説明

移動通信システムおよび移動通信システムにおける移動機の位置標定方法ならびに移動機情報表示方法。

【課題】3基地局からの位置情報が無い場合でも、移動機の位置を標定でき、かつ三角測量原理のような計算を必要としない位置標定技術を提供する。現状の移動通信システムの基地局や移動機、さらに基地局を制御する基地局制御装置に機器や機能の追加をする必要がなく、また移動機がGPS機能付き移動機で位置情報を取得する必要性もなく、移動機の位置標定を行えるようにする。
【解決手段】移動機が、呼接続時またはハンドオフ要求時または切断時に基地局201、202、203を介して基地局制御部に送信するメッセージに含まれる情報から、移動機と基地局との距離に関する情報および通信路を設定している基地局の基地局識別情報に基づき、移動機の位置を標定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信技術に関し、特に、符号分割多元接続方式(CDMA:Code Division Multiple Access)を用いた移動通信システムにおける移動機の位置標定および位置標定結果に基づいた移動機情報の表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムは、複数の基地局と、それら基地局と無線により通信を行う複数の移動機と、基地局を制御する基地局制御部で構成される。複数の基地局は分散して配置され、それぞれの基地局から送信される電波が到達する範囲にセルと呼ばれる無線通信可能な領域を提供する。基地局は、指向性アンテナを用いることにより、セルを空間的に角度で分割して、セクタと呼ばれる複数の電波到達範囲を持つ場合もある。セクタ構成としては、セルを3つに分割する3セクタ構成が一般的である。
【0003】
移動通信システムにおいては、移動機の移動に追従して、移動機に提供中の通信路を基地局間で次々にハンドオフし、移動機が基地局をまたがって移動しても無線通信を維持できる仕組みを備えている。通信が途絶えることなく基地局間でハンドオフできるように、基地局が形成するセル領域は重なり合っている。移動機が移動してセル境界に近づくにつれ、現在通信中の基地局からの距離は遠くなり無線品質が劣化する。一方、隣接基地局との距離は近くなるため、隣接基地局からの信号の無線品質は向上する。移動機は、通信中に現在通信中の基地局および隣接基地局からの受信信号の品質を監視し、希望するタイミングに、基地局を介して上位制御装置にハンドオフの起動をメッセージとして送信する。
ハンドオフを起動するためのメッセージの例としては、非特許文献1に記載されたCDMA2000 1X EV-DO (Evolution Data Only(Optimized))システムにおける位置登録メッセージであるルートアップデートメッセージ(Route Update Message)がある。このメッセージには、移動機周辺にある基地局のパイロット信号の受信強度、干渉状態といった通信品質情報も含まれている。Route Update Messageは、セルまたはセクタの境界に位置する移動機から多く送信される傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-243828号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP2(Third Generation Partnership Project 2)cdma2000 High Rate Packet Data Air Interface Specification・Rev0 C.S0024-0 v2.0・RevA C.S0024-A v1.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動通信システムにおいては、無線により移動機と通信を行ない、かつ移動機が移動するという特性上、地形や建物の影響、人の移動、時間帯により、通信状況が変化する。そのため、移動通信システムにおけるエリア設計や、基地局のパラメータの最適化のためには、通信品質を地図上にマッチングさせたエリア品質地図の作成が必要となる。前述のように、移動機はハンドオフを起動するためのメッセージに各種品質情報を含めて基地局に送信している。従って、移動機の位置が分かれば、移動機から受信したメッセージに含まれた通信品質情報を地図上にマッピングし、エリア品質地図の作成が可能となる。
【0007】
移動機の位置を評定する方法として知られているものに、三角測量を用いた方法がある。三角測量を用いる場合には、移動機が3つ以上の基地局から信号を受信している必要がある。これに対し、移動機がひとつまたは2つの基地局からの信号しか受信していない場合でも三角測量を用いた位置計算を行う技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1は、位置情報に基づいたサービスを行うことができるエリアを拡大することを目的としてなされたもので、3つの基地局からの信号が受信できる場合には、三角測量による位置計算を行う。2つの基地局からしか信号を受信できない場合には、過去の位置計算で使用した位置計算情報から、信号を受信できる2つの基地局とは異なる1つの基地局の位置計算情報を選出し、三角測量に基づく位置計算を行う。1つの基地局からしか信号を受信できない場合には、過去の位置計算で使用した位置計算情報から、信号を受信できる基地局とは異なる2つの基地局の位置計算情報を選出し、三角測量に基づく位置計算を行う。
【0008】
特許文献1は位置情報に基づいたサービスを行うための位置標定であるため、位置情報には比較的高い制度が要求される。そのため三角測量に基づく位置計算が必要であったが、用途によって位置標定に求められる精度は異なる。三角測量のような計算を必要としないより簡単な位置標定技術が必要とされていた。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、三角測量原理に必要な3基地局からの位置情報が無い場合でも、移動機の位置を標定でき、かつ三角測量原理のような計算を必要としない位置標定技術を提供することを目的とする。
【0010】
また、現状の移動通信システムの基地局や移動機、さらに基地局を制御する基地局制御装置に機器や機能の追加をする必要がなく、また移動機がGPS機能付き移動機で位置情報を取得する必要性もなく、移動機の位置標定を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明においては、複数の移動機と複数の基地局と前記複数の基地局を制御する基地局制御部とを有する移動通信システムにおける移動機の位置を標定する方法であって、移動機が複数の基地局のうちの1つ以上の基地局を介した複数の通信路を設定することができる移動通信システムにおいて、移動機が、呼接続時またはハンドオフ要求時または切断時に基地局を介して基地局制御部に送信するメッセージに含まれる情報から、移動機と基地局との距離に関する情報および通信路を設定している基地局の基地局識別情報に基き、移動機の位置を標定するようにした。
【0012】
また、標定した結果を地図情報と対応付けたマップを作成し、マップにメッセージに含まれる通信品質情報を表示ようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、位置標定に3基地局からの位置情報を必要とせず、三角測量原理のような計算を行わなくても移動機の位置標定ができる。
【0014】
また、現状の移動通信システムの基地局や移動機、さらに基地局を制御する基地局制御装置に機器や機能の追加をすることなく、移動機がGPS機能付き移動機で位置情報を取得する必要性もなく、移動機の位置標定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用するシステム全体の構成を説明する図である
【図2】位置標定を行うためのマッピングテンプレートを説明する図である。
【図3】基地局制御部の呼詳細情報ログのデータ構成例を示す図である。
【図4】マッピングテンプレートに移動機位置を標定する処理フローである。
【図5】移動機の位置標定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
まず、本発明を適用するシステム全体の構成について説明する。
図1は、本発明を適用するシステム全体の構成を説明する図である。
【0017】
図1において、複数の基地局201、202、203が、基地局制御部301に接続されている。基地局制御部は、移動機から送られてきたメッセージを一時的に格納する呼詳細情報ログ(CDL:Call Detail Log)311を備え、基地局を制御しメッセージを含めたデータを処理する。複数の基地局がカバーするエリア内に移動機101が存在する。図1において移動機は1つ以上存在していてもよいが、ここでは実施の形態の説明に用いるひとつの移動機を記載している。基地局制御部301は、保守網401を介して呼処理データ分析ザーバー501に接続される。CDL(Call Detail Log)311は、呼処理データ分析サーバー501に転送され、各種メッセージの分析が行なわれる。本実施形態においては、呼処理データ分析サーバー501に位置標定処理を行うコンピュータ(PC:Personal Computer)601を接続し、この位置標定処理PCにおいて位置標定を行う。位置標定処理PCは、図示していないが一般のPCが有する処理部、メモリ、入出力装置、記憶部などを備える。そして、記憶部に地図情報、基地局位置情報、マッピングテンプレート情報を有する。マッピングテンプレートについては図2を用いて説明する。位置標定処理PCにおける移動機の位置標定に必要な情報は、呼処理データ分析サーバー 501から、位置標定処理用PC601に必要な都度入力される。位置標定処理用PC601は、基地局位置情報やセクタ方位、地図情報、マッピングテンプレートを保有しており、これらの情報を元に、マッピングテンプレートを作成する。
【0018】
位置標定処理用PC 601は、呼処理データ分析サーバー501から受信した、各移動機のハンドオフ領域と距離情報を基に、作成したマッピングテンプレートに移動機を配置することで位置標定を行う。
位置標定処理用PC 601は、マッピングテンプレートに呼処理データ分析サーバー 501から受信した、各移動機が示す各種品質(パイロット強度、呼接続状況など)情報と、位置標定結果と、地図情報、基地局位置情報、マッピングテンプレート情報に基づき、移動機から送られてきた各種通信品質情報をマッピングし、通信品質情報の種類別にエリア品質マップを作成する。
【0019】
本実施形態においては、移動通信システムとして、CDMA2000 1X EV-DOシステムに基づいて説明する。
CDMA2000 1X EV-DOシステムでは、背景技術の欄で説明したように、移動機はハンドオフを起動するとき等に基地局に対してRoute Update Request Messageを送信する。このメッセージには、移動機周辺にある基地局のパイロット信号の受信強度、干渉状態といった通信品質情報が含まれている。さらに、Route Update Request Messageには、パイロット信号の往復遅延情報も含まれている。往復距離の算出は基地局から送信された、送信絶対時間txcを含む信号を移動機が受信して基地局へ再送信する。基地局で移動機が再送信した信号を受信することで、受信した絶対時間trcとの相対差τrが伝送遅延時間となる。この伝送遅延時間τrから往復距離(Round・Trip・Delay)が算出できる。
ここまでで、移動機が、パイロット信号を送信している基地局を中心とし、往復遅延情報から算出した距離を半径とした円周上に存在することがわかる。
【0020】
本発明では、さらに、移動機と通信を行っている基地局の数と、基地局識別符号から、移動機が、円周上のどの位置に存在するかを特定し、移動機の位置を標定する。移動機の位置の標定は、以下に説明するマッピングテンプレートに基づいて行う。
【0021】
次に、位置標定を行うためのマッピングテンプレートについて説明する。
図2は、位置標定を行うためのマッピングテンプレートを説明する図である。
本発明のマッピングテンプレートは、ハンドオフ領域を元にしたものである。CDMA2000 1X EV-DOシステムにおいては、基地局3局を用いた三角測量で移動機の位置標定を行うことができなかったが、本発明のマッピングテンプレートを用いることにより、基地局の位置標定を行うことが可能となる。図2には、3つの基地局201、202、203が隣接している様子を示している。それぞれの基地局は3セクタ構成の基地局である。基地局A 201のセクタがカバーする範囲は、基地局A 201を中心とした扇形F01、F02、F03で表した範囲である。このうちF02とF03は、基地局A 201の他のセクタとのセクタ境界領域である。同様に基地局B 202のセクタは基地局B 202を中心とした扇形F04、F05、F06で表した範囲であり、F05とF06は、基地局B 202の他のセクタとのセクタ境界領域である。基地局C 203のセクタがカバーする範囲は、基地局C 203を中心とした扇形F07、F08、F09で表した範囲であり、F08とF09は、基地局C 203の他のセクタとのセクタ境界領域である。
図の領域F10は基地局A 201と基地局C 203 のセル境界、領域F11は基地局A 201と基地局B 202 のセル境界、領域F13は基地局B 202と基地局C 203 のセル境界領域である。領域F13は、基地局A 201、基地局B 202、基地局C 203のセル境界領域である。
【0022】
まず、領域F01を例にとって説明する。
領域F01は、セクタ境界でもセル境界でもなく、移動機は常に1基地局(基地局A 201)の1つのセクタと通信していると考えられる。(1Way領域)
次に、この1Way領域F01外側のF10とF11領域について説明する。F10とF11は、周辺セルとのハンドオフ領域であり、移動機は、2つの異なる基地局と通信していると考えられる。そこでこの領域を隣接基地局の隣接セル間のハンドオフ(ソフト)領域(2Way)とする。
【0023】
一方、1Way領域F01の両隣には、同一基地局の隣接セクタ間のハンドオフ(ソフター)領域F02、F03が存在する。領域F02、F03においては、移動機はセクタ間の通信を確保して(2Way)品質向上を図っている。
隣接基地局の隣接セル間のハンドオフ(ソフト)領域は、該当セクタ間の通信を確保して(2Way)、品質向上を図っている。
さらに3セクタ間のハンドオフ領域(3Way)F13がある。
【0024】
本発明においては、このように、移動機が設定している通信路の数と、接続先セクタとに基づいて、図2に示すように1Way領域、ソフターハンドオフ領域、ソフトハンドオフ領域、3Wayハンドオフ領域からなるマッピングテーブルを用意する。そして、移動機から送信されてくる既存のメッセージを利用し、そのメッセージに含まれる情報から移動機の位置をマッピングテーブルに基づいてF01からF13の領域に対応付けることで移動機の位置標定を行う。この方法によれば、三角測量などの計算を必要とせず、また、新規に位置標定のためのメッセージを設ける必要もなく、移動機や基地局、基地局制御装置の構成に変更を加えることなく移動機の位置標定が可能となる。
【0025】
ソフト及びソフターハンドオフ領域分布は、基地局位置に対応した規則性の高いものである。本発明は、この規則性の高いハンドオフ領域を、基地局位置に合わせたマッピングテンプレート化することで、移動機から送られて来る距離情報を指定することで、端末位置を標定できる。
【0026】
呼接続や呼切断時の場合は、1Wayのマッピングテンプレートマップ上に合わせることにより位置標定が可能であるが、ソフト/ソフターハンドオフ時の2Way,3Wayの場合は、呼がどの方向の基地局を受信しているかを識別する必要がある。Route Update Messageの基地局識別識別符号より(PN)セル間でのソフトハンドオフ、及び基地局内でセクタ間のソフターハンドオフの識別が可能である。図2において基地局A B01を例に説明する。1Way呼の移動機位置標定エリアF01においては、往復距離(Round・Trip・Delay)からのプロットで位置標定が可能となる。2Way呼の移動機位置標定エリアとしてはF02とF10の2wayエリアが候補に挙がる。同じ2Wayであるが同一基地局内かセル間をまたいだ2Way(ソフター又はソフト)であるかは、Route Update Messageの基地局識別符号(PN)を確認することにより識別可能である。基地局B 202及び基地局C 203についても同様である。
【0027】
次に、メッセージおよびCDLの構成を説明する。
メッセージとして、CDMA2000 1X EV-DOシステムにおけるRoute Update Request Messageを用いる。基地局と移動機間では、呼接続、ハンドオフ時、呼切断時にRoute Update Messageのやり取りが行われている。Route Update Request Messageには、時間情報、移動機のID情報、呼種別ID、状態パラメータ、接続状況パラメータ、解析パラメータ等が含まれる。このうち、状態パラメータには、パイロット信号の往復遅延情報(Round・Trip・Delay)が含まれている。また、接続状況パラメータには、移動機が接続している基地局識別符号(PN符号)と、それらの基地局からの信号の受信品質情報が含まれている。
図3に、基地局制御部の呼詳細情報ログのデータ構成例を示す。
CDLデータは、Route Update Request Messageなどの呼処理メッセージを一時的に格納しており、複数の移動機それぞれについて、移動機IDをヘッダにして、移動機位置(PN,ハンドオフ)、距離、品質(パイロット強度、EC/IOなど)、移動機状態(CFCカウント)をデータ取得時間を軸にしたデータ構造となっている。そのため、移動機の位置標定ができると、移動機分布に合わせて品質や移動機状態を表示できるようになる。
【0028】
より具体的には、Route Update Request Messageの接続状況パラメータには、前述のように基地局別に受信品質情報が含まれている。この受信品質情報を、マッピングテーブルに表示することで、エリア毎の受信品質マップが作成できる。
また、接続状態パラメータには、コネクション状態を示す情報も含まれる。このコネクション状態情報をマッピングテーブルに表示することで、エリア毎のコネクション状態マップが作成できる。また、接続状態パラメータには、ハンドオフ候補を示す情報も含まれる。この情報をマッピングテーブルに表示することで、エリア毎のハンドオフ候補のカウントマップが作成できる。さらに、Route Update Request Messageの解析パラメータには、呼接続や呼切断を示す情報が含まれている。この情報をマッピングテーブルに表示することで、エリア毎の呼接続状況解析マップが作成できる。
【0029】
図4にマッピングテンプレートに移動機位置を標定する処理フローを示す。
まず、呼処理データ分析サーバー501から、位置標定処理用PC 601に位置標定が必要な基地局を含むCDL(Call Detail Log)データが入力される。位置標定処理用PC 601は、ステップ401で各基地局のRoute Update Messageから移動機位置標定に必要な往復距離(Round・Trip・Delay)と基地局識別符号(PN)を抽出する。ステップ402で各基地局識別符号(PN)毎にデータを分類しハンドオフ領域1Way,2Way,3Wayの識別を行う。S403で1Way,2Way,3Wayと基地局内の呼かセル間をまたいだ呼であるかと往復距離(Round・Trip・Delay)を組み合わせ、準備されているマッピングテンプレートに配置する。
【0030】
図5に、移動機の位置標定例を示す。
図5は、往復距離(Round・Trip・Delay)と基地局識別符号(PN)を基に位置標定マッピングテンプレートを用いて位置標定を行った例を示している。
【0031】
P01は、基地局B202のセクタ中心部の品質が安定している1Way呼の移動機位置標定例を示す。
P02は、基地局B202のセクタと隣接しているセクタの2Way呼の移動機位置標定例を示す。
P12は、基地局A201のセクタと隣接している基地局C 203のセクタとの2Way呼の移動機位置標定を示す。
P03は、基地局A201のセクタ、基地局B202のセクタ、基地局C203のセクタからなる3Way呼の移動機位置標定例を示す。
【0032】
この様に、図2の位置標定マッピングテンプレートにプロットすることにより移動機位置標定をすることが可能となる。
本発明によれば、基地局装置側、移動機側共に追加機能を施すことなく、現状のデータ構成で、三角測量原理を使えない状況にあっても、位置標定が可能となる。
移動機の位置標定が可能になることにより、端末からの情報によりエリアのトラフィック分布の確認、昼、夜など時間帯別のトラフィックデータの分布などを地図情報に対応付けたマップを作成することで確認し、対応や、改善策の検討に役立てることができる。
また、往復距離(Round・Trip・Delay)と基地局識別符号(PN)と同時に報告されてきた、品質値や呼接続状態コードを、位置標定マッピングテンプレートに描画することで、移動機が置かれた通信品質状況を、グラフィカルに面的に把握が可能となる。
さらに、位置標定マッピングテンプレートを地図にあわせて表示することによりエリア全体の呼量や品質状況をビジュアルに確認することができる。
【符号の説明】
【0033】
101 移動機
201〜203 基地局
301 基地局制御部
311 呼詳細情報ログ(CDL:Call Detail Log)
401 保守網
501 呼処理分析サーバー
601 位置標定処理用PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動機と複数の基地局と前記複数の基地局を制御する基地局制御部とを有する移動通信システムにおける前記移動機の位置を標定する方法であって、
前記移動機が前記複数の基地局のうちの1つ以上の基地局を介した複数の通信路を設定することができる移動通信システムにおいて、
前記移動機が、呼接続時またはハンドオフ要求時または切断時に基地局を介して前記基地局制御部に送信するメッセージに含まれる前記移動機と基地局との距離に関する情報および前記通信路を設定している基地局の基地局識別情報に基づいて、前記移動機の位置を標定することを特徴とする移動通信システムにおける移動機の位置標定方法。
【請求項2】
前記メッセージはCDMA2000 1xEVDOシステムにおけるRoute Update Request Messageであり、前記移動機と基地局との距離に関する情報はRound・Trip・Delayであり、基地局識別情報はPN符号であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システムにおける移動機の位置標定方法。
【請求項3】
複数の移動機と複数の基地局と前記複数の基地局を制御する基地局制御部とを有する移動通信システムにおいて前記移動機の位置を標定し、標定した位置情報と地図情報を対応付けたマッピングデータを作成し、該マッピングデータに移動機に関する情報を表示する方法であって、
前記移動通信システムは、移動機が前記複数の基地局のうちの1つ以上の基地局を介した複数の通信路を設定することができる移動通信システムであり、
前記移動機が、呼接続時またはハンドオフ要求時または切断時に基地局を介して前記基地局制御部に送信するメッセージは、前記移動機と基地局との距離に関する情報と、前記移動機における通信品質情報が含まれ、
前記メッセージに含まれる前記移動機と基地局との距離に関する情報および前記通信路を設定している基地局の数および基地局識別情報に基づいて、前記移動機の位置を標定し、
前記標定した結果を地図情報と対応付けたマップを作成し、
前記マップに前記メッセージに含まれる前記通信品質情報を表示することを特徴とする移動通信システムにおける移動機情報表示方法。
【請求項4】
前記メッセージには、前記通信品質情報として、基地局別の受信品質情報が含まれ、該受信品質情報を、マッピングテーブルに表示することで、エリア毎の受信品質マップを作成し表示することを特徴とする請求項3に記載の移動通信システムにおける移動機情報表示方法。
【請求項5】
前記メッセージには、前記通信品質情報として、コネクション状態に関する情報が含まれ、該コネクション状態情報をマッピングテーブルに表示することで、エリア毎のコネクション状態マップを作成し表示することを特徴とする請求項3に記載の移動通信システムにおける移動機情報表示方法。
【請求項6】
前記メッセージには、前記通信品質情報として、ハンドオフ候補に関する情報が含まれ、該ハンドオフ候補に関する情報をマッピングテーブルに表示することで、エリア毎のハンドオフ候補のカウントマップを作成し表示することを特徴とする請求項3に記載の移動通信システムにおける移動機情報表示方法。
【請求項7】
前記メッセージには、前記通信品質情報として、呼接続や呼切断を示す情報が含まれ、該呼接続および呼切断を示す情報をマッピングテーブルに表示することで、エリア毎の呼接続状況解析マップを作成し表示することを特徴とする請求項3に記載の移動通信システムにおける移動機情報表示方法。
【請求項8】
複数の移動機と、複数の基地局と、前記複数の基地局を制御するとともに前記複数の基地局を介して前記複数の移動機と送受信するメッセージを格納する記憶部を有する基地局基地局制御部とからなる移動通信システムであって、
前記メッセージは、移動機が、呼接続時またはハンドオフ要求時または切断時に基地局を介して前記基地局制御部に送信され、前記移動機と基地局との距離に関する情報と、通信中の基地局の基地局識別情報と、前記移動機における通信品質情報が含まれるものであって、
前記基地局制御部とネットワークを介して接続される位置標定処理部を設け、
該位置標定処理部は、前記ネットワークを介して前記基地局制御部の記憶部より前記メッセージに含まれる情報を取得し、
前記メッセージに含まれる前記移動機と基地局との距離に関する情報および前記通信路を設定している基地局の数および基地局識別情報に基づいて、前記移動機の位置を標定することを特徴とする移動通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−61336(P2011−61336A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206584(P2009−206584)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】