説明

端末装置

【課題】1対1の近接無線通信方式を利用しつつ、近接無線通信を行ないたい外部端末装置が複数台存在する場合であっても適正に対応でき、利便性を向上させる。
【解決手段】近接無線通信用の第1及び第2の通信部131,132を備え、それぞれの通信部131,132に別のデジタルカメラDS2,DS3,・・を接続可能にするとともに、デジタルカメラDS2,DS3,・・と通信接続したときの状態に応じて自機のDS1をマスター装置又はスレーブ装置に設定して通信を行わせることで、実質的に3台以上のDS1〜DS3を縦列接続した状態での通信を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータ、他のデジタルカメラ等の外部端末装置と近接無線通信するデジタルカメラ等の端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、端末装置間の通信接続に関する各種提案例がある。その1つに、IEEE1394I/Fを備える機器をIPネットワークに接続するためのプロトコル変換機能を備えた通信中継装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、専用の装置を作る必要があり、ユーザのコスト負担が大きい上に、複数の端末機器を接続する際にハブが必要で配線が複雑になる問題がある。
【0003】
一方、このような不具合をなくし、通信したい機器同士を接近させるだけで通信路が確立し、大容量のデータを高速で通信を行なうことができる近接無線通信技術が“TransferJet(トランスファージェット)”として提案されている。このような近接無線通信によれば、送信電力が微弱なため、他の無線システムに干渉を及ぼすことがなく、通信したい相手機器に対して数cm以内の至近距離となるように近づけることで1対1の通信が確立するため、相手機器の特定が簡単な上に、ユーザのデータ転送の意図も明確に反映させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−135982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の近接無線通信は、1対1の関係で端末装置同士の通信を確立するものであり、相互に通信を行いたい端末装置が3台以上存在する場合には、対応することができず、不便である。例えば、或る端末装置に関してPC(ホスト)と近接無線通信を行いたい場合であっても、このPC(ホスト)が別の端末装置と近接無線通信中であれば、通信を行うことができないものである。また、3台以上のデジタルカメラ同士で画像ファイルを共有したい場合であっても、2台のデジタルカメラ同士での画像ファイルの共有動作を繰り返して行わなければならないものである。すなわち、従来の近接無線通信技術では、相互に通信を行いたい端末装置が3台以上存在する場合の対応策については特に考慮されていないものである。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、1対1の近接無線通信方式を利用しつつ、近接無線通信を行ないたい外部端末装置が複数台存在する場合であっても適正に対応でき、利便性を向上させることができる情報通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる端末装置は、外部端末装置と無線通信する端末装置であって、前記外部端末装置と近接無線通信する第1及び第2の通信ユニットと、該2つの通信ユニットが、前記外部端末装置の1つの通信ユニットと同時には通信接続できないように配置された筐体と、前記通信ユニットで前記外部端末装置と通信接続したときの状態に応じて、当該端末装置を前記通信ユニットで直接接続された前記外部端末装置及び前記通信ユニットに1以上の前記外部端末装置を介して間接的に接続された他の外部端末装置を制御するマスター装置又は、他のマスター装置から制御されるスレーブ装置に設定する接続制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記2つの通信ユニットは、それぞれ信号を送出及び検出する信号送受信部材を有し、当該信号送受信部材から送出および受信した信号により前記外部端末装置と通信するものであり、前記2つの通信ユニットの前記各信号送受信部材は、該各信号送受信部材を介して前記外部端末装置の前記1つの通信ユニットと同時には通信接続できないように前記筐体に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記2つの通信ユニットは、それぞれ電磁波を利用して前記外部端末装置と通信するものであり、前記信号送受信部材は、電磁波を送出及び検出するためのアンテナであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記第1の通信ユニット又は前記第2の通信ユニットに接続しようとする前記外部端末装置の前記通信ユニットが、当該第1の通信ユニットに対応する第3の通信ユニットであるか又は当該第2の通信ユニットに対応する第4の通信ユニットであるかを判定する接続先判定部をさらに備え、前記接続制御部は、前記第1の通信ユニットに接続しようとする前記外部端末装置の前記通信ユニットが、前記接続先判定部により前記第3の通信ユニットと判定された場合には接続を無効とし前記第4の通信ユニットと判定された場合には接続を許可し、前記第2の通信ユニットに接続しようとする前記外部端末装置の前記通信ユニットが、前記接続先判定部により前記第4の通信ユニットと判定された場合には接続を無効とし前記第3の通信ユニットと判定された場合には接続を許可することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記接続制御部は、前記第1の通信ユニットが接続状態で前記第2の通信ユニットが非接続状態である場合には当該端末装置をマスター装置に設定し、前記第1の通信ユニットが非接続状態で前記第2の通信ユニットが接続状態である場合及び前記2つの通信ユニットの両方が接続状態である場合には当該端末装置をスレーブ装置に設定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記接続制御部は、前記2つの通信ユニットの一方が接続状態であって非接続状態の他方に前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をスレーブ装置に設定し、非接続状態の前記2つの通信ユニットの一方に前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をマスター装置に設定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、当該端末装置及び前記外部端末装置は、それぞれ通信モード又は非通信モードで動作するものであり、前記接続制御部は、通信モードの当該端末装置に非通信モードの前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をスレーブ装置に設定し、非通信モードの当該端末装置に通信モードの前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をマスター装置に設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記接続制御部は、当該端末装置をマスター装置に設定した場合、当該端末装置に前記通信ユニットで直接接続された前記外部端末装置又は前記通信ユニットに1以上の前記外部端末装置を介して間接的に接続された前記外部端末装置を制御するための情報を、それぞれの前記外部端末装置から取得することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、使用者が操作する操作部材と、情報を表示する表示部とをさらに備え、前記筐体は、略直方体の形状であって、前記操作部材の主要部分と前記表示部と前記第2の通信ユニットの前記信号送受信部材が第1の面に配置され、前記第1の通信ユニットの前記信号送受信部材が前記第1の面と略平行な第2の面に配置されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、当該端末装置は、被写体を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像した画像を記憶する画像メモリと、前記撮像部で撮像した画像又は前記画像メモリに記憶された画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えるカメラであって、前記第1の面は、当該カメラの背面であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記撮像部は、レンズを有し、前記第2の面は、前記レンズが前記筐体に沈胴して平坦になることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる端末装置は、上記発明において、前記接続制御部は、当該端末装置を前記外部端末装置に接続してマスター装置に設定した場合、当該端末装置の前記画像メモリに記憶された画像を、当該端末装置に直接又は間接的に接続された全ての前記外部端間装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる端末装置によれば、近接無線通信用の第1及び第2の通信ユニットを備え、それぞれの通信ユニットに別の外部端末装置を接続可能にするとともに、外部端末装置と通信接続したときの状態に応じて当該端末装置をマスター装置又はスレーブ装置に設定して通信を行わせるようにしたので、実質的に3台以上の端末装置を縦列接続した状態での通信が可能となり、1対1の近接無線通信方式を利用しつつ、近接無線通信を行ないたい外部端末装置が複数台存在する場合であっても適正に対応でき、利便性を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明にかかる端末装置を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態の端末装置は、外部端末装置ともなり得るもので、一例として1対1の近接無線通信方式により外部端末装置と無線通信するデジタルカメラ(DS)への適用例として説明する。本発明は、各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかるコンパクト型のデジタルカメラの構成例を簡略化して示す前面側から見た外観斜視図であり、図2は、その背面側から見た外観斜視図である。本実施の形態1のデジタルカメラ100は、前面101f及び背面101bが略平行でやや扁平横長な略直方体の形状に形成された筐体101を備える。また、デジタルカメラ100は、筐体101の第2の面となる前面101f側に、レンズ102や発光部103を備える。レンズ102は、被写体像を内蔵のCCD等の結像素子に結像させるためのものであり、筐体101の前面101fに対して繰り出し・沈胴自在に設けられている。レンズ102が沈胴した場合、筐体101の前面101fは平坦となるように形成されている。発光部103は、暗所撮影時に利用されるもので、具体的には、白色LEDが用いられている。
【0022】
また、デジタルカメラ100は、筐体101の第1の面となる背面101b側に、表示部110やモードダイヤルスイッチ111、OKボタン112付きの十字ボタン113等を備える。表示部110は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)からなり、各種情報の表示に利用される。その一例として、再生モードにおける撮像済み画像の表示や、撮影モードにおけるスルー画の表示などがある他、モードダイヤルスイッチ111の操作等に伴う各種メニュー表示等もある。表示部110は、LCDに限らず、ELD等であってもよい。モードダイヤルスイッチ111は、例えば、デジタルカメラ100のモードを撮影モードや再生モードといった非通信モードに設定したり、通信モードに設定する際に使用されるスイッチである。OKボタン112付きの十字ボタン113は、メニュー画面等における所望事項の選択・切換え操作や決定操作を行なうためのボタンである。
【0023】
さらに、デジタルカメラ100は、筐体101の上面101uに、電源スイッチ120やレリーズスイッチ121を備える。電源スイッチ120は、デジタルカメラ100の電源の投入/遮断のためのスイッチである。レリーズスイッチ121は、撮影動作を指示するためのスイッチであり、半押しすることで、1stレリーズONとなってAF,AE等の撮影準備動作が実行され、全押しすることで、2ndレリーズONとなり撮影動作が実行される。
【0024】
ここで、モードダイヤルスイッチ111、OKボタン112付きの十字ボタン113、電源スイッチ120、レリーズスイッチ121等は、いずれも操作者が操作する操作部材であるが、モードダイヤルスイッチ111等の操作部材の主要部分は、図2に示す如く、筐体101の背面101b側に配置されている。
【0025】
また、本実施の形態1のデジタルカメラ100は、第1の通信部(第1の通信ユニット)131と第2の通信部(第2の通信ユニット)132とを備える。ここで、第1及び第2の通信部131,132は、それぞれ信号を送受信する近接無線通信専用の信号送受信部材としてのアンテナ131a,132a(図3参照)を有して、PCホストや自己と同等の外部端末装置(デジタルカメラ等)との間で、近接無線通信可能な数cm以内の至近距離内で、1対1の関係をなす単一チャンネルで電磁波による誘導電界を利用して近接無線通信をするためのものである。このため、第1の通信部131と第2の通信部132は、相手機器となる或る外部通信端末の近接無線通信用の1つの通信部と同時には通信接続できないように筐体101において分離して配置されている。本実施の形態1では、第2の通信部132は、表示部110等と同じく筐体101の背面(第1の面)101bに配置され、第1の通信部131は、筐体101の前面(第2の面)101fに配置されている。また、これら第1及び第2の通信部131,132は、位置的には、前面101f側から見て筐体101の右上隅部で表裏同一位置となるように配置されている。
【0026】
これにより、第1及び第2の通信部131,132は、同一機種同士を同一向きで重ねたり並べた場合には同一の通信部同士(第1の通信部131同士、又は、第2の通信部132同士)が通信可能な位置に近接対向せず、異なる通信部同士(自機の第1の通信部131と他機の第2の通信部132、又は、自機の第2の通信部132と他機の第1の通信部131)が通信可能な位置に近接対向するように設定されている。
【0027】
ここで、第1及び第2の通信部131,132は、アンテナ131a,132aの他、高周波回路、CPU、電源回路及びメモリ等を内蔵して電磁波を利用して通信を行うICチップからなり、外部端末装置の通信部を至近距離内に近づけたときに電磁波による誘導電界によって第1の通信部131や第2の通信部132の電源回路が起動するように構成されている。また、第1及び第2の通信部131,132は、上述したような配置上の工夫に加え、外部端末装置との間の通信確立に際しては、それぞれ別のID情報を用いることで、通信部が第1の通信部131であるか第2の通信部132であるかの判定が可能とされている。
【0028】
また、図3は、本実施の形態1のデジタルカメラ100のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。デジタルカメラ100は、当該カメラ全体の制御を司るCPU141を備える。CPU141には、前述の第1及び第2の通信部131,132の他に、ROM142、操作部143、撮像部144、画像処理部145、SDRAM146、記憶媒体147、表示制御部148等が接続されている。
【0029】
ROM142は、CPU141が各種制御を行うための制御プログラム等を格納したものである。操作部143は、モードダイヤルスイッチ111、OKボタン112付きの十字ボタン113、電源スイッチ120、レリーズスイッチ121等の操作部材からなる。撮像部144は、前述のレンズ102や発光部103の他に、撮像素子104及び撮像制御部105を備える。撮像素子104は、レンズ102により結像される被写体像を光電変換して電気信号による画像データとして出力するものであり、CCD等が用いられているが、CMOSイメージセンサ等であってもよい。撮像制御部105は、CPU141による制御管理の下、撮像部144の動作を制御するためのものである。
【0030】
また、画像処理部145は、撮像部144の撮像素子104により撮像された画像データに対して圧縮・伸張等の必要な画像処理を施すためのものである。SDRAM146は、各種情報を一時的に記憶するためのものである。記憶媒体147は、撮像部144の撮像素子104で撮像されて画像処理部145で画像処理された画像データ等を記憶するための画像メモリであって、デジタルカメラ100に対して挿脱自在に設けられている。表示制御部148は、CPU141による制御管理の下、記憶媒体147等の画像メモリに記憶された画像を表示部110に再生表示させたり、撮像部144の撮像素子104により撮像された画像を表示部110にスルー画表示させる処理を行なう。
【0031】
また、本実施の形態1のCPU141は、制御プログラムに従いカメラ全体の制御を司るが、制御プログラムに基づきCPU141により実行される接続先判定部151及び接続制御部152の各機能部を備える。
【0032】
接続先判定部151は、1つのデジタルカメラ100が第1及び第2の通信部131,132を有することから、相手機器となる外部端末装置が近接無線通信可能な至近距離内に入って接続要求があった場合の通信部の対応関係を判定するためのものであり、例えば、第1の通信部131と第2の通信部132とに割り当てられたID情報の違いによって判定される。すなわち、第1又は第2の通信部131,132に接続要求を発して接続しようとする外部端末装置の通信部が、第1の通信部131に対応する第3の通信部(当該外部端末装置における第1の通信部)であるか、第2の通信部132に対応する第4の通信部(当該外部端末装置における第2の通信部)であるかを通信部同士のID情報を用いて判定する処理を行なう。
【0033】
また、接続制御部152は、その機能の一つとして、相手機器となる外部端末装置からの接続要求があった場合に、接続先判定部151の判定結果を用いて、接続を許可し、又は接続を無効とする制御処理を実行する。まず、第1の通信部131に接続しようとする外部端末装置の通信部が、接続先判定部151により第3の通信部(第1の通信部131に相当)と判定された場合には接続を無効にする一方、第4の通信部(第2の通信部132に相当)と判定された場合には接続を許可する。同様に、第2の通信部132に接続しようとする外部端末装置の通信部が、接続先判定部151により第4の通信部(第2の通信部132に相当)と判定された場合には接続を無効にする一方、第3の通信部(第1の通信部131に相当)と判定された場合には接続を許可する。すなわち、本実施の形態1の如く、同一機種のデジタルカメラ100同士の場合であれば、同一向きで重ねたり並べた場合には通信部同士の接続が許可され、逆向きで重ねたり並べた場合には通信部同士の接続が無効とされる。
【0034】
また、接続制御部152は、他の機能の一つとして、通信部を介して外部端末装置と近接無線通信の通信接続をしたときの状態に応じて、当該デジタルカメラ100をマスター装置又はスレーブ装置に設定する処理を実行する。当該デジタルカメラ100は、マスター装置に設定された場合には、このデジタルカメラ100に直接接続された外部端末装置はもちろん、1つ以上の外部端末装置を介して間接的に接続された他の外部端末装置も制御することとなる。当該デジタルカメラ100は、スレーブ装置に設定された場合には、他のマスター装置から制御されることとなる。
【0035】
ここで、本実施の形態1における接続制御部152は、第1及び第2の通信部131,132の接続・非接続状態のパターンに応じてマスター装置かスレーブ装置かのいずれかに設定する。具体的には、第1の通信部131が接続状態で第2の通信部132が非接続状態である場合には当該デジタルカメラ100をマスター装置に設定し、第1の通信部131が非接続状態で第2の通信部132が接続状態である場合及び2つの通信部131,132の両方が接続状態である場合には当該デジタルカメラ100をスレーブ装置に設定するように規定されている。
【0036】
次いで、本実施の形態1のデジタルカメラ100におけるモード変更の制御例について説明する。図4は、CPU141により実行される第1のモード変更制御例を示す概略フローチャートである。この制御例は、モードダイヤルスイッチ111操作に基づき通信モードに遷移する例を示している。まず、電源スイッチ120を投入することで、カメラ電源がオンすると(ステップS10)、モードダイヤルスイッチ111により通信モードが選択されているか否かを判定する(ステップS11)。通信モードが選択されていなければ(ステップS11;No)、撮影モードが選択されているか否かを判定する(ステップS12)。撮影モードが選択されていなければ(ステップS12;No)、再生モードであり、再生モード処理を実行する(ステップS13)。また、撮影モードが選択されていれば(ステップS12;Yes)、レンズ102を繰り出して撮影モード処理を実行する(ステップS14)。
【0037】
一方、モードダイヤルスイッチ111により通信モードが選択されていれば(ステップS11;Yes)、レンズ102を沈胴させる(ステップS15)。これにより、デジタルカメラ100(筐体101)の前面101fは、全面的に平坦となる。そして、通信待ち受け中の表示を開始させる(ステップS16)。この表示は、第1及び第2の通信部131,132の両方が非接続状態であれば、筐体101の前面101f、背面101bの両方の表示をオンさせることで、接続待機状態であることをユーザに知らせるためのものである。具体的には、白色LEDによる発光部103を一定周期で点滅させることで、前面101f側に配置された第1の通信部131が非接続状態(通信待機状態)であることをユーザに知らせる。また、表示部110に通信待ち受け中のアイコンを表示し、一定周期で点滅させることで、背面101b側に配置された第2の通信部132が非接続状態(通信待機状態)であることをユーザに知らせる。その後、第1及び第2の通信部131,132中の電源をオンさせることで、通信待ち受け状態とし(ステップS17)、通信モードとして他のデジタルカメラ等の外部端末装置からの接続を待つ。
【0038】
また、図5は、CPU141により実行される第2のモード変更制御例を示す概略フローチャートである。この制御例は、当該デジタルカメラ100が相手機器を検出することで自動的に通信モードに遷移する例を示している。まず、電源スイッチ120を投入することで、カメラ電源がオンすると(ステップS20)、例えば撮影モードであった場合には、レンズ102を繰り出して撮影モード処理を開始する(ステップS21)。ここで、図4のステップS16,S17の場合と同様に、通信待ち受け中の表示を開始させるとともに(ステップS22)、第1及び第2の通信部131,132中の電源をオンさせることで、通信待ち受け状態とし(ステップS23)、撮影モード中(或いは、再生モード中)であっても、他のデジタルカメラ等の外部端末装置からの通信待ち受けを可能とする。
【0039】
そして、レリーズスイッチ121が操作されたか否かを判定する(ステップS24)。レリーズスイッチ121が操作された場合には(ステップS24;Yes)、ユーザによる撮影動作の指示であり、第1及び第2の通信部131,132中の電源をオフさせて通信待ち受け状態を解除するとともに、通信待ち受け中の表示もオフさせる(ステップS25)。これは、撮影処理で発光部103を使用する場合があるので、レリーズスイッチ121の操作を受け付けた場合には、通信待ち受け中の表示(発光部103の点滅)を一時的に中止させる。そして、レリーズスイッチ121の操作に従い、撮像部144で被写体像の撮影処理を実行する(ステップS26)。
【0040】
一方、ユーザによってレリーズスイッチ121が操作されていない場合においては(ステップS24;No)、通信待ち受け状態の第1又は第2の通信部131,132を通じて通信相手が検出されたか否かを繰り返し判定する(ステップS27)。ここで、通信待ち受け状態の第1又は第2の通信部131,132を通じて通信相手が検出された場合には(ステップS27;Yes)、接続先判定部151及び接続制御部152による、検出された通信相手の通信部の適合性の判定に基づく接続の許可を経て、レンズ102を沈胴させて(ステップS28)、通信モードの処理に移行する(ステップS29)。ここで、レンズ102を沈胴させるのは、後述するように、複数台の同種のデジタルカメラ100を重ね合わせたり、隣り合せで横並びに配置させるためである。
【0041】
また、本実施の形態1のデジタルカメラ100における通信モードでの表示制御例について説明する。図6は、CPU141により実行される通信モードでの表示制御例を示す概略フローチャートである。まず、第1の通信部131で通信中であるか否かを判定する(ステップS30)。通信中でなければ(ステップS30;No)、第1の通信部131が配置されている前面101f側の白色LEDによる発光部103を点滅させる(ステップS31)。これにより、第1の通信部131が通信待機状態であることをユーザに知らせる。一方、通信が確立して通信中となれば(ステップS30;Yes)、第1の通信部131が配置されている前面101f側の白色LEDによる発光部103をオフさせる(ステップ32)。これにより、第1の通信部131が通信確立した状態であることをユーザに知らせる。
【0042】
同様に、第2の通信部132で通信中であるか否かを判定する(ステップS33)。通信中でなければ(ステップS33;No)、第2の通信部132が配置されている背面101b側の表示部110上に通信待ち受け中のアイコンを点滅表示させる(ステップS34)。これにより、第2の通信部132が通信待機状態であることをユーザに知らせる。一方、通信が確立して通信中となれば(ステップS33;Yes)、第2の通信部132が配置されている背面101b側の表示部110における通信待ち受け中のアイコン表示をオフさせる(ステップS35)。これにより、第2の通信部132が通信確立した状態であることをユーザに知らせる。
【0043】
このような構成のデジタルカメラ100を用いて、通信マスターとなるホストPC200との間で近接無線通信を行なう場合の例について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、ホストPC200と複数台のデジタルカメラ100との間の通信例を示す模式図であり、図8は、その場合の通信制御例を示す概略シーケンス図である。なお、複数台のデジタルカメラ100につき、区別を要する場合には、DS1,DS2,の如く、表記するものとする。
【0044】
まず、ホストPC200側にあっては、デジタルカメラ100等の近接無線通信端末との間で近接無線通信を行うための通信部201を備えるクレードル等と称される通信用ステージ202を備え、ホストPC200の本体側とUSBケーブル203等で接続されている。よって、通信用ステージ202上に近接無線通信端末を載置し、その近接無線通信端末の通信部のアンテナと通信用ステージ202側の通信部201が備えるアンテナとの間で電波により信号を送受信することにより通信が可能となる。ここで、通信用ステージ202側の通信部201は、第1の通信部131に対応する通信部として構成されている。よって、本実施の形態1のデジタルカメラ100を載置した場合、図7に示すように、通信部201に第2の通信部132が近接するようにレンズ102側を上向きに載置すれば、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が許可されるが、通信部201に第1の通信部131が近接するようにレンズ102側が下向きとなるように載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が無効とされるように構成されている。
【0045】
そこで、まず、DS1で示すデジタルカメラ100をレンズ102側を上向きとして通信用ステージ202上に載置すると、通信部201とDS1の第2の通信部132との間で1対1の近接無線通信が確立する。この際の両者の役割決めは、ホストPC200がマスター装置となり、DS1がスレーブとなる。これは、DS1において、接続制御部152が、第1の通信部131が非接続状態で第2の通信部132が接続状態であることによっても、当該DS1がスレーブ装置となるように設定する。この際、DS1は、通信モードに設定されて載置される場合には、元々レンズ102が沈胴しているが、撮影モードであったとしても、ステップS28,S29の処理によりレンズ102が沈胴し、通信モード処理に移行する。これにより、DS1の上面は、平坦状態となる。
【0046】
このようにDS1とホストPC200との間で通信が確立すると、図8中に示すように、ホストPC200側がDS1を制御し、DS1からこのDS1を制御するためのアドレス、ID、その他の制御情報を取得するとともに、画像フィル情報を取得する。このようなDS1とホストPC200との通信中において、DS1の上面(前面101f)側は発光部103が点滅していることにより、第1の通信部131側が他の端末からの通信待機状態であることがユーザに知らされる。
【0047】
このような状況で、通信用ステージ202上に載置されたDS1の上に、さらに、DS2で示すデジタルカメラ100を、レンズ102側を上向きとして重ねて載置したとする。この際、DS1の上面(前面101f)は、レンズ102が沈胴して平坦となっているので、DS2の重ね合わせに支障はない。また、図7に示すように、DS1の第1の通信部131にDS2の第2の通信部132が近接するようにレンズ102側を上向きに載置すれば、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が許可され、DS1の第1の通信部131とDS2の第2の通信部132との間で1対1の近接無線通信が確立する。すなわち、待ち受け状態の第1の通信部131がDS2の第2の通信部132による接続要求を受け取ると、それぞれの接続制御部152が両者の役割決めを行なうが、マスター装置としてホストPC200が存在するので、いずれもスレーブ装置として設定される。これは、DS1においては、接続制御部152が、第1及び第2の通信部131,132がともに接続状態であることによっても、当該DS1がスレーブ装置となるように設定する。また、DS2においては、接続制御部152が、第1の通信部131が非接続状態で第2の通信部132が接続状態であることによっても、当該DS1がスレーブ装置となるように設定する。
【0048】
このようにしてホストPC200とDS1、並びにDS1とDS2との間で通信が確立すると、DS1を中継スレーブ装置としてホストPC200とDS2との間の通信も可能となる。そこで、ホストPC200側がDS2を制御し、DS2からこのDS2を制御するためのアドレス、ID、その他の制御情報を取得するとともに、画像フィル情報を取得することが可能となる。さらに、ホストPC200は、マスター装置として、DS1から画像ファイルを取得したり、DS2から画像ファイルを取得することが可能となる。
【0049】
すなわち、DS1は、第2の通信部132でホストPC200と通信を行っている間、第1の通信部131で他の端末からの接続要求を待ち受け、第1の通信部131に他の端末、例えばDS2からの接続要求を受け取ると、ホストPC200とDS2との間の中継役を担うスレーブ装置となり、ホストPC200とDS2との間の通信を可能とする。具体的には、ホストPC200から画像ファイルに関する転送要求があった場合に、自己宛のアドレスでなければ、この転送要求を単に中継し、後続機であるDS2にそのまま転送し、DS2からホストPC200に対する応答に関しても同様にそのままホストPC200側に転送する。これにより、DS1がホストPC200と通信中であっても、DS2とホストPC200との通信が可能となる。
【0050】
このようなDS2とホストPC200との通信中において、DS2の上面(前面101f)側は発光部103が点滅していることにより、第1の通信部131側が他の端末からの通信待機状態であることがユーザに知らされる。このような状況で、通信用ステージ202上に載置されたDS1,DS2の上に、さらに、DS3で示す所望のデジタルカメラ100をレンズ102側を上向きとして重ねて載置したとする。この場合も、DS2の場合と同様に、ホストPC200とDS3との通信がDS1,DS2を介して可能となる。
【0051】
このように、本実施の形態1によれば、近接無線通信用の第1及び第2の通信部131,132を備え、それぞれの通信部131,132に別のデジタルカメラ等の外部端末装置を接続可能にするとともに、外部端末装置と通信接続したときの状態に応じて自機をマスター装置又はスレーブ装置に設定して通信を行わせるようにしたので、実質的に3台以上のデジタルカメラ等の端末装置を縦列接続した状態での通信が可能となる。よって、1対1の近接無線通信方式を利用しつつ、近接無線通信を行ないたい端末が複数台存在する場合であっても適正に対応でき、利便性が向上する。特に、本実施の形態1によれば、ホストPC200が1つのデジタルカメラ100と1対1の近接無線通信による通信中であっても、所望のデジタルカメラ100を縦列的に接続して、このデジタルカメラ100とホストPC200との間で1対1の近接無線通信を行うことができる。
【0052】
(実施の形態2)
前述の実施の形態は、マスター装置であるホストPC200と複数台のデジタルカメラ100との間の通信接続例について説明したが、本実施の形態2は、対等な複数台のデジタルカメラ100同士の通信接続例を示すものである。図9は、複数台のデジタルカメラ100同士の通信例を平面図的に示す模式図であり、図10は、その画像ファイル共有のための通信制御例を示す概略シーケンス図である。なお、実施の形態1で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示すものとする。
【0053】
なお、本実施の形態2における接続制御部152は、追加したデジタルカメラ100側がマスター装置となるように、マスター装置/スレーブ装置の設定を行なう。すなわち、2つの通信部131,132の一方が接続状態であって非接続状態の他方にデジタルカメラ100(他機)が接続された場合(すなわち、待ち受け中)にはデジタルカメラ100(自機)をスレーブ装置に設定し、非接続状態の2つの通信部131,132の一方にデジタルカメラ100が接続された場合(すなわち、新規に追加された場合)にはデジタルカメラ100(自機)をマスター装置に設定するように規定されている。また、接続制御部152は、通信モードのデジタルカメラ100(自機)に撮影モードや再生モードなる非通信モードのデジタルカメラ100(他機)が接続された場合にはデジタルカメラ100(自機)をスレーブ装置に設定し、非通信モードのデジタルカメラ100(自機)に通信モードのデジタルカメラ100(他機)が接続された場合にはデジタルカメラ100(自機)をマスター装置に設定するように規定されている。
【0054】
まず、DS2で示すデジタルカメラ100が、通信モードに設定されてテーブル等に載置されているものとする。DS2は、通信モードの設定に従い通信モードに遷移し、第1及び第2の通信部131,132は他のデジタルカメラ(外部端末装置)からの接続を待つ。
【0055】
このような状態で、DS1で示す撮影モードのデジタルカメラ100をDS2の前面側に近接させて配置させたとする。この際、DS2に対してDS1を図9に示すように同一向きに並べて載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が許可されて近接無線通信が確立するが、前面同士(又は背面同士)が対向するように逆向きに並べて載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が無効とされ、以降の処理は行なわれない。
【0056】
そこで、DS1をDS2と同じ向きで近接させることで、例えばDS1の第2の通信部132がDS2の第1の通信部131を検出して近接無線通信を確立すると、DS1の接続制御部152は、DS1自身を撮影モードから通信モードに遷移し、レンズ102を沈胴させる。そして、DS1,DS2それぞれの接続制御部152は、役割決めによりマスター装置かスレーブ装置かを設定する。この場合、上記役割決めのルールにより、待ち受け中であったDS2がスレーブ装置となり、追加されたDS1がマスター装置となるように設定される。
【0057】
これにより、DS1がマスター装置となり、DS2との間で、画像ファイルの共有処理を行なう。すなわち、DS1がDS2から画像ファイルを取得する(GET)とともに、DS1の画像ファイルをDS2へ転送する(PUT)。
【0058】
このような画像ファイルの共有処理中に、DS3で示す撮影モードのデジタルカメラ100をDS1の前面側に近接させて配置させたとする。この際、DS1に対してDS3を図9に示すように同一向きに並べて載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が許可されて近接無線通信が確立するが、前面同士(又は背面同士)が対向するように逆向きに並べて載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が無効とされ、以降の処理は行なわれない。この際、DS1は、元々は撮影モードであったが、DS2との通信確立により、レンズ102が沈胴しているので、DS1の前面側へのDS3の接近配置には支障ない。
【0059】
ここで、画像ファイルの共有処理中は、他のデジタルカメラの接続を保留する。すなわち、物理的な検出は行なえるが、役割決め処理は行なわないように設定されている。図示例であれば、DS1は、DS2との間で画像ファイルの共有処理を行いつつ、DS3の接近を待ち受ける。そして、DS3の接近配置により、DS3の第2の通信部132がDS1の第1の通信部131を検出すると、DS3の接続制御部152は、DS3自身を撮影モードから通信モードに遷移し、レンズ102を沈胴させる。そして、DS3,DS1,DS2それぞれの接続制御部152は、役割決めによりマスター装置かスレーブ装置かを設定する。この場合、上記役割決めのルールにより、待ち受け中であったDS1,DS2がスレーブ装置となり、追加されたDS3がマスター装置となるように設定される。
【0060】
これにより、DS3がマスター装置となり、DS1,DS2との間で、画像ファイルの共有処理を行なう。この際、DS1,DS2間では画像ファイルの共有処理は既に終了しているので、DS3はDS1から画像ファイルを取得する(GET)ことで、DS1及びDS2の画像ファイルを取得する。一方、DS3の画像ファイルは、DS1へ転送し(PUT)、さらにDS1を中継して、DS2へも転送する(PUT)。
【0061】
このような画像ファイルの共有処理中に、DS4で示す通信モードのデジタルカメラ100をDS2の背面側に近接させて配置させたとする。この際、DS2に対してDS4を同一向きに並べて載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が許可されて近接無線通信が確立するが、背面同士(又は前面同士)が対向するように逆向きに並べて載置した場合には、接続先判定部151及び接続制御部152によって接続が無効とされ、以降の処理は行なわれない。
【0062】
ここで、画像ファイルの共有処理中は、上記の如く、他のデジタルカメラの接続を保留する。そして、DS4の接近配置により、DS4の第1の通信部131がDS2の第2の通信部132を検出すると、DS2側に対して接続要求を発し、DS4の第1の通信部131とDS2の第2の通信部132との間で近接無線通信を確立する。そして、DS3,DS1,DS2,DS4それぞれの接続制御部152は、役割決めによりマスター装置かスレーブ装置かを設定する。この場合、上記役割決めのルールにより、間に挟まれたDS1はスレーブ装置のままであり、待ち受け中であったDS2,DS3がスレーブ装置となり、追加されたDS4がマスター装置となるように設定される。
【0063】
これにより、DS4がマスター装置となり、DS1,DS2,DS3との間で、画像ファイルの共有処理を行なう。この際、DS1〜DS3間では画像ファイルの共有処理は既に終了しているので、DS4はDS2から画像ファイルを取得する(GET)ことで、DS1,DS2,DS3の画像ファイルを取得する。一方、DS4の画像ファイルは、DS2へ転送し(PUT)、さらにDS2を中継してDS1へ転送し(PUT)、さらに、DS1を中継してDS3へ転送する(PUT)。
【0064】
このように、本実施の形態2によれば、近接無線通信用の第1及び第2の通信部131,132を備え、それぞれの通信部131,132に別のデジタルカメラ等の外部端末装置を接続可能にするとともに、外部端末装置と通信接続したときの状態に応じて自機をマスター装置又はスレーブ装置に設定して通信を行わせるようにしたので、実質的に3台以上のデジタルカメラ等の端末装置を縦列接続した状態での通信が可能となる。よって、1対1の近接無線通信方式を利用しつつ、近接無線通信を行ないたい端末が複数台存在する場合であっても適正に対応でき、利便性が向上する。特に、複数台のデジタルカメラ100を縦列的に近接配置させた場合、新規に追加されたデジタルカメラ100がマスター装置となるようにマスター/スレーブ装置を動的に再構築できるようにしたので、カメラ内の画像データを複数台のデジタルカメラ100で共有する際の制御が簡単となる。
【0065】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、実施の形態2の場合と同様に、対等な複数台のデジタルカメラ100同士の通信接続例を示すものである。図11は、再生モードで所望の画像を選択して、その画像ファイルを送信する場合の通信制御例を示す概略シーケンス図である。なお、実施の形態1で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示すものとする。また、本実施の形態3における接続制御部152は、実施の形態1の場合と同じく、第1の通信部131が接続状態で第2の通信部132が非接続状態である場合には当該デジタルカメラ100をマスター装置に設定し、第1の通信部131が非接続状態で第2の通信部132が接続状態である場合及び2つの通信部131,132の両方が接続状態である場合には当該デジタルカメラ100をスレーブ装置に設定するように規定されている。すなわち、表示部110やモードダイヤルスイッチ111や十字ボタン113等が配置された背面101bが縦列的に配列される複数台のデジタルカメラ100中で外側に位置しているものをマスター装置として設定することで、マスター装置として送信すべき画像の選択操作等を可能としている。
【0066】
まず、図11において、通信モードの2台のDS3,DS2に関して、DS2がマスター装置、DS3がスレーブ装置として通信が確立しているものとする。このような状況で、これらDS2,DS3に対してDS1から所望の画像を送信したい場合には、モードダイヤルスイッチ111や十字ボタン113を操作することでDS1を再生モードに設定して送信したい画像を選択する処理を行なう。そして、DS1を、通信待ち受け中のDS2の背面101b側に近づけ、DS2に対して接続要求を発する。これにより、DS1の第1の通信部131とDS2の第2の通信部132との間で近接無線通信が確立し、DS3,DS2,DS1それぞれの接続制御部152は、役割決めによりマスター装置かスレーブ装置かを設定する。この場合、上記役割決めのルールにより、第1の通信部131のみが接続状態となり背面101b側が操作可能となるように外側に位置するDS1がマスター装置として設定され、残りのDS2,DS3はスレーブ装置として設定される。
【0067】
そこで、DS1がマスター装置となってDS2,DS3側との通信が開始され、DS1は、選択された画像ファイルをDS2へ転送し(PUT)、さらにDS2を中継してDS3へ転送する(PUT)。この送信終了後、引き続き、DS1を操作し、再生モードで送信したい所望の画像を選択し、上記の処理を繰り返す。
【0068】
ところで、図12に接続失敗例を示す。まず、通信モードの2台のDS3,DS2に関して、DS2がマスター装置、DS3がスレーブ装置として通信が確立しているものとする。このような状況で、これらDS2,DS3に対してDS1から所望の画像を送信したく、通信待ち受け中のDS2にDS1を近づけた場合を想定する。しかしながら、図12に示す例の場合、DS2の背面側に背面側が対向するようにDS1を近づけており、DS1の第2の通信部132から接続要求を発しても、DS2の第2の通信部132との間では通信が確立せず無効となり、かつ、DS1が撮影モードであって送信すべき所望の画像が選択されていないため、DS1を近づけてもDS2側との通信を確立することはできない。よって、DS2,DS3は、DS2がマスター装置、DS3がスレーブ装置の状態を維持する。
【0069】
また、複数台で通信を確立している状態から、通信の切断があった場合の通信状態の再構築例について図13を参照して説明する。まず、DS1がマスター装置、DS2〜DS4がスレーブ装置として通信が確立しているものとする。このような状況で、DS4及びDS3をDS2から離すことにより、或いは、逆に、DS1及びDS2をDS3から離すことにより、DS3とDS2との間の通信が切断された場合を想定する。
【0070】
この場合、接近配置されているもの同士、すなわち、DS4とDS3、DS2とDS1でそれぞれ通信状態の再構築処理を行なう。そして、操作面となる背面側が外向きで操作可能(第1の通信部131のみが接続状態)なデジタルカメラをマスター装置として設定する。図示例では、DS1とDS3が該当し、マスター装置に設定され、残りのDS2,DS4はスレーブ装置のままとされる。そして、マスター装置となるべきDS3は、通信モードから再生モードに遷移し、送信したい画像の選択操作が可能となる。
【0071】
このように、本実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様な効果が得られる。特に、複数台のデジタルカメラ100を縦列的に近接配置させた場合、第1の通信部131のみが接続されて、表示部110を見ることができ、十字ボタン113等の操作が可能なデジタルカメラ100がマスター装置となるようにマスター/スレーブ装置を設定するようにしたので、再生モードにて所望の画像を複数台の他のデジタルカメラ100に送信したい場合の処理が簡単となる。
【0072】
なお、以上の各実施の形態では、第1及び第2の通信部131,132がそれぞれ信号送受信部材としてアンテナ131a,132aを備え、電磁波による誘導電界を利用した近接無線通信の例で説明したが、本発明にかかる端末装置はこれに限らず、例えば光や音波を利用した近接無線通信であっても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるコンパクト型のデジタルカメラの構成例を簡略化して示す前面側から見た外観斜視図である。
【図2】デジタルカメラの構成例を簡略化して示す背面側から見た外観斜視図である。
【図3】本実施の形態1のデジタルカメラのハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
【図4】第1のモード変更制御例を示す概略フローチャートである。
【図5】第2のモード変更制御例を示す概略フローチャートである。
【図6】通信モードでの表示制御例を示す概略フローチャートである。
【図7】ホストPCと複数台のデジタルカメラとの間の通信例を示す模式図である。
【図8】通信制御例を示す概略シーケンス図である。
【図9】本発明の実施の形態2の複数台のデジタルカメラ同士の通信例を平面図的に示す模式図である。
【図10】画像ファイル共有のための通信制御例を示す概略シーケンス図である。
【図11】本発明の実施の形態3の、再生モードで所望の画像を選択して、その画像ファイルを送信する場合の通信制御例を示す概略シーケンス図である。
【図12】接続失敗例を示す概略シーケンス図である。
【図13】切断が生じた場合の概略シーケンス図である
【符号の説明】
【0074】
100 デジタルカメラ
101 筐体
101b 背面
101f 前面
102 レンズ
110 表示部
111,112,113,120,121 操作部材
131 第1の通信部
131a アンテナ
132 第2の通信部
132a アンテナ
144 撮像部
147 記憶媒体
151 接続先判定部
152 接続制御部
200 ホストPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末装置と無線通信する端末装置であって、
前記外部端末装置と近接無線通信する第1及び第2の通信ユニットと、
該2つの通信ユニットが、前記外部端末装置の1つの通信ユニットと同時には通信接続できないように配置された筐体と、
前記通信ユニットで前記外部端末装置と通信接続したときの状態に応じて、当該端末装置を前記通信ユニットで直接接続された前記外部端末装置及び前記通信ユニットに1以上の前記外部端末装置を介して間接的に接続された他の外部端末装置を制御するマスター装置又は、他のマスター装置から制御されるスレーブ装置に設定する接続制御部と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記2つの通信ユニットは、それぞれ信号を送出及び検出する信号送受信部材を有し、当該信号送受信部材から送出および受信した信号により前記外部端末装置と通信するものであり、
前記2つの通信ユニットの前記各信号送受信部材は、該各信号送受信部材を介して前記外部端末装置の前記1つの通信ユニットと同時には通信接続できないように前記筐体に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記2つの通信ユニットは、それぞれ電磁波を利用して前記外部端末装置と通信するものであり、前記信号送受信部材は、電磁波を送出及び検出するためのアンテナであることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記第1の通信ユニット又は前記第2の通信ユニットに接続しようとする前記外部端末装置の前記通信ユニットが、当該第1の通信ユニットに対応する第3の通信ユニットであるか又は当該第2の通信ユニットに対応する第4の通信ユニットであるかを判定する接続先判定部をさらに備え、
前記接続制御部は、前記第1の通信ユニットに接続しようとする前記外部端末装置の前記通信ユニットが、前記接続先判定部により前記第3の通信ユニットと判定された場合には接続を無効とし前記第4の通信ユニットと判定された場合には接続を許可し、前記第2の通信ユニットに接続しようとする前記外部端末装置の前記通信ユニットが、前記接続先判定部により前記第4の通信ユニットと判定された場合には接続を無効とし前記第3の通信ユニットと判定された場合には接続を許可することを特徴とする請求項2又は3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記接続制御部は、前記第1の通信ユニットが接続状態で前記第2の通信ユニットが非接続状態である場合には当該端末装置をマスター装置に設定し、前記第1の通信ユニットが非接続状態で前記第2の通信ユニットが接続状態である場合及び前記2つの通信ユニットの両方が接続状態である場合には当該端末装置をスレーブ装置に設定することを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記接続制御部は、前記2つの通信ユニットの一方が接続状態であって非接続状態の他方に前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をスレーブ装置に設定し、非接続状態の前記2つの通信ユニットの一方に前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をマスター装置に設定することを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項7】
当該端末装置及び前記外部端末装置は、それぞれ通信モード又は非通信モードで動作するものであり、
前記接続制御部は、通信モードの当該端末装置に非通信モードの前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をスレーブ装置に設定し、非通信モードの当該端末装置に通信モードの前記外部端末装置が接続された場合には当該端末装置をマスター装置に設定することを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記接続制御部は、当該端末装置をマスター装置に設定した場合、当該端末装置に前記通信ユニットで直接接続された前記外部端末装置又は前記通信ユニットに1以上の前記外部端末装置を介して間接的に接続された前記外部端末装置を制御するための情報を、それぞれの前記外部端末装置から取得することを特徴とする請求項5又は7に記載の端末装置。
【請求項9】
使用者が操作する操作部材と、情報を表示する表示部とをさらに備え、
前記筐体は、略直方体の形状であって、前記操作部材の主要部分と前記表示部と前記第2の通信ユニットの前記信号送受信部材が第1の面に配置され、前記第1の通信ユニットの前記信号送受信部材が前記第1の面と略平行な第2の面に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の端末装置。
【請求項10】
当該端末装置は、被写体を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像した画像を記憶する画像メモリと、前記撮像部で撮像した画像又は前記画像メモリに記憶された画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えるカメラであって、
前記第1の面は、当該カメラの背面であることを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記撮像部は、レンズを有し、
前記第2の面は、前記レンズが前記筐体に沈胴して平坦になることを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記接続制御部は、当該端末装置を前記外部端末装置に接続してマスター装置に設定した場合、当該端末装置の前記画像メモリに記憶された画像を、当該端末装置に直接又は間接的に接続された全ての前記外部端間装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−45741(P2010−45741A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210098(P2008−210098)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】