空気及び貫流水蒸気を用いて硬化させる現場硬化型ライナの設置
可撓性の樹脂含浸現場硬化型ライナを引き込んで、該ライナで既設の輸送管又管路のライニングを行い、樹脂含浸膨張ブラダを空気で膨張させて、圧力損失なしに貫流蒸気でライナを硬化させるプロセスを提供する。ライナは、外層を形成する不浸透性膜とともに管状に形成される樹脂吸収性材料を含む。また、膨張ブラダは、外層を形成する不浸透性膜とともに管状に形成される樹脂吸収性材料と、末端部に排気アセンブリを含んでおり、折り畳まれたライナ内へと、加圧された反転装置に通される。ブラダが末端部に達すると、排気アセンブリは、裏返ったブラダを出て、排気ホースに接続される。そして、蒸気が反転装置に導入されて、樹脂を硬化させ、排気管を通って排出される。硬化後、蒸気はライナを冷やすために空気と置換され、ライナの端部が切断されてホストパイプによる設備が復旧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2004年11月3日出願の同時係属仮出願第60/624,841号に基づく。
【0002】
本発明は、樹脂含浸ライナを既設導管内へと引き込み、樹脂含浸膨張ブラダを空気で裏返して、樹脂を連続蒸気流により圧力損失なしに硬化させる、現場硬化型ライナの設置法、及びこの方法を実施する装置に関する。本方法及び装置は特に、中径から大径の現場硬化型ライナを設置するのに好適である。
【背景技術】
【0003】
導管及び輸送管路、特に、流体を通すために用いられる衛生下水排水管、雨水排水管、水道、ガス管線のような地中管路は、流体の漏れ又は劣化が原因で補修を頻繁に必要とすることが一般によく知られている。このような漏れは、周囲環境から輸送管路の内部又は通流部へと内側へ向かう場合がある。あるいは、漏れは、輸送管路の通流部から周囲環境へと外側に向かう場合がある。いずれにせよ、この種の漏れを回避することが望ましい。
【0004】
漏れは、元の輸送管路の不適切な設置、又は通常の経年変化による管路自体の劣化、又は腐食性物質や研磨性物質を運ぶ影響に起因する。管継手又はその近傍での亀裂は、地震や、上方表面上での大型車両の通行、又は同様な自然又は人工的な振動などの環境条件、あるいは、その他の原因により引き起こされる。原因の如何にかかわらず、そのような漏れは望ましくなく、輸送管路内を運ばれる流体の浪費となり、又は周囲環境への損害をもたらし、公衆衛生に対する危険な障害を生じさせる可能性がある。漏れが続くと、それは、表土及び導管の側面支持を喪失させ、既設導管の構造上の欠陥につながる場合がある。
【0005】
絶えず増大している人件費及び機械設備費の故に、管路を掘り起こして新しい管路と交換することによって、漏れの可能性がある地中の管路又は部分を修理することは、ますます困難で不経済になっている。それ故、既存の輸送管路の現場修復又は更生のための種々の方法が考案されてきた。これらの新しい方法によれば、管路又は管路部分を掘り起こして交換することに伴う費用と危険、そして、一般の人々が被る、工事中の多大な不便が回避される。現在広く用いられていて最も功を奏する、輸送管路の修復又は非開削更生工法の1つは、インシチュフォーム(登録商標)工法と呼ばれる。この工法は、特許文献1乃至3に詳述されており、その内容は引用によって全て本明細書に組み込まれる。
【0006】
インシチュフォーム(登録商標)工法の標準的な実施において、フェルト布、発泡体又は同様の樹脂含浸可能材料を用い、外側の不浸透性被覆を有する細長い可撓性の管状ライナが熱硬化性硬化樹脂で含浸され、既設の輸送管路内に設置される。このライナは、特許文献2及び特許文献3に記載するように、反転プロセスを用いて設置される。この反転プロセスでは、反転されたライナの内側に半径方向の圧力が加えられ、ライナが輸送管路の内面に押し付けられて係合する。但し、インシチュフォーム(登録商標)工法は、ロープ又はケーブルによって樹脂含浸ライナを導管内に引き込むとともに、ライナ内で反転される別の流体不浸透性膨張ブラダ又はチューブを用いることにより、既設輸送管路の内壁に対してライナの硬化を引き起こすことで実施される。そのような樹脂含浸ライナは、一般に「現場硬化型パイプ」又は「CIPPライナ」と称され、その設置はCIPP設置と呼ばれる。
【0007】
CIPP可撓性管状ライナは、その初期状態において比較的柔軟で、ライナの外側を被覆する実質的に不浸透性のポリマーからなる、滑らかな外層を有する。反転の際には、設置中にライナが反転された後で、この不浸透層はライナの内側となる。可撓性ライナは、輸送管路内に現場で設置されると、該輸送管路は、好ましくは水又は空気のような反転用流体を用いて内部から加圧されるが、これはライナを半径方向の外側に押し付けて既設輸送管路の内面に嵌め合わせて合致させるためである。
【0008】
通常、ライナ又はブラダを反転させるのに必要な圧力水頭を与えるため、設置現場に反転タワーを建てる。あるいはその代わりに、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6に記載して説明した反転ユニットが使用され、これらの特許文献の内容は、参照により本明細書に援用される。反転ライナの端部に取り付けた再循環ホースを介して、反転したライナに熱水を投入することで硬化が開始される。反転用の水は、ライナの硬化が完了するまで、ボイラや熱交換器などの熱源を通って再循環され、反転したライナへと戻される。次いで含浸可能な材料に含浸させた樹脂が硬化し、既設輸送管路内において硬質の隙間なく嵌った剛性パイプライナを形成する。新しいライナは全ての亀裂を効果的に封止し、管路部分や管継手の劣化を修復し、これは既設輸送管路内への漏れや輸送管路外への漏れのいずれをも防止するためである。硬化した樹脂はまた、既設輸送管路の壁を強化する役目をもち、これは周囲環境に対する構造上の支持をさらに強化することを目的とする。
【0009】
現場硬化型管状ライナを引き込み及び膨張法で取り付ける場合に、ライナは反転法と同様に樹脂が含浸され、畳んだ状態で輸送管路内に配置される。通常、下端部にエルボを有するダウンチューブ、膨張パイプ又は導管を、既存のマンホール又は出入りポイント内に配置し、反転ブラダをダウンチューブに通してこれを開き、エルボの水平部分の開口部を覆うように折り返す。次いで、既設導管内の折り畳んだライナで、膨張ブラダの折り返し端部を覆うように配置し、折り返し端部に固定する。そして、水などの反転用流体をダウンチューブに供給することで、水圧により膨張ブラダがエルボの水平部分から押し出され、折り畳んだライナが膨張して、既設導管の内面に押し付けられる。膨張ブラダの反転は、ブラダが下流のマンホール、つまり第2の出入りポイントに到達して拡がるまで続けられる。この時点で、既設導管の内面に押し付けられたライナが硬化可能になる。熱水が膨張ブラダに導入されて硬化が始まり、その熱水は含浸ライナ内の樹脂を硬化させるために循環される。
【0010】
ライナ内の樹脂が硬化した後で膨張ブラダを取り除くか、又はこれを硬化したライナ内のその場に残すことができる。膨張ブラダを現場に残す場合には、ブラダは通常、不浸透性の外層の内側に、比較的薄い樹脂含浸可能な層を有する。この場合、当技術分野で公知のように、反転後の含浸可能層により、ブラダはライナの樹脂含浸層に固着する。この時点で、ライナを開いて、ブラダを膨張させるのに使用した水を排出し、マンホール内に延在する端部を切り離すために、マンホール又は出入りポイントに入る必要がある。膨張ブラダを除去する場合には、膨張ブラダの後端部に取り付けられて、反転速度の制御に使用する抑止ロープを脱出端部で引っ張ることで、膨張ブラダを除去することができる。これは通常、ブラダを反転させて樹脂の硬化を開始させるのに使用する水を排出するために、受け側でブラダの空気を抜いた後で行われる。最終的にダウンチューブが取り外され、ライナを裏当てした輸送管路によって設備が再び接続される。交差した設備の接続部分が存在する場合には、ライナを付設した輸送管路による設備が再開する前に、それらの接続部分が再び開かれることになる。
【0011】
インシチュフォーム(登録商標)工法で利用する既存の水反転法では、ライナは冷水を使って反転される。既設導管内でライナを完全に反転させた後で、加熱水をライナの反転面に接続された平置き管に通して循環させる。熱水は、硬化サイクルの間、循環される。中径及び大径の管では、ライナ直径が大きくなるにつれて、反転に必要な水量が劇的に増加する。ライナを膨張させるために使用する水は全て、反転式であっても引き込み及び膨張式であっても、加熱及び硬化サイクル中に加熱しなければならない。また、硬化が完了すると、ライナを導管の端部で切断した後、硬化用の水が下流の導管に放流できる温度になるまで、冷水を加えるか又は循環を続行させて硬化用の水を冷却するか、あるいは硬化したライナから硬化用の水をポンプで送水して、基準を満たす廃棄処理システムへと運ぶ必要がある。
【0012】
水を使ったこれらの装置を用いる主な欠点は、反転用の水量とその入手可能性にある。水は通常、硬化の目的で55°F乃至180°Fに加熱され、そして基準を満たす廃棄処理システムへと排出される前に、さらに水を加えて100°Fにまで冷却しなければならない。
【0013】
この欠点は、反転力を発生させるために、水の代わりに空気を使用すれば克服することができる。含浸ライナが完全に反転されると、含浸ライナを水蒸気で硬化させることができる。水蒸気を発生させるには水が必要であるが、水蒸気の形態での水量は、水による反転、硬化、及び冷却に必要とされる水量の5乃至10%にすぎない。このことは、たとえ水が現場で簡単に入手できない場合でも、水蒸気を硬化に使用できることを意味する。水量をこのように大幅に低減できるのは、1ポンドの加熱水に比べて水蒸気の形態の1ポンドの水から得られるエネルギーの方が大きいことによる。1ポンドの水蒸気が凝縮して1ポンドの水になると、約1000BTUの熱が放出されるのに対して、1ポンドの水は、温度が1°低下するごとに1BTUだけ熱を放出する。必要とする水量がこのように低減されることに加えて、昇温サイクルが事実上不要になることで、硬化サイクル時間及び取付時間が大幅に短縮される。
【0014】
空気による反転及び水蒸気による硬化の使用にこのような明白な利点がありながら、水による反転及び熱水による硬化を廃止するのに業界が手間取っているのはなぜであろうか。
【0015】
樹脂含浸ライナの反転に水を使用する場合に、反転ノーズ部から反転装置にかけてライナの反転されない部分は、ライナによって置換される水量に等しい浮力により浮き上がる。CIPPライナの場合、これは、ライナの有効重量が大幅に減少し、反転されていないライナを反転ノーズ部に向けて引っ張るのに必要な力も低減することを意味する。反転力を発生させるために空気を使用する場合、反転されないライナは管路の底部にあり、ライナの反転ノーズ部に作用する空気圧でライナの全重量を前方に引っ張る必要がある。
【0016】
反転エネルギーの発生に如何なるものを用いようとも、CIPPライナを反転させるには、3つの力を克服しなければならない。これらの力とは以下のものである。
【0017】
1.ライナを反転させる(ライナを裏返す)のに必要な力。この力は、ライナの厚さ、材料の種類、及びライナ厚さと直径との関係によって変わる。
【0018】
2.反転装置から反転ノーズ部までライナを引っ張るのに必要な力。
【0019】
3.ライナを反転装置によって引っ張るのに必要な力。
【0020】
上記の1番目の力(1)は通常、空気による反転と、水による反転とで同じである。
【0021】
2番目の力(2)は空気と水で大きく異なり、空気による反転の長さを制限することがある。取り付けるCIPPライナの品質に悪影響を及ぼすことなく、及び/又は、既設導管に損傷を与えることなく、ライナを反転させるために使用することができる圧力には制限がある。必要な引張力を小さくするために、水による反転と空気による反転の両方において、潤滑剤を使用することができる。
【0022】
3番目の力(3)は、装置設計によって変わる場合がある。現在使用されている殆どの装置では、ライナをその装置に通して引っ張るのに必要な力は、1番目の力と2番目の力のいずれか又は両方が大きくなると増加する。これは、利用できる反転エネルギーを増やすために、今日使用されている典型的な装置では、ライナの入り口ポイントの下の圧力室から、装置及び反転されるライナのバンドで縛り付けた折り返し端部に至るまでの加圧流体の損失を抑制する必要があるという事実による。通常、空圧式の括約筋状グランドの空気圧を増加させることによって、又は反転用流体によって作動されるグランドを使用することによって、この抑制を行う。通常の場合、内方への移動は、グランド材料及び反転CIPPライナの圧縮によって制限される。そして、これにより、反転CIPPライナとグランドとの間の摩擦が増加することになる。
【0023】
代案として、水蒸気がもつエネルギーを考慮して、水蒸気の使用が提案された。膨張ブラダを膨張させるために空気を使用し、そして貫流水蒸気を使用することは、インシチュフォーム(登録商標)による特許文献7及び特許文献8に開示されており、これらの特許文献の内容は、参照により本明細書に援用される。これらの最近登録された特許に開示した方法は、引き込み及び膨張技術を利用し、これまでのところ小径のライナに対して使用されている。これらの方法は、小径サイズのライナに対して、水による反転に勝る利点をもたらす。これらの特許に開示した浄化容器を使用することは、中径のライナや大径のライナには適さない。なお、中型ライナではその直径が約21インチ(0.5334m)と約45インチ(1.143m)との間とされる。大径のライナではその直径が45インチを超える。
【特許文献1】米国特許第4,009,063号明細書
【特許文献2】米国特許第4,064,211号明細書
【特許文献3】米国特許第4,135,958号明細書
【特許文献4】米国特許第5,154,936号明細書
【特許文献5】米国特許第5,167,901号明細書(再発行特許第35,944号)
【特許文献6】米国特許第5,597,353号明細書
【特許文献7】米国特許第6,708,728号明細書
【特許文献8】米国特許第6,679,293号明細書
【特許文献9】米国特許第4,366,012号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
硬化に熱水を利用する既存の方法には上記の様々な利点があるものの、その欠点は、エネルギーと人件費を増加させる傾向があり、また水の大量使用を必要とし、その水には、通常使用する樹脂のタイプに起因してスチレンが混入することがある。従って、中径及び大径のCIPPライナに適した補修方法を提供することが望まれており、その場合に、現在実施されている様々な補修方法よりも速くかつ経済効率の良い設置方法を提供するために、水蒸気の利用可能なエネルギーを用いることで、ライナは、統合された空気及び水蒸気の排出パイプを有する樹脂含浸膨張ブラダにより、空気を用いて膨張し、樹脂を水蒸気の貫流によって硬化させる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
概略的に言うと、本発明に従って、現場硬化型ライナの引き込み及び膨張設置法によって既設輸送管路を補修する方法が提示される。空気は、樹脂含浸膨張ブラダの膨張に使用され、ライナ及びブラダ内の樹脂は、圧力損失なしに貫流水蒸気で硬化する。樹脂含浸ライナは補修を要する既設輸送管路内に引き入れられ、輸送管路を越えて延在する端部が切断される。不浸透性のコーティングを被覆された樹脂含浸材料層を有する膨張ブラダには、その末端部に排出管が取り付けられる。この排出管は、抑止取付具を備えた開口端を有する。その反対側、つまり水蒸気弁を備えたキャップ付き端部を有す先端部は、膨張ブラダの後端部に挿入され、該先端部が、膨張ブラダの末端部、つまり抑止端部にバンド締めされる。
【0026】
抑止ロープと、穴の開いた平置きホースは、抑止取付具に取り付けられる。樹脂含浸ライナがホストパイプに引き入れられる。膨張ブラダは、反転ブーツを備えた加圧反転チャンバを通って引き込まれる。ライナの近位端部は、反転ブーツ上の反転ブラダを覆うようにバンド締めされる。加圧された空気が、反転チャンバの弁に供給され、反転用空気によってブラダが反転し、引き込みライナを膨張させる。
【0027】
排出管がホストパイプの遠位端部に達して見えるようになると、反転が停止される。穴の開いた平置きホースが切断され、その末端部には水蒸気ホースが取り付けられる。チューブ端部アセンブリがライナの近位端部に取り付けられ、反転ブラダが反転されることで、膨張チューブが端部アセンブリと係合し、反転が完了した際に排出管が露出する。
【0028】
露出した排出管の遠位端部には、排出ホースが取り付けられる。平置きホースの近位端部に連結された水蒸気ホースはボイラに接続される。水蒸気が平置きホースに供給されることでライナが暖められ、ライナ内の圧力を維持するために、排出管の排出弁が開かれる。水蒸気及び空気の流れについては、充分な温度に上昇するまで維持され、それから空気を減らし、供給される全水蒸気によって樹脂を硬化させる。硬化サイクルの終期には、水蒸気弁を徐々に閉めていき、冷却を開始するために空気が加えられる。従来の設置法と同様に、ライナの端部が切断される。
【0029】
従って、本発明の目的は、樹脂含浸ライナを引き込んで、膨張ブラダを反転させる空気を利用して樹脂含浸ブラダを反転させて膨張させることにより、現場硬化型ライナを取り付ける、既設輸送管路の改良された更正方法を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、現場硬化型ライナの取り付けに使用する改良された膨張ブラダを提供することであり、該ブラダの後端部には排出管が取り付けられる。
【0031】
本発明のさらなる目的は、貫流水蒸気を利用して樹脂を硬化させることで、現場硬化型ライナの改良された引き込み及び膨張設置方法を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、引き込み及び膨張によって現場硬化型ライナを取り付ける、改良された方法を提供することにあり、空気を用いてブラダを反転させてライナを膨張させ、そして貫流水蒸気を用いて膨張ブラダ及び引き込みライナ内の樹脂を硬化させる。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、膨張ブラダの後端部に取り付けられて、膨張ブラダ及びライナを貫流する空気及び水蒸気の排出を可能にする排出部を提供することである。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、現場硬化型ライナの改良された設置方法を提供することにあり、ブラダの長手方向に沿って制御される水蒸気を供給するために、膨張ブラダの後端部に結び付けた、穴付きの平置き管を使用して、水蒸気でライナを硬化させる。
【0035】
本発明のさらに別の目的及び利点について、その一部は明白であり、また他の部分は本明細書から明らかになるであろう。
【0036】
従って、本発明には幾つかのステップと、1つ又は複数のそのようなステップの他のステップに対する関係が含まれ、詳細な開示に例示される特徴、特性、及び各要素の関係を有する装置と本発明の範囲が特許請求の範囲に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、ハイウェイ13、14の下を横切る既設の通路12を備えた、典型的なハイウェイ排水路11を示す。図1は上側開口16及び下側開口17を示す。樹脂含浸ライナは、適切な冷蔵トラック19で現場に持ち込まれ、下側開口端17にあるウインチ43によって上部開口端16から引き込まれる。ライナ18は、損傷を防止し、長手方向の伸びを管理するために、ポリプロピレン製スリーブで巻装される。
【0038】
当技術分野で一般的に公知のタイプの、可撓性をもった現場硬化型ライナは、可撓性樹脂含浸材料による1つ以上の層、例えば、不浸透性ポリマーフィルムの外層を有するフェルト層などで形成される。フェルト層及びフィルム層は、継ぎ目線に沿って縫合されて管状ライナを形成する。テープ状又は射出成形材料の形態の、相性のよい熱可塑性フィルムが継ぎ目線上に置かれるか又は押し出されるが、これはライナの不浸透性を保証するためである。そのようなライナは、特許文献7及び特許文献8に詳しく記載されている。
【0039】
直径がより大きなライナには、フェルト材料からなる複数の層を使用することができる。フェルト層は、天然の可撓性樹脂吸収性材料又はポリエステル繊維やアクリル繊維などの合成の可撓性樹脂吸収性材料とすることができる。外層の不浸透性フィルムは、当技術分野で公知のように、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリ塩化ビニルなどのビニルポリマー、又はポリウレタンとされる。全ての非開削更生設置の最初の段階で、既設の輸送管路は洗浄及びビデオテープ撮影によって準備が整えられる。
【0040】
図2(a)、図2(b)、図2(c)を参照すると、キャップ付き端部22を備えた排出管21が示されており、水蒸気弁23が末端部で膨張ブラダ24に挿入される。排出管21は、鋼で被覆された一本の水蒸気ホース26から形成され、抑止取付具28を備えた開口端27を有する。排出管21の反対側の端部、つまり先端部29は、膨張ブラダ24の後端部に挿入され、この膨張ブラダの後端部は、鋼製バンド31で排出管21の後端部、つまり抑止端部に縛り付けられている。排出管21は樹脂フィルムチューブ34で覆われ、この樹脂フィルムチューブは多数のケーブルタイ36で拘束されることで、ブラダ24が裂けないように防止している。
【0041】
図3に示すように、排出管21のキャップ付き端部22は、膨張ブラダ24に挿入され、バンド31で固定される。抑止ケーブル32は、抑止取付具28に取り付けられる。また、凝縮パイプ33が排出管21の開口端27に取り付けられる。
【0042】
膨張ブラダ24はまた、図8に示すように、ブラダ24の端部から約2フィート(0.6096m)乃至約4フィート(1.2192m)のところに形成された排気口81を有することができる。これは、ブラダ24が反転される際に、ブラダ24内の空気が反転装置内の弁を通過する前に、この空気を排出できるようにする。排気口81は、ブラダ24の上部層に1/2インチ(1.27cm)の穴82を開け、その穴を、3つの側辺部が固定された第1のパッチ83で覆うとともに、排気口81を形成するために、これもまた3つの側辺部が固定された大きい方の第2のパッチ84で第1のパッチを覆うことで形成される。パッチ83、84は、外側に不浸透性層を有するライナ材料で形成される。
【0043】
排気口81の典型的な寸法は以下の通りである。第1のパッチ83は、縦約3インチ(8.89cm)乃至約6インチ(15.24cm)で、横約3インチ乃至約6インチとされ、穴82上に置かれる。通常、パッチ83は3インチ(8.89cm)及び5インチ(12.7cm)の長方形とされ、2つの短辺部及び遠位側の長辺部がブラダ24の外層に固定される。第2のパッチ84は、若干大きいことを要し、縦約4インチ(10.16cm)乃至約7インチ(17.78cm)で、横約4インチ乃至約7インチとされる。通常、パッチ84は、一辺が4インチで他辺が6インチとされ、2つの短辺部及び手前側の長辺部がブラダ24の外側コーティングにしっかりと固定される。
【0044】
本発明による方法に従って取り付けを開始する前に、「ウエットアウト」と呼ばれる方法によって熱硬化性樹脂をライナ18のフェルトに含浸させる。ウエットアウト法は通常、ライニング技術では公知のように、端部又は不浸透性フィルム層内に形成した開口からフェルト層に樹脂を注入し、真空に引き、含浸ライナをニップローラに通すことを含む。真空含浸の、そうした1つの手順は、インシチュフォーム(登録商標)の上記特許文献9に記載されており、この特許の内容は、参照により本明細書に援用される。ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂など幅広い種類の樹脂を使用することができ、これらの樹脂は要望通りに変更することができる。室温では比較的安定であって、加熱時に、容易に硬化する樹脂を用いることが望ましい。
【0045】
含浸ライナ18をホストパイプ12の上側開口端16からホストパイプ12の下側開口端17に向かって約20フィート(6.096m)のところに配置する。上側開口端16から下側開口端17までロープ又はケーブル15を通す。次いで、ケーブル15を引き込みウインチ43に取り付けて上側開口端16に向けて引き寄せる。
【0046】
ポリプロピレンフィルム42もしくは他の適切な樹脂フィルムからなるロール41又はスリーブが、引き込みライナ18の下方に置かれ、該ライナがホストパイプ12に入る際に巻き付けられる。ウインチ43によってライナ18がホストパイプ12に引き込まれるときに、ライナ18を保護するために、スリーブ20をライナ18に折り重ね、バンド又はテープで縛る。ライナ18の引き込みは、ライナ18の遠位端部18bがホストパイプ12の端部から所望の距離に来るまで続けられる。開口18cが遠位端部18bに形成されており、これは排出管21の正確な位置決めの助けとなる。
【0047】
ブラダ24は空気反転ユニットを用いてライナ18内に向けて反転される。本実施形態では、反転ユニット51は、ブラダ24が空気で反転されるときにブラダ24と係合する少なくとも1つの弁又はグランドを有する。ユニット51は、上記特許文献4に示すタイプの少なくとも1つの括約筋状の弁52を有し、引き込みライナ18の後端部に配置される。ユニット51は、入口端部53と反転ブラダ24の直径に合わせた反転ブーツ56を備えた出口端部54とを有する。空気が弁の空気流入口57に注入されて弁52を作動させ、ブラダ24を拘束する。反転ブーツ56は、空気を注入して膨張ブラダ24の反転を制御するための反転用空気流入口58を有する。
【0048】
膨張ブラダ24は折り畳まれ、ブーツ56をバンド固定する面を十分に越えるまで反転ユニット51に通される。次いで、ブラダ24は、ブーツ56に折り重ねられ、その上にバンドで固定される。次いで、バンドで固定されたブラダ24を覆うように、引き込みライナ18を反転ブーツ56に縛り付ける。反転装置51の括約筋状の弁52を作動させ、反転ブラダ24を反転させるための反転空気ホースを反転ユニット51に接続する。
【0049】
水による反転プロセスを用いた、従来の引き込み及び膨張設置法では、ブラダ及びライナ内の圧力が、ダウンチューブ内の水柱の高さによって維持される。硬化は含浸ライナを熱に当てることで始まる。これは通常、加熱した水を反転パイプに導入することで行われるか、又は反転ブラダの後端部に接続された抑止ロープによって反転ブラダに引き入れられる再循環ホースに、熱水を通して循環させることで行われる。一般的に、熱水を使用した硬化では、選択した樹脂の種類及びライナ厚に応じて約3時間から約5時間を要する。硬化後には、膨張ブラダを除去する前に、硬化後の加熱水を排出するために、下流のマンホールに入る必要がある。
【0050】
これは中径及び大径のライナの場合に重大な問題をもたらし、特に、図1に示すような傾斜のきつい典型的なハイウェイ排水路において、再ライニングを行う場合に問題となる。多量の水が必要となるだけでなく、高低差による圧力が加わるために膨張ブラダを破裂させる虞がある。これを回避するためには、空気で膨張させ、水蒸気で硬化させることが望ましい。また、水蒸気の保有するエネルギーにより、ライナは、より速く、より低いエネルギーコストで硬化することになる。
【0051】
例えば、下表1は、水による硬化と水蒸気による硬化を対比させて、エネルギー及び水の必要量を示しており、現場硬化パイプは、その長さが9.5フィート(2.8956m)のダウンチューブ及び3.5フィート(1.0668m)の下流端部を含めて114フィート(34.7472m)で、直径が42インチ(1.0668m)とされる。
【0052】
【表1】
【0053】
図4は、上記特許文献4に開示したタイプの典型的なチューブ反転装置51を示しており、この特許の内容は、本発明の好ましい実施形態に従って使用するために、参照により本明細書に援用される。この反転装置51は、ホストパイプの上流端部で水平方向に取り付けることができる。上記特許文献4に示す各種の連結具が装置51に取り付けられることで、括約筋状の弁52を作動させる空気を導入して、膨張ブラダ24の内部に反転用空気を供給し、膨張ブラダ24及びライナ18内の樹脂を硬化させる作用をもつ蒸気を供給することができる。
【0054】
膨張ブラダ24を反転装置51に通して、バンドで反転端部に縛り付ける。ライナ18の露出した上流側の端部は、ブラダ24を覆うようにバンドで縛り付けられる。弁52が加圧され、ブラダ24は、ライナ18内へと反転される。反転させるのに十分な空気圧が空気流入口に供給される。ブラダを送り込みながらブラダ24の表面に潤滑剤を加えることで、ブラダ24の反転中にグランドを通ってブラダが容易に移動できるようになる。
【0055】
反転速度を一定に維持するために、反転用空気の供給量とブラダの圧力を調整する。推奨圧力は以下の通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
膨張ブラダ24が反転装置51を通過し、抑止端部が装置51に近づくと、蒸気導入用の穴の開いた平置きホース71を抑止取付具28に取り付ける。抑止取付具28、抑止ケーブル32及び平置きホース71を反転装置51に入れるときには注意を要する。
【0058】
通常、平置きホース71は最小限の圧力で水蒸気温度に耐えるゴムなどの任意の可撓性ホース材料とされる。好適なゴムには、Viton(登録商標)ゴム、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)、及びニトリル被覆の強化ポリエステルホース材料がある。そのようなホースは、耐油性及び耐候性をもつことが好ましい。通常、平置きホース71は直径が4インチ(10.16cm)のホースである。しかし、直径が3インチ(7.62cm)及び2インチ(5.08cm)のものも、本発明による空気での反転及び水蒸気での硬化による設置時の使用に適する。水蒸気の使用後において、ニトリル被覆の強化ポリエステルホースの物理的な特性に劣化はみられない。このホースは、それ自体で水蒸気を運ぶために使用されるのではなくて、別のチューブ及びライナ内で使用され、従って、平置きホースにかかる圧力は、マニホルド出口圧力と硬化するチューブ及びライナの内圧との差である。この圧力差は通常、硬化開始時の約1.5psi(約10342Pa)から硬化サイクル終了付近での0.5psi(約3447Pa)の範囲にある。
【0059】
平置きホース71には、所定のパターンで穴が開いており、末端部が閉じている。これらの貫通穴により、半径方向の高速な蒸気噴流及び乱流が発生し、平置きホース71の位置又は回転にかかわらず、硬化中に、反転したライナ内の温度勾配を低減させ、熱伝達を促す。貫通穴の寸法は、ホストパイプの直径とホストパイプの裏当てする長さに応じて、直径が1/16インチ(0.15875cm)から1/4インチ(0.635cm)の範囲をとる。2つの穴の繰り返しパターンが、平置きホースにおいて互いに反対側を向いて配置され、長手方向に4インチ(10.16cm)から12インチ(30.48cm)の間隔をもって離されて、平置きホースの全長に亘って形成される。穴の寸法については、水蒸気流が平置きホースの全長に沿って十分な速度を有し、全水蒸気流を含めた容積流量が水蒸気ボイラの容量と一致するように選択される。
【0060】
上記のCIPPチューブの取り付け及び硬化に平置きホースを使用することで、3つの有意義な目的が達成される。
【0061】
1.水蒸気エネルギーが、CIPPチューブの底部において全長に亘って投入されることで、近位端部から遠位端部にかけての温度成層化を防止する。
【0062】
2.近位端部から穴までの距離が長くなると、各穴から注入される実際の水蒸気量が少なくなる。これは、注入した水蒸気の平均滞留時間がCIPPチューブを硬化するために最適化されることを意味する。
【0063】
3.平置きホースの配置により、ホストパイプの撓んだ領域に凝縮水が溜まった場合でも、CIPPチューブの底部が確実に硬化する。平置きホースの外部温度が200°Fとされ、水蒸気を注入して凝縮させる、貫通した水蒸気穴を設けることで、効果的な硬化が保証される。
【0064】
硬化ライナに、このような方法で水蒸気を供給することで、硬化サイクル中にCIPPチューブに注入される水蒸気1ポンド当たりの、硬化する樹脂のポンド数で表される硬化効率が高まる。チューブの長手方向に沿ってエネルギーが一様に分布する結果、チューブの上部から底部まで、そして近位端部から遠位端部まで均等な加熱の開始がもたらされる。
【0065】
膨張ブラダ24の反転が続行されて、定められた下側開口端17に近づくと、排出管21が反転面から出始める。その正確な位置は、下側開口端17から延びるライナの遠位端部18bに検査開口18cを開けることで決められる。これは、図5に、より詳細に示されている。膨張ブラダ24内の空気圧は、反転を止めたときに維持される。この時点で、排出管21は、図6(a)に示すように、端封鎖用アセンブリ61に向かう。図6(b)は、完全に反転した状態の膨張ブラダ24を示しており、排出管21が図7(a)の端封鎖用アセンブリ61を貫通している。アセンブリ61の詳細を図7(a)及び図7(b)に示す。反転は、膨張ブラダ24が端封鎖用アセンブリ61によって止められ、排出管21が端封鎖用アセンブリ61内に係合されるまで続く。
【0066】
封鎖用アセンブリ61は、排出管21が下側開口端17を出たときに、排出管21を係合させるために、拡がった中央領域63を備えた上側の平クランプ62と、拡がった中央領域66を備えた下側の平クランプ64を有する。上側クランプ62及び下側クランプ64はいずれも、ライナ18の遠位端部付近に多数のボルト67により、ともに固定される。
【0067】
この時点で、取り付けた穴付き平置きホース71に水蒸気が導入されて、引き込みライナ18及び膨張ブラダ24内の樹脂の硬化が始まる。本発明の例示的な実施形態では、平置きホース71は、直径が4インチ(10.16cm)の高温熱可塑性チューブである。両側の折り曲げ部の折れた縁部から1/2インチ(1.27cm)のところで、1/8インチ(0.3175cm)のオリフィスが1フィート(30.8cm)間隔で開いている。このオリフィスパターンにより、より多くの水蒸気が近位端部にもたらされ、ホース71が取り付け時に回転した場合でも良好な混合が保証される。水蒸気は水蒸気流入ホースから供給され、このホースは、水蒸気を供給するための注入管に空気及び水蒸気の混合物を供給する弁マニホルドによって調整される。空気と水蒸気の流れは、混合した空気及び水蒸気流の温度が、排出管で測定して約170°F乃至約220°Fの所望の温度に達するまで、硬化圧力を約3psi(約20684Pa)乃至約6psi(約41369Pa)に維持するように調整される。
【0068】
psig単位で表した推奨の暖機圧及び硬化圧は以下の通りである。
【0069】
【表3】
【0070】
特定の樹脂とチューブ厚にもよるが、硬化が完了した場合に、水蒸気流を止めると同時に、空気流を調整して硬化圧を維持する。排出弁が調整されて、少なくとも1時間が経過するまでの間、時計の6時位置で約130°Fへの冷却が行われる。
【0071】
温度が所望のレベルまで冷却されると、空気流の圧力はゼロに低下し、排出弁が完全に開かれる。ブラダ24内に溜まった凝縮水は、排出アセンブリ21の凝縮水の排出管33によって取り出される。
【0072】
本明細書で説明した現場硬化型パイプ(CIPP)用ライナの、空気反転及び水蒸気硬化による設置法は、中径から大径(18インチ乃至84インチ)のライナを取り付け、硬化させるための、費用効果が高く効率の良い方法である。水蒸気を使用して、反転したライナを収縮させることなく硬化させるには、これらと同径のCIPP用ライナをより一般的に熱水で硬化させる場合とは、全く異なる手順が必要である。熱水による硬化を用いた手順では通常、熱水はボイラに再循環される。これに対して、水蒸気による硬化では、凝縮及び圧力損失を回避するために、単一の貫流路を使用する。また、そのような凝縮によって、ライナの底部には低温領域が生じ、硬化に必要なエネルギーを供給できなくなる。中径及び大径のCIPP用ライナに対して水蒸気による硬化を使用する場合もまた、小径(6インチから15インチ)のCIPP用ライナの、水蒸気による硬化で使用する技術とは異なる技術が必要である。
【0073】
適切に使用すれば、水蒸気による硬化では、熱水による硬化で使用される水量の約5%、エネルギーの約15%乃至約30%しか使用しないという点で、水蒸気による方法は水による方法に比して、環境に対して遥かに優しい硬化方法である。CIPP用ライナに対する水蒸気による硬化の使用を18インチ(45.72cm)以上の直径まで拡張しようとする初期の試みでは、多くの場合、取り付けたCIPP用ライナの下側部分の硬化が不完全であった。多量の水蒸気、及び/又は水蒸気と空気を使用することにより、この硬化問題を克服する試みは、ほんの少し成功したに過ぎない。また、多量の水蒸気を導入すると、硬化サイクル時間が長くなりがちであって、使用するエネルギーが増大し易い。サイクル時間が延び、エネルギーが増えたとしても、特定の現場条件下で効果的に硬化させることはその実現が困難である。これは、温度成層化のためと、パイプ及び硬化ライナの下側部分に凝縮水が溜まる領域が存在することによるものと考えられる。溜まった凝縮水は、蒸気ブランケットからその下の樹脂層への熱伝達を遮って妨げる。
【0074】
中径から大径のCIPP用ライナを熱水で硬化させるには通常、硬化する樹脂1ポンド当たり約1500BTUから約2500BTUの熱量を必要とする。これに対して、小径(6インチから12インチ)の蒸気硬化ライナでは、硬化する樹脂1ポンド当たり約700BTUから約1000BTUの熱量を必要とする。
【0075】
上述の方法は、CIPP用ライナの底部に凝縮水が溜まった領域が存在したとしても、樹脂1ポンド当たり約300BTUから約500BTUで完全なCIPP硬化を確実に行うことができる。これは、温度成層化及び溜まった凝縮水による硬化への悪影響をなくすように蒸気注入位置を調整する、水蒸気注入方法を使用することで可能になる。この方法はまた、CIPP用ライナの長手方向に沿って水蒸気注入の量及び位置を調整して、凝縮水又は水蒸気としてCIPP用ライナの遠端部から水蒸気が排出される前に、各ポンドの水蒸気から樹脂フェルト層への熱伝達を最大化する。
【0076】
本明細書で説明したように、水蒸気は、端部が閉じたホースに注入され、このホースは、反転されて膨張したCIPP用ライナ内に置かれる。制御弁を備えた独立した排出口が、CIPP用ライナの遠位端部からの水蒸気及び凝縮水の排出を調整するために設けられる。ホースは、該ホースの全長に亘って(所定の大きさ及び間隔で)離間した多数のオリフィスを含む。オリフィスの、ホースの周方向における配置は、CIPP用ライナ内を移動中にホースが如何に回転しようとも、ホースの長手方向に沿った多数のオリフィスがCIPP用ライナの底部の方を向くように設計される。これにより、硬化サイクルの間中、水蒸気は、溜まった凝縮水へと絶えず注入される。水蒸気を凝縮水に注入すると、凝縮水は、確実に硬化させるのに必要な温度を超えて加熱される。
【0077】
蒸気注入ホースの端部を閉じることで、注入ホースの内圧をCIPP用ライナの内部硬化圧よりも高くすることができる。注入した蒸気は、ホースの長手方向に移動するので、オリフィスを通って強制的に排出され、CIPP用ライナ内に蒸気ブランケットを形成する。水蒸気注入ホースの内圧とCIPPの内圧との間の内圧差は、水蒸気が水蒸気注入ホースの注入端部から離れるにつれて小さくなる。従って、各オリフィスから注入される水蒸気量は、蒸気注入ホースの長さに沿って減少する。
【0078】
これによって3つの事項が達成される。
【0079】
1.滞留時間が長くなり、それによって、大部分の水蒸気がCIPP用ライナの内部で利用でき、樹脂フェルト層への熱伝達が最大化される。
【0080】
2.水蒸気がCIPP用ライナの排出端部に向けて移動するときに、蒸気ブランケットにエネルギーをさらに連続して加え、エネルギー伝達率を高い状態に維持する。
【0081】
3.蒸気ブランケットに水蒸気を注入することで乱流が発生し、この乱流は温度成層化をなくし、エネルギー伝達を増加させる。
【0082】
CIPP用ライナの物理的な特性(直径、長さ、厚さ、樹脂、及び触媒システム)と、単位時間当たりのBTUでの、利用可能なボイラ出力を知ることで、オリフィスの寸法を調整して、単位時間当たりの水蒸気のポンド数で表したボイラ出力を、推奨の硬化サイクル時間に整合させることができる。
【0083】
容易に分かるように、本発明による方法では、貫流水蒸気を用いて樹脂ライナを硬化させるという利点が簡単に得られる。この方法を実施することによって、管状部材は、既設輸送管路を通って簡単に反転させることができる。選択的に開くことが可能な排出弁と排出管を反転膨張ブラダの後端部に設けることによって、ブラダ及び膨張ライナ内で圧力を維持することができ、水蒸気を反転部の入り口に導入して硬化ライナに貫流させ、その水蒸気の保有する利用可能な、より高いエネルギーを利用することで、循環熱水を利用して硬化させる場合よりも、遥かに速く樹脂を硬化させることができる。
【0084】
前述の記載から明らかになった目的のうち、上述の目的が効率的に達成されることは勿論であり、そして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の構成に特定の変更を加えて上記の方法を実行できることから分かるように、上記の記載に含まれ、かつ添付図面に示した全ての事項は例示として解釈されるべきものであって、限定を意図するものではない。
【0085】
また、特許請求の範囲は、本明細書に述べられた本発明の一般的で具体的な特徴の全て、そして、言語の問題として、その範疇に入るものとされる本発明の範囲に係る全記述を網羅することを意図すると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】ホストパイプへのライニングを行う取付作業の開始時において、典型的な州間ハイウェイの排水路内に、排水路の上流、つまり反転端から、排水路の下流、つまり末端まで、樹脂含浸の現場硬化型ライナを引き込む様子を概略的に示す断面立面図である。
【図2(a)】現場硬化型膨張ブラダ内に排出ホースアセンブリを取り付ける際の当該アセンブリを示す概略断面図である。
【図2(b)】現場硬化型膨張ブラダ内に排出ホースアセンブリを取り付ける際の当該アセンブリを示す概略断面図である。
【図2(c)】現場硬化型膨張ブラダ内に排出ホースアセンブリを取り付ける際の当該アセンブリを示す概略断面図である。
【図3】本発明に従って図2の排出ホースアセンブリにバンド留めされた現場硬化型膨張ブラダの上面図である。
【図4】本発明に従って図3の膨張ブラダを空気で反転させる場合において、加圧される反転ユニットを示す概略断面図である。
【図5】本発明に従って排出管の位置を定めるために、検査フラップを用いた取り付け時に、ホストパイプの末端部における膨張ブラダの反転面を示す概略断面図である。
【図6(a)】現場での端封鎖用フレームとともに図5に示すホストパイプの末端部における膨張ブラダの反転面を示す概略断面図である。
【図6(b)】図7(a)の端封鎖用フレームを貫通して延びる排出アセンブリを用いて完全に反転された膨張ブラダを示す概略断面図である。
【図7(a)】図6(b)の端封鎖用フレームを線7a−7aに沿って切断して示す断面図である。
【図7(b)】線7b−7bに沿った断面図である。
【図8(a)】本発明に従って現場硬化型膨張ブラダ内に排気口を形成する工程を示す上面図である。
【図8(b)】本発明に従って現場硬化型膨張ブラダ内に排気口を形成する工程を示す上面図である。
【図8(c)】本発明に従って現場硬化型膨張ブラダ内に排気口を形成する工程を示す上面図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は2004年11月3日出願の同時係属仮出願第60/624,841号に基づく。
【0002】
本発明は、樹脂含浸ライナを既設導管内へと引き込み、樹脂含浸膨張ブラダを空気で裏返して、樹脂を連続蒸気流により圧力損失なしに硬化させる、現場硬化型ライナの設置法、及びこの方法を実施する装置に関する。本方法及び装置は特に、中径から大径の現場硬化型ライナを設置するのに好適である。
【背景技術】
【0003】
導管及び輸送管路、特に、流体を通すために用いられる衛生下水排水管、雨水排水管、水道、ガス管線のような地中管路は、流体の漏れ又は劣化が原因で補修を頻繁に必要とすることが一般によく知られている。このような漏れは、周囲環境から輸送管路の内部又は通流部へと内側へ向かう場合がある。あるいは、漏れは、輸送管路の通流部から周囲環境へと外側に向かう場合がある。いずれにせよ、この種の漏れを回避することが望ましい。
【0004】
漏れは、元の輸送管路の不適切な設置、又は通常の経年変化による管路自体の劣化、又は腐食性物質や研磨性物質を運ぶ影響に起因する。管継手又はその近傍での亀裂は、地震や、上方表面上での大型車両の通行、又は同様な自然又は人工的な振動などの環境条件、あるいは、その他の原因により引き起こされる。原因の如何にかかわらず、そのような漏れは望ましくなく、輸送管路内を運ばれる流体の浪費となり、又は周囲環境への損害をもたらし、公衆衛生に対する危険な障害を生じさせる可能性がある。漏れが続くと、それは、表土及び導管の側面支持を喪失させ、既設導管の構造上の欠陥につながる場合がある。
【0005】
絶えず増大している人件費及び機械設備費の故に、管路を掘り起こして新しい管路と交換することによって、漏れの可能性がある地中の管路又は部分を修理することは、ますます困難で不経済になっている。それ故、既存の輸送管路の現場修復又は更生のための種々の方法が考案されてきた。これらの新しい方法によれば、管路又は管路部分を掘り起こして交換することに伴う費用と危険、そして、一般の人々が被る、工事中の多大な不便が回避される。現在広く用いられていて最も功を奏する、輸送管路の修復又は非開削更生工法の1つは、インシチュフォーム(登録商標)工法と呼ばれる。この工法は、特許文献1乃至3に詳述されており、その内容は引用によって全て本明細書に組み込まれる。
【0006】
インシチュフォーム(登録商標)工法の標準的な実施において、フェルト布、発泡体又は同様の樹脂含浸可能材料を用い、外側の不浸透性被覆を有する細長い可撓性の管状ライナが熱硬化性硬化樹脂で含浸され、既設の輸送管路内に設置される。このライナは、特許文献2及び特許文献3に記載するように、反転プロセスを用いて設置される。この反転プロセスでは、反転されたライナの内側に半径方向の圧力が加えられ、ライナが輸送管路の内面に押し付けられて係合する。但し、インシチュフォーム(登録商標)工法は、ロープ又はケーブルによって樹脂含浸ライナを導管内に引き込むとともに、ライナ内で反転される別の流体不浸透性膨張ブラダ又はチューブを用いることにより、既設輸送管路の内壁に対してライナの硬化を引き起こすことで実施される。そのような樹脂含浸ライナは、一般に「現場硬化型パイプ」又は「CIPPライナ」と称され、その設置はCIPP設置と呼ばれる。
【0007】
CIPP可撓性管状ライナは、その初期状態において比較的柔軟で、ライナの外側を被覆する実質的に不浸透性のポリマーからなる、滑らかな外層を有する。反転の際には、設置中にライナが反転された後で、この不浸透層はライナの内側となる。可撓性ライナは、輸送管路内に現場で設置されると、該輸送管路は、好ましくは水又は空気のような反転用流体を用いて内部から加圧されるが、これはライナを半径方向の外側に押し付けて既設輸送管路の内面に嵌め合わせて合致させるためである。
【0008】
通常、ライナ又はブラダを反転させるのに必要な圧力水頭を与えるため、設置現場に反転タワーを建てる。あるいはその代わりに、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6に記載して説明した反転ユニットが使用され、これらの特許文献の内容は、参照により本明細書に援用される。反転ライナの端部に取り付けた再循環ホースを介して、反転したライナに熱水を投入することで硬化が開始される。反転用の水は、ライナの硬化が完了するまで、ボイラや熱交換器などの熱源を通って再循環され、反転したライナへと戻される。次いで含浸可能な材料に含浸させた樹脂が硬化し、既設輸送管路内において硬質の隙間なく嵌った剛性パイプライナを形成する。新しいライナは全ての亀裂を効果的に封止し、管路部分や管継手の劣化を修復し、これは既設輸送管路内への漏れや輸送管路外への漏れのいずれをも防止するためである。硬化した樹脂はまた、既設輸送管路の壁を強化する役目をもち、これは周囲環境に対する構造上の支持をさらに強化することを目的とする。
【0009】
現場硬化型管状ライナを引き込み及び膨張法で取り付ける場合に、ライナは反転法と同様に樹脂が含浸され、畳んだ状態で輸送管路内に配置される。通常、下端部にエルボを有するダウンチューブ、膨張パイプ又は導管を、既存のマンホール又は出入りポイント内に配置し、反転ブラダをダウンチューブに通してこれを開き、エルボの水平部分の開口部を覆うように折り返す。次いで、既設導管内の折り畳んだライナで、膨張ブラダの折り返し端部を覆うように配置し、折り返し端部に固定する。そして、水などの反転用流体をダウンチューブに供給することで、水圧により膨張ブラダがエルボの水平部分から押し出され、折り畳んだライナが膨張して、既設導管の内面に押し付けられる。膨張ブラダの反転は、ブラダが下流のマンホール、つまり第2の出入りポイントに到達して拡がるまで続けられる。この時点で、既設導管の内面に押し付けられたライナが硬化可能になる。熱水が膨張ブラダに導入されて硬化が始まり、その熱水は含浸ライナ内の樹脂を硬化させるために循環される。
【0010】
ライナ内の樹脂が硬化した後で膨張ブラダを取り除くか、又はこれを硬化したライナ内のその場に残すことができる。膨張ブラダを現場に残す場合には、ブラダは通常、不浸透性の外層の内側に、比較的薄い樹脂含浸可能な層を有する。この場合、当技術分野で公知のように、反転後の含浸可能層により、ブラダはライナの樹脂含浸層に固着する。この時点で、ライナを開いて、ブラダを膨張させるのに使用した水を排出し、マンホール内に延在する端部を切り離すために、マンホール又は出入りポイントに入る必要がある。膨張ブラダを除去する場合には、膨張ブラダの後端部に取り付けられて、反転速度の制御に使用する抑止ロープを脱出端部で引っ張ることで、膨張ブラダを除去することができる。これは通常、ブラダを反転させて樹脂の硬化を開始させるのに使用する水を排出するために、受け側でブラダの空気を抜いた後で行われる。最終的にダウンチューブが取り外され、ライナを裏当てした輸送管路によって設備が再び接続される。交差した設備の接続部分が存在する場合には、ライナを付設した輸送管路による設備が再開する前に、それらの接続部分が再び開かれることになる。
【0011】
インシチュフォーム(登録商標)工法で利用する既存の水反転法では、ライナは冷水を使って反転される。既設導管内でライナを完全に反転させた後で、加熱水をライナの反転面に接続された平置き管に通して循環させる。熱水は、硬化サイクルの間、循環される。中径及び大径の管では、ライナ直径が大きくなるにつれて、反転に必要な水量が劇的に増加する。ライナを膨張させるために使用する水は全て、反転式であっても引き込み及び膨張式であっても、加熱及び硬化サイクル中に加熱しなければならない。また、硬化が完了すると、ライナを導管の端部で切断した後、硬化用の水が下流の導管に放流できる温度になるまで、冷水を加えるか又は循環を続行させて硬化用の水を冷却するか、あるいは硬化したライナから硬化用の水をポンプで送水して、基準を満たす廃棄処理システムへと運ぶ必要がある。
【0012】
水を使ったこれらの装置を用いる主な欠点は、反転用の水量とその入手可能性にある。水は通常、硬化の目的で55°F乃至180°Fに加熱され、そして基準を満たす廃棄処理システムへと排出される前に、さらに水を加えて100°Fにまで冷却しなければならない。
【0013】
この欠点は、反転力を発生させるために、水の代わりに空気を使用すれば克服することができる。含浸ライナが完全に反転されると、含浸ライナを水蒸気で硬化させることができる。水蒸気を発生させるには水が必要であるが、水蒸気の形態での水量は、水による反転、硬化、及び冷却に必要とされる水量の5乃至10%にすぎない。このことは、たとえ水が現場で簡単に入手できない場合でも、水蒸気を硬化に使用できることを意味する。水量をこのように大幅に低減できるのは、1ポンドの加熱水に比べて水蒸気の形態の1ポンドの水から得られるエネルギーの方が大きいことによる。1ポンドの水蒸気が凝縮して1ポンドの水になると、約1000BTUの熱が放出されるのに対して、1ポンドの水は、温度が1°低下するごとに1BTUだけ熱を放出する。必要とする水量がこのように低減されることに加えて、昇温サイクルが事実上不要になることで、硬化サイクル時間及び取付時間が大幅に短縮される。
【0014】
空気による反転及び水蒸気による硬化の使用にこのような明白な利点がありながら、水による反転及び熱水による硬化を廃止するのに業界が手間取っているのはなぜであろうか。
【0015】
樹脂含浸ライナの反転に水を使用する場合に、反転ノーズ部から反転装置にかけてライナの反転されない部分は、ライナによって置換される水量に等しい浮力により浮き上がる。CIPPライナの場合、これは、ライナの有効重量が大幅に減少し、反転されていないライナを反転ノーズ部に向けて引っ張るのに必要な力も低減することを意味する。反転力を発生させるために空気を使用する場合、反転されないライナは管路の底部にあり、ライナの反転ノーズ部に作用する空気圧でライナの全重量を前方に引っ張る必要がある。
【0016】
反転エネルギーの発生に如何なるものを用いようとも、CIPPライナを反転させるには、3つの力を克服しなければならない。これらの力とは以下のものである。
【0017】
1.ライナを反転させる(ライナを裏返す)のに必要な力。この力は、ライナの厚さ、材料の種類、及びライナ厚さと直径との関係によって変わる。
【0018】
2.反転装置から反転ノーズ部までライナを引っ張るのに必要な力。
【0019】
3.ライナを反転装置によって引っ張るのに必要な力。
【0020】
上記の1番目の力(1)は通常、空気による反転と、水による反転とで同じである。
【0021】
2番目の力(2)は空気と水で大きく異なり、空気による反転の長さを制限することがある。取り付けるCIPPライナの品質に悪影響を及ぼすことなく、及び/又は、既設導管に損傷を与えることなく、ライナを反転させるために使用することができる圧力には制限がある。必要な引張力を小さくするために、水による反転と空気による反転の両方において、潤滑剤を使用することができる。
【0022】
3番目の力(3)は、装置設計によって変わる場合がある。現在使用されている殆どの装置では、ライナをその装置に通して引っ張るのに必要な力は、1番目の力と2番目の力のいずれか又は両方が大きくなると増加する。これは、利用できる反転エネルギーを増やすために、今日使用されている典型的な装置では、ライナの入り口ポイントの下の圧力室から、装置及び反転されるライナのバンドで縛り付けた折り返し端部に至るまでの加圧流体の損失を抑制する必要があるという事実による。通常、空圧式の括約筋状グランドの空気圧を増加させることによって、又は反転用流体によって作動されるグランドを使用することによって、この抑制を行う。通常の場合、内方への移動は、グランド材料及び反転CIPPライナの圧縮によって制限される。そして、これにより、反転CIPPライナとグランドとの間の摩擦が増加することになる。
【0023】
代案として、水蒸気がもつエネルギーを考慮して、水蒸気の使用が提案された。膨張ブラダを膨張させるために空気を使用し、そして貫流水蒸気を使用することは、インシチュフォーム(登録商標)による特許文献7及び特許文献8に開示されており、これらの特許文献の内容は、参照により本明細書に援用される。これらの最近登録された特許に開示した方法は、引き込み及び膨張技術を利用し、これまでのところ小径のライナに対して使用されている。これらの方法は、小径サイズのライナに対して、水による反転に勝る利点をもたらす。これらの特許に開示した浄化容器を使用することは、中径のライナや大径のライナには適さない。なお、中型ライナではその直径が約21インチ(0.5334m)と約45インチ(1.143m)との間とされる。大径のライナではその直径が45インチを超える。
【特許文献1】米国特許第4,009,063号明細書
【特許文献2】米国特許第4,064,211号明細書
【特許文献3】米国特許第4,135,958号明細書
【特許文献4】米国特許第5,154,936号明細書
【特許文献5】米国特許第5,167,901号明細書(再発行特許第35,944号)
【特許文献6】米国特許第5,597,353号明細書
【特許文献7】米国特許第6,708,728号明細書
【特許文献8】米国特許第6,679,293号明細書
【特許文献9】米国特許第4,366,012号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
硬化に熱水を利用する既存の方法には上記の様々な利点があるものの、その欠点は、エネルギーと人件費を増加させる傾向があり、また水の大量使用を必要とし、その水には、通常使用する樹脂のタイプに起因してスチレンが混入することがある。従って、中径及び大径のCIPPライナに適した補修方法を提供することが望まれており、その場合に、現在実施されている様々な補修方法よりも速くかつ経済効率の良い設置方法を提供するために、水蒸気の利用可能なエネルギーを用いることで、ライナは、統合された空気及び水蒸気の排出パイプを有する樹脂含浸膨張ブラダにより、空気を用いて膨張し、樹脂を水蒸気の貫流によって硬化させる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
概略的に言うと、本発明に従って、現場硬化型ライナの引き込み及び膨張設置法によって既設輸送管路を補修する方法が提示される。空気は、樹脂含浸膨張ブラダの膨張に使用され、ライナ及びブラダ内の樹脂は、圧力損失なしに貫流水蒸気で硬化する。樹脂含浸ライナは補修を要する既設輸送管路内に引き入れられ、輸送管路を越えて延在する端部が切断される。不浸透性のコーティングを被覆された樹脂含浸材料層を有する膨張ブラダには、その末端部に排出管が取り付けられる。この排出管は、抑止取付具を備えた開口端を有する。その反対側、つまり水蒸気弁を備えたキャップ付き端部を有す先端部は、膨張ブラダの後端部に挿入され、該先端部が、膨張ブラダの末端部、つまり抑止端部にバンド締めされる。
【0026】
抑止ロープと、穴の開いた平置きホースは、抑止取付具に取り付けられる。樹脂含浸ライナがホストパイプに引き入れられる。膨張ブラダは、反転ブーツを備えた加圧反転チャンバを通って引き込まれる。ライナの近位端部は、反転ブーツ上の反転ブラダを覆うようにバンド締めされる。加圧された空気が、反転チャンバの弁に供給され、反転用空気によってブラダが反転し、引き込みライナを膨張させる。
【0027】
排出管がホストパイプの遠位端部に達して見えるようになると、反転が停止される。穴の開いた平置きホースが切断され、その末端部には水蒸気ホースが取り付けられる。チューブ端部アセンブリがライナの近位端部に取り付けられ、反転ブラダが反転されることで、膨張チューブが端部アセンブリと係合し、反転が完了した際に排出管が露出する。
【0028】
露出した排出管の遠位端部には、排出ホースが取り付けられる。平置きホースの近位端部に連結された水蒸気ホースはボイラに接続される。水蒸気が平置きホースに供給されることでライナが暖められ、ライナ内の圧力を維持するために、排出管の排出弁が開かれる。水蒸気及び空気の流れについては、充分な温度に上昇するまで維持され、それから空気を減らし、供給される全水蒸気によって樹脂を硬化させる。硬化サイクルの終期には、水蒸気弁を徐々に閉めていき、冷却を開始するために空気が加えられる。従来の設置法と同様に、ライナの端部が切断される。
【0029】
従って、本発明の目的は、樹脂含浸ライナを引き込んで、膨張ブラダを反転させる空気を利用して樹脂含浸ブラダを反転させて膨張させることにより、現場硬化型ライナを取り付ける、既設輸送管路の改良された更正方法を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、現場硬化型ライナの取り付けに使用する改良された膨張ブラダを提供することであり、該ブラダの後端部には排出管が取り付けられる。
【0031】
本発明のさらなる目的は、貫流水蒸気を利用して樹脂を硬化させることで、現場硬化型ライナの改良された引き込み及び膨張設置方法を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、引き込み及び膨張によって現場硬化型ライナを取り付ける、改良された方法を提供することにあり、空気を用いてブラダを反転させてライナを膨張させ、そして貫流水蒸気を用いて膨張ブラダ及び引き込みライナ内の樹脂を硬化させる。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、膨張ブラダの後端部に取り付けられて、膨張ブラダ及びライナを貫流する空気及び水蒸気の排出を可能にする排出部を提供することである。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、現場硬化型ライナの改良された設置方法を提供することにあり、ブラダの長手方向に沿って制御される水蒸気を供給するために、膨張ブラダの後端部に結び付けた、穴付きの平置き管を使用して、水蒸気でライナを硬化させる。
【0035】
本発明のさらに別の目的及び利点について、その一部は明白であり、また他の部分は本明細書から明らかになるであろう。
【0036】
従って、本発明には幾つかのステップと、1つ又は複数のそのようなステップの他のステップに対する関係が含まれ、詳細な開示に例示される特徴、特性、及び各要素の関係を有する装置と本発明の範囲が特許請求の範囲に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、ハイウェイ13、14の下を横切る既設の通路12を備えた、典型的なハイウェイ排水路11を示す。図1は上側開口16及び下側開口17を示す。樹脂含浸ライナは、適切な冷蔵トラック19で現場に持ち込まれ、下側開口端17にあるウインチ43によって上部開口端16から引き込まれる。ライナ18は、損傷を防止し、長手方向の伸びを管理するために、ポリプロピレン製スリーブで巻装される。
【0038】
当技術分野で一般的に公知のタイプの、可撓性をもった現場硬化型ライナは、可撓性樹脂含浸材料による1つ以上の層、例えば、不浸透性ポリマーフィルムの外層を有するフェルト層などで形成される。フェルト層及びフィルム層は、継ぎ目線に沿って縫合されて管状ライナを形成する。テープ状又は射出成形材料の形態の、相性のよい熱可塑性フィルムが継ぎ目線上に置かれるか又は押し出されるが、これはライナの不浸透性を保証するためである。そのようなライナは、特許文献7及び特許文献8に詳しく記載されている。
【0039】
直径がより大きなライナには、フェルト材料からなる複数の層を使用することができる。フェルト層は、天然の可撓性樹脂吸収性材料又はポリエステル繊維やアクリル繊維などの合成の可撓性樹脂吸収性材料とすることができる。外層の不浸透性フィルムは、当技術分野で公知のように、ポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリ塩化ビニルなどのビニルポリマー、又はポリウレタンとされる。全ての非開削更生設置の最初の段階で、既設の輸送管路は洗浄及びビデオテープ撮影によって準備が整えられる。
【0040】
図2(a)、図2(b)、図2(c)を参照すると、キャップ付き端部22を備えた排出管21が示されており、水蒸気弁23が末端部で膨張ブラダ24に挿入される。排出管21は、鋼で被覆された一本の水蒸気ホース26から形成され、抑止取付具28を備えた開口端27を有する。排出管21の反対側の端部、つまり先端部29は、膨張ブラダ24の後端部に挿入され、この膨張ブラダの後端部は、鋼製バンド31で排出管21の後端部、つまり抑止端部に縛り付けられている。排出管21は樹脂フィルムチューブ34で覆われ、この樹脂フィルムチューブは多数のケーブルタイ36で拘束されることで、ブラダ24が裂けないように防止している。
【0041】
図3に示すように、排出管21のキャップ付き端部22は、膨張ブラダ24に挿入され、バンド31で固定される。抑止ケーブル32は、抑止取付具28に取り付けられる。また、凝縮パイプ33が排出管21の開口端27に取り付けられる。
【0042】
膨張ブラダ24はまた、図8に示すように、ブラダ24の端部から約2フィート(0.6096m)乃至約4フィート(1.2192m)のところに形成された排気口81を有することができる。これは、ブラダ24が反転される際に、ブラダ24内の空気が反転装置内の弁を通過する前に、この空気を排出できるようにする。排気口81は、ブラダ24の上部層に1/2インチ(1.27cm)の穴82を開け、その穴を、3つの側辺部が固定された第1のパッチ83で覆うとともに、排気口81を形成するために、これもまた3つの側辺部が固定された大きい方の第2のパッチ84で第1のパッチを覆うことで形成される。パッチ83、84は、外側に不浸透性層を有するライナ材料で形成される。
【0043】
排気口81の典型的な寸法は以下の通りである。第1のパッチ83は、縦約3インチ(8.89cm)乃至約6インチ(15.24cm)で、横約3インチ乃至約6インチとされ、穴82上に置かれる。通常、パッチ83は3インチ(8.89cm)及び5インチ(12.7cm)の長方形とされ、2つの短辺部及び遠位側の長辺部がブラダ24の外層に固定される。第2のパッチ84は、若干大きいことを要し、縦約4インチ(10.16cm)乃至約7インチ(17.78cm)で、横約4インチ乃至約7インチとされる。通常、パッチ84は、一辺が4インチで他辺が6インチとされ、2つの短辺部及び手前側の長辺部がブラダ24の外側コーティングにしっかりと固定される。
【0044】
本発明による方法に従って取り付けを開始する前に、「ウエットアウト」と呼ばれる方法によって熱硬化性樹脂をライナ18のフェルトに含浸させる。ウエットアウト法は通常、ライニング技術では公知のように、端部又は不浸透性フィルム層内に形成した開口からフェルト層に樹脂を注入し、真空に引き、含浸ライナをニップローラに通すことを含む。真空含浸の、そうした1つの手順は、インシチュフォーム(登録商標)の上記特許文献9に記載されており、この特許の内容は、参照により本明細書に援用される。ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂など幅広い種類の樹脂を使用することができ、これらの樹脂は要望通りに変更することができる。室温では比較的安定であって、加熱時に、容易に硬化する樹脂を用いることが望ましい。
【0045】
含浸ライナ18をホストパイプ12の上側開口端16からホストパイプ12の下側開口端17に向かって約20フィート(6.096m)のところに配置する。上側開口端16から下側開口端17までロープ又はケーブル15を通す。次いで、ケーブル15を引き込みウインチ43に取り付けて上側開口端16に向けて引き寄せる。
【0046】
ポリプロピレンフィルム42もしくは他の適切な樹脂フィルムからなるロール41又はスリーブが、引き込みライナ18の下方に置かれ、該ライナがホストパイプ12に入る際に巻き付けられる。ウインチ43によってライナ18がホストパイプ12に引き込まれるときに、ライナ18を保護するために、スリーブ20をライナ18に折り重ね、バンド又はテープで縛る。ライナ18の引き込みは、ライナ18の遠位端部18bがホストパイプ12の端部から所望の距離に来るまで続けられる。開口18cが遠位端部18bに形成されており、これは排出管21の正確な位置決めの助けとなる。
【0047】
ブラダ24は空気反転ユニットを用いてライナ18内に向けて反転される。本実施形態では、反転ユニット51は、ブラダ24が空気で反転されるときにブラダ24と係合する少なくとも1つの弁又はグランドを有する。ユニット51は、上記特許文献4に示すタイプの少なくとも1つの括約筋状の弁52を有し、引き込みライナ18の後端部に配置される。ユニット51は、入口端部53と反転ブラダ24の直径に合わせた反転ブーツ56を備えた出口端部54とを有する。空気が弁の空気流入口57に注入されて弁52を作動させ、ブラダ24を拘束する。反転ブーツ56は、空気を注入して膨張ブラダ24の反転を制御するための反転用空気流入口58を有する。
【0048】
膨張ブラダ24は折り畳まれ、ブーツ56をバンド固定する面を十分に越えるまで反転ユニット51に通される。次いで、ブラダ24は、ブーツ56に折り重ねられ、その上にバンドで固定される。次いで、バンドで固定されたブラダ24を覆うように、引き込みライナ18を反転ブーツ56に縛り付ける。反転装置51の括約筋状の弁52を作動させ、反転ブラダ24を反転させるための反転空気ホースを反転ユニット51に接続する。
【0049】
水による反転プロセスを用いた、従来の引き込み及び膨張設置法では、ブラダ及びライナ内の圧力が、ダウンチューブ内の水柱の高さによって維持される。硬化は含浸ライナを熱に当てることで始まる。これは通常、加熱した水を反転パイプに導入することで行われるか、又は反転ブラダの後端部に接続された抑止ロープによって反転ブラダに引き入れられる再循環ホースに、熱水を通して循環させることで行われる。一般的に、熱水を使用した硬化では、選択した樹脂の種類及びライナ厚に応じて約3時間から約5時間を要する。硬化後には、膨張ブラダを除去する前に、硬化後の加熱水を排出するために、下流のマンホールに入る必要がある。
【0050】
これは中径及び大径のライナの場合に重大な問題をもたらし、特に、図1に示すような傾斜のきつい典型的なハイウェイ排水路において、再ライニングを行う場合に問題となる。多量の水が必要となるだけでなく、高低差による圧力が加わるために膨張ブラダを破裂させる虞がある。これを回避するためには、空気で膨張させ、水蒸気で硬化させることが望ましい。また、水蒸気の保有するエネルギーにより、ライナは、より速く、より低いエネルギーコストで硬化することになる。
【0051】
例えば、下表1は、水による硬化と水蒸気による硬化を対比させて、エネルギー及び水の必要量を示しており、現場硬化パイプは、その長さが9.5フィート(2.8956m)のダウンチューブ及び3.5フィート(1.0668m)の下流端部を含めて114フィート(34.7472m)で、直径が42インチ(1.0668m)とされる。
【0052】
【表1】
【0053】
図4は、上記特許文献4に開示したタイプの典型的なチューブ反転装置51を示しており、この特許の内容は、本発明の好ましい実施形態に従って使用するために、参照により本明細書に援用される。この反転装置51は、ホストパイプの上流端部で水平方向に取り付けることができる。上記特許文献4に示す各種の連結具が装置51に取り付けられることで、括約筋状の弁52を作動させる空気を導入して、膨張ブラダ24の内部に反転用空気を供給し、膨張ブラダ24及びライナ18内の樹脂を硬化させる作用をもつ蒸気を供給することができる。
【0054】
膨張ブラダ24を反転装置51に通して、バンドで反転端部に縛り付ける。ライナ18の露出した上流側の端部は、ブラダ24を覆うようにバンドで縛り付けられる。弁52が加圧され、ブラダ24は、ライナ18内へと反転される。反転させるのに十分な空気圧が空気流入口に供給される。ブラダを送り込みながらブラダ24の表面に潤滑剤を加えることで、ブラダ24の反転中にグランドを通ってブラダが容易に移動できるようになる。
【0055】
反転速度を一定に維持するために、反転用空気の供給量とブラダの圧力を調整する。推奨圧力は以下の通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
膨張ブラダ24が反転装置51を通過し、抑止端部が装置51に近づくと、蒸気導入用の穴の開いた平置きホース71を抑止取付具28に取り付ける。抑止取付具28、抑止ケーブル32及び平置きホース71を反転装置51に入れるときには注意を要する。
【0058】
通常、平置きホース71は最小限の圧力で水蒸気温度に耐えるゴムなどの任意の可撓性ホース材料とされる。好適なゴムには、Viton(登録商標)ゴム、EPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム)、及びニトリル被覆の強化ポリエステルホース材料がある。そのようなホースは、耐油性及び耐候性をもつことが好ましい。通常、平置きホース71は直径が4インチ(10.16cm)のホースである。しかし、直径が3インチ(7.62cm)及び2インチ(5.08cm)のものも、本発明による空気での反転及び水蒸気での硬化による設置時の使用に適する。水蒸気の使用後において、ニトリル被覆の強化ポリエステルホースの物理的な特性に劣化はみられない。このホースは、それ自体で水蒸気を運ぶために使用されるのではなくて、別のチューブ及びライナ内で使用され、従って、平置きホースにかかる圧力は、マニホルド出口圧力と硬化するチューブ及びライナの内圧との差である。この圧力差は通常、硬化開始時の約1.5psi(約10342Pa)から硬化サイクル終了付近での0.5psi(約3447Pa)の範囲にある。
【0059】
平置きホース71には、所定のパターンで穴が開いており、末端部が閉じている。これらの貫通穴により、半径方向の高速な蒸気噴流及び乱流が発生し、平置きホース71の位置又は回転にかかわらず、硬化中に、反転したライナ内の温度勾配を低減させ、熱伝達を促す。貫通穴の寸法は、ホストパイプの直径とホストパイプの裏当てする長さに応じて、直径が1/16インチ(0.15875cm)から1/4インチ(0.635cm)の範囲をとる。2つの穴の繰り返しパターンが、平置きホースにおいて互いに反対側を向いて配置され、長手方向に4インチ(10.16cm)から12インチ(30.48cm)の間隔をもって離されて、平置きホースの全長に亘って形成される。穴の寸法については、水蒸気流が平置きホースの全長に沿って十分な速度を有し、全水蒸気流を含めた容積流量が水蒸気ボイラの容量と一致するように選択される。
【0060】
上記のCIPPチューブの取り付け及び硬化に平置きホースを使用することで、3つの有意義な目的が達成される。
【0061】
1.水蒸気エネルギーが、CIPPチューブの底部において全長に亘って投入されることで、近位端部から遠位端部にかけての温度成層化を防止する。
【0062】
2.近位端部から穴までの距離が長くなると、各穴から注入される実際の水蒸気量が少なくなる。これは、注入した水蒸気の平均滞留時間がCIPPチューブを硬化するために最適化されることを意味する。
【0063】
3.平置きホースの配置により、ホストパイプの撓んだ領域に凝縮水が溜まった場合でも、CIPPチューブの底部が確実に硬化する。平置きホースの外部温度が200°Fとされ、水蒸気を注入して凝縮させる、貫通した水蒸気穴を設けることで、効果的な硬化が保証される。
【0064】
硬化ライナに、このような方法で水蒸気を供給することで、硬化サイクル中にCIPPチューブに注入される水蒸気1ポンド当たりの、硬化する樹脂のポンド数で表される硬化効率が高まる。チューブの長手方向に沿ってエネルギーが一様に分布する結果、チューブの上部から底部まで、そして近位端部から遠位端部まで均等な加熱の開始がもたらされる。
【0065】
膨張ブラダ24の反転が続行されて、定められた下側開口端17に近づくと、排出管21が反転面から出始める。その正確な位置は、下側開口端17から延びるライナの遠位端部18bに検査開口18cを開けることで決められる。これは、図5に、より詳細に示されている。膨張ブラダ24内の空気圧は、反転を止めたときに維持される。この時点で、排出管21は、図6(a)に示すように、端封鎖用アセンブリ61に向かう。図6(b)は、完全に反転した状態の膨張ブラダ24を示しており、排出管21が図7(a)の端封鎖用アセンブリ61を貫通している。アセンブリ61の詳細を図7(a)及び図7(b)に示す。反転は、膨張ブラダ24が端封鎖用アセンブリ61によって止められ、排出管21が端封鎖用アセンブリ61内に係合されるまで続く。
【0066】
封鎖用アセンブリ61は、排出管21が下側開口端17を出たときに、排出管21を係合させるために、拡がった中央領域63を備えた上側の平クランプ62と、拡がった中央領域66を備えた下側の平クランプ64を有する。上側クランプ62及び下側クランプ64はいずれも、ライナ18の遠位端部付近に多数のボルト67により、ともに固定される。
【0067】
この時点で、取り付けた穴付き平置きホース71に水蒸気が導入されて、引き込みライナ18及び膨張ブラダ24内の樹脂の硬化が始まる。本発明の例示的な実施形態では、平置きホース71は、直径が4インチ(10.16cm)の高温熱可塑性チューブである。両側の折り曲げ部の折れた縁部から1/2インチ(1.27cm)のところで、1/8インチ(0.3175cm)のオリフィスが1フィート(30.8cm)間隔で開いている。このオリフィスパターンにより、より多くの水蒸気が近位端部にもたらされ、ホース71が取り付け時に回転した場合でも良好な混合が保証される。水蒸気は水蒸気流入ホースから供給され、このホースは、水蒸気を供給するための注入管に空気及び水蒸気の混合物を供給する弁マニホルドによって調整される。空気と水蒸気の流れは、混合した空気及び水蒸気流の温度が、排出管で測定して約170°F乃至約220°Fの所望の温度に達するまで、硬化圧力を約3psi(約20684Pa)乃至約6psi(約41369Pa)に維持するように調整される。
【0068】
psig単位で表した推奨の暖機圧及び硬化圧は以下の通りである。
【0069】
【表3】
【0070】
特定の樹脂とチューブ厚にもよるが、硬化が完了した場合に、水蒸気流を止めると同時に、空気流を調整して硬化圧を維持する。排出弁が調整されて、少なくとも1時間が経過するまでの間、時計の6時位置で約130°Fへの冷却が行われる。
【0071】
温度が所望のレベルまで冷却されると、空気流の圧力はゼロに低下し、排出弁が完全に開かれる。ブラダ24内に溜まった凝縮水は、排出アセンブリ21の凝縮水の排出管33によって取り出される。
【0072】
本明細書で説明した現場硬化型パイプ(CIPP)用ライナの、空気反転及び水蒸気硬化による設置法は、中径から大径(18インチ乃至84インチ)のライナを取り付け、硬化させるための、費用効果が高く効率の良い方法である。水蒸気を使用して、反転したライナを収縮させることなく硬化させるには、これらと同径のCIPP用ライナをより一般的に熱水で硬化させる場合とは、全く異なる手順が必要である。熱水による硬化を用いた手順では通常、熱水はボイラに再循環される。これに対して、水蒸気による硬化では、凝縮及び圧力損失を回避するために、単一の貫流路を使用する。また、そのような凝縮によって、ライナの底部には低温領域が生じ、硬化に必要なエネルギーを供給できなくなる。中径及び大径のCIPP用ライナに対して水蒸気による硬化を使用する場合もまた、小径(6インチから15インチ)のCIPP用ライナの、水蒸気による硬化で使用する技術とは異なる技術が必要である。
【0073】
適切に使用すれば、水蒸気による硬化では、熱水による硬化で使用される水量の約5%、エネルギーの約15%乃至約30%しか使用しないという点で、水蒸気による方法は水による方法に比して、環境に対して遥かに優しい硬化方法である。CIPP用ライナに対する水蒸気による硬化の使用を18インチ(45.72cm)以上の直径まで拡張しようとする初期の試みでは、多くの場合、取り付けたCIPP用ライナの下側部分の硬化が不完全であった。多量の水蒸気、及び/又は水蒸気と空気を使用することにより、この硬化問題を克服する試みは、ほんの少し成功したに過ぎない。また、多量の水蒸気を導入すると、硬化サイクル時間が長くなりがちであって、使用するエネルギーが増大し易い。サイクル時間が延び、エネルギーが増えたとしても、特定の現場条件下で効果的に硬化させることはその実現が困難である。これは、温度成層化のためと、パイプ及び硬化ライナの下側部分に凝縮水が溜まる領域が存在することによるものと考えられる。溜まった凝縮水は、蒸気ブランケットからその下の樹脂層への熱伝達を遮って妨げる。
【0074】
中径から大径のCIPP用ライナを熱水で硬化させるには通常、硬化する樹脂1ポンド当たり約1500BTUから約2500BTUの熱量を必要とする。これに対して、小径(6インチから12インチ)の蒸気硬化ライナでは、硬化する樹脂1ポンド当たり約700BTUから約1000BTUの熱量を必要とする。
【0075】
上述の方法は、CIPP用ライナの底部に凝縮水が溜まった領域が存在したとしても、樹脂1ポンド当たり約300BTUから約500BTUで完全なCIPP硬化を確実に行うことができる。これは、温度成層化及び溜まった凝縮水による硬化への悪影響をなくすように蒸気注入位置を調整する、水蒸気注入方法を使用することで可能になる。この方法はまた、CIPP用ライナの長手方向に沿って水蒸気注入の量及び位置を調整して、凝縮水又は水蒸気としてCIPP用ライナの遠端部から水蒸気が排出される前に、各ポンドの水蒸気から樹脂フェルト層への熱伝達を最大化する。
【0076】
本明細書で説明したように、水蒸気は、端部が閉じたホースに注入され、このホースは、反転されて膨張したCIPP用ライナ内に置かれる。制御弁を備えた独立した排出口が、CIPP用ライナの遠位端部からの水蒸気及び凝縮水の排出を調整するために設けられる。ホースは、該ホースの全長に亘って(所定の大きさ及び間隔で)離間した多数のオリフィスを含む。オリフィスの、ホースの周方向における配置は、CIPP用ライナ内を移動中にホースが如何に回転しようとも、ホースの長手方向に沿った多数のオリフィスがCIPP用ライナの底部の方を向くように設計される。これにより、硬化サイクルの間中、水蒸気は、溜まった凝縮水へと絶えず注入される。水蒸気を凝縮水に注入すると、凝縮水は、確実に硬化させるのに必要な温度を超えて加熱される。
【0077】
蒸気注入ホースの端部を閉じることで、注入ホースの内圧をCIPP用ライナの内部硬化圧よりも高くすることができる。注入した蒸気は、ホースの長手方向に移動するので、オリフィスを通って強制的に排出され、CIPP用ライナ内に蒸気ブランケットを形成する。水蒸気注入ホースの内圧とCIPPの内圧との間の内圧差は、水蒸気が水蒸気注入ホースの注入端部から離れるにつれて小さくなる。従って、各オリフィスから注入される水蒸気量は、蒸気注入ホースの長さに沿って減少する。
【0078】
これによって3つの事項が達成される。
【0079】
1.滞留時間が長くなり、それによって、大部分の水蒸気がCIPP用ライナの内部で利用でき、樹脂フェルト層への熱伝達が最大化される。
【0080】
2.水蒸気がCIPP用ライナの排出端部に向けて移動するときに、蒸気ブランケットにエネルギーをさらに連続して加え、エネルギー伝達率を高い状態に維持する。
【0081】
3.蒸気ブランケットに水蒸気を注入することで乱流が発生し、この乱流は温度成層化をなくし、エネルギー伝達を増加させる。
【0082】
CIPP用ライナの物理的な特性(直径、長さ、厚さ、樹脂、及び触媒システム)と、単位時間当たりのBTUでの、利用可能なボイラ出力を知ることで、オリフィスの寸法を調整して、単位時間当たりの水蒸気のポンド数で表したボイラ出力を、推奨の硬化サイクル時間に整合させることができる。
【0083】
容易に分かるように、本発明による方法では、貫流水蒸気を用いて樹脂ライナを硬化させるという利点が簡単に得られる。この方法を実施することによって、管状部材は、既設輸送管路を通って簡単に反転させることができる。選択的に開くことが可能な排出弁と排出管を反転膨張ブラダの後端部に設けることによって、ブラダ及び膨張ライナ内で圧力を維持することができ、水蒸気を反転部の入り口に導入して硬化ライナに貫流させ、その水蒸気の保有する利用可能な、より高いエネルギーを利用することで、循環熱水を利用して硬化させる場合よりも、遥かに速く樹脂を硬化させることができる。
【0084】
前述の記載から明らかになった目的のうち、上述の目的が効率的に達成されることは勿論であり、そして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の構成に特定の変更を加えて上記の方法を実行できることから分かるように、上記の記載に含まれ、かつ添付図面に示した全ての事項は例示として解釈されるべきものであって、限定を意図するものではない。
【0085】
また、特許請求の範囲は、本明細書に述べられた本発明の一般的で具体的な特徴の全て、そして、言語の問題として、その範疇に入るものとされる本発明の範囲に係る全記述を網羅することを意図すると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】ホストパイプへのライニングを行う取付作業の開始時において、典型的な州間ハイウェイの排水路内に、排水路の上流、つまり反転端から、排水路の下流、つまり末端まで、樹脂含浸の現場硬化型ライナを引き込む様子を概略的に示す断面立面図である。
【図2(a)】現場硬化型膨張ブラダ内に排出ホースアセンブリを取り付ける際の当該アセンブリを示す概略断面図である。
【図2(b)】現場硬化型膨張ブラダ内に排出ホースアセンブリを取り付ける際の当該アセンブリを示す概略断面図である。
【図2(c)】現場硬化型膨張ブラダ内に排出ホースアセンブリを取り付ける際の当該アセンブリを示す概略断面図である。
【図3】本発明に従って図2の排出ホースアセンブリにバンド留めされた現場硬化型膨張ブラダの上面図である。
【図4】本発明に従って図3の膨張ブラダを空気で反転させる場合において、加圧される反転ユニットを示す概略断面図である。
【図5】本発明に従って排出管の位置を定めるために、検査フラップを用いた取り付け時に、ホストパイプの末端部における膨張ブラダの反転面を示す概略断面図である。
【図6(a)】現場での端封鎖用フレームとともに図5に示すホストパイプの末端部における膨張ブラダの反転面を示す概略断面図である。
【図6(b)】図7(a)の端封鎖用フレームを貫通して延びる排出アセンブリを用いて完全に反転された膨張ブラダを示す概略断面図である。
【図7(a)】図6(b)の端封鎖用フレームを線7a−7aに沿って切断して示す断面図である。
【図7(b)】線7b−7bに沿った断面図である。
【図8(a)】本発明に従って現場硬化型膨張ブラダ内に排気口を形成する工程を示す上面図である。
【図8(b)】本発明に従って現場硬化型膨張ブラダ内に排気口を形成する工程を示す上面図である。
【図8(c)】本発明に従って現場硬化型膨張ブラダ内に排気口を形成する工程を示す上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の樹脂含浸ライナを反転させて該ライナを既設輸送管路に合致させ、樹脂を硬化させることによって、第1の出入りポイントから第2の出入りポイントまで可撓性の樹脂含浸ライナを用いて既設輸送管路の非開削更生を行う方法であって、
可撓性の樹脂含浸ライナを供給して、可撓性ライナの一端部を前記第1の出入りポイントから前記第2の出入りポイントまで輸送管路に引き込み、
可撓性の膨張ブラダを供給し、
前記膨張ブラダの末端部に排出部を配置し、
前記排出部が前記第2の出入りポイントに到達するように、前記排出部を有する前記膨張ブラダを、可撓性ライナ内へと空気で反転させ、
水蒸気をブラダ内に導入して、水蒸気がブラダを貫流して前記排出部から出るようにし、
ライナ内の樹脂を硬化させる方法。
【請求項2】
前記膨張ブラダは樹脂含浸材料層を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膨張ブラダ内の樹脂は前記ライナ内の樹脂とともに硬化する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記排出部は、選択的に開くことができる弁を備えた第1のキャップ付き端部と、第2の開口端部を有する管である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
排出管は、前記キャップ付き端部が前記ブラダに挿入された状態で前記膨張ブラダの末端部に固定される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
可撓性の平置きホースを前記膨張ブラダの末端部に固定するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
水蒸気が前記平置きホースを通って前記ブラダ内に導入される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反転が完了する前に、水蒸気ホースを前記平置きホースの末端部に取り付けるステップをさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
平置きホースを提供するステップをさらに有し、該平置きホースはその長手方向に沿って平らな状態の平置きベースを貫通して形成される複数の開口を有するようにした、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記開口は扁平な前記平置きホースの2つの側縁部に沿って交互に形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記平置きホースの末端部を前記膨張ブラダ内に通す前に、蒸気源を前記平置きホースの末端部に取り付けることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記ブラダ内に圧力を発生させるための少なくとも1つの可撓性をもった括約筋状の弁を有する反転ユニットに、前記膨張ブラダを通して反転させるステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ブラダは前記括約筋状の弁の下流で前記反転ユニットに導入される空気を用いて反転される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
可撓性の樹脂含浸チューブを反転させて、既設輸送管路の非開削更正を行う方法であって、
前記可撓性の樹脂含浸チューブを供給し、
前記チューブを既存の管内へと反転させ、
反転される前記チューブの末端部に、穴の開いた平置きホースを取り付け、
反転したチューブを貫流する水蒸気用の排出部を用意し、
前記平置きホース及び反転した前記チューブの内部に水蒸気を導入して、水蒸気が前記排出部を貫流するようにし、
含浸チューブの樹脂を硬化させる方法。
【請求項15】
反転した前記含浸チューブの長手方向に沿って水蒸気を分布させるために、平らな状態の平置きホースの側縁部に複数の開口を交互に形成するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水蒸気がチューブの底部に形成された凝縮水溜まりに注入される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
樹脂含浸ライナを用いて既設輸送管路の非開削更正を行うための排出アセンブリであって、
第1の端部にて選択的に開くことが可能な弁及びアセンブリの第1の端部を閉鎖するキャップを有する細長い中空の管状部材を備え、
前記管状部材は、可撓性の樹脂含浸チューブの末端部の内部に位置する、バンド締めのための第2の開口端部を有し、ホース部分のキャップ付き端部が前記チューブ内に位置され、前記開口端部がライナの端部を向くようにした排出アセンブリ。
【請求項18】
前記第2の開口端部に固定された凝縮水ドレインをさらに有する、請求項17に記載の排出アセンブリ。
【請求項19】
前記第2の開口端部に取り付けられた抑止取付具をさらに有する、請求項17に記載の排出アセンブリ。
【請求項20】
チューブ内に形成される外側の不浸透性層を有する樹脂含浸可能材料からなる一本のライニング材料と、
チューブの末端部に形成された排気口を有し、該排気口は、不浸透性層及び隣接する含浸可能材料に開けた穴と、前記チューブの長手方向に向いた部分を付着させずに前記穴を覆うように位置した、ライニング材料からなる第1のパッチ部材と、非固定とされる領域にて、前記不浸透性層に固定された前記第1のパッチ部材と重なるように配置した第2のパッチ部材を用いて形成されており、前記非固定とされる領域は前記第1のパッチ部材の非固定の領域と協働して、前記チューブが反転される際に、前記穴を通して空気を逃がすようにした可撓性樹脂ライナ。
【請求項21】
現場硬化型ライナを水蒸気で硬化させるための平置きホースであって、
蒸気温度に耐え得る材料からなる一本の可撓性ホースと、
平置き状態のホースの側縁部に形成された複数の穴と、を備える平置きホース。
【請求項22】
前記穴は前記側縁部において交互に形成されている、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項23】
前記ホースの遠位端部が閉じている、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項24】
前記穴が4インチから18インチの間隔をもって離間して形成される、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項25】
前記ホースがゴム製である、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項26】
前記ホースはポリエステルで強化されたニトリル被覆の排出ホースである、請求項25に記載の平置きホース。
【請求項1】
可撓性の樹脂含浸ライナを反転させて該ライナを既設輸送管路に合致させ、樹脂を硬化させることによって、第1の出入りポイントから第2の出入りポイントまで可撓性の樹脂含浸ライナを用いて既設輸送管路の非開削更生を行う方法であって、
可撓性の樹脂含浸ライナを供給して、可撓性ライナの一端部を前記第1の出入りポイントから前記第2の出入りポイントまで輸送管路に引き込み、
可撓性の膨張ブラダを供給し、
前記膨張ブラダの末端部に排出部を配置し、
前記排出部が前記第2の出入りポイントに到達するように、前記排出部を有する前記膨張ブラダを、可撓性ライナ内へと空気で反転させ、
水蒸気をブラダ内に導入して、水蒸気がブラダを貫流して前記排出部から出るようにし、
ライナ内の樹脂を硬化させる方法。
【請求項2】
前記膨張ブラダは樹脂含浸材料層を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膨張ブラダ内の樹脂は前記ライナ内の樹脂とともに硬化する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記排出部は、選択的に開くことができる弁を備えた第1のキャップ付き端部と、第2の開口端部を有する管である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
排出管は、前記キャップ付き端部が前記ブラダに挿入された状態で前記膨張ブラダの末端部に固定される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
可撓性の平置きホースを前記膨張ブラダの末端部に固定するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
水蒸気が前記平置きホースを通って前記ブラダ内に導入される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反転が完了する前に、水蒸気ホースを前記平置きホースの末端部に取り付けるステップをさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
平置きホースを提供するステップをさらに有し、該平置きホースはその長手方向に沿って平らな状態の平置きベースを貫通して形成される複数の開口を有するようにした、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記開口は扁平な前記平置きホースの2つの側縁部に沿って交互に形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記平置きホースの末端部を前記膨張ブラダ内に通す前に、蒸気源を前記平置きホースの末端部に取り付けることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記ブラダ内に圧力を発生させるための少なくとも1つの可撓性をもった括約筋状の弁を有する反転ユニットに、前記膨張ブラダを通して反転させるステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ブラダは前記括約筋状の弁の下流で前記反転ユニットに導入される空気を用いて反転される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
可撓性の樹脂含浸チューブを反転させて、既設輸送管路の非開削更正を行う方法であって、
前記可撓性の樹脂含浸チューブを供給し、
前記チューブを既存の管内へと反転させ、
反転される前記チューブの末端部に、穴の開いた平置きホースを取り付け、
反転したチューブを貫流する水蒸気用の排出部を用意し、
前記平置きホース及び反転した前記チューブの内部に水蒸気を導入して、水蒸気が前記排出部を貫流するようにし、
含浸チューブの樹脂を硬化させる方法。
【請求項15】
反転した前記含浸チューブの長手方向に沿って水蒸気を分布させるために、平らな状態の平置きホースの側縁部に複数の開口を交互に形成するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水蒸気がチューブの底部に形成された凝縮水溜まりに注入される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
樹脂含浸ライナを用いて既設輸送管路の非開削更正を行うための排出アセンブリであって、
第1の端部にて選択的に開くことが可能な弁及びアセンブリの第1の端部を閉鎖するキャップを有する細長い中空の管状部材を備え、
前記管状部材は、可撓性の樹脂含浸チューブの末端部の内部に位置する、バンド締めのための第2の開口端部を有し、ホース部分のキャップ付き端部が前記チューブ内に位置され、前記開口端部がライナの端部を向くようにした排出アセンブリ。
【請求項18】
前記第2の開口端部に固定された凝縮水ドレインをさらに有する、請求項17に記載の排出アセンブリ。
【請求項19】
前記第2の開口端部に取り付けられた抑止取付具をさらに有する、請求項17に記載の排出アセンブリ。
【請求項20】
チューブ内に形成される外側の不浸透性層を有する樹脂含浸可能材料からなる一本のライニング材料と、
チューブの末端部に形成された排気口を有し、該排気口は、不浸透性層及び隣接する含浸可能材料に開けた穴と、前記チューブの長手方向に向いた部分を付着させずに前記穴を覆うように位置した、ライニング材料からなる第1のパッチ部材と、非固定とされる領域にて、前記不浸透性層に固定された前記第1のパッチ部材と重なるように配置した第2のパッチ部材を用いて形成されており、前記非固定とされる領域は前記第1のパッチ部材の非固定の領域と協働して、前記チューブが反転される際に、前記穴を通して空気を逃がすようにした可撓性樹脂ライナ。
【請求項21】
現場硬化型ライナを水蒸気で硬化させるための平置きホースであって、
蒸気温度に耐え得る材料からなる一本の可撓性ホースと、
平置き状態のホースの側縁部に形成された複数の穴と、を備える平置きホース。
【請求項22】
前記穴は前記側縁部において交互に形成されている、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項23】
前記ホースの遠位端部が閉じている、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項24】
前記穴が4インチから18インチの間隔をもって離間して形成される、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項25】
前記ホースがゴム製である、請求項21に記載の平置きホース。
【請求項26】
前記ホースはポリエステルで強化されたニトリル被覆の排出ホースである、請求項25に記載の平置きホース。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【公表番号】特表2008−518820(P2008−518820A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540373(P2007−540373)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/039470
【国際公開番号】WO2006/052539
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(506153262)アイエヌエイ アクイジション コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/039470
【国際公開番号】WO2006/052539
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(506153262)アイエヌエイ アクイジション コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】
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