説明

箱詰め装置の物品投下構造

【課題】箱詰めされる物品を投下装置の物品載置部材上に複数並ぶように移送する移送装置の構成を簡素化する物品投下装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2の羽根車21、22のいずれか一対の羽根の上に物品A1,A2が移動方向に並ぶようにベルトコンベア1の搬送速度を、物品が並ぶ順番に応じた速度に順次低下させるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱詰め装置の物品投下構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の物品を並べた状態で箱詰めする箱詰め装置として、パドル機構を用いた梱包装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この梱包装置は、貯溜コンベアと、貯溜コンベアの搬送方向に直交する方向に延びるように配置された配列コンベアと、配列コンベアの上方に配置されフライトを有するオーバーヘッドコンベアと、互いに対向するように配置された一対のパドル機構と、一対のパドル機構の下方の所定位置に箱を位置させる箱コンベアとを備えている。そして、箱詰めを行うときは、箱コンベアによって箱を所定位置に位置させる。そして、配列コンベアを動作させながら箱詰めされる袋を1個ずつ貯溜コンベアによって配列コンベアに移送することによって、複数の袋を配列コンベアの上に複数列配列する。この配列された袋をオーバーヘッドコンベアのフライトによって一度にパドルの上に移送し、パドルを回転させることによって、パドルの上に並べられた袋を箱内に投下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭和62―220405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、箱詰めすべき袋を単純にコンベアによってパドルに向けて搬送しても、コンベアの末端近傍に搬送された袋が滞留してしまい、これらの搬送された複数の袋をパドルの軸方向に並べることはできない。そこで、上述の従来例では、オーバーヘッドコンベアを用いて、パドル上にその軸方向に並べて複数の袋を移送している。このオーバーヘッドコンベアの動作は明らかではないが、上記従来は、このようなオーバーヘッドコンベアをパドル上への袋の移送手段として採用しているので、当該移送手段の構成が複雑である。
【0006】
このように、上記従来の箱詰め装置には、箱詰めされる袋をパドル上に複数並ぶように移送する移送装置の構成が複雑であるという課題があった。この課題は、パドル機構を採用する袋投下装置のみならず、一般の物品を投下する物品投下装置にも共通する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る箱詰め装置の物品投下構造は、搬送路上を物品を搬送する搬送器と前記搬送器の前記物品の搬送速度を制御する速度制御器とを備えた移送装置と、前記移送装置の前記搬送路の末端から送出された前記物品がその上に滑って移動可能なように設けられた物品載置部材を有し、該物品載置部材を動かして前記物品載置部材上の物品を下方に落下させるよう構成された投下装置と、を備え、前記速度制御器は、前記物品載置部材上に物品が前記移動方向に並ぶように前記搬送速度を、前記物品が並ぶ順番に応じた速度に順次低下させるよう構成されている。
【0008】
この構成によれば、速度制御器が、投下装置の物品載置部材上に物品が移動方向に並ぶように搬送器の搬送速度を、物品が並ぶ順番に応じた速度に順次低下させるので、搬送器で搬送された物品を物品載置部材上に並べるようにして移送することができる。そして、移送装置は、搬送路上を物品を搬送する搬送器と搬送器の物品の搬送速度を制御する速度制御器とを備えていれば足りるので、当該移送装置の構成を簡素化することができる。
【0009】
前記投下装置は、前記載置部材上を滑る前記物品を停止させる停止機構を有していてもよい。
【0010】
この構成によれば、停止機構によって、移送装置から載置部材上に移送された物品の停止位置を規定することができるので、物品の搬送速度をラフに制御しても投下装置の物品載置部材上に物品を移動方向に並べることができる。そのために、搬送速度の制御が容易になる。
【0011】
上記発明に係る物品投下構造において、前記搬送器は、ベルトコンベア又はローラーコンベアとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、汎用されている機器で移送装置を構成することができる。
【0013】
上記構成に係る物品投下構造において、前記投下装置は、回転軸と前記回転軸の中心に回転対称に中心部から周辺部に延びるように配置された3以上の所定数の平板状の羽根とをそれぞれ有し、互いに対向するように配置された一対の羽根車を備え、前記一対の羽根車を、互いに対向する側においてそれぞれの羽根が下方に移動するそれぞれの回転方向(以下、所定個別回転方向という)に、360度を前記所定数で除した角度毎に、前記一対の羽根車のそれぞれの何れか1の羽根(以下、当該一対の羽根という)が前記当該一対の羽根が実質的に水平に並ぶ基準角度位置に停止するように同期して回転させるよう構成されており、前記物品載置部材として前記基準角度位置に停止している前記当該一対の羽根上に前記移送装置によって複数の物品が順次並ぶように移送され、その後、前記投下装置が前記当該一対の羽根を前記所定個別回転方向に回転させることにより、前記並べられた複数の物品が前記当該一対の羽根から下方に落下するよう構成してもよい。
【0014】
この構成によれば、物品載置部材(当該一対の羽根)上に並べられた物品を、その姿勢が乱れないようにして投下することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上に説明したように構成され、箱詰めされる物品を投下装置の物品載置部材上に複数並ぶように移送する移送装置の構成を簡素化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の箱詰め装置が備える羽根車の構成を示す斜視図である。
【図3】図1の箱詰め装置が備えるベルトコンベアの制御系統の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図1の箱詰め装置が備えるベルトコンベアの駆動制御を示すフローチャートである。
【図5】図1の箱詰め装置が備えるベルトコンベアの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0018】
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る物品投下構造を備える箱詰め装置100の構成を示す斜視図である。箱詰め装置100は、例えば、ピロー袋等の包装材で包装された物品を箱詰めする装置である。また、本実施の形態に係る箱詰め装置100は、例えば、12個の物品を、段毎に水平方向に並べた2個の物品を6段に積み重ねて箱詰めする。
【0019】
図1において、箱詰め装置100は、ベルトコンベア(搬送器)1と、箱詰め装置本体2と、箱供給装置3とを備えている。また、箱詰め装置100は、制御装置(速度制御器)4を適所に備えている。
【0020】
[ベルトコンベアの構成]
ベルトコンベア1は、水平方向に物品を搬送するように配設されている。即ち、ベルトコンベア1が搬送路を構成する。本実施形態では、一般的な「ベルトコンベア」がベルトコンベア1として用いられている。つまり、ベルトコンベア1は、物品移送装置駆動モータ15によって駆動される主動ローラ16と、主動ローラ16に対して平行に配置された従動ローラ17と、主動ローラ16と従動ローラ17との間に掛け渡された環状の搬送ベルト18とを備えている。物品移送装置駆動モータ15は、例えば、サーボモータであり、回転角度を検知するエンコーダを備える。そして、ベルトコンベア1は図示しない支持台によって所定の高さで水平に支持されている。なお、以下では、物品がベルトコンベア1によって搬送されてくる側を上流側と呼び、搬送されていく側を下流側と呼ぶ。
【0021】
そして、ベルトコンベア1の下流側端部の側方に物品通過センサ12が設けられ、ベルトコンベア1の下流側端部を通過する物品を検知する。物品通過センサ12は、例えば、光センサから構成される。
【0022】
[箱詰め装置本体の構成]
箱詰め装置本体2は、図1に示すように、投下装置20と、一時保持装置40と、支持フレーム60とを備えている。箱詰め装置本体2は、ベルトコンベア1の下流側に配置され、後述するように、ベルトコンベア1から投下装置20に速度V1又はV2で移送される物品が第1及び第2の羽根車21、22の羽根の上に載置されるよう配置される。
【0023】
支持フレーム60は、脚部61と、投下装置支持部62と、一時保持装置支持部63とを備えている。
【0024】
脚部61は、平面視において物品の搬送方向に対して直交する方向の一方側に配置された第1脚部61aと、他方側に配置された第2脚部61bとを備えている。第1脚部61aは、上流側において上下方向に延在する棒材61aaと、下流側において上下方向に延在する棒材61abと、棒材61aaと棒材61abとに架け渡されている棒材61acとを有する。第2脚部61bは、上流側において上下方向に延在する棒材61baと、下流側において上下方向に延在する棒材61bbと、棒材61baと棒材61bbとに架け渡されている棒材61bcとを有する。投下装置支持部62は、上流側支持板62aと、下流側支持板62bとを有する。上流側支持板62a及び下流側支持板62bは、それぞれ板体である。上流側支持板62aは、棒材61aaと棒材61baとに架け渡されている。下流側支持板62bは、棒材61abと棒材61bbとに架け渡されている。一時保持装置支持部63は、上流側支持板63aと、下流側支持板63bとを有する。上流側支持板63a及び下流側支持板63bは、それぞれ板体である。上流側支持板63aは、上流側支持板62aの下方に位置し、棒材61aaと棒材61baとに架け渡されている。下流側支持板63bは、下流側支持板62bの下方に位置し、棒材61abと棒材61bbとに架け渡されている。
【0025】
[投下装置の構成]
図2は、第1及び第2の羽根車21、22の構成を示す斜視図である。
投下装置20は、図1及び図2に示すように、第1及び第2の羽根車21、22(一対の羽根車)と図示しない投下装置駆動モータとを備えている。
【0026】
第1羽根車21は、図2に示すように、回転軸23と、羽根24、25、26(物品載置部材)と、3つのアングル材36と、エンドプレート27(停止機構)とを有している。
【0027】
回転軸23は、六角柱形状に形成され、物品の搬送方向と平行に延びて配置されている。回転軸23は、平面視において搬送方向と直交する方向に例えば長手方向を向けた物品を回転軸23の長手方向に2つ並べた寸法よりも十分に長く形成されている。回転軸23の上流側端部及び下流側端部は、それぞれ上流側支持板62a及び下流側支持板62bに回転自在に支持されている。回転軸23の6つの側面のうち互いに隣り合わない3つの側面には、それぞれ後述するアングル材36を取り付けるための複数のねじ孔(図示せず)が所定の間隔を隔てて形成されている。
【0028】
アングル材36は、板材をアングル材36の長手方向に延在する中心線に沿って90度折り曲げた形状に形成され、折り曲げ部を介して、一方に回転軸取付部36aが形成され、他方に羽根取付部36bが形成されている。したがって、回転軸取付部36aと羽根取付部36bとは、直交している。アングル材36は、回転軸23と略同一の長さに形成されている。回転軸取付部36a及び羽根取付部36bは、それぞれ長手方向に所定の間隔を隔てて複数のねじ挿通孔(図示せず)を有している。アングル材36は、回転軸取付部36aのねじ挿通孔に挿通されると共に、回転軸23の側面に形成されたねじ孔に螺合したねじ37によって、回転軸23に取り付けられている。
【0029】
羽根24、25、26は、それぞれ略長方形に形成された板材であり、互いに略同一形状に形成されている。羽根24、25、26の長手方向の長さは、アングル材36の長さと略同一に形成され、羽根24、25、26の幅方向の長さは、第1羽根車21の回転軸23と後述する第2羽根車22の回転軸23との間の距離の1/2よりも短く形成されている。羽根24、25、26の一方の面は、物品が載置される面であり、物品を滑らすことができるよう、平滑に形成されている。そして、羽根24、25、26は、その長手方向の一方の端部に沿って、所定の間隔を隔てて、それぞれ複数のねじ挿通孔(図示せず)が形成されている。羽根24、25、26は、それぞれ、羽根24、25、26のねじ挿通孔に挿通されると共に羽根取付部36bのねじ孔に螺合したねじ38によって、羽根取付部36bに取り付けられている。したがって、羽根24、25、26は、回転軸23の中心部から周辺部に延びるように配置され、回転軸23に対して周方向に120度間隔で配置されている。また、羽根24、25、26の先端は、自由端を構成している。
【0030】
エンドプレート27は、円板状に形成され、回転軸23の下流側端部に、回転軸23と同軸に固定されている。エンドプレート27の半径は、回転軸23の中心軸から羽根24、25、26の先端までの長さと略同一に形成されている。なお、本実施の形態においては、エンドプレート27の形状を円板状としたが、これに限られるものではなく三角形状や六角形状の板体としてもよい。
【0031】
したがって、第1羽根車21は、120度回転させる毎に元の位置に位置する第1羽根車21と重なる回転対称に形成されている。
【0032】
第2羽根車22は、第1羽根車21と鏡像対称形に形成されている。それ故、詳しい説明を省略する。
【0033】
第1羽根車21と第2羽根車22とは、互いに対向するよう配置されている。第1及び第2の羽根車21、22のそれぞれの羽根24、25、26は、それぞれ互いに対向する側に位置したときに平滑に形成された面が上側に位置するよう第1及び第2の羽根車21、22に取り付けられている。このように第1及び第2の羽根車21、22は、一対の羽根車を構成している。そして、第1羽根車21の回転軸23と、第2羽根車22の回転軸23との間隔は、物品の例えば長手方向の長さより十分に長く形成されている。また、上述の通り、羽根24、25、26のそれぞれの幅方向の長さは、第1羽根車21の回転軸23と第2羽根車22の回転軸23との間の距離の1/2よりも短く形成されているので、後述する基準角度位置に位置するそれぞれの羽根の間に、間隙が形成され、第1羽根車21及び第2羽根車22が回転したときに第1羽根車21の羽根と第2羽根車22の羽根とが重なり合わないようになっている。この間隙は、物品の長手方向の寸法に対して十分に小さい寸法に設定される。
【0034】
そして、ベルトコンベア1の下流側端(末端)と第1及び第2の羽根車21、22の上流側端とは、平面視において互いに隣り合うように配置されている。また、第1及び第2の羽根車21、22の回転軸23、23は、それぞれベルトコンベア1の搬送面と略同一の高さ又は下方に配置される。これによって、ベルトコンベア1によって搬送されてきた物品は、ベルトコンベア1から第1及び第2の羽根車21、22に対して移送される。それ故、ベルトコンベア1は、本発明の「移送装置」を構成している。
【0035】
第1羽根車21の回転軸23は、投下装置駆動モータの出力軸と直結されている。そして、投下装置駆動モータ28の出力軸が回転すると、第1羽根車21の回転軸23と第2羽根車22の回転軸23とが逆向きに同期して回転するように、第1羽根車21の回転軸23と第2羽根車22の回転軸23とは、歯車、プーリー及びタイミングベルトを介して連結されている。
【0036】
なお、本実施の形態では、第1羽根車21及び第2羽根車22の回転軸23は、側面視において物品の搬送方向と平行に延びて配置されているが、これに限られるものでなく、平面視において物品の搬送方向と平行に延びて配置されていればよい。
【0037】
また、本実施例では、回転軸を六角柱状に形成し、第1羽根車21及び第2羽根車22の羽根の枚数を3枚としたが、これに限られるものでなく、例えば、回転軸を四角柱状に形成し、第1羽根車21及び第2羽根車22の羽根の枚数を4枚とし、4枚の羽根を回転軸の4つの側面にそれぞれ取り付けてもよい。係る場合、第1羽根車21及び第2羽根車22は、それぞれ90度回転させる毎に元に位置する第1羽根車21及び第2羽根車22と重なる回転対称に形成される。
【0038】
[一時保持装置の構成]
一時保持装置40は、図1に示すように、一対の第3及び第4の羽根車41、42と一時保持装置駆動モータ48とを備えている。第3及び第4の羽根車41、42並びに一時保持装置駆動モータ48は、それぞれ投下装置20の第1及び第2の羽根車21、22並びに投下装置駆動モータ28と同等の構成である。それ故、詳しい説明を省略する。
【0039】
そして、第3羽根車41及び第4羽根車42のそれぞれの回転軸23の上流側端部は、上流側支持板63aに回転可能に支持されている。そして、第3羽根車41及び第4羽根車42のそれぞれの回転軸23の下流側端部は、下流側支持板63bに回転可能に支持されている。
【0040】
一時保持装置の下方には、箱詰め位置Pが設定されている。
【0041】
[箱供給装置の構成]
箱供給装置3は、ローラーコンベア65を備えている。このローラーコンベア65の構成は周知であるので、詳しい説明は省略する。ローラーコンベア65は、箱詰め位置Pを通るよう、ベルトコンベア1と平行に延びて設けられる。
【0042】
そして、箱詰め位置Pの下流側端の側方に箱詰め位置検知センサ66が設けられ、ローラーコンベア65によって搬送される箱の下流側の端部が箱詰め位置Pの下流側端に位置したことを検知する。箱詰め位置検知センサ66は、例えば、光センサから構成される。
【0043】
[制御系統の構成]
図3は、箱詰め装置100の制御系統の構成を概略的に示すブロック図である。以下、図3を参照しながら、箱詰め装置100の制御系統について説明する。
【0044】
箱詰め装置100が備える制御装置4は、例えば、CPUからなる制御部71と、ROM及びRAM等からなる記憶部72とを備えている。制御部71は、ベルトコンベア1の動作を制御する物品移送装置制御部74(速度制御器)と、投下装置20の動作を制御する投下装置制御部75と、一時保持装置40の動作を制御する一時保持装置制御部76と、箱供給装置3の動作を制御する箱供給装置制御部77とを備えている。物品移送装置制御部74は、物品移送装置駆動モータ15ひいてはベルトコンベア1の駆動を制御する。即ち、ベルトコンベア1と物品移送装置制御部74とは移送装置を構成している。そして、投下装置制御部75は、ドライバを介して投下装置駆動モータ28ひいては第1及び第2の羽根車21、22の駆動を制御し、一時保持装置制御部76は、ドライバを介して一時保持装置駆動モータ48ひいては第3及び第4の羽根車41、42を制御し、箱供給装置制御部77は、ドライバを介して箱供給装置駆動モータ68ひいてはローラーコンベア65を制御する。記憶部72には所定の制御プログラムが記憶されていて、制御部71がこれらの制御プログラムを読み出して実行することにより、箱詰め装置100の動作が制御される。物品移送装置制御部74、投下装置制御部75、一時保持装置制御部76、及び箱供給装置制御部77は、このように制御プログラムが実行されることにより実現される機能である。物品通過センサ12より出力された物品通過信号は、物品移送装置制御部74及び投下装置制御部75に入力される。また、箱詰め位置検知センサ66より出力された箱通過信号は、一時保持装置制御部76及び箱供給装置制御部77に入力される。
【0045】
記憶部72は、上述の所定の制御プログラム、及び図示しない入力装置から制御装置4に入力されたベルトコンベア1の速度情報(後述するr1、及びr2)、及び待機時間(後述するT1)を記憶している。
【0046】
なお、図中の矢印は信号の伝達方向を示す。
【0047】
[動作例]
次に、箱詰め装置100の動作例を説明する。
【0048】
図4は、ベルトコンベア1の制御を示すフローチャートであって、ベルトコンベア1の動作例を示したものである。
【0049】
図5は、ベルトコンベア1の動作を示すタイムチャートである。
【0050】
まず、運転を開始する前に、図示しない入力装置から制御装置4の制御部71に、運転パラメータとして、後述するベルトコンベア1の速度情報(後述するr1、及びr2)、及び待機時間(後述するT1)が入力される。制御部71は、これらの運転パラメータを記憶部72に記憶する。これにより、これらの運転パラメータが制御装置4に設定される。
【0051】
そして、投下装置制御部75は、初期状態において、図1に示すように、第1及び第2の羽根車21、22のそれぞれの何れか1の羽根が実質的に水平に並ぶ基準角度位置に、第1及び第2の羽根車21、22の何れか1の羽根をそれぞれ停止させる。
【0052】
「基準角度位置」は、平面視における回転軸23に垂直な方向において、第1及び第2の羽根車21、22のそれぞれの何れか1の羽根が実質的に水平に並ぶ角度位置である。具体的には、基準角度位置とは、平面視における回転軸23に垂直な方向において、第1及び第2の羽根車21、22のそれぞれの何れか1の羽根が水平に並ぶ角度位置に対して、上方又は下方に0度〜25度回転させた回転角度位置である。
【0053】
また、一時保持装置制御部76は、初期状態において、第3及び第4の羽根車41、42のそれぞれの何れか1の羽根が実質的に水平に並ぶ基準角度位置に、第3及び第4の羽根車41、42の何れか1の羽根をそれぞれ停止させる。
【0054】
更に、箱供給装置制御部77は、ローラーコンベア65を起動し、上方に開口した物品が収納されていない箱B1を搬送し、箱詰め位置検知センサ66が箱を検知したとき、ローラーコンベア65を停止させ、箱B1を箱詰め位置Pに位置させる。
【0055】
以下、本動作例においては、初期状態において、第1及び第2の羽根車21、22のある一対の羽根(当該一対の羽根)24、24を基準角度位置に位置させ、第3及び第4の羽根車41、42のある一対の羽根24、24を基準角度位置に位置させたものとして述べる。
【0056】
次に、ベルトコンベア1が起動されて、物品移送装置制御部74は、搬送ベルト18を速度V1まで加速させる(S100)。そして、ベルトコンベア1の上流側端に隣り合って配置された図示しないベルトコンベアからベルトコンベア1上に所定の時間間隔で物品が移送される。そして、ベルトコンベア1は、その下流側端部(末端)から物品A1を投下装置20に移送(送出)する。この物品A1は、ベルトコンベア1の下流側端部を通過したとき、物品通過センサ12によって検知され(S101)(図1参照)、羽根24、24上に初速が速度V1の速度で移送される。そして、物品A1は、第1羽根車21及び第2羽根車22の平滑な羽根24、24上を摩擦によって速度を減じながら滑って移動し、エンドプレート27に衝突して停止する。したがって、物品A1の停止位置は、エンドプレート27によって規定される。また、速度V1は、物品A1が、第1羽根車21及び第2羽根車22の平滑な羽根24、24上を滑って移動し、エンドプレート27に衝突して停止するような速度に設定される。具体的には、速度V1は、例えば、ベルトコンベア1から第1羽根車21及び第2羽根車22の羽根24、24に移送された物品A1が、エンドプレート27に衝突して跳ね返され、物品Aの姿勢が大きく乱れることないように設定される。
【0057】
次に、物品移送装置制御部74は、物品通過センサ12が物品A1を検知してからT1時間待機する(S102)。T1は、物品通過センサ12が物品Aを検知してから、物品A2の上流側端がベルトコンベア1の下流側端を通過するまでの時間に基づいて設定される時間である。この時間は、計算、実験、シミュレーション等に基づいて決定される。
【0058】
次に、物品移送装置制御部74は、搬送ベルト18を速度V2に減速する(S103)。そして、物品A1の次にベルトコンベア1によって搬送された物品A2は、ベルトコンベア1の下流側端部を通過したとき、物品通過センサ12によって検知され(S104)(図7参照)、初速が速度V2の速度で羽根24、24上に移送される。そして、第1羽根車21及び第2羽根車22の羽根24、24に移送された物品A2は、第1羽根車21及び第2羽根車22の平滑な羽根24、24上を摩擦によって速度を減じながら滑って移動し、物品A1の上流側の隣接する位置で停止する。
【0059】
速度V2は、速度V1よりも小さく設定される。速度V2は、例えば、速度V2の初速でベルトコンベア1から投下装置20に移送されて、その後、摩擦によって速度を減じながら滑って移動する物品A2が、物品A1に隣り合う位置に達した時点において速度が0又は0に近い値をとるように設定される。即ち、物品A2が物品A1に緩やかに衝突する、又は物品A2が物品A1に衝突せずに物品A1の直前の位置で停止するように、速度V2が設定される。これら速度V1、V2は、計算、実験、シミュレーション等に基づいて決定される。そして、物品A2が物品A1に衝突したときは、上述のとおり、物品A1はエンドプレート27によって停止位置が規定されており、エンドプレート27によって物品A1の位置が保持される。即ち、このとき物品A2も、物品A1を介してエンドプレート27によって停止位置が規定される。
【0060】
これによって、羽根24、24上に、物品A1及び物品A2が、物品の移動方向に一列に並べられた状態となる。このように、第1羽根車21及び第2羽根車22の羽根の物品を載置する面は、平滑に形成されているので、ベルトコンベア1から投下装置20に物品を移送することにより、物品を、第1及び第2の羽根車21、22の羽根の物品を載置する面上を滑って移動させ、一列に並べることができる。なお、物品A1、A2は、ベルトコンベア1の搬送路上を平面視において搬送方向と直交する方向にその長手方向を向けて搬送される。
【0061】
次に、物品移送装置制御部74は、物品通過センサ12が物品A2を検知してからT1時間待機する(S105)。そして、物品移送装置制御部74は、再び、搬送ベルト18を速度V1に加速されて動作する(S100)。
【0062】
一方、投下装置制御部75は、物品通過センサ12が検知した物品の数が2つに達したと判定し、第1及び第2の羽根車21、22の一対の羽根が下方に回転する方向(所定個別回転方向)に同一位相で同期して第1及び第2の羽根車21、22を120度回転させる。そして、第1及び第2の羽根車21、22の回転により、第1及び第2の羽根車21、22に支持されていた物品A1、A2は、下方に投下される(落下する)。そして、次の一対の羽根25、25が基準角度位置に位置される。
【0063】
ここで、上記単位角度の120度は、360度を第1及び第2の羽根車21、22の一対の羽根の数、即ち3で除した角度である。これによって、第1及び第2の羽根車21、22が停止した状態では、第1及び第2の羽根車21、22の一対の羽根24、24、一対の羽根25、25、又は一対の羽根26、26の何れか一対の羽根が、それぞれ基準角度位置に位置し、移送装置1からこれら一対の羽根のいずれかの上に物品が移送される。
【0064】
次に、一時保持装置40は、投下装置20から投下された物品A1、A2を第3及び第4の羽根車41、42の一対の羽根24、24によって受け止める。この時、上述した通り、羽根24、24は、基準角度位置に位置している。
【0065】
そして、箱詰め位置検知センサ66の信号に基づき、箱が箱詰め位置Pに位置していると判定すると、一時保持装置制御部76は、第3及び第4の羽根車41、42の一対の羽根が下方に回転する方向に同一位相で同期して第3及び第4の羽根車41、42を120度回転させる。ここで、「同一位相で回転する」とは、第3及び第4の羽根車41、42は、それぞれの回転軸23、23同士の中心面に対して鏡像対称になるように回転することを意味する。なお、投下装置20の第1及び第2の羽根車21、22も同一位相で回転し、それぞれの回転軸23、23同士の中心面に対して鏡像対称になるように回転する。そして、次の一対の羽根25、25が基準角度位置に位置される。
【0066】
そして、第3及び第4の羽根車41、42の回転により、第3及び第4の羽根車41、42に支持されていた物品A1、A2は、下方に投下され、一時保持装置40の下方に位置した箱B1に投入される。
【0067】
一方、以下に述べる箱詰完了箱と空箱との交換等により箱B1が箱詰め位置Pに位置されていない場合には、一時保持装置制御部76は、箱が箱詰め位置Pに位置していないと判定する。この場合、一時保持装置制御部76は、箱が箱詰め位置Pに位置するまで、第3及び第4の羽根車41、42を回転させない。この状態においても、ベルトコンベア1は、上述したとおり、物品A3、A4を投下装置20に移送し、投下装置20は移送された物品A3、A4を一時保持装置40に投下する。従って、更に投下された物品A3、A4は、物品A1、A2の上に積み上げられる。そして、やがて、ローラーコンベア65が箱B1を箱詰め位置Pに位置させると、一時保持装置制御部76は、箱が箱詰め位置Pに位置していると判定し、物品A1〜A4を下方に投下する。これにより物品A1〜A4は、一時保持装置40の下方に位置させた箱B1に投入される。これによって、箱供給装置3が、物品が所定数詰められ箱詰めが完了した箱と空箱とを交換している間、ベルトコンベア1を停止させることなく物品をベルトコンベア1から投下装置20に移送することができ、箱詰め装置100の処理能力を向上させることができる。
【0068】
上記動作が繰り返され、箱B1に、一段毎に並べられた2つの物品が6段積層されて12個の物品が詰められると、箱供給装置制御部77が、ローラーコンベア65を動作させて、新たな箱B2を箱詰め位置Pに位置させる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る箱詰め装置100によれば、物品移送装置制御部74は、投下装置20の第1及び第2の羽根車21、22の羽根24、25、26上に物品A1、A2が移動方向に並ぶようにベルトコンベア1の搬送速度を、物品A1、A2が並ぶ順番に応じた速度V1、V2に順次低下させるので、ベルトコンベア1で搬送された物品A1、A2を第1及び第2の羽根車21、22の羽根24、25、26上に並べるようにして移送することができる。そして、移送装置は、ベルトコンベア1と物品移送装置制御部74とを備えていれば足りるので、当該移送装置の構成を簡素化することができる。
【0069】
また、第1及び第2の羽根車21、22には、エンドプレート27が設けられているので、移送装置から第1及び第2の羽根車21、22の羽根24、25、26上に移送されたそれぞれの物品の停止位置を規定することができるので、物品A1、A2の搬送速度をラフに制御しても第1及び第2の羽根車21、22の羽根24、25、26上に物品A1、A2を移動方向に並べることができる。そのために、搬送速度の制御が容易になる。
【0070】
なお、上記では、「物品移送装置」の「搬送器」としてベルトコンベア1を例示したが、「搬送器」は、これには限られず、例えば、ローラーコンベア等で構成してもよい。
【0071】
また、上記では、図5に示すように、搬送ベルト18をV1又はV2に加速又は減速した後、再びV2に減速又はV1に加速するまでは、搬送ベルト18は、V1又はV2の一定速度で駆動するように構成したものを例示したが、これには限られず、物品がベルトコンベア1から投下装置20に移送される時点において、搬送ベルト18の速度がV1又はV2であればよい。例えば、ベルトコンベア1によって搬送される物品の下流側端部がベルトコンベア1の下流側端部に達する直前までは、搬送ベルト18をV1、V2よりも高速で駆動するよう構成してもよい。
【0072】
また、上記では、ベルトコンベア1の下流側端と第1及び第2の羽根車21、22の上流側端とは、平面視において互いに隣り合うように配置されているものを例示したが、これには限定されず、ベルトコンベア1の下流側端と第1及び第2の羽根車21、22の上流側端との間に、例えば、シュートを介在させてもよい。
【0073】
また、上記では、第1及び第2の羽根車21、22の回転軸23、23をベルトコンベア1の物品の搬送方向と平行に延びて配置したものを例示したが、これには限定されず、第1及び第2の羽根車21、22の回転軸23、23を物品の搬送方向と交差するように延びて配置してもよい。例えば、ベルトコンベア1の下流側端と第1及び第2の羽根車21、22の上流側端との間に、搬送方向を平面視略90度変える略円弧状の搬送路を有するシュートを介在させ、第1及び第2の羽根車21、22の回転軸23、23が延びる方向とベルトコンベア1の物品の搬送方向とが直交するように配置してもよい。
【0074】
また、上記では「投下装置」として羽根車を備えるものを例示したが、「投下装置」は、これには限定されず、物品載置部材を有し、この物品載置部材上に並べられた複数の物品を、当該物品載置部材を動かして下方に落下させるよう構成されたものであればよい。例えば、物品が載置される一対のプレートを有し、この一対のプレート上に並べられた複数の物品を、当該一対のプレートを側方にスライドさせたり下方に揺動させたりして下方に落下させるように構成してもよい。
【0075】
また、一時保持装置40を省略してもよい。
【0076】
また、箱供給装置3を省略し、人手により箱Pを供給及び搬出するようにしてもよい。
【0077】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の箱詰め装置は、物品を箱詰めする装置の投下構造に有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 ベルトコンベア
2 箱詰め装置本体
3 箱供給装置
4 制御装置
12 物品通過センサ
15 物品移送装置駆動モータ
16 主動ローラ
17 従動ローラ
18 搬送ベルト
20 投下装置
21 第1羽根車
22 第2羽根車
23 回転軸
24 羽根
25 羽根
26 羽根
27 エンドプレート
28 投下装置駆動モータ
36 アングル材
36a 回転軸取付部
36b 羽根取付部
37 ねじ
38 ねじ
40 一時保持装置
41 第3羽根車
42 第4羽根車
48 一時保持装置駆動モータ
60 支持フレーム
61 脚部
61a 第1脚部
61aa 棒材
61ab 棒材
61ac 棒材
61b 第2脚部
61ba 棒材
61bb 棒材
61bc 棒材
62 投下装置支持部
62a 上流側支持板
62b 下流側支持板
63 一時保持装置支持部
63a 上流側支持板
63b 下流側支持板
65 ローラーコンベア
66 箱詰め位置検知センサ
68 箱供給装置駆動モータ
71 制御部
72 記憶部
74 物品移送装置制御部
75 投下装置制御部
76 一時保持装置制御部
77 箱供給装置制御部
100 箱詰め装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上を物品を搬送する搬送器と前記搬送器の前記物品の搬送速度を制御する速度制御器とを備えた移送装置と、
前記移送装置の前記搬送路の末端から送出された前記物品がその上に滑って移動可能なように設けられた物品載置部材を有し、該物品載置部材を動かして前記物品載置部材上の物品を下方に落下させるよう構成された投下装置と、を備え、
前記速度制御器は、前記物品載置部材上に物品が前記移動方向に並ぶように前記搬送速度を、前記物品が並ぶ順番に応じた速度に順次低下させるよう構成されている、箱詰め装置の物品投下構造。
【請求項2】
前記投下装置は、前記載置部材上を滑る前記物品を停止させる停止機構を有する、請求項1に記載の物品投下構造。
【請求項3】
前記搬送器は、ベルトコンベア又はローラコンベアである、請求項1に記載の物品投下構造。
【請求項4】
前記投下装置は、回転軸と前記回転軸の中心に回転対称に中心部から周辺部に延びるように配置された3以上の所定数の平板状の羽根とをそれぞれ有し、互いに対向するように配置された一対の羽根車を備え、前記一対の羽根車を、互いに対向する側においてそれぞれの羽根が下方に移動するそれぞれの回転方向(以下、所定個別回転方向という)に、360度を前記所定数で除した角度毎に、前記一対の羽根車のそれぞれの何れか1の羽根(以下、当該一対の羽根という)が前記当該一対の羽根が実質的に水平に並ぶ基準角度位置に停止するように同期して回転させるよう構成されており、
前記物品載置部材として前記基準角度位置に停止している前記当該一対の羽根上に前記移送装置によって複数の物品が順次並ぶように移送され、その後、前記投下装置が前記当該一対の羽根を前記所定個別回転方向に回転させることにより、前記並べられた複数の物品が前記当該一対の羽根から下方に落下するよう構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の箱詰め装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−168321(P2011−168321A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35400(P2010−35400)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】