説明

等速ジョイント及びこれを用いる画像形成装置

【課題】従来に比べて重量や動作音を小さくし、環状空間へのグリースの充填が不要で、しかも回転駆動力の等速性を維持することができる等速ジョイントを提供する。
【解決手段】等速ジョイント110のメス側ジョイント120として、外輪122が、内周面を構成する樹脂材料からなる最内層122aと、これよりも外側の金属材料からなる金属層122bとを有する2層構造をなすものを用いた。かかる構成では、外輪122の全てを金属材料で形成していた従来の構成に比べて、メス側ジョイント120の重量を小さくすることができた。また、環状空間124にグリースを充填しなくても、メス側ジョイント120とオス側ジョイント150とをスムーズに回転させつつ、動作音を小さくすることもできた。更には、ボール152との摺擦に伴う外輪122の法線方向への撓みを抑えて、回転駆動力の等速性を維持することもできた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに偏角をもった関係で軸線方向に並ぶ2つの回転体の間で等速回転力を伝達する等速ジョイント、及びこれを用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置である。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のドライブシャフトの回転トルクを車軸に伝達する駆動伝達機構の一つとして、等速ジョイントが知られている。等速ジョイントは、互いに軸線方向に並ぶ原動側駆動軸と従動側駆動軸とのスキューを許容しつつ、両者間で駆動力を回転方向に等速に伝達することができる。自動車に限らず、様々な産業機械に広く用いられている駆動伝達機構である。
【0003】
一般に、等速ジョイントは、例えば特許文献1に記載のもののように、互いに軸線方向に並ぶ第1回転体と第2回転体とを備えている。そして、第1回転体は、外輪とこれの内側の内輪との間隙による環状空間における軸線方向の一端側を開口させつつ他端側を塞ぐカップ形状をなすカップ部を有している。このカップ部において、互いに環状空間を介して対向する外輪内面と内輪外面とには、それぞれ軸線方向に延在しながら互いに円方向に並ぶ複数の溝が形成されている。一方、第2回転体は、第1回転体の環状空間内に挿入される円筒状の球体保持部を有している。この球体保持部の円筒状の周壁には、複数の貫通穴が円周方向に並ぶように形成されており、それぞれの貫通穴内にボールを保持している。第2回転体は、これらのボールを第1回転体の外輪内面及び内輪外面に形成された溝内に係合させるようにして、第1回転体の環状空間内に挿入される。この状態で第1回転体又は第2回転体の何れか一方が原動側となって回転すると、その回転力が溝に係合している複数のボールを介してもう一方に伝達される。
【0004】
【特許文献1】特公昭52−34699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる構成の従来の等速ジョイントは、第1回転体や第2回転体が金属からなるため、重量が大きいという欠点があった。また、動作音がボールと外輪や内輪との摺擦によって大きくなるという欠点もあった。更には、ボールをスムーズに転動させる目的で、第1回転体の環状空間内にグリースを充填しているが、このグリースの漏洩による周囲環境へのグリース汚染が懸念される。これらの結果、事務機、音響機器、医療機器、家庭用電化製品、食品製造機器などへの適用が困難であった。
【0006】
そこで、本発明者らは、外輪を摩擦抵抗の非常に小さな合成樹脂(ポリアセタール樹脂)で形成した等速ジョイントを試作した。すると、環状空間内にグリースを充填しなくても、第1回転体や第2回転体をスムーズに回転させ、しかも動作音も金属製のものに比べて小さくすることができた。しかしながら、回転力を等速に伝達することができなかった。その原因について鋭意研究を行った結果、剛性の低い樹脂製の外輪をボールとの摺擦に伴って法線方向に撓ませてしまうためであることがわかった。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような等速ジョイント及びこれを用いる画像形成装置を提供することである。即ち、従来に比べて重量や動作音を小さくし、環状空間へのグリースの充填が不要で、しかも回転駆動力の等速性を維持することができる等速ジョイントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、外輪とこれの内側の内輪との間隙による環状空間における軸線方向の一端側を開口させつつ他端側を塞ぐカップ形状をなすカップ部と、該軸線方向に延在しながら互いに円方向に並ぶように該外輪の内面及び内輪の外面の少なくとも一方に設けられた複数の溝とを有する第1回転体を備えるとともに、互いに周方向に沿って並ぶように円筒状の周壁に設けられた複数の貫通穴内にそれぞれ球体を保持する球体保持部を有する第2回転体を備え、該球体保持部を該環状空間内に挿入し且つ該球体保持部に保持される複数の該球体を該環状空間内で複数の該溝に係合させた状態で、複数の該球体を介して、該第1回転体及び第2回転体の何れか一方の回転駆動力を他方に伝達する等速ジョイントであって、上記外輪が、上記内周面を構成する樹脂材料からなる最内層と、これよりも外側の金属材料からなる金属層とを有する多層構造をなすことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の等速ジョイントであって、上記外輪が、樹脂製の上記最内層と金属製の最外層とからなる2層構造をなすことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の等速ジョイントにおいて、上記カップ部として、上記最外層を構成する円筒状金属体の内部に、上記最内層及び内輪を同じ樹脂材料で一体成形したカップ基体を嵌合せしめたものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の等速ジョイントにおいて、上記円筒状金属体として、その中心軸上に延在する軸部を円筒と同じ金属材料で一体成形したものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの等速ジョイントであって、上記球体保持部が樹脂材料からなることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの等速ジョイントであって、上記樹脂材料が射出成形可能な材料であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、無端移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、該表面に潜像を形成する潜像形成手段と、無端移動する表面に担持した現像剤によって該潜像担持体上の潜像を現像する現像部材と、現像によって得られた該潜像担持体上の可視像を表面無端移動体の表面あるいはこれに保持される記録部材に転写する転写手段と、該潜像担持体、現像部材及び表面無端移動体の少なくとも1つに対して駆動源からの駆動力を伝達する駆動伝達機構とを備える画像形成装置において、上記駆動伝達機構内に上記等速ジョイントを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記駆動源として、原動回転軸を有する駆動モータを用いるとともに、上記潜像担持体として、従動回転軸を中心に回転する感光体を用い、該原動回転軸と該従動回転軸とを上記等速ジョイントで連結したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記感光体として、その軸線方向に穿たれた中心穴に上記従動回転軸を貫通係合させるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8又は9の画像形成装置において、上記第1回転体又は第2回転体と、上記駆動モータの上記原動回転軸とのうち、何れか一方を他方に対して軸線方向に圧入することで、両者を軸線方向に接続したことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8乃至10の何れかの画像形成装置において、装置本体側に固定された上記等速ジョイントに上記従動回転軸を接続するのに伴って、上記感光体を該装置本体に対して感光体軸線方向に位置決めする位置決め機構を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明においては、第1回転体の外輪の内周面を樹脂材料で形成したことで、外輪の全てを金属材料で形成していた従来の構成に比べて、第1回転体の重量を小さくすることができる。また、外輪の内周面を樹脂材料としたことから、本発明者らの試作品で明らかになったように、環状空間にグリースを充填しなくても、第1回転体と第2回転体とをスムーズに回転させつつ、金属材料で形成していた従来の構成に比べて動作音を小さくすることもできる。更には、外輪を多層構造とし、外輪内周面を構成する最内層よりも外側の層を樹脂材料よりも剛性の高い金属材料で形成したことで、球体との摺擦に伴う外輪の法線方向への撓みを抑えて、回転駆動力の等速性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のカラーレーザプリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このレーザプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスユニット1Y、1M、1C、1Kの他には、光書込ユニット10、転写ユニット11、レジストローラ対19、3つの給紙カセット20、定着ユニット21などが配設されている。
【0011】
光書込ユニット10は、4つの光書込器を備えている。それぞれの光書込器は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0012】
図2は、4組のプロセスユニット1Y,M,C,Kのうち、イエロー用のプロセスユニット1Yを示す拡大構成図である。なお、他のプロセスユニット1M,C,Kはそれぞれイエロー用のプロセスユニット1Yと同じ構成となっているので、これらの説明については省略する。同図において、プロセスユニット1Yは、ドラム状の感光体2Y、帯電器30Y、現像装置40Y、ドラムクリーニング装置48Yなどを有している。
【0013】
帯電器30Yは、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体2Yに当接あるいは近接させており、帯電ローラと感光体2Yとの間に放電を発生させることによって感光体表面を一様帯電せしめる。帯電処理が施された感光体2Yの表面には、光書込ユニット10によって変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射される。すると、ドラム表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像装置40Yによって現像されてYトナー像となる。
【0014】
現像装置40Yは、そのケーシングの開口から周面の一部を露出させるように配設された現像部材たる現像スリーブ42Yを有している。また、第1搬送スクリュウ43Y、第2搬送スクリュウ44Y、現像ドクタ45Y、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)46Yなども有している。
【0015】
上記ケーシング内には、磁性キャリアと、マイナス帯電性のYトナーとを含む二成分現像剤が収容されている。この二成分現像剤は上記第1搬送スクリュウ43Y、第2搬送スクリュウ44Yによって撹拌搬送されながら摩擦帯電せしめられた後、上記現像スリーブ42Yの表面に担持される。そして、現像ドクタ45Yによってその層厚が規制されてから感光体2Yに対向する現像領域に搬送され、ここで感光体2Y上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体2Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費した二成分現像剤は、現像スリーブ42Yの回転に伴ってケーシング内に戻される。
【0016】
第1搬送スクリュウ43Yと、第2搬送スクリュウ44Yとの間には仕切壁47Yが設けられている。この仕切壁47Yにより、現像スリーブ42Yや第1搬送スクリュウ43Y等を収容する第1供給部と、第2搬送スクリュウ44Yを収容する第2供給部とがケーシング内で分かれている。第1搬送スクリュウ43Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、上記第1供給部内の二成分現像剤を図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送しながら現像スリーブ42Yに供給する。第1搬送スクリュウ43Yによって上記第1供給部の端部付近まで搬送された二成分現像剤は、仕切壁47Yに設けられた図示しない開口部を通って上記第2供給部内に進入する。第2供給部内において、第2搬送スクリュウ44Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、上記第1供給部から送られてくる二成分現像剤を第1搬送スクリュウ43Yとは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュウ44Yによって第2供給部の端部付近まで搬送された二成分現像剤は、仕切壁47Yに設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部内に戻る。
【0017】
透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、Tセンサという)46Yは、上記第2供給部の中央付近の底壁に設けられ、その上を通過する二成分現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ66YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、RAMを備えており、この中にTセンサ46Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納している。また、他の現像装置に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納している。Y用Vtrefは、図示しないYトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Tセンサ46Yからの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないYトナー搬送装置を駆動制御して第2供給部49Y内にYトナーを補給させる。この補給により、現像装置40Y内の二成分現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像装置についても、同様のトナー補給制御が実施される。
【0018】
Y用の感光体2Y上に形成されたYトナー像は、後述の紙搬送ベルトに搬送される記録紙上に転写される。転写後の感光体2Yの表面は、ドラムクリーニング装置48Yによって転写残トナーがクリーニングされた後、不図示の除電器によって除電される。そして、帯電器30Yによって一様帯電せしめられて次の画像形成に備えられる。他のプロセスユニットについても同様である。各プロセスユニットは、プリンタ本体に対して着脱可能になっており、寿命到達時に交換される。
【0019】
先に示した図1において、転写手段たる転写ユニット11は、無端状の紙搬送ベルト12、駆動ローラ13、張架ローラ14、4つの転写バイアスローラ17Y,M,C,Kなどを有している。表面無端移動体たる紙搬送ベルト12は、駆動ローラ13、張架ローラ14,15にテンション張架されながら、図示しない駆動系によって回転せしめられる駆動ローラ13によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。
【0020】
4つの転写バイアスローラ17Y,M,C,Kは、それぞれ図示しない電源から転写バイアスが印加される。そして、紙搬送ベルト12をその裏面から感光体2Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ転写ニップを形成する。各転写ニップには、上記転写バイアスの影響により、感光体と転写バイアスローラとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Y上に形成された上述のYトナー像は、この転写電界やニップ圧の影響により、紙搬送ベルト12上に搬送される記録紙P上に転写される。このYトナー像の上には、感光体2M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて転写される。かかる重ね合わせの転写により、紙搬送ベルト12上に搬送される記録部材たる記録紙P上には、紙の白色と相まったフルカラートナー像が形成される。
【0021】
上記転写ユニット11の下方には、複数枚の記録紙Pを重ねて収容する3つの給紙カセット20が多段に配設されており、それぞれのカセットは一番上の記録紙Pに給紙ローラを押し当てている。給紙ローラが所定のタイミングで回転駆動すると、一番上の記録紙Pが紙搬送路に給紙される。
【0022】
給紙カセット20から紙搬送路に給紙された記録紙Pは、レジストローラ対19のローラ間に挟まれる。レジストローラ対19は、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを各転写ニップにてトナー像を重ね合わせ得るタイミングで送り出す。これにより、各転写ニップで記録紙Pにトナー像が重ね合わせ転写される。フルカラー画像が形成された記録紙Pは、定着ユニット21に送られる。
【0023】
定着ユニット21は、内部にハロゲンランプ等の熱源を有する加熱ローラ21aと、これに圧接せしめられる加圧ローラ21bとによって定着ニップを形成している。そして、この定着ニップに記録紙Pを挟み込みながら、その表面にフルカラー画像を定着せしめる。定着ユニット21を通過した記録紙Pは、図示しない排紙ローラ対を経て機外へと排出される。
【0024】
図3(a)は、プリンタ内にセットされたY用のプロセスユニットとその周囲構成とを示す縦断面図であり、図3(b)は、プリンタから取り外されている最中のY用のプロセスユニットをその周囲構成とともに示す縦断面図である。これらの図の左右方向において、左側はプリンタの正面側に相当し、右側はプリンタの後面側に相当する。図3(a)に示すように、プリンタ内にセットされたプロセスユニット1Yは、プリンタ本体の前端付近に配設された面板71と、プリンタ本体の後側板70との間に位置している。円柱状の感光体2Yの円中心には、図3(b)に示すように、軸線方向の一端側から他端側に向けて貫通する中心穴が形成されている。そして、後側板70は、従動回転軸たる感光体軸102を図示しない軸受によって回転自在に支持している。そして、図3(a)に示すように、プロセスユニット1Yがプリンタ内にセットされると、後側板70に支持されている感光体軸102が、感光体2Yの中心穴に感光体軸102が挿入される。この中心穴の横断面形状は、例えばD字型や小判型などといった非円形状になっており、感光体軸102の横断面形状も同様の形状になっている。これにより、中心穴に挿入された感光体軸102が穴内で空転することなく、感光体軸102の回転駆動力が感光体2Yに伝達される。
【0025】
上述の感光体軸102は、プリンタ本体の後側板70を貫通しているため、その後端部は後側板70の更に後側に位置している。プリンタ本体の後側板70における面板71とは反対面には、ブラケット80を介して駆動源たる駆動モータ100が固定されている。そして、感光体軸102と、駆動モータ100の原動回転軸たる駆動軸101とは、互いに軸線方向に並んでおり、等速ジョイント110によって連結されている。
【0026】
駆動モータ100は、ギヤなどを介さずに感光体2Yに回転駆動力を伝達するいわゆるダイレクトモータとなっている。ギヤを介さずに駆動軸101と感光体軸102との間で駆動力を繋ぐことで、ギヤの偏心や歯のピッチムラに起因する感光体の速度変動を回避することができる。
【0027】
プロセスユニット1Yをプリンタから取り外すときには、移動可能な面板71を後側板70との対向位置から待避させる。そして、プロセスユニット1Yをプリンタ後側から前側に向けて引き出す。なお、感光体2Yは、プロセスユニット1Yの枠体90(図3(b)では、図示していない)に保持されている。
【0028】
次に、本実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図4は、等速ジョイント110とその周囲構成とを示す断面図である。同図において、後側板70の左側は、図示しないプロセスユニットが収納されるユニット側であり、右側は駆動モータ100などが収納される駆動伝達側である。後側板70の駆動伝達側の面には、ブラケット80が固定されており、更にブラケット80の背面に駆動モータ100が固定されている。そして、ブラケット80の内部には、等速ジョイント110が収容されている。
【0029】
ブラケット80は、板金がプレス加工などの曲げ成形によって成形されたものである。そして、後側板70の2つの位置決め孔74、75にそれぞれ挿入されて後側板70上におけるブラケット80の位置決めを行うための2つの位置決めピン81、82を有している。また、後側板70にネジ固定するための固定部83を有している。固定部83には、ブラケット80を後側板70にねじ止め固定するための図示しないねじ孔が設けられている。
【0030】
ブラケット80の背面に固定された駆動モータ100は、その原動回転軸たる駆動軸101をブラケット80の背面に形成された丸穴に貫通させることで、モータ本体をブラケット80の外部に位置させた状態で駆動軸101の先端側をブラケット80の内部に位置させている。
【0031】
従動回転軸としての感光体軸102は、後側板70に固定された軸受73に圧入されながら後側板70を貫通している。感光体軸102の軸線方向における所定箇所には、感光体軸102よりも大径の固定リング103が嵌め込まれており、この固定リング103が軸受73のユニット側の側面に突き当たることで、装置本体に対する感光体軸102の軸線方向の位置決めがなされている。
【0032】
等速ジョイント110は、ブラケット80の内部において、互いに軸線方向に並ぶ駆動軸101と感光体軸102とを連結している。上述のように、ブラケット80は板金の曲げ加工によるものであり、加工時に曲げ角のバラツキが生じ易いために、後側板70に対して駆動モータ100を精度良く位置決めすることが困難である。そして、感光体軸102に対して、駆動モータ100の駆動軸101を傾けてしまい易い。本プリンタでは、このように駆動軸101のスキューが起こっても、駆動軸101と感光体軸102とを等速ジョイント110で連結することで、駆動軸101から感光体軸102に対して回転駆動力を等速で伝達することが可能になっている。
【0033】
等速ジョイント110は、第1回転体たるメス側ジョイント120と、第2回転体たるオス側ジョイント150とを有している。そして、メス側ジョイント120の軸線方向の図中左側端部には、感光体軸102が接続されている。また、オス側ジョイント150の軸線方向の図中右側端部には、駆動モータ100の駆動軸101が接続されている。
【0034】
メス側ジョイント120は、軸線方向の一端側に設けられた開口からオス側ジョイント150が挿入される円筒状のカップ部121を備えている。このカップ部121は、図5にその横断面を示すように、外輪122と、これの内側の内輪123と、両者の間隙による環状空間124と、外輪122の内周面に設けられた3つの外溝125と、内輪123の外周面に設けられた3つの内溝126とを有している。そして、図4に示したように、環状空間124における軸線方向の一端側を開口させつつ他端側を塞いでおり、その開口からオス側ジョイント150が挿入される。
【0035】
図5に示したように、外輪122の内周面に設けられた3つの外溝125は、外輪122の軸線方向に延在しながら、互いに120[°]の位相差をもって円方向に並ぶように形成されている。内輪123の外周面に設けられた3つの内溝126も、内輪123の軸線方向に延在しながら、互いに120[°]の位相差をもって円方向に並ぶように形成されている。そして、外溝125と内溝126とは環状空間124を介して互いに対面している。
【0036】
第2回転体たるオス側ジョイント150は、その先端側が円筒状の球体保持部になっている。この球体保持部151は、図6に横断面を示すように、互いに120[°]の位相差をもって周方向に沿って並ぶように円筒状の周壁に設けられた3つの貫通穴151aを有しており、それぞれの貫通穴151a内に球体としてのボール152を回転可能に保持している。
【0037】
先に示した図4において、オス側ジョイント150の円筒状の球体保持部151が、メス側ジョイント120のカップ部121における環状空間124内に挿入されている。この状態では、図7に示すように、オス側ジョイントの球体保持部151に保持される3つのボール152が、それぞれ、メス側ジョイントの外輪122の内周面に設けられた外溝と、内輪123の外周面に設けられた内溝との間に挟まれて、法線方向への動きが阻止される。但し、外溝、内溝はそれぞれ軸線方向に延在しているので、ボール152の軸線方向の動きは許容される。
【0038】
オス側ジョイントの円筒状の球体保持部151は、図8に示すようにメス側ジョイントのカップ部の環状空間124内に挿入されて、自らが保持している3つのボール152を図7に示したように環状空間124内で外溝及び内溝に係合させる。そして、図4に示した駆動モータ100の駆動軸101とともに回転すると、3つのボール152を介してその回転駆動力をメス側ジョイント120に等速で伝達する。これにより、感光体軸102、ひいては図示しない感光体が等速で回転する。
【0039】
なお、外輪122の内周面と内輪123の外周面との両方にそれぞれボール125を係合させるための溝を設けた例について説明したが、何れか一方だけに溝を形成してもよい。
【0040】
図7や図8において、メス側ジョイント120のカップ部121の外輪122は、その内周面を構成する最内層122aと、これよりも外側の金属層122bとからなる2層構造になっており、最内層122aは樹脂材料からなる。より詳しくは、射出成形が可能な合成樹脂からなり、射出成形が可能であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよい。射出成形が可能な合成樹脂には結晶性樹脂と、非結晶性樹脂とがある。何れの樹脂を使用してもよいが、非結晶性樹脂は靱性が低く、許容量以上のトルクがかかった場合に急激な破壊が生じるため、結晶性樹脂を用いるのが好ましい。また、潤滑特性の比較的高いものを用いることが望ましい。かかる合成樹脂としては、ポリアセタール(POM)、ナイロン、射出成形可能なフッ素樹脂(例えば、PFA、FEP、ETFEなど)、射出成形可能なポリイミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド等を例示することができる。これらの合成樹脂を単独で使用しても、2種類以上を混合したポリマーアロイとして使用していもよい。また、これら以外の合成樹脂で且つ潤滑特性の比較的低い樹脂であっても、前述した合成樹脂を配合したポリマーアロイとすれば、使用することが可能である。
【0041】
最内層122aに最も適した合成樹脂は、POM、ナイロン、PPS、PEEKである。ナイロンはナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、分子鎖中に芳香族環を有する半芳香族ナイロン等である。中でも、POM、ナイロン、PPSは、耐熱性、潤滑性に優れて比較的安価であるため、コストパフォーマンスの優れた等速ジョイント110を実現することができる。また、PEEKは補強材や潤滑剤を配合しなくても機械的強度や潤滑性に優れるため、高機能な等速ジョイント110を実現することができる。
【0042】
外輪122の金属層122bは、ステンレス、鉄鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属からなり、外輪122の法線方向における剛性を高める役割を担っている。かかる構成の等速ジョイント110においては、外輪122の内周面を樹脂材料で形成したことで、外輪122の全てを金属材料で形成していた従来の構成に比べて、メス側ジョイント120の重量を小さくすることができる。また、外輪122の内周面を樹脂材料としたことから、環状空間124にグリースを充填しなくても、メス側ジョイント120とオス側ジョイント150とをスムーズに回転させつつ、金属材料で形成していた従来の構成に比べて動作音を小さくすることもできる。更には、外輪122を2層構造とし、外輪122の内周面を構成する最内層122aよりも外側に剛性の高い金属材料からなる金属層122bを設けたことで、ボール152との摺擦に伴う外輪122の法線方向への撓みを抑えて、回転駆動力の等速性を維持することができる。以上の結果、本プリンタにおける等速ジョイント110は、軽量化を図り、トルク伝達時の動作音が小さくし、且つグリースの充填を不要にすることができる。そして、これにより、騒音やグリース汚染の制限を受けることがなくなり、従来では困難であった事務機、音響機器、医療機器、家庭用電化製品、食品製造機器などへの適用を可能にすることができる。
【0043】
なお、グリース汚染を許容し得る使用環境であれば、固体潤滑剤や潤滑油を樹脂材料に添加して潤滑特性を高めることが可能である。固体潤滑剤としては、PTFE、黒鉛、二硫化モリブデン等を例示することができる。また、樹脂材料にガラス繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)を配合して強度を高めてもよく、固体潤滑剤等と併用してもよい。また、Y用の感光体に回転駆動力を伝達するための等速ジョイント110について説明したが、M,C,K用の感光体も同様の等速ジョイントによって回転駆動力が伝達されるようになっている。また、カップ部121を2層構造にしたメス側ジョイント120の例について説明したが、3層以上の構成であっても、最内層を樹脂材料で構成するとともに、それ以外の少なくとも一層を金属材料で構成すれば、2層構造と同様の作用効果を奏することが可能である。但し、2層構造が多層構造の中で最も簡素な構成であるため、3層以上の構造のものに比べて低コスト化を実現することができる。
【0044】
ボール152としては、軸受鋼、ステンレス球、セラミックス球、合成樹脂からなる球などを利用することができる。中でも、ステンレス球は発錆の心配が無く、低価格であるため好適である。
【0045】
メス側ジョイント120のカップ部121としては、図8に示したように、最外層である金属層122bを構成する円筒状金属体の内部に、最内層122a及び内輪123を同じ樹脂材料で一体成形したカップ基体を嵌合せしめたものを用いている。かかる構成では、金属層122bを構成する円筒状金属体の内部に樹脂材料からなる最内層122aを遠心成型するという手間のかかる工程を施すことなく、金属層122bと樹脂材料からなる最内層122aとを形成することができる。
【0046】
最内層122aと内輪123とを一体成形したカップ基体については、金属層122bに接着剤で固定してもよいし、ネジ固定してもよいし、接着剤やネジを用いずに金属層122b内に嵌合せしめるだけでもよい。但し、嵌合だけの場合、金属層122b内でのカップ基体の空回りを阻止するために、金属層122bの内周面に凹凸を形成する一方で、カップ基体の外周面にそれに対応する凸凹を形成して両者を係合させることが望ましい。
【0047】
金属層122bを構成する円筒状金属体には、その中心軸上に延在する軸部127が円筒状金属体と同じ金属材料で一体成形されている。軸部127を円筒状金属体と別体として、円筒状金属体に固定してもよいが、この場合、固定時の位置精度のバラツキによって軸心ずれを発生させるおそれがある。軸部127を円筒状金属体と一体成形することで、かかる軸心ずれを回避して、軸心ずれによる等速性の悪化を回避することができる。
【0048】
本プリンタでは、メス側ジョイント部120の外輪122の内周面や内輪123だけでなく、オス側ジョイント部150についても、樹脂材料からなるものを用いている。オス側ジョイント部150に好適な樹脂材料としては、外輪122の内周面に好適なものと同様である。オス側ジョイント部150を樹脂材料で構成することで更なる軽量化を図ることができる。
【0049】
本プリンタでは、図3(b)に示したように、潜像担持体として、従動回転軸たる感光体軸102を中心に回転する感光体2Yを用い、感光体軸102を等速ジョイント110で連結している。そして、ブラケット(80)の折り曲げ加工精度のバラツキによって駆動モータ100の原動軸101を感光体軸102に対してスキューさせたとしても、感光体2Yに対して回転駆動力を等速で伝達することができることは既に述べた通りである。感光体2Yは、その軸線方向に穿たれた中心穴に感光体軸102を貫通係合させる。かかる構成では、感光体軸102を装置本体側に固定した状態で、感光体2Yやプロセスユニット1Yを装置本体に対して着脱することができる。また、感光体2Yを感光体軸102との係合によって位置決めするとともに、プロセスユニット1Yのケーシングを位置決めすることで、現像スリーブと感光体との現像ギャップを精度良く決めることができる。
【0050】
なお、オス側ジョイント150を駆動モータ100の駆動軸101に接続した例について説明したが、この逆に、メス側ジョイント120を駆動軸101に接続してもよい。
【0051】
先に示した図4において、オス側ジョイント150は、球体保持部151の軸線方向の一端部から軸線方向に突出する軸部153を有しており、この軸部153は中空になっている。そして、軸部153の中空の空間に、駆動モータ100の駆動軸101が圧入されていることで、第2回転体たるオス側ジョイント150と、原動回転軸たる駆動軸101とが軸線方向に接続されている。かかる構成では、軸部153の軸線方向に延在する中空に駆動軸101を圧入することで、球体保持部151に設けた大きめの凹部に駆動軸101を挿入してピン固定する場合に比べて、駆動軸101と球体保持部151との相対的なガタツキを少なくして、両者の偏心を抑える。そして、これにより、両者の偏心に起因する感光体速度変動による画像の色ズレや重ね合わせずれを抑えることができる。
【0052】
メス側ジョイント120の外輪122の最外層である金属層122bに一体形成された軸部127も中空構造になっており、その中に感光体軸102の一端部が挿入されることで、感光体軸102とメス側ジョイント120とが接続されている。感光体軸102の端部付近には、その軸線方向と直交する方向に貫通する貫通穴が設けられている。また、メス側ジョイント120の軸部127における周壁の一部にも、軸線方向と直交する方向に貫通する貫通穴が設けられている。更には、この貫通穴と中空を介して対向する部分にネジ穴が設けられている。軸部127の中空内に感光体軸102が挿入され、軸部127の貫通穴と感光体軸102の貫通穴とを一直線上に位置させた状態で、ネジ154が軸部127の貫通穴と、感光体軸102の貫通穴とに挿入された後、軸部127のネジ穴に螺合せしめられる。これにより、メス側ジョイント120が感光体軸102に固定される。軸部127の中空の軸線方向における長さは、軸部127の端面を後側板70に固定された軸受73に突き当てる長さに設定されている。このため、ネジ154によって軸部127を感光体軸102に固定すると、感光体軸102に予め固定された固定リング103と、同じく感光体軸102に固定されたメス側ジョイント120の端面との間に軸受73が挟み込まれる。これにより、感光体軸102の軸受73からの抜けが阻止されている。このように、本プリンタでは、感光体軸102の軸受73からの抜けを感光体軸102に接続したメス側ジョイント120によって阻止する構成になっている。
【0053】
これまで、駆動モータ100から感光体に駆動力を伝達する駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けた例について説明したが、他の駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けてもよい。例えば、駆動モータから現像部材たる現像スリーブに駆動力を伝達する駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けてもよい。また例えば、駆動モータから表面無端移動体たる紙搬送ベルト12(より詳しくは駆動ローラ13)に駆動力を伝達する駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けてもよい。
【0054】
以上、実施形態に係るプリンタの等速ジョイント110においては、外輪122が、樹脂製の最内層122aと金属製の最外層である金属層122bとからなる2層構造をなすので、3層以上の構造のものに比べて低コスト化を実現することができる。
【0055】
また、カップ部121として、最外層である金属層122bを構成する円筒状金属体の内部に、最内層122a及び内輪123を同じ樹脂材料で一体成形したカップ基体を嵌合せしめたものを用いている。かかる構成では、金属層122bを構成する円筒状金属体の内部に樹脂材料からなる最内層122aを遠心成型するという手間のかかる工程を施すことなく、金属層122bと樹脂材料からなる最内層122aとを形成することができる。
【0056】
また、金属層122bを構成する円筒状金属体として、その中心軸上に延在する軸部127を円筒状金属体と同じ金属材料で一体成形したものを用いている。かかる構成では、円筒状金属体と別体で形成した軸部を円筒状金属体に固定する際の軸心ずれを回避して、軸心ずれによる等速性の悪化を回避することができる。
【0057】
また、球体保持部151が樹脂材料からなるので、金属材料からなるものに比べて軽量化を図ることができる。
【0058】
また、最内層122aを構成する樹脂材料が射出成形可能な材料であるので、上述のカップ基体を容易に射出成形して、金属層122bと樹脂材料からなる最内層122aとを形成することができる。
【0059】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、駆動モータ100から感光体に駆動力を伝達する駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けているので、駆動軸101と感光体軸102とにスキューが生じていても感光体を等速で回転せしめて、感光体の速度変動による画質劣化を回避することができる。なお、駆動モータから現像スリーブへの駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けた場合には、駆動軸とスリーブ軸とのスキューに起因する現像スリーブの回転速度変動(バンディング)による現像不良を回避することができる。また、駆動モータから紙搬送ベルト12(駆動ローラ13)への駆動伝達機構内に等速ジョイント110を設けた場合には、駆動軸と駆動ローラ軸とのスキューに起因するベルト速度変動による画像劣化を回避することができる。
【0060】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、駆動源として、原動回転軸たる駆動軸101を有する駆動モータ100を用いるとともに、潜像担持体として、従動回転軸たる感光体軸102を中心に回転する感光体を用い、駆動軸101と感光体軸102とを等速ジョイント110で連結しているので、駆動軸101と感光体軸102とのスキューによる感光体の速度変動を回避することができる。
【0061】
また、感光体として、その軸線方向に穿たれた中心穴に感光体軸102を貫通係合させるものを用いているので、感光体軸102を装置本体側に固定した状態で、感光体2Yやプロセスユニット1Yを装置本体に対して着脱することができる。また、感光体2Yを感光体軸102との係合によって位置決めするとともに、プロセスユニット1Yのケーシングを位置決めすることで、現像スリーブと感光体との現像ギャップを精度良く決めることができる。
【0062】
また、第2回転体たるオス側ジョイント150に駆動軸101を圧入することで両者を軸線方向に接続しているので、球体保持部151に設けた大きめの凹部に駆動軸101を挿入してピン固定する場合に比べて、オス側ジョイント150と駆動軸101との偏心に起因する感光体速度変動による画像の色ズレや重ね合わせずれを抑えることができる。なお、駆動軸101にオス側ジョイント150に圧入してもよい。また、第1回転体たるメス側ジョイント120と駆動軸101とのうち、何れか一方を他方に対して軸線方向に圧入してもよい。
【0063】
また、実施形態に係るプリンタでは、感光体軸102を装置本体に固定した軸受73けによって回転可能に支持させ、且つ、感光体軸102の軸受73からの抜けを感光体軸102に接続したメス側ジョイント120によって阻止する構成にしているので、抜けを阻止するための専用の部材を設けないことによって低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのY用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】(a)はプリンタ内にセットされたY用のプロセスユニットとその周囲構成とを示す縦断面図、(b)は同プリンタから取り外されている最中のY用のプロセスユニットをその周囲構成とともに示す縦断面図。
【図4】同プリンタの等速ジョイントとその周囲構成とを示す断面図。
【図5】同等速ジョイントのメス側ジョイントのカップ部を示す横断面図。
【図6】同等速ジョイントのオス側ジョイントの球体保持部を示す横断面図。
【図7】同カップ部とこれの環状空間内に挿入された同球体保持部とを示す横断面図。
【図8】同カップ部とこれの環状空間内に挿入された同球体保持部とを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0065】
2Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
10:光書込ユニット(潜像形成手段)
11:転写ユニット(転写手段)
12:紙搬送ベルト(表面無端移動体)
42Y:現像スリーブ(現像部材)
73:軸受
100:駆動モータ(駆動源)
101:駆動軸(原動回転軸)
102:感光体軸(従動回転軸)
110:等速ジョイント
120:メス側ジョイント(第1回転体)
121:カップ部
122:外輪
122a:樹脂製の最内層
122b:金属層(最外層)
123:内輪
124:環状空間
125:外溝(溝)
126:内溝(溝)
127:軸部
150:オス側ジョイント(第2回転体)
151:球体保持部
151a:貫通穴
152:ボール(球体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪とこれの内側の内輪との間隙による環状空間における軸線方向の一端側を開口させつつ他端側を塞ぐカップ形状をなすカップ部と、該軸線方向に延在しながら互いに円方向に並ぶように該外輪の内面及び内輪の外面の少なくとも一方に設けられた複数の溝とを有する第1回転体を備えるとともに、
互いに周方向に沿って並ぶように円筒状の周壁に設けられた複数の貫通穴内にそれぞれ球体を保持する球体保持部を有する第2回転体を備え、
該球体保持部を該環状空間内に挿入し且つ該球体保持部に保持される複数の該球体を該環状空間内で複数の該溝に係合させた状態で、複数の該球体を介して、該第1回転体及び第2回転体の何れか一方の回転駆動力を他方に伝達する等速ジョイントであって、
上記外輪が、上記内周面を構成する樹脂材料からなる最内層と、これよりも外側の金属材料からなる金属層とを有する多層構造をなすことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項2】
請求項1の等速ジョイントであって、
上記外輪が、樹脂製の上記最内層と金属製の最外層とからなる2層構造をなすことを特徴とするものである。
【請求項3】
請求項2の等速ジョイントにおいて、
上記カップ部として、上記最外層を構成する円筒状金属体の内部に、上記最内層及び内輪を同じ樹脂材料で一体成形したカップ基体を嵌合せしめたものを用いたことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項4】
請求項3の等速ジョイントにおいて、
上記円筒状金属体として、その中心軸上に延在する軸部を円筒と同じ金属材料で一体成形したものを用いたことを特徴とする等速ジョイント。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの等速ジョイントであって、
上記球体保持部が樹脂材料からなることを特徴とする等速ジョイント。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの等速ジョイントであって、
上記樹脂材料が射出成形可能な材料であることを特徴とする等速ジョイント。
【請求項7】
無端移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、該表面に潜像を形成する潜像形成手段と、無端移動する表面に担持した現像剤によって該潜像担持体上の潜像を現像する現像部材と、現像によって得られた該潜像担持体上の可視像を表面無端移動体の表面あるいはこれに保持される記録部材に転写する転写手段と、該潜像担持体、現像部材及び表面無端移動体の少なくとも1つに対して駆動源からの駆動力を伝達する駆動伝達機構とを備える画像形成装置において、
上記駆動伝達機構内に上記等速ジョイントを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記駆動源として、原動回転軸を有する駆動モータを用いるとともに、上記潜像担持体として、従動回転軸を中心に回転する感光体を用い、該原動回転軸と該従動回転軸とを上記等速ジョイントで連結したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記感光体として、その軸線方向に穿たれた中心穴に上記従動回転軸を貫通係合させるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は9の画像形成装置において、
上記第1回転体又は第2回転体と、上記駆動モータの上記原動回転軸とのうち、何れか一方を他方に対して軸線方向に圧入することで、両者を軸線方向に接続したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9の画像形成装置において、
上記従動回転軸を装置本体に固定した軸受けによって回転可能に支持させ、且つ、該従動回転軸の該軸受けからの抜けを該従動回転軸に接続した上記第1回転体又は第2回転体によって阻止する構成にしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−224960(P2007−224960A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44578(P2006−44578)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】