説明

積層体パターン及びその製造方法、リブ形成材料並びにガラスリブパターン

【課題】高精細なPDPパネル等の製造を可能とする、高精細な積層体パターン及びその製造方法、リブ形成材料並びにガラスリブパターンを提供する。
【解決手段】ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料の上に硬化レジスト層が積層されている積層体パターンであって、該リブ形成材料のパターンの幅A1と高さB1とが式(I)及び(II)、B1/A1≧10 (I)、A1≦25 (II)(A1:リブ形成材料のパターンの幅(μm)、B1:リブ形成材料のパターンの高さ(μm))を満たすことを特徴とする積層体パターンを提供する。硬化レジスト層は、(A)アクリル系樹脂、(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物を光硬化させて得られたものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス(低融点ガラスを含む)、セラミック等のリブ形成材料の上に硬化レジスト層が積層されている積層体パターン及びその製造方法、リブ形成材料、並びに該リブ形成材料から得られるガラスリブパターンに関する。本発明は特にプラズマディスプレイパネルの背面板の隔壁パターンを作製する過程でサンドブラスト処理する場合に好適な感光性樹脂組成物を用いて形成した硬化レジスト層を有する、積層体パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年フォトリソグラフィー技術及びサンドブラスト技術の進歩に伴い、ガラスやセラミックを微細なパターンに加工することが可能になってきた。特に低融点ガラス等のガラス基材をサンドブラストで加工して、格子状やストライプ状、又はワッフル形状に隔壁を形成することが必要なプラズマディスプレイパネルの背面板(以下、単にPDPパネルともいう。)の製造において、画素ピッチの狭幅化がさらに進み、特に近年においては50μmピッチ以下という極めて高精細なパターン形成が要求されるようになってきた。
【0003】
このような微細な隔壁パターンを歩留り良く製造するために、支持体となるフィルム上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層し、さらに必要に応じ保護層を積層した感光性樹脂積層体が用いられている。
【0004】
以下に、この感光性樹脂積層体を用いる例として、プラズマディスプレイパネルの背面板の隔壁パターンを形成する方法を説明する。(I)感光性樹脂積層体の保護層がある場合にはこれを剥がしながら、ガラス基板(以下、特記なく「基板」と略記するときはガラス基板を意味する。)上にホットロールラミネーターを用いて支持体に積層された感光性樹脂層を密着させるラミネート工程、(II)所望の微細パターンを有するフォトマスクを支持体上に密着させた状態で、或いは数十〜数百μm離した状態で、活性光線源を用いて露光を施す露光工程、(III)支持体を剥離した後アルカリ現像液を用いて感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去し、微細な硬化レジストパターン(以下、「レジストパターン」と略記する場合もある。)を基板上に形成する現像工程、(IV)形成されたレジストパターン上からブラスト材を基板に吹き付け、基板を目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、(V)レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する剥離工程、の各工程を経て、プラズマディスプレイパネルの背面板の隔壁パターンを形成することができる。
【0005】
最近、プラズマディスプレイパネルの需要が急速に拡大していることに伴い、パネルの生産性を向上させるために、1枚の大型の基板に2〜3枚又はそれ以上のパネルを同時に一括製造し、その後で個々のパネルに切り分ける、いわゆるパネルの多面取りが進んでいる。現状では、1m幅で1.5m長さ程度の大型の基板を使用し、42インチサイズのパネルを多面取りする場合が多い。隔壁パターンの微細化・高精細化が大きく進んでいるのはこういった理由による。さらに近年では50μmピッチという超ファインピッチのパターンが求められている。パターンの高密度化のためにはパターンの狭さが必要だが、単純にピッチを狭くしたのでは発光する体積が狭くなり輝度が低下してしまう。輝度を保ちつつも狭ピッチ化するためには、リブの深さ方向を広げリブ高さを増すことによって発光体積を維持する必要がある。言い換えれば、極めて高アスペクト比なリブが必要となる。ここでアスペクト比とは、リブパターンの高さをリブパターンの幅で割った値をいう。
【0006】
これまでにポリウレタンモノマーを含む感光性樹脂組成物を用いてアスペクト比が10以上であるリブパターンを形成できることが報告されてきた(特許文献1)。しかし、特許文献に記載されているリブパターンの幅は最小50μmまでであり、それより小さいリブ幅では解像性、密着性、サンドブラスト性のいずれかの性能が不足し、結果的に高精細なPDPパネルを製造することはできなかった。前述の通り、近年では50μmピッチのパターンが求められており、高アスペクト比かつリブ幅の狭いリブパターンが望まれていた。
【0007】
【特許文献1】WO2007/091476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、例えば超高精細なPDPパネル等の作製に好適な、高精細な積層体パターン及びその製造方法、リブ形成材料並びにガラスリブパターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の構成を有する。
【0010】
[1] ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料の上に硬化レジスト層が積層されている積層体パターンであって、該リブ形成材料のパターンの幅A1と高さB1とが下記式(I)及び(II)、
B1/A1≧10 (I)
A1≦25 (II)
A1:リブ形成材料のパターンの幅(μm)
B1:リブ形成材料のパターンの高さ(μm)
を満たすことを特徴とする積層体パターン。
【0011】
[2] 該硬化レジスト層が、(A)アクリル系樹脂、(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物を光硬化させて得られたものである、上記[1]に記載の積層体パターン。
【0012】
[3] 上記(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、ウレタンプレポリマーである、上記[2]に記載の積層体パターン。
【0013】
[4] 上記ウレタンプレポリマーが、(a)末端に水酸基を有するポリマー又はモノマーと(b)ポリイソシアネートとの付加重合により得られるポリウレタンの末端イソシアネート基に対して、(c)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合とを分子内に有する化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーである、上記[3]に記載の積層体パターン。
【0014】
[5] (b)ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアナートを含む、上記[4]に記載の積層体パターン。
【0015】
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体パターンから硬化レジスト層を剥離することによって得られる、リブ形成材料。
【0016】
[7] ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料であって、該リブ形成材料のパターンの幅A1と高さB1とが下記式(I)及び(II)、
B1/A1≧10 (I)
A1≦25 (II)
A1:リブ形成材料のパターンの幅(μm)
B1:リブ形成材料のパターンの高さ(μm)
を満たすことを特徴とするリブ形成材料。
【0017】
[8] 上記[6]又は[7]に記載のリブ形成材料を焼成してリブを形成することによって得られる、ガラスリブパターン。
【0018】
[9] リブのパターンの幅A2と高さB2とが下記式(III)及び(IV)、
B2/A2≧10 (III)
A2≦25 (IV)
A2:ガラスリブのパターンの幅(μm)
B2:ガラスリブのパターンの高さ(μm)
を満たす、上記[8]に記載のガラスリブパターン。
【0019】
[10] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体パターンを製造する方法であって、リブ形成材料の上に感光性樹脂組成物の層を積層する積層工程、該感光性樹脂組成物を露光する露光工程、該感光性樹脂組成物の未露光部分を現像する現像工程を含む、積層体パターンの製造方法。
【0020】
[11] さらにサンドブラスト処理工程を含む、上記[10]に記載の積層体パターンの製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば超高精細なPDPパネル等の製造に好適な、高アスペクト比でかつ狭幅化された高精細の積層体パターン及びその製造方法、リブ形成材料並びにガラスリブパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0023】
本発明は、ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料の上に硬化レジスト層が積層されている積層体パターンであって、下記式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする積層体パターンを提供する。
【0024】
B1/A1≧10 (I)
A1≦25 (II)
A1:リブ形成材料の幅(μm)
B1:リブ形成材料の高さ(μm)
【0025】
また本発明は、ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料をも提供し、このリブ形成材料のパターンの幅A1と高さB1が上記(I)及び(II)を満たすことを特徴とする。
【0026】
さらに本発明は、上記のリブ形成材料を焼成してリブを形成することによって得られるガラスリブパターンをも提供する。より典型的には、該リブのパターンの幅A2と高さB2とは、下記式(III)及び(IV)、
B2/A2≧10 (III)
A2≦25 (IV)
A2:ガラスリブのパターンの幅(μm)
B2:ガラスリブのパターンの高さ(μm)
を満たすことができる。
【0027】
上記式(I)〜(IV)について以下に説明する。PDP等の背面板の隔壁パターンをサンドブラスト法で作製する場合、隔壁パターンの高密度化のためにはリブパターンの狭幅化が必要である。しかし、単純にリブパターンのピッチを狭くしたのでは発光する体積が狭くなり輝度が低下してしまう。輝度を保ちつつも狭ピッチ化するためには、リブの深さ方向を広げリブ高さを増すことによって発光体積を維持する必要がある。言い換えれば、極めて高アスペクト比なリブが必要となる。本発明に係るリブ形成材料及びこれを焼成して得られるガラスリブパターンにおけるパターンは、幅が25μm以下で、かつ、幅に対する高さの比であるアスペクト比(すなわちB1/A1及びB2/A2)が10以上である。このようなリブ形成材料及びガラスリブパターンによってPDPの背面板の隔壁パターン等における高密度化と十分な発光体積の確保が可能となる。発光体積を広くできるという観点から、アスペクト比は、より好ましくは、15以上である。アスペクト比は10以上であれば特に制限はないが、PDPパネル等を超高精細に製造できるという観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。リブ形成材料およびガラスリブのパターンの幅は、PDP等の高密度化の観点、及び前述した50μmピッチの背面板に対応できるという観点から、25μm以下であり、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。リブ形成材料及びガラスリブのパターンの幅は25μm以下であれば特に制限はないが、高アスペクト比を実現するために、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。本発明の一態様において、リブ形成材料は本発明に係る積層体パターンから硬化レジスト層を剥離して得たものである。
【0028】
本発明におけるリブ形成材料は、典型的にはガラス(低融点ガラスを含む)、セラミック等であり、該リブ形成材料はガラス粉末と有機バインダーとを含む。本発明におけるリブ形成材料に含まれるガラス粉末としては、典型的には低融点ガラスを粉末状にしたものを使用できる。なお本明細書において、低融点ガラスとはガラス転移点が600℃以下のガラスを意味するものとする。ガラス粉末としては、耐熱性の観点から、SiO2、PbO、B23、ZnOのうち1種以上からなる粉末が好ましい。
【0029】
本発明におけるリブ形成材料に含まれる有機バインダーは高分子成分であればよく特に限定されない。耐熱性及びPDPパネル等の輝度に悪影響を与えないという観点から、アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂が好ましく、中でもセルロース系樹脂がさらに好ましい。
【0030】
本発明の積層体パターン、リブ形成材料及びガラスリブパターンの断面形状は、四角形であれば特に限定されない。また、矩形となっていてもよい。発光体積を維持する観点から、好ましくは台形、長方形であり、長方形となっていることがさらに好ましい。
【0031】
本明細書において、パターンの幅とは、例えば断面が長方形の場合にはその横の長さを指し、断面が台形の場合には上底と下底との平均値を指す。パターンの高さとは、パターンの凸部となっている頂点から底部までの長さを指す。
【0032】
本発明の積層体パターンにおいて積層される硬化レジスト層は、(A)アクリル系樹脂、(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物を光硬化させて得られたものであることが好ましい。上記の感光性樹脂組成物を用いることにより、現像後の解像度、リブ形成材料と硬化レジスト層との密着性、耐サンドブラスト性に優れる積層体パターンが得られ、該積層体パターンを用い、サンドブラスト処理工程を経て、高アスペクト比でありかつ幅の狭いリブパターンを形成することができる。
【0033】
感光性樹脂組成物が含有する(A)アクリル系樹脂とは、アクリル基又はメタクリル基を持った高分子化合物からなる樹脂のことを指す。(A)アクリル系樹脂は、カルボキシル基を含有する。カルボキシル基の量は、酸当量で100以上600以下が好ましく、より好ましくは250以上450以下である。なお酸当量とは、その中に1当量のアルカリ可溶性高分子化合物が存在する質量をいう。
【0034】
(A)アクリル系樹脂中のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物にアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。現像耐性が向上し、現像後の解像度及び密着性が向上する点から、カルボキシル基の酸当量は100以上が好ましく、現像性及び剥離性が向上する点から600以下が好ましい。酸当量の測定は、平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により行われる。
【0035】
(A)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、5,000以上500,000以下が好ましい。現像性が向上する点から500,000以下が好ましく、耐サンドブラスト性が向上し、感光性樹脂積層体をロール状に巻き取った場合にロール端面から感光性樹脂組成物が染み出す現象すなわちエッジフューズが抑制される点から5,000以上が好ましい。重量平均分子量は、20,000以上300,000以下であることがより好ましい。
【0036】
重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)によりポリスチレン換算として求められる。
【0037】
本発明に用いられる(A)アクリル系樹脂は、後述する第一の単量体の1種以上からなる共重合体であるか、該第一の単量体の1種以上と後述する第二の単量体の1種以上とからなる共重合体であることが好ましい。
【0038】
第一の単量体は、分子中にα,β−不飽和カルボキシル基を含有する単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルが挙げられる。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。なお本明細書を通じて(メタ)アクリルとはアクリル及び/又はメタクリルを示す。
【0039】
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を少なくとも一個有する単量体である。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体が挙げられる。中でも、特にメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0040】
(A)アクリル系樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物全体の20〜80質量%の範囲が好ましく、30〜70質量%の範囲がさらに好ましい。良好なアルカリ現像性を維持するという観点から20質量%以上が好ましく、また、露光によって形成されるレジストパターンがサンドブラスト耐性を良好に発揮するという観点から80質量%以下が好ましい。
【0041】
感光性樹脂組成物が含有する(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、例えば、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、無水フタル酸と2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの半エステル化合物とプロピレンオキシドとの反応物(日本触媒化学製、商品名:OE−A200)、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリオキシアルキレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリオキシアルキレングリコールシクロヘキシル)プロパン、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
【0042】
これらの中でもウレタン基を含有する多官能基(メタ)アクリレート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとノナプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化物、及びイソシアヌル酸エステル化合物の多官能(メタ)アクリレートに代表されるウレタンプレポリマーが好ましい。
【0043】
ウレタンプレポリマーは、(a)末端に水酸基を有するポリマー又はモノマーと(b)ポリイソシアネート、との付加重合により得られるポリウレタンの末端イソシアネート基に対して、(c)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合とを分子内に有する化合物を反応させて得ることが好ましい。ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は2,000〜40,000が好ましく、より好ましくは5,000〜30,000である。重量平均分子量は、良好なサンドブラスト耐性を発揮するという観点から2,000以上が好ましく、また、良好な現像性を維持するという観点から40,000以下が好ましい。
【0044】
(a)末端に水酸基を有するポリマー又はモノマーの具体例を以下に挙げる。末端に水酸基を有するポリマーとしては、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオールや、末端水酸基を有する1、4−ポリブタジエン、水添又は非水添1、2−ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。末端に水酸基を有するモノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類や、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の分子内にカルボキシル基を有するジオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリオールが最も好ましい。
【0045】
(b)ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、α、α’−ジメチル−o−キシリレンジイソシアネート、α、α’−ジメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α、α’−ジメチル−p−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’−トリメチル−o−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’−トリメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’−トリメチル−p−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’、α’−テトラメチル−o−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’、α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’、α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。ジイソシアネート化合物の芳香環を水添化した化合物、例えばm−キシリレンジイソシアネートの水添化物(三井武田ケミカル製タケネート600)等も挙げられる。これらの中でも、イソホロンジイソシアナートが最も好ましい。
【0046】
(c)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合とを分子内に有する化合物としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0047】
ウレタンプレポリマーは、例えば特開平11−188631号公報の実施例に開示されている方法で作製することができる。具体的には、(a)末端に水酸基を有するポリマー又はモノマー100重量部に対して(b)ポリイソシアネートを5〜50重量部付加重合させる。この際、触媒(例えばジブチル錫ラウレート)を添加し、よく撹拌してから外温を40〜80℃に昇温し、5時間撹拌する。得られたポリウレタン100重量部に対して、(c)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合とを分子内に有する化合物を5〜30重量部の割合で添加し、約2時間反応させた後で反応を止めることで得ることができる。
【0048】
(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物の含有量は、感光性樹脂組成物全体の10〜70質量%の範囲が好ましく、より好ましくは、15〜60質量%の範囲である。耐サンドブラスト性を良好に発現するという観点から10質量%以上が好ましく、また、良好な保存安定性を維持するという観点から70質量%以下が好ましい。
【0049】
感光性樹脂組成物が含有する(C)光重合性開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピルケタール、ベンジルジフェニルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の芳香族ケトン類、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、α、α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルグリシン、N−フェニルグリシンさらに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(O−ベンゾイルカルボニル)−オキシム等のオキシムエステル類、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸及びp−ジイソプロピルアミノ安息香酸並びにこれらのアルコールとのエステル化物、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、テトラゾール類、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン類、及び1−フェニル−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン等のピラゾリン類が挙げられる。その中でも特に2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体と、ミヒラーズケトン又は4,4’−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとの組合せが好ましい。
【0050】
(C)光重合性開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物全体の0.01〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10質量%の範囲である。良好な感度を得る点から0.01質量%以上が好ましく、感光性樹脂組成物の層(以下、感光性樹脂組成物層ともいう)のリブ形成材料と密着している側の部分を良好に硬化させるために、20質量%以下が好ましい。
【0051】
本発明の感光性樹脂組成物には、着色物質が含有されていてもよい。このような着色物質としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジェンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、及びダイヤモンドグリーン等が挙げられる。感光性樹脂組成物が上記の着色物質を含む場合、着色物質の含有量は、感光性樹脂組成物全体の0.005〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.01〜1質量%の範囲にあることがさらに好ましい。感光性樹脂組成物中の着色物質の含有量は、レジスト視認性の観点から0.005質量%以上が好ましく、感度の観点から10質量%以下が好ましい。
【0052】
また、感光性樹脂組成物に、光照射により発色する発色系染料を含有させてもよい。このような発色系染料としては、ロイコ染料とハロゲン化合物との組合せがよく知られている。ロイコ染料としては、例えばトリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、及びトリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。一方ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタンが挙げられる。
【0053】
さらに感光性樹脂組成物には、必要に応じて可塑剤を含有させてもよい。このような可塑剤としては、例えばジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。
【0054】
さらに、感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤やベンゾトリアゾール類を含有させることは好ましいことである。
【0055】
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミンが挙げられる。
【0056】
また、ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0057】
ラジカル重合禁止剤及びベンゾトリアゾール類を感光性樹脂組成物中に含有させる場合の合計含有量は、好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%である。該合計含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.01質量%以上が好ましく、また、良好な感度を維持するという観点から3質量%以下が好ましい。これらラジカル重合禁止剤やベンゾトリアゾール類化合物は単独で使用しても、2種類以上併用してもよい。
【0058】
本発明の積層体パターンは、リブ形成材料の上に硬化レジスト層を積層することにより形成する。硬化レジスト層は、例えば、感光性樹脂組成物、特には上記で詳述したような感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂組成物層を形成し、これを硬化させることによって形成できる。すなわち本発明は、リブ形成材料の上に感光性樹脂組成物の層を積層する積層工程、該感光性樹脂組成物を露光する露光工程、及び該感光性樹脂組成物の未露光部分を現像する現像工程を含む積層体パターンの製造方法も提供する。該製造方法は、より典型的にはさらにサンドブラスト処理工程を含む。感光性樹脂組成物の層は、必要に応じて後述の支持体及び/又は保護層と組合された積層体(以下、感光性樹脂積層体ともいう)として形成してもよい。以下、感光性樹脂積層体を用いる場合を例に、本発明の積層体パターンの作製方法について説明する。
【0059】
まず感光性樹脂積層体の作製について説明する。支持体としては活性光線を透過させる透明な基材フィルムからなるものが好ましい。このような基材フィルムとしては10μm以上100μm以下の厚みのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムがあるが、通常適度な可とう性と強度とを有するポリエチレンテレフタレート製の基材フィルムが好ましく用いられる。また、感光性樹脂組成物層からの剥離性を向上させるために、活性光線を透過させる透明な基材フィルムの片方又は両方の表面に剥離剤を形成したものを用いることもできる。ここでいう剥離剤は、基材フィルムを感光性樹脂組成物層から容易に剥離させる性能を有する化合物であり、公知のものを使用することができるが、シリコーンを含有する剥離剤やアルキッド樹脂等が挙げられる。
【0060】
感光性樹脂積層体において上述の保護層を形成する場合には、感光性樹脂組成物層との密着力において、感光性樹脂組成物層と支持体との密着力よりも感光性樹脂組成物層と保護層との密着力が充分小さいことがこの保護層に必要な特性であり、この特性により保護層が容易に剥離できる。このようなフィルムとしては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。保護層の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。厚みは、破れにくさの観点から5μm以上が好ましく、経済性の観点から50μm以下が好ましい。
【0061】
例えば支持体、感光性樹脂組成物層及び保護層を順次積層して感光性樹脂積層体を作製する方法としては、従来知られている方法を採用できる。例えば、感光性樹脂組成物と、これを溶解する溶剤とを混ぜ合わせ均一な溶液にしておき、この溶液を支持体上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥することで、支持体上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する。上記の均一な溶液を調製するために用いる溶剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。感光性樹脂組成物の溶液の粘度が25℃で500〜4000mPa・secとなるように溶剤を感光性樹脂組成物に添加して溶液を調製することが好ましい。次いで、形成された感光性樹脂組成物層上に、例えばラミネートによりさらに保護層を積層する。以上により感光性樹脂積層体を形成できる。
【0062】
次に、感光性樹脂積層体をリブ形成材料上に積層して、被加工基材であるリブ形成材料に微細なパターンを加工する方法の一例について説明する。感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながらホットロールラミネーターを用いて被加工基材上に感光性樹脂組成物層を密着させるラミネート工程、所望の微細パターンを有するフォトマスクを支持体上に密着させ活性光線源を用いて露光を施し、感光性樹脂組成物を光硬化させる露光工程、支持体を剥離した後アルカリ現像液を用いて感光性樹脂組成物の未露光部分を溶解除去し、微細なレジストパターンを有する硬化レジスト層を被加工基材上に形成する現像工程、形成された硬化レジスト層上から吹き付けられたブラスト材によって被加工基材を目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程を経て、リブ形成材料に微細なパターンが形成された本発明の積層体パターンが得られる。
【0063】
上述の露光工程において用いられる活性光線源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられる。また、より微細なレジストパターンを得るためには平行光光源を用いるのがより好ましい。ゴミや異物の影響を極力少なくしたい場合には、フォトマスクを支持体上から数十〜数百μm浮かせた状態で露光(プロキシミティー露光)する場合もある。さらに、マスクレス露光方法を用いることもできる。マスクレス露光はフォトマスクを使用せず被加工基材上に直接描画装置によって露光する。光源としては波長350〜410nmの半導体レーザーや超高圧水銀灯等が用いられる。描画パターンはコンピューターによって制御され、この場合の露光量は、光源照度及び被加工基材の移動速度によって決定される。
【0064】
上述の現像工程において、アルカリ現像液としては、通常炭酸ナトリウム水溶液や界面活性剤水溶液等を使用できる。
【0065】
上述のサンドブラスト処理工程に用いるブラスト材としては公知のものを使用でき、例えばSiC、SiO2、Al23、CaCO3、ZrO2、ガラス、ステンレス等のうち1種以上からなる2〜100μm程度の微粒子が用いられる。
【0066】
さらに、例えば剥離液によって上記の積層体パターンから硬化レジスト層を除去する剥離工程を経て、微細なパターンが形成された本発明のリブ形成材料が得られる。
【0067】
上述の剥離工程に用いる剥離液としては、通常、アルカリ剥離液、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液等を使用できる。なお、剥離工程の代わりに高温で硬化レジスト層を焼き飛ばす工程を設けることも可能である。
【0068】
例えば上述のようにして得たリブ形成材料をさらに焼成することにより、微細なパターンを有するガラスリブパターンが得られる。本発明のガラスリブパターンは、本発明の積層体パターンによって実現される高アスペクト比でかつ狭幅化された高精細なパターンを有するリブ形成材料を焼成させることによって形成されるため、リブのパターンの幅A2及び高さB2もまた、前述したような高アスペクト比でかつ狭幅化されたものとなる。
【0069】
リブ形成材料の焼成は従来公知の方法で行うことができ、通常500〜600℃の温度で焼成を行う。
【0070】
上述した微細なパターンを用いて、低融点ガラス等のガラス基板を加工して、例えば超高精細なプラズマディスプレイパネルの背面板等を製造することが可能となる。
【0071】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0072】
(実施例1〜10)(比較例1〜4)
以下に、実施例1〜10及び比較例1〜4の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について示す。
【0073】
1.評価用サンプルの作製
実施例1〜10及び比較例1〜4における感光性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表2に示す組成の感光性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、感光性樹脂組成物の溶液を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムである支持体にバーコーターを用いて均一に塗布し、90℃の乾燥機中で3分間乾燥して35μm厚みの感光性樹脂組成物層を形成した。次に、感光性樹脂組成物層の表面上に30μm厚みのポリエチレンフィルムである保護層を張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
【0074】
表2における略号で表わした感光性樹脂組成物調合液中の材料成分の名称を表3及び表4に示す。表2中のP−1、P−2及びU−1、U−2の質量部はメチルエチルケトンを含む値である。
【0075】
<リブ形成材料の準備>
被加工基材であるリブ形成材料としては、3mm厚みのソーダガラス及び以下の方法で作製したガラスペースト塗工済みソーダガラスの2種類を用いた。3mm厚みのソーダガラス上に、プラズマディスプレイ用ガラスペースト(日本電気硝子(株)製 PLS−3553)をスクリーン印刷法を用いて、ガラスペーストの乾燥後の厚みが200μmとなるようにソーダガラス上に塗布、乾燥しガラスペースト塗工済みソーダガラスを作製した。
【0076】
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、被加工基材にホットロールラミネーター(旭化成エンジニアリング(株)製「AL−70」)により105℃でラミネートした。エア圧力は0.20MPaとし、ラミネート速度は1.0m/minとした。
【0077】
<露光>
フォトマスクを通して、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製HMW−801)により150mJ/cm2で支持体越しに感光性樹脂組成物層に露光した。
【0078】
<現像>
支持体を剥離した後、30℃の0.4質量%の炭酸ナトリウム水溶液を最小現像時間の1.1倍の現像時間でスプレーし、感光性樹脂組成物層の未露光部分を溶解除去して硬化レジスト層を形成した。
【0079】
<サンドブラスト>
被加工基材上に形成された硬化レジスト層に対し、(株)エルフォテック製のサンドブラスト装置を用いて、サンドブラスト加工を施した。ホース内圧0.1MPa、ガン移動速度6m/分、コンベア移動速度40mm/分とし、研磨剤はEHB−20を用い、研磨剤噴射量15rpmとした。
【0080】
<剥離>
30℃の1.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、硬化レジスト層を剥離除去した。
【0081】
2.評価方法
(1)サンドブラスト後のリブ幅、リブ高さ及びアスペクト比
上記<剥離>操作にて硬化レジスト層を除去した後のリブパターンにつき、光学顕微鏡を用いてリブ幅及びリブ高さを測定した。またこれらの値からアスペクト比(リブ幅に対するリブ高さの比)を算出した。
(2)50μmピッチPDP背面板の形成能
上記(1)のリブパターンを用いて、焼成炉にて550℃の温度によって焼成した。焼成後、リブパターンのアスペクト比が10以上のままであるものを○(50μmピッチPDP背面板の形成能あり)、10未満であるものを×(50μmピッチPDP背面板の形成能なし)とした。
【0082】
3.評価結果
実施例1〜10及び比較例1〜4の評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【表4】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の積層体パターン及びその製造方法、リブ形成材料並びにガラスリブパターンは、特にプラズマディスプレイパネルの背面板の隔壁パターン等をサンドブラスト法で作製する場合に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料の上に硬化レジスト層が積層されている積層体パターンであって、前記リブ形成材料のパターンの幅A1と高さB1とが下記式(I)及び(II)、
B1/A1≧10 (I)
A1≦25 (II)
A1:リブ形成材料のパターンの幅(μm)
B1:リブ形成材料のパターンの高さ(μm)
を満たすことを特徴とする積層体パターン。
【請求項2】
前記硬化レジスト層が、(A)アクリル系樹脂、(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物を光硬化させて得られたものである、請求項1に記載の積層体パターン。
【請求項3】
前記(B)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、ウレタンプレポリマーである、請求項2に記載の積層体パターン。
【請求項4】
前記ウレタンプレポリマーが、(a)末端に水酸基を有するポリマー又はモノマーと(b)ポリイソシアネートとの付加重合により得られるポリウレタンの末端イソシアネート基に対して、(c)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合とを分子内に有する化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーである、請求項3に記載の積層体パターン。
【請求項5】
前記(b)ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアナートを含む、請求項4に記載の積層体パターン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の積層体パターンから前記硬化レジスト層を剥離することによって得られる、リブ形成材料。
【請求項7】
ガラス粉末と有機バインダーとを少なくとも含むリブ形成材料であって、前記リブ形成材料のパターンの幅A1と高さB1とが下記式(I)及び(II)、
B1/A1≧10 (I)
A1≦25 (II)
A1:リブ形成材料のパターンの幅(μm)
B1:リブ形成材料のパターンの高さ(μm)
を満たすことを特徴とするリブ形成材料。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のリブ形成材料を焼成してリブを形成することによって得られる、ガラスリブパターン。
【請求項9】
前記リブのパターンの幅A2と高さB2とが下記式(III)及び(IV)、
B2/A2≧10 (III)
A2≦25 (IV)
A2:ガラスリブのパターンの幅(μm)
B2:ガラスリブのパターンの高さ(μm)
を満たす、請求項8に記載のガラスリブパターン。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の積層体パターンを製造する方法であって、リブ形成材料の上に感光性樹脂組成物の層を積層する積層工程、該感光性樹脂組成物を露光する露光工程、該感光性樹脂組成物の未露光部分を現像する現像工程を含む、積層体パターンの製造方法。
【請求項11】
さらにサンドブラスト処理工程を含む、請求項10に記載の積層体パターンの製造方法。

【公開番号】特開2010−76326(P2010−76326A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248882(P2008−248882)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】