説明

粉粒体の内部品質計測装置

【課題】種々の計測箇所において内部品質を計測することを良好に行え、しかも、長期間に亘って内部品質を適正に計測することが可能な粉粒体の内部品質測定装置を提供する。
【解決手段】粉粒体収納容器Uが装填される装填箇所Pに向けて計測用光を投光する投光手段1と、装填箇所Pからの光を受光する受光手段2と、受光手段2にて受光されて導かれる光を分光する分光手段33、及び、その分光手段33にて分光された光の強度を波長毎に検出する光強度検出手段4を備えた分光部30と、光強度検出手段4の検出結果に基づいて内部品質を求める内部品質評価手段100が、可搬型のケーシングWの内部に収納され、装填箇所Pが、ケーシングWの外壁部に形成した挿脱孔46を通して粉粒体収納容器Uを挿脱可能な状態で、且つ、ケーシングWの内部と仕切り壁11D、11B、11L、11U、12にて区画された状態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が横断透過可能に構成された粉粒体収納容器が装填される装填箇所に対してその装填箇所を横断する横断方向に向けて計測用光を投光する投光手段と、前記装填箇所からの光を受光する受光手段とが、前記装填箇所の両側に振り分け配置され、前記装填箇所が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って光を通過自在に構成され、前記粉粒体収納容器が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って光を透過させる状態で前記装填箇所に装填自在に構成され、前記受光手段にて受光されて導かれる光を分光する分光手段、及び、その分光手段にて分光された光の強度を波長毎に検出する光強度検出手段を備えた分光部、並びに、光強度検出手段の検出結果に基づいて内部品質を求める内部品質評価手段が設けられた粉粒体の内部品質計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる粉粒体の内部品質計測装置は、米粒、麦粒、蕎麦粒等の粉粒体の内部品質を計測するものであり、具体的には、例えば、水分、タンパク、アミロース等の粉粒体に含まれる成分や、粉粒体の食味等を内部品質として計測するのに用いられることになる。
このような粉粒体の内部品質計測装置の従来例として、投光手段、受光手段、及び、分光部がユニット状に組み付けられたユニット状体と、内部品質評価手段を構成する情報処理装置とが別体に構成されて、それらユニット状体と情報処理装置とが、机上等に各別に設置されて使用されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、特許文献1には詳細な説明はないが、ユニット状体と情報処理装置とは、情報の伝達や電力の供給等のために、電線を用いて接続する配線作業を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−029335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉粒体の内部品質の計測は、粉粒体が育成されている圃場等において、育成状況を監視するために行う場合や、収穫後において倉庫に貯蔵されている粉粒体の貯蔵状況を監視するために行う場合等、種々の箇所にて行うことが望まれるものとなる。
【0005】
しかしながら、従来の内部品質評価装置では、投光手段、受光手段、及び、分光部がユニット状に組み付けられたユニット状体と、内部品質評価手段を構成する情報処理装置とが別体に構成されているため、種々の箇所にて粉粒体の内部品質を計測するには、ユニット状体と情報処理装置とを、種々の計測箇所に各別に搬送し、その種々の計測箇所において机上等に設置して、両者を情報伝達のために接続する配線作業を行って使用することになり、搬送し難く、また、面倒な配線作業を要するため、種々の計測箇所に搬送して使用することが行い難いものであり、改善が望まれるものであった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、種々の計測箇所において内部品質を計測することを良好に行え、しかも、長期間に亘って内部品質を適正に計測することが可能な粉粒体の内部品質測定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光が横断透過可能に構成された粉粒体収納容器が装填される装填箇所に対してその装填箇所を横断する横断方向に向けて計測用光を投光する投光手段と、前記装填箇所からの光を受光する受光手段とが、前記装填箇所の両側に振り分け配置され、
前記装填箇所が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って光を通過自在に構成され、
前記粉粒体収納容器が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って光を透過させる状態で前記装填箇所に装填自在に構成され、
前記受光手段にて受光されて導かれる光を分光する分光手段、及び、その分光手段にて分光された光の強度を波長毎に検出する光強度検出手段を備えた分光部、並びに、前記光強度検出手段の検出結果に基づいて内部品質を求める内部品質評価手段が設けられた粉粒体の内部品質計測装置であって、その第1特徴構成は、
前記投光手段、前記受光手段、前記分光部、及び、前記内部品質評価手段部が、可搬型のケーシングの内部に収納され、
前記装填箇所が、前記ケーシングの外壁部に形成した挿脱孔を通して前記粉粒体収納容器を挿脱可能な状態で、且つ、前記ケーシングの内部と仕切り壁にて区画された状態で設けられている点にある。
【0008】
すなわち、可搬型のケーシングの内部に、投光手段、受光手段、分光部、及び、内部品質評価手段が収納されているから、投光手段、受光手段、分光部、及び、内部品質評価手段を種々の計測箇所に搬送することを、一つのケーシングを種々の箇所に搬送することにより行うことができる。
また、ケーシング内に収納されている投光手段、受光手段、分光部、及び内部品質評価手段は、既に、ケーシング内において使用可能な状態に組み付けられかつ情報伝達のために配線されているから、ケーシングを種々の計測箇所に搬送しさえすれば、面倒な配線作業を行うことなく使用できる。
したがって、種々の計測箇所において内部品質を計測することを良好に行えるものとなるのである。
【0009】
また、粉粒体収納容器の装填箇所が、ケーシングの外壁部に形成した挿脱孔を通して粉粒体収納容器を挿脱可能な状態で、且つ、ケーシングの内部と仕切り壁にて区画された状態で設けられているから、挿脱孔を通して外部の塵埃が装填箇所に侵入することがあっても、仕切り壁にて塵埃が装填箇所からケーシングの内部に侵入することが抑制されるものとなるため、ケーシングの内部に収納した投光手段、受光手段、分光部、及び、内部品質評価手段が、塵埃の付着により、誤作動を起こすことを抑制できる。
したがって、長期間に亘って内部品質を適正に計測することが可能となる。
【0010】
要するに、本願発明の第1特徴構成によれば、種々の計測箇所において内部品質を計測することを良好に行え、しかも、長期間に亘って内部品質を適正に計測することが可能な粉粒体の内部品質測定装置を提供できるのである。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記ケーシングが、アルミニューム製の主体部分とその主体部分に組み付けられる補助部分とから構成され、
前記投光手段の支持部分が、前記主体部分に連結されている点にある。
【0012】
すなわち、ケーシングがアルミニューム製の主体部分とその主体部分に組み付けられる補助部分とから構成され、投光手段の支持部分が、主体部分に連結されているから、投光手段が発生する熱を支持部分から主体部分に伝えて、アルミニューム製で形成されることにより熱伝導性が優れた主体部分の全体を放熱部材として用いて、投光手段が発生する熱を外部に放熱することが可能となる。
【0013】
このようにケーシングが投光手段の発生熱を外部に良好に放熱することになるので、ケーシングの内部を冷却するための通風装置を設けるにしても、通風能力の小さなものに済ませることができる。
つまり、投光手段の発生熱にてケーシングの内部が異常高温になるのを抑制しながらも、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0014】
要するに、本願発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、装置のコンパクト化を図ることが可能な粉粒体の内部品質測定装置を提供できる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
主体部分に、可搬用の把手が一体形成される状態で設けられている点にある。
【0016】
すなわち、可搬用の把手が設けられているから、ケーシングを種々の計測箇所に搬送する際に、把手を支持してケーシングを移動できるため、種々の計測箇所にケーシングを搬送して内部品質を計測することを良好に行えるものとなる。
また、把手が、アルミニューム製の主体部分と一体形成されているから、把手が、投光手段が発生する熱にて熱せられることになり、例えば、内部品質計測装置を低温貯蔵庫内等の低温箇所で使用する際に、把手が冷たく感じるのを回避できるものとなる等、低温箇所にて把持部を支持してケーシングを搬送することを良好に行えるものとなる。
【0017】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、ケーシングの搬送を一層良好に行える粉粒体の内部品質計測装置を提供できる。
【0018】
本発明の第4特徴構成は、上記第2又は第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記ケーシングの内部に、内部空気を攪拌する空気攪拌用の電動ファンが装備されている点にある。
【0019】
すなわち、ケーシングの内部に装備した空気攪拌用の電動ファンにて、ケーシングの内部空気を攪拌することにより、内部空気が主体部分に接触することにより、ケーシング内部の熱が主体部分より外部に放熱されるものとなる。
このようにケーシングの内部空気を攪拌することにより、ケーシングの内部の冷却を行うものであるから、ケーシングの内部に外部空気を導入しかつケーシングの内部空気を外部に排出する開口をケーシングに形成することなく、ケーシングの内部の冷却を行えるものとなり、ケーシングの内部の冷却のために形成する開口を通して外部の塵埃がケーシング内に侵入することを抑制して、ケーシングの内部に収納した投光手段、受光手段、分光部、及び、内部品質評価手段が、塵埃の付着により、誤作動を起こすことを抑制できる。
【0020】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第2又は第3特徴構成による作用効果に加えて、内部品質を一層適正に計測することが可能となる粉粒体の内部品質計測装置を提供できる。
【0021】
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれかに加えて、
前記粉粒体収納容器が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って間隔を隔てて位置する一対の対向壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成され、
前記装填箇所が、前記仕切り壁における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成され、
前記粉粒体収納容器における一対の対向壁部分の夫々に備えさせる光透過用ガラス、及び、前記装填箇所における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に備えさせる光透過用ガラスからなる4枚のガラスが、傾きあるいは厚さを互いに異ならせる状態で配設されている点にある。
【0022】
すなわち、粉粒体収納容器が、投光手段と受光手段との並び方向に沿って間隔を隔てて位置する一対の対向壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成されるものであるから、粉粒体収納容器における外周部分の一部を光透過のために開口させることなく、粉粒体を密封状態で収納する粉粒体収納容器を構成できるものとなる。
【0023】
また、装填箇所が、仕切り壁における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成されるものであるから、仕切り壁における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分を、金属製等の丈夫な部材にて形成して、その投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させることにより、光を透過可能に構成できるものとなる。
つまり、投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の全体を、光を透過可能な部材、例えば透明な樹脂にて形成しても、光を透過可能に構成できるが、仕切り壁における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成することにより、粉粒体収納容器が装填される装填箇所の強度を上昇させることができる。
【0024】
そして、粉粒体収納容器における一対の対向壁部分の夫々に備えさせる光透過用ガラス、及び、装填箇所における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に備えさせる光透過用ガラスからなる4枚のガラスが、傾きあるいは厚さを互いに異ならせる状態で配設されているから、4枚のガラスが並行姿勢で且つ厚さが同じとなるように配設される場合に生じる虞がある光の干渉の発生を回避して、内部品質の計測を良好に行える。
【0025】
したがって、第5特徴構成によれば、上記第1〜第4特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、粉粒体を密封状態で粉粒体収納容器に収納させるようにすることができ、しかも、装填箇所の強度を上昇させることができ、加えて、光の干渉の発生を回避して、内部品質の計測を良好に行える粉粒体の内部品質計測装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】内部品質計測装置の正面側からの斜視図
【図2】同装置の背面側からの斜視図
【図3】同装置の切欠側面図
【図4】同装置を通常姿勢にした使用状態を示す正面図
【図5】同装置を仰向け姿勢にした使用状態を示す図
【図6】同装置の計測構成を示す概略図
【図7】フィルタ装備用円板の正面図
【図8】電源回路図
【図9】粉粒体計測部の分解斜視図
【図10】粉粒体計測部の縦断背面図
【図11】粉粒体収納容器の分解斜視図
【図12】容器本体と蓋体との縦断側面図
【図13】別実施形態を示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、粉粒体の内部品質計測装置(以下、単に内部品質計測装置と記載する)は、ケーシングWの内部に、粉粒体計測部L、分光計測部M、マイクロコンピュータを主要部として構成された制御部Z、冷却用の空気を送風する冷却用送風機F等を収納する形態で構成され、そして、ケーシングWの壁面部に、制御部Zに各種制御情報を指令し且つ制御部Zにて後述の如く求められる内部品質を読み取り可能な表示情報として表示するタッチパネル式の液晶表示部Bが設けられている。
【0028】
粉粒体計測部L及び分光計測部Mは、ケーシングW内に、分光計測部Mを粉粒体計測部Lの下方に位置させた形態で設けられ、制御部Z及び電池Gが、ケーシングW内における粉粒体計測部Lの下方に、分光計測部Mと並ぶ状態で設けられている。
【0029】
図3及び図6に示すように、粉粒体計測部Lには、光が横断透過可能に構成された粉粒体収納容器Uが装填される装填箇所Pが設けられ、その装填箇所Pに対してその装填箇所Pを横断する横断方向に向けて計測用光を投光する投光手段1と、装填箇所Pからの光を受光する受光手段2とが、装填箇所Pの両側に振り分け配置されている。
そして、装填箇所Pが、投光手段1と受光手段2との並び方向に沿って光を通過自在に構成され、粉粒体収納容器Uが、投光手段1と受光手段2との並び方向に沿って光を透過させる状態で前記装填箇所Pに装填自在に構成されている。
【0030】
図6に示すように、分光計測部Mには、受光手段2にて受光されて光案内手段3にて導かれる光を分光する分光部30が設けられ、その分光部30には、分光された光の強度を波長毎に検出する光強度検出手段としての受光センサ4が備えられている。
受光手段2及び光案内手段3は、一つの光ファイバーケーブルにて構成され、その光ファイバーケーブルの装填箇所側の端部にて、受光手段2の受光端部2Aが形成される。
【0031】
制御部Zは、内部品質計測装置の全体の運転制御を管理するように構成され、また、受光センサ4の検出データに基づいて粉粒体の内部品質を求める内部品質評価手段100として機能するように構成されている。
【0032】
ケーシングWは、底壁部、前壁部、及び、上壁部を備える状態に成型加工されたアルミニューム製のケーシング本体41、板金製の左右の側壁部分42L、42R、板金製の背壁部分43、左側の側壁部分42Lに開閉自在にヒンジにより接続された開閉カバー部分44から構成されている。
そして、左右の側壁部分42L、42R及び背壁部分43が、ケーシング本体41にビス止めされた状態で組み付けられ、点検調整時には、背壁部分43をケーシング本体41から取り外すことにより、ケーシングWの内部を露出できるように構成されている。
開閉カバー部分44は、左右の側壁部分42L、42R及び背壁部分43をケーシング本体41に組み付けた状態で、開閉できるように構成され、そして、開き状態において、電池Gの装着部を露出できるように構成されている。
【0033】
液晶表示部Bは、その表示画面をケーシング本体41の外面と平行な姿勢とする状態で設けられ、且つ、各制御情報を入力するためのボタン類を表示して、各種の制御情報を入力するように構成されている。
つまり、液晶表示部Bは、図4及び図5(b)に例示するように、計測対象の粉粒体の種類を選択する情報、計測を開始する指令情報、及び、表示を上下反転させる指令情報等の制御情報を入力するためのボタン類を表示し、且つ、内部品質の計測結果等を表示するように構成されている。
説明を加えると、この実施形態においては、計測対象の粉粒体の種類として、生籾、生玄米、乾玄米、精米のうちのいずれかを選択できるように構成されている。
また、表示を上下反転させる指令が指令されると、指令されるごとに、表示を上下反転させるように構成されている。
【0034】
図2に示すように、ケーシングWの左側壁部分42Lの上端側箇所に、内部品質計測装置の運転開始及び停止を指令する電源スイッチ17、外部から電力を供給する外部電源接続部19、及び、内部品質の計測結果等を出力するデータ出力ケーブル接続部21が取り付けられている。
【0035】
この内部品質計測装置は、上記した外部電源接続部19から供給される外部電力、及び、搭載した電池Gから供給される電力のいずれかにて駆動されるように構成されている。
すなわち、図8に示すように、外部電源接続部19から外部電力(DC12V)が供給されるか否かを検出して、外部電力が供給されていると、制御部Zを搭載するメイン基板70及び投光手段1に対する定電圧回路71に対して外部電源接続部19に供給された外部電力を供給し、且つ、外部電力が供給されていないと、メイン基板70及び投光手段1に対する定電圧回路71に対して電池Gの電力(DC12V)を供給する電源切替回路72が設けられ、また、外部電源接続部19から外部電力(DC12V)が供給されているときには、その外部電力にて電池Gを充電する充電回路73が設けられている。
【0036】
外部電源接続部19に接続可能な電源ケーブルとして、AC100Vの電源にコンセントにより接続され且つAC100VをDC12Vに変換する変換器22を備えるAC100V用の電源用ケーブル18A、及び、自動車やトラック等の作業車に装備のシガレットライタ接続部に接続されてDC12Vの電力を供給するDC12V用の電源ケーブル18Bが設けられている。
【0037】
図2に示すように、ケーシングWにおける右側壁部分42Rに、上述した冷却用送風機Fが取り付けられ、図2及び図3に示すように、背壁部分43には、冷却用送風機Fの通風作用によりケーシングW内に冷却用空気を吸い込むための吸気口47が形成され、その吸気口には除塵用フィルタ48が装備されている。
【0038】
ケーシング本体41には、その上壁部に連なる吊り下げ支持用の把手Tが、一体成型された状態で設けられている。この把手Tは、ケーシング本体41の上壁部から上方に延びる一対の腕部41Aと、その腕部41Aの上端部に位置する把持部41Bとを備える状態に構成され、腕部41Aの長手方向の中間部のうちの少なくとも一部がケーシングWの背部から離れる方向に突出するように構成されている。
つまり、図3に示すように、各腕部41Aは、ケーシングWの側面視において、ケーシングWの背壁部分43よりも外方側に離れるように突出し且つ上端部がケーシングWの前後幅方向の中央箇所よりもやや背部側に片寄った箇所に位置する形態で、概ね円弧状に形成されている。
【0039】
図3に示すように、ケーシングWのケーシング本体41における底壁部が、ケーシングWの背壁部分43よりも外方側に離れるように突出するように形成されて、その突出部分にて、脚用突出部41Dが構成されている。
そして、ケーシングWが、図4に示すように、把手Tを上方側に位置させた状態で設置する通常姿勢と、図5に示すように、把手Tの腕部41A及び脚用突出部41Dを脚とした状態で設置する仰向け姿勢とで設置可能に構成されている。
図5(a)は、ケーシングWが仰向け姿勢で設置された状態の側面図を示し、図5(b)は、ケーシングWが仰向け姿勢で設置された状態での正面図を示す。
つまり、内部品質計測装置を地面や床面等に設置するときには、ケーシングWを通常姿勢にて設置することにより、液晶表示部Bを視認し易く、しかも、その液晶表示部Bを操作し易いものとなり、また、内部品質計測装置を机や作業台等の上に設置するときには、ケーシングWを仰向け姿勢に設置することにより、液晶表示部Bを視認し易く、しかも、その液晶表示部Bを操作し易いものとなる。尚、図4及び図5における液晶表示部Bには、表示画面の一例として、計測対象とする粉粒体を選択する画面が例示されており、その表示画面中には、表示を上下反転させる指令箇所も表示されている。
【0040】
図1に示すように、ケーシングWのケーシング本体41における前壁部の上方側部分の左右方向の略中央箇所には、粉粒体収納容器Uを装填箇所Pに挿脱するための縦長矩形状の容器挿脱用開口部46が形成されている。
そして、粉粒体収納容器Uが、容器挿脱用開口部46を通して装填箇所Pに挿脱されるように構成されている。
【0041】
粉粒体収納容器Uについて説明を加えると、図10〜図12に示すように、截頭円錐状の収納部50を備える容器本体51、その容器本体51に対してヒンジピン53にて開閉自在に枢支された蓋体52、及び、容器本体51に対してヒンジピン55にて揺動自在に枢支されて、閉じ姿勢の蓋体52の端部に係合して、蓋体52を閉じた状態にロックする揺動式のロック体54が設けられている。
そして、蓋体52を閉じた状態において、投光手段1と受光手段2との並び方向に沿って間隔を隔てて位置する一対の対向壁部分としての、容器本体51の壁部分51A及び蓋体52の壁部分52Aの夫々に、光透過用ガラス51B、52Bが装備されて、光を透過可能に構成されている。
【0042】
容器本体51の壁部分51A及び蓋体52の壁部分52Aの夫々に備えさせる光透過用ガラス51B、52Bの夫々は、光の干渉防止のために、投光手段1の光軸Kに直交する姿勢に対して、蓋体52の揺動軸芯方向視にて互いに異なる方向に設定角度α(例えば0.7度)を傾けた姿勢で装着されている。
つまり、容器本体51の壁部分51A及び蓋体52の壁部分52Aの夫々における光透過用孔51C、52Cの周縁部が、光透過用ガラス51B、52Bを接着にて取り付ける支持部として機能することになり、そして、その支持部が、光透過用ガラス51B、52Bを傾けた姿勢で支持するように構成されている。
【0043】
粉粒体収納容器Uに粉粒体を収納する操作手順について説明をすると、収納部50に粉粒体を山盛り状態に投入し、その後、すりきりして余分な粉粒体を粉粒体収納容器Uの外方に排除し、次に、蓋体52を閉じて、粉粒体を収納部50の内部に加圧状態に保持するようにする。
そして、図1及び図2に示すように、ロック体54が位置する側をケーシングWの奥側に位置させる状態で装填箇所Pに挿入させることになる。
ちなみに、ロック体54には、磁性材からなる被保持体57が止着され、また、容器本体51には、粉粒体収納容器Uを装填箇所Pに挿入した状態において、容器挿脱用開口部46に内部にはまり込む4角状の化粧用板体58が装着されている。
尚、被保持体57は、図3に示すように、粉粒体収納容器Uを装填箇所Pに挿入した状態に保持するマグネット式保持具56が吸着作用することになる。
【0044】
粉粒体計測部Lについて説明を加える。
図3、図9及び図10に示すように、前部が全体にわたって開口され且つ粉粒体収納容器Uの装填箇所Pを備える直方体形状の計測部形成用のフレーム11が、装填箇所Pの前部の開口部を容器挿脱用開口部46に臨ませた状態で、ケーシング本体41の内面側にビスにて止着する状態で取り付けられている。
つまり、フレーム11は、左横側壁部11L、右横側壁部11R、上側壁部11U、下側壁部11D、及び、背壁部11Bを備える状態に、金属性の板状部材を接続して構成され、そのフレーム11の内部を左右に仕切る金属製の仕切用壁部12が、フレーム11の内部にビス止めされる状態で装備されている。
【0045】
装填箇所Pが、仕切用壁部12と左側壁部11Lとの間に形成され、フレーム11の上側壁部11U及び下側壁部11Dにおける装填箇所Pに対応する部分に、粉粒体収納容器Uを摺動案内する案内プレート13が取り付けられている。
したがって、装填箇所Pは、投光手段側の側壁部分として仕切用壁部12及び受光手段側の側壁部分としての左側壁部11Lの間に、粉粒体収納容器Uを挿脱自在に構成されている。
尚、本実施形態においては、仕切用壁部12、左側壁部11L、上側壁部11U、下側壁部11D、及び、背壁部11Bが、装填箇所PをケーシングWの内部と区画する仕切り壁を構成することになる。
【0046】
装填箇所Pにおける受光手段側の左側壁部11L及び投光手段側の仕切用壁部12の夫々に、光透過用開口14L、14Rが形成され、受光手段側の左側壁部11L及び投光手段側の仕切用壁部12の夫々に、光透過用開口14L、14Rを塞ぐ状態で、光透過用ガラス15L、15Rが装備されて、装填箇所Pが光を透過可能に構成されている。
装填箇所Pは、フレーム11における仕切用壁部12、左側壁部11L、上側壁部11U及び下側壁部11Dによって、ケーシングWの内部と区画形成されており、容器挿脱用開口部46を通して外部から侵入する塵埃類がケーシングWの内部に侵入することを抑制するようになっている。
【0047】
装填箇所Pにおける左側壁部11Lに備えさせる光透過用ガラス15Lが、投光手段1の光軸Kと直交する姿勢で設けられ、且つ、粉粒体収納容器Uに備えさせる一対の光透過用ガラス51B、52B及び仕切用壁部12に備えさせる光透過用ガラス15Rよりも厚く形成されている。
尚、本実施形態においては、左側壁部11Lに備えさせる光透過用ガラス15Lの厚さが2mmであり、仕切用壁部12に備えさせる光透過用ガラス15Rの厚さが1mmであり、粉粒体収納容器Uに備えさせる一対の光透過用ガラス51B、52Bののうち、容器本体51に備える光透過用ガラス51Bの厚さが1.1mmで、蓋体52に備える光透過用ガラス52Bの厚さが1.5mmである。
【0048】
装填箇所Pにおける仕切用壁部12に備えさせる光透過用ガラス15Rが、正面視において、投光手段1の光軸Kに対して設定角度β(例えば、0.96度)を傾斜する姿勢となるように設けられている。つまり、仕切用壁部12が、光透過用ガラス15Rを上述の傾斜姿勢とする姿勢でフレーム11に対してビスにて止着される状態で取り付けられている。
尚、仕切用壁部12に備えさせる光透過用ガラス15Rは、投光手段1から投射される光のうちの遠赤外線波長範囲光をカットする熱カットフィルタである。
【0049】
したがって、粉粒体収納容器Uにおける容器本体51の壁部分51A及び蓋体52の壁部分52Aの夫々に備えさせる光透過用ガラス51B、52B、及び、装填箇所Pにおける左側壁部11L及び投光手段側の仕切用壁部12に備えさせる光透過用ガラス15L、15Rからなる4枚のガラスが、傾きあるいは厚さを互いに異ならせる状態で配設されることになり、光の干渉が抑制されるように構成されている。
【0050】
投光手段1が、赤外線光を放射するハロゲンランプ等の光源1Aからの光を反射体1Bにより集光させた状態で装填箇所Pに装填される粉粒体収納容器Uに投光するように構成され、詳しくは、投光手段1が、フレーム11の右横側壁部11Rに取り付けられ、そして、粉粒体収納容器Uよりも受光手段側の箇所を焦点Sとして光を集光させるように構成されている。
ちなみに、投光手段1から発生する熱が、フレーム11を介してケーシング本体41に伝達されることになり、ケーシング本体41は、熱伝導性に優れたアルミニューム材にて構成され、且つ、大きな表面積を備えるため、投光手段1が発生する熱を放熱する放熱体として機能することになる。尚、ケーシング本体41と一体成型される把手Tが、投光手段1が発生する熱にて熱せられることになり、この内部品質計測装置を低温貯蔵庫内等の低温箇所で使用する際に、把手Tが冷たく感じるのを回避できるものとなる。
【0051】
受光手段2の受光用端部2Aが、装填箇所Pに装填される粉粒体収納容器Uに近接する状態で配設されて、光案内体16の内部空間を通して装填箇所Pからの光を受光するように設けられている。説明を加えると、有底筒状の光案内体16が、その開口側の前端部を装填箇所Pにおける受光手段側の側壁部分としての左横側壁部11Lに当て付けてビスにて止着された状態で配設され、受光手段2の受光用端部2Aが、光案内体16の内部空間を通して導かれる装填箇所Pからの光を受光するように、光案内体16の底壁部分に、投光手段1における焦点Sに対応する位置に位置する状態で装着されている。尚、光案内体16の内部空間を形成する壁面は、光の反射を抑制すべく黒色に着色されている。
【0052】
ちなみに、本実施形態においては、投光手段1にて投光される光が集光する焦点S、つまり、受光手段2の受光端部2Aは、装填箇所Pに装填される粉粒体収納容器Uの蓋体52に装着した光透過用ガラス52Bの外面から17.8mm離れた位置である。そして、フレーム11の左横側壁部11Lに装着した光透過用ガラス15Lの外面から受光手段2の受光端部2Aまでの間隔は、13mmである。
尚、装填箇所Pに装填される粉粒体収納容器Uの蓋体52に装着した光透過用ガラス52Bの外面から受光手段2の受光端部2Aまでの間隔、つまり、受光手段2の受光端部2Aを装填箇所Pに装填される粉粒体収納容器Uに近接させる位置は、受光端部2Aの受光量及び粉粒体収納容器Uに対する受光範囲が許容できる範囲において適宜変更できるものである。
【0053】
フレーム11の背壁部11Bには、粉粒体収納容器Uを保持する上述したマグネット式保持具56が設けられている。
このマグネット式保持具56は、装填箇所Pに粉粒体収納容器Uが挿入されと、その粉粒体収納容器Uを計測用位置に吸着保持し、そして、その状態において粉粒体収納容器Uを少し押し込むと、吸着を解除して粉粒体収納容器Uを外方に押し移動させる、いわゆるラッチ式に構成されている。
【0054】
フレーム11の上側壁部11Uには、投光手段1からの光が装填箇所Pに届かないように遮光するシャッタ8を開閉操作するシャッタ開閉操作用のソレノイド9が設けられている。
シャッタ8は、計測を行うときには、フレーム11の上方に突出する開き姿勢に操作され、計測を行わないときには、フレーム11内に収納される閉じ姿勢に操作されることになる。
【0055】
光案内体16に、較正用の参照光を受光する参照光受光手段6が、その受光端部6Aを投光手段1により光が集光される領域Hを外れた領域の光を受光する状態で、且つ、受光手段2と並設される状態で設けられている。
そして、参照光受光手段6にて受光された光を分光計測部Mに導く光案内手段7が設けられている。
参照光受光手段6及び光案内手段7は、光ファイバーケーブルを用いて構成されるものであって、粉粒体の計測を行う際に用いる基準データを求めるのに使用される。
【0056】
すなわち、後述の如く、受光手段2にて受光された光を分光部30に導く通常計測状態と参照光受光手段6にて受光されかつ基準計測体35を透過した光を分光部30に導く較正データ計測状態とに切り換える光切換手段Dが設けられている。
そして、内部品質評価手段100、つまり制御部Zが、光切換手段Dを通常計測状態に切り換えた状態における受光センサ4の検出データに基づいて内部品質を求める品質計測モードと、光切換手段Dを較正データ計測状態に切り換えた状態における受光センサ4の検出データに基づいて基準データを求める基準データ計測モードとに切換自在に構成され、且つ、計測モードにおいて、受光センサ4の検出データ及び基準データ計測モードにて求めた前記基準データに基づいて前記内部品質を求めるように構成されている。尚、内部品質を求める処理については後述する。
【0057】
分光計測部Mについて説明を加える。
図6に示すように、分光部30は、受光手段2及び参照光受光手段6にて受光されて導かれる光を入射させる入射スリット31sを備えた分光用暗箱31と、その分光用暗箱31に収納されて、入射スリット31sから入射した光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子33と、分光用暗箱31に収納されて、凹面回折格子33にて分光された光を波長毎に受光する上述の受光センサ4から構成されている。
分光された光を波長毎に受光する受光センサ4は、1024画素の電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。
【0058】
上述した光切換手段Dは、分光用暗箱31に外部からの光の侵入を遮断するように接続された入射用暗箱32を備え、その入射用暗箱32に、受光手段2にて受光された光を案内する案内手段3の端部及び参照光受光手段6にて受光された光を案内する案内手段7の端部を貫通する状態で支持し、そして、入射用暗箱32の内部に、受光手段1にて受光されて導かれる光を入射スリット31sに入射させる状態と、参照光受光手段6にて受光されて導かれる光を入射スリット31sに入射させる状態とに切り換える入射光切換部60、及び、基準計測体35を備えるフィルタ装備用円板25を装備して構成されている。
【0059】
入射光切換部60は、計測光用中継ファイバ62a及び参照光用中継ファイバ62bを備えたファイバ支持体62、及び、このファイバ支持体62を位置変更操作する入射光切換用モータ63を装備して構成されている。
つまり、ファイバ支持体62が、計測光用中継ファイバ62aの入射端面が受光手段2に対応する光案内手段3の出射端面に対向し且つ計測光用中継ファイバ62aの出射端面が分光部用暗箱31の入射スリット31sに対向する通常計測位置と、参照光用中継ファイバ62bの入射端面が参照光受光手段6に対応する光案内手段7の出射端面に対向し且つ参照光用中継ファイバ62bの出射端面が分光部用暗箱31の入射スリット31sに対向する基準データ計測位置とにスライド移動自在に設けられ、そして、入射光切換用モータ63が、ラックピニオン式の連係機構64を介して、通常計測位置と基準データ計測位置とにファイバ支持体62を位置変更操作するように構成されている。
【0060】
そして、入射光切換用モータ63によりファイバ支持体62を通常計測位置に切り換えると、案内手段3にて導かれる光が計測光用中継ファイバ62aを介して入射スリット31sから分光部用暗箱31に入射され、入射光切換用モータ63によりファイバ支持体62を基準データ計測位置に切り換えると、参照光受光手段6にて導かれる光が参照光用中継ファイバ62bを介して入射スリット31sから分光部用暗箱31に入射されるように構成されている。
【0061】
フィルタ装備用円板25は、入射光切換部用暗箱61内におけるファイバ支持体62と分光部用暗箱31の入射スリット31sとの間に、入射スリット31sに入射する入射光路に直交する姿勢で、且つ、フィルタ切換用モータ26にて入射光路に平行な軸心周りに回転駆動自在に設けられている。
フィルタ装備用円板25には、図7に示すように、円周に沿って並ぶ状態で、所定の透過率を有するリファレンスフィルタ35A、成分分析用の波長範囲において少なくとも2つのピーク部を備えた較正用光が得られる波長較正用フィルタ35B、及び、光を通過させる光通過用開口36が備えられている。
尚、リファレンスフィルタ35A及び波長較正用フィルタ35Bが、基準計測体35を構成することになる。
【0062】
制御部Zは、上述の如く内部品質計測装置の全体の運転を管理し且つ粉粒体の内部品質を求める内部品質評価手段100として機能するものであり、詳しくは、液晶表示部B等からの各種制御情報に基づいて、液晶表示部Bの表示作動、シャッタ用ソレノイド9の駆動、フィルタ切換用モータ26の駆動、入射光切換用モータ63の駆動等を制御し、そして、受光センサ4の検出情報に基づいて粉粒体の内部品質を求める演算処理を実行するように構成されている。
【0063】
すなわち、制御部Zは、光切換手段Dを通常計測状態に切換えた状態における受光センサ4の検出データ、つまり、粉粒体を透過した光のスペクトルデータ(以下、計測用スペクトルデータと記載する場合がある)に基づいて内部品質を求める品質計測モード、光切換手段Dを較正データ計測状態に切換えた状態における受光センサ4の検出データに基づいて基準データを求める基準データ計測モード、及び、光が遮断された状態での受光センサ4の出力値(以下、暗電流データと記載する場合がある)を得る暗電流データ計測モードに切換えられるように構成されている。
さらに、制御部Zは、基準データ計測モードとして、リファレンスフィルタ35Aを透過した光のスペクトルデータ(以下、基準スペクトルデータと記載する場合がある)を計測するリファレンスデータ計測モード、及び、波長較正用フィルタ35Bを通過した光のスペクトルデータ(以下、波長較正スペクトルデータと記載する場合がある)を計測する波長較正データ計測モードに切換え自在に構成されている。
【0064】
制御部Zは、基準データ計測モードとしての、リファレンスデータ計測モードにおいては、空の粉粒体収納容器Uが装填箇所Pに装填されている状態で、シャッタ8を開くようにシャッタ用ソレノイド9を制御し、リファレンスフィルタ35Aを入射光路に位置させるように入射光切換用モータ63を制御し、受光センサ4の出力値を基準データとしての基準スペクトルデータとして得るように構成されている。
つまり、このリファレンスデータ計測モードでは、空の粉粒体収納容器Uを透過した光が入射スリット31sから分光部用暗箱31に入射してリファレンスフィルタ35Aを透過し、リファレンスフィルタ35Aを透過した光が凹面回折格子33により分光され、分光された光が受光センサ4にて受光されて波長毎のデータが求められることになる。
【0065】
制御部Zは、基準データ計測モードとしての、波長較正データ計測モードでは、空の粉粒体収納容器Uが装填箇所Pに装填されている状態で、シャッタ8を開くようにシャッタ用ソレノイド9を制御し、波長較正用フィルタ35Bを入射光路に位置させるようにフィルタ切換用モータ26を制御して、受光センサ4の出力値を基準データとしての波長較正用スペクトルデータとして得るように構成されている。
つまり、この波長較正データ計測モードでは、空の粉粒体収納容器Uを透過した光が入射スリット31sから分光部用暗箱31に入射して波長較正用フィルタ35Bを透過し、波長較正用フィルタ35Bを透過した光が凹面回折格子33により分光され、分光された光が受光センサ4にて受光されて波長毎のデータが求められることになる。
ちなみに、波長較正用スペクトルデータは、特定波長が他の波長よりも出力値が大きいものであり、制御部Zは、この波長較正用スペクトルデータ用いて、受光センサ4の複数の受光素子と受光波長との対応関係を求めるように構成されている。
【0066】
制御部Zは、暗電流データ計測モードでは、シャッタ8を閉じるようにシャッタ用ソレノイド9を制御して、受光センサ4の出力値を暗電流データとして得るように構成されている。
【0067】
制御部Zは、品質計測モードにおいては、粉粒体が充填された粉粒体収納容器Uが装填箇所Pに装填されている状態で、シャッタ8を開くようにシャッタ用ソレノイド9を制御し、フィルタ装備用円板25の光通過用開口36を入射光路に位置させるようにフィルタ切換用モータ26を制御して、受光センサ4の出力値を計測用スペクトルデータとして得るように構成されている。
つまり、この計測用スペクトルデータでは、粉粒体収納容器Uに充填されている粉粒体を透過した光が入射スリット31sから分光部用暗箱31に入射して凹面回折格子33により分光され、その分光された光が受光センサ4にて受光されて波長毎のデータが求められることになる。
【0068】
そして、制御部Zは、品質計測モードにおいては、基準データ計測モードとしての波長較正データ計測モードにて得た波長較正用スペクトルデータ用いて、受光センサ4の複数の受光素子と受光波長との対応関係を定め、その状態において、品質計測モードにて得た計測用スペクトルデータ、基準データ計測モードとしてのリファレンスルデータ計測モードにて得た基準スペクトルデータ、及び、暗電流データ計測モードにて得た暗電流データを用いて、分光された光の波長毎の吸光度スペクトルデータを正規化した状態で求め、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、その二次微分値及び予め設定されている検量式により、粉粒体に含まれる水分、たんぱく質、アミロース等の含有率や、粉粒体の食味を内部品質として求めるように構成されている。
【0069】
説明を加えると、吸光度スペクトルデータdは、計測用スペクトルデータをSdとし、基準スペクトルデータをRdとし、暗電流データをDaとすると、下記の式1にて求められる。
【0070】
〔式1〕
d=log[(Rd−Da)/(Sd−Da)]
【0071】
そして、得られた吸光度スペクトルデータdを二次微分した値のうち特定波長の値と、下記の式2に示される検量式とを用いて、粉粒体の内部品質が求められる。
【0072】
〔式2〕
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)……
【0073】
但し、
Y ;内部品質情報
K0,K1,K2……;係数
A(λ1),A(λ2 )……;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0074】
検量式は、複数種の粉粒体の夫々について、計測する内部品質の項目毎に予め設定されて、制御部Zに記憶されている。
つまり、計測する複数種の粉粒体の夫々について、計測する内部品質情の項目毎に、特定波長λ1、λ2……、係数K0,K1,K2……が設定されて、検量式が設定されている。
【0075】
この実施形態の内部品質計測装置では、生籾については、水分及びタンパク質夫々の計
測用の検量式が設定され、生玄米(乾燥されていない玄米)については、水分、たんぱく質及び食味夫々の計測用の検量式が設定され、乾玄米(乾燥された玄米)及び精米の夫々については、水分、タンパク質、アミロース及び食味夫々の計測用の検量式が設定されている。
【0076】
以下、この内部品質計測装置を用いて粉粒体を計測する操作について説明を加える。
先ず、空の粉粒体収納容器Uを装填箇所Pに装填した状態において、液晶表示部Bにより予備計測開始指令を指令する。
制御部Zは、液晶表示部Bにより予備計測開始指令が指令されると、ファイバ支持体62を基準計測位置に切換え、フィルタ装備用円板25のリファレンスフィルタ35Aを入射光路に位置させるようにフィルタ切換用モータ26を制御した状態で、予備計測用の設定計測時間(例えば30msec)の間、シャッタ8を開くようにシャッタ用ソレノイド9を制御して、受光センサ4における複数の受光素子の出力値のうちのピーク出力値を予備計測データとして得る予備計測モードを実行する。
そして、制御部Zは、予備計測データが空容器判別用設定値以上の場合は、装填箇所に空の粉粒体収納容器Uが装填されていると判別して、リファレンスデータ計測モード、暗電流データ計測モード、及び、波長較正データ計測モードを実行して、基準スペクトルデータ、暗電流データ、及び、波長較正用スペクトルデータを計測する。
【0077】
粉粒体を充填した粉粒体収納容器Uを装填箇所に装填した状態において、計測対象の粉粒体の種別を液晶表示部Bにより指令し、次に、品質計測開始指令を液晶表示部Bにより指令する。
制御部Zは、ファイバ支持体62を通常計測位置に切換え、フィルタ装備用円板25の光通過用開口36を入射光路に位置させるようにフィルタ切換用モータ26を作動させ、粉粒体の種別ごとに定められた計測時間の間、シャッタ8を開くようにシャッタ用ソレノイド9を制御する状態で、品質計測モードを実行して、計測用スペクトルデータを計測する。
尚、品質計測モードを設定回数(例えば3回)実行して、各モードで計測したデータの平均値を計測用スペクトルデータとするように構成されている。
そして、制御部Zは、計測対象の粉粒体の種別に対応する検量式に基づいて、内部品質を演算して、その演算結果を液晶表示部Bに表示させる。
【0078】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記実施形態では、外気をケーシングWの内部に導入する冷却用送風機Fが、ケーシングWの壁面部に取り付けられる場合を例示したが、図13に示すように、ケーシングWの内部に、内部空気を攪拌する空気攪拌用の電動ファンJを装備して、ケーシングWの内部を冷却するようにしてもよい。この場合、例示するように、投光手段1をケーシング本体41と間に挟むように電動ファンJを配置して、電動ファンJから送風される空気が投光手段1の装着部を通過したのちケーシング本体41に流動させるようにすると、投光手段1の発生熱を効率よく冷却できるものとなる。
【0079】
(ロ) 上記実施形態では、粉粒体収納容器Uとして、容器本体51と、揺動により開閉される蓋体52と、蓋体52を閉じ状態にロックするロック体54とから構成するものを例示したが、蓋体52を容器本体51に対して、開閉自在に螺着する形態に構成する等、粉粒体収納容器Uの具体構成は、各種変更できる。
【0080】
(ハ) 上記実施形態では、受光手段2を光ファイバーケーブルにて構成する場合を例示したが、光路形成用の筒状体の先端部に集光用レンズを備えさせる形態にて構成する等、受光手段2の具体構成は各種変更できるものである。
また、参照光受光手段6も同様に、光路形成用の筒状体の先端部に集光用レンズを備えさせる形態にて構成する等、具体構成は各種変更できるものである。
(ニ) 上記実施形態では、装填箇所Pとして、粉粒体収納容器Uが手動操作により挿脱される凹部状に形成する場合を例示したが、粉粒体収納容器Uを装填箇所Pと外部箇所とに移動操作する駆動機構を設けて、その駆動機構に対する指令により、粉粒体収納容器Uを装填箇所Pに対して出退操作するように構成してもよい。
【0081】
(ホ) 上記実施形態においては、投光手段1と受光手段2とを左右方向に並ぶ形態で設ける場合を例示したが、投光手段1と受光手段2とを上下方向に並ぶ形態で設けるようにする等、粉粒体計測部Lの具体構成は、各種変更できる。
(へ) 上記実施形態では、粉粒体収納容器Uにおける容器本体51の壁部分51A及び蓋体52の壁部分52Aの夫々に備えさせる光透過用ガラス51B、52B、及び、装填箇所Pにおける左側壁部11L及び投光手段側の仕切用壁部12に備えさせる光透過用ガラス15L、15Rからなる4枚のガラスを、傾きあるいは厚さを互いに異ならせる状態で配設するにあたり、傾き及び厚さを異ならせる場合を例示したが、厚さのみ異ならせてもよく、また、傾きのみ異ならせてもよい。
ちなみに、光透過用ガラス51B、52B、及び、光透過用ガラス15L、15Rの夫々を、上記実施形態では、一枚のガラスにて構成したが、複数枚のガラスを積層する状態で構成してもよい。
【0082】
(ト) 上記実施形態では、フレーム11が投光手段1の支持部分を構成する場合を例示したが、フレーム11とは別の部材にて、支持部分を構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 投光手段
2 受光手段
4 光強度検出手段
11D、11B、11L、11U、12 仕切り壁
11L 受光手段側の側壁部分
12 投光手段側の側壁部分
15L、15R 光透過用ガラス
33 分光手段
41 主体部分
42L、42R、43、44 補助部分
46 挿脱孔
51A、52A 対向壁部分
51B、52B 光透過用ガラス
100 内部品質評価手段
J 電動ファン
P 装填箇所
U 粉粒体収納容器
W ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が横断透過可能に構成された粉粒体収納容器が装填される装填箇所に対してその装填箇所を横断する横断方向に向けて計測用光を投光する投光手段と、前記装填箇所からの光を受光する受光手段とが、前記装填箇所の両側に振り分け配置され、
前記装填箇所が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って光を通過自在に構成され、
前記粉粒体収納容器が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って光を透過させる状態で前記装填箇所に装填自在に構成され、
前記受光手段にて受光されて導かれる光を分光する分光手段、及び、その分光手段にて分光された光の強度を波長毎に検出する光強度検出手段を備えた分光部、並びに、前記光強度検出手段の検出結果に基づいて内部品質を求める内部品質評価手段が設けられた粉粒体の内部品質計測装置であって、
前記投光手段、前記受光手段、前記分光部、及び、前記内部品質評価手段部が、可搬型のケーシングの内部に収納され、
前記装填箇所が、前記ケーシングの外壁部に形成した挿脱孔を通して前記粉粒体収納容器を挿脱可能な状態で、且つ、前記ケーシングの内部と仕切り壁にて区画された状態で設けられている粉粒体の内部品質計測装置。
【請求項2】
前記ケーシングが、アルミニューム製の主体部分とその主体部分に組み付けられる補助部分とから構成され、
前記投光手段の支持部分が、前記主体部分に連結されている請求項1記載の粉粒体の内部品質計測装置。
【請求項3】
前記主体部分に、可搬用の把持部が一体形成される状態で設けられている請求項2記載の粉粒体の内部品質計測装置。
【請求項4】
前記ケーシングの内部に、内部空気を攪拌する空気攪拌用の電動ファンが装備されている請求項2又は3に記載の粉粒体の内部品質計測装置。
【請求項5】
前記粉粒体収納容器が、前記投光手段と前記受光手段との並び方向に沿って間隔を隔てて位置する一対の対向壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成され、
前記装填箇所が、前記仕切り壁における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に光透過用ガラスを装備させて、光を透過可能に構成され、
前記粉粒体収納容器における一対の対向壁部分の夫々に備えさせる光透過用ガラス、及び、前記装填箇所における投光手段側の側壁部分及び受光手段側の側壁部分の夫々に備えさせる光透過用ガラスからなる4枚のガラスが、傾きあるいは厚さを互いに異ならせる状態で配設されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉粒体の内部品質計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−2376(P2011−2376A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146687(P2009−146687)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】