説明

粘着性接着材の転写方法

【課題】粘着性接着材を規定の大きさに正確且つ確実に切断分離して転写対象物の所要部位に容易に転写できる、粘着性接着材の転写方法を提供する。
【解決手段】ACF層6を担持したキャリアテープ5が搬送されるテープ搬送経路を挟んで、一対のブレード8a、8aを開閉自在に設けたカッター8とその受け台9を対向配置し、カッター8を搬送されてきたACF層6に対して、垂直方向から進出させてブレード8a、8aの刃先部をキャリアテープ5を残してACF層6にのみ進入させ、この後、一対のブレード8a、8aを受け台9の支持面9aに平行に移動させて開き、ACF層6に形成された切断面s、sを切断ラインLから後順の転写工程で必要とされる距離dだけ離隔させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電接着材等の粘着性接着材の転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネル等の半導体集積回路素子(LSIチップ)を用いる機器の小型薄型化を促進するため、LSIチップを回路基板に導通接続する導通接合部材として、実装面積が小さくてすむ異方性導電接着材(以下、ACF(Anisotropic Conductive Film)という)が多用されている。このACFは、熱硬化性樹脂中に導電性粒子を分散混合してなり、機器のLSIチップ搭載エリアに配置する場合は、通常、ACFをテープ状の離型シート上に積層し、これをリールに巻取り収納して用いられる。
【0003】
このようなACFを例えば液晶表示パネルの製造工程で使用するには、特許文献1に示されるように、リールから繰り出されるACF積層テープをカッターにより所定の長さのACF片に切断し、駆動回路素子としてのLSIチップが搭載されるガラス基板上の所定エリアに熱圧着転写する。この切断プロセスにおいては、搬送媒体としての離型シートを切断することなくACFだけを切断する(以下、ハーフカットという)手法が採られる。
【0004】
しかるに、上述のハーフカットにおいては、カッターの刃先のACFへの進入深さがACFの厚さに厳密に制限されるとともに、ACF自体が粘着性を備えているため、切断分離されていない切り残し部分が生じることがある。切り残し部分が発生すると、転写の際に強制的に引き千切られ、引き千切られた部分が不足するACF片或いは引き千切られた部分が余分なACF片等の不良ACF片によりLSIチップが導通接続されることになり、導通不良や配線のショート等を引き起こす原因となる。
【0005】
また、ハーフカットが正常に実施されても、テープ搬送の精度の限界から、転写位置に送られたACF片のセット位置がずれることがある。この場合、ハーフカットにおける切り目の幅が或る程度広ければその位置ズレを吸収できるが、ハーフカットラインの幅はカッターの刃先幅に対応した極めて狭いものであるため、上記位置ズレを吸収できない。その結果、ずれた状態のままでACFが転写されてしまい、ハーフカット不良の場合と同様に、LSIチップは不良ACF片により導通接続されることになる。
【特許文献1】特開平9−26594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、粘着性接着材を規定の大きさに正確且つ確実に切断分離して転写対象物の所要部位に容易に転写できる、粘着性接着材の転写方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘着性接着材の転写方法は、ベースシート上に剥離可能に積層された粘着性接着材を所定の大きさの接着材片に切断分離して所要部位に転写する粘着性接着材の転写方法であって、前記ベースシートを残し実質的に前記粘着性接着材のみを所定のラインに沿ってカッターにより切断し、形成された切断面の全体を切断ラインから離隔させて前記接着材片を接着材本体から分離させるハーフカット工程と、切断分離された前記接着材片を前記ベースシートと共に所定位置まで搬送し、転写対象物の所要部位に圧着した後前記ベースシートを剥離させる転写工程とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粘着性接着材の転写方法によれば、接着材を所定のラインに沿って接着材片に切断するとともに接着材に形成された切断面を切断ラインから離隔させるから、カッターの刃先を厚さ方向に進退させるだけでは一旦切断されても材料自体の粘着性により再び結合してしまう不具合が解消され、接着材が規定の大きさの接着材片に確実に切断分離される。また、切離された接着材片と接着材本体との間隙を次順の転写プロセスにおける位置ズレを吸収できる程度に充分に大きく確保できる。その結果、正規の大きさに確実に切離された接着材片を転写対象物の所要部位に正確且つ容易に転写できる。また、接着材を除去することなく切断面間の必要な間隙を確保できるから、接着材の絶対量が不足することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の粘着性接着材の転写方法では、ハーフカット工程において、カッターのブレードを接着材の厚さ方向に進入させた後、切断ライン対し直角方向へベースシート表面に沿って移動させることが好ましく、これにより、接着材片の切断面全体を所要量だけ確実に切断ラインから離隔させることができる。
【0010】
また、本発明の粘着性接着材の転写方法では、粘着性接着材の材料として熱硬化性樹脂を用い、ハーフカット工程において、カッターのブレードを所定温度以上に加熱しつつ粘着性接着材を切断することが好ましく、これにより、単にカッターの刃先を接着材に進退させるだけで、接着材片と接着材本体の双方の切断面を硬化させると共に収縮させ、切断面が接着材本体から確実に離隔した接着材片を容易に得ることができる。
【0011】
さらに、本発明の粘着性接着材の転写方法では、カッターのブレードに粘着性接着材に進入させる刃先部分の両側面がなす角度つまり刃先角度が刃先延在方向に沿って漸次変化するものを用い、ハーフカット工程において、ブレードを粘着性接着材の厚さ方向に進入させた後、切断ラインに沿って刃先角度が小さくなる方向へ移動させることが好ましく、これにより、接着材片の切断面を接着材本体から所要量だけ確実且つ容易に離隔させることができる。
【0012】
加えて、本発明の粘着性接着材の転写方法は、粘着性接着材が熱硬化性樹脂からなる基材中に導電性粒子を混合させてなる異方性導電接着材である場合に、特に好適である。
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は本発明方法の一実施形態としての液晶表示パネル製造工程におけるACF転写プロセスの構成を示す模式的説明図で、図2(a)〜(d)はその内のハーフカット工程を段階別に示す説明図である。
【0014】
図1において、繰出しリール1と巻取りリール2及び複数の中継ローラ3、4からなるテープ搬送経路が形成されている。このテープ搬送経路には、キャリアテープ5が矢印方向に移動可能に懸架されている。本実施形態のキャリアテープ5は、ACFを所定位置に搬送移動させるための媒体で且つACFのセパレータ(離型シート)を兼ねており、繰出しリール1から繰り出されるキャリアテープ5上には、所定の層厚に形成されたACF6が容易に剥離可能に積層されている。
【0015】
ACF6は、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂中に導電性粒子として平均粒径が約5μm以下の金メッキされた樹脂粒子を分散混合してなり、端子間ピッチが50μm程度の微細ピッチ端子同士の導通接合を可能とするものである。
【0016】
繰出しリール1に近い側(上流側)の中継ローラ3の下流側には、ハーフカットステーション7が配設されている。ハーフカットステーション7は、キャリアテープ5を残してACF6だけを規定の長さのACF片に切離するために設けられており、大略、テープ搬送経路を挟んで対向配置されたカッター8とその受け台9からなる。
【0017】
本実施形態のカッター8は、一対のブレード8a、8aが互いに接離自在に基体部8bに設置されてなる。各ブレード8aは、刃先が図中紙面垂直方向に延在する1個のブレードを刃先を通る平面で2等分した形状をなしており、それらブレード8aの各刃先を一致させて平行に立てた閉成位置(図2(a)、(b)を参照)と各ブレード8aを立設方向とは直角方向に均等に所定距離離隔させた開成位置(図2(c)を参照)との間を、基体部8aに設けられている図示しない移動機構により自在に移動可能に、設けられている。
【0018】
そして、カッター8全体は、図示しない昇降機構により、ブレード8aの刃先をキャリアテープ5と共に搬送されるACF6から適長離隔させた退避位置(図2(a)を参照)と、刃先を受け台9のキャリアテープ5を支持する表面(以下、支持面という)9aに対しキャリアテープ5の厚さ分だけ残して近接させる進出位置(図2(b)を参照)との間で、進退自在に設置されている。
【0019】
一方、受け台9は、その支持面で搬送されるキャリアテープ5のACF6が積層されていない面(以下、裏面という)を摺接させつつ均等に支持できる状態で固定設置されている。
【0020】
ハーフカットステーション7の下流側には、転写ステーション10が配設されている。転写ステーション10は、前工程で規定の長さに切離されたACF片を液晶表示パネルの所要部位に転写するために設けられており、大略、テープ搬送経路を挟んで対向配置された圧着ヒートツール11とワークステージ12とからなる。
【0021】
圧着ヒートツール11は、ヒータ11aが内蔵された基体部11bに圧着ヘッド11cが装着されてなり、圧着ヘッド11cの先端面(圧接面)11dは、ハーフカット工程で切離されたACF片の面積に対応した面積を備える平坦面に形成されている。なお、圧着ヘッド11cは、基体部11bに対し着脱自在に設けられており、製造する液晶表示パネルの機種に応じて適宜交換することができる。
【0022】
そして、圧着ヒートツール11は、全体が一体にテープ搬送経路に対して直角方向から自在に進退可能に設けられている。この場合、圧着ヒートツール11の進出位置は、その圧接面11dがテープ搬送経路を越えて対向側へ所定量だけ突出する位置(図2(d)参照)に設定されている。
【0023】
ワークステージ12は、3次元方向へ自在に移動可能に設けられており、そのワーク載置面12aの所定位置にACF片の転写対象ワークである液晶表示パネル13を例えばエアー吸引等により吸着保持し、テープ搬送経路を挟んで圧着ヒートツール11の圧接面11dに対向する規定位置に、液晶表示パネル13を図示しない画像認識による位置決め機構により位置決めを行いつつ位置させる。
【0024】
次に、本実施形態におけるACFの転写方法について説明する。
図1において、ACF6を担持したキャリアテープ5が、繰出しリール1の回転とともに一定速度で繰り出され、ACF6の先端がハーフカットステーション7の所定位置に到達した時点でキャリアテープ5の搬送が停止される。
【0025】
次に、図2(a)に示されるように、カッター8がキャリアテープ5の搬送経路に向けてそれに対して直角方向の切断ラインLに沿って進出移動し、図2(b)で示されるように、そのブレード8aの刃先がACF6に進入しキャリアテープ5に至る直前で停止する。
【0026】
次いで、図2(c)に示されるように、一対のブレード8a、8aを受け台9の支持面9aに平行に切断ラインLから共に距離dづつ互いに反対方向へ離隔させる。これにより、ブレード8aの刃先部分がACF層6に進入した時点つまり切り込んだ時点で形成されていた一対の切断面s、sが切断ラインLから共に距離dづつ離隔し、ACF6から規定の長さのACF片6aが確実に切離されるとともに、ACF片6aとACF本体6bとの間に距離2dの間隙が確保される。
【0027】
次に、キャリアテープ5の搬送が再び開始され、図2(d)において二点鎖線で示されるように、切離されたACF片6aが転写ステーション10の所定位置へ搬送された時点で、キャリアテープ5の搬送が停止する。この停止位置では、ACF片6a全体が、ワークステージ12上の規定位置に保持された液晶表示パネル13のLSIチップ搭載エリアと圧着ヘッド11cの圧接面11dとが対向する領域内に位置している。なお、このとき、圧着ヘッド11cの圧接面11dは、ヒータ11aがオンされて120℃程度に加熱されている。
【0028】
上述の状態において、圧着ヒートツール11をキャリアテープ5の搬送経路に向けて直角方向から進出移動させ、圧接面11dをキャリアテープ5の裏面に圧接させる。そしてこの後、更に進出移動を続行し、実線で図示されるようにACF片6aを液晶表示パネル13のLSIチップ搭載エリアに圧着させた時点で、進出移動を停止させ、この圧着状態を適長時間継続する。この場合の圧着時間は、ACF片6aが約70〜80℃に加温されて軟化し粘着性を増すものの硬化温度までは加熱されない時間に設定されている。
【0029】
上述の圧着時間が経過したら、圧着ヒートツール11を元の位置まで退避移動させる。これにより、キャリアテープ5は元の搬送経路に戻るが、粘着性を増して液晶表示パネル13の所要部位つまりLSIチップ搭載エリアに圧着させたACF片6aは、離型シートとしての材質を備えたキャリアテープ5から速やかに剥離されてそのまま残留する。このとき、ACF片6aと後に続くACF片との間には、前述した距離2dの間隙が確保されているから、転写ステーション10に搬送されてくるACF片6aの停止位置が下流側に多少ずれても、圧着ヘッド11cの圧接面11dが後続のACF片の先端部を圧接することはない。これにより、後続のACF片が強制的に引き千切られて転写される転写不良の発生が確実に防止される。
【0030】
以上のように、本実施形態においては、ハーフカット工程で用いるカッター8を、一対のブレード8a、8aが切断方向とは直角方向に互いに接離自在に設けられた開閉式カッターとし、ACF6をACF片6aを得るための切断ラインLに沿って切断した後、ACF6に形成された一対の切断面s、sを切断ラインLから規定の距離dだけ離隔させるから、ACF片6aがACF本体6bから確実に切離されると共に、ACF片6aとACF本体6bとの間に次順の転写工程で必要とされる距離2dの間隙が確保される。その結果、適正なサイズに切離されたACF片6aが液晶表示パネル13のLSIチップ搭載エリアを含む規定位置に正確に転写され、一部が欠けたACF片によるLSIチップの導通接合不良や余分なACFによる配線のショート等の不具合の発生が確実に防止される。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態について、図3に基づき説明する。なお、上記実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
本実施形態においては、ハーフカットステーション7に、キャリアテープ5の搬送経路を挟んで加熱式カッター20とその受け台21が対向配置されている。この加熱式カッター20には、ヒータ20aが内蔵されており、これをオンすることによりACF6に進入させるブレード20bの刃先部分の温度を所要温度に上げることができる。また、この加熱式カッター20も、キャリアテープ5の搬送経路に対し、直角方向から進退自在に配設されている。その他の構成は、上記実施形態と同じである。
【0033】
上述の加熱式カッター20を用いてACF6をハーフカットするには、図3(a)に示されるように、まず、加熱式カッター20のヒータ20aをオンしてブレード20bの刃先部分の温度を180℃程度まで昇温させる。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、ハーフカット工程7に搬送されて所定位置に停止したACF層6に対し、加熱式カッター20をキャリアテープ搬送経路に向けて進出移動させ、約180℃に加熱された刃先部分を切断ラインLに沿ってACF層6に進入させる。そして、刃先がキャリアテープ5の表面(ACF担持面)に到達する直前に加熱式カッター20の進出移動を停止させ、この停止状態を適長時間維持する。これにより、図3(c)に示されるように、進入した刃先部分に接触していたACF部分つまり切断面とその近傍部分が硬化温度以上に急激に昇温し、速やかに硬化を開始すると共に昇温が急激であるため不規則に収縮する。その結果、切断ラインLから適長離隔した位置に、急速な硬化と収縮により不規則な凹凸面となった切断面s、sが形成される。これにより、ACF片6aがACF本体6bから確実に切離されると共に、双方の切断面s、s間に必要な大きさの間隙cが確保される。この後は、上記実施形態と同様の転写プロセスが実施され、ACF片6が液晶表示パネルの所要部位に適正に転写される。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、ブレード20bの刃先部分をACFの硬化温度以上の高温に昇温させた加熱式カッター20により、ACF層6を切断するとともに切断面とその近傍部分を急激に昇温させるから、切断面が不規則な凹凸面に硬化するとともに収縮して切断ラインLから適長だけ離隔する。その結果、加熱式カッター20を進退させるだけの簡単なプロセスにより、ACF片6aがACF本体6bから確実に切離されると共にACF片6aとACF本体6bとの間に必要な大きさを備えた間隙cが確保される。
【0036】
次に、本発明の更に他の実施形態について、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)に基づき説明する。なお、図5(a)〜(c)は、ハーフカット動作を段階毎に示すため、図4においてカッター30をV−V線で切断し矢印方向に視た段階別説明図である。
【0037】
図4(a)に示すように、本実施形態においては、ハーフカットステーション7に、キャリアテープ5の搬送経路を挟んで横引きカッター30とその受け台31が対向配置されている。
【0038】
横引きカッター30のブレード30aは、図4(b)、(c)に示されるように、刃先部分の両傾斜側面30b、30bがなす刃先角度θが刃先線30cに沿って連続的に漸次変化する形状をなしている。すなわち、刃先角度θは、一端の刃先角度θ1 と他端の刃先角度θ2 の間で刃先線30cに対しリニアに変化している。
【0039】
そして、上述の形状のブレード30aを備えたカッター30は、キャリアテープ5の搬送経路に対し、直角方向から進退自在で且つブレード刃先線30cの延在方向に沿って直線移動可能に配設されている
【0040】
上述のように構成されたカッター30によりACF層6をハーフカットするには、まず、カッター30のブレード30aを、図5(a)に示されるようにACF6に切り込ませる。すなわち、ハーフカットステーション7に搬送されて所定位置に停止したACF6に対し、カッター30をキャリアテープ搬送経路に向けて進出移動させ、ブレード30aにおける刃先角度の小さい端部側の刃先部分を切断ラインLに沿ってACF6に進入させる。そして、刃先がキャリアテープ5の表面に到達する直前にカッター30の進出移動を停止させる。
【0041】
次いで、カッター30を、図5(b)に示されるように、横引き移動させる。すなわち、カッター30のブレード30aを、刃先線30cの延在方向に沿って受け台31の支持面31a(図4(a)参照)に平行に、ACF6に進入している刃先角度θが小さくなる側の端部をACF6から押し出す方向へ適長距離だけ直線移動させる。この後、カッター30を切込み移動前の図4(a)に示すホームポジションに復帰させる。これにより、刃先部分をACF6に進入させた切り込み時に形成されていた一対の切断面s、sが切断ラインLから少なくとも距離dだけ離隔し、ACF6から規定の長さのACF片6aが確実に切離されるとともに、ACF片6aとACF本体6bとの間に少なくとも距離2dの間隙が確保される。
【0042】
以上のように、本実施形態においては、ハーフカット工程で用いるカッター30として、ブレード30aの刃先角度θが刃先線30cに沿って連続的に漸次変化するカッターを用い、このカッター30を、切断ラインLに沿って切込み移動させた後に横引き移動させるから、切込み時にACF6に形成された一対の切断面s、sが、横引き移動により切断ラインLから少なくとも距離dだけ離隔する。これにより、ACF片6aがACF本体6bから確実に切離されると共に、次順の転写工程で必要とされるACF片6a間の間隙が確保される。
【0043】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、図1に示す実施形態において、一対のブレード8a、8aを開閉可能に設けたが、これに限らず、ブレードは単一であってもよく、この単一のブレードを切込み後に受け台支持面9aに平行に移動させる構成としてもよい。
【0044】
また、本発明は、ACFに限らず、他の種々の粘着性接着材の転写工程に広く適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態としての液晶表示パネル製造プロセスにおけるACF転写工程の構成を示す説明図である。
【図2】(a)〜(d)は、上記転写工程における動作手順を段階別に示した各説明図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の他の実施形態としてのハーフカット工程を示す段階別説明図で、(c)は(b)のQ部詳細図である。
【図4】(a)は本発明の更に他の実施形態としてのハーフカット工程の構成を示す説明図で、(b)、(c)はこのハーフカット工程で使用するカッターのブレードを示す平面図と立面図である。
【図5】(a)〜(c)は、更に他の実施形態としてのハーフカット工程における動作手順を示す段階別説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 繰出しリール
2 巻取りリール
3、4 中継ローラ
5 キャリアテープ
6 ACF層
6a ACF片
7 ハーフカットステーション
8、20、30 カッター
9、21、31 受け台
10 転写ステーション
11 熱圧着ツール
12 ワークステージ
13 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシート上に剥離可能に積層された粘着性接着材を所定の大きさの接着材片に切断分離して所要部位に転写する粘着性接着材の転写方法であって、
前記ベースシートを残し実質的に前記粘着性接着材のみを所定のラインに沿ってカッターにより切断し、形成された切断面の全体を切断ラインから離隔させて前記接着材片を接着材本体から分離させるハーフカット工程と、
切断分離された前記接着材片を前記ベースシートと共に所定位置まで搬送し、転写対象物の所要部位に前記ベースシートとともに圧着した後、前記ベースシートを剥離させる転写工程とを有することを特徴とする粘着性接着材の転写方法。
【請求項2】
前記ハーフカット工程において、前記カッターのブレードを接着材の厚さ方向に進入させた後、ベースシート表面に沿って切断ラインに対し直角方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の粘着性接着材の転写方法
【請求項3】
前記粘着性接着材は熱硬化性樹脂からなり、前記ハーフカット工程においては、前記カッターのブレードを所定温度以上に加熱しつつ前記粘着性接着材を切断することを特徴とする請求項1に記載の粘着性接着材の転写方法。
【請求項4】
前記カッターのブレードは前記粘着性接着材に進入させる刃先部分の両側面がなす刃先角度が刃先延在方向に沿って漸次変化しており、前記ハーフカット工程において、前記ブレードを粘着性接着材の厚さ方向に進入させた後、切断ラインに沿って前記刃先角度が小さくなる方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の粘着性接着材の転写方法。
【請求項5】
前記粘着性接着材は、熱硬化性樹脂からなる基材中に導電性粒子を混合させてなる異方性導電接着材であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかの請求項に記載の粘着性接着材の転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−86245(P2006−86245A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267866(P2004−267866)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】