り上がりとが重ならないようにすることができる移動体用記録媒体再生装置、移動体の記録媒体再生方法、移動体用記録媒体再生プログラムおよび移動体用記録媒体再生プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の移動体用記録媒体再生装置は、移動体に搭載されるとともに、コンテンツが記録された記録媒体を再生する再生手段を備えた移動体用記録媒体再生装置において、前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出する到着予想時間算出手段と、前記コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、前記コンテンツの盛り上がり区間を特定する盛り上がり特定手段と、前記コンテンツの盛り上がり区間の間に前記目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように前記盛り上がり特定手段が特定した盛り上がり区間以外の前記コンテンツの再生速度を調節して前記再生手段に再生させる再生速度調節手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項9に記載の移動体の記録媒体再生方法は、移動体に搭載された再生装置でコンテンツが記録された記録媒体を再生する移動体の記録媒体再生方法において、前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出し、前記コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、前記コンテンツの盛り上がり区間を特定して、前記コンテンツの盛り上がり区間の間に前記目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように前記盛り上がり区間以外の前記コンテンツの再生速度を調節して再生することを特徴としている。
【0012】
請求項10に記載の移動体用記録媒体再生プログラムは、移動体に搭載されるとともに、コンテンツが記録された記録媒体を再生する再生手段を備えた移動体用記録媒体再生装置のコンピュータを、前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出する到着予想時間算出手段と、前記コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、前記コンテンツの盛り上がり区間を特定する盛り上がり特定手段と、前記コンテンツの盛り上がり区間の間に前記目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように前記盛り上がり特定手段が特定した盛り上がり区間以外の前記コンテンツの再生速度を調節して前記再生手段に再生させる再生速度調節手段と、して機能させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる移動体用記録媒体再生装置としてのカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】図1に示されたカーナビゲーション装置におけるコンテンツ再生時の盛り上がり区間の検出と再生速度の制御の説明図である。
【図3】図1に示されたカーナビゲーション装置におけるコンテンツ再生時の動作を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例にかかる移動体用記録媒体再生装置としてのカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図5】図4に示されたカーナビゲーション装置におけるコンテンツ再生時の盛り上がり区間の検出と再生速度の制御の説明図である。
【図6】図4に示されたカーナビゲーション装置におけるコンテンツ再生時の動作を示したフローチャートである。
【図7】第二のレベルを設定した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる移動体用記録媒体再生装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる移動体用記録媒体再生装置は、到着予想時間算出手段で移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出し、盛り上がり特定手段でコンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、コンテンツの盛り上がり区間を特定し、再生速度調節手段が、特定されたコンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節して再生手段に再生させるので、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間と盛り上がり部分とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども少なくなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0015】
また、コンテンツの信号の特徴量を、コンテンツの信号レベルとし、所定の判定基準を、コンテンツの信号レベルが予め定めた一定レベル以上か否かとして、盛り上がり特定手段が、コンテンツの信号レベルが一定レベル以上となる時間から前記一定レベル以下となる時間までを盛り上がり区間として特定してもよい。このようにすることにより、記録媒体から読み取った信号から容易にコンテンツの盛り上がり区間を特定することができる。
【0016】
また、コンテンツの全ての情報を格納する格納手段と、記録媒体が装着された際に記録媒体から格納手段へコンテンツをコピーさせるリッピング手段と、を備え、盛り上がり特定手段が、リッピング手段がコンテンツを記録媒体から格納手段へコピーしている際にコンテンツの盛り上がり区間を特定し、再生手段がコピー終了後に格納手段からコンテンツを読み出して再生してもよい。このようにすることにより、例えばハードディスクなどの大容量の記録媒体に複数の光ディスク内のコンテンツをリッピングして、以降の再生をハードディスクから行うような場合に、リッピング時に予め盛り上がり区間を特定することができ、以後の動作を高速かつ効率的に行うことができる。
【0017】
また、少なくとも到着予想時間算出手段が移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出するのに要する時間分のコンテンツの情報を格納することができる一時格納手段を備え、再生手段が、記録媒体から一時格納手段へコンテンツの情報を格納した後に一時格納手段に格納されたコンテンツの情報を読み出して再生し、盛り上がり特定手段が、再生手段が一時格納手段に格納されたコンテンツの情報を読み出して再生している間に、コンテンツの情報を読み出してコンテンツの盛り上がり区間を特定してもよい。このようにすることにより、リッピングを行うことができない記録媒体やリッピングに時間がかかる記録媒体の場合に、再生を行いつつ盛り上がり区間を特定することができる。
【0018】
また、盛り上がり特定手段が、コンテンツの情報を通常の再生速度よりも速い速度で記録媒体から読み出してもよい。このようにすることにより、盛り上がり区間の特定に要する時間を短縮することができ、盛り上がり区間特定後は一時格納手段を利用しない通常再生を行うことができる。
【0019】
また、再生制御手段が、目的地または経由地の到着予想時間が盛り上がり区間の前半に重なるか後半に重なるかを判断し、盛り上がり区間の前半に重なる場合は盛り上がり区間が目的地または経由地の到着予想時間よりも後に再生されるように再生速度を調節し、盛り上がり区間の後半に重なる場合は盛り上がり区間が目的地または経由地の到着予想時間よりも前に再生されるように再生速度を調節するようにしてもよい。このようにすることにより、再生速度の変更を最小限に留めて視聴時における違和感を少なくすることができる。
【0020】
また、盛り上がり特定手段が、一定レベル以上となる時間から一定レベル以下となる時間までが予め定めた所定時間以下の場合は盛り上がり区間としないようにしてもよい。このようにすることにより、盛り上がり区間を確実に判定することができるとともに、速度調節が頻繁に発生して視聴時に違和感を持つことを防止できる。
【0021】
また、再生制御手段が、信号レベルが一定レベルよりも低い第二のレベルを設定し、信号レベルが第二のレベル以上かつ一定レベル未満の場合は、第二のレベル未満の場合よりも通常の再生速度に近い速度で再生手段に再生させてもよい。このようにすることにより、盛り上がり区間の前後の再生速度が通常の再生速度に近づくために視聴時の違和感を少なくすることができる。
【0022】
また、本発明の一実施形態にかかる移動体の記録媒体再生方法は、移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出し、コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、コンテンツの盛り上がり区間を特定し、特定したコンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節して再生するので、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間と盛り上がり部分とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども無くなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態にかかる移動体用記録媒体再生プログラムは、到着予想時間算出手段で移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出し、盛り上がり特定手段でコンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、コンテンツの盛り上がり区間を特定し、再生速度調節手段が、特定されたコンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節して再生手段に再生させるので、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間と盛り上がり部分とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども無くなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0024】
また、上述した移動体用記録媒体再生プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、移動体用記録媒体再生プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例1】
【0025】
本発明の第1の実施例にかかる移動体用記録媒体再生装置としてのカーナビゲーション装置1を図1ないし図3を参照して説明する。カーナビゲーション装置1は、図1に示すように再生部2と、ナビゲーション部3と、再生速度制御部4と、ハードディスク5と、モニタ6と、操作部7と、ジャイロセンサ8と、GPS部9と、スピーカ10と、を備え、移動体としての自動車の車室内に設置されている。
【0026】
再生手段、リッピング手段としての再生部2は、カーナビゲーション装置1にセットされた記録媒体としての光ディスク11から記録されているコンテンツを読み出して再生し、音声信号はスピーカ10へ、映像信号はモニタ6へ、それぞれ出力する。また、光ディスク11がCDのようなリッピング可能な記録媒体の場合は、セットされた後に通常再生よりも高速にコンテンツを読み出してハードディスク5へコピー、つまりリッピングを行う。リッピングを行った場合は当該コンテンツは光ディスク11ではなくハードディスク5から読み出して再生する。また、リッピング時には同時にリッピングしているコンテンツの音圧レベルが一定以上となる時間と一定レベル以下となる時間を検出して再生速度制御部4に出力する。そして、再生部2は再生速度制御部4からコンテンツ再生時にその再生速度が制御され、再生速度制御部4から再生速度の変更を指示された場合は、指示された再生速度で再生を行う。
【0027】
到着予想時間算出手段としてのナビゲーション部3は、ジャイロセンサ8やGPS部9からの信号に基づいてカーナビゲーション装置1が搭載されている自動車の現在地や進行方向を認識するとともに、現在地点から操作部7で入力された目的地や経由地までのルートをハードディスク5に格納されている地図情報に基づいて検索することができる。ナビゲーション部3は、ルートを検索する際に目的地や経由地までの走行距離及び到着予想時間を算出することができ、これらの情報を地図情報と合わせてモニタ6に表示することができる。
【0028】
盛り上がり特定手段、再生速度調節手段としての再生速度制御部4は、再生部2から取得した音圧レベルが一定以上となる時間と一定レベル以下となる時間から盛り上がり区間を特定し、盛り上がり区間にナビゲーション部3から取得した目的地や経由地までの到着予想時間が重なっているか否かを判断して、重なっている場合は重ならないように再生部2に対してコンテンツの再生速度を変更するように指示する。
【0029】
格納手段としてのハードディスク5は、上述したようにナビゲーション部3が使用する地図情報や再生部2がリッピングした光ディスク11に記録されているコンテンツのデータなどが格納される。
【0030】
モニタ6は、ナビゲーション部3が求めた目的地や経由地までのルートや目的地や経由地までの走行距離及び到着予想時間および地図を表示したり、光ディスク11に映像コンテンツが記録されている場合はその映像を表示したりする。
【0031】
操作部7は、再生部2に光ディスク11の再生や停止など各種動作の指示を行ったり、ナビゲーション部3に目的地や経由地の設定などを行ったりする。
【0032】
ジャイロセンサ8は、車両の方向変化に伴う角速度データを出力する角速度センサの一種であり、例えば自動車の進行方向の検出を行う機能を有する。GPS部9は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して演算を行い、測位を行う機能を有する。このGPS部9は、例えば緯度、経度、高度及び進行方位のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせの測位データを生成する。
【0033】
次に、上述した構成のカーナビゲーション装置1におけるコンテンツ再生時の盛り上がり区間の検出と再生速度の制御について図2を参照して説明する。図2は、上方に出発地から経由地1、経由地2、…、経由地mおよび目的地までの到着予想時間Ta0からTa1、Ta2、…TamおよびTaまでを示し、下方に再生するコンテンツの再生時間と音圧レベルの関係を示した図である。
【0034】
図2に示したように、コンテンツは再生時間T1で信号レベルとしての音圧レベルが予め定めた一定レベル以上になり、その後再生時間T2で一定レベル以下になる。さらに、その後の再生時間T3で再び予め定めた一定レベル以上になり、その後再生時間T4で一定レベル以下になる。このように一定レベル以上となった時間から一定レベル以下となった時間が盛り上がり区間であり、一定レベル以下となった時間と一定レベル以上となった時間の差であるΔT2やΔT4が盛り上がり区間の長さとなる。
【0035】
上述した一定レベルは、コンテンツの盛り上がりを検出するための閾値(所定の判断基準)であるが、このレベルは任意に定めた固定値でも良いし、コンテンツ内容(音楽か映像かなど)に応じて切り替えるようにしてもよい。また、音圧レベル以外に映像レベルを用いてもよい。映像レベルとしてはフレーム内の画素の平均値の差分などを用いればよい。また、映像レベルと音声レベルを組み合せてどちらも一定レベルを超えた場合や、映像レベルは一定レベルを超えないものの音声レベルが一定レベルを超えた場合は盛り上がり検出としてもよい。また、コンテンツの信号の特徴量としては信号レベルに限らず、音声であれば周波数スペクトラムの広がりの程度、テンポの大きさ等、映像であれば類似する画像や画像内のオブジェクト等の発生頻度等音声や映像の解析を行って特徴量を算出しても良い。
【0036】
なお、図2では再生時間T1の前に一定レベルを一瞬超えている部分があるが、これは盛り上がり区間としない。これは、一定レベルを短時間しか超えない場合は、曲のサビや映像のクライマックスシーンなどの盛り上がりに該当しないことが多いことや、さらにこのような短時間の区間のために再生速度の制御が頻繁に行われて、視聴に違和感を持たれることを避けるためであり、本実施例の場合は一定レベル以下となる時間と一定レベル以上となる時間との差が予め定めた所定時間以上の場合のみ盛り上がり区間としている。
【0037】
そして、上述した盛り上がり区間が目的地や経由地の到着予想時間Ta1、Ta2、…TamおよびTaと重なる場合は重ならないように盛り上がり区間をずらすように再生速度を調節する。例えば、盛り上がり区間ΔT2と経由地1の到着予想時間Ta1とが重なっている場合において、経由地1の到着予想時間Ta1が盛り上がり区間ΔT2の前半に重なっている場合は、盛り上がり区間ΔT2を経由地1の到着予想時間Ta1よりも後にずらす(ΔT2b)ように盛り上がり区間ΔT2よりも前の部分の再生速度を遅くする。また、経由地1の到着予想時間Ta1が盛り上がり区間ΔT2の後半に重なっている場合は、盛り上がり区間ΔT2を経由地1の到着予想時間Ta1よりも前にずらす(ΔT2a)ように盛り上がり区間ΔT2よりも前の部分の再生速度を速くする。勿論、盛り上がり区間ΔT2の再生速度は通常の再生速度であり変化させない。
【0038】
次に、上述した動作の詳細を図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示したフローチャートは再生速度制御部4で実行される。
【0039】
まず、ステップS101において、再生部2にリッピングを開始させてステップS102に進む。つまり、本実施例で対象とする記録媒体はCDなどのリッピング可能なコンテンツが記録された記録媒体である。
【0040】
次に、ステップS102において、再生部2がコンテンツを光ディスク11からハードディスク5へコピーしている際にコンテンツの盛り上がり区間を特定してステップS103に進む。ここでは、リッピングしたデータ内から、音圧レベルが予め定めた一定レベル以上になる時間T(n−1)と当該レベル以下になる時間T(n)、音圧レベルが一定レベル以下になる時間T(n)と音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)との差である音圧レベルが一定レベル以上である時間ΔT(n)、再生終了時間Tを再生速度制御部4内に保存する。
【0041】
次に、ステップS103において、リッピングが終了したか否かを判断し、終了した場合(Yの場合)はステップS104に進み、終了しない場合(Nの場合)はステップS102に戻る。
【0042】
次に、ステップS104において、コンテンツの再生が経由地到着までに終了するかを判断し、終了する場合(Yの場合)はステップS105に進み、終了しない場合(Nの場合)はステップS106に進む。具体的には、経由地到着予想時間Ta(m)をナビゲーション部3から取得し、Ta(m)>Tの関係か否か、つまり経由地到着予想時間Ta(m)が再生終了時間Tよりも後の時間であるか否かを判断し、後である場合はコンテンツの再生が経由地到着までに終了すると判断し、前である場合はコンテンツの再生が経由地到着までに終了しないと判断している。つまり、コンテンツの再生が経由地到着までに終了する場合は速度調節を行う必要が無いためそのまま通常速度で再生する。
【0043】
次に、ステップS105において、再生部2に通常速度での再生を行わせる。この際の再生はリッピングしたデータを再生部2がハードディスク5から読み出して再生する。この後にナビゲーション部3においてリルートされた場合は、ステップS104に戻りリルート後の経由地到着予想時間Ta(m)を取得して再度経由地到着予想時間Ta(m)が再生終了時間Tよりも後の時間であるか否かを判断する。
【0044】
一方、ステップS106においては、経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なるか否かを判断し、重なる場合(Yの場合)はステップS107に進み、重ならない場合(Nの場合)はステップS105に戻る。具体的には、経由地到着予想時間Ta(m)と最も近い音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)と以下になる時間Tnとの関係がT(n−1)≦Ta(m)≦Tnか否かを判断し、T(n−1)≦Ta(m)≦Tnが成立する場合は経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なると判断し、T(n−1)≦Ta(m)≦Tnが成立しない場合は経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重ならないと判断している。つまり、経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なる場合は再生速度の調節を行う必要があるので後述するステップS107以降の動作を行わせ、重ならない場合は再生速度の調節を行う必要が無いために通常速度の再生を行わせる。
【0045】
次に、ステップS107において、経由地到着予想時間が盛り上がり区間の前半と重なるか否かを判断し、重なる場合(Yの場合)はステップS108に進み、重ならない場合(Nの場合)はステップS109に戻る。具体的には、経由地到着予想時間Ta(m)と最も近い音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)と音圧レベルが一定レベル以上である時間ΔT(n)の関係はTa(m)<T(n−1)+(ΔT(n)/2)か否かを判断し、Ta(m)<T(n−1)+(ΔT(n)/2)が成立する場合は盛り上がり区間の前半に重なると判断し、Ta(m)<T(n−1)+(ΔT(n)/2)が成立しない場合は盛り上がり区間の後半に重なると判断する。即ち、(ΔT(n)/2)は音圧レベルが一定レベル以上である時間の半分の時間であり、これは盛り上がり区間の長さの半分の時間を示している。音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)は盛り上がり区間の始まりの時間であることから、T(n−1)+(ΔT(n)/2)は盛り上がり区間の前半を示している。
【0046】
次に、ステップS108において、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも後ろにずらすように再生速度を調節してステップS110に進む。具体的には、Ta(m)<T(n−1)になるように、ΔT(n)以前の部分の再生速度を遅くする。本ステップでは経由地到着予想時間Ta(m)が盛り上がり区間の前半に重なっているため、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも後ろにずらすように再生速度を遅くすることで、ずらす量、つまり、再生速度の変化量を少なくしている。即ち、コンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節している。
【0047】
ステップS109においては、盛り上がり区間を経由地到着予想時間より前にずらすように再生速度を調節してステップS110に進む。具体的には、Ta(m)>T(n)になるように、ΔT(n)以前の部分の再生速度を速くする。本ステップでは経由地到着予想時間Ta(m)が盛り上がり区間の後半に重なっているため、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも前にずらすように再生速度を速くすることで、ずらす量、つまり、再生速度の変化量を少なくしている。即ち、コンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節している。
【0048】
次に、ステップS110において、ステップS108またはS109で調節した再生速度で再生部2に再生を行わせる。この際の再生はリッピングしたデータを再生部2がハードディスク5から読み出して再生する。この後にナビゲーション部3においてリルートされた場合は、ステップS104に戻りリルート後の経由地到着予想時間Ta(m)を取得して再度経由地到着予想時間Ta(m)が再生終了時間Tよりも後の時間であるか否かを判断する。
【0049】
本実施例によれば、光ディスク11からデータをリッピングしている際に、コンテンツの盛り上がり区間を特定し、経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なる場合には、経由地到着予想時間と重ならないように再生速度を調節しているので、盛り上がり区間である音圧レベルが一定レベル以上である時間の特定を高速に行うことができ、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間と盛り上がり区間とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども無くなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0050】
また、経由地到着予想時間が盛り上がり区間の前半と重なる場合は、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも後ろにずらすように再生速度を調節し、経由地到着予想時間が盛り上がり区間の後半と重なる場合は、盛り上がり区間を経由地到着予想時間より前にずらすように再生速度を調節しているので、再生速度の変更を最小限に留めて視聴時における違和感を少なくすることができる。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の第2の実施例にかかるカーナビゲーション装置1を図4ないし図6を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施例は図4に示したように一時格納手段としての大容量メモリ12が追加されている点が第1の実施例と異なる。大容量メモリ12は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成されて再生部2に接続され、再生部2が読み込んだ光ディスク11のコンテンツデータを格納する。大容量メモリ12の容量は、少なくとも、ナビゲーション部3が操作部7からの指示により目的地や経由地までのルートを設定するのに要する時間分以上の再生ができるデータが格納可能な大きさである。
【0053】
また、図4では、再生部2はハードディスク5と接続されていない。これは、本実施例はDVDやBD(Blu-ray Disc)などリッピングに時間がかかってしまう映像などのコンテンツが記録されていたり、著作権保護のためコピーが制限されていてリッピングが困難または不可能なコンテンツが記録されている記録媒体を対象とするためである。
【0054】
本実施例におけるコンテンツ再生時の盛り上がり区間の検出と再生速度の制御について図5を参照して説明する。まず、図5(a)に示したように光ディスク11からコンテンツデータを先頭から通常再生よりも高速に再生部2に含まれるピックアップが読み出して大容量メモリ12に格納する。この格納している時間をTdとする。このTdは、少なくともナビゲーション部3で指定された目的地や経由地までのルートを検索するのに要する時間以上とする。また、高速にとは記録媒体が光ディスク11の場合は通常再生時の回転数である等倍速の数倍〜十数倍などその記録媒体再生装置がデータを読み出せる範囲で高倍速の回転数とする。例えば、目的地や経由地までのルートを検索するのに要する時間が1分で光ディスク11から8倍速で読み出すとすると、Tdはコンテンツの再生時間にして8分ぶんのデータを格納することとなる。
【0055】
そして、Td時間分のデータを大容量メモリ12に格納している際には、音圧レベルが予め定めた一定レベル以上になる時間T(n−1)と以下になる時間T(n)、音圧レベルが当該レベル以下になる時間T(n)と音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)との差である音圧レベルが一定レベル以上である時間ΔT(n)を検索および算出して再生速度制御部4内に保存する。つまり、盛り上がり区間を特定する。
【0056】
大容量メモリ12にTd時間分のデータを格納すると、再生部2は大容量メモリ12からデータを読み出して再生し、映像コンテンツであればモニタ6に表示する。
【0057】
次に、図5(b)に示したように大容量メモリ12に格納したデータの半分(Td/2)を再生している間に再生部2のピックアップはTd時間以降のコンテンツデータを高速(高倍速)に読み出し、同様に盛り上がり区間を特定して再生速度制御部4内に保存する。なお、図中のTsは大容量メモリ12に格納したデータの半分(Td/2)を再生している間に再生部2のピックアップが盛り上がり区間の特定を終了した光ディスク11上の位置(再生時間)である。
【0058】
次に、図5(c)に示したように大容量メモリ12に格納したデータを再生しているデータの半分(Td/2)を再生すると、再生部2のピックアップをTsから光ディスク11上のTdに相当する位置に戻してデータを読み込み大容量メモリ12に(Td/2)時間分のデータを格納する。そして、(Td/2)時間分のデータを格納したらピックアップをTsに戻して、盛り上がり区間の特定を再開する。このようにして図5(b)と(c)とを繰り返して盛り上がり区間の特定をしつつ再生を行う。コンテンツの最後まで検索を完了したら大容量メモリ12を用いずに通常の再生を行う。
【0059】
次に、上述した動作の詳細を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
まず、ステップS201において、光ディスク11を挿入して再生終了時間Tを取得しステップS202に進む。本ステップでは、再生前のセットアップ時に取得される再生終了時間Tを再生速度制御部4へ出力している。
【0061】
次に、ステップS202において、コンテンツの再生が経由地到着までに終了するか否かを判断し、終了する場合(Yの場合)はステップS203に進み、終了しない場合(Nの場合)はステップS204に進む。具体的には、図3のステップS104と同様に経由地到着予想時間Ta(m)をナビゲーション部3から取得し、Ta(m)>Tの関係か否か、つまり経由地到着予想時間Ta(m)が再生終了時間Tよりも後の時間であるか否かを判断し、後である場合はコンテンツの再生が経由地到着までに終了するとし、前である場合はコンテンツの再生が経由地到着までに終了しないとする。
【0062】
次に、ステップS203において、再生部2に通常速度での再生を行わせる。この後にナビゲーション部3においてリルートされた場合は、ステップS202に戻りリルート後の経由地到着予想時間Ta(m)を取得して再度経由地到着予想時間Ta(m)が再生終了時間Tよりも後の時間であるか否かを判断する。
【0063】
一方、ステップS204において、ナビゲーション部3のルート検索に要する時間Tdの間、光ディスク11内のデータを高倍速で大容量メモリ12内に保存してステップS205に進む。
【0064】
次に、ステップS205において、大容量メモリ12のデータから盛り上がり区間を特定してステップS206に進む。具体的には、音圧レベルが予め定めた一定レベル以上になる時間T(n−1)と当該レベル以下になるT(n)をサーチおよび、音圧レベルがある一定レベル以上になる時間T(n−1)と一定レベル以下になるT(n)の差ΔT(n)を算出し、再生終了時間Tとともに再生速度制御部4内に保存する。
【0065】
次に、ステップS206において、大容量メモリ12内に保存されたデータを再生してステップS207に進む。
【0066】
次に、ステップS207において、大容量メモリ12内のデータを再生しながら、ステップS205で保存した光ディスク上のデータ位置、つまりTd以降から、光ディスク11内のデータをサーチし、盛り上がり区間を特定してステップS208に進む。つまりステップS205と同様に音圧レベルがある一定レベル以上になる時間T(n−1)と以下になるT(n)、その差ΔT(n)を再生速度制御部4内に保存する。
【0067】
次に、ステップS208において、経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なるか否かを判断し、重なる場合(Yの場合)はステップS210に進み、重ならない場合(Nの場合)はステップS209に戻る。具体的には、図3のステップS106と同様に経由地到着予想時間Ta(m)と最も近い音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)と以下になる時間Tnとの関係がT(n−1)≦Ta(m)≦Tnか否かを判断し、T(n−1)≦Ta(m)≦Tnが成立する場合は経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重なると判断し、T(n−1)≦Ta(m)≦Tnが成立しない場合は経由地到着予想時間が盛り上がり区間と重ならないと判断している。
【0068】
次に、ステップS209において、再生部2にそれまでの速度での再生を継続させステップS208に戻る。つまり、ステップS204〜S207を経由して本ステップに来た場合は通常速度での再生を継続し、後述するステップS214から本ステップに来た場合は調節された再生速度での再生を継続する。ステップS208に戻るのは次の経由地や目的地の到着予想時間と盛り上がり区間との重なりを見るためである。
【0069】
一方、ステップS210において、経由地到着予想時間が盛り上がり区間の前半と重なるか否かを判断し、重なる場合(Yの場合)はステップS211に進み、重ならない場合(Nの場合)はステップS212に戻る。具体的には、図3のステップS107と同様に経由地到着予想時間Ta(m)と最も近い音圧レベルが一定レベル以上になる時間T(n−1)と音圧レベルが一定レベル以上である時間ΔT(n)の関係はTa(m)<T(n−1)+(ΔT(n)/2)か否か、を判断し、Ta(m)<T(n−1)+(ΔT(n)/2)が成立する場合は盛り上がり区間の前半に重なると判断し、Ta(m)<T(n−1)+(ΔT(n)/2)が成立しない場合は盛り上がり区間の後半に重なると判断する。
【0070】
次に、ステップS211において、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも後ろにずらすように再生速度を調節してステップS213に進む。具体的には、Ta(m)<T(n−1)になるように、ΔT(n)以前の部分の再生速度を遅くする。本ステップでは図3のステップS108と同様に経由地到着予想時間Ta(m)が盛り上がり区間の前半に重なっているため、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも後ろにずらすように再生速度を遅くすることで、ずらす量、つまり、再生速度の変化量を少なくしている。
【0071】
次に、ステップS212において、盛り上がり区間を経由地到着予想時間より前にずらすように再生速度を調節してステップS213に進む。具体的には、Ta(m)>T(n)になるように、ΔT(n)以前の部分の再生速度を速くする。本ステップでは図3のステップS109と同様に経由地到着予想時間Ta(m)が盛り上がり区間の後半に重なっているため、盛り上がり区間を経由地到着予想時間よりも前にずらすように再生速度を速くすることで、ずらす量、つまり、再生速度の変化量を少なくしている。
【0072】
次に、ステップS213において、ステップS211またはS212で調節した再生速度で再生部2に再生を行わせる。この後にナビゲーション部3においてリルートされた場合は、ステップS202に戻りリルート後の経由地到着予想時間Ta(m)を取得して再度経由地到着予想時間Ta(m)が再生終了時間Tよりも後の時間であるか否かを判断する。
【0073】
次に、ステップS214において、大容量メモリ12内のデータの保存時間(残存量)が、Td/2以下か否かを判断し、Td/2以下の場合(Yの場合)はステップS215に進み、そうでない場合(Nの場合)はステップS209に戻る。
【0074】
次に、ステップS215において、大容量メモリ12内の残りのTd/2のデータを再生しながら、ピックアップを大容量メモリ12に読み込んだ最後のデータ位置に戻して、そこから大容量メモリ12に格納したデータの続きのデータをTd/2分大容量メモリ12内に読み込み保存してステップS206に戻る。
【0075】
本実施例によれば、光ディスク11から大容量メモリ12にTd時間分のコンテンツのデータを格納して大容量メモリ12から再生しつつ、その間に盛り上がり区間を特定しているので、リッピングを行うことができない記録媒体やリッピングに時間がかかる記録媒体の場合に、再生を行いつつ盛り上がり区間を特定することができる。
【0076】
なお、上述した実施例では経由地で説明したが、目的地のみが設定されている場合に適用してもよい。この場合は目的地の到着予想時間と盛り上がり区間が重ならないようにすることができ、例えば、帰りに続きを視聴する際に盛り上がり区間を避けることができるのでコンテンツ内に戻りやすくなる。つまり、本発明は目的地までにコンテンツの再生を終了させる必要は無く、目的地や経由地など運転を中断させる時と盛り上がり区間とが重ならないように再生速度を調節している。
【0077】
また、経由地については、使用者が手動で設定するのに加えてルートに高速道路が含まれる場合はサービスエリアを自動的に経由地に設定してもよい。つまり、渋滞などでルート設定時の予定外に立ち寄る可能性がある施設を自動的に経由地に設定してもよい。
【0078】
また、再生速度を調節する際には、単純に1.5倍速や0.8倍速などで再生するだけでなく盛り上がり区間までスキップする(データを飛ばす)ようにしてもよい。また、無音部分をスキップするようにしてもよい。
【0079】
また、盛り上がりを判定する一定レベル以外に再生速度を制御する第二のレベルを設定してもよい。この第二のレベルは1つではなく複数設定してもよい。例えば、図7に示すように第二のレベルとしてのレベル1未満は±50%以上の再生速度変更、レベル1以上第二のレベルとしてのレベル2未満は±10〜50%未満の再生速度変更、レベル2以上一定レベルとしてのレベル3未満は±1〜10%未満の再生速度変更、レベル3以上は通常再生、つまり盛り上がり区間と特定というように、音圧レベルが高い判定レベルほど速度の変化を小さくすることで盛り上がりに近い部分の再生速度を通常再生に近くして盛り上がり前後も違和感が少なく視聴することができる。即ち、音圧レベルが第二のレベル以上かつ一定レベル未満の場合は、第二のレベル未満の場合よりも通常の再生速度に近い速度で再生部2に再生させている。
【0080】
また、記録媒体としては光ディスク11に限らず、ハードディスクやメモリーカードなどを用いてもよい。
【0081】
また、上述した実施例では移動体用記録媒体再生装置として自動車に設置されたカーナビゲーション装置1で説明したが、例えば、携帯電話などナビゲーション機能(少なくとも目的地や経由地を設定してそこまでの到着予想時間を算出可能なもの)とコンテンツ再生機能を持った機器であれよい。また、ナビゲーション機能とコンテンツ再生機能はそれぞれ別機器であってもケーブル等で接続して連携可能であれば適用可能である。
【0082】
前述した実施例によれば、以下のカーナビゲーション装置1、移動体の記録媒体再生方法および移動体用記録媒体再生プログラムが得られる。
【0083】
(付記1)自動車に搭載されるとともに、コンテンツが記録された光ディスク11を再生する再生部2を備えたカーナビゲーション装置1において、
自動車の目的地および経由地までの到着予想時間Ta(m)を算出するナビゲーション部3と、
コンテンツの音圧レベルが予め定めた一定レベル以上となる時間T(n−1)と一定レベル以下となる時間T(n)を判定することによって、コンテンツの盛り上がり区間を特定する盛り上がり再生速度制御部4と、
コンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間Ta(m)が重ならないように再生速度制御部4が特定した盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節して再生部2に再生させる再生速度制御部4と、
を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置1。
【0084】
このカーナビゲーション装置1によれば、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間Ta(m)と盛り上がり部分とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども無くなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0085】
(付記2)自動車に搭載されたカーナビゲーション装置1でコンテンツが記録された光ディスク11を再生する自動車の記録媒体再生方法において、
自動車の目的地および経由地までの到着予想時間Ta(m)を算出し、コンテンツの音圧レベルが予め定めた一定レベル以上となる時間T(n−1)と一定レベル以下となる時間T(n)を判定することによって、コンテンツの盛り上がり区間を特定して、コンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間Ta(m)が重ならないように盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節して再生することを特徴とする自動車の記録媒体再生方法。
【0086】
この記録媒体再生方法によれば、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間Ta(m)と盛り上がり部分とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども無くなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0087】
(付記3)自動車に搭載されるとともに、コンテンツが記録された光ディスク11を再生する再生部2を備えたカーナビゲーション装置1のコンピュータを、
自動車の目的地および経由地までの到着予想時間Ta(m)を算出するナビゲーション部3と、
コンテンツの音圧レベルが予め定めた一定レベル以上となる時間T(n−1)と一定レベル以下となる時間T(n)を判定することによって、コンテンツの盛り上がり区間を特定する再生速度制御手段4と、
コンテンツの盛り上がり区間の間に目的地および経由地の到着予想時間Ta(m)が重ならないように再生速度制御部4が特定した盛り上がり区間以外のコンテンツの再生速度を調節して再生部2に再生させる再生速度制御部4と、
して機能させることを特徴とする移動体用記録媒体再生プログラム。
【0088】
この移動体用記録媒体再生プログラムによれば、盛り上がり区間においては通常の再生速度で再生されることから、音楽のサビの部分や映像のクライマックスシーンなど盛り上がりのあるシーンを十分に楽しむことができる。また、目的地や経由地などの到着予想時間Ta(m)と盛り上がり部分とが重なることを避けることで区切りのよい視聴ができるため、無駄なアイドリングなども無くなり、省エネルギーに繋げることができる。
【0089】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 カーナビゲーション装置(移動体用記録媒体再生装置)
2 再生部(再生手段、リッピング手段)
3 ナビゲーション部(到着予想時間算出手段)
4 再生速度制御部(盛り上がり特定手段、再生速度調節手段)
5 ハードディスク(格納手段)
11 光ディスク(記録媒体)
12 大容量メモリ(一時格納手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるとともに、コンテンツが記録された記録媒体を再生する再生手段を備えた移動体用記録媒体再生装置において、
前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出する到着予想時間算出手段と、
前記コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、前記コンテンツの盛り上がり区間を特定する盛り上がり特定手段と、
前記コンテンツの盛り上がり区間の間に前記目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように前記盛り上がり特定手段が特定した盛り上がり区間以外の前記コンテンツの再生速度を調節して前記再生手段に再生させる再生速度調節手段と、
を備えたことを特徴とする移動体用記録媒体再生装置。
【請求項2】
前記コンテンツの信号の特徴量を、コンテンツの信号レベルとし、
前記所定の判定基準を、前記コンテンツの信号レベルが予め定めた一定レベル以上か否かとして、
前記盛り上がり特定手段が、前記コンテンツの信号レベルが前記一定レベル以上となる時間から前記一定レベル以下となる時間までを盛り上がり区間として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項3】
前記コンテンツの全ての情報を格納可能な格納手段と、前記記録媒体が装着された際に前記記録媒体から前記格納手段へ前記コンテンツをコピーさせるリッピング手段と、を備え、
前記盛り上がり特定手段が、前記リッピング手段が前記コンテンツを前記記録媒体から前記格納手段へコピーしている際に前記コンテンツの盛り上がり区間を特定し、前記再生手段が前記コピー終了後に前記格納手段から前記コンテンツを読み出して再生することを特徴とする請求項1または2に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項4】
少なくとも前記到着予想時間算出手段が前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出するのに要する時間分の前記コンテンツの情報を格納することができる一時格納手段を備え、
前記再生手段が、前記記録媒体から前記一時格納手段へ前記コンテンツの情報を格納した後に前記一時格納手段に格納された前記コンテンツの情報を読み出して再生し、
前記盛り上がり特定手段が、前記再生手段が一時格納手段に格納された前記コンテンツの情報を読み出して再生している間に、前記コンテンツの情報を前記再生手段に読み出させて前記コンテンツの盛り上がり区間を特定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項5】
前記盛り上がり特定手段が、前記コンテンツの情報を通常の再生速度よりも速い速度で前記記録媒体から読み出すことを特徴とする請求項4に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項6】
前記再生制御手段が、前記目的地または経由地の到着予想時間が前記盛り上がり区間の前半に重なるか後半に重なるかを判断し、前記盛り上がり区間の前半に重なる場合は前記盛り上がり区間が前記目的地または経由地の到着予想時間よりも後に再生されるように前記再生速度を調節し、前記盛り上がり区間の後半に重なる場合は前記盛り上がり区間が前記目的地または経由地の到着予想時間よりも前に再生されるように前記再生速度を調節することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項7】
前記盛り上がり特定手段が、前記一定レベル以上となる時間から前記一定レベル以下となる時間までが予め定めた所定時間以下の場合は盛り上がり区間としないことを特徴とする請求項請求項2乃至6のうちいずれか一項に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項8】
前記再生制御手段が、前記信号レベルが前記一定レベルよりも低いレベルである第二のレベルを設定し、前記信号レベルが前記第二のレベル以上かつ前記一定レベル未満の場合は、前記第二のレベル未満の場合よりも通常の再生速度に近い速度で前記再生手段に再生させることを特徴とする請求項2乃至7のうちいずれか一項に記載の移動体用記録媒体再生装置。
【請求項9】
移動体に搭載された再生装置でコンテンツが記録された記録媒体を再生する移動体の記録媒体再生方法において、
前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出し、前記コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、前記コンテンツの盛り上がり区間を特定して、前記コンテンツの盛り上がり区間の間に前記目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように前記盛り上がり区間以外の前記コンテンツの再生速度を調節して再生することを特徴とする移動体の記録媒体再生方法。
【請求項10】
移動体に搭載されるとともに、コンテンツが記録された記録媒体を再生する再生手段を備えた移動体用記録媒体再生装置のコンピュータを、
前記移動体の目的地および経由地までの到着予想時間を算出する到着予想時間算出手段と、
前記コンテンツの信号の特徴量を所定の判定基準により判定することによって、前記コンテンツの盛り上がり区間を特定する盛り上がり特定手段と、
前記コンテンツの盛り上がり区間の間に前記目的地および経由地の到着予想時間が重ならないように前記盛り上がり特定手段が特定した盛り上がり区間以外の前記コンテンツの再生速度を調節して前記再生手段に再生させる再生速度調節手段と、
して機能させることを特徴とする移動体用記録媒体再生プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の移動体用記録媒体再生プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−170917(P2011−170917A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33599(P2010−33599)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】