説明

立体画像表示装置およびマルチビュー表示装置

【課題】明るい画像が得られ解像度も高い立体画像表示装置およびマルチビュー表示装置を提供する。
【解決手段】面状の領域から照明光を出射する面状照明装置と、照明光を背面から入射させ、画素ごとに透過率を変調して出力光として出射する液晶パネルと、液晶パネルの画素に対応する複数の分光領域を有し、出力光を分光領域ごとに異なる方向に偏向する、あるいは、異なる偏光方向となるように変換する分光シートを備えた構成とする。照明光は、液晶パネルの主面に対して略垂直に入射するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元の画像として把握することができる表示を行う立体表示装置、および、異なる複数の方向に対してそれぞれ異なる画像を表示するマルチビュー表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、臨場感のある映像を実現するために立体画像を表示する装置が望まれている。このような立体画像は、観察者が左右の眼でそれぞれ視点の異なる画像を見て、頭の中で左右の画像を合成することにより、立体感を感じることができる。そのため、立体画像を作るためには、左右の眼に互いに異なる画像を表示する装置が必要であり、従来から多くの方法が検討されている。
【0003】
この立体画像の表示方法として、例えば、左眼画像と右眼画像とを異なる偏光あるいは色で表示し、偏光眼鏡やカラーフィルタの眼鏡をかけて、左右の眼にそれぞれ対応する画像のみを表示させる方法や、左眼画像と右眼画像を高速に切り替えて表示し、映像に同期して左右のシャッターを切り換える電子式シャッターを備えた眼鏡をかけて、左右の眼にそれぞれ対応する画像のみを表示させる方法がある。
【0004】
しかし、このような眼鏡を用いた立体画像表示方式は、観察者が眼鏡を着用しなければならず不便なため、従来から、眼鏡を着用しない方式も検討されている。
【0005】
眼鏡を用いない方式としては、例えば、液晶パネルの背面に画素毎にデジタルマイクロミラーデバイスからなる可動ミラーを配置し、液晶パネルで左眼画像と右眼画像を高速に切り替えて表示するとともに、それに同期して可動ミラーの反射方向を右眼方向および左眼方向となるように制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、多方向から方向別の視差画像を見る方式も提案されており、例えば、光透過部と遮光部とを交互に配置した帯(バリア)の背面に方向別の視差画像を帯状に表示するパララックスバリア方式(例えば、特許文献2参照)や、焦点面が背面に一致する厚さに作られたレンチキュラ板の背面(焦点面)に方向別の視差画像を帯状に表示するレンチキュラレンズ方式(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【0007】
また、パララックスバリア方式は、見る方向によって異なる画像を表示可能なマルチビュー表示装置に応用され、例えば自動車のインストルメントパネル中央に配置した表示装置において、運転席と助手席の左右異なる方向に別の画像を表示する用途で実用化されている。このようなマルチビュー表示装置では、観察者のいる方向(以下、ビュー方向とする)が決まっているため、バックライト出射光の輝度分布をプリズムシートで変換して、ビュー方向の輝度を高めて効率よく表示する構成が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−255265号公報
【特許文献2】特開2008−9358号公報
【特許文献3】特開2004−264858号公報
【特許文献4】特開2007−328287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の立体画像表示装置は、眼鏡不要で立体表示が可能であり、効率よく入射光を利用できるが、外光の反射を利用して表示を行っているため、外光が無いと表示ができないこと、および、外光の入射方向により、左右の眼に入射する光量が変わることが課題である。
【0010】
また、一般的に、パララックスバリア方式はパララックスバリアで出射光の一部が遮光されるため、輝度が低下するという課題があり、レンチキュラレンズ方式は、明るい画像が得られるが、方向別の視差画像の個数に半比例して立体画像の解像度は減少するという課題がある。
【0011】
また、特許文献4に記載のマルチビュー表示装置も、パララックスバリア方式と同様に輝度が低下するという課題がある。例えば、バックライト出射光を2方向に分けて2方向の表示を行ったとしても、右方向表示用の画素、および、左方向表示用の画素のそれぞれに、右方向出射光と左方向出射光の両方が入射するため、少なくとも半分の光はパララックスバリアで吸収されて失われる。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、立体画像表示装置およびマルチビュー表示装置において、光源の光を効率よく利用して明るい画像が得られるとともに解像度も高い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、面状の領域から照明光を出射する面状照明装置と、上記照明光を背面から入射させ、画素ごとに透過率を変調し、出力光として出射する液晶パネルと、上記液晶パネルの上記画素に対応する複数の分光領域を有し、上記出力光を上記分光領域ごとに異なる方向に偏向する、あるいは、異なる偏光方向となるように変換する分光シートと、を備え、上記照明光は、上記液晶パネルの主面に対して略垂直に入射するように構成する。
【0014】
このように構成すると、画像の表示を必要な方向にのみ行うことができるので、低消費電力で明るい画像の液晶表示装置が実現できる。
【0015】
このとき、上記分光領域ごとに出射方向、あるいは、偏光方向が分離された出力光はそれぞれ、互いに異なる画像の一部を表示するように構成する。
【0016】
このように構成すると、マルチビュー表示、および、立体画像の表示を行うことができる。
【0017】
ここで、上記分光シートは、上記分光領域ごとに異なる傾斜面を有するプリズムシートで構成され、上記出力光を上記分光領域ごとに異なる方向に偏向するように構成する。
【0018】
このように構成すると、プリズムシートの傾斜面は傾きや方向を自由に設定できるため、任意の方向をビュー方向として設定することができる。また、プリズムシートを交換するだけで、用途に合わせてビュー方向を容易に変更することができる。
【0019】
さらに、上記分光シートは、上記分光領域ごとにヘーズの異なる拡散機能をさらに有し、偏向される方向に応じて視野角が異なるように構成してもよい。
【0020】
このように構成すると、全方位共通の画像の中にビュー方向毎の特定画像を重ねるように表示することもでき、多彩な表示が可能となる。
【0021】
また、上記分光シートは、上記出力光を正面方向に出射する第1の出力光と、正面以外の方向に出射する第2の出力光に分離するように構成され、上記第2の出力光を反射する偏向ミラーをさらに備え、観察者が上記第1の出力光と上記第2の出力光の両方を観察できるように上記偏向ミラーの角度を調整可能な構成とすることもできる。
【0022】
このように構成すると、コンパクトに収納することが可能で、かつ、使用する時はマルチ画面のディスプレイとして使用できる液晶表示装置を実現できる。
【0023】
このとき、上記偏向ミラーは、上記液晶パネルと重ねて収納できるように構成されるとともに、垂直に入射した光は透過、入射角の大きな光は反射するような角度依存性を持つように構成する。
【0024】
このように構成すると、上記偏向ミラーを広げるスペースが無いところでは、上記偏向ミラーを収納したままでも使用することができる。
【0025】
また、上記分光シートは2種類の分光領域を備え、上記分光領域の少なくとも一方は、上記出力光に位相差を与えるように構成され、これにより、上記2種類の分光領域を透過した出力光が互いに直交する直線偏光として出射する、あるいは、互いに回転方向が逆の円偏光として出射するように構成してもよい。
【0026】
このように構成すると、偏光眼鏡を使用することにより、立体視が可能となる。また、従来の偏光眼鏡方式の立体表示装置では、上下に視点をずらしたときに右眼画像と左眼画像が逆転する課題があるが、本構成ではこのような事態を避けることができ、広い視野角で立体画像を観察することができる。
【0027】
あるいは、上記分光シートは、電圧を印可することにより上記分光領域ごとに偏向方向を制御可能な電気光学プリズムで構成され、上記分光領域ごとに上記出力光の出射方向が角度走査されるとともに、上記出力光の出射する方向に応じて上記液晶パネルの上記画素が透過率を変調するように構成してもよい。
【0028】
このように構成すると、観察する方向に応じて異なる画像を表示することができ、多視点の立体表示装置が実現できる。また、画素ごとに角度走査しているため解像度が低下せず、加えて、効率のよい立体表示装置が実現できる。
【0029】
ここで、上記電気光学プリズムは、電圧を印加することにより屈折率が変化する電気光学材料と、上記電気光学材料を挟み、光の入射側および光の出射側に配置された第1の透明電極と、第2の透明電極を備え、上記第1の透明電極と上記第2の透明電極の面積に差を付けることにより、電圧を印加したときに厚み方向にテーパ状の屈折率変化領域を形成し、入射光を偏向するように構成する。
【0030】
このように構成すると、印可する電圧を制御することにより出射光の角度走査が可能な液晶表示装置が実現できる。
【0031】
また、上記面状照明装置は、少なくとも赤色光、緑色光および青色光を独立して出射する少なくとも3つの光源を備え、上記光源および上記電気光学材料を制御する制御部をさらに備え、上記制御部により上記光源および上記電気光学材料を制御して、上記赤色光、緑色光および青色光を時間差で発光させるとともに、上記電気光学材料の屈折率を上記光源の発光に応じて微調整するように構成してもよい。
【0032】
このように構成すると、屈折率の波長分散により、波長に応じて偏向方向にずれが生じるのを防ぐことができる。
【0033】
また、観察者の位置を検出するセンサをさらに備え、上記観察者の位置に応じて上記出力光の角度走査範囲を狭める構成としてもよい。
【0034】
このように構成すると、観察者のいる方向の周辺だけに画像を表示すればよいため、さらに消費電力を低減できる。
【0035】
なお、上記面状照明装置は、光源と、上記光源からの光を側面から入射させて一方の主面から出射する導光板を備え、上記導光板は、上記一方の主面に、上記導光板内部を伝搬する照明光が出射する開口部と、上記開口部を透過した上記照明光をコリメートするコリメート素子を有し、上記一方の主面の上記開口部以外の領域は、反射層が形成される、あるいは上記導光板内部の上記照明光が全反射するように構成され、上記導光板に入射した上記光源からの光が、上記一方の主面に対して略垂直に出射するように構成する。
【0036】
このように構成すると、LED光源などの発散光源の光をコリメートして出射する面状照明装置が実現できる。
【0037】
さらに、上記光源と上記導光板の間に、上記光源からの光を端面から入射させて側面から出射する棒状の導光体をさらに備え、上記導光体は、上記側面に、上記導光体内部を伝搬する照明光が出射する開口部と、上記開口部を透過した上記照明光をコリメートするコリメート素子を有し、上記側面の上記開口部以外の領域は、反射層が形成される、あるいは上記導光体内部の上記照明光が全反射するように構成され、上記導光体に入射した上記光源からの光が、上記側面に対して略垂直に出射するように構成する。
【0038】
このように構成すると、光源を1カ所に集約することができる。また、導光板に入射する光のばらつきを抑えることができるので、導光板から出射する照明光の均一性をさらに向上させることができる。
【0039】
このとき、上記コリメート素子は、複数のボールレンズで構成され、上記ボールレンズの焦点は上記ボールレンズの表面付近となるように構成され、上記導光板の一方の主面上に上記ボールレンズが接着層を介して配置され、上記開口部が、上記ボールレンズと上記導光板の接触部となるように構成する。
【0040】
このように構成すると、発散光源の光をコリメートして出射する面状照明装置の導光板を、導光板上にボールレンズを塗布する等の簡単な工法で作成することができる。
【0041】
あるいは、上記コリメート素子は、レンズアレイで構成され、上記導光板の一方の主面上に上記レンズアレイが反射層を介して配置され、上記開口部が、上記反射層の一部に上記レンズアレイに対応して設けられ、上記レンズアレイの焦点が上記開口部に略一致するように構成する。
【0042】
このように構成すると、開口部やレンズアレイの位置を所望の配置に設定できるので、面状照明装置から出射する光の面内均一性を向上させることができる。
【0043】
あるいは、上記コリメート素子は、複数のテーパ状の突起部を有する光学シートで構成され、上記突起部は側面が略放物形状となるように構成され、上記放物形状の焦点は上記突起部の先端付近となるように構成され、上記導光板の一方の主面上に上記光学シートの突起部の先端が接着され、上記開口部が、上記突起部と上記導光板の接触部となるように構成する。
【0044】
このように構成すると、突起部を適切に配置することにより面状照明装置から出射する光の面内均一性を向上させることができる。さらに、突起部と導光板の接触部が開口となるので、別途開口を設けて突起部との位置合わせをする必要がないため、工程が簡略化できる。
【0045】
また、上記面状照明装置と上記分光シートの間の光路中に、特定波長の光を透過し、それ以外の波長の光を反射する反射型のカラーフィルタをさらに備え、上記反射型カラーフィルタは角度依存性を有し、上記光源からの光のうち、入射角の大きな光を反射するように構成してもよい。
【0046】
このように構成すると、分光シートに入射する入射角の大きな光を反射して再利用できるので、効率を落とさず、分光シートに入射する光の指向性を向上させることできる。これにより、画像のクロストークを低減することができる。
【0047】
このとき、上記反射型カラーフィルタは、上記液晶パネルの上記画素を構成するサブピクセルに対応する少なくとも3種類のフィルタ領域を有し、上記フィルタ領域はそれぞれ、赤色光あるいは緑色光あるいは青色光のいずれかを透過するように構成する。
【0048】
このように構成すると、液晶パネルの各サブピクセルに所定の波長の光を効率よく導くことができる。
【0049】
また、上記反射型カラーフィルタは、誘電体多層膜で構成され、上記液晶パネルの内部に形成した構成とする。
【0050】
このように構成すると、液晶パネルの吸収型カラーフィルタを廃止して、その代わりに反射型カラーフィルタを用いることができる。
【0051】
なお、上記面状照明装置は、直線偏光の光を出射する光源を有し、上記光源から出射した光は偏光を保持したまま上記液晶パネルの背面に導かれるように構成され、上記液晶パネルは、画像の出力側に偏光板を有し、光の入射側には偏光板を配置しない構成としてもよい。
【0052】
このように構成すると、液晶パネルの偏光板を廃止できるので低コスト化が図れるとともに、偏光板での光量損失が無くなるので、光利用効率も向上する。
【0053】
このとき、上記光源はレーザ光を出射するレーザ光源で構成され、上記レーザ光を側面から入射させて一方の主面から出射する導光板をさらに備え、上記レーザ光は、コリメートされて上記導光板に入射するように構成され、上記導光板は、上記一方の主面の対向面に、上記レーザ光を上記一方の主面に向けて偏向する偏向溝が形成され、上記偏向溝で偏向されたレーザ光が、上記導光板の上記一方の主面に対して略垂直に出射するように構成されているのが望ましい。
【0054】
このように構成すると、略平行な光を出射する面状照明装置の導光板を簡単な構成で実現できる。
【0055】
さらに、上記導光板は、上記一方の主面に、上記偏向溝で偏向された上記レーザ光の一部を透過し、残りを上記導光板内に戻す半透過膜が形成された構成とするのが望ましい。
【0056】
このように構成すると、偏向溝で偏向されたレーザ光は、導光板の底面に隣接して配置した反射シートと半透過膜の間で反射を繰り返しながら導光板内部に広がり、一方の主面から均一に出射させることができる。
【0057】
あるいは、上記光源はレーザ光を出射するレーザ光源で構成され、上記レーザ光を側面から入射させて一方の主面から出射する導光板をさらに備え、上記レーザ光は、上記導光板の厚み方向に集光されて上記導光板に入射するように構成され、上記導光板は、上記一方の主面に、上記導光板内部を伝搬するレーザ光が出射する開口部と、上記開口部を透過した上記レーザ光をコリメートするコリメート素子を有し、上記一方の主面の上記開口部以外の領域は、反射層が形成される、あるいは上記導光板内部の上記照明光が全反射するように構成され、上記コリメート素子は、上記レーザ光の伝搬する方向の断面が一定となる、シリンドリカルレンズあるいは、テーパ状の突起部で構成する。
【0058】
このように構成すると、導光板を非常に薄型に構成することができ、さらに、薄型でありながら、略平行な光を出射する面状照明を実現することができる。これを用いることにより薄型のマルチビュー表示装置、および、立体表示装置が実現できる。
【発明の効果】
【0059】
本発明の液晶表示装置によれば、光源の光を効率よく利用でき、さらに解像度も高いマルチビュー表示装置および立体表示装置を実現できる。さらに、液晶パネルを透過する光の指向性を高めることにより、画像のクロストークが少ない高画質な立体視を実現できるという大きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a)本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置の構成全体を模式的に示す斜視図(b)本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置の主要部分のxz面内の断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置に用いる導光板の拡大図
【図3】本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置の応用例を示す図
【図4】(a)本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置の別の応用例の構成全体を模式的に示す斜視図(b)本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置の別の応用例の主要部分の断面図
【図5】本発明の実施の形態1に用いる導光板の別形態の拡大図
【図6】本発明の実施の形態1に用いる導光板のさらに別形態の拡大図
【図7】(a)本発明の実施の形態1の別形態のマルチビュー表示装置の構成全体を模式的に示す斜視図(b)本発明の実施の形態1の別形態のマルチビュー表示装置における棒状導光体のxy面内の断面図
【図8】(a)本発明の実施の形態2における偏光眼鏡方式の立体表示装置の構成全体を模式的に示す斜視図(b)本発明の実施の形態2における偏光眼鏡方式の立体表示装置の主要部分のxz面内の断面図
【図9】本発明の実施の形態2に用いる液晶パネルの偏光板の透過軸、偏光分離シートの1/2波長板の光学軸、および偏光眼鏡の偏光板の透過軸の関係を示した説明図
【図10】従来構成の課題を示す説明図
【図11】薄型の垂直出射構造の構成例を示す斜視図
【図12】本発明の実施の形態2に用いる液晶パネルに反射型カラーフィルタを内蔵した場合の構成を示した断面図
【図13】干渉フィルタの構成および特性を示した説明図
【図14】本発明の実施の形態3における眼鏡不要の立体表示装置の主要部分の断面図
【図15】本発明の実施の形態3における立体表示装置と観察者の視点を示した説明図
【図16】(a)本発明の実施の形態3に用いる電気光学プリズムの一部を示す模式的な断面図に対して電圧印加した第1の状態を示す説明図(b)本発明の実施の形態3に用いる電気光学プリズムの一部を示す模式的な断面図に対して電圧印加した第2の状態を示す説明図(c)本発明の実施の形態3に用いる電気光学プリズムの一部を示す模式的な断面図に対して電圧印加した第3の状態を示す説明図
【図17】(a)調光液晶の一部を示す模式的な断面図において調光液晶に電圧を印加しないときの断面図(b)調光液晶の一部を示す模式的な断面図において調光液晶に電圧を印加したときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、形状等については正確な表示ではない場合がある。
【0062】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるマルチビュー表示装置の概略構成を示す図で、図1(a)はマルチビュー表示装置の構成全体を模式的に示す斜視図、図1(b)は図1(a)における主要部分のxz面内の断面図を示している。
【0063】
図1(a)に示すように本実施の形態1におけるマルチビュー表示装置10は、発光部が直線状に並ぶように配置された複数のLED光源11と、複数のLED光源11から出射される照明光12を側面13aから入射し、一方の主面13bから出射する導光板13と、液晶パネル15と、プリズムシート16を備えて構成されている。
【0064】
ここで、液晶パネル15は、図1(b)に示すように、液晶層、カラーフィルタ、透明電極などからなる画素15cを一対のガラス基板15d、15eで挟み、さらにその両側から偏光板15a、15bで挟んだ構造であり、これは液晶パネルの一般的な構造であるので詳しい説明は省略する。なお、画素15cの各画素は、図示を省略しているが、RGBのサブピクセルから構成されている。また、画素15cは、右方向表示用の画素(R)と左方向表示用の画素(L)が交互に配置されており、画素(R)と画素(L)はそれぞれ異なる画像の一部を表示するように構成されている。
【0065】
また、プリズムシート16は、2種類の傾斜面が形成され、各傾斜面は液晶パネル15の画素(R)と画素(L)に対応するように構成されている。
【0066】
また、導光板13の一方の主面13b上には微小なボールレンズ14が敷き詰められている。図2は図1に示した導光板13の拡大図を示している。図2に示すようにボールレンズ14は吸収の少ない透明な接着層14aを介して導光板13の一方の主面13bに接着されており、導光板13の内部を伝搬する照明光12が、主面13bと底面13cで全反射しながら伝搬するとともに、ボールレンズ14と導光板13の接触部からボールレンズ14に入射するように構成されている。ここで、ボールレンズ14は集光位置がレンズの表面付近となるように構成されており、従ってボールレンズ14に入射した光は入射角によらず導光板13に対して略垂直方向に出射することとなる。
【0067】
また、接着層14aは、ボールレンズ14の直径に対して十分に薄い厚みで構成され、導光板13からボールレンズ14に入射する光の開口が大きくなりすぎないように構成されている。あるいは、特開2001−166110号公報に開示されたコリメータシートと同様に、接着層14aが反射層となるように構成してもよい。このように構成すると、接着層が厚くなっても、開口を小さくすることができる。なお、このボールレンズ14の直径は液晶パネル15の画素15cを構成するサブピクセルの幅よりも小さいことが望ましい。
【0068】
次に、このように構成された本実施の形態1のマルチビュー表示装置10の動作について具体的に説明する。
【0069】
図1(a)および図1(b)に示すように、導光板13の側面13aに沿って直線状に配置された複数のLED光源11から出射した照明光12は、側面13aから導光板13に均一に入射し、導光板13の内部を主面13bと底面13cで全反射しながら伝搬し、やがてボールレンズ14と導光板13の接触部からボールレンズ14に入射する。
【0070】
ここで、図2に示すように、ボールレンズ14に入射した照明光12は入射角によらず導光板13に対して略垂直方向、例えば出射角10°以内で出射し、液晶パネル15に入射する。そして、照明光12は画素(R)あるいは画素(L)の何れかを透過し、画素ごとに透過率が変調されて液晶パネル15から出力光17として出射し、プリズムシート16の傾斜面で所定の方向に偏向される。
【0071】
このとき、液晶パネル15の画素(R)あるいは画素(L)を透過する光は、液晶パネル15に対して略垂直に透過していくため、それぞれプリズムシート16の対応する傾斜面に効率よく入射し、それぞれ所定の方向に偏向される。これにより画素(R)と画素(L)を透過した出力光17は、それぞれ異なる方向に効率よく画像を表示する。
【0072】
以上に説明したように本実施の形態1のマルチビュー表示装置10は、画像表示が必要な方向にのみ光を出射させており、従来構成のようなパララックスバリアでの光量の損失が無い。このため、低消費電力で明るい画像のマルチビュー表示装置を実現できる。
【0073】
また、プリズムシート16の傾斜面は、画素毎に傾きや方向を自由に設定できるため、任意の方向をビュー方向として設定することができる。図3はマルチビュー表示装置10の応用例を示しており、右上方向と正面方向にビュー方向を設定した使用例を示している。本実施の形態のマルチビュー表示装置は、図3に示すようなビュー方向が特殊な場合においても対応が可能であるとともに、プリズムシート16を交換するだけで、用途に合わせてビュー方向を容易に変更することができる。また、同様にビュー方向を増やすことも容易に行うことができる。
【0074】
また、ビュー方向を正面および左右の3方向とし、マルチビュー表示装置の左右に鏡を配置することにより、3画面の表示装置を構成することができる。図4はビュー方向を3方向となるように構成したマルチビュー表示装置の応用例を示す図で、図4(a)は構成全体を模式的に示す斜視図、図4(b)は図4(a)に用いられるマルチビュー表示装置の主要部分の断面図を示している。図4(b)において、図1(b)と異なるのはプリズムシート26のみであり、その他の構成要素は同じ符号を付して説明を省略する。
【0075】
図4(a)において、ノートパソコン25は表示部として、マルチビュー表示装置20と鏡21a、21bを備えており、左右のビュー方向に向けて表示した画像を鏡21a、21bで反射させて、一人の観察者が3方向の画像をすべて観察できるように構成されている。また、図4(b)に示すように、マルチビュー表示装置20は、LED光源11、導光板13、液晶パネル15、プリズムシート26から構成され、液晶パネル15の画素15cは正面表示用の画素(C)、右方向表示用の画素(R)、左方向表示用の画素(L)が並んで配列されている。また、プリズムシート26の各斜面は液晶パネル15の各画素(C、R、L)に対応するように構成されている。
【0076】
このように構成することにより、図1に示したマルチビュー表示装置10と同様に、マルチビュー表示装置20からは3方向に効率よく出力光17が出射するので、低消費電力で明るい画像の3画面表示ディスプレイとすることができる。また、鏡21a、21bを波線矢印の方向に折り畳めるように構成すると、持ち運び時には鏡21a、21bはコンパクトに収納できて邪魔にならない。
【0077】
また、このとき、LED光源11を赤色、緑色、青色のLED光源で構成し、鏡21a、21bを、略垂直に入射した赤色光、緑色光、青色光は透過し、所定の入射角、例えば入射角45°で入射した赤色光、緑色光、青色光は反射するように構成すると、鏡21a、21bを折り畳んだ状態でもマルチビュー表示装置20から正面方向に出力される画像を確認することができる。このように構成すると、鏡21a、21bを広げられないような場所でもノートパソコン25を使用することができる。なお、このような角度依存性を有する鏡21a、21bは、例えば誘電体多層膜を用いて実現できる。
【0078】
なお、本実施の形態は、各ビュー方向に指向性の高い出力光17を出射して効率よく、明るい画像を得られるように構成しているが、プリズムシート16の傾斜面を荒らす等の方法により、特定のビュー方向のみ視野角を広くすることも可能である。あるいは、特定の画素を透過した光を全方向に拡散させることにより、全方位共通の画像の中にビュー方向毎の特定画像を重ねるように表示することもでき、多彩な表示が可能となる。
【0079】
また、本実施の形態では、導光板13から略垂直に照明光12を出射させる構成としてボールレンズ14を用いたが、図5、図6に示すような別の構成を用いることもできる。図5および図6はそれぞれ、導光板13の主面13bの別の形態を示した拡大図を示している。
【0080】
図5に示す構成は、導光板13の主面13b上に開口部22bを含む反射層22aが形成され、開口部22bに対応してレンズアレイ22が形成されている。ここでレンズアレイ22は集光位置が開口部22bとなるように構成されている。なお、レンズアレイ22の屈折率は導光板13の屈折率より高い方が望ましい。
【0081】
このように構成すると、導光板13に入射した照明光12は、反射層22aと底面13cで反射しながら伝搬し、やがて開口部22bからレンズアレイ22に入射し、導光板13とレンズアレイ22の屈折率差により僅かに上向きに屈折し、レンズアレイ22の出射面でコリメートされて導光板13に対して略垂直な方向に出射する。
【0082】
したがって、図2に示したボールレンズ14を用いる構成と同様に、導光板13内を伝搬する発散光をコリメートして、導光板13に対して略垂直方向(例えば出射角10度以内)に出射させることができる。さらに、ボールレンズで構成する場合の製造方法はボールレンズを塗布して配置する等、ボールレンズの配置を自由に設定するのが難しいが、図5に示した構成は、開口部22bおよびレンズアレイ22の配置を導光板13の側面13aからの距離に応じて変える等、適切な配置に設定することが可能であるため、面状照明装置から出射する光の面内均一性を向上させることができる。
【0083】
図6に示す構成は、導光板13の主面13b上にテーパ状の突起23が形成されたシートを接着層23aで接着した構成である。ここで突起23の側面は、突起23と導光板13の接触部を焦点とする放物形状となるように構成されている。このように構成すると、導光板13に入射した照明光12は、接着層23aと底面13cで全反射しながら伝搬し、やがて突起23と導光板13の接触部から突起23に入射し、突起23の側面で全反射して導光板13に対して略垂直な方向に出射する。
【0084】
したがって、図2、図5に示した構成と同様に、導光板13内を伝搬する発散光をコリメートして、導光板13に対して略垂直方向(例えば出射角10度以内)に出射させることができる。また図5の構成と同様に、突起23を適切に配置することにより、面状照明装置から出射する光の面内均一性を向上させることができる。さらに、図5の構成では、レンズアレイ22と開口部22bの位置合わせが必要となるが、図6の構成は突起23と導光板13の接触部が開口となるので、別途開口部を設けて突起23との位置合わせをする必要がなく、工程が簡略化できる。
【0085】
また、図2、図5、図6に示した構造は導光板13の側面13aに沿って照明光12を入射させる光学系に利用することもできる。図7は本発明の実施の形態1の別形態を示す概略構成図で、図7(a)はマルチビュー表示装置の構成全体を模式的に示す斜視図、図7(b)は図7(a)における棒状導光体24のxy面内の断面図を示している。なお、図1(a)に示した構成とは、LED光源11の配置と棒状導光体24のみが異なる。
【0086】
図7のように構成すると、LED光源11を1箇所に集めてより均一に導光板13に入射させることができる。また、導光板13に入射する光のばらつきを抑えて、側面13aに対して略垂直に照明光12を入射させることができるので、導光板13から出射する照明光12の均一性をさらに向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態では光源をLED光源としたが、これに限定されるものではなく、光源は冷陰極管、あるいは、レーザ光源であってもよい。光源を冷陰極管とすることにより、さらに低コストの情報表示装置が実現できる。また、光源をレーザ光源とすると、色再現性のよい情報表示装置が実現できる。
【0088】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2における偏光眼鏡方式の立体表示装置の概略構成を示す図で、図8(a)は立体表示装置の構成全体を模式的に示す斜視図、図8(b)は図8(a)における主要部分のxz面内の断面図を示している。なお、実施の形態1と同じ構成要素は、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0089】
図8(a)および図8(b)に示すように本実施の形態2における立体表示装置30は、赤色レーザ光(以下、R光とする)を出射する赤色レーザ光源(以下、R光源とする)31a、緑色レーザ光(以下、G光とする)を出射する緑色レーザ光源(以下、G光源とする)31b、および、青色レーザ光(以下、B光とする)を出射する青色レーザ光源(以下、B光源とする)31cの3つの光源から構成されたレーザ光源31と、レーザ光源31から出射するR光、G光およびB光をまとめてレーザ光32とするダイクロイックミラー33と、ミラー34と、レーザ光32を線状の平行光に変換して出射する導光棒35と、導光棒35から出射したレーザ光32を側面36aから入射し、一方の主面36bから出射する導光板36と、導光板36の底面36cに隣接して配置された反射シート37と、液晶パネル15と、1/2波長板をストライプ状に配置した偏光分離シート38と、入射側のレンチキュラレンズと出射側のレンチキュラレンズの曲率方向が直交するように配置されたクロスレンチキュラレンズ39を備えて構成されている。
【0090】
ここで、各光源31a、31b、31cにはコリメートレンズがそれぞれ含まれ、平行光が出射するように構成されている。このR光源31aおよびB光源31cには、例えば波長640nmおよび波長445nmのR光およびB光を出射する高出力半導体レーザ、G光源31bには波長535nmのG光を出射する半導体レーザ励起の高出力SHGレーザが用いられている。また、各光源31a、31b、31cは、R光、G光、B光がそれぞれ同じ偏向方向で出射するように構成されている。
【0091】
また、導光棒35は、光が出射する側面に対して略45°傾斜した傾斜面を有する複数の偏向溝35aが形成され、導光棒35に入射した光を全反射により略90°偏向するように構成されている。
【0092】
また、導光板36の底面36cには、主面36bに対して略45°傾斜した傾斜面を有する複数の偏向溝36dが形成され、導光板36に略平行に入射する光を全反射により主面36bに向けて偏向し、主面36bから略垂直に出射するように構成されている。なお、この構成では、レーザ光源31を用いて略平行なレーザ光32を導光板36に入射させる構成としているので、簡単な構造の導光板で略垂直に光を出射させることができる。
【0093】
さらに、主面36aには、偏向溝36dの対面付近の反射率が高く、偏向溝36dから離れるに従い透過率が高くなるように、偏向溝36dの周期に合わせて透過率、反射率が変化する反射膜が形成され、偏向溝36dで偏向されたレーザ光32が主面36bと反射シート37の間で反射を繰り返しながら均一に出射するように構成されている。
【0094】
また、液晶パネル15は、実施の形態1に示した構成と同様の構成であり、画素15cは、右眼画像用の画素(R)と左眼画像用の画素(L)が交互に配置されている。
【0095】
また、偏光分離シート38は、1/2波長板の配置された領域(π)と1/2波長板の無い領域(0)をストライプ状に形成して構成され、この領域(π)と領域(0)は液晶パネル15の画素(R)と画素(L)に対応するように配置されている。また、偏光分離シート38の領域(π)の1/2波長板の光学軸の方向は、液晶パネル15の偏光板15aの透過軸の方向に対して略45度傾けて構成されている。
【0096】
図9は液晶パネル15の偏光板15aの透過軸、偏光分離シート38の1/2波長板の光学軸、および偏光眼鏡の偏光板の透過軸の関係を示した説明図である。なお、見やすくするために、クロスレンチキュラレンズ39は図示を省略している。
【0097】
図9に示すように、液晶パネル15の偏光板15aの透過軸41は垂直方向、偏光分離シート38の光学軸42は出射面内で透過軸41に対して略45度傾いた方向となるように構成されている。また、偏光眼鏡43の右眼の偏光板の透過軸43aは水平方向、左眼の偏光板の透過軸43bは垂直方向となるように構成されている。
【0098】
このように構成された立体表示装置30において、R光源31a、G光源31bおよびB光源31cから同じ偏光方向で出射したR光、G光およびB光は、光源ごとにコリメートされ、ダイクロイックミラー33によりレーザ光32としてまとめられ、ミラー34で偏向されて導光棒35に入射し、複数の偏向溝35aにより偏光を保持したまま略90度偏向され、導光板36の側面36aに対して垂直に出射し、例えば入射角が2度以下の略平行な状態で導光板36に入射する。
【0099】
導光板36に入射したレーザ光32は、底面36cに形成された偏向溝36dにより反射され、主面36bで一部が透過し、残りは反射される。これによりレーザ光32は、主面36bと反射シート37の間で反射を繰り返しながら導光板36内部に広がり、主面36bから主面36bに対して略垂直な方向に均一に出射し、液晶パネル15に偏光を保持したまま入射する。
【0100】
ここで、導光板36から出射するレーザ光32の偏光方向を液晶パネル15の偏光板15bの透過軸と一致するように構成しておくと、レーザ光32は偏光板15bでほとんど光量を損失することなく入射させることができる。
【0101】
液晶パネル15に入射したレーザ光32は、画素(R)あるいは画素(L)の何れかを透過して液晶パネル15から出力光40として出射し、偏光分離シート38に入射する。ここで、画素(R)を透過して出射した出力光40aは、偏光分離シート38の領域(π)に入射し、画素(L)を透過して出射した出力光40aは、偏光分離シート38の領域(0)に入射する。
【0102】
図9に示すように、液晶パネル15から垂直方向の偏光で出射した出力光40のうち、偏光分離シート38の領域(π)を透過した出力光40aは偏光が回転して水平方向の偏光となって出射し、領域(0)を透過した出力光40bは、垂直方向の偏光のまま出射し、それぞれ、図示していないクロスレンチキュラレンズ39で偏光を保持したまま拡散される。そして、この出力光40を、偏光眼鏡43を通して見ることにより、観察者の右眼には出力光40aのみが表示され、左眼には出力光40bのみが表示され、立体画像が認識される。
【0103】
以上に示したように、本実施の形態の立体表示装置30では、偏光眼鏡43を使用することにより、立体視が可能となる。また、従来の偏光眼鏡方式において、上下に視点をずらしたときに生じる右眼画像と左眼画像が逆転する課題がなく、広い視野角で立体画像を観察することができる。
【0104】
この理由を図10を用いて簡単に説明する。図10は従来構成の課題を示す説明図を示している。図10に示す従来構成の立体表示装置50において、液晶パネル15のバックライトは発散光を出射する冷陰極管51が用いられている。このように構成された立体表示装置50では、液晶パネル15の画素15cを透過した光は発散して出射する。したがって、出力光52aの方向から観察する場合は、画素(R)を透過した出力光52aは偏光分離シート38の領域(π)を透過して水平方向の偏光で出射し、偏光眼鏡により右眼に表示されるが、出力光52bの方向から観察すると、画素(R)を透過した出力光52bは偏光分離シート38の領域(0)を透過して垂直方向の偏光のまま出射するので、偏光眼鏡により左眼に表示されることとなる。
【0105】
本実施の形態の立体表示装置30は、レーザ光32を導光板36から垂直に立ち上げて、液晶パネル15および偏光分離シート38を垂直に透過させ、その後で拡散させる構成としているので、このような課題を回避することができる。
【0106】
また、本実施の形態ではレーザ光源を用いているため、LED光源および冷陰極管を光源に用いる方法と比べて大きな利点を有する。
【0107】
まず、偏光を揃えて導光板36から出射させることができるので、液晶パネル15の偏光板15bでの偏光ロスを抑えることができるとともに、この偏光板15bを廃止して低コスト化を図ることもできる。さらに電気―光変換効率が極めて高く容易に30%以上の効率が実現可能である。このような特長によりLEDに比べ半分程度の消費電力での駆動が可能である。
【0108】
なお、本実施の形態では、導光板36に平行光を入射させる構成としたが、導光板36の厚み方向にレーザ光32を集光して入射させるように構成してもよい。このとき、導光板内を伝搬するレーザ光32は幅方向に平行かつ厚み方向に拡散するので、導光板36の構造では垂直にレーザ光32を出射させることはできない。この場合は、導光板のレーザ光32の伝搬方向の断面を、図5あるいは図6に示した構造とすることにより出射光を垂直に出射させることができる。
【0109】
図11は、薄型の垂直出射構造の構成例を示す斜視図である。図11に示すように、垂直出射構造60は、導光シート61の一方の主面上に、レーザ光32の進行方向に対して垂直方向に伸びる突起部62を有するシートを接着層62aで接着して構成され、この突起部62の断面形状が放物線となるように構成されている。この構成において、導光シート61の端面61aに偏光を揃えたレーザ光32を導光シート61の厚み方向に集光して入射させると、偏光を保持したまま略垂直に光を出射させることができる。
【0110】
このとき、入射光の厚み方向の幅は数μm程度にまでしぼることができるため、導光シート61の厚みを数μmから100μm前後の非常に薄型に構成することができ、薄型で略垂直方向に出射光をコリメートして出射することが可能な面状照明装置が実現できる。
【0111】
また、本実施の形態の立体表示装置30の液晶パネルに反射型カラーフィルタを内蔵した構成としてもよい。図12は立体表示装置30の液晶パネルに反射型カラーフィルタを内蔵した場合の構成を示した断面図である。図12において、液晶パネル45以外は図8(b)に示した構成と同じであるので説明を省略する。
【0112】
図12において、液晶パネル45は、液晶層、透明電極などからなる画素45cと反射型カラーフィルタ46を一対のガラス基板45d、45eで挟み、出射側にのみ偏光板45aを配置した構造であり、画素45cは図示を省略しているRGBのサブピクセルから構成されている。また、反射型カラーフィルタ46は、RGBサブピクセルに対応した分光特性の異なる領域である、領域(r)、領域(g)、領域(b)を有している。なお、画素45cは、図8(b)の構成と同様に、右方向表示用の画素(R)と左方向表示用の画素(L)が交互に配置されている。
【0113】
ここで、液晶パネル45は、図1に示した一般的な構造の液晶パネル15と比較すると、画素45cに従来の(吸収型の)カラーフィルタを含まないこと、その代わりに反射型カラーフィルタ46を内蔵していること、および、入射側の偏光板を廃止していることが異なる。
【0114】
また、反射型カラーフィルタ46は、例えば、図13に示すような干渉フィルタで構成されている。図13は干渉フィルタの構成および特性を示した説明図で、図13(a)は干渉フィルタの具体構成、図13(b)は図13(a)に示した構成の分光特性を示している。
【0115】
図13(a)において、反射型カラーフィルタ46は、低屈折率材料(例えば二酸化珪素(SiO2))で構成された低屈折率層46aと、高屈折率材料(例えば二酸化チタン(TiO2))で構成された高屈折率層46bと、高屈折率材料で構成された欠陥層46cを積層して構成されている。また、低屈折率層46aおよび高屈折率層46bの各層の厚みは、それぞれ物理膜厚に屈折率を乗じて得られる光学膜厚が設定波長(例えば535nm)の1/4に略等しくなるように構成されており、各領域において同じ膜厚となるように構成されている。一方、欠陥層46cは各領域において、それぞれ異なる厚みを持ち、特定の波長の光が透過するように構成されている。
【0116】
このように構成された領域(r)、領域(g)、領域(b)の分光特性は、図13(b)に示す分光特性47r、47g、47bのようになり、各領域がR光、G光、B光のいずれかに対し高い透過率を持つ。また、干渉フィルタ46による吸収は殆どないため、透過しない光はほぼ反射する。したがって、従来のカラーフィルタの代わりに用いることができ、さらに各サブピクセルに入射する不要な波長の光を反射させてリサイクルすることにより、各サブピクセルに所定の波長の光を効率よく導けるので、効率の向上に大きく寄与する。
【0117】
さらに、このように構成された反射型カラーフィルタ46の分光特性は角度依存性を持ち、入射角が大きくなると透過する波長が短波長側にずれるため、入射角の大きな光を反射するフィルタとしても機能する。これにより、液晶パネル45を透過するレーザ光32のばらつきをさらに小さく、例えば数度程度とすることができるため、図10を用いて説明したような右眼画像と左眼画像が互いに反対側の眼に漏れ込むクロストークをさらに低減することができる。
【0118】
なお、本実施の形態では、液晶パネル15の画素(R)および画素(L)を透過した光をそれぞれ偏光方向が直交する直線偏光で出射させる構成としたが、偏光分離シート38の各領域にそれぞれ1/4波長板を配置して、画素(R)および画素(L)を透過した光が右回りの円偏光および左回りの円偏光となるように構成してもよい。このとき、偏光眼鏡43に1/4波長板を付加すると円偏光を直線偏光に戻せるので、偏光板を用いて右眼と左眼に所定の画像を表示することができる。このように構成すると、観察者が顔を傾けた場合、すなわち偏光眼鏡を傾けた場合にも、右眼画像と左眼画像のクロストークの少ない立体視が可能となる。
【0119】
(実施の形態3)
図14は本発明の実施の形態3における眼鏡不要の立体表示装置の主要部分の断面図を示している。なお、本実施形態は、図12に示した構成と電気光学プリズムのみが異なり、それ以外の構成要素は同じであるので、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0120】
図14に示す立体表示装置70は、図示を省略しているが、実施の形態2で示した立体表示装置30と同様にレーザ光源31と、ダイクロイックミラー33と、ミラー34を備え、レーザ光源31から出射したレーザ光32が導光棒35に入射し、導光棒35から略平行な偏光の揃った光が出射するように構成されている。
【0121】
また、図14に示すように、導光棒35から出射したレーザ光32を側面36aから入射し、一方の主面36bから出射する導光板36と、導光板36の底面36cに隣接して配置された反射シート37と、反射型カラーフィルタ46を内蔵した液晶パネル45と、画素ごとに出射方向を変調可能な電気光学プリズム71を備えている。
【0122】
ここで、液晶パネル45の画素45cは、電気光学プリズム71による出力光40の角度走査に対応して透過光を変調するように構成され、出力光40の出射方向に対応した画像を表示できるように構成されている。
【0123】
また、電気光学プリズム71は、電圧を印可することにより屈折率が変化する電気光学材料を用いて構成されている。図16は、屈折による偏向方向を電気的に調整可能な電気光学プリズム71の一部を示す模式的な断面図で、図16(a)、図16(b)、図16(c)はそれぞれ電圧を印可する場所を変えた時の状態を示している。
【0124】
図16(a)、図16(b)、図16(c)に示すように、電気光学プリズム71は、透明な電気光学材料72の両端にそれぞれ透明電極73、74が形成され、透明電極73は液晶パネル45の画素に対応して分割されている。また、電気光学材料72は、例えば、カリウム(K)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、酸素(O)から成るKTN結晶で構成され、電圧を印加すると屈折率が変化する電気光学効果を有している。なお、電気光学材料72の斜線部は電圧印可により屈折率が変化している領域を示している。
【0125】
このように構成された電気光学プリズム71の分割された透明電極73の一部に電圧を印可すると、印可する位置に応じて図16(a)、図16(b)、図16(c)のいずれかの状態に変化し、略垂直に入射した出力光40を正面または右方向または左方向に偏向させることができる。また、左右方向に偏向させる場合は、印可する電圧を制御することにより偏向する角度を制御することができる。
【0126】
このように構成された立体表示装置70において、R光源31a、G光源31bおよびB光源31cから偏光を揃えて出射したR光、G光およびB光は、レーザ光32としてまとめられ、導光棒35に入射して線状の平行光に変換され、導光板36に入射する。導光板36に入射したレーザ光32は、偏光を保持したまま、導光板36から略垂直に出射して液晶パネル45に入射し、ここで液晶パネル45に内蔵された反射型カラーフィルタ46により、入射角の大きな光は反射され、指向性をより高められたレーザ光32は、画素45cを透過して液晶パネル45から出力光40として出射し、電気光学プリズム71に入射する。
【0127】
電気光学プリズム71に入射した出力光40は、画素ごとに出射方向が角度走査され、それに応じて画素45cで出射方向に応じた変調が行われる。これにより、観察者は、観察する方向に応じた画像を見ることができる。このとき、表示する画像を切り替える角度差を右眼と左眼の視差程度に設定すると、偏光眼鏡等を用いなくても立体画像を見ることができる。
【0128】
図15は立体表示装置70と観察者の視点を示した説明図である。図15に示すように、液晶パネル45の画素45cの各画素を透過した出力光40がそれぞれ3方向に走査されると、2つの観測位置75a、75bから観察したとき、右眼と左眼で観察される画像の違いから立体画像を認識することができる。
【0129】
以上のように構成された本実施の形態の立体表示装置70は、画素ごとに角度走査をしているため、光利用効率のロスが極めて少なく、解像度も低下しないため、低消費電力で高画質の多視点の立体表示装置が実現できる。また、液晶パネルに干渉フィルタで構成された反射型カラーフィルタを内蔵させて、液晶パネル透過光の指向性を高めているので、所定の画素を透過して所定の角度で出射する出力光が、別の画素を透過して別の出射角度で出射する出力光に混ざるのを低減することができる。したがって、クロストークの少ない立体画像を表示することができる。
【0130】
さらに、観察者の位置を検出するセンサを付加すると、観察者のいる方向の周辺だけに出力光の角度走査の範囲を限定することもできる。このように構成すると、さらに低消費電力化が可能となる。
【0131】
なお、本実施の形態の電気光学プリズム71では、電気光学材料72に電圧を印加して屈折率を一部変化させることにより、出力光を屈折させて偏向する構成としているが、電気光学材料72の屈折率の波長分散が大きいと、R光、G光およびB光がそれぞれ偏向される方向がずれてしまう。このような場合は、レーザ光源および電気光学材料72を制御する制御部をさらに設け、R光、G光およびB光を時間差で順次発光させるとともに、発光している波長に応じて電気光学材料72の屈折率を微調整するように構成すると、波長ごとの偏向方向のずれを補正できる。
【0132】
また、本実施の形態では、表示装置として液晶パネルを用いる構成としたが、リアプロジェクションディスプレイのスクリーンの代わりに電気光学プリズム71を用いて画素ごとに出射角を制御するように構成しても、同様の効果がある。このように構成すると、電気光学プリズムに入射する出力光は非常に指向性が高いので、極めて画像のクロストークの少ない立体画像を表示することができる。
【0133】
また、電気光学プリズム71の代わりに調光液晶をつかうと、広視野角と狭視野角を切り替え可能な表示装置に応用することもできる。
【0134】
図17は、透過と拡散を電気的に切り替え可能な調光液晶80の一部を示す模式的な断面図で、図17(a)は調光液晶80に電圧を印加しないときの断面図、図17(b)は調光液晶80に電圧を印加したときの断面図を示している。
【0135】
図17(a)および図17(b)に示すように調光液晶80は、スポンジのように穴が開いた構造の透明なポリマーフィルム81を一対の透明電極82、83で挟んで構成され、ポリマーフィルム81に開いた穴である液晶カプセル84の中には、ネマティック液晶の棒状分子85が封入されている。
【0136】
このように構成された調光液晶80は、電圧を印加していない状態では、ネマティック液晶の棒状分子85が液晶カプセル84の壁の曲面に沿って整列し、透過光の進行方向に沿って並んでいないため、ポリマーフィルム81とネマティック液晶の棒状分子85との屈折率の違い、および、ネマティック液晶の棒状分子85の複屈折により、入射光は屈折して光路が曲げられ、散乱する。
【0137】
一方、この調光液晶80に電圧を印加すると、ネマティック液晶の棒状分子85が電界方向に沿って整列し、このとき、ポリマーフィルム81の屈折率とネマティック液晶の棒状分子85の常光線屈折率が一致するように構成されていると、液晶カプセル84とポリマーフィルム81の境界層が光学的に存在しない状態となり、調光液晶80に入射した光をそのまま透過させることができる。
【0138】
このような調光液晶80は出力光40を透過させる場合も、拡散させる場合も効率のロスが小さく、光利用効率が高いので低消費電力かつ視野角制御が可能な液晶表示装置を実現でき、例えば、ノートパソコンのような用途に有用である。
【0139】
また、実施の形態1のプリズムシートと、プリズムシートの傾斜面ごとに透過と拡散を切り替えるように構成した調光液晶を用いると、ビュー方向ごとに視野角を切り替え可能な液晶表示装置が実現できる。
【0140】
なお、本発明の実施の形態1〜3に示した構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。また全ての構成はどのように組み合わせてもよく、それぞれ本発明固有の効果を発揮することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明のマルチビュー表示装置および立体表示装置は、光利用効率が高く、消費電力の低減に効果がある。またクロストークの少ない偏光眼鏡方式の立体表示装置を実現できる。さらに、眼鏡不要の立体表示装置にも応用可能であり、高解像度でクロストークの少ない高画質の立体表示が実現でき、有用である。
【符号の説明】
【0142】
10,20 マルチビュー表示装置
11 LED光源
12 照明光
13 導光板
13a 側面
13b 主面
13c 底面
14 ボールレンズ
14a 接着層
15,45 液晶パネル
15a,15b,45a 偏光板
15c,45c 液晶層
15d,45d 画素
15e,15f,45e,45f ガラス板
16,26 プリズムシート
17 出射光
21a,21b 鏡
22 レンズアレイ
22a 反射層
22b 開口部
23 突起
23a 接着層
24 棒状導光体
25 ノートパソコン
30 立体表示装置(偏光眼鏡方式)
31 レーザ光源
31a 赤色レーザ光源(R光源)
31b 緑色レーザ光源(G光源)
31c 青色レーザ光源(B光源)
32 レーザ光
33 ダイクロイックミラー
34 ミラー
35 導光棒
35a 偏向溝
36 導光板
36a 側面
36b 主面
36c 底面
36d 偏向溝
37 反射シート
38 偏光分離シート
39 クロスレンチキュラレンズ
40,40a,40b,52a,52b 出力光
41 透過軸
42 光学軸
43 偏光眼鏡
43a 右眼の偏光板の透過軸
43b 左眼の偏光板の透過軸
46 反射型カラーフィルタ
46a 低屈折率層
46b 高屈折率層
46c 欠陥層
47r,47b 分光特性
50 従来の立体表示装置(偏光眼鏡方式)
51 冷陰極管
60 垂直出射構造
61 導光シート
61a 端面
62 突起部
62a 接着層
70 立体表示装置(眼鏡無し)
71 電気光学プリズム
72 電気光学材料
73,74 透明電極
75a,75b 観測位置
80 調光液晶
81 ポリマーフィルム
82,83 透明電極
84 ネマティック液晶の棒状分子
85 液晶カプセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状の領域から照明光を出射する面状照明装置と、
前記照明光を背面から入射させ、画素ごとに透過率を変調し、出力光として出射する液晶パネルと、
前記液晶パネルの前記画素に対応する複数の分光領域を有し、前記出力光を前記分光領域ごとに異なる方向に偏向する、あるいは、異なる偏光方向となるように変換する分光シートと、
を備え、
前記照明光は、前記液晶パネルの主面に対して略垂直に入射するように構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記分光領域ごとに出射方向、あるいは、偏光方向が分離された出力光はそれぞれ、互いに異なる画像の一部を表示するように構成され、マルチビュー表示、あるいは、立体画像の表示を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記分光シートは、前記分光領域ごとに異なる傾斜面を有するプリズムシートで構成され、
前記出力光を前記分光領域ごとに異なる方向に偏向するように構成したことを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記分光シートは、さらに前記分光領域ごとにヘーズの異なる拡散機能を有し、偏向される方向に応じて視野角が異なることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記分光シートは、前記出力光を正面方向に出射する第1の出力光と、正面以外の方向に出射する第2の出力光に分離するように構成され、前記第2の出力光を反射する偏向ミラーをさらに備え、
観察者が前記第1の出力光と前記第2の出力光の両方を観察できるように前記偏向ミラーの角度を調整可能であることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記偏向ミラーは、前記液晶パネルと重ねて収納できるように構成されるとともに、垂直に入射した光は透過、入射角の大きな光は反射するような角度依存性を持つことを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記分光シートは2種類の分光領域を備え、前記分光領域の少なくとも一方は、前記出力光に位相差を与えるように構成され、
これにより、前記2種類の分光領域を透過した出力光が互いに直交する直線偏光として出射する、あるいは、互いに回転方向が逆の円偏光として出射することを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記分光シートは、電圧を印可することにより前記分光領域ごとに偏向方向を制御可能な電気光学プリズムで構成され、
前記分光領域ごとに前記出力光の出射方向が角度走査されるとともに、前記出力光の出射する方向に応じて前記液晶パネルの前記画素が透過率を変調するように構成され、
これにより、前記出力光を観察する方向に応じて異なる画像が表示されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記電気光学プリズムは、電圧を印加することにより屈折率が変化する電気光学材料と、前記電気光学材料を挟み、光の入射側および光の出射側に配置された第1の透明電極と、第2の透明電極を備え、
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の面積に差を付けることにより、電圧を印加したときに厚み方向にテーパ状の屈折率変化領域を形成し、入射光を偏向するように構成したことを特徴とする請求項8記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記面状照明装置は、少なくとも赤色光、緑色光および青色光を独立して出射する少なくとも3つの光源を備え、前記光源および前記電気光学材料を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部により前記光源および前記電気光学材料を制御して、前記赤色光、緑色光および青色光を時間差で発光させるとともに、前記電気光学材料の屈折率を前記光源の発光に応じて微調整することを特徴とする請求項9記載の液晶表示装置。
【請求項11】
観察者の位置を検出するセンサをさらに備え、前記観察者の位置に応じて前記出力光の角度走査範囲を狭めることにより、高輝度、あるいは、低電力で駆動することを特徴とする請求項8記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記面状照明装置は、光源と、前記光源からの光を側面から入射させて一方の主面から出射する導光板を備え、
前記導光板は、前記一方の主面に、前記導光板内部を伝搬する照明光が出射する開口部と、前記開口部を透過した前記照明光をコリメートするコリメート素子を有し、
前記一方の主面の前記開口部以外の領域は、反射層が形成される、あるいは前記導光板内部の前記照明光が全反射するように構成され、
前記導光板に入射した前記光源からの光が、前記一方の主面に対して略垂直に出射するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記光源と前記導光板の間に、前記光源からの光を端面から入射させて側面から出射する棒状の導光体をさらに備え、
前記導光体は、前記側面に、前記導光体内部を伝搬する照明光が出射する開口部と、前記開口部を透過した前記照明光をコリメートするコリメート素子を有し、
前記側面の前記開口部以外の領域は、反射層が形成される、あるいは前記導光体内部の前記照明光が全反射するように構成され、
前記導光体に入射した前記光源からの光が、前記側面に対して略垂直に出射するように構成されていることを特徴とする請求項12記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記コリメート素子は、複数のボールレンズで構成され、
前記ボールレンズの焦点は前記ボールレンズの表面付近となるように構成され、
前記導光板の一方の主面上に前記ボールレンズが接着層を介して配置され、
前記開口部が、前記ボールレンズと前記導光板の接触部で構成されていることを特徴とする請求項12記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記コリメート素子は、レンズアレイで構成され、
前記導光板の一方の主面上に前記レンズアレイが反射層を介して配置され、
前記開口部が、前記反射層の一部に前記レンズアレイに対応して設けられ、前記レンズアレイの焦点が前記開口部に略一致するように構成されていることを特徴とする請求項12記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記コリメート素子は、複数のテーパ状の突起部を有する光学シートで構成され、
前記突起部は側面が略放物形状となるように構成され、前記放物形状の焦点は前記突起部の先端付近となるように構成され、
前記導光板の一方の主面上に前記光学シートの突起部の先端が接着され、
前記開口部が、前記突起部と前記導光板の接触部で構成されていることを特徴とする請求項12記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記面状照明装置と前記分光シートの間の光路中に、特定波長の光を透過し、それ以外の波長の光を反射する反射型のカラーフィルタをさらに備え、
前記反射型カラーフィルタは角度依存性を有し、前記光源からの光のうち、入射角の大きな光を反射するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記反射型カラーフィルタは、前記液晶パネルの前記画素を構成するサブピクセルに対応する少なくとも3種類のフィルタ領域を有し、前記フィルタ領域はそれぞれ、赤色光あるいは緑色光あるいは青色光のいずれかを透過するように構成されていることを特徴とする請求項17記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記反射型カラーフィルタは、誘電体多層膜で構成され、前記液晶パネルの内部に形成されたことを特徴とする請求項18記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記面状照明装置は、直線偏光の光を出射する光源を有し、前記光源から出射した光は偏光を保持したまま前記液晶パネルの背面に導かれるように構成され、
前記液晶パネルは、画像の出力側に偏光板を有し、光の入射側には偏光板を配置しないことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記光源はレーザ光を出射するレーザ光源で構成され、前記レーザ光を側面から入射させて一方の主面から出射する導光板をさらに備え、
前記レーザ光は、コリメートされて前記導光板に入射するように構成され、
前記導光板は、前記一方の主面の対向面に、前記レーザ光を前記一方の主面に向けて偏向する偏向溝が形成され、
前記偏向溝で偏向されたレーザ光が、前記導光板の前記一方の主面に対して略垂直に出射するように構成されていることを特徴とする請求項20記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記導光板は、前記一方の主面に、前記偏向溝で偏向された前記レーザ光の一部を透過し、残りを前記導光板内に戻す半透過膜が形成されていることを特徴とする請求項21記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記光源はレーザ光を出射するレーザ光源で構成され、前記レーザ光を側面から入射させて一方の主面から出射する導光板をさらに備え、前記レーザ光は、前記導光板の厚み方向に集光されて前記導光板に入射するように構成され、
前記導光板は、前記一方の主面に、前記導光板内部を伝搬するレーザ光が出射する開口部と、前記開口部を透過した前記レーザ光をコリメートするコリメート素子を有し、
前記一方の主面の前記開口部以外の領域は、反射層が形成される、あるいは前記導光板内部の前記照明光が全反射するように構成され、
前記コリメート素子は、前記レーザ光の伝搬する方向の断面が一定となる、シリンドリカルレンズあるいは、テーパ状の突起部で構成されていることを特徴とする請求項20記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−243941(P2010−243941A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94793(P2009−94793)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】