簡易吸震基礎パッキン
【課題】低層建築物の基礎にあって、地震などの水平力に対し、滑り防止・吸震機能が発揮するよう構成された安全・安心・安価な基礎パッキンを提供する。
【解決手段】板状体に形成される基礎パッキンおいて、二つの素材・形状の組み合わせにて構成される基礎パッキンであって、素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で、ブロック型又はクシ型などで構成され、もう一つの素材は、この硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材で構成することを特徴とする簡易吸震基礎パッキン。
【解決手段】板状体に形成される基礎パッキンおいて、二つの素材・形状の組み合わせにて構成される基礎パッキンであって、素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で、ブロック型又はクシ型などで構成され、もう一つの素材は、この硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材で構成することを特徴とする簡易吸震基礎パッキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土台と直下の基礎天端との間に摩擦力による滑り防止機能を高めた基礎パッキンを用いることにより、地震や風圧、そして都市振動などの水平力に対し、簡易的吸震機能が発揮するよう構成された安全で安価な基礎パッキンを提供する。さらに、基礎パッキン厚さ分の隙間による土台下端の換気及び床下空間の換気促進をも図る。
ここで、吸震機能とは、地震時に、積極的に地盤と建物を完全に切り離す免震的なシステムとするのではなく、大型地震による振動エネルギーを熱エネルギーに変える粘弾性減衰ゴム材に吸収させ、さらに弾性力を有した硬質弾性材のバネによる復元で減衰・吸振させる機能をいう。
【背景技術】
【0002】
従来の基礎パッキンやレベル調整スペーサー材を用いた床下換気構造は、摩擦力による滑り防止機能を有しておらず、地震などの水平力に対し単にアンカーボルトのせん断・曲げ・引抜き耐力にゆだねているのが現状である。
【0003】
従来の基礎パッキンには土台下端に食い込む突起を有するものが見受けられるが、地震時の水平力に対し制震機能がない。
また、基礎パッキンと基礎や土台との間には施工上多少の隙間が生じ、アンカーボルトのナットの締め付け力だけでは、摩擦力による滑り防止とならない。
【先行技術文献】
【0004】
特許文献1では、土台下端に食い込む突起を有するものが開示されている。
【特許文献1】特開平9−250142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
東日本大震災の大津波による爪跡は大きい。しかし、その裏にある地震被害を正しく評価しておかなければならない。
震度7の被災地で外見上、被害がない建物や軽微で済んだ建物が多かったようである。このことは、新耐震基準に適合した建物においては耐力壁の配置と各部材接合の耐震技術が適切で、その施工もしっかりしていたものと言われている。しかし、大きい被害を受けた建物の原因を精査してみると、柱と土台の緊結不足によるダメージが顕著であった。当たり前のことだが、建物の荷重、力は長・短期時に関わらず、柱脚から土台、そして基礎・地盤に伝わっていくことを再認識させられた。
一方、最近の建物では、土台下の換気材として基礎パッキンなるものを土台と基礎天端に挟み込んで施工していて、このディテールは業界全体に容認され恒常化している。このパッキンについては、力学上疑問視している人は少ないようだが、水平力による土台の滑りという事象について検証しなければならない。
【0006】
土台は鉛直荷重を負担し、確実に基礎を通して地盤に伝える。一方の水平荷重(地震・風圧力)についても同様である。軸方向、回転方向、せん断方向の3方向の応力を負担するアンカーボルトは、その1つの土台から負担相当分のせん断力に耐えなければならないというのが一般的な考えである。しかし初期段階では、土台と基礎天端の間の摩擦力で耐えていることを造り手側は、しっかり把握しておくことが必要である。水平力の強弱、揺れの性状によっては、摩擦の限界点を超えてしまう可能性が大きい。パッキン上の土台で、パッキン下の基礎天端で、このパッキン材を介して滑る可能性が大きい。(当然パッキンの形状・素材・納りにもよるが…)この時、アンカーボルトの設置条件(ディテール)が建物全体の安全確保に影響するわけで、より重要と考えている。図1に示すように土台−基礎間に、それぞれ摩擦力が十分働くようなアイテムが望まれる。初期応力は摩擦力で保ち、続いてアンカーボルトのせん断力で耐えるという時系列的なメカニズムを知った上で適切とされる形状、さらに吸震機能を有した新規な基礎パッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するべき、本発明は以下の構成のものを提供する。
【0008】
板状体に形成される基礎パッキンにおいて、二つの素材・形状の組み合わせにて構成される基礎パッキンであって、素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で構成されることを特徴とし、素材のもう一つは、この硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材で構成することを特徴とする基礎パッキン。
【0009】
前記基礎パッキンの硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材は、鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなどとの積層接着構造として構成することも可能とする基礎パッキン。
【0010】
前記基礎パッキンの硬質弾性材は、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で、ブロック型(玩具のブロックのような形状を示す)又はクシ型(製氷用のプラスチックトレイのような形状を示す)などで構成されることを特徴とする基礎パッキン。
【0011】
前記基礎パッキンの上端面又は上下端面に滑り防止の突起を突設したことを特徴とし二つの素材・形状の組み合わせ方法により、硬質弾性材に突起を突設する場合と粘弾性減衰ゴム材に突起を突設する場合があることを特徴とする基礎パッキン。なお、この突起の形状は実施例の円錐形に限定されるものではなく、ドーナツ形や四角や三角形など摩擦抵抗力が図れる形状でも可能とする。
【0012】
前記基礎パッキンにおいて、一定の厚みを保って長尺シート状に構成した二つの素材を接着などにより組み合わせて構成することを特徴とする基礎パッキン。
【0013】
前記基礎パッキンにはアンカーボルト用穴が上下に連通して成る二つの素材に設けられ、基礎パッキンのレベル調整後、アンカーボルト用穴よりゲル状の接着用粘弾性ゴムなどを注入することにより基礎天端との隙間に充填され一体となる構成を有すことを特徴とする基礎パッキン。
【発明の効果】
【0014】
二つの異なる形状・性質の素材を製造工場で組み合わせて構成される簡易吸震基礎パッキンにより、従来の基礎パッキンにない吸震機能を有する建築物を提供することができる。
【0015】
二つの異なる形状・性質の素材の組み合わせて構成される簡易吸震基礎パッキンは、摩擦によって熱エネルギーに変換する摩擦減衰と、粘弾性ゴムの変形速度を抑制する粘性減衰と、伸びてもすぐに元の位置に戻るバネの復元によって簡易的吸震機能を有する。その形状は、実施例に限定されるものでなく、どのような形状でも同様の効果が得られる。
【0016】
簡易的吸震機能を有する本基礎パッキンを用いた上部構造の耐震性の高い建築物は、震度7の地震に対し震度6〜震度5程度に減衰された揺れとなり、建物や居住者の安全性が保たれる。
【0017】
本基礎パッキンの上端面又は上下端面に滑り防止の突起を突設したことと、上下端面のいずれか片面又は両面が粘弾性減衰ゴム材とする構成なので、従来の土台側の突起だけの基礎パッキンにない粘弾性減衰ゴム材及び突起による摩擦力で滑り防止機能を有する。
【0018】
本基礎パッキンにはアンカーボルト用穴が上下に連通して成る二つの素材に設けられ、基礎パッキンのスペーサーによるレベル調整後、アンカーボルト用穴よりゲル状の接着用粘弾性ゴムなどを注入することにより、基礎天端や土台下端との隙間に充填され一体となる構成とすることで、従来のレベル調整スペーサーのみを用いることでの滑りを完全に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、本基礎パッキン設置の地震時のせん断力と滑りのイメージ図である。
【図2】は、本発明の一例を示す主要部の断面図である。
【図3】は、本発明の一例を示す主要部の断面図である。
【図4】は、本発明の一例を示す主要部の断面図である。
【図5】は、本発明の一例を示す基礎天端設置状況を示す斜視図である。
【図6】は、本発明のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図7】は、本発明の他のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図8】は、本発明のクシ型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図9】は、本発明の長尺シート状ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図10】は、本発明のクシ型の他の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図11】は、本発明の楕円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図12】は、本発明の円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図13】は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図14】は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせ方法によるレベル調整機能を示す図である。
【図15】は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせ方法によるレベル調整機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
具体的実施例を以下に示し、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す本基礎パッキン1設置の地震時のせん断力と滑りのイメージ図において、土台eと基礎aとの間に本基礎パッキン1を用い、滑りを止める摩擦抵抗力を高めることで、アンカーボルトbへの軸方向、回転方向、せん断方向の初期応力を低減でき、さらに、以下に示す本基礎パッキン1の骨格を成す硬質弾性材2と粘弾性減衰ゴム材3の組み合わせによる吸震機能を発揮することが可能となる。
本基礎パッキン1は、低層建築物の鉄筋コンクリート造・鉄骨造や木造の基礎に設置して簡易的な吸震機能を得るのに好適である。ここでは、木造建築物の基礎に用いた場合で説明する。
【実施例】
【0020】
図2に示す基礎パッキン1は、ブロック型の硬質弾性材2に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3と鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0と積層構造となって構成することも可能とする基礎パッキン主要部の断面図である。ここで、地震などの水平力Pが建物に加わった時、ブロック型硬質弾性材2及び嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3と鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0と積層接着構造となって構成された部位が、水平力Pと同方向にせん断変形し、硬質弾性材2のバネ及び積層接着された鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0により、元の位置に戻ろうとする復元力(反力)が働く。それと同時に板状体の粘弾性減衰ゴム材3内部では外部からの振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い減衰・吸震性能を発揮する。
【0021】
図3に示す基礎パッキン1は、ブロック型主要部の断面図である。素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材2で、ブロック型に構成されている。素材のもう一つは、上記ブロック型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3で構成されている。ここで、地震などの水平力Pが建物に加わった時、ブロック型硬質弾性材2の垂直部2−1が水平力Pと逆方向に変形し、硬質弾性材2の素材のバネにより元の位置に戻ろうとする復元力(反力)が働く。それと同時に板状体の粘弾性減衰ゴム材3内部では外部からの振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い減衰・吸震性能を発揮する。この二つの素材を組み合わせて用いることで、地震時に積極的な地盤と建物を完全に切り離す免震的なシステムとするのではなく、振動エネルギーを粘弾性減衰ゴム材3に吸収させ、弾性力を有した硬質弾性材2のバネによる復元力で減衰・吸震効果を発揮する基礎パッキン1となり、これを用いることで上部建物全体が制震機能を有した建築物となる。
また、硬質弾性材2の天端には、土台下の換気を図る溝ロが設けられ、さらに上端面には滑り防止の突起イを突設して摩擦力を高めている。特に図示しないが、粘弾性減衰ゴム材3の下端面に滑り防止の突起イを突設することも可能とする。
【0022】
図4に示す基礎パッキン1は、クシ型主要部の断面図である。素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材2で、上下クシ型に構成されている。素材のもう一つは、上記クシ型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3で構成されている。ここで、地震などの水平力Pが加わった時、クシ型硬質弾性材2の下部垂直部2−1が水平力Pと逆方向に変形し、また、クシ型硬質弾性材2の上部垂直部2−2が水平力Pと同方向に変形し、硬質弾性材2のバネにより元の位置に戻ろうとする復元力(反力)が上下で働く。それと同時に板状体の粘弾性減衰ゴム材3内部では外部からの振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い減衰・吸震性能を発揮する。この二つの素材を組み合わせて用いることで、地震時に振動エネルギーを粘弾性減衰ゴム材3に吸収させ、弾性力を有した硬質弾性材2のバネによる復元で減衰・吸震効果を発揮する基礎パッキン1となり、これを用いることで、上部建物全体が吸震機能を有した建築物となる。
ここで、特に図示しないが、粘弾性減衰ゴム材3の天端には、土台下の換気を図る溝ロが設けられ、さらに上端面及び下端面には滑り防止の突起イを突設して摩擦力を高めることも可能とする。
【0023】
図5に示すものは、図3に示すブロック型基礎パッキン1を基礎aの基礎天端に設置する状況を示すもので、基礎パッキン1にアンカーボルト用穴4からアンカーボルトbを通して設置し、基礎パッキン1のレベルを調整するための滑り止め溝付きクサビ状のスペーサーc又は本基礎パッキン1の上端面の滑り防止突起イの二列に嵌合して成る突起付きの板状体のスペーサーdを用いることを示している。
【0024】
さらに、基礎パッキン1のアンカーボルト用穴4が上下に連通して成る二つの素材に設けられ、基礎パッキン1のスペーサーcやスペーサーdによるレベル調整後、図4に示す矢印方向にアンカーボルト用穴4より接着用粘弾性ゴムや合成樹脂接着剤などを注入することにより、基礎天端及び土台下端との隙間に充填され一体となる構成を有すことが可能となる。
【0025】
図6は、本発明のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。図2に示す基礎パッキン1で、ブロック型の硬質弾性材2に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3は鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0と積層構造となって構成することも可能とする基礎パッキンである。ここでは、ブロック型の硬質弾性材2とブロック型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3及び積層接着された鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0が組み合わさってブロック型基礎パッキン1を構成していることを説明する外観斜視図である。
【0026】
図7は、本発明のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。ここでは、ブロック型の硬質弾性材2とブロック型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3が組み合わさってブロック型基礎パッキン1を構成していることを説明する外観斜視図である。
【0027】
図8は、本発明のクシ型の組み合わせを示す外観斜視図である。ここでは、硬質弾性材2とクシ型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3が上下に組み合わさってクシ型基礎パッキン1を構成していることを説明する外観斜視図である。ここで、特に図示しないが、上側粘弾性減衰ゴム材3の天端には、土台下の換気を図る溝ロが設けられ、さらに下側粘弾性減衰ゴム材3の下端面には滑り防止の突起イを突設して摩擦力を高めることも可能とする。
【0028】
図9は、本発明の長尺シート状ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。本基礎パッキン1において、一定の厚みを保って長尺シート状に構成した硬質弾性材2と粘弾性減衰ゴム材3をブロック型の組み合わせとしたものである。特に図示しないが、硬質弾性材2を単なる長尺シート状平板型とし、粘弾性減衰ゴム材3も単なる長尺シート状とし、接着面を平滑状にして接着接合により組み合わせて構成すことも可能とするものである。
【0029】
図10は、本発明の本発明のクシ型の他の組み合わせを示す外観斜視図である。
図11は、本発明の楕円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
図12は、本発明の円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
図13は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
この場合、クサビ形ブロック型の硬質弾性材2に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3及び鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0が組み合わさってクサビ形基礎パッキン1−1を構成していることと、これに相対して組み合わせて長方形となるクサビ形基礎パッキン1−2を構成し、これを上下組み合わせて一つの基礎パッキン1とすることを特徴としたものである。
図14、図15は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせ方法によるレベル調整機能を示す図である。本実施例によれば、上下のクサビ形基礎パッキン1−1、1−2を左右にずらして組み合わせることで基礎パッキン1のみで土台eのレベル調整可能となる。
上述のように、二つの異なる形状・性能素材の組み合わせて構成される基礎パッキン1の形状は、上述の実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」における耐久性能で木材の大敵である湿気を排除するために、床下・外壁・屋根裏の通気を十分に行う必要がある。
従来の基礎に設ける床下換気口は、床下の隅に空気が滞留し湿気が排出されにくいが、土台下の基礎パッキン通気工法は、基礎に開口部を開ける必要がなく、基礎構造の耐震・施工性も上がり、土台下全周より空気が流れ湿気を滞留させないので近年、新築物件に多く採用されている。
しかし、土台上の上部構造の耐震化をいくら図っても、課題とされる「滑り」の問題を有している。また、上部構造の制震化を図るためには高額な制震ダンパーを構造躯体の必要箇所に数多く設けなければならない。さらに、地震時に地盤と建物を完全に切り離す免震装置を基礎に設けるとさらに高額となる。
従って、本基礎パッキン1を土台下全体の所要箇所に設置することで上部構造全体の簡易的な吸震効果と基礎パッキン通気工法が安価に得られることとなり利用の可能性が高い。
【符号の説明】
【0031】
1 簡易吸震基礎パッキン
2 基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材
3 粘弾性減衰ゴム材
4 アンカーボルト用穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、土台と直下の基礎天端との間に摩擦力による滑り防止機能を高めた基礎パッキンを用いることにより、地震や風圧、そして都市振動などの水平力に対し、簡易的吸震機能が発揮するよう構成された安全で安価な基礎パッキンを提供する。さらに、基礎パッキン厚さ分の隙間による土台下端の換気及び床下空間の換気促進をも図る。
ここで、吸震機能とは、地震時に、積極的に地盤と建物を完全に切り離す免震的なシステムとするのではなく、大型地震による振動エネルギーを熱エネルギーに変える粘弾性減衰ゴム材に吸収させ、さらに弾性力を有した硬質弾性材のバネによる復元で減衰・吸振させる機能をいう。
【背景技術】
【0002】
従来の基礎パッキンやレベル調整スペーサー材を用いた床下換気構造は、摩擦力による滑り防止機能を有しておらず、地震などの水平力に対し単にアンカーボルトのせん断・曲げ・引抜き耐力にゆだねているのが現状である。
【0003】
従来の基礎パッキンには土台下端に食い込む突起を有するものが見受けられるが、地震時の水平力に対し制震機能がない。
また、基礎パッキンと基礎や土台との間には施工上多少の隙間が生じ、アンカーボルトのナットの締め付け力だけでは、摩擦力による滑り防止とならない。
【先行技術文献】
【0004】
特許文献1では、土台下端に食い込む突起を有するものが開示されている。
【特許文献1】特開平9−250142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
東日本大震災の大津波による爪跡は大きい。しかし、その裏にある地震被害を正しく評価しておかなければならない。
震度7の被災地で外見上、被害がない建物や軽微で済んだ建物が多かったようである。このことは、新耐震基準に適合した建物においては耐力壁の配置と各部材接合の耐震技術が適切で、その施工もしっかりしていたものと言われている。しかし、大きい被害を受けた建物の原因を精査してみると、柱と土台の緊結不足によるダメージが顕著であった。当たり前のことだが、建物の荷重、力は長・短期時に関わらず、柱脚から土台、そして基礎・地盤に伝わっていくことを再認識させられた。
一方、最近の建物では、土台下の換気材として基礎パッキンなるものを土台と基礎天端に挟み込んで施工していて、このディテールは業界全体に容認され恒常化している。このパッキンについては、力学上疑問視している人は少ないようだが、水平力による土台の滑りという事象について検証しなければならない。
【0006】
土台は鉛直荷重を負担し、確実に基礎を通して地盤に伝える。一方の水平荷重(地震・風圧力)についても同様である。軸方向、回転方向、せん断方向の3方向の応力を負担するアンカーボルトは、その1つの土台から負担相当分のせん断力に耐えなければならないというのが一般的な考えである。しかし初期段階では、土台と基礎天端の間の摩擦力で耐えていることを造り手側は、しっかり把握しておくことが必要である。水平力の強弱、揺れの性状によっては、摩擦の限界点を超えてしまう可能性が大きい。パッキン上の土台で、パッキン下の基礎天端で、このパッキン材を介して滑る可能性が大きい。(当然パッキンの形状・素材・納りにもよるが…)この時、アンカーボルトの設置条件(ディテール)が建物全体の安全確保に影響するわけで、より重要と考えている。図1に示すように土台−基礎間に、それぞれ摩擦力が十分働くようなアイテムが望まれる。初期応力は摩擦力で保ち、続いてアンカーボルトのせん断力で耐えるという時系列的なメカニズムを知った上で適切とされる形状、さらに吸震機能を有した新規な基礎パッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するべき、本発明は以下の構成のものを提供する。
【0008】
板状体に形成される基礎パッキンにおいて、二つの素材・形状の組み合わせにて構成される基礎パッキンであって、素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で構成されることを特徴とし、素材のもう一つは、この硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材で構成することを特徴とする基礎パッキン。
【0009】
前記基礎パッキンの硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材は、鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなどとの積層接着構造として構成することも可能とする基礎パッキン。
【0010】
前記基礎パッキンの硬質弾性材は、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で、ブロック型(玩具のブロックのような形状を示す)又はクシ型(製氷用のプラスチックトレイのような形状を示す)などで構成されることを特徴とする基礎パッキン。
【0011】
前記基礎パッキンの上端面又は上下端面に滑り防止の突起を突設したことを特徴とし二つの素材・形状の組み合わせ方法により、硬質弾性材に突起を突設する場合と粘弾性減衰ゴム材に突起を突設する場合があることを特徴とする基礎パッキン。なお、この突起の形状は実施例の円錐形に限定されるものではなく、ドーナツ形や四角や三角形など摩擦抵抗力が図れる形状でも可能とする。
【0012】
前記基礎パッキンにおいて、一定の厚みを保って長尺シート状に構成した二つの素材を接着などにより組み合わせて構成することを特徴とする基礎パッキン。
【0013】
前記基礎パッキンにはアンカーボルト用穴が上下に連通して成る二つの素材に設けられ、基礎パッキンのレベル調整後、アンカーボルト用穴よりゲル状の接着用粘弾性ゴムなどを注入することにより基礎天端との隙間に充填され一体となる構成を有すことを特徴とする基礎パッキン。
【発明の効果】
【0014】
二つの異なる形状・性質の素材を製造工場で組み合わせて構成される簡易吸震基礎パッキンにより、従来の基礎パッキンにない吸震機能を有する建築物を提供することができる。
【0015】
二つの異なる形状・性質の素材の組み合わせて構成される簡易吸震基礎パッキンは、摩擦によって熱エネルギーに変換する摩擦減衰と、粘弾性ゴムの変形速度を抑制する粘性減衰と、伸びてもすぐに元の位置に戻るバネの復元によって簡易的吸震機能を有する。その形状は、実施例に限定されるものでなく、どのような形状でも同様の効果が得られる。
【0016】
簡易的吸震機能を有する本基礎パッキンを用いた上部構造の耐震性の高い建築物は、震度7の地震に対し震度6〜震度5程度に減衰された揺れとなり、建物や居住者の安全性が保たれる。
【0017】
本基礎パッキンの上端面又は上下端面に滑り防止の突起を突設したことと、上下端面のいずれか片面又は両面が粘弾性減衰ゴム材とする構成なので、従来の土台側の突起だけの基礎パッキンにない粘弾性減衰ゴム材及び突起による摩擦力で滑り防止機能を有する。
【0018】
本基礎パッキンにはアンカーボルト用穴が上下に連通して成る二つの素材に設けられ、基礎パッキンのスペーサーによるレベル調整後、アンカーボルト用穴よりゲル状の接着用粘弾性ゴムなどを注入することにより、基礎天端や土台下端との隙間に充填され一体となる構成とすることで、従来のレベル調整スペーサーのみを用いることでの滑りを完全に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、本基礎パッキン設置の地震時のせん断力と滑りのイメージ図である。
【図2】は、本発明の一例を示す主要部の断面図である。
【図3】は、本発明の一例を示す主要部の断面図である。
【図4】は、本発明の一例を示す主要部の断面図である。
【図5】は、本発明の一例を示す基礎天端設置状況を示す斜視図である。
【図6】は、本発明のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図7】は、本発明の他のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図8】は、本発明のクシ型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図9】は、本発明の長尺シート状ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図10】は、本発明のクシ型の他の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図11】は、本発明の楕円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図12】は、本発明の円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図13】は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
【図14】は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせ方法によるレベル調整機能を示す図である。
【図15】は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせ方法によるレベル調整機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
具体的実施例を以下に示し、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す本基礎パッキン1設置の地震時のせん断力と滑りのイメージ図において、土台eと基礎aとの間に本基礎パッキン1を用い、滑りを止める摩擦抵抗力を高めることで、アンカーボルトbへの軸方向、回転方向、せん断方向の初期応力を低減でき、さらに、以下に示す本基礎パッキン1の骨格を成す硬質弾性材2と粘弾性減衰ゴム材3の組み合わせによる吸震機能を発揮することが可能となる。
本基礎パッキン1は、低層建築物の鉄筋コンクリート造・鉄骨造や木造の基礎に設置して簡易的な吸震機能を得るのに好適である。ここでは、木造建築物の基礎に用いた場合で説明する。
【実施例】
【0020】
図2に示す基礎パッキン1は、ブロック型の硬質弾性材2に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3と鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0と積層構造となって構成することも可能とする基礎パッキン主要部の断面図である。ここで、地震などの水平力Pが建物に加わった時、ブロック型硬質弾性材2及び嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3と鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0と積層接着構造となって構成された部位が、水平力Pと同方向にせん断変形し、硬質弾性材2のバネ及び積層接着された鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0により、元の位置に戻ろうとする復元力(反力)が働く。それと同時に板状体の粘弾性減衰ゴム材3内部では外部からの振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い減衰・吸震性能を発揮する。
【0021】
図3に示す基礎パッキン1は、ブロック型主要部の断面図である。素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材2で、ブロック型に構成されている。素材のもう一つは、上記ブロック型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3で構成されている。ここで、地震などの水平力Pが建物に加わった時、ブロック型硬質弾性材2の垂直部2−1が水平力Pと逆方向に変形し、硬質弾性材2の素材のバネにより元の位置に戻ろうとする復元力(反力)が働く。それと同時に板状体の粘弾性減衰ゴム材3内部では外部からの振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い減衰・吸震性能を発揮する。この二つの素材を組み合わせて用いることで、地震時に積極的な地盤と建物を完全に切り離す免震的なシステムとするのではなく、振動エネルギーを粘弾性減衰ゴム材3に吸収させ、弾性力を有した硬質弾性材2のバネによる復元力で減衰・吸震効果を発揮する基礎パッキン1となり、これを用いることで上部建物全体が制震機能を有した建築物となる。
また、硬質弾性材2の天端には、土台下の換気を図る溝ロが設けられ、さらに上端面には滑り防止の突起イを突設して摩擦力を高めている。特に図示しないが、粘弾性減衰ゴム材3の下端面に滑り防止の突起イを突設することも可能とする。
【0022】
図4に示す基礎パッキン1は、クシ型主要部の断面図である。素材の一つは、弾性力(バネ)を有する素材を用いた基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材2で、上下クシ型に構成されている。素材のもう一つは、上記クシ型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3で構成されている。ここで、地震などの水平力Pが加わった時、クシ型硬質弾性材2の下部垂直部2−1が水平力Pと逆方向に変形し、また、クシ型硬質弾性材2の上部垂直部2−2が水平力Pと同方向に変形し、硬質弾性材2のバネにより元の位置に戻ろうとする復元力(反力)が上下で働く。それと同時に板状体の粘弾性減衰ゴム材3内部では外部からの振動を熱エネルギーに変換してエネルギーロスを起こさせることにより、高い減衰・吸震性能を発揮する。この二つの素材を組み合わせて用いることで、地震時に振動エネルギーを粘弾性減衰ゴム材3に吸収させ、弾性力を有した硬質弾性材2のバネによる復元で減衰・吸震効果を発揮する基礎パッキン1となり、これを用いることで、上部建物全体が吸震機能を有した建築物となる。
ここで、特に図示しないが、粘弾性減衰ゴム材3の天端には、土台下の換気を図る溝ロが設けられ、さらに上端面及び下端面には滑り防止の突起イを突設して摩擦力を高めることも可能とする。
【0023】
図5に示すものは、図3に示すブロック型基礎パッキン1を基礎aの基礎天端に設置する状況を示すもので、基礎パッキン1にアンカーボルト用穴4からアンカーボルトbを通して設置し、基礎パッキン1のレベルを調整するための滑り止め溝付きクサビ状のスペーサーc又は本基礎パッキン1の上端面の滑り防止突起イの二列に嵌合して成る突起付きの板状体のスペーサーdを用いることを示している。
【0024】
さらに、基礎パッキン1のアンカーボルト用穴4が上下に連通して成る二つの素材に設けられ、基礎パッキン1のスペーサーcやスペーサーdによるレベル調整後、図4に示す矢印方向にアンカーボルト用穴4より接着用粘弾性ゴムや合成樹脂接着剤などを注入することにより、基礎天端及び土台下端との隙間に充填され一体となる構成を有すことが可能となる。
【0025】
図6は、本発明のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。図2に示す基礎パッキン1で、ブロック型の硬質弾性材2に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3は鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0と積層構造となって構成することも可能とする基礎パッキンである。ここでは、ブロック型の硬質弾性材2とブロック型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3及び積層接着された鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0が組み合わさってブロック型基礎パッキン1を構成していることを説明する外観斜視図である。
【0026】
図7は、本発明のブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。ここでは、ブロック型の硬質弾性材2とブロック型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3が組み合わさってブロック型基礎パッキン1を構成していることを説明する外観斜視図である。
【0027】
図8は、本発明のクシ型の組み合わせを示す外観斜視図である。ここでは、硬質弾性材2とクシ型の骨格に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3が上下に組み合わさってクシ型基礎パッキン1を構成していることを説明する外観斜視図である。ここで、特に図示しないが、上側粘弾性減衰ゴム材3の天端には、土台下の換気を図る溝ロが設けられ、さらに下側粘弾性減衰ゴム材3の下端面には滑り防止の突起イを突設して摩擦力を高めることも可能とする。
【0028】
図9は、本発明の長尺シート状ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。本基礎パッキン1において、一定の厚みを保って長尺シート状に構成した硬質弾性材2と粘弾性減衰ゴム材3をブロック型の組み合わせとしたものである。特に図示しないが、硬質弾性材2を単なる長尺シート状平板型とし、粘弾性減衰ゴム材3も単なる長尺シート状とし、接着面を平滑状にして接着接合により組み合わせて構成すことも可能とするものである。
【0029】
図10は、本発明の本発明のクシ型の他の組み合わせを示す外観斜視図である。
図11は、本発明の楕円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
図12は、本発明の円形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
図13は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせを示す外観斜視図である。
この場合、クサビ形ブロック型の硬質弾性材2に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材3及び鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなど3−0が組み合わさってクサビ形基礎パッキン1−1を構成していることと、これに相対して組み合わせて長方形となるクサビ形基礎パッキン1−2を構成し、これを上下組み合わせて一つの基礎パッキン1とすることを特徴としたものである。
図14、図15は、本発明のクサビ形ブロック型の組み合わせ方法によるレベル調整機能を示す図である。本実施例によれば、上下のクサビ形基礎パッキン1−1、1−2を左右にずらして組み合わせることで基礎パッキン1のみで土台eのレベル調整可能となる。
上述のように、二つの異なる形状・性能素材の組み合わせて構成される基礎パッキン1の形状は、上述の実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」における耐久性能で木材の大敵である湿気を排除するために、床下・外壁・屋根裏の通気を十分に行う必要がある。
従来の基礎に設ける床下換気口は、床下の隅に空気が滞留し湿気が排出されにくいが、土台下の基礎パッキン通気工法は、基礎に開口部を開ける必要がなく、基礎構造の耐震・施工性も上がり、土台下全周より空気が流れ湿気を滞留させないので近年、新築物件に多く採用されている。
しかし、土台上の上部構造の耐震化をいくら図っても、課題とされる「滑り」の問題を有している。また、上部構造の制震化を図るためには高額な制震ダンパーを構造躯体の必要箇所に数多く設けなければならない。さらに、地震時に地盤と建物を完全に切り離す免震装置を基礎に設けるとさらに高額となる。
従って、本基礎パッキン1を土台下全体の所要箇所に設置することで上部構造全体の簡易的な吸震効果と基礎パッキン通気工法が安価に得られることとなり利用の可能性が高い。
【符号の説明】
【0031】
1 簡易吸震基礎パッキン
2 基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材
3 粘弾性減衰ゴム材
4 アンカーボルト用穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体に形成される基礎パッキンにおいて、二つの素材の組み合わせにて構成される基礎パッキンであって、素材の一つは、基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で構成されることを特徴とし、素材のもう一つは、この硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材で構成することを特徴とする基礎パッキン。
【請求項2】
前記基礎パッキンの硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材は、鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなどとの積層接着構造として構成することも可能とする基礎パッキン。
【請求項3】
前記基礎パッキンの硬質弾性材は、ブロック型又はクシ型などで構成されることを特徴とした請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項4】
前記基礎パッキンの上端面又は上下端面に滑り防止の突起を突設したことを特徴とする請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項5】
前記基礎パッキンにおいて、一定の厚みを保って長尺シート状に構成した二つの素材を組み合わせて構成することを特徴とする請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項6】
前期基礎パッキンにはアンカーボルト用穴が上下に連通して設けられ、基礎パッキンのレベル調整後、アンカーボルト用穴よりゲル状の接着用粘弾性ゴムなどを注入することにより基礎天端との隙間に充填され一体となる構成を有すことを特徴とする請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項1】
板状体に形成される基礎パッキンにおいて、二つの素材の組み合わせにて構成される基礎パッキンであって、素材の一つは、基礎パッキンの骨格を成す硬質弾性材で構成されることを特徴とし、素材のもう一つは、この硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材で構成することを特徴とする基礎パッキン。
【請求項2】
前記基礎パッキンの硬質弾性材に嵌合して成る板状体の粘弾性減衰ゴム材は、鋼板やフッ素樹脂、強化プラスチックなどとの積層接着構造として構成することも可能とする基礎パッキン。
【請求項3】
前記基礎パッキンの硬質弾性材は、ブロック型又はクシ型などで構成されることを特徴とした請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項4】
前記基礎パッキンの上端面又は上下端面に滑り防止の突起を突設したことを特徴とする請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項5】
前記基礎パッキンにおいて、一定の厚みを保って長尺シート状に構成した二つの素材を組み合わせて構成することを特徴とする請求項1記載の基礎パッキン。
【請求項6】
前期基礎パッキンにはアンカーボルト用穴が上下に連通して設けられ、基礎パッキンのレベル調整後、アンカーボルト用穴よりゲル状の接着用粘弾性ゴムなどを注入することにより基礎天端との隙間に充填され一体となる構成を有すことを特徴とする請求項1記載の基礎パッキン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−96221(P2013−96221A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251085(P2011−251085)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(593053977)ジェイ建築システム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(593053977)ジェイ建築システム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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