説明

移動通信システムとそのネットワーク装置、無線通信端末及びプログラム

【課題】災害発生時などにおいても、輻輳が発生することなく、緊急通信のための回線を確実に確保し、安定したシステム運用を可能とする。
【解決手段】無線IP電話端末のIPアドレスと各規制レベルに対応する発信の可否を記憶した端末管理データベース131を設ける。管理サーバMSVaのCPU11は、規制レベル変更プログラム142により、入力された規制レベルと規制レベルデータ132に記憶される規制レベルとを比較する。この比較により、上記端末管理データベース131にアクセスして発信規制対象の無線IP電話端末を検索する。そして、検索された無線IP電話端末に対して発信を規制させるための発信フラグを作成して送信する。この発信フラグを受信した無線IP電話端末は、上記発信フラグに従って発信規制の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線LAN等により構築された自営網を利用した移動通信システムとそのネットワーク装置、無線通信端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時、被災地域の住民にとって、安否確認や災害に関する情報収集などの理由から、情報通信、特に音声通信が利用できることは非常に重要である。しかし、公衆網を利用した固定電話や携帯電話による通話では、全国から災害発生場所に通信トラフィックが集中するため輻輳が発生し、被災地域の住民が通話できない状況になるおそれがある。
【0003】
そこで、このような状況を回避するために、各地域の自治体が独自に運営する地域イントラネットの利用が考えられている。地域イントラネットとは、自治体が役所や公民館、教育施設、病院、警察などをネットワークで接続し、住民が必要な情報を必要なときに入手できるようにするシステムである。この地域イントラネットは、その地域の住民が占有して利用可能な独自の通信網であるため、イントラネット内部の帯域は保証されている。
【0004】
また、従来の地域イントラネットは、端末ごとにLANケーブルを敷設する有線LANにより構築されているものがほとんどであった。しかし、最近では、災害対策や利便性の向上のため、無線LANのアクセス・ポイントを利用した地域インフラの整備が徐々に進められている。
【0005】
一方、現在、無線LANモジュールを搭載した無線IP電話端末を用いたサービスが実用化可能な技術レベルに達している。しかし、多数の端末により同時に通話が行われると、音質の低下を招き、サービスができなくなるという問題点がある。そこで、アクセス・ポイントに優先制御情報や同時接続端末の許容値を設定することにより、安定した運用を可能にするシステムが提案されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0006】
【非特許文献1】NIKKEI COMMUNICATIONS、「携帯型IP電話に不可欠な優先制御」、2004年9月1日、p.70−71
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のシステムでは、アクセス・ポイントにおいて優先制御や同時接続端末の制御を行うため、災害発生時には、多数の無線通信端末からの発信が同時に行われ、アクセス・ポイントに負荷が集中してしまう。このため、緊急通信のための回線が確保できなくなり、災害対策などの遅れを引き起こすおそれがある。
【0008】
この発明は、上記事情に着目してなされたもので、災害発生時などにおいても、緊急通信のための回線を確保し、安定した運用が可能な移動通信システムとそのネットワーク装置、無線通信端末及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる移動通信システムとそのネットワーク装置、無線通信端末及びプログラムは、複数の無線通信端末と、少なくともこれらの無線通信端末相互間で情報の転送を行う自営網のネットワーク装置とを備え、上記自営網のネットワーク装置は、上記複数の無線通信端末に対し予め設定された発信の優先度を記憶する。そして、上記記憶された優先度に基づいて、発信規制の対象となる無線通信端末を選択し、この選択された無線通信端末に対し発信規制を指示する情報を通知する。一方、上記無線通信端末は、上記自営網のネットワーク装置から発信規制を指示する情報が通知された場合に、自端末を発信制限モードに設定するようにしたものである。
【0010】
したがって、この発明によれば、優先度にしたがって規制対象の無線通信端末に対し発信規制の指示情報が通知され、これにより無線通信端末からの発信が規制される。このため、災害発生等において多数の無線通信端末からの発信が輻輳することがなくなるため、ネットワーク装置にかかる負荷を低減し、これにより緊急通信のための回線を確実に確保することができる。
【0011】
また、この発明は次のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、上記自営網のネットワーク装置は、さらに、上記記憶された優先度に基づいて、発信規制を解除する無線通信端末を選択し、この選択された無線通信端末に対し発信規制の解除を指示する情報を通知する。また、上記無線通信端末は、上記発信制限モードが設定された状態で、上記自営網のネットワーク装置から発信規制の解除を指示する情報が通知された場合に、自端末の発信制限モードを解除する。
【0012】
このように構成することにより、発信規制の必要がなくなった場合に、ネットワーク装置からの解除指示に従い無線通信端末の発信規制状態が解除される。このため、発信規制を必要とする期間には無線通信端末を確実に発信制限状態に設定することができる。また、発信規制の必要がなくなると、速やかに無線通信端末の発信規制状態を解除することができ、これによりユーザは速やかに自端末からの発信が可能となる。
【0013】
第2の構成は、上記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う機能を有する場合に、上記自営網のネットワーク装置は、上記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定し、自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、上記上位網を経由して上記発信規制を指示する情報を通知するようにする。
【0014】
このように構成すると、無線通信端末が自営網の通信可能エリア外に存在する場合であっても、上位網を介して発信規制情報が通知される。これにより、無線通信端末に対しもれなく確実に発信規制の指示を通知することが可能であり、緊急通信のためのチャネルをより確実に確保することができる。
【0015】
第3の構成は、上記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、上記自営網のネットワーク装置は、上記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定し、自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、上記上位網を経由して上記発信規制の解除を指示する情報を通知するようにする。
また、発信規制の解除指示についてももれなく確実に無線通信端末に通知することが可能となる。
【0016】
第4の構成は、上記無線通信端末は、上記自営網のネットワーク装置から発信規制を指示する情報が通知された場合に、発信が規制された旨のメッセージをユーザに報知する。
これにより、ユーザは自端末が発信規制されていることを瞬時に明確に認識することができ、発信できないことに対する苛立ちなどを抑制することができる。
【0017】
第5の構成は、上記無線通信端末は、前記自営網のネットワーク装置から発信規制の解除を指示する情報が通知された場合に、発信規制が解除された旨のメッセージをユーザに報知する。
これにより、自端末の発信規制が解除された旨がユーザに報知されるので、ユーザは発信規制が解除されたことを明確に認識することができる。
【0018】
第6の構成は、上記自営網が無線LANにより構成され、かつ上記無線通信端末が上記無線LANに接続可能なIP(Internet Protocol)通信機能を備える場合に、上記自営網のネットワーク装置は、上記選択された無線通信端末に対しIP通信機能による発信を規制するための指示情報を通知する。一方、上記無線通信端末は、上記自営網のネットワーク装置から上記指示情報が通知された場合に、自端末をIP通信機能による発信を制限するモードに設定する。
【0019】
このように構成することにより、自営網が無線LANにより構成され、かつ上記無線通信端末が上記無線LANに接続可能なIP通信機能を備える場合にも、この発明を適用できる。
【発明の効果】
【0020】
要するにこの発明によれば、災害発生時などにおいても、緊急通信のための回線を確実に確保し、安定した運用が可能な移動通信システムとそのネットワーク装置、無線通信端末及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態である移動通信システムを採用した無線IP電話システムを示す概略構成図であり、管理サーバMSVaと各地域に構築された自営網LNW1〜LNWnとがそれぞれ接続されている。なお、この発明のネットワーク装置とは、図1における管理サーバMSVa、自営網サーバLSV1及びアクセス・ポイントAP1〜APiを含むものとする。
【0022】
自営網LNW1〜LNWnは、行政情報化や地域情報化を図るために、役所や公民館、教育施設、病院、警察などがネットワークにより接続された地域イントラネットである。なお、自営網LNW2〜LNWnは、自営網LNW1と同様の構成であるため、これ以下は自営網LNW1について説明する。
【0023】
自営網LNW1は、自営網サーバLSV1を備え、この自営網サーバLSV1と各フロア等に設置された無線アクセス・ポイントAP1〜APiとをそれぞれ接続してネットワークを形成している。また、アクセス・ポイントAP1〜APi同士も互いに接続されており、無線IP電話端末MA1〜MAjは、アクセス・ポイントAP1〜APiを介して無線通信可能である。さらに、自営網サーバLSV1は、管理サーバMSVaに接続されているため、他の自営網LNW2〜LNWnに存在する無線IP電話端末と管理サーバMSVaを介して無線通信を可能とする。
【0024】
図2は、管理サーバMSVaの機能構成を示すブロック図である。管理サーバMSVaは、マイクロプロセッサなどの中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)11を備える。このCPU11には、バス12を介して、データメモリ13a及びプログラムメモリ14aが接続され、さらに入出力インタフェース(入出力I/F)15及び第1の通信インタフェース(第1の通信I/F)16が接続されている。
【0025】
入出力I/F15には、キーボードやマウスなどの入力部151が接続されており、ユーザから入力された情報を取り込む機能を有する。さらに、入出力I/F15には、液晶表示部(LCD)などで構成される表示部152が接続される。また、第1の通信I/F16は、CPU11の制御の下、自営網LNW1〜LNWnを介して無線IP電話端末MA1〜MAjとの間で通信を行う。
【0026】
データメモリ13aは、記憶媒体として例えばRAM又はハードディスクを使用したもので、データメモリ13aには、端末管理データベース131及び発信規制レベルが記憶される。端末管理データベース131は、各自営網LNW1〜LNWnに対してそれぞれ作成される。図3は、自営網LNW1における端末管理データベース131の記憶結果の一例を示したものである。自営網LNW1に属する無線IP電話端末MA1〜MAjのIPアドレス及び各規制レベルにおける発信の可否が端末IDに対応付けてそれぞれ記憶される。例えば図3において、レベル0は、発信規制の無い平常時であり、すべての端末において発信可能(“○”で示す)である。レベル1、レベル2と数値が高くなるほど災害規模が大きくなり、発信規制対象の端末(“×”で示す)は増加する。また、規制レベルデータ132は、システム管理者により設定されている現在の規制レベルを記憶する。
【0027】
プログラムメモリ14aには、この発明に係わる制御プログラムとして、端末管理データベース作成プログラム141、規制レベル変更プログラム142、発信規制端末検索プログラム143及び発信許可端末検索プログラム144が格納される。
端末管理データベース作成プログラム141は、入力部151及び表示部152を使用したシステム管理者のデータ入力操作に応じて、先に述べた端末管理データベース131を作成するための処理を実行する。
【0028】
規制レベル変更プログラム142は、常駐プログラムであり、システム管理者による規制レベルの入力の待ち状態として動作する。入力部151から規制レベルが入力されると、この入力された規制レベルと規制レベルデータ132に記憶される現在の規制レベルとを比較して、後述する発信規制端末検索プログラム143または発信許可端末検索プログラム144を実行する。
【0029】
発信規制端末検索プログラム143は、入力された規制レベルが現在の規制レベルと比較して高いレベルに変更された場合に実行され、発信規制対象の無線IP電話端末MA1〜MAjを検索する。これに対して、発信許可通知プログラム144は、入力された規制レベルが現在の規制レベルと比較して低いレベルに変更された場合に実行され、発信許可対象の無線IP電話端末MA1〜MAjを検索する機能を有する。
【0030】
図4は、無線IP電話端末MA1の機能構成を示すブロック図である。なお、無線IP電話端末MA2〜MAjは無線IP電話端末MA1と同様の構成のため、これ以下は無線IP電話端末MA1について説明する。
無線IP電話端末MA1は、CPU21を備え、バス22を介してデータメモリ23及びプログラムメモリ24aが接続され、さらに出力I/F25及び第1の無線通信I/F26が接続されている。出力I/F25には、液晶表示部(LCD)などの表示部251が接続される。第1の無線通信I/F26は、CPU21制御の下、アクセス・ポイントAP1を介して、他の無線IP電話端末及び管理サーバMSVaとの間で無線通信を行う。無線IP電話端末MA1とアクセス・ポイントAP1間の無線通信規格は、IEEE802.11bなどが用いられ、音声通信プロトコルは音声データをIPパケットでやり取りするVoIP(Voice over IP)が使用される。
【0031】
データメモリ23は、RAMなどで構成され、発信フラグ231が記憶される。発信フラグ231は、自端末MA1からの音声通話の発信を規制または許可するフラグであり、“規制”と“許可”の2つの状態を有する。通常は“許可”状態であり、音声通話の発信が可能であり、“規制”となると自端末MA1からの音声通話の発信が禁止される。
【0032】
プログラムメモリ24aには、この発明に係わるプログラムとして、第1の発信フラグ受信プログラム240、発信規制表示プログラム241、発信規制制御プログラム242、発信許可表示プログラム243及び発信許可制御プログラム244が格納される。
第1の発信フラグ受信プログラム240は、常駐プログラムとして動作し、管理サーバMSVaから送信される発信フラグを第1の無線通信I/F26を介して受信する処理を行う。
【0033】
発信規制表示プログラム241は、発信フラグ231が“規制”状態の場合に、“災害発生のため発信できません”等のテキストデータによるメッセージを表示部251に表示する。また、発信規制制御プログラム242は、発信フラグ231が“規制”状態の場合に、ユーザからの発信操作を検知しても発信を禁止するように制御する。一方、発信許可表示プログラム243は、発信フラグ231が“許可”状態の場合に、“発信可能です” 等のテキストデータによるメッセージを表示部251に表示する。発信許可制御プログラム244は、発信フラグ231が“許可”状態になった場合に、上記発信規制制御プログラム242で行われた発信規制を解除し、ユーザからの発信操作に応じて発信動作を行うように制御する。
【0034】
次に、以上のように構成された無線IP電話システムの動作について説明する。
(1A)端末管理データベースの作成
図5は、管理サーバMSVaの端末管理データベース131の作成手順及びその内容を示すフローチャートである。端末管理データベース131は、システム管理者の入力操作により作成される。はじめに、管理サーバMSVaのCPU11は、端末管理データベース作成プログラム141の実行し、ステップS4aによりデータベースフレームを作成する。そして、ステップS4bからステップS4gにおいて、制御対象のすべての無線IP電話端末MA1〜MAjの登録処理を行う。すなわち、まず無線IP電話端末MA1のについて、管理サーバMSVaのCPU11は、ステップS4cにより、システム管理者により入力部151から入力されたIPアドレスを受け付ける。次に、ステップS4dにおいて、各規制レベルに対する発信可否データの入力を受け付ける。そして、ステップS4eにおいて、無線IP電話端末MA1に対する端末IDを発行し、先に入力されたIPアドレス及び発信可否データを発行された端末IDに対応付けて、ステップS4fにより端末管理データベース131に書き込む。この処理をすべての無線IP電話端末MA1〜MAjについて繰り返す。図3に、このようにして作成された端末管理データベース131の一例を示す。
【0035】
(1B)発信規制及び発信許可の通知処理
図6は、管理サーバMSVaにおける無線IP電話端末MA1〜MAjに対する発信規制及び発信許可の通知手順とその処理内容を示すフローチャートである。これに先立ち、災害等が発生し、システム管理者により管理サーバMSVaに設けられたキーボードやマウスを用いて規制レベルを変更する操作が行われたものとする。
【0036】
管理サーバMSVaのCPU11は、ステップS5aにおいて、規制レベル変更プログラム142を実行させて、システム管理者による規制レベルの変更指示の待ち受け状態にある。上記システム管理者による操作を受けて入力部151からの入力を検知し、入力された規制レベルを受信する。次に、ステップS5bにより、データメモリ13aに記憶されている規制レベルデータ132にアクセスし、現在の規制レベルを読み出す。そして、ステップS5cにおいて、入力された規制レベルが読み出された規制レベルより高いか否かを判定する。この判定により、入力された規制レベルが高い場合は、ステップS5dに移行し、管理サーバMSVaのCPU11は、発信規制端末検索プログラム143を実行する。そして、端末管理データベース131にアクセスして、入力された規制レベルにおいて発信を禁止する無線IP電話端末をすべて検索する。その次に、ステップS5eにより、発信フラグを“規制”で作成したのち、ステップS5hにおいて、上記作成された発信フラグを発信規制対象のすべての無線IP電話端末に対して第1の通信I/F16を介して送信する。その後、ステップS5iにより、規制レベルデータ132に記憶される規制レベルを入力された規制レベルに更新する。
【0037】
一方、ステップS5cの判定において、入力された規制レベルが読み出された規制レベルより低い場合は、ステップS5fに移行して、管理サーバMSVaのCPU11は、発信許可端末検索プログラム144を実行する。そして、端末管理データベース131にアクセスして、入力された規制レベルにおいて発信許可対象の端末をすべて検索する。その次に、ステップS5gにおいて、発信フラグを“許可”で作成したのち、ステップS5hにおいて、作成された発信フラグを該当する端末に対して第1の通信I/F16を介して送信する。その後、ステップS5iにより、規制レベルテーブル13bにアクセスし入力された部署の規制レベルに更新する。
【0038】
かくして、システム管理者による規制レベルの変更が入力される度に、入力された規制レベルに応じて発信規制または発信許可に該当する端末が検索され、検索された端末に対して発信規制または発信許可を表す発信フラグが送信される。次に、上記送信された発信フラグを受信した無線IP電話端末MA1〜MAjの動作について説明する。
【0039】
(1C)発信規制及び発信許可動作
図7は、無線IP電話端末MA1〜MAjにおける発信規制及び発信許可の動作手順とその内容を示すフローチャートである。先に述べたように、規制レベルの変更が有り、発信規制または発信許可を表す発信フラグが管理サーバMSVaから無線IP電話端末MA1に対して送信されたものとする。
【0040】
無線IP電話端末MA1のCPU11は、第1の発信フラグ受信プログラム240の実行状態であり、ステップS6aにおいて、発信フラグの待ち受け状態にある。この状態で、管理サーバMSVaから上記送信された発信フラグを第1の無線通信I/F26を介して受信する。次に、ステップS6bにおいて、この受信した発信フラグに対して、“規制”であるか否かの判定を行う。この判定において、発信フラグが“規制”である場合は、ステップS6cに移行して、発信規制表示プログラム241を実行し、表示部251に対して発信規制情報を表示する。そして、ステップS6dにおいて、発信規制制御プログラム242を実行し、ユーザが発信操作を行った場合で、発信動作を行わないように発信規制制御を行う。
【0041】
一方、ステップS6bの判定により、発信フラグが“許可”であった場合は、ステップS6eに移行して、無線IP電話端末MA1のCPU11は、発信許可表示プログラム243を実行して、表示部251に発信許可情報を表示する。そして、ステップS6fにおいて、発信許可制御プログラム244を実行し、ステップS6dにおいて行われた発信規制を解除して、ユーザによる発信操作に応じて発信動作を行うように制御する。
【0042】
以上述べたように第1の実施形態では、無線IP電話端末のIPアドレスと各規制レベルに対応する発信の可否を記憶した端末管理データベース131を設ける。管理サーバMSVaのCPU11は、規制レベル変更プログラム142により、入力された規制レベルと規制レベルデータ132に記憶される規制レベルとを比較する。この比較により、上記端末管理データベース131にアクセスして発信規制又は発信許可対象の無線IP電話端末を検索する。そして、検索された無線IP電話端末に対して発信を規制又は許可させるための発信フラグを作成して送信する。この発信フラグを受信した無線IP電話端末は、上記発信フラグに従って発信規制又は発信許可の制御を行うようにしたものである。
【0043】
したがって第1の実施形態によれば、予め作成された端末管理データベース131に記憶される優先順位にしたがって無線IP電話端末MA1〜MAjに対し発信規制の指示を通知し、これにより無線IP電話端末MA1〜MAjからの発信を制限するようにしている。これにより、災害発生時においても確実に緊急通話を確保することができる。また、アクセス・ポイント等に負荷が集中することがないため、非常時にも回線ダウンなどを引き起こすことなく安定したシステム運用が可能となる。
【0044】
さらにこの実施形態では、無線IP電話端末MA1〜MAjにおいて、受信した発信フラグに応じて、発信規制又は発信許可の旨を表示するようにする。これにより、発信規制を行うだけでなく、ユーザに発信規制又は発信許可の旨を知らせることで、非常時にも混乱を招くことなく利用できる。
【0045】
(第2の実施形態)
図8は、この発明の第2の実施形態である移動通信システムを採用した無線IP電話システムを示す概略構成図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
携帯電話公衆網PNWは、携帯電話加入者用の移動通信網であり、管理サーバMSVb及び無線IP電話端末MB1〜MB6は、この携帯電話公衆網PNWを介してデータの送受信を行なう機能を有する。
【0046】
図9は、管理サーバMSVbの機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。管理サーバMSVbのCPU11には、第2の通信I/F17が新たに接続されている。この第2の通信I/F17は、CPU11の制御の下、携帯電話公衆網PNWを介して無線IP電話端末MB1〜MB6との間で通信を行う。また、プログラムメモリ14bには、端末管理データベース作成プログラム141、規制レベル変更プログラム142、発信規制端末検索プログラム143及び発信許可端末検索プログラム144に加え、送信判定プログラム145が新たに格納されている。
【0047】
送信判定プログラム145は、(1B)で述べた無線IP電話端末に対する発信フラグの送信において、第1の通信I/F16により自営網LNW1を介して送信できたか否かの判定を行う。そして、この判定により、送信できなかった場合には、第2の通信I/F17により携帯電話公衆網PNWを介して発信フラグの送信を行う。
【0048】
また、図10は、無線IP電話端末MB1の機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図4と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。また、無線IP電話端末MB2〜MB6は、無線IP電話端末MB1と同一の構成であるため、これ以下は無線IP電話端末MB1について説明を行う。
無線IP電話端末MB1のCPU21には、第2の無線通信I/F27が新たに接続されている。この第2の無線通信I/F27は、CPU21の制御の下、携帯電話公衆網PNWを介して管理サーバMSVbとの間で通信を行う。また、プログラムメモリ24bには、第1の発信フラグ受信プログラム240、発信規制表示プログラム241、発信規制制御プログラム242、発信許可表示プログラム243及び発信許可制御プログラム244に加え、新たに第2の発信フラグ受信プログラム245が格納される。
【0049】
第2の発信フラグ受信プログラム245は、管理サーバMSVbから携帯電話公衆網PNWを介して送信された発信フラグを上記第2の無線通信I/F27により受信する機能を有する。
次に、以上のように構成された無線IP電話システムの動作について説明する。ここでは、図8に示すように、無線IP電話端末MB1,MB3,MB5は、自営網LNW1の通信可能エリア外に存在している。この状態で災害等が発生し、(1B)に述べたように管理サーバMSVbにより、発信規制又は発信許可を通知する発信フラグが無線IP電話端末MB1に送信されたものとする。
【0050】
(2A)携帯電話公衆網PNWを利用した発信フラグの送信
図11は、管理サーバMSVbによる携帯電話公衆網PNWを利用した発信規制及び発信許可の通知手順とその処理内容を示すフローチャートである。
無線IP電話端末MB1のCPU11は、送信判定プログラム145を実行し、第1の通信I/F16により自営網LNW1を介して行われる発信フラグの送信が成功したか否かの判定を行う。この判定により、発信フラグの送信が成功した場合は、上述の規制レベルの待ち受け状態に遷移する。一方、無線IP電話端末MB1は自営網LNW1の通信可能エリア外に存在する場合は、ステップS8aにおいて、無線IP電話端末MB1のCPU11は送信エラーを検知する。そうすると、S8bにおいて、管理サーバMSVbは、第2の通信I/F17により携帯電話公衆網PNWを介して無線IP電話端末MB1に対して、上記作成した発信フラグを送信する。
【0051】
その後、ステップS8cにおいて、第1の通信I/F16により自営網LNW1を介して上記発信フラグを送信する。そして、ステップS8dにより、送信判定プログラム145により、この送信が成功したか否かの判定を行う。この判定により、再度送信エラーを検知した場合は、ステップS8eに移行し、一定時間経過後、ステップS8cにより、第1の通信I/F16により無線IP電話端末MB1に対して発信フラグを送信する。上記動作は、ステップS8dの判定において、自営網LNW1を介して送信が成功するまで繰り返し行われる。
【0052】
(2B)携帯電話公衆網PNWを利用した発信フラグの受信
図12は、無線IP電話端末MB1における携帯電話公衆網PNWを利用した発信規制及び発信許可通知の受信手順とその処理内容を示すフローチャートである。
無線IP電話端末MB1のCPU21は、第1の発信フラグ受信プログラム240と共に、第2の発信フラグ受信プログラム245を常駐プログラムとして実行している。無線IP電話端末MB1は、自営網LNW1の無線通信エリア外に存在するため、ステップS9aにおいて、第2の無線通信I/F27により、携帯電話公衆網PNWを介して送信された発信フラグを受信する。そして、ステップS9bにより受信された発信フラグが“規制”であるか否か判定する。この判定により、“規制”であれば、ステップS9cに移行し、発信規制情報を出力I/F25を介して表示部251に表示する。一方、ステップS9bの判定により、発信フラグが“許可”の場合は、ステップS9dに移行し、発信許可情報を表示部251に表示する。
【0053】
一方、無線IP電話端末MB1が自営網LNW1の無線通信可能エリア内に移動した場合は、第1の発信フラグ受信プログラム240により、管理サーバより一定時間間隔で送信される発信フラグを、自営網LNW1を介して第1の無線通信I/F26によりただちに受信する。そして、(1C)において述べたステップS6aからステップS6fの動作を行う。
【0054】
以上のように第2の実施形態では、管理サーバMSVb及び無線IP電話端末MB1〜MB6が携帯電話公衆網PNWを介して接続されて通信を行う機能を有する。そして、通信管理サーバMSVbが自営網LNW1を介して無線IP電話端末MB1に対して発信フラグの送信した際に、この送信が成功したか否かを判定する。この判定により、送信が失敗した場合は、第2の通信I/F17により携帯電話公衆網PNWを介して上記発信フラグを送信する。その後、管理サーバMSVbのCPU11は、自営網LNW1を介して発信フラグの送信が成功するまで一定時間間隔で発信フラグの送信を繰り返すようにする。
【0055】
したがって、無線IP電話端末MB1〜MB6が自営網LNW1の通信可能エリア外に存在する場合であっても、携帯電話公衆網PNWを介して発信規制の指示及び発信許可の指示が無線IP電話端末MB1〜MB6に対し通知される。このため、その後無線IP電話端末MB1〜MB6が自営網LNW1の通信可能エリア内に移動した場合にも、この無線IP電話端末MB1〜MB6からの発信を確実に制限することができる。また、自営網LNW1の通信可能エリア外に移動した無線IP電話端末MB1〜MB6に対しても、発信規制の解除指示をもれなく確実に通知することができ、これにより発信規制状態が解除された後も発信規制状態が継続すると云った不具合が発生しないようにすることができる。すなわち、通信不能の混乱を来たすことなく安定した運用が可能となる。
【0056】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態である移動通信システムを採用した無線IP電話端末システムの構成は、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは図1を使用して説明を行う。
図13は、第3の実施形態における管理サーバMSVcの機能構成を示すブロック図である。なお、同図において上記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0057】
データメモリ13cには、部署対応端末管理データベース133及び部署別規制レベルテーブル134が記憶される。部署対応端末管理データベース133は、端末管理データベース131において、さらに無線IP電話端末MAi〜MAjを所有するユーザの所属部署データを端末IDに対応付けて記憶したものである。図14に、この部署対応端末管理データベース133の構成の一例を示す。部署別規制レベルテーブル134には、各部署ごとに設定された規制レベルが記憶される。図15には、部署別規制レベルテーブル134の記憶結果の一例を示す。
【0058】
また、プログラムメモリ14cには、発信規制端末検索プログラム143及び発信許可端末検索プログラム144の他に、部署対応端末管理データベース作成プログラム146及び部署別規制レベル変更プログラム147が新たに格納される。部署対応端末管理データベース作成プログラム146は、上記端末管理データベース作成プログラム141における無線IP電話端末MAi〜MAjの登録処理において、無線IP電話端末MAi〜MAjを所有するユーザの所属部署データの入力受付処理を追加したものである。この部署対応端末管理データベース作成プログラム146により作成された部署対応端末管理データベース133の一例を図14に示す。
【0059】
一方、部署別規制レベル変更プログラム147は、常駐プログラムとして動作し、各部署に対して入力される規制レベルの変更を受け付ける。なお、図16は、管理サーバMSVcに設けられた表示部152に表示される規制レベル変更画面の一例を示す図である。この規制レベル変更画面は、組織構成がツリー状で表わされ、各部署には、規制レベルを設定する選択ボタンが備えられる。システム管理者は、マウスなどの入力部151によりマウスポインタを操作してこの選択ボタン選択し、規制レベルを変更する。
【0060】
次に、以上のように構成された無線IP電話システムの動作について説明する。
(3)規制レベル変更画面による規制レベル変更動作
規制レベル変更画面により、規制レベルが変更されると、常駐プログラムとして動作している部署別規制レベル変更プログラム147は、入力部151の操作により変更された部署及び規制レベルを取り込む。管理サーバMSVbは、部署別規制レベルテーブル134にアクセスし、変更された部署の現在の規制レベルを読み出す。そして入力された規制レベルと読み出された規制レベルを比較判定する。この判定により、入力された規制レベルが高い場合は、部署対応端末管理データベース133にアクセスして、該当部署に所属する無線IP電話端末を検索し発信フラグ(“規制”)を送信する。一方、上記判定により、入力された規制レベルが低い場合は、部署対応端末管理データベース133にアクセスして、該当部署に所属する無線IP電話端末を検索し発信フラグ(“許可”)を送信する。
【0061】
以上述べたように第3の実施形態では、管理サーバMSVcは、部署対応端末管理データベース133及び部署別規制レベルテーブル134を備える。そして、部署別規制レベル変更プログラム147により表示される規制レベル変更画面において、変更された部署及び規制レベルを取り込む。取り込まれた部署及び規制レベルに応じて、上記部署に所属する無線IP電話端末に対して発信フラグを送信するようにしたものである。
【0062】
したがって、システム管理者は、災害状況に応じて、入力部151のマウス等を操作することにより、自営網が敷設された事業所やオフィス内の部署ごとに発信規制レベルをダイナミックに変更することができる。
(その他の実施形態)
上記各実施形態において、発信規制表示プログラム241及び発信許可表示プログラム243により発信規制及び発信許可のメッセージを表示部251に表示する場合に、そのデータ形式としてはテキストデータに限らず、アイコンや画像を使用してもよい。また、音声合成手段を用いることで、上記発信規制及び発信許可を表す音声メッセージを生成し、生成された音声メッセージをスピーカから出力するようにしてもよい。
【0063】
また、システム管理者が発信規制レベルを変更する場合を例にとって説明したが、アクセス・ポイントAP1〜APiにより生成される通信トラフィック情報を管理サーバMSVaにおいて収集し、この収集された通信トラフィック情報をもとに発信規制レベルを適応的に変化させるようにしても良い。このようにすると、災害規模だけでなく、通信状態に対応して的確な発信規制を行うことができる。
【0064】
また、上記各実施形態における移動通信システムとして、無線LANを利用したシステムを例に挙げて説明したが、他にも、構内PHS(Personal Handyphone System)システムなども利用可能である。
さらに、各システムの構成、各管理サーバに設けられるデータメモリに記憶される各データベース及びテーブルの構成及び記憶される項目、各管理サーバのプログラムメモリに格納される各種プログラムの処理手順と処理内容についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0065】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明に係わる無線IP電話システムの一実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示す情報管理サーバの機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示すデータメモリに記憶される端末管理データベースの一例を示す図。
【図4】図2に示す無線IP電話端末の機能構成を示すブロック図。
【図5】図2に示す端末管理データベースの作成手順とその内容を示すフローチャート。
【図6】情報管理サーバにおける発信規制及び発信許可の通知手順とその内容を示すフローチャート。
【図7】無線IP電話端末における発信規制受信の処理手順とその処理内容を示すフローチャート。
【図8】この発明に係わる無線IP電話システムの第2の実施形態を示す概略構成図。
【図9】図8に示す情報管理サーバの機能構成を示すブロック図。
【図10】図8に示す無線IP電話端末の機能構成を示すブロック図。
【図11】管理サーバにおける携帯電話公衆網を介した発信規制及び発信許可の通知手順とその内容を示すフローチャート。
【図12】無線IP電話端末における携帯電話公衆網を介した発信規制及び発信許可の受信手順とその内容を示すフローチャート。
【図13】この発明に係わる無線IP電話システムの第3の実施形態に使用される管理サーバの機能構成を示すブロック図。
【図14】図13に示すデータメモリに記憶される端末管理データベースの一例を示す図。
【図15】図13に示すデータメモリに記憶される規制レベルテーブルの一例を示す図。
【図16】図13に示す表示部に表示される規制レベル変更時の画面構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
MSVa,MSVb,MSVc…管理サーバ、LNW1〜LNWn…自営網、LSV1〜LSVn…自営網サーバ、AP1〜APi…アクセス・ポイント、MA1〜MAj、MB1〜MB6…無線IP電話端末、PNW…携帯電話公衆網、11…CPU、12…バス、13a,13c…データメモリ、131…端末管理データベース、132…規制レベルデータ、133…部署対応端末管理データベース、134…部署別規制レベルテーブル、14a,14b,14c…プログラムメモリ、141…端末管理データベース作成プログラム、142…規制レベル変更プログラム、143…発信規制端末検索プログラム、144…発信許可端末検索プログラム、145…送信判定プログラム、146…部署対応端末管理データベース作成プログラム、147…部署別規制レベル変更プログラム、15…入出力I/F、151…入力部、152…表示部、16…第1の通信I/F、17…第2の通信I/F、21…CPU、22…バス、23…データメモリ、231…発信フラグ、24a,24b…プログラムメモリ、240…第1の発信フラグ受信プログラム、241…発信規制表示プログラム、242…発信規制制御プログラム、243…発信許可表示プログラム、244…発信許可制御プログラム、245…第2の発信フラグ受信プログラム、25…出力I/F、251…表示部、26…第1の無線通信I/F、27…第2の無線通信I/F。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信端末と、少なくともこれらの無線通信端末相互間で情報の転送を行う自営網のネットワーク装置とを具備し、
前記自営網のネットワーク装置は、
前記複数の無線通信端末に対し予め設定された発信の優先度を記憶する手段と、
前記記憶された優先度に基づいて、発信規制の対象となる無線通信端末を選択する手段と、
前記選択された無線通信端末に対し発信規制を指示する情報を通知する手段と
を備え、
前記無線通信端末は、
前記自営網のネットワーク装置から発信規制を指示する情報が通知された場合に、自端末を発信制限モードに設定する手段
を備えることを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記自営網のネットワーク装置は、
前記記憶された優先度に基づいて、発信規制を解除する無線通信端末を選択する手段と、
前記選択された無線通信端末に対し発信規制の解除を指示する情報を通知する手段と
を、さらに備え、
前記無線通信端末は、
前記発信制限モードが設定された状態で、前記自営網のネットワーク装置から発信規制の解除を指示する情報が通知された場合に、自端末の発信制限モードを解除する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、
前記自営網のネットワーク装置は、
前記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定する手段と、
自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、前記上位網を経由して前記発信規制を指示する情報を通知する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、
前記自営網のネットワーク装置は、
前記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定する手段と、
自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、前記上位網を経由して前記発信規制の解除を指示する情報を通知する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項2記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記無線通信端末は、
前記自営網のネットワーク装置から発信規制を指示する情報が通知された場合に、発信が規制された旨のメッセージをユーザに報知する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は3記載の移動通信システム。
【請求項6】
前記無線通信端末は、
前記自営網のネットワーク装置から発信規制の解除を指示する情報が通知された場合に、発信規制が解除された旨のメッセージをユーザに報知する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項2又は4記載の移動通信システム。
【請求項7】
前記自営網が無線LANにより構成され、かつ前記無線通信端末が前記無線LANに接続可能なIP(Internet Protocol)通信機能を備える場合に、
前記自営網のネットワーク装置は、前記選択された無線通信端末に対しIP通信機能による発信を規制するための指示情報を通知し、
前記無線通信端末は、前記自営網のネットワーク装置から前記指示情報が通知された場合に、自端末をIP通信機能による発信を制限するモードに設定することを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項8】
複数の無線通信端末相互間で情報の転送を行う自営網のネットワーク装置において、
前記複数の無線通信端末に対し予め設定された発信の優先度を記憶する手段と、
前記記憶された優先度に基づいて、発信規制の対象となる無線通信端末を選択する手段と、
前記選択された無線通信端末に対し発信規制を指示する情報を通知する手段と
を具備することを特徴とする自営網のネットワーク装置。
【請求項9】
前記記憶された優先度に基づいて、発信規制を解除する無線通信端末を選択する手段と、
前記選択された無線通信端末に対し発信規制の解除を指示する情報を通知する手段と
を、さらに具備すること特徴とする請求項8記載の自営網のネットワーク装置。
【請求項10】
前記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、
前記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定する手段と、
自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、前記上位網を経由して前記発信規制を指示する情報を通知する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項8記載の自営網のネットワーク装置。
【請求項11】
前記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、
前記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定する手段と、
自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、前記上位網を経由して前記発信規制の解除を指示する情報を通知する手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項9記載の自営網のネットワーク装置。
【請求項12】
複数の無線通信端末と、少なくともこれらの無線通信端末相互間で情報の転送を行う自営網のネットワーク装置とを具備し、前記ネットワーク装置が、複数の無線通信端末に対し予め設定された発信の優先度を記憶する手段と、前記記憶された優先度に基づいて、発信規制の対象となる無線通信端末を選択する手段と、前記選択された無線通信端末に対し発信規制を指示する情報を通知する手段とを備える移動通信システムで使用される前記無線通信端末であって、
前記自営網のネットワーク装置から発信規制を指示する情報が通知された場合に、自端末を発信制限モードに設定する手段を具備することを特徴とする無線通信端末。
【請求項13】
前記ネットワーク装置が、前記選択された無線通信端末に対し発信規制の解除を指示する情報を通知する手段をさらに備える場合に、
前記発信制限モードが設定された状態で前記自営網のネットワーク装置から発信規制の解除を指示する情報が通知された場合に、自端末の発信制限モードを解除する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項12記載の無線通信端末。
【請求項14】
前記自営網のネットワーク装置から発信規制を指示する情報が通知された場合に、発信が規制された旨のメッセージをユーザに報知する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項12記載の無線通信端末。
【請求項15】
前記自営網のネットワーク装置から発信規制の解除を指示する情報が通知された場合に、発信規制が解除された旨のメッセージをユーザに報知する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項13記載の無線通信端末。
【請求項16】
複数の無線通信端末相互間で情報の転送を行う自営網のネットワーク装置で使用されるプログラムであって、
優先度の設定入力操作に応じ、前記複数の無線通信端末に対応付けて前記入力された優先度を記憶する処理と、
前記記憶された優先度に基づいて、発信規制の対象となる無線通信端末を選択する処理と、
前記選択された無線通信端末に対し発信規制を指示する情報を通知する処理と
を、前記ネットワーク装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
前記記憶された優先度に基づいて、発信規制を解除する無線通信端末を選択する処理と、
前記選択された無線通信端末に対し発信規制の解除を指示する情報を通知する処理と
を、前記ネットワーク装置にさらに実行させること特徴とする請求項16記載のプログラム。
【請求項18】
前記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、
前記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定する処理と、
自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、前記上位網を経由して前記発信規制を指示する情報を通知する処理と
を、前記ネットワーク装置にさらに実行させること特徴とする請求項16記載のプログラム。
【請求項19】
前記自営網のネットワーク装置及び無線通信端末が上位網との間で通信を行う手段を備える場合に、
前記無線通信端末が自営網の通信圏外に存在するか否かを判定する処理と、
自営網の通信圏外に存在すると判定された無線通信端末に対し、前記上位網を経由して前記発信規制の解除を指示する情報を通知する処理と
を、前記ネットワーク装置にさらに実行させること特徴とする請求項17記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−140729(P2006−140729A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328007(P2004−328007)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】