説明

筒状フィルムの製造装置

【課題】フィルムを偏平状に折り畳む際に折り重なり部でのフィルム両端面の筒状フィルムでの内外を自由に切り替えることができ、且つ折り幅を高精度に保つことができる製造装置を提供すること。
【解決手段】平板状フィルム10を折り畳む際、フィルム両端面が重なり合う前に重なり部切替ローラ4によってフィルム両端面をそれぞれ支持し、その支持を外す順序によって筒状フィルム11における重なり部1dの端面の上下関係を容易に切り替えることができる。また、重なり部切替ローラ4によってフィルム端面を反り返らせることで、フィルムに擦り傷を発生させたり、フィルム反の継ぎ目を引っ掛かけてフィルムを破断させたりすることを防止できる。
さらに、筒状フィルムの表裏を挟み込むようにして折り目の位置ずれを防止する折り幅維持ローラ6によって、折り幅Aを高精度に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筒状フィルムの製造装置に関し、フィルムを偏平状に折り畳む際に折り重なり部でのフィルム両端面の筒状フィルムでの内外が、折り畳むフィルム幅の長短に影響されずに自由に切替が可能であり、且つ折り幅を高精度に保つことができる製造装置である。
【背景技術】
【0002】
従来の筒状フィルム製造装置においては、フィルムを偏平状に折り畳む際、まず折り畳むフィルム幅が短い方のフィルム端面が先に折られ、次に折り畳むフィルム幅が長い方のフィルム端面が折られるため、必ず前者フィルム端面が後者フィルム端面の筒状フィルム内側にくる必要がある。(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−082388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、印刷絵柄や筒状フィルムを用いて包装する装置側の都合上、等の理由で、筒状フィルム内部でのフィルム端面の位置を逆にする事が多い。この場合、固形物を差し込んで無理に入れ替えようとすると、フィルムに傷をつけてしまったり、フィルム反の継ぎ目が引っ掛かってしまいフィルムが破断してしまう恐れがある。しかし、これらについての対策は研究されていない。また、折り重ねる時に折り幅が折り幅調整ローラで決められた値から変動し、折り幅を精度良く保つことができないという問題点もある。
【0005】
本発明は折り畳むフィルム幅の違いに左右されずにフィルム両端面の折り畳みの順序を自由に切り替えることができ、且つ折り幅調整ローラで決められた折り幅を高精度に保つことができる筒状フィルムの製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の筒状フィルム製造装置においては、ローラ端をフィルムに押し当てることでフィルムの折り目を作り、筒状フィルムの折り幅を決定する折り幅調整ローラと、フィルムの流れ方向に対して前記折り幅調整ローラの下流に位置し、フィルムの両端が重なり合う方向へフィルムを折り畳む折り畳みガイドローラと、筒状フィルムの表裏を挟み込むように位置して折り目がずれないように抑制する折り幅維持ローラと、フィルム両端面の筒状フィルムでの内外の切替を可能にする重なり部切替ローラとを有している。
【0007】
前記重なり部切替ローラを複数備え、フィルム端面を反り返らせて支持し、筒状フィルム内部へ折り畳むフィルム端面を前記重なり部切替ローラから外して折り畳み、その後もう一方のフィルム端面を前記重なり部切替ローラから外して折り畳むことで、折り畳むフィルム幅の長短に左右されずにフィルム両端面の折り畳みの順序を自由に切り替えることを可能とする。
【0008】
前記折り幅調整ローラは複数に分割し、筒状フィルム幅方向に可動させることで折り幅の微調整を可能とする。
【0009】
さらに前記折り幅調整ローラの下流で筒状フィルム両端に位置し、前記折り畳みガイドローラでのフィルム端面の裏返りを防止するようにフィルムを支持する折り畳み維持ガイドを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1記載の筒状フィルム製造装置によれば、フィルムの両端が重ね合わさるように折り畳み、重なり部を貼り合わせて筒状フィルムを製造する装置で、ローラ端をフィルムに押し当てることでフィルムの折り目を作り、筒状フィルムの折り幅を決定する折り幅調整ローラと、フィルムの流れ方向に対して前記折り幅調整ローラの下流に位置し、フィルムの両端が重なり合う方向へフィルムを折り畳む折り畳みガイドローラと、筒状フィルムの表裏を挟み込むようにして折り目の位置ずれを防止する折り幅維持ローラと、フィルム両端面の筒状フィルムでの内外の切替を可能にする重なり部切替ローラとを備えるようにしたので、フィルム両端面の筒状フィルムでの内外を容易に切り替えることができる。
【0011】
また、この発明の請求項2記載の筒状フィルム製造装置によれば、フィルム端面を反り返らせるように重なり部切替ローラを配置したため、フィルムに擦り傷を発生させたり、フィルム反の継ぎ目を引っ掛かけてフィルムを破断させたりすることを防止できる。
【0012】
さらに、この発明の請求項3記載の筒状フィルム製造装置によれば、折り幅調整ローラを複数に分割し、フィルム幅方向に可変させる機構を設けたため、折り幅の微調整が容易であり、装置稼動中でも幅調整が可能である。
【0013】
また、この発明の請求項4記載の筒状フィルム製造装置によれば、折り幅調整ローラの下流で筒状フィルム両端に位置し、折り畳みガイドローラでのフィルム端面の裏返りを防止するようにフィルムを支持する折り畳み維持ガイドを設けたため、フィルム反の継ぎ目やフィルム自身のコシの強さの影響されず、確実に折り畳みを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の筒状フィルム製造装置の概略平面図である。
【図2】本発明の筒状フィルム製造装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の詳細を説明する。図1は本発明の筒状フィルム製造装置概略平面図であり、図2は概略側面図である。
【0016】
この筒状フィルム製造装置は平板状の長尺フィルムを連続して筒状に折り畳む装置であり、主にペットボトルなどの容器の包装に用いられる熱収縮性ラベルを対象とする。
【0017】
この筒状フィルム製造装置は上流側に平板状の長尺フィルムを搬送するためのガイドローラ及び巻き出し装置を備えており、下流側には筒状に折り畳まれたフィルムをロール状に巻き取る巻き取り装置と巻き出し装置から巻き取り装置へフィルムを引っ張るようにして搬送するニップローラとを備えている。
【0018】
このようにして搬送される平板状フィルム10を折り畳みガイドローラ5によってフィルム両端面が重なり合う方向へ折り畳み、折り幅調整ローラ2をフィルム内面に押し当てることで折り幅調整ローラ2のローラ端に折り目1cが発生し、折り幅Aが決定する。なお、折り幅調整ローラ2へのフィルムの挿入角度は水平面に対して30〜70度であることが好ましい。
【0019】
また、折り幅調整ローラ2は筒状フィルム11の両端の折り目1cに対して個別で配置し、それぞれをフィルム幅方向に可動させることで、折り幅Aを調整する。
【0020】
そして、折り幅調整ローラ2の下流に重なり部切替ローラ4を設け、フィルム端面1a及びフィルム端面1bが重なり部1dで重なり合う前に重なり部切替ローラ4によって両端面をそれぞれ支持し、例えばフィルム端面1bの支持を外して筒状フィルム11の内部へ折り畳んだ後、フィルム端面1aの支持を外してフィルム端面1bの上へ折り畳むことで重なり部1dとなり、筒状フィルム11が形成される。逆に、フィルム端面1aの支持をフィルム端面1bより先に外すとフィルム端面1aが筒状フィルム11の内部へ折り畳まれる。なお、重なり部切替ローラ4はフィルム端面を挟み込むように支持させても良い。
【0021】
また、折り幅調整ローラ2の下流には折り幅維持ローラ6が設けてあり、図2に示してあるように上下1対で構成され、筒状フィルム11の両端折り目1cの表裏を挟み込むように位置し、折り目1cがずれることを防ぐことで折り幅Aを維持している。なお、折り幅維持ローラ6の対となるローラの一方は折り畳みガイドローラ5と併用してもよい。
【0022】
また、折り幅維持ローラ6によって、折り幅Aは40mm〜200mmに設定された目標値に対して±0.2mmの精度を維持している。
【0023】
また、折り幅調整ローラ2の下流には折り畳み維持ガイド3が設けてあり、フィルム端面1a及びフィルム端面1bが一定以上外側へ行かないように抑制している。これら折り畳み維持ガイド3は通常稼動時にフィルムに触れている必要はないが、フィルムにキズをつけることがないようにガイドを回転体にすることで常時触れるように配置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の筒状フィルム製造装置はボトル、ケース等の容器や食品、小道具等の生活用品を包装するためのフィルムを製造する装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1a フィルム端面
1b フィルム端面
1c 折り目
1d 重なり部
2 折り幅調整ローラ
3 折り畳み維持ガイド
4 重なり部切替ローラ
5 折り畳みガイドローラ
6 折り幅維持ローラ
10 平板状フィルム
11 筒状フィルム
A 折り幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの両端が重ね合わさるように折り畳み、重なり部を貼り合わせて筒状フィルムを製造する装置において、
ローラ端をフィルムに押し当てることでフィルムの折り目を作り、筒状フィルムの折り幅を決定する折り幅調整ローラと、
フィルムの流れ方向に対して前記折り幅調整ローラの下流に位置し、フィルムの両端が重なり合う方向へフィルムを折り畳む折り畳みガイドローラと、
筒状フィルムの表裏を挟み込むようにして折り目の位置ずれを防止する折り幅維持ローラと、
フィルム両端面の筒状フィルムでの内外の切替を可能にする重なり部切替ローラとを有していることを特徴とする筒状フィルム製造装置。
【請求項2】
前記重なり部切替ローラを複数備え、フィルム端面を反り返らせて支持し、筒状フィルム内部へ折り畳むフィルム端面を前記重なり部切替ローラから外して折り畳み、その後もう一方のフィルム端面を前記重なり部切替ローラから外して折り畳むことを特徴とする請求項1記載の筒状フィルム製造装置。
【請求項3】
前記折り幅調整ローラを複数に分割し、フィルム幅方向に可変させることで折り幅を微調整できることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の筒状フィルム製造装置。
【請求項4】
前記折り幅調整ローラの下流で筒状フィルム両端に位置し、前記折り畳みガイドローラでのフィルム端面の裏返りを防止するようにフィルムを支持する折り畳み維持ガイドを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の筒状フィルム製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−264653(P2010−264653A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117646(P2009−117646)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】