説明

第Xa因子阻害物質として使用する、N−(1−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル)−スルホンアミド誘導体

本発明は、式(I):[式中:Rは、(II):(それぞれの環はさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表し、Tは、S、OまたはNHを表す)から選択される基を表し;Rは、水素、−C1−6アルキル、−C1−3アルキルCONR、−C1−3アルキルCO1−4アルキル、−CO1−4アルキルまたは−C1−3アルキルCOHを表し;(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、またはそれらが結合しているN原子と一緒になって、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し、C1−4アルキルにより置換されていてよく、そしてそのヘテロ原子SはOにより置換されていてよい、即ちS(O)であってよく;nは0−2を表す;)Xは、ハロゲン、−C1−4アルキル、−C2−4アルケニルまたは−CFから選択される:インダン環上の択一的な置換基を表し;Yは、インダン環の非芳香族部分にて置換されている−(CHNR基を表す;(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、−C1−4アルキルOHまたはそれらが結合しているN原子と一緒になって、4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環、O、NもしくはSから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環、またはC1−4アルキルもしくはハロゲンにより置換されていてよい4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し;mは0−2を表す;)]で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)に関する。本発明は、式(I)で示される化合物(群)の製造方法、式(I)で示される化合物(群)を含む医薬組成物、および医薬における、特に第Xa因子阻害物質の必要性が示された臨床状態の改善における、式(I)で示される化合物(群)の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規クラスの化学化合物に、それらの製造方法に、それらを含む医薬組成物に、および医薬における使用、特に第Xa因子阻害物質の必要性が指示される臨床状態の改善における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
第Xa因子は、トリプシン様セリンプロテアーゼクラスの酵素のメンバーである。この因子は、凝固カスケードにおける重要な酵素である。第Xa因子およびVa因子とカルシウムイオンおよびリン脂質との1対1の結合は、プロトロンビンをトロンビンに変換させる。トロンビンは、可溶性の血漿蛋白質、フィルリノゲンを不溶性のフィブリンに変換する、血液凝固機構の中心的役割を果たす。この不溶性のフィブリンマトリックスは、初期の止血血栓の安定化に必要である。多くの重大な病状は、異常な止血と関連がある。冠動脈血管系に関して、定着したアテローム動脈硬化プラークの破壊による異常な血栓形成が、急性心筋梗塞および不安定狭心症の主な原因である。血栓溶解治療および経皮経管冠動脈形成術(PTCA)による冠動脈内血栓性閉塞処置の両方で、迅速な溶解を必要とする罹患血管における急速な血栓による再閉塞が、しばしば同時に生じる。静脈血管系に関して、下肢または腹部の大きな手術を受けた患者は、高い割合で、患部の脚に対して血流量が減少し、肺塞栓症の素因となり得る、肺脈血管系の血栓形成に苦しむ。播種性血管内凝固症候群は、敗血症ショック、特定のウイルス感染症および癌の間に脈管系内の両方で共通して発症し、凝固因子の急速な消費と広範囲の臓器不全を引き起こす脈管系全体に生じる生命にかかわる血栓形成となる全身性の凝血とにより特徴付けられる。フィブリン豊富な血液凝固におけるその直接的な役割を越えて、トロンビンには、脈管系および血液内での多くの細胞成分における重大な生体制御効果を有することが報告された(Shuman, M.A., Ann. NY Acad. Sci., 405: 349 (1986))。
【0003】
第Xa因子阻害物質は、急性の血管疾患、例えば急性冠症候群の処置(例えば、心筋梗塞および不安定狭心症の第一次予防および第二次予防ならびに心筋梗塞または心不全と関係がある血栓症後の後遺症の処置)、血栓塞栓症、血栓溶解治療および経皮経管冠動脈形成と関係する急性の血管閉鎖、一過性脳虚血発作、肺塞栓症、深部動脈血栓症、抹消動脈閉塞の処置、体内血管狭窄(再狭窄)の予防、並びに心房細胞、例えば発作と関係する血栓閉塞事象の予防に有用であり得る。第Xa因子阻害物質はまた、動脈血栓症または静脈血栓症に遺伝的に罹患しやすい患者、および血栓症に対する疾病関連素因(例えば2型糖尿病)を有する患者における血栓症および合併症を予防するのにも有用であり得る。血栓症は、肺の線維芽細胞増殖に関与することが報告されており、従って、第Xa因子阻害物質は、肺の線維症の幾つかの処置にも有用であろう。第Xa阻害物質はまた、凝血を抑制することによって、繊維素沈着とそれに伴って発生する転移の容易化を防ぐため、腫瘍の転移にも有用であろう。第Xa因子阻害物質はまた、プロテアーゼ活性型受容体(PAR1−4)の第Xa因子媒介性の活性化の阻害能を通じて、抗炎症剤としても利用できる。第Xa因子阻害物質はまた、血小板活性化の抑制を通じて、抗−アテローム性動脈硬化剤として利用できる。トロンビンは神経突起退縮を引き起こすことができるため、第Xa因子阻害物質は、神経変性病、例えばパーキンソン病およびアルツハイマー病において潜在的な有用性があり得る。第Xa因子阻害物質はまた、全血の調製、保存、分別または使用に関して、抗凝血剤として有益であり得る。これらはまた、血栓溶解剤との同時使用について報告されているため、血栓溶解剤の低用量での使用を可能にする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I):
【化1】

(I)
[式中:
は:
【化2】

(それぞれの環はさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、
alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表し、
Tは、S、OまたはNHを表す)
から選択される基を表し;
は、水素、−C1−6アルキル、−C1−3アルキルCONR、−C1−3アルキルCO1−4アルキル、−CO1−4アルキルまたは−C1−3アルキルCOHを表し;
(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、またはそれらが結合しているN原子と一緒になって、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し、C1−4アルキルにより置換されていてよく、そしてそのヘテロ原子SはOにより置換されていてよい、即ちS(O)であってよく;
nは0−2を表す;)
Xは、ハロゲン、−C1−4アルキル、−C2−4アルケニルまたは−CFから選択される:インダン環上の択一的な置換基を表し;
Yは、インダン環の非芳香族部分にて置換されている−(CHNR基を表す;
(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、−C1−4アルキルOHまたはそれらが結合しているN原子と一緒になって、4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環、またはC1−4アルキルもしくはハロゲンにより置換されていてよい4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し;
mは0−2を表す;)]
で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)を提供する。
【0005】
本発明のさらなる態様は:
本発明の化合物と共に医薬担体および/または賦形剤を含む医薬組成物
治療に使用するための本発明の化合物
第Xa因子阻害物質による改善の可能性のある状態に苦しむ患者を処置するための医薬の製造についての、本発明の化学物質の使用
本発明の化学物質の治療上の有効量を投与することを含む、第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態に苦しむ患者を処置する方法
がある。
【0006】
本発明は、式(I):
【化3】

(I)
[Rは:
【化4】

(それぞれの環はさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、
alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表し、
Tは、S、OまたはNHを表す)
から選択される基を表し;
は、水素、−C1−6アルキル、−C1−3アルキルCONR、−C1−3アルキルCO1−4アルキル、−CO1−4アルキルまたは−C1−3アルキルCOHを表し;
(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、またはそれらが結合しているN原子と一緒になって、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し、C1−4アルキルにより置換されていてよく、そしてそのヘテロ原子SはOにより置換されていてよい、即ちS(O)であってよく;
nは0−2を表す;)
Xは、ハロゲン、−C1−4アルキル、−C2−4アルケニルまたは−CFから選択される:インダン環上の択一的な置換基を表し;
Yは、インダン環の非芳香族部分にて置換されている−(CHNR基を表す;
(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、−C1−4アルキルOHまたはそれらが結合しているN原子と一緒になって、4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環、またはC1−4アルキルもしくはハロゲン、例えばフッ素により置換されていてよい4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し;
mは0−2を表す;)]
で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体(群)もまた提供する。
【0007】
本発明の1つの態様において、Rは:
【化5】

(それぞれの環はさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、
alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表し、
Tは、S、OまたはNHを表す)から選択される基を表す。
【0008】
別の態様において、R1は:
【化6】

(それぞれの環はさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、
alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表す)から選択される基を表す。
【0009】
別の態様において、Rは:
【化7】

(ここに、Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、
alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表す)から選択される基を表す。
【0010】
あるいは、Rは:
【化8】

(ここに、Zは、択一的なハロゲン置換基を表す)から選択される基を表す。
【0011】
本発明の1つの態様において、Tは、SまたはNを表す。本発明の別の態様において、TはSを表す。
【0012】
本発明の1つの態様において、Rは、水素または−C1−6アルキルを表す。本発明の別の態様において、Rは、水素またはメチルを表す。本発明の別の態様において、Rは水素を表す。
【0013】
本発明の1つの態様において、RおよびRは独立して水素または−C1−6アルキルを表す。
【0014】
本発明の1つの態様において、nは0〜2を表す。
【0015】
本発明の1つの態様において、Xは:ハロゲンまたは−C1−4アルキルから選択される択一的な置換基を表す。別の態様において、Xは存在しない。
【0016】
本発明の1つの態様において、Yは、−NR基を表す。Yは、インダン環の非芳香族部分のいずれかの部位に置換されていてよいが、以下:
【化9】

に示すように置換されていることが好ましい。
【0017】
本発明の1つの態様において、RおよびRは、独立して水素または−C1−6アルキルを表す。別の態様において、RおよびRは両方が、メチルを表す。別の態様において、Rは水素を表し、Rはメチルを表す。
【0018】
本発明は、上記明細書に記載される発明の種々の態様の全ての組み合わせに及ぶことは理解されるべきである。
【0019】
本明細書で用いられる、用語「アルキル」は、直鎖および分岐鎖の両方の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例としては、メチル(−CH)、エチル(−C)、プロピル(−C)およびブチル(−C)が含まれる。
【0020】
本明細書で用いられる、用語「アルキレン」は、直鎖および分岐鎖の両方の飽和炭化水素リンカー基を意味する。アルキレン基の例としては、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)およびプロピレン(−CHCHCH−)が含まれる。
【0021】
本明細書で用いられる、用語「アルケニレン」は、直鎖および分岐鎖の両方の不飽和炭化水素リンカー基を意味し、ここで、不飽和は唯一の2重結合として存在する。アルケニレン基の例としては、エテニレン(−CH=CH−)およびプロペニレン(−CH−CH=CH−)が含まれる。
【0022】
本明細書で用いられる、用語「非芳香族複素環」は:窒素、硫黄または酸素原子から選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む、置換されていてよい環を意味する。4−員環の例としては、アゼチジニルが含まれる。5−員の基の例としては、ピロリジニルが含まれる。6−員環の例としては、ピペリジニルおよびモルホリニルが含まれる。7−員環の例としては、ヘキサメチレンイミニルが含まれる。
【0023】
本明細書で用いられる、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素から選択される原子を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる、用語「医薬上許容される」は、医薬的用途に適した化合物を意味する。
【0025】
本明細書で用いられる、用語「医薬上許容される誘導体」は、患者に投与するに際し、式(I)で示される化合物またはその活性代謝物もしくは残基を(直接的にまたは間接的に)提供することができる、式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ、例えばエステルもしくはカルバメート、あるいは、そのようなプロドラッグの塩または溶媒和物のいずれかを意味する。医薬上許容される誘導体の例としては、塩、溶媒和物、エステルおよびカルバメートがある。より例示的な医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物およびエステルである。さらにより例示的な医薬上許容される誘導体は、塩および溶媒和物である。
【0026】
本発明に関する適切な塩は、有機酸および無機酸の両方と塩基を用いて形成されるものが含まれ得る。医薬上許容される酸付加塩は、無機酸、例えば:塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えば:クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、シュウ酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびイセチオン酸から形成されるものが含まれる。医薬上許容される塩の例としては、塩酸、トリフルオロ酢酸およびギ酸から形成されるものが含まれる。従って、本発明の1つの態様において、医薬上許容される塩は、ギ酸塩である。
【0027】
有機化学分野の当業者であれば、多くの有機化合物が、それらが反応する溶媒を含んで、あるいはそれらが沈殿または結晶化する溶媒から、複合体を形成させ得ることは認められよう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水を含む複合体は、「水和物」として知られている。式(I)で示される化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内にある。
【0028】
医薬での使用に適切な、式(I)で示される化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは含まれる溶媒が医薬上許容されるものである塩および溶媒和物であろう。しかしながら、医薬上許容されない対イオンまたは含まれる溶媒を有する塩および溶媒和物は、例えば、式(I)の他の化合物、ならびにそれらの医薬上許容される塩および溶媒和物を調製するにあたっての中間物質としての使用に関して、本発明の範囲内にある。
【0029】
式(I)の化合物は、キラル(不斉)中心(シンボルにより示される)を有する。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオ異性体)およびそれらの混合物は、本発明の範囲内にある。本発明の1つの態様において、立体化学は、2−オキソピロリジン環の3位での(S)(式(I)中、シンボルにより示される)がある。
【0030】
また、本発明の化合物は、多形として、およびそれらの混合物として存在すること、およびそれらが本発明の範囲内にあることは認められよう。
【0031】
本明細書で用いられる、用語「プロドラッグ」は、体内で、例えば血中における加水分解により、医薬効果を発揮するその活性型に変換される化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella、the A.C.S. Symposium SeriesのProdrugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14、Edward B. Roche著., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical AssociationおよびPergamon Press, 1987にて、ならびにD. Fleisher, S. RamonおよびH. Barbra 「Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs」, Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130にて記載されている(それぞれ出典明示により本明細書の一部とされる)。
【0032】
プロドラッグは、患者に投与された場合に、生体内で(in vivo)式(I)の化合物を放出する担体と共有結合で結合されたものである。プロドラッグは、修飾基が生体内で分解され、親化合物を産生する様式で、官能基を修飾することによって一般に調製される。プロドラッグは、例えば、いずれかの基にヒドロキシル基またはアミン基が結合され、患者に投与された場合に、分解されヒドロキシル基またはアミン基を形成する、本発明の化合物が含まれる。
【0033】
エステルは、それ自身の性質で活性であってよく、および/またはヒト体内での生体内条件で加水分解されてもよい。適切な医薬上許容される生体内加水分解エステル基は、ヒト体内で迅速に破壊され、親酸またはその塩を放出するものが含まれる。エステルは、相当するアルコール、酸、酸塩化物、無水物またはアミドを用いて反応させること含む、当分野で周知の方法によって、カルボン酸(−COOH)基またはヒドロキシル(−OH)基にて形成される。例えば、エステルは、C1−6アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステルおよびその類似物であってよい。
【0034】
本明細書で用いられる、用語「本発明の化合物」は、式Iに関する化合物および医薬上許容されるその誘導体の両方を意味する。用語「本発明の化合物」および「化学物質」はまた、本明細書で明示され、式Iで示される化合物およびその医薬上許容される誘導体の両方を意味する。
【0035】
1つの態様において、本発明の有用な化学物質は、次の一覧:
6−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド;
(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エテンスルホンアミド;
6−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1−ベンゾチオフェン−2−スルホンアミド;
6−クロロ−N−{(3S)−1−[−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル−2−ナフタレンスルホンアミド;
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド;
2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エタンスルホンアミド;
6−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド;
(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エテンスルホンアミド;
2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エタンスルホンアミド;
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド;
N−[(3S)−1−(1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]−6−クロロ−2−ナフタレンスルホンアミド;または
6−クロロ−N−メチル−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド、
から選択される少なくとも1つの化学物質であってよい。
【0036】
本発明の化合物は、有利な特徴を示し、それらはより効果的であり、より高い選択性を示し、ほとんど副作用を示さず、長期持続する活性を有し、好ましい経路によってより良い生物学的利用能を示し、あるいは、類似の既知化合物よりもより望ましい他の特徴を有するであろう。
【0037】
式(I)の化合物は、第Xa因子阻害物質であり、第Xa因子阻害物質の投与により改善する可能性がある臨床状態の処置に有用である。そのような状態は、急性の血管疾患、例えば急性冠症候群(例えば、心筋梗塞および不安定狭心症の第一次予防および第二次予防ならびに心筋梗塞または心不全と関係がある血栓症後の後遺症の処置)、血栓塞栓症、血栓溶解治療および経皮経管冠動脈形成(PTCA)と関係する急性の血管閉鎖、一過性脳虚血発作、肺塞栓症、深部動脈血栓症、抹消動脈閉塞の処置、体内血管狭窄(再狭窄)の予防、ならびに心房細胞、例えば発作と関係する血栓閉塞事象の予防;動脈血栓症または静脈血栓症に遺伝的に罹患しやすい患者における、および血栓症に対する疾病関連素因(例えば2型糖尿病)を有する患者における血栓症および合併症の予防;肺線維症の処置;腫瘍転移の処置;炎症;アテローム性動脈硬化症;神経変性病、例えばパーキンソン病およびアルツハイマー病;カサバッハ−メリット症候群;溶血性尿毒症症候群;例えば、透析、血液濾過、バイパスおよび血液製剤保存における体外血液に対する抗−凝血薬として;および血栓形成リスクを軽減する、プロテーゼ、人工弁およびカテーテルなどの侵襲的器具のコーティングにおける内皮機能不全を含み得る。
【0038】
従って、本発明の1つの態様は、臨床療法の使用のための、例えば、第Xa因子阻害物質の必要性が指示される、ヒトを含む哺乳動物の臨床状態の改善における使用のための、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)を提供する。
【0039】
別の態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態の処置および/または予防方法であって、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)の有効量を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0040】
別の態様において、本発明は、第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態の処置および/または予防のための医薬の製造のための、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)の使用を提供する。
【0041】
本発明の1つの態様において、第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態は、急性の血管疾患、例えば急性冠症候群の処置(例えば、心筋梗塞および不安定狭心症の第一次予防および第二次予防ならびに心筋梗塞または心不全と関係がある血栓症後の後遺症の処置)、血栓塞栓症、血栓溶解治療および経皮経管冠動脈形成(PTCA)と関係する急性の血管閉鎖、一過性脳虚血発作、肺塞栓症、深部動脈血栓症、抹消動脈閉塞の処置、体内血管狭窄(再狭窄)の予防、並びに心房細胞、例えば発作と関係する血栓閉塞事象の予防から選択される。
【0042】
別の態様において、第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態は、急性冠症候群(例えば、心筋梗塞および不安定狭心症の第一次予防および第二次予防ならびに心筋梗塞または心不全と関係がある血栓症後の後遺症の処置)、肺塞栓症、深部動脈血栓症、並びに心房細胞、例えば発作と関係する血栓閉塞事象の予防から選択される。
【0043】
処置に対する言及が、急性期処置または予防、同様に発症した症状の緩和を含むことは認められよう。
【0044】
本発明の内容の範囲内で、本明細書で用いられる徴候を表す用語は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 第17版および/またはthe International Classification of Diseases, 第10版(ICD-10)において分類されている。本明細書中で引用される障害の種々の亜型は、本発明の一部であると考えられる。
【0045】
治療に使用するのに、本発明の化合物を生の化学物質として投与することは可能であるが、有効成分を医薬製剤として存在させることもできる。
【0046】
さらなる態様について、本発明は、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)を、少なくとも1つの医薬上許容される担体および/または賦形剤を組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。その担体および/または賦形剤は、製剤中の他の成分に影響を及ぼさない意味で、そしてその受容体に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。
【0047】
別の態様において、本発明は、治療における、例えば、第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態に苦しむヒトまたは哺乳動物対象の処置における使用のため、有効成分として、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)を、医薬上許容される担体および/または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。
【0048】
本発明によりさらに提供されるものとして、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)を、少なくとも1つの医薬上許容される担体および/または賦形剤と混合することを含む、医薬組成物を製造する方法がある。
【0049】
本発明に係る使用についての化合物は、経口、バッカル、非経口、局所、直腸または経皮投与用に、あるいは、吸入または通気により(口または鼻のいずれかを通じて)投与するために適した剤型に、製剤化されてもよい。
【0050】
経口投与について、医薬組成物は、例えば、医薬上許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばアルファー化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉またはグリコール酸ナトリウムスターチ;または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)と共に、従来の方法により調製される、例えば、錠剤またはカプセル剤の剤型にされてもよい。錠剤は、当分野で周知の方法によりコートされていてよい。経口投与のための液状製剤は、例えば、溶剤、シロップ剤または懸濁剤の剤型にされてもよく、また、それらは使用前に水または他の適切なビヒクルを用いて再生される乾燥品として存在してもよい。そのような液状製剤は、医薬上許容される添加物、例えば懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用油);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水ベヒクル(例えば、アーモンドオイル、油状エステル、エチルアルコールまたは分画植物油(fractionated vegetable oil));および防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸塩、またはソルビン酸)と共に、従来の方法により調製されることができる。
【0051】
経口投与のための調製は、活性化合物の制御/延長される放出を与えるように適切に製剤化することができる。
【0052】
バッカル投与について、組成物は、従来の方法で製剤化される錠剤または口内錠の剤型にすることができる。
【0053】
本発明に関する化合物は、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化されていてもよい。注射のための製剤は、例えば、アンプル剤の単一投薬型で、または付加的な防腐剤を含む複数投薬容器で存在してよい。本組成物は、油性または水性ベヒクル中の懸濁剤、溶剤またはエマルジョンなどの剤型であってよく、剤型化物質、例えば懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含んでいてよい。別には、活性物質は、使用前に、適切なベヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で再生される粉剤であってよい。
【0054】
本発明に関する化合物は、通気および吸入による、局所投与のために製剤化されてよい。局所投与のために調製する形式の例には、吸入器または通気器での使用のためのスプレーおよびエアロゾルが含まれる。
【0055】
外用の粉剤は、いずれかの適切な粉剤基剤、例えば、ラクトース、タルクまたは澱粉を用いて製剤化することができる。スプレー組成物は、適切な噴射剤を使用して、加圧パック、例えば定量吸入器から輸送される水性溶剤もしくは懸濁剤として、またはエアロゾルとして製剤化されてよい。
【0056】
本発明に関する化合物はまた、直腸製剤に、例えば坐剤または停留浣腸に、例えば従来の坐剤の基剤、例えばカカオ脂または他のグリセリドを含めて、製剤化することもできる。
【0057】
前記の製剤に加えて、本組成物は、デボー製剤として製剤化することもできる。そのような長期の作用製剤は、移植により(例えば、皮下に、経皮的に若しくは筋肉内に)、または筋肉内注射により、投与することができる。従って、例えば、本発明に関する化合物は、重合性の若しくは疎水性の物質(例えば、許容される油中のエマルジョン)またはイオン交換樹脂、または難溶性の誘導体、例えば難溶性の塩と一緒に製剤化されていてもよい。
【0058】
ヒトに対する投与のための、本発明に関する化合物の提案される用量は、遊離塩基の量として表現されて、単位用量あたりの活性成分が0.1mg〜1g、例えば1mg〜500mgである。単位用量は、1日あたり1回〜4回投与することができる。患者の年齢および体重ならびに処置されるべき状態の重篤度に応じて、投薬量は慣用の変更を行う必要があることは、認められよう。投薬量はまた、投与経路にも依存し得る。正確な用量および投与経路は、最終的には主治医または獣医の裁量に拠るであろう。
【0059】
式(I)で示される化合物は、他の治療物質と組み合わせて用いることもできる。従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)と、1つまたはそれ以上のさらなる治療物質(群)とを共に含む合剤を提供する。
【0060】
式(I)で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)が、第2の治療物質と組み合わせて用いられる場合、それぞれの化合物の用量は、その化合物が単独で用いられる場合の用量と異なるであろう。適当な用量は、当業者には容易に認められよう。処置に使用するのに必要な本発明の化合物の量は、処置される状態の性質および患者の年齢および状態により変更され、最終的には、主治医または獣医の裁量に拠ることは、認められよう。本発明の化合物は、他の抗血栓薬(例えば、トロンビン阻害物質、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、プロスタシクリン模倣薬、ホスホジエステラーゼ阻害物質、フィブリノーゲンアンタゴニスト、血栓溶解剤、例えば組織プラスミノゲン活性化因子およびストレプトキナーゼ、非ステロイド系抗炎症薬、例えばアスピリンおよびその類似物)、抗高血圧薬(例えば、アンギオテンシン−変換酵素阻害物質、アンギオテンシン−II型受容体アンタゴニスト、ACE/NEP阻害物質、β−遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、PDE阻害物質、アルドステロン遮断薬)、抗‐アテローム性動脈硬化剤/抗‐異常脂質血剤(例えば、HMG−CoA還元酵素阻害物質)並びに抗‐不整脈剤と組み合わせて使用することができる。
【0061】
以上で記載した合剤(組み合わせ)は、医薬製剤の形態で使用するために一般的に存在させることができ、従って、上記の合剤と共に、少なくとも1つの医薬上許容される単体および/または賦形剤を含む医薬組成物は、さらに本発明のさらなる態様を包含する。そのような合剤の個々の成分は、種々の慣用の経路により、分離した若しくは組み合わされた医薬製剤において、連続してまたは同時に投与することができる。
【0062】
投与が連続的である場合、第Xa因子阻害物質または第二の治療物質のいずれかを最初に投与することができる。投与が同時的である場合、合剤を、同じもしくは異なる医薬組成物のいずれかにおいて、投与することができる。
【0063】
同じ製剤で組み合わされる場合、その2つの化合物は、互いに、そして製剤中の他の成分と、安定でかつ影響を及ぼさないものでなければならない。分離して製剤化される場合、それらは従来型の製剤のいずれかで、当分野のそのような化合物に関して知られている一般的な様式で、提供される。
【0064】
式(I)で示される化合物から選択される化学物質およびその医薬上許容される誘導体(群)は、本明細書で後述する方法により調製することができ、その方法は、本発明のさらなる態様を構成する。以下の記載において、基は、特に記載しない限り、式(I)で示される化合物について上記したものと同意義である。
【0065】
本発明のさらなる態様に関して、式(II)で示される化合物またはその酸付加塩を、式(III)で示される化合物(ここで、Vは適切な遊離基、例えばハロゲン化物、例えば塩化物)を反応させることを含む、式(I)で示される化合物を調製する方法(A)を提供する。式(II)で示される化合物の遊離塩基が用いられる場合、この反応は、塩基、例えばピリジンの存在下で、そして適切な溶媒、例えばアセトニトリル(MeCN)中で、0℃〜室温の適温で一般的に行われる。式(II)で示される化合物の酸付加塩が用いられる場合、その反応は、塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下で、そして適切な溶媒、例えばMeCN、0℃〜室温の適温で一般的に行われる。
【化10】

【0066】
式(I)で示される化合物[ここで、Rは水素以外の置換基である]は、式(I)で示される化合物[ここで、Rは水素である]を式(XIII):
【化11】

[式中、RおよびRは上記と同意義であり、そしてTは適切な脱離基、例えばハロゲン化物、たとえばヨー化物]
で示される化合物と反応させることによって調製することができる。この反応は、適切な有機溶媒、例えばTHF、DMFにおいて、塩基、例えばLiHMDS(リチウムヘキサメチルジシリルアミド)、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの存在下、−78℃〜+50℃の範囲の温度で、好ましくは−78℃〜室温で行われる。さらに、水素以外の置換基Rは、当業者に周知の方法により、種々の中間工程で導入することができることは、認められよう。
【0067】
Xおよび/またはYは、式(III)で示される化合物に対して反応性の基を含む場合、そのような基は、当分野で周知の方法を用いて、式(II)で示される化合物を式(III)で示される化合物と反応させる前に保護され、その保護基は式(II)で示される化合物と式(III)で示される化合物との反応が完了した後に、式(I)で示される化合物を提供する一般的な条件下で除去されることができる。
【0068】
式(III)で示される化合物は、既知の化合物であるか、または文献で知ることができる方法もしくは当業者には既知の手法により調製することができる。
【0069】
式(II)で示される化合物は、式(IV)で示される化合物から、標準的な条件下で、保護基P、例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)を除去することによって調製することができる。例えば、式中、PがBocを表す場合、その保護基の除去は、酸性条件下で、例えばジオキサンおよび/またはメタノールなどの溶媒中の塩化水素、またはジクロロメタン(DCM)などの溶媒中のトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて行うことができる。
【化12】

【0070】
式(IV)で示される化合物は、式(V):
【化13】

[式中、Lは、ヒドロキシル基などの適切な脱離基である]
で示される化合物を、例えば、適切な塩基、例えばトリエチルアミンの存在下でメタンスルホニル塩化物塩と反応させて活性化し、次いで、HNRを過剰に用いて、適切な溶媒、例えばDCMまたはエチレングリコールジメチルエーテル中で、−78℃〜室温の適温で処理することにより、式(V)で示される化合物から調製することができる。別法としては、式(V)で示される化合物[ここで、Lはハロゲン化物、例えば臭化物である]は、式(V)で示される化合物[ここで、Lはヒドロキシル基である]を、適切な溶媒、例えばDCM中の四臭化炭素およびトリフェニルスルフィンで処理することによって、式(V)で示される化合物から調製することができる。
【0071】
式HNRで示される化合物は、既知の化合物であり、または文献で知ることができる方法または当業者に既知の手法により調製することができる。
【0072】
式(V)で示される化合物[ここで、Lは−OHを表す]は、式(VI):
【化14】

[式中、m=0である]で示される化合物から、標準的な条件下で、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール中で、0℃〜室温の適温で、求核水素化物源、例えばホウ素化水素ナトリウムで処理することにより、調製することができる;
【0073】
m=1の場合、(アルコキシメチル)塩化トリフェニルホスホニウム、例えば(メトキシメチル)塩化トリフェニルホスホニウムと塩基、例えばブチルリチウムとを、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、−78℃〜室温の適温で反応させ;次いで、酸、例えば塩酸と、適切に室温で処置することにより;次いで、求核水素化物源、例えば、ホウ素化水素ナトリウムを用いて、適切な溶媒、例えばメタノール中で、0℃〜室温の適温で処理することにより、調製することができる;
【0074】
m=2の場合、トリアルキルホスホノ酢酸塩、例えばトリメチルホスホノ酢酸塩と塩基、例えば水素化ナトリウムと、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、適切に室温で反応させ;次いで大気圧で、適切な触媒、例えば10%パラジウム炭素を用いて、適切な溶媒、例えばエタノール中で水素化し;次いで、求核水素化物源、例えばホウ素化水素ナトリウムを用いて、適切な溶媒、例えばメタノール中で、0℃〜室温の適温で処理することにより、調製することができる。
【0075】
式(VI)で示される化合物は、式(VII):
【化15】

で示される化合物から、当業者に周知の方法論を用いて、適切なP保護基を用いて保護することにより、調製することができる。例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wutsによる「Protective groups in organic synthesis」(John Wiley & sons 1991)またはP.J. Kocienskiによる「Protecting Groups」 (Georg Thieme Verlag 1994)を参照のこと。例えば、PがBocである場合、適切な溶媒、例えばDCM中で、適切に室温で、ジ−tert−ブチル重炭酸塩(dicarbonate)(ビス(1,1−ジメチルエチル)重炭酸塩、BocO)を用いて処理することにより、調製することができる。
【0076】
式(VII)で示される化合物は、式(VIII)で示される化合物を、式(IX):
【化16】

で示される化合物と、適切な溶媒、例えば、MeCN中で、酸除去剤、例えばリン酸ナトリウムを用いて、−10℃〜+10℃の適温で、次いで、塩基、例えば炭酸カリウムを用いて、−10℃〜+10℃の適温で、次いで、水性アンモニアを用いて、室温〜40℃の適温で、連続的に処理して反応させることによって、調製することができる。
【0077】
式(VIII)および(IX)で示される化合物は、既知の化合物であるか、または文献で知ることができる方法または当業者に既知の手法により調製することができる。
【0078】
別には、式(VI)で示される化合物は、式(X):
【化17】

[式中、Pは上記の記載と同意義であり、Lは脱離基、例えばSMeRXを表す]で示される化合物から、結晶化することによって調製することができる。閉環は、適切な溶媒、例えば、MeCN中でDowex樹脂を用いて処理することにより行うことができる。別には、閉環は、適切な溶媒、例えばMeCN中で炭酸カリウムを用いて処理することにより実施することができる。一般的に、Rは、アルキルまたはアラルキルを表し、Xはハロゲン化物、例えばヨー化物を表すであろう。
【0079】
式(X)で示される化合物は、式(XI)で示される化合物を式(IX):
【化18】

で示される化合物と、カップリング剤、例えば2−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸エステル(HATU)の存在下で反応させ、次いで、RX(ここで、RXは、適切な溶媒、例えばアセトン中で、SMeの硫黄部分をスルホニウム塩基に変換することができる化合物(例えば、MeI)である)で処理することにより、調製することができる。
【0080】
式(XI)で示される化合物は、既知の化合物であるか、または文献で知ることができる方法または当業者に既知の手法により調製することができる。
【0081】
式(I)で示される化合物(ここで、RおよびRの一方は水素を表す)は、式(XII):
【化19】

[式中、Pは、適切なアミン保護基、例えばトリフルオロアセチルを表す]
で示す化合物から、標準的な条件下で、例えば炭酸カリウムを用いて処理して、保護基を除去することにより、調製することができる。
【0082】
式(XII)で示される化合物(ここで、Rは水素以外の置換基である)は、式(XII)で示される化合物(ここで、Rは水素である)を、式(XIII):
【化20】

[式中、RおよびRは、上記の記載と同意義であり、Tは適切な脱離基、例えばハロゲン化物、例えばヨー化物である]
で示される化合物と反応させることにより調製することができる。反応は、適切な有機溶媒、例えば、THF、DMF中で、塩基、例えばLiHMDS(リチウムヘキサメチルジシリルアミド)、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの存在下で、温度−78℃〜+50℃の範囲で、好ましくは−78℃〜室温で行われる。
【0083】
式(XII)で示される化合物(式中、Rは水素である)は、式(XIV):
【化21】

で示される化合物から、保護基P(上記の記載と同意義である)を除去することにより、例えば保護基の除去は、酸性条件下で、例えば、ジオキサンおよび/またはメタノールなどの溶媒中の塩化水素、またはジクロロメタン(DCM)などの溶媒中のトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて行われ、次いで、式(III)で示される化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0084】
式(XIV)で示される化合物は、式(IV)で示される化合物(式中、Yは、−(CHNHRを表す)から、標準的な条件下でアミン基を保護することにより、例えば、適切な塩基、例えばピリジン中、および適切な溶媒、例えばDCM中でトリフルオロ無水酢酸((CFCO)O)を用いて処理することにより、調製することができる。
【0085】
当業者であれば、式(I)で示される化合物またはその溶媒和物は、固相化学手順を介して適当な中間体から合成することができることは、認められよう。
【0086】
当業者であれば、式(I)で示される化合物および/またはその溶媒和物の調製において、望ましくない副反応を防ぐために分子または適当な中間体中の1つまたはそれ以上の反応性の基を保護することが必要および/または望ましいことがあることは、認められよう。本発明に関して使用する適切な保護基は、当業者には周知であり、従来法で用いることができる。例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wutsによる「Protective groups in organic synthesis」(John Wiley & sons 1991)またはP.J. Kocienskiによる「Protecting Groups」(Georg Thieme Verlag 1994)を参照のこと。適切なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキルまたはアラルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、クロロトリチル)が含まれる。適切なヒドロキシル保護基の例としては、例えば、アルキルシリル基、例えばトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリル;アルキルエーテル、例えばテトラヒドロピラニルまたはtert−ブチル;またはエステル、例えば酢酸エステルが含まれ得る。カルボン酸保護基の例としては、例えば、アラルキル基、例えばベンジルまたはアルキル基、例えば、t−ブチルが含まれ得る。
【0087】
限定されるものではないが、式(II)、(IV)、(V)、(XII)および(XIV)で示される特定の化合物を含む、上記方法で使用される種々の中間化合物は、本発明のさらなる態様を構成する。
【0088】
ここに、本発明を、実施した実施例によりさらに例示するが、それらは本発明の範囲をいかようにも制限するものを構成するものではない。
【0089】
限定されるものではいないが、この詳細な説明で引用される特許および特許出願を含む、全ての文献は、それぞれ個々の文献が具体的にかつ個別に示され、出典明示により完全に記載されたように本明細書の一部とされるように、出典明示により本明細書の一部とされる。
【0090】
実施例
略語
MeCN アセトニトリル
DCM ジクロロメタン
Boc t−ブチルオキシカルボニル
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
HATU 2−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
m 多重線
MeOH メタノール
q 四重線
obs 不明瞭(obscured)
s 一重線
t 三重線
min 分
h 時間
【0091】
中間体1
3−アミノ−1−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−ピロリジノン
【化22】

2,4−ジブロモブタノイル塩化物塩(5.16ml)を、乾燥MeCN(100ml)中のリン酸ナトリウム(3.06g)および5−アミノインダン−1−オン(5.0g)の冷却した(0℃)懸濁液に滴加した。0℃で2時間後、炭酸カリウム(9.39g)を1回で加えた。混合物を室温まで温め、14時間攪拌した。その懸濁液をセライトに通じて濾過し、次いで、水性アンモニア(0.88g/ml、20ml)を濾液に加え、混合物を40℃で14時間攪拌し、その後すべての揮発性物質を減圧下にて除去した。残渣をDCM(250ml)と水(200ml)、塩水(100ml)および2N 水酸化ナトリウム水溶液(1ml)の混合物との間に分配した。水相をさらなるDCMで抽出し、合した抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させた。標記化合物のこのDCM溶液をおよそ500mlになるまで体積を減らし、次の段階に直接用いた。
質量スペクトル:実測値:MH+ 231
H.p.l.c. Rt 1.25min
【0092】
中間体2
1,1−ジメチルエチル[2−オキソ−1−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−ピロリジニル]カルバメート
【化23】

3−アミノ−1−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−ピロリジノン(中間体1を参照のこと)のDCM溶液(およそ500ml)を、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカルボナート(8.16g)で処理し、その混合物を72時間室温で攪拌した。粗溶液を4x90gのシリカバイオテージ(Biotage)(登録商標)カートリッジに直接付して、酢酸エチルで溶出し;さらに適当な画分を蒸発させて標記化合物(6.8g)を黄白色固形物として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 331
H.p.l.c. Rt 2.67min
【0093】
中間体3
1,1−ジメチルエチル[1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート
【化24】

ホウ素化水素ナトリウム(1.56g)を、温度を10℃以下に保ちながら攪拌したメタノール(500ml)中の1,1−ジメチルエチル[2−オキソ−1−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体2を参照のこと)(6.8g)の溶液に少しずつ加えた。この反応を80分後に飽和水性塩化アンモニウム(100ml)を加えることにより停止させ、全ての揮発性物質を減圧下にて除去した。残渣をクロロホルムと水の間に分配し;有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて標記化合物(6.7g)を黄白色固形物として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 333
H.p.l.c. Rt 2.55min
【0094】
中間体4
1,1−ジメチルエチル{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}カルバメート
【化25】

DCM(500ml)中の1,1−ジメチルエチル[1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体3を参照のこと)(6.7g)溶液を、−78℃まで冷却し、メタンスルホニル塩化物塩(2.3ml)およびトリエチルアミン(4.2ml)で処理した。攪拌を120分間−78℃で続け、その後混合物を一晩かけて室温まで温めた。ジメチルアミン(THF中2M溶液、50.4ml)を加え、混合物を室温でさらに72時間攪拌した。全ての揮発性物質を減圧下にて除去し、残渣を10%〜30%MeCN/0.1%ギ酸を含む水の勾配を用いて溶出するコンビフラッシュコンパニオン(CombiFlash(登録商標)Companion(登録商標))システムの逆相液体クロマトグラフィーを用いて精製し、適当な画分を蒸発させて標記化合物(3.2g)を透明油状物として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 360
H.p.l.c. Rt 2.02min
【0095】
中間体5
3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジノン
【化26】

1,1−ジメチルエチル{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}カルバメート(中間体4を参照のこと)(3.2g)を、窒素下でメタノール(100ml)およびジオキサン(22ml)4N HCl中で一晩攪拌した。全ての揮発性物質を減圧下にて除去し、残渣を飽和水性炭酸ナトリウムと酢酸エチルの間に分配した。6つのさらなる酢酸エチル抽出物を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、適当な画分を蒸発させて、遊離塩基の標記化合物を黄白色油状物(1.9g)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 260
H.p.l.c. Rt 0.26min
【0096】
中間体6
1,1−ジメチルエチル((1S)−3−(メチルチオ)−1−{[(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アミノ]カルボニル}プロピル)カルバメート
【化27】

無水DCM(200ml)中のN−t−ブトキシカルボニル−L−メチオニン(9.28g)およびHATU(15.0g)の懸濁液を、N,Nジイソプロピルエチルアミン(7.14ml)で処理し、20分間攪拌した。懸濁液を5−アミノ−1−インダノン(5.0g)を1gずつ2分以上処理した。反応混合物を室温で20時間攪拌し、得られた懸濁液をDCM(2x100ml)と飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(150ml)の間に分配した。有機抽出物を合わせ、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(200ml)および塩水で続けて洗浄した。次いで、有機相を疎水性のフリットを通過させ、蒸発させて黒色油状物を得た。シリカゲル(Art 9385)でDCM:MeOH勾配を用いて溶出して精製した後、そのカラム画分を合わせ、蒸発乾固させ、再びDCM(200ml)に溶かして、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(3x250ml)、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発させて、標記化合物を着色した泡沫(12.55g、(CHNCON(CHが混在している)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 379
H.p.l.c. Rt 2.97min
【0097】
中間体7
1,1−ジメチルエチル[(3S)−2−オキソ−1−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−ピロリジニル(pyrrolidiny)]カルバメート
【化28】

アセトン(100ml)中の1,1−ジメチルエチル((1S)−3−(メチルチオ)−1−{[(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)アミノ]カルボニル}プロピル)カルバメート(中間体6を参照のこと)(12.5g)溶液を、ヨードメタン(20.5ml)で処理し、その溶液を室温で21時間放置し、次いで、蒸発乾固させてオレンジ色泡沫を得た。この泡沫を無水MeCN(40ml)中に溶かし、炭酸セシウム(11.3g)で処理し、60℃(油浴温度)で60分間攪拌した。反応混合物を冷却し、MeCN(250ml)およびDCM(250ml)で洗い流しながらセライトに通じて濾過し、濾液を蒸発乾固させた。残渣を水(300ml)とDCM(1x250mlおよび1x100ml)の間に分配した。合した抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発させて固体を得た。ジエチルエーテルで粉砕させて、続いて濾過して標記化合物を褐色固体(7.62g)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 331
H.p.l.c. Rt 2.68min
【0098】
中間体8
1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート
【化29】

無水MeOH(50ml)中の1,1−ジメチルエチル[(3S)−2−オキソ−1−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体7を参照のこと)(2.0g)の懸濁液を、窒素下で攪拌し、氷浴にて冷却した。ホウ素化水素ナトリウム(0.46g)を加え、反応混合物を冷却浴にて2時間攪拌し、次いで、蒸発乾固させ、DCM(150ml)と水(50ml)の間に分配した。その層を分離し、水性相をDCM(50ml)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発乾固させた。50gのシリカカラムにて[20:1]DCM:MeOHで溶出して精製し、標記化合物を黄色固体(1.89g)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 333
H.p.l.c. Rt 2.55min
【0099】
中間体9
1,1−ジメチルエチル{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}カルバメート
【化30】

無水DCM(50ml)中の1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体8を参照のこと)(0.98g)溶液を、窒素下で−25℃に冷却し、得られた懸濁液をトリエチルアミン(1.045ml)で処理し、次いで、混合物を−76℃に冷却した。得られた懸濁液を無水DCM(2ml)中のメタンスルホニル塩化物塩(582ul)溶液で処理し、それを、温度を−70℃より低く保ちながら5分以上かけて加えた。得られた混合物を−76℃で70分間攪拌した。THF(8ml)中の2Mジメチルアミンを5分以上かけて加え、次いで、濁った反応混合物を20時間攪拌し、その間にゆっくりと室温にした。その濁った反応混合物を蒸発乾固させ、[95:5]水:MeCN中に懸濁し、2×6gのオアシス(Oasis)(登録商標)カラムで[95:5]水:MeCNに次いで、MeCNで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、蒸発させて黄色固体を得た。50gのシリカカラムで[50:1]DCM:MeOH〜[5:1]DCM:MeOH中2Nアンモニアで溶出して精製し、標記化合物を透明なろう状固体(0.42g)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 360
H.p.l.c. Rt 2.01min
【0100】
中間体10
(3S)−3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジン
【化31】

無水DCM(5ml)および無水MeOH(5ml)中の1,1−ジメチルエチル{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}カルバメート(中間体9を参照のこと)(200mg)溶液を、ジオキサン(750ul)中の4M HClで処理し、得られた溶液を室温で23時間攪拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、残渣を、20g SCXカラムでMeOH〜MeOH中の1Nアンモニアで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、溶媒を蒸発させて、標記化合物をゴム状物(139mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 260
H.p.l.c. Rt 0.26min
【0101】
中間体11
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−スルホンアミド
【化32】

無水MeCN(3ml)中の(3S)−3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジン(中間体10を参照のこと)(46.4mg)溶液を、窒素下で攪拌し、氷浴中にて冷却し、ピリジン(43.5ul)で処理した。次いで、反応混合物を無水MeCN(5ml)中の3−クロロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−スルホニル塩化物塩(中間体26を参照のこと)(94.6mg)溶液で10分以上処理した。反応混合物を冷却浴にて20分間攪拌し、黄色懸濁液を得た。冷却浴を除去し、懸濁液を室温で2時間攪拌し、室温で4日間置いた。次いで、懸濁液を蒸発乾固させ、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)とDCM(30ml)の間に分配した。その層を分離し、水層をDCM(20ml)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発させてオレンジ色粘性物を得て、それを20gのシリカSPEカラムで[25:1]〜[10:1]DCM:MeOHで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、蒸発させて標記化合物を透明の泡沫(60.9mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 629
H.p.l.c. Rt 3.21min

3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド(実施例5)(11.1mg)も単離した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 473
H.p.l.c. Rt 2.43min
【0102】
中間体12
1,1−ジメチルエチル{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}カルバメート
【化33】

無水DCM(150ml)中の1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体8を参照のこと)(1.42g)溶液を、窒素下で−30℃まで冷却し、得られた懸濁液をトリエチルアミン(1.5ml)で処理し、次いで、混合物を−76℃に冷却した。得られた懸濁液を無水DCM(20ml)中のメタンスルホニル塩化物塩(832ul)溶液で温度を−75℃より低く保ちながら10分以上処理した。得られた混合物を−76℃で70分間攪拌した。THF(90ml)中の2Mメチルアミンを15分以上加え、懸濁液を20時間攪拌し、その間にゆっくりと室温にした。懸濁液を蒸発乾固させ、70gのSCXカラムでMeOH〜MeOH中の1Nアンモニアで溶出して精製し、標記化合物を黄色固体(1.25g)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 315 (msではインデンを無視した)
H.p.l.c. Rt 2.04min
【0103】
中間体13
1,1−ジメチルエチル((3S)−1−{1−[メチル(トリフルオロアセチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル}−2−オキソ−3−ピロリジニル)カルバメート
【化34】

無水DCM(30ml)中の1,1−ジメチルエチル{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}カルバメート(中間体12を参照のこと)(570mg)溶液を、窒素下で0℃に冷却し、ピリジン(267ul)に続いて無水DCM(2.5ml)中のトリフルオロ無水酢酸(326ul)溶液で5分以上かけて処理し、0℃で30分間攪拌した。混合物をDCM(20ml)で希釈し、水(25ml)、1N HCl(40ml)、塩水(25ml)で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発乾固させた。黄色固体を50gのシリカSPEカラムでDCM:MeOH勾配で溶出して精製し、標記化合物をクリーム色固体(480mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 442
H.p.l.c. Rt 3.20min
【0104】
中間体14
N−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド塩酸塩
【化35】

無水DCM(10ml)および無水MeOH(10ml)中の1,1−ジメチルエチル((3S)−1−{1−[メチル(トリフルオロアセチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル}−2−オキソ−3−ピロリジニル)カルバメート(中間体13を参照のこと)(478mg)溶液を、ジオキサン(1.8ml)中の4M HClで処理し、室温で24時間攪拌した。反応混合物を蒸発乾固させて、標記化合物をクリーム色固体(415mg、>100%)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 342
H.p.l.c. Rt 2.13min
【0105】
中間体15
N−[5−((3S)−3−{[(6−クロロ−2−ナフタレニル)スルホニル]アミノ}−2−オキソ−1−ピロリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド
【化36】

無水MeCN(20ml)中のN−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド塩酸塩(中間体14を参照のこと)(310mg)の薄い懸濁液を、氷浴中にて冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(150ul)およびピリジン(200ul)で処理した。無水MeCN(5ml)中の6−クロロ−2−ナフタレンスルホニル塩化物塩(257mg)溶液を5分以上かけて加え、黄色混合物を氷浴中にて30分間攪拌した。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で3時間攪拌し、蒸発乾固させ、水(40ml)とDCM(50ml)の間に分配した。その層を分離し、水層をDCM(40ml)で洗浄した。有機抽出物を合し、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発させて黄色ゴム状物を得た。50gのシリカSPEカラムで[100:1]DCM:MeOHで溶出して精製することを繰り返して、標記化合物を黄白色泡沫(206mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 566
H.p.l.c. Rt 3.62min
【0106】
中間体16
N−{5−[(3S)−3−({[(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)エテニル]スルホニル}アミノ)−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド
【化37】

標記化合物を、中間体15について記載された手順を用いて、N−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド塩酸塩(中間体14を参照のこと)および(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)エテンスルホニル塩化物塩から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 548
H.p.l.c. Rt 3.50 min
【0107】
中間体17
N−{5−[(3S)−3−({[2−(5−クロロ−2−チエニル)エチル]スルホニル}アミノ)−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド
【化38】

標記化合物を、中間体15について記載された手順を用いて、N−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド塩酸塩(中間体14を参照のこと)および2−(5−クロロ−2−チエニル)エタンスルホニル塩化物塩から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 550
H.p.l.c. Rt 3.54 min
【0108】
中間体18
N−(5−{(3S)−3−[({3−クロロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−イル}スルホニル)アミノ]−2−オキソ−1−ピロリジニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド
【化39】

標記化合物(30%脱シリル化された物質を含む)を、中間体15について記載された手順を用いて、N−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド塩酸塩(中間体14を参照のこと)および3−クロロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−スルホニル塩化物塩(中間体26を参照のこと)から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 711および555 (脱シリル化された物質)
H.p.l.c. Rt 4.24minおよび3.44min (脱シリル化された物質)
【0109】
中間体19
N−[5−((3S)−3−{[(3−クロロ−1H−インドール−6−イル)スルホニル]アミノ}−2−オキソ−1−ピロリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド
【化40】

無水THF(50ml)および氷酢酸(1ml)中のN−(5−{(3S)−3−[({3−クロロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−イル}スルホニル)アミノ]−2−オキソ−1−ピロリジニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体18)(175mg)溶液を、テトラエチルフッ化アンモニウム水和物(55.0mg)を用いて1回で処理した。その黄白色溶液を室温で1時間攪拌し、飽和水性塩化アンモニウム溶液(3ml)および水(3ml)で処理し、ほとんど乾燥するまで蒸発させた。そのゴム状の残渣を水(10ml)とDCM(2x25ml)の間に分配した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発乾固させた。20gのシリカSPEカラムで[50:1]〜[30:1]DCM:MeOHで溶出して精製し、標記化合物をクリーム色固体(141.0mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 555
H.p.l.c. Rt 3.43min
【0110】
中間体20
1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−(1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート
【化41】

無水DCM(100ml)中の1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−(1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体8を参照のこと)(1.0g)溶液を、窒素下で−76℃に冷却し、得られたゲルをトリエチルアミン(1.05ml)で処理し、続いて温度を−70℃より低く保ちながら無水DCM(2ml)中のメタンスルホニル塩化物塩(0.58ml)溶液を5分以上かけて加えて処理した。得られた混合物を、−76℃で135分間攪拌した。ジオキサン(100ml)中0.5Nアンモニアを、温度を−60℃より低く保ちながら15分以上かけて加え、濃い反応混合物を無水DCM(100ml)で処理し、20時間攪拌し、その間にゆっくりと室温にした。濁った反応混合物をジオキサン(50ml)中の0.5Nアンモニアで処理し、室温で1時間攪拌し、蒸発乾固させ、さらに70gのSCXカラムでMeOH〜MeOH中の2Nアンモニアで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、蒸発させて、標記化合物を黄色固体(0.53g)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 315 (msではインデンを無視した)
H.p.l.c. Rt 2.02min
【0111】
中間体21
1,1−ジメチルエチル((3S)−2−オキソ−1−{1−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル}−3−ピロリジニル)カルバメート
【化42】

無水DCM(15ml)中の1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−(1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバメート(中間体20)(300mg)溶液を、窒素下で0℃に冷却し、ピリジン(146.4ul)に続いてトリフルオロ無水酢酸(166.2ul)溶液で処理し、さらに0℃で30分間攪拌した。冷却浴を除去し、反応混合物を1時間攪拌した。混合物をDCM(5ml)で希釈し、さらなるトリフルオロ無水酢酸(166.2ul)部分で処理した。懸濁液を1時間攪拌し、DCM(125ml)で希釈し、水(25ml)、塩水(25ml)で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発乾固させた。粗生成物粗生成物を、50gのシリカSPEカラムで[25:1]DCM:MeOHで溶出して精製し、標記化合物をクリーム色固体(341mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 428
H.p.l.c. Rt 3.04min
【0112】
中間体22
N−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミド塩酸塩
【化43】

無水DCM(10ml)および無水MeOH(15ml)中の1,1−ジメチルエチル((3S)−2−オキソ−1−{1−[(トリフルオロアセチル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル}−3−ピロリジニル)カルバメート(中間体21を参照のこと)(331mg)溶液を、ジオキサン(1.0ml)中4M HClで処理し、室温で4日間攪拌した。そのオレンジ色溶液を蒸発乾固させて、標記化合物を淡褐色固体(297mg、>100%)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 328
H.p.l.c. Rt 1.86min
【0113】
中間体23
N−[5−((3S)−3−{[(6−クロロ−2−ナフタレニル)スルホニル]アミノ}−2−オキソ−1−ピロリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
【化44】

無水MeCN(20ml)中N−{5−[(3S)−3−アミノ−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミド塩酸塩(中間体22)(145mg)の懸濁液を、氷浴中にて冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(69.4ul)およびピリジン(96.8ul)で処理した。6−クロロ−2−ナフタレンスルホニル塩化物塩(125g)を1回で加え、濁液を氷浴中にて30分間攪拌した。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で1時間攪拌し、無水MeCN(10ml)で希釈し、さらに室温で18時間攪拌した。その濃い懸濁液を蒸発乾固させ、DCM(2x50ml)と飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(30ml)の間に分配した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発させて黄色固体を得た。[50:1]DCM:MeOHで溶出する20gのシリカSPEカラム上で精製して粘着性のあるオレンジ色固体を得た。この固体をジエチルエーテルで粉砕し、標記化合物を濾過して収集した(155mg)。
質量スペクトル:実測値:MH+ 552
H.p.l.c. Rt 3.51min
【0114】
中間体24
N−(5−{(3S)−3−[[(6−クロロ−2−ナフタレニル)スルホニル](メチル)アミノ]−2−オキソ−1−ピロリジニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド
【化45】

無水DMF(5ml)中のN−[5−((3S)−3−{[(6−クロロ−2−ナフタレニル)スルホニル]アミノ}−2−オキソ−1−ピロリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体15を参照のこと)(140mg)溶液を、窒素下で攪拌し、氷浴中にて冷却し、炭酸カリウム(41mg)に続いてヨードメタン(18.6ul)で処理した。冷却浴を除去し、その反応物を室温で2時間攪拌し、次いで、炭酸カリウム(41mg)およびヨードメタン(18.6ul)でさらに処理し、さらに1時間室温で攪拌した。次いで、反応混合物を蒸発乾固させ、水(20ml)と酢酸エチル(20ml)の間に分配した。その層を分離し、水層を酢酸エチル(20ml)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、疎水性フリットを通過させ、蒸発させて標記化合物を白色泡沫(113mg)として得た。
質量スペクトル:実測値: MNH4+ 597
H.p.l.c. Rt 3.76min
【0115】
中間体25:
6−ブロモ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール
【化46】

0℃の乾燥THF(20mL)中の6−ブロモ−1H−インドール(2.0g)溶液を水素化ナトリウム(鉱物油中60%分散;0.48g)で数回処理し、30分間攪拌した。クロロ[トリス(1−メチルエチル)]シランをその反応物に滴加し、反応物を外界温度まで温め、さらに18時間攪拌した。反応物を減圧下にて濃縮し、残渣をDCMと飽和水性重炭酸ナトリウム溶液の間に分配した。分離した有機相を疎水性フリットに通過させ、再び濃縮して減量し、その後予め調製されたシリカ相SPEカラム(150mL/70g)にかけ、シクロヘキサン:酢酸エチル(0−2%)で溶出した。生成物を含む画分を合わせ、減圧下にて濃縮して標記化合物(3.51g)を透明の油状物として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 352/354
H.p.l.c. Rt 4.51min
【0116】
中間体26:
3−クロロ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−スルホニル塩化物塩
【化47】

−78℃の乾燥THF(45mL)中の6−ブロモ−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール(中間体25)(2.30g)溶液を、n−ブチルリチウム(ヘキサン中の1.6M;4.37mL)を用いて滴加して処理した。混合物を1時間攪拌し、次いで、0℃のスルフリル塩化物塩(乾燥シクロヘキサン(45mL)中1.22mL)攪拌溶液に注いだ。反応物を外界温度まで温め、2.5時間攪拌し、次いで、30分間攪拌しながら水(25mL)で停止させた。分離した有機層を疎水性フリットに通過させ、減圧下にて濃縮した。粗物質をシクロヘキサン中に溶かし、予め調製されたシリカ相SPEカラム(150mL/70g)にかけ、シクロヘキサン:酢酸エチル(0−10%)で溶出した。生成物を含む画分を合わせ、減圧下にて濃縮して標記化合物(1.18g)をベージュ色ゴム状物として得た。
ジメチルアミン停止の後:
質量スペクトル:実測値:MH+ 415
H.p.l.c. Rt 4.22min
さらに、脱保護された生成物3−クロロ−1H−インドール−6−スルホニル塩化物塩を同定した。
ジメチルアミン停止の後:
質量スペクトル:実測値:MH+ 259
H.p.l.c. Rt 3.03min
【0117】
実施例1
6−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド塩酸塩
【化48】

3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジノン(中間体5を参照のこと)(0.95g)を乾燥MeCN(100ml)中に溶かし、窒素下で0℃に冷却した。ピリジン(0.89ml)に続いて6−クロロ−2−ナフタレンスルホニル塩化物塩(1.15g)を加え、溶液を一晩室温で攪拌した。その黄色沈殿物を濾過して除去し、MeCNで洗浄し、減圧乾燥させて標記化合物を得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 484
H.p.l.c. Rt 2.56min
【0118】
実施例2
(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エテンスルホンアミド塩酸塩
【化49】

標記化合物を、実施例1について記載された手順を用いて、3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジノン(中間体5を参照のこと)および(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)エテンスルホニル塩化物塩から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 466
H.p.l.c. Rt 2.40min
【0119】
実施例3
6−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1−ベンゾチオフェン−2−スルホンアミド
【化50】

標記化合物を、実施例1について記載された手順を用いて、3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジノン(中間体5を参照のこと)および6−クロロ−1−ベンゾチオフェン−2−スルホニル塩化物塩から調製し、次いで、SCX SPEカラムでメタノールの後[1:9]2N水性アンモニア:メタノールで溶出して精製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 490
H.p.l.c. Rt 2.58min
【0120】
実施例4
6−クロロ−N−{(3S)−1−[−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル−2−ナフタレンスルホンアミド
【化51】

無水MeCN(10ml)中の(3S)−3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジン(中間体10を参照のこと)(150mg)溶液を、窒素下で攪拌し、0℃に冷却し、ピリジン(140.3ul)で処理した。次いで、反応混合物を固体6−クロロ−ナフタレンスルホニル塩化物塩(182mg)を用いて3回で処理した。反応混合物を0℃で30分間攪拌して黄色懸濁液を得た。冷却浴を除去し、混合物を室温で19時間攪拌し、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(30ml)とDCM(40ml)の間に分配した。その層を分離し、水層をDCM(20ml)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、疎水性フリットを通過させ、蒸発させてオレンジ色粘性物を得て、それを20gのシリカSPEカラムで[20:1]〜[10:1]DCM:MeOHで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、蒸発させて透明の泡沫を得た。この泡沫をジエチルエーテルで処理し、透明の標記化合物を濾過により収集した(151mg)。
質量スペクトル:実測値:MH+ 484
H.p.l.c. Rt 2.55min
1H nmr (CDCl3) δ:2.06 (2H, m), 2.19 (1H, m), 2.22 (6H, s), 2.68-2.97 (3H, m), 3.77 (2H, m), 3.90 (1H, m), 4.29 (1H,m), 5.51 (1H, brs), 7.28 (1H, m), 7.33 (1H, m), 7.44 (1H, brs), 7.56 (1H, m), 7.93 (4H, m), 8.49 (1H, s)
100mgの6−クロロ−N−{(3S)−1−[−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル−2−ナフタレンスルホンアミドを、キラル分取クロマトグラフィー(キラルパックAD35%エタノール/ヘプタンTFA)}により分離して異性体A(TFA塩)をクリーム色固体(34.7mg)として得た。 Rt 25.04min
1H nmr (CDCl3) δ:2.06 (2H, m), 2.18 (1H, m), 2.22 (6H, s), 2.69-2.97 (3H, m), 3.77 (2H, m,), 3.90 (1H, m), 4.30 (1H,m), 5.49 (1H, brs), 7.28 (1H, m), 7.33 (1H, m), 7.44 (1H, brs), 7.56 (1H, m), 7.93 (4H, m), 8.49 (1H, s)
異性体B (TFA塩)をクリーム色固体(32.6mg)として得た。 Rt 30.14min
1H nmr (CDCl3) δ:2.06 (2H, m), 2.18 (1H, m), 2.23 (6H, s, N(CH3)2), 2.69-2.97 (3H, m), 3.77 (2H, m), 3.90 (1H, m), 4.30 (1H,m), 5.50 (1H, brs), 7.28 (1H, m), 7.33 (1H, m), 7.44 (1H, brs), 7.56 (1H, m), 7.93 (4H, m,), 8.49 (1H, s)
【0121】
実施例5
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド
【化52】

無水THF(20ml)中の3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1−[トリス(1−メチルエチル)シリル]−1H−インドール−6−スルホンアミド(中間体11を参照のこと)(58.0mg)溶液をフッ化テトラエチルアンモニウム水和物(20.6mg)で処理し、溶液を室温で90分間攪拌し、飽和水性塩化アンモニウム溶液(2ml)で停止させ、30分間攪拌し、蒸発乾固させた。残渣をMeOHに懸濁し、20gのSCXカラムでMeOH〜MeOH中の1Nアンモニアで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、蒸発させてクリーム色固体を得て、前反応から得られた11.1mgと合わせ、10gのシリカSPEカラムで[33:1]〜[10:1]DCM:MeOH中の2Nアンモニアで溶出して精製した。得られた画分を蒸発乾固させ、残渣をDCMおよびジエチルエーテルから蒸発させ、標記化合物をクリーム色固体(44.2mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 473
H.p.l.c. Rt 2.43min
1Hnmr (DMSO-d6) δ:1.65 (1H, m), 1.95 (3H, m), 2.10 (6H, s, N(CH3)2), 2.69-2.87 (2H, m), 3.61 (2H, m), 4.22 (2H, m), 7.22 (1H,d), 7.42 (1H, m), 7.63 (2H, m), 7.82 (1H, d), 7.98 (1H, d), 8.17 (1H, d), 11.91 (1H, brs).
【0122】
実施例6
2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エタンスルホンアミド
【化53】

標記化合物を、実施例1について記載された手順を用いて、(3S)−3−アミノ−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−ピロリジン(中間体10を参照のこと)および2−(5−クロロ−2−チエニル)エタンスルホニル塩化物塩から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 468
H.p.l.c. Rt 2.48min
1Hnmr δ (CDCl3) 2.09 (3H, m), 2.25 (6H, s), 2.72-3.0 (3H, m), 3.27-3.58 (4H, m), 3.82 (2H, m), 4.33 (2H, m), 4.96 (1H, brs), 6.69 (1H, d), 6.73 (1H, d), 7.37 (2H, m), 7.51 (1H, d)
【0123】
実施例7
6−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド
【化54】

MeOH(5ml)中のN−[5−((3S)−3−{[(6−クロロ−2−ナフタレニル)スルホニル]アミノ}−2−オキソ−1−ピロリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体15を参照のこと)(200mg)を水(1.75ml)中の炭酸ナトリウム(374.5mg)溶液で処理した。濃い沈殿物が形成されると、MeCN(5ml)を加え、まだ濃い懸濁液を40℃で1時間加熱した。水(1.75ml)を加え、反応混合物を40℃で19時間攪拌した。反応混合物を冷却し、蒸発させて揮発性物質を除去した。残渣を水(20ml)と酢酸エチル(75ml)の間に分配した。粘着性のある沈殿物を形成し、それを収集した。濾液中の層を分離し、水相をDCMおよび[95:5]DCM:MeOHで洗浄した。有機抽出物をその固体残渣と合わせ、蒸発乾固させ、20gのSCXカラムでMeOH〜MeOH中の1Nアンモニアで溶出して精製し、得られた画分を合わせ、蒸発乾固させた。残渣をDCM(1ml)に溶かし、ジエチルエーテルでゆっくりと希釈した。標記化合物を濾過して収集してクリーム色固体(70.0mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 468
H.p.l.c. Rt 2.62min
1Hnmr (CDCl3) δ:1.84 (1H, m), 1.90-2.8 (very broad peak, obs), 2.18 (1H, m), 2.40 (1H, m) 2.48 (3H, d), 2.69-2.85 (2H, m), 2.97 (1H, m), 3.74 (2H, m), 3.90 (1H, m), 4.13 1H, t), 7.25-7.32 (m, obs), 7.43 (1H, m), 7.57 (1H, m), 7.90-7.97 (4H, m), 8.49 (1H, s)
【0124】
実施例8
(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エテンスルホンアミド
【化55】

MeOH(30ml)中の2Nアンモニア中のN−{5−[(3S)−3−({[(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)エテニル]スルホニル}アミノ)−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体16を参照のこと)(138mg)溶液を室温で19時間攪拌し、蒸発乾固させた。20gのSCXカラムでMeOH〜MeOH中の0.5Nアンモニアで溶出して精製し、続いて20gのシリカSPEカラムで[20:1]〜[10:1]DCM:MeOH中の2Nアンモニアで溶出して精製し、ジエチルエーテルで粉砕し、続いて濾過して、標記化合物を淡いピンク色固体(67.9mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 450
H.p.l.c. Rt 2.44min
1H nmr (CDCl3) δ:1.88 (1H, m), 2.0 -3.0 (very broad peak), 2.18 (1H, m), 2.43 (1H, m), 2.50 (3H, d), 2.78 (2H, m), 3.02 (1H, m), 3.78 (2H, m), 4.09 (1H, m), 4.16 (1H, t), 6.59 (1H, d), 6.69 (1H, d), 7.08 (1H, d), 7.29 -7.39 (2H, m), 7.45-7.54 (2H, m)
【0125】
実施例9
2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エタンスルホンアミド
【化56】

標記化合物を、実施例8について記載された手順を用いて、N−{5−[(3S)−3−({[2−(5−クロロ−2−チエニル)エチル]スルホニル}アミノ)−2−オキソ−1−ピロリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体17を参照のこと)から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 452
H.p.l.c. Rt 2.45min
1H nmr (CDCl3) δ:1.87 (1H, m), 2.06 (1H, m), 2.2 3.0 (very broad peak, obs) 2.43 (1H, m), 2.51 (3H, d), 2.74 (1H, m), 2.85 (1H, m), 3.04 (1H, m), 2.26- 3.58 (4H, m), 3.78 (2H, m), 4.16 (1H, t), 4.32 (1H, m), 6.69 (1H, d), 6.74 (1H, d), 7.30-7.39 (3H, m), 7.50 (1H, d)
【0126】
実施例10
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド
【化57】

標記化合物を、実施例8について記載された手順を用いて、中間体19から調製した。
質量スペクトル:実測値:MH+ 457
H.p.l.c. Rt 2.42min
1H nmr (DMSO-d6) δ:1.68 (2H, m), 2.02 (1H, m), 2.23 (1H, m), 2.27 (3H, d), 2.70 (1H, m), 2.88 (1H, m), 3.60 (2H, m), 3.98 (1H, t), 4.18 (1H, m), 7.27 (1H, d), 7.32-7.43 (2H, m), 7.63 (2H, m), 7.82 (1H, s), 7.98 (1H, s), 11.91 (1H, brs, NH)
【0127】
実施例11
N−[(3S)−1−(1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]−6−クロロ−2−ナフタレンスルホンアミド
【化58】

MeOH(7ml)およびMeCN(5ml)中のN−[5−((3S)−3−{[(3−クロロ−1H−インドール−6−イル)スルホニル]アミノ}−2−オキソ−1−ピロリジニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体23を参照のこと)(158mg)の懸濁液を、水(2.45ml)中の炭酸ナトリウム(303mg)溶液で処理し、懸濁液を窒素下で24時間40℃で攪拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、水(10ml)およびMeOH(10ml)と混合し、炭酸ナトリウム(150mg)で処理し、濁った混合物を40℃で3時間加熱した。反応は完了していないが、反応混合物を蒸発乾固させ、6gのオアシス(登録商標)カラムで[95:5]水:MeCN〜100%MeCNで溶出して精製した。得られた画分を合わせ、20gのSCXカラムでMeOH〜MeOH中の2Nアンモニアで溶出して精製し、標記化合物をクリーム色固体(71.1mg)として得た。
質量スペクトル:実測値:MH+ 454
H.p.l.c. Rt 2.58min
1H nmr (DMSO-d6) δ:1.56 (1H, m), 1.71 (1H, m), 2.15 (1H, m), 2.32 (1H, m), 2.66 (1H, m), 2.81 (1H, m), 3.60 (2H, m), .15 (1H, t), 4.28 (1H, m), 7.27-7.37 (3H, m), 7.69 (1H, m), 7.96 (1H, m), 8.12 (1H, d), 8.21 (2H, m), 8.55 (1H, s)
【0128】
実施例12
6−クロロ−N−メチル−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド
【化59】

MeOH(5ml)および水(1ml)中のN−(5−{(3S)−3−[[(6−クロロ−2−ナフタレニル)スルホニル](メチル)アミノ]−2−オキソ−1−ピロリジニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロ−N−メチルアセトアミド(中間体24を参照のこと)(113mg)溶液を、炭酸カリウム(125mg)で処理した。反応物を室温で22時間攪拌し、次いで、蒸発乾固させ、水(10ml)と酢酸エチル(20ml)の間に分配した。その層を分離し、有機抽出物を固体の硫酸マグネシウムを含む疎水性フリットに通過させ、蒸発乾固させ、5gのSCXカラムでDCM:MeOH〜MeOH中10%アンモニアで溶出して精製し、標記化合物を白色泡沫(50mg)として得た。
質量スペクトル:実測値: MH+ 484
H.p.l.c. Rt 2.73min

1H nmr (DMSO-d6) δ:1.72 (1H, m), 1.97 (1H, m), 2.15 (1H, m), 2.23 (1H, m), 2.27 (3H, s), 2.70 (1H, m), 2.76 (3H, s), 2.87 (1H, m), 3.64 (1H, t), 3.75 (1H, q), 3.98 (1H, t), 5.06 (1H, t), 7.26 (1H, d), 7.33 (1H, m), 7.43 (1H, s), 7.71 (1H, dd), 7.96 (1H, dd), 8.13 (1H, d), 8.23 (2H, m), 8.59, (1H, s)
【0129】
第Xa因子の阻害についての試験管内(in vitro)アッセイ
本発明の化合物は、ローダミン110、ビス−CBZ−グリシルグリシル−L−アルギニンアミドを蛍光発生基質として用いる蛍光発生アッセイにおいて、試験管内でヒト第Xa因子を阻害するそれらの能力について決定することにより、第Xa因子阻害活性に関して試験された。化合物をジメチルスルホキシド中の10mMストック溶液から適当な濃度に希釈した。アッセイは、室温でヒト第Xa因子(終濃度、0.0003U.ml−1)を含む、50mM Tris−HCl、150mM NaCl、5mM CaClを含有するバッファー(pH7.4)を用いて実施された。化合物および酵素は、基質(終濃度、10μM)の添加前に、15分間予めインキュベートした。この反応は、H−D−Phe−Pro−Arg−クロロメチルケトンを加えて3時間後に停止させた。LJL−分析蛍光計を用いて、485nm励起/535nm発光を用いて蛍光をモニタした。IC50値を得るために、データをActivityBase(登録商標)およびXLfit(登録商標)を用いて分析した。
Ki値の計算:
Ki=IC50/(1+[基質]/Km)
上記アッセイのKi値は、IC50値を1.6で割ることによって得ることができる。
【0130】
上記の試験管内アッセイに関して試験された合成された実施例の化合物の全ては、第Xa因子阻害活性を示すことが見出された(実施例1〜12)。好ましいことに、化合物は、1μMよりも小さいKi値を示した(実施例1〜12)。より好ましいことに、化合物は、0.1μMよりも小さいKi値を示した(実施例1〜12)。もっと好ましいことに、化合物は、50nMよりも小さなKi値を示した(実施例1、2、3、4、5、7、8、10、11、12)。
【0131】
プロトロンビン時間(PT)の測定法
血液を、クエン酸ナトリウム溶液(割合9:1)中に採取し、終濃度0.38%のクエン酸塩を得た。血漿を、クエン酸血試料を1200×gで20分間、4℃で遠心分離して作製し、使用するまで−20℃で保存した。PT分析は、4人の別の提供者(男性2名、女性2名)から集められた血漿を用いて行われた。
【0132】
PT試験は、BCSコアギュレーション・アナライザー(Dade Behring)を用いて実施した。アッセイに関して、0.03〜1000μMの範囲の濃度で被験化合物を含む50μlの血漿(血漿中、1%DMSOを含む100μMのストックから調製した)を、100μlのトロンボプラスチンCプラス(Dade Behring)と合わせた。試薬を加える際に、405nmの吸光度をモニタし、血塊の形成時間を決定した(ヒト血漿の正常な範囲は、10.6〜12.4秒である)。
【0133】
上記のアッセイに関して試験された合成された実施例の化合物の全ては、活性を示すことが見出された(実施例1〜11)。
【0134】
一般的な精製および分析法
LC/MS方法
分析HPLCは、水中の0.1%HCOHと0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)、および水中の95%MeCNと0.05%HCOH(溶媒B)を、以下の溶出勾配、0−0.7分 0%B、0.7−4.2分 0→100%B、4.2−5.3分 100%B、5.3−5.5分 100→0%Bを、流速3ml/分(系1)を用いて溶出する、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3μm、3.3cm×4.6mmID)にて行った。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー陽イオン化[(MHとM(NH分子イオンを得るためのES+ve]またはエレクトロスプレー陰イオン化[((M−H)分子イオンを得るためのES−ve]モードを使用したFisons VGプラットフォーム質量分光計にて記録した。
【0135】
H nmrスペクトルは、外部標準としてテトラメチルシランを使用したBruker DPX 400MHz分光計を用いて記録した。
【0136】
Biotage(登録商標)クロマトグラフィーは、Dyax社(Flash40iまたはFlash150iのいずれか)およびKPSil(登録商標)で予め充填されたカートリッジによる平衡固体を用いて行われた精製を意味する。
【0137】
質量に基づく分取h.p.l.c.は、材料が、水中の0.1%HCOHおよび95%MeCN、5%水(0.5%HCOH)を用い、以下の勾配溶出条件:0−10分 5%B、1.0−8.0分 5→30%、8.0−8.9分 30%、8.9−9.0分 30→95%B、9.0−9.9分 95%B、9.9−10分 95→0%Bを流速8ml・分−1(系2)を利用したHPLCABZ+5μmカラム(5cm×10mm内径)におけるハイ・パフォーマンス液体クロマトグラフィーにより精製される方法を意味する。ギルソン(Gilson)202−フラクション・コレクターは、興味ある質量を検出する際のVGプラットフォーム質量分光計により開始された。
【0138】
疎水性のフリットは、ワットマン(Whatman)から売り出されているフラクションチューブを意味する。
【0139】
SPE(固相抽出)は、International Sorbent Technology社から売り出されているカートリッジの使用を意味し、シリカSPEおよびSCX SPEが用いられた。
【0140】
Combi Flash(登録商標)Companion(登録商標)は、ISCO社から売り出されている自動精製系を意味する。
【0141】
Oasis(登録商標)は、Watersから売り出されている液相抽出カートリッジの使用を意味する。
【0142】
Chiralpak AD カラムの内径は、0.46×25cmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中:
は:
【化2】

(それぞれの環はさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zは、択一的なハロゲン置換基を表し、
alkは、アルキレンまたはアルケニレンを表し、
Tは、S、OまたはNHを表す)
から選択される基を表し;
は、水素、−C1−6アルキル、−C1−3アルキルCONR、−C1−3アルキルCO1−4アルキル、−CO1−4アルキルまたは−C1−3アルキルCOHを表し;
(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、またはそれらが結合しているN原子と一緒になって、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し、C1−4アルキルにより置換されていてよく、そしてそのヘテロ原子SはOにより置換されていてよい、即ちS(O)であってよく;
nは0−2を表す;)
Xは、ハロゲン、−C1−4アルキル、−C2−4アルケニルまたは−CFから選択される:インダン環上の択一的な置換基を表し;
Yは、インダン環の非芳香族部分にて置換されている−(CHNR基を表す;
(RおよびRは、独立して、水素、−C1−6アルキル、−C1−4アルキルOHまたはそれらが結合しているN原子と一緒になって、4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環、O、NもしくはSから選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてよい5−、6−または7−員非芳香族複素環、またはC1−4アルキルもしくはハロゲンにより置換されていてよい4−、5−、6−または7−員非芳香族複素環を形成し;
mは0−2を表す)]
で示される化合物から選択される少なくとも1つの化学物質またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
請求項1記載の少なくとも1つの化学物質であって:
式中、Rが:
【化3】

(それぞれの環がさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zが択一的なハロゲン置換基を表し、
alkがアルキレンまたはアルケニレンを表し、
TがS、OまたはNHを表す)
から選択される基を表す、化学物質。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の少なくとも1つの化学物質であって、
式中、Rが:
【化4】

(それぞれの環がさらなるヘテロ原子Nを含んでいてよく、
Zは択一的なハロゲン置換基を表し、
alkはアルキレンまたはアルケニレンを表し、
TはS、OまたはNHを表す)
から選択される基を表す、化学物質。
【請求項4】
が水素を表すところの、請求項1〜3のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項5】
Xが:ハロゲンまたは−C1−4アルキルから選択される択一的な置換基を表すところの、請求項1〜4のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項6】
YがNR基を表すところの、請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項7】
6−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド;
(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エテンスルホンアミド;
6−クロロ−N−{1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1−ベンゾチオフェン−2−スルホンアミド;
6−クロロ−N−{(3S)−1−[−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル−2−ナフタレンスルホンアミド;
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド;
2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(ジメチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エタンスルホンアミド;
6−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド;
(E)−2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エテンスルホンアミド;
2−(5−クロロ−2−チエニル)−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}エタンスルホンアミド;
3−クロロ−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−1H−インドール−6−スルホンアミド;
N−[(3S)−1−(1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]−6−クロロ−2−ナフタレンスルホンアミド;または
6−クロロ−N−メチル−N−{(3S)−1−[1−(メチルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル]−2−オキソ−3−ピロリジニル}−2−ナフタレンスルホンアミド;
から選択される請求項1記載の少なくとも1つの化学物質、およびその医薬上許容される誘導体。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質。
【請求項9】
少なくとも1つの医薬担体および/または賦形剤と共に、請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質を含む、医薬組成物。
【請求項10】
第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態に苦しむ対象を処置するための医薬の製造についての、請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質の使用。
【請求項11】
第Xa因子阻害物質による改善の可能性がある状態に苦しむ対象を処置する方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの化学物質の治療上の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項12】
式(I)で示される化合物(群)を製造する方法であって、式(II)で示される化合物(群)またはその酸付加塩を、式(III):
【化5】

[式中、Vは適切な脱離基であり、かつYは保護された基もしくは保護されていない基である]
で示される化合物と反応させる工程を含む、方法。

【公表番号】特表2008−512365(P2008−512365A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529337(P2007−529337)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009517
【国際公開番号】WO2006/027186
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】