説明

空気入りタイヤ及びその製造方法

【課題】 突起体の付加により加硫工程におけるサイドウォール部のエア溜まりを効果的に抑制して加硫故障を低減すると共に、その突起体を装飾物として活用することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3を備えた空気入りタイヤTにおいて、少なくとも一方のサイドウォール部2の外面に、サイドウォール部2の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部9aを含み、かつ各帯状突起部9の高さを末端側に向かって徐々に小さくした複数の突起体9を形成し、これら突起体9をタイヤ周上の異なる位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドウォール部の外面に突起体を設けた空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、突起体の付加により加硫工程におけるサイドウォール部のエア溜まりを効果的に抑制して加硫故障を低減すると共に、その突起体を装飾物として活用することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤを製造する場合、未加硫の空気入りタイヤを成形した後、該未加硫の空気入りタイヤを金型内で加硫する。このような加硫工程において、サイドウォール部にエア溜まりが形成されて加硫故障を生じることがある。そこで、空気入りタイヤのサイドウォール部の外面にタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に延びる帯状の突起体を形成し、言い換えれば、金型のサイドウォール部に対応する部分に上記突起体を成形するための凹部を設けることにより、その凹部を介してサイドウォール部と金型との間に残留するエアを集めて排気することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、空気入りタイヤのサイドウォール部の外面に単にタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に延びる帯状の突起体を設けた場合、加硫工程におけるサイドウォール部のエア溜まりを効果的に抑制することができず、加硫故障の低減効果が不十分である。また、単にタイヤ周方向又はタイヤ幅方向に延びる帯状の突起体は装飾性が低いため、サイドウォール部の外観を悪化させるという欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−1353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、突起体の付加により加硫工程におけるサイドウォール部のエア溜まりを効果的に抑制して加硫故障を低減すると共に、その突起体を装飾物として活用することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、少なくとも一方のサイドウォール部の外面に、該サイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした複数の突起体を形成し、これら突起体をタイヤ周上の異なる位置に配置したことを特徴とするものである。
【0007】
一方、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、少なくとも一方のサイドウォール部の外面に、該サイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした複数の突起体を成形するための凹部を備え、これら凹部をタイヤ周上の異なる位置に配置した金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを前記金型内で加硫することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、少なくとも一方のサイドウォール部の外面に複数の突起体を設け、即ち、金型のサイドウォール部に対応する部分に上記突起体を成形するための凹部を設けることにより、その凹部を加硫時のエアの通り道とするので、サイドウォール部と金型との間に形成されるエア溜まりを抑制することができる。特に、上述の突起体はサイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした構造を有しているので、より広い領域の残留エアを効果的に集めることができる。そのため、加硫工程におけるサイドウォール部のエア溜まりを効果的に抑制して加硫故障を低減することができる。また、上記突起体は複数本の帯状突起部の組み合わせにより簡易的な装飾体として活用することが可能である。そのため、エアを集めるための突起体がサイドウォール部の外観を悪化させることはなく、むしろ外観の向上に寄与することになる。
【0009】
本発明において、帯状突起部のサイドウォール部の表面から高さは該帯状突起部の交差点において最大値とし、該帯状突起部の交差点に金型のベントホールを配置することが好ましい。これにより、サイドウォール部と金型との間に残留するエアをより効果的に排気することができる。
【0010】
帯状突起部のサイドウォール部の表面から高さの最大値は0.3mm〜2.0mmとし、帯状突起部の幅は0.3mm〜2.0mmとすることが好ましい。これにより、エア溜まりの抑制効果を十分に発揮することができ、しかも突起体の装飾体としての視認性を十分に確保することができる。
【0011】
帯状突起部の形状としては種々の形状を採用することができる。特に、帯状突起部の横断面の形状を頂部側よりも基部側で広くなるような形状とすることが好ましい。また、帯状突起部の横断面の輪郭を屈曲点を含まない曲線又は直線で構成することが好ましい。これにより、突起体を成形するための凹部へのゴム流れが良好になるので、エア溜まりの抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤを示す側面図である。
【図3】図1の空気入りタイヤのサイドウォール部の要部を拡大して示す側面図である。
【図4】図1の空気入りタイヤのサイドウォール部の外面に形成された突起体を示す斜視図である。
【図5】突起体の変形例を示す斜視図である。
【図6】突起体の他の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の空気入りタイヤの製造方法で使用されるタイヤ加硫装置の一例を示す断面図である。
【図8】図7のタイヤ加硫装置の要部を示す断面図である。
【図9】突起体の種々の横断面形状を示し、(a)〜(d)はそれぞれ突起体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図3〜図6はその要部を示すものである。図1に示すように、空気入りタイヤTは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3を備えている。
【0014】
一対のビード部3,3間には1層のカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0015】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0016】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0017】
上記空気入りタイヤTにおいて、少なくとも一方のサイドウォール部2の外面には、図1〜図3に示すように、複数の突起体9がタイヤ周方向に等間隔で形成されている。各突起体9は、図4に示すように、サイドウォール部2の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部9aを含み、かつ各帯状突起部9aの高さが末端側に向かって徐々に小さくなるように構成されている。より具体的には、帯状突起部9aのサイドウォール部2の表面から高さは帯状突起部9aの交差点において最大値となり、その帯状突起部9aの交差点に後述する金型のベントホール30が配置されている。突起体9は両側のサイドウォール部2に形成されていることが好ましいが、片側のサイドウォール部2だけに突起体9を設けることも可能である。
【0018】
図4において、突起体9は複数本の帯状突起部9aから構成され、1本の帯状突起部9aの途中から他の1本の帯状突起部9aが枝分かれした構造になっている。突起体9の構造として、図5に示すように、1本の帯状突起部9aを他の1本の帯状突起部9aが横切るような構造としたり、或いは、図6に示すように、1本の帯状突起部9aを他の2本の帯状突起部9aが横切るような構造としても良い。
【0019】
図7は本発明の空気入りタイヤの製造方法で使用されるタイヤ加硫装置の一例を示し、図8はその要部を示すものである。図7に示すように、このタイヤ加硫装置は、空気入りタイヤTを成形するための金型10を備えている。金型10は、タイヤTのサイドウォール部2を成形するための下側サイドプレート11及び上側サイドプレート12と、タイヤTのビード部3を成形するための下側ビードリング13及び上側ビードリング14と、タイヤTのトレッド部1を成形するための複数のセクターモールド15とを備え、そのキャビティ内に回転軸を鉛直方向にして装填された未加硫のタイヤTを加硫成形するようになっている。加硫時において、タイヤTの内側には円筒状に成形されたゴム製のブラダー16が挿入される。
【0020】
ブラダー16の下端部は下側ビードリング13と下側クランプリング17との間に挟み込まれ、ブラダー16の上端部は鉛直方向に移動自在に構成された上側クランプリング18と補助リング19との間に挟み込まれている。そのため、閉型時には上側クランプリング18が図示のような下方位置に配置されることでブラダー16の膨張を許容する一方で、開型時には上側クランプリング18が上方位置に移動することでタイヤTの内側からブラダー16が引き出されるようになっている。
【0021】
上記タイヤ加硫装置には、ブラダー16の内部に加圧媒体を導入するための不図示の加圧媒体供給手段が設けられており、その加圧媒体の圧力に基づいて加硫時にタイヤTを内側から金型10の内面に向かって押圧するようになっている。加圧媒体としては、例えば、窒素ガスのような不活性ガスやスチームを使用することができる。
【0022】
一方、下側サイドプレート11、上側サイドプレート12及びセクターモールド15の外部には熱源21が配設されている。これら熱源21は、その構造が特に限定されるものではないが、例えば、内部に空洞を設け、該空洞内にスチーム等の加熱媒体を導入するようにした構造を採用することができる。
【0023】
上記金型10において、下側サイドプレート11及び上側サイドプレート12にはそれぞれ各サイドウォール部2の外面に突起体9を成形するための凹部29が形成されている(図8参照)。この凹部29は突起体9を反転させた形状を有している。つまり、凹部29は、サイドウォール成形面から窪みつつ互いに交差するように結合された複数本の溝部を含み、かつ各溝部に深さを末端側に向かって徐々に小さくした構造を有している。また、凹部29の溝部のサイドウォール成形面から深さは該溝部の交差点において最大値となり、該溝部の交差点にベントホール30が配置されている。
【0024】
上記のようなタイヤ加硫装置を用いて空気入りタイヤTを加硫する場合、金型10内に投入された未加硫の空気入りタイヤTは、ブラダー16により金型10の内面に押し付けられるが、サイドウォール部2の近傍に残留するエアは突起体9を成形するための凹部29を介して集められてベントホール30から金型10の外部に排出される。特に、突起体9はサイドウォール部2の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部9aを含み、かつ各帯状突起部9aの高さを末端側に向かって徐々に小さくした構造を有しているので、より広い領域の残留エアを効果的に集めることができる。また、帯状突起部9aの高さはその交差点において最大値をとり、該帯状突起部9aの交差点に金型10のベントホール30を配置しているので、より少ないベントホール30により効果的な排気が可能になる。そのため、加硫工程におけるサイドウォール部2のエア溜まりを効果的に抑制して加硫故障を低減することができる。
【0025】
なお、突起体9を成形するための凹部29にはタイヤ径方向の広い範囲から残留エアを集めることが求められるので、突起体9のタイヤ径方向の長さを十分に確保することが望ましい。そのため、突起体9のタイヤ径方向の長さLはタイヤ断面高さSHの20%〜80%の範囲に設定すると良い。突起体9のタイヤ径方向の長さLが20%よりも小さいとエア溜まりの抑制効果が低下する。
【0026】
また、突起体9は複数本の帯状突起部9aの組み合わせにより簡易的な装飾体として活用することが可能である。例えば、「Y」(図4)、「X」(図5)、「*」(図6)のような文字や記号を簡単に形成することができる。そのため、エアを集めるための突起体9がサイドウォール部2の外観を悪化させることはなく、むしろ外観を向上するためのデザインの一部として利用することができる。
【0027】
図9(a)〜(d)は突起体の種々の横断面形状を示すものである。図9(a)〜(d)に示すように、突起体9を構成する帯状突起部9aの形状としては種々の形状を採用することができる。図9(a)では、帯状突起部9aの断面形状が長方形になっている。図9(b)では、帯状突起部9aの断面形状が半円形になっている。図9(c)では、帯状突起部9aの断面形状が台形になっている。図9(d)では、帯状突起部9aの断面形状が長方形と半円形とを合わせた形状になっている。
【0028】
特に、図9(b)〜(d)に示すように、帯状突起部9aの横断面の形状を頂部側よりも基部側で広くなるような形状とすると良い。また、図9(b),(d)に示すように、帯状突起部9aの横断面の輪郭を屈曲点を含まない曲線又は直線で構成すると良い。これにより、突起体9を成形するための凹部29へのゴム流れが良好になるので、エア溜まりの抑制効果を高めることができる。
【0029】
帯状突起部9aのサイドウォール部2の表面から高さHの最大値は0.3mm〜2.0mmとし、帯状突起部9aの幅Wは0.3mm〜2.0mmとすることが好ましい。これにより、エア溜まりの抑制効果を十分に発揮することができ、しかも突起体9の装飾体としての視認性を十分に確保することができる。ここで、帯状突起部9aの高さHの最大値が0.3mmよりも小さいとエア溜まりの抑制効果及び装飾体としての視認性が低下し、逆に2.0mmよりも大きいと突起体9を成形するための凹部29内へのゴム流れが不十分になる。また、帯状突起部9aの幅Wが0.3mmよりも小さいと突起体9を成形するための凹部29内へのゴム流れが不十分になると共に装飾体としての視認性が低下し、逆に2.0mmよりも大きいとエア溜まりの抑制効果が低下する。
【実施例】
【0030】
タイヤサイズが205/55R16である空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、サイドウォール部の外面に複数の突起体を成形するための凹部を備えた金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを金型内で加硫することにより、サイドウォール部の外面に複数の突起体を形成し、これら突起体をタイヤ周上の異なる位置に配置した実施例1〜2及び比較例1〜4のタイヤを作製した。
【0031】
実施例1のタイヤは、サイドウォール部の外面にY字状の突起体(図4参照)を設けたものであり、その突起体はサイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された2本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした構造を有している。帯状突起部の高さの最大値は2.0mmとし、幅は1.0mmとした。帯状突起部のタイヤ径方向に対する角度は30°とした。
【0032】
実施例2のタイヤは、サイドウォール部の外面にX字状の突起体(図5参照)を設けたものであり、その突起体はサイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された2本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした構造を有している。帯状突起部の高さの最大値は2.0mmとし、幅は1.0mmとした。帯状突起部のタイヤ径方向に対する角度は30°とした。
【0033】
比較例1のタイヤは、サイドウォール部の外面にタイヤ径方向に直線状に延びる帯状突起部からなる突起体を設けたものであり、その帯状突起部は全長にわたって一定の高さを有している。帯状突起部の高さは2.0mmとし、幅は1.0mmとした。帯状突起部のタイヤ径方向に対する角度は0°とした。
【0034】
比較例2のタイヤは、サイドウォール部の外面にタイヤ周方向に直線状に延びる帯状突起部からなる突起体を設けたものであり、その帯状突起部は全長にわたって一定の高さを有している。帯状突起部の高さは2.0mmとし、幅は1.0mmとした。帯状突起部のタイヤ径方向に対する角度は90°とした。
【0035】
比較例3のタイヤは、突起体を構成する帯状突起部の高さを全長にわたって一定にしたこと以外は実施例1と同じ構造を有するものである。
【0036】
比較例4のタイヤは、突起体を構成する帯状突起部の高さを全長にわたって一定にしたこと以外は実施例2と同じ構造を有するものである。
【0037】
これら実施例1〜2及び比較例1〜4において、各サイドウォール部には20個の突起体を等間隔で配置した。特に、実施例1〜2では突起体のタイヤ周方向の相互間隔を約30mmとした。
【0038】
比較のため、サイドウォール部に突起体を設けていないこと以外は実施例1と同じ構造を有する従来例のタイヤを用意した。
【0039】
上述した従来例、実施例1〜2及び比較例1〜4のタイヤについて、以下の試験方法により、加硫故障発生率を評価し、その結果を表1に示した。
【0040】
加硫故障発生率:
各試験タイヤを40本ずつ加硫して加硫故障の有無を調べ、加硫故障発生率を求めた。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど加硫故障が少ないことを意味する。
【0041】
【表1】

【0042】
表1から明らかなように、実施例1〜2のタイヤは、従来例及び比較例1〜4に比べて加硫故障発生率が低いものであった。また、実施例1〜2のタイヤのサイドウォール部に形成された突起体は、複数本の帯状突起部が互いに交差し、かつ各帯状突起部の高さが滑らかに変化する構造を有しているため、装飾体としても違和感がないものであった。
【符号の説明】
【0043】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
9 突起体
9a 帯状突起部
10 金型
29 凹部
30 ベントホール
T 空気入りタイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤにおいて、少なくとも一方のサイドウォール部の外面に、該サイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした複数の突起体を形成し、これら突起体をタイヤ周上の異なる位置に配置したことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記帯状突起部の前記サイドウォール部の表面から高さを該帯状突起部の交差点において最大値とし、該帯状突起部の交差点に金型のベントホールを配置したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記帯状突起部の前記サイドウォール部の表面から高さの最大値を0.3mm〜2.0mmとし、前記帯状突起部の幅を0.3mm〜2.0mmとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記帯状突起部の横断面の形状を頂部側よりも基部側で広くなるような形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記帯状突起部の横断面の輪郭を屈曲点を含まない曲線又は直線で構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部を備えた空気入りタイヤを成形するためのキャビティを有すると共に、少なくとも一方のサイドウォール部の外面に、該サイドウォール部の表面から突出して互いに交差するように結合された複数本の帯状突起部を含み、かつ各帯状突起部の高さを末端側に向かって徐々に小さくした複数の突起体を成形するための凹部を備え、これら凹部をタイヤ周上の異なる位置に配置した金型を使用し、未加硫の空気入りタイヤを前記金型内で加硫することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記帯状突起部の前記サイドウォール部の表面から高さを該帯状突起部の交差点において最大値とし、該帯状突起部の交差点に金型のベントホールを配置したことを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記帯状突起部の前記サイドウォール部の表面から高さの最大値を0.3mm〜2.0mmとし、前記帯状突起部の幅を0.3mm〜2.0mmとしたことを特徴とする請求項6又は7に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項9】
前記帯状突起部の横断面の形状を頂部側よりも基部側で広くなるような形状としたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項10】
前記帯状突起部の横断面の輪郭を屈曲点を含まない曲線又は直線で構成したことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60181(P2013−60181A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201664(P2011−201664)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】