説明

粉体加熱処理装置

【課題】 加熱部において加熱された粉体を冷却部において冷却し、冷却された粉体を取出し部に設けた取出しプレートを摺動させて、所定量の粉体を順々に取り出すにあたり、取出し部においても粉体が効率よく冷却されるようにした。
【解決手段】 加熱部40において加熱された粉体Wを冷却部50において冷却させて取出し部60に導き、この粉体を取出し部に設けた取出しプレート61の収容部61a内に収容させ、取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口62から順々に取り出すにあたり、上記の取出し部に取出しプレートの面と接触するようにして冷却プレート部63を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素粉体を加熱処理して黒鉛化させたりするのに使用する粉体加熱処理装置に関するものである。特に、粉体を加熱する加熱部と、加熱部から導かれた粉体を冷却させる冷却部と、冷却部から導かれた粉体を取り出す取出し部とを備えた粉体加熱処理装置において、上記の取出し部に冷却部から導かれた粉体を所定量収容させる収容部を有する取出しプレートを設け、この取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口から順々に取り出すにあたり、上記の取出し部においても粉体が効率よく冷却されるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭素粉体を加熱処理して黒鉛化させたりするのに粉体加熱処理装置が使用されている。
【0003】
ここで、このような粉体加熱処理装置として、従来においては、特許文献1に示されるように、筒状シャフトを上下方向に配置し、この筒状シャフトの上から筒状シャフト内に加熱処理する粉体を供給し、筒状シャフトの外周に発熱体が設けられた加熱部において上記の粉体を加熱させ、このように加熱された粉体を加熱部の下方に導き、筒状シャフトの外周に水冷ジャケット等の冷却装置が設けられた冷却部において加熱された粉体を冷却させた後、このように冷却された粉体を間欠式排出装置が設けられた排出部に導き、この間欠式排出装置により冷却された粉体を間欠式に切り出すようにしたものが提案されている。
【0004】
そして、上記の間欠式排出装置においては、上記の筒状シャフトの下端部から導かれた粉体を所定量収容させる収容部が設けられた取出しプレートを設け、この取出しプレートをシリンダによって排出部内において摺動させ、上記の収容部内に収容された粉体を取出し口から順々に取り出すようにしている。
【0005】
ここで、この特許文献1に示されるものの場合、排出部においては単に冷却された粉体を間欠式に取り出すだけであるため、この排出部に導く前に、加熱された粉体を上記の冷却部において十分に冷却させることが必要になる。そして、このように加熱された粉体を冷却部において十分に冷却させるため、この冷却部を長くすることが必要になり、装置が上下方向に長くなって大型化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−26413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、炭素粉体を加熱処理して黒鉛化させたりするのに使用する粉体加熱処理装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
具体的には、粉体を加熱する加熱部と、加熱部から導かれた粉体を冷却させる冷却部と、冷却部から導かれた粉体を取り出す取出し部とを備えた粉体加熱処理装置において、取出し部に冷却部から導かれた粉体を所定量収容させる収容部を有する取出しプレートを設け、この取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口から順々に取り出すにあたり、取出し部においても粉体が効率よく冷却されるようにして、冷却部の長さを短くし、装置が上下方向に長くなって大型化するのを防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における粉体加熱処理装置においては、上記のような課題を解決するため、粉体を加熱する加熱部と、加熱部から導かれた粉体を冷却させる冷却部と、冷却部から導かれた粉体を取り出す取出し部とを備え、上記の取出し部に冷却部から導かれた粉体を所定量収容させる収容部を有する取出しプレートを設け、この取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口から順々に取り出す粉体加熱処理装置において、取出しプレートが摺動される上記の取出し部に、取出しプレートの面と接触するようにして冷却プレート部を設けた。
【0010】
そして、本発明における粉体加熱処理装置においては、冷却部から取出し部に導かれた粉体を取出しプレートの収容部内に所定量収容させ、この取出しプレートを摺動させて、収容部内に収容された粉体を取出し口から取り出すにあたり、取出しプレートが摺動される取出し部に、取出しプレートの面と接触するようにして冷却プレート部を設けたため、この取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口に導いて取り出すまでの間に、取出しプレートの収容部内に収容された粉体が、上記の冷却プレート部との接触によって効率よく冷却されるようになる。
【0011】
ここで、本発明における粉体加熱処理装置において、粉体を上下方向に配置された筒状シャフト内に供給し、この筒状シャフトに対して上記の加熱部と冷却部とを上から順番に設けると共に、この筒状シャフトの下端部に上記の取出し部を設けるようにすると、筒状シャフト内に供給された粉体が自重によって加熱部、冷却部、取出し部の順に導かれるようになり、粉体を加熱部、冷却部、取出し部の順に搬送させるための装置を設ける必要がなく、加熱処理する粉体を加熱部、冷却部、取出し部の順に効率よく移動させることができるようになる。
【0012】
また、上記のように取出しプレートの面と接触するように設けられた冷却プレート部によって、取出しプレートの収容部内に収容された粉体がより効率よく冷却されるようにするためには、冷却プレート部を取出しプレートの両面に接触させるように設けることが好ましい。
【0013】
また、上記の取出しプレートを取出し部において摺動させるにあたっては、冷却プレート部と接触した状態で、取出しプレートを回転させるようにして摺動させたり、取出しプレートを直線的に往復移動させて摺動させたりすることができるが、取出し部を小型化させて、取出しプレートの収容部内に収容された粉体を冷却プレート部との接触によって効率よく冷却させるためには、取出しプレートを回転させるようにすることが好ましい。
【0014】
さらに、上記のように取出しプレートを回転させて、取出しプレートの収容部内に収容された粉体を冷却させ、このように冷却された粉体を取出し口からより効率よく取り出すようにするためには、上記の取出しプレートに複数の収容部を設け、取出しプレートを回転させて、取出しプレートの各収容部内に収容された粉体を冷却プレート部との接触によって順々に冷却させると共に、各収容部において冷却された粉体を取出し口から順々に取り出すようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明における粉体加熱処理装置においては、冷却部から取出し部に導かれた粉体を取出しプレートの収容部に所定量収容させ、この取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口から順々に取り出すにあたり、上記のように取出しプレートが摺動される取出し部に、取出しプレートの面と接触するようにして冷却プレート部を設けたため、加熱部において加熱された粉体を上記の冷却部において十分に冷却させなくても、取出し部において取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口に導いて取り出すまでの間に、取出しプレートの収容部内に収容された粉体が冷却プレート部と広い接触面積で接触することによって十分に冷却されるようになる。
【0016】
また、本発明における粉体加熱処理装置においては、上記のように加熱部において加熱された粉体を冷却部において十分に冷却させなくても、取出し部において取出しプレートの収容部内に収容された粉体が冷却プレート部と広い接触面積で接触することによって十分に冷却される結果、従来のように冷却部を長くする必要がなく、装置が上下方向に長くなって大型化するということもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉体加熱処理装置を示した概略断面図である。
【図2】同実施形態に係る粉体加熱処理装置において、加熱部から導かれた粉体を冷却部において冷却させ、冷却部から導かれた粉体を取出し部においてさらに冷却させて取出し口から取り出す状態を示した部分概略断面説明図である。
【図3】同実施形態に係る粉体加熱処理装置において、取出し部に設ける取出しプレートの例を示した概略平面図である。
【図4】同実施形態に係る粉体加熱処理装置において、取出し部に設ける取出しプレートの変更例を示した概略平面図である。
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る粉体加熱処理装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る粉体加熱処理装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0019】
この実施形態においては、図1に示すように、密閉式の原料供給ホッパー10から加熱処理する炭素粉体等の粉体Wを供給室20に導き、この供給室20内において上記の粉体Wを上下方向に配置された筒状シャフト30内に供給するようにしている。
【0020】
ここで、上記の原料供給ホッパー10においては、その上部に原料補給バルブ11を備えた原料補給管12が設けられる一方、その下端には原料供給バルブ13を備えた原料供給管14が連結され、この原料供給管14の下端が前記供給室20内に導入されている。また、この原料供給ホッパー10内の下部には不活性ガスを噴出する不活性ガス噴出管15が配設される一方、この密閉式原料供給ホッパー10の上部に排気管16が設けられている。また、上記の供給室20には、粉体処理時に発生する排ガスを排気する排気管21が設けられている。
【0021】
そして、上記のように密閉式の原料供給ホッパー10から加熱処理する粉体Wを供給室20に導いて筒状シャフト30内に供給するにあたっては、原料供給バルブ13を閉じた状態で、原料補給バルブ11を開いて上記の粉体Wを原料供給ホッパー10内に供給する。次いで、上記の原料補給バルブ11を閉じて、不活性ガス噴出管15からArガスやN2ガス等の不活性ガスを噴出させる一方、原料供給ホッパー10内における空気を上記の排気管16から排気させた後、上記の原料供給バルブ13を開いて、原料供給ホッパー10内における粉体Wを、供給室20内に導入された原料供給管14を通して円筒状シャフト30内に供給させるようにしている。
【0022】
そして、このように円筒状シャフト30内に供給された粉体Wを加熱部40において加熱させた後、このように加熱された粉体Wを加熱部40の下方に位置する冷却部50において冷却させるようにしている。
【0023】
ここで、上記の加熱部40においては、上記の円筒状シャフト30の外周側に電熱ヒーター等の加熱装置41を設け、この加熱装置41により円筒状シャフト30内における粉体Wを加熱させると共に、その周囲を断熱材42で覆うようにしている。
【0024】
また、上記の冷却部50においては、上記の円筒状シャフト30の外周側に水冷ジャケット51を設け、この水冷ジャケット51により上記のように加熱された円筒状シャフト30内における粉体Wを冷却させるようにしている。
【0025】
また、このように冷却部50で冷却された粉体Wを上記の円筒状シャフト30を通して取出し部60に導き、円筒状シャフト30の下端から上記の粉体Wをこの取出し部60に設けられた取出しプレート61における収容部61a内に所要量収容させるようにしている。
【0026】
そして、このように収容部61a内に粉体Wが収容された取出しプレート61をモーター64により回転させて、冷却プレート部63と接触するようにして取出しプレート61を摺動させ、収容部61a内に収容された粉体Wを、冷却プレート部63との接触により冷却させながら取出し口62の位置に導くようにしている。そして、この取出し口62を通して収容部61a内に収容された粉体Wを排出ホッパー70内に収容させ、その後、排出バルブ71を開けてこの排出ホッパー70に収容された粉体Wを外部に取り出すようにしている。
【0027】
ここで、上記のように取出し部60に取出しプレート61の面と接触して収容部61a内に収容された粉体Wを冷却させる冷却プレート部63を設けるにあたり、この実施形態においては、図1及び図2に示すように、取出しプレート61の上下に水冷ジャケット63aを設けると共に、この水冷ジャケット63aと取出しプレート61との間に、取出しプレート61の上下面に接触するようにして冷却用プレート63bを設けている。
【0028】
なお、この実施形態においては、取出し部60における水冷ジャケット63aを上記の冷却部50における水冷ジャケット51と連通するようにして取出しプレート61の上下に設けているが、取出し部60における水冷ジャケット63aを、冷却部50における水冷ジャケット51と分離させて設けるようにしたり、このような水冷ジャケット63aを取出しプレート61の片面側にだけ設けるようにしたりすることも可能である。なお、取出しプレート61と接触するように設ける上記の冷却用プレート63bとしては、熱伝導性が高く、熱変形しにくく、摩擦抵抗の低い材料を用いることが好ましい。
【0029】
また、上記の取出しプレート61として、この実施形態においては、図3に示すように、円板状になったプレート部61bの中心部にモーター64の回転軸64aを取り付け、その外周側に4つの貫通穴からなる収容部61aを設けたものを用いるようにしている。
【0030】
そして、この取出しプレート61をモーター64により間欠的に回転させ、上記の円筒状シャフト30の下端と対応する位置P1に導かれた収容部61aに順々に円筒状シャフト30の下端から粉体Wを供給して、収容部61a内に粉体Wを順々に収容させ、取出しプレート61の回転に伴って、このように粉体Wが収容された収容部61aを順々に移動させて上記の取出し口62と対応する位置P2に導き、この取出し口62を通して各収容部61a内に収容された粉体Wを順々に取り出すようにしている。
【0031】
このようにすると、上記のように取出しプレート61をモーター64により間欠的に回転させて、円筒状シャフト30の下端と対応する位置P1から粉体Wが収容された収容部61aが取出し口62と対応する位置P2に導かれるまでの間に、各収容部61aに収容されて厚みが薄くなった粉体Wが上記の冷却プレート部63との接触により効率よく冷却されるようになる。
【0032】
このため、この実施形態の粉体加熱処理装置においては、上記の冷却部50において粉体Wを十分に冷却させなくても、取出しプレート61の収容部61a内に収容された粉体Wが上記のように適切に冷却されて取出し口62から取り出されるようになり、上記の冷却部50の長さを短くすることができ、装置が上下方向に長くなって大型化するということがなくなる。
【0033】
なお、この実施形態においては、上記の取出しプレート61として、円板状になったプレート部61bに4つの貫通穴からなる収容部61aを設けたものを用いるようにしたが、プレート部61bに設ける貫通穴からなる収容部61aの数は特に限定されず、例えば、図4に示すように、8つの貫通穴からなる収容部61aを設けるようにすることも可能である。
【0034】
また、上記の実施形態においては、取出しプレート61を回転させるようにしたが、取出しプレート61を直線的に往復移動させるようにすることも可能であり、この場合、収容部61a内に収容された粉体Wが冷却プレート部63との接触によって速やかに冷却されるようにするため、取出しプレート61を薄くして収容部61a内に収容される粉体Wの厚みを薄くすることが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
10 原料供給ホッパー
11 原料補給バルブ
12 原料補給管
13 原料供給バルブ
14 原料供給管
15 不活性ガス噴出管
16 排気管
20 供給室
21 排気管
30 筒状シャフト
40 加熱部
41 加熱装置
42 断熱材
50 冷却部
51 水冷ジャケット
60 取出し部
61 取出しプレート
61a 収容部
61b プレート部
62 取出し口
63 冷却プレート部
63a 水冷ジャケット
63b 冷却用プレート
64 モーター
64a 回転軸
70 排出ホッパー
71 排出バルブ
W 粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を加熱する加熱部と、加熱部から導かれた粉体を冷却させる冷却部と、冷却部から導かれた粉体を取り出す取出し部とを備え、上記の取出し部に冷却部から導かれた粉体を所定量収容させる収容部を有する取出しプレートを設け、この取出しプレートを摺動させて収容部内に収容された粉体を取出し口から順々に取り出す粉体加熱処理装置において、取出しプレートが摺動される上記の取出し部に、取出しプレートの面と接触するようにして冷却プレート部を設けたことを特徴とする粉体加熱処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載した粉体加熱処理装置において、上記の粉体が上下方向に配置された筒状シャフト内に供給され、この筒状シャフトに対して上記の加熱部と冷却部とが上から順番に設けられると共に、この筒状シャフトの下端部に上記の取出し部が設けられていることを特徴とする粉体加熱処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した粉体加熱処理装置において、上記の冷却プレート部が取出しプレートの両面に接触するように設けられていることを特徴とする粉体加熱処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した粉体加熱処理装置において、上記の取出しプレートが冷却プレートと接触するようにして回転されることを特徴とする粉体加熱処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載した粉体加熱処理装置において、上記の取出しプレートに、冷却部から導かれた粉体を収容させる収容部が複数設けられていることを特徴とする粉体加熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−97919(P2012−97919A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243826(P2010−243826)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【特許番号】特許第4877862号(P4877862)
【特許公報発行日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】