説明

紙幣入出金機

【課題】精算処理の準備のために入金リジェクト紙幣を外部に取り出す手間を省くことによって、レジ係員の作業効率を向上させる手段を提供する。
【解決手段】紙幣の投入を受付ける紙幣入出金口部と、投入された紙幣を鑑別する紙幣鑑別部と、紙幣鑑別部で金種を鑑別した紙幣を収納する金種別紙幣収納部と、金種別紙幣収納部から紙幣を繰出す紙幣繰出機構と、紙幣繰出機構によって繰出した紙幣および入金処理で紙幣鑑別部で鑑別した入金リジェクト紙幣を回収する回収庫と、回収庫の内部に設けられて昇降可能に構成された可動式仕切板とを設け、回収庫に紙幣を放出する回収口ゲートを備え、回収庫に回収する紙幣に応じ、可動式仕切板を昇降させ、回収庫内で紙幣を分別して回収することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ガソリンスタンド等の小売店やディスカウントショップ等の大型量販店等の精算所に設置されたレジスタやPOS(Point of Sales)用のレジスタに接続して紙幣の入出金に用いる紙幣入出金機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣入出金機は、紙幣入金口部に投入された紙幣を搬送路によって紙幣鑑別部に搬送し、搬送された紙幣を紙幣鑑別部で欠損および重送、斜行等によって入金リジェクト紙幣と鑑別したときに、その入金リジェクト紙幣を搬送路によって紙幣出金口部へ搬送して返却している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−134839号公報(第2頁段落0005、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1の技術においては、入金リジェクト紙幣を搬送路によって紙幣出金口部へ搬送して返却しているため、レジ係員は返却された紙幣を再度紙幣入金口部に投入して再鑑別させ、それでもリジェクトされる紙幣は紙幣入出金機とは別に専用の金庫等に保管し、管理しておく必要があるため、取引が完了するまでに時間を要するということがある。
【0004】
また、別の紙幣入出金機として取引が完了するまでの時間を短縮するために、精算所において顧客が紙幣を支払い、その紙幣をレジ係員が確認してから紙幣入出金機を搭載したPOSレジスタの操作部によって紙幣の金額を入力すると、入力された金額にもとづく釣銭の紙幣を出金した後に、レジ係員が顧客から受取った紙幣を投入して紙幣入出金機が投入された紙幣の内、金種を鑑別した紙幣を金種別収納部に収納すると共に、金種を鑑別できない入金リジェクト紙幣を回収庫に収納する紙幣入出金機が用いられているが、一日の売上を計数する等の精算処理のときに金種別収納部から回収する紙幣と入金リジェクト紙幣とが混ざらないようにするため、レジ係員は精算処理の準備として回収庫を取り外して入金リジェクト紙幣を取り出し、再び回収庫を取り付けなくてはならないため、レジ係員にとって手間がかかって作業効率が低下するという問題がある。
【0005】
また、一般にPOSレジスタに用いられている紙幣入出金機では、その内部に出金リジェクトを収納するための出金リジェクト庫を設け、出金リジェクト庫に出金処理で鑑別した出金リジェクト紙幣を収納する。そのためレジ係員は出金リジェクト庫が満杯になったときにPOSレジスタから紙幣入出金機だけを取り外し、出金リジェクト庫の上方に位置する搬送路を開いて出金リジェクト庫を開放し、そこから出金リジェクト紙幣を取り出さなくてはならないので、レジ係員にとって手間がかかって作業効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、精算処理の準備のために入金リジェクト紙幣を外部に取り出す手間を省くことによって、レジ係員の作業効率を向上させる手段を提供することを目的とする。
また、出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出すためにPOSレジスタから紙幣入出金機を引き出す手間を省くことによって、レジ係員の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、紙幣の投入を受付ける紙幣入出金口部と、該投入された紙幣を鑑別する紙幣鑑別部と、該紙幣鑑別部で金種を鑑別した紙幣を収納する金種別紙幣収納部と、該金種別紙幣収納部から紙幣を繰出す紙幣繰出機構と、該紙幣繰出機構によって繰出した紙幣および入金処理で前記紙幣鑑別部で鑑別した入金リジェクト紙幣を回収する回収庫と、該回収庫の内部に設けられて昇降可能に構成された可動式仕切板とを設け、前記回収庫に紙幣を放出する回収口ゲートを備え、前記回収庫に回収する紙幣に応じ、前記可動式仕切板を昇降させ、前記回収庫内で紙幣を分別して回収することを特徴とする。
【0008】
また、上記の特徴を有する紙幣入出金機において、出金処理のときに、前記紙幣鑑別部で鑑別した出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト庫と、該出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出す際に開放するリジェクト庫扉とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、回収庫に回収する紙幣に応じて可動式仕切板を昇降させ、回収庫内の紙幣を分別するようにしたため、例えば入金リジェクト紙幣を回収庫に回収するときは、回収口ゲートよりも低い位置に可動式仕切板を移動させて入金リジェクト紙幣を可動式仕切板上に集積し、紙幣繰出機構によって繰出された紙幣を回収庫に回収するときは、回収口ゲートよりも高い位置に可動式仕切板を移動させて紙幣を可動式仕切板の下方に集積して回収庫内の入金リジェクト紙幣と紙幣繰出機構によって繰出された紙幣とを区別すれば、レジ係員が精算処理の準備のために回収庫を取り外して入金リジェクト紙幣を取り出し、再び回収庫を取り付ける手間を省くことができ、業務効率を向上させることができるという効果が得られる。
【0010】
また、出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出すためのリジェクト庫扉を設けて、リジェクト庫扉を開いてそこから出金リジェクト紙幣を取り出せるようにしたため、出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出すためにPOSレジスタから紙幣入出金機を引き出し、出金リジェクト庫の上方に位置する搬送路を開いて出金リジェクト庫を開放する手間を省くことができるので、レジ係員の作業効率を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明による紙幣入出金機の実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1の紙幣入出金機を搭載したPOSレジスタを示す外観斜視図、図2は実施例1の紙幣入出金機を示す説明図、図3は実施例1の回収庫を示す斜視図、図4は実施例1の回収庫を示す側方断面図、図5は実施例1のPOSレジスタを示すブロック図である。
図1において、1はPOSレジスタであり、紙幣入出金機2と硬貨入出金機3とを接続して構成し、小売店や大型量販店等の精算所に設置される。
【0013】
5はPOSレジスタ1の操作部であり、レジ係員が現金の補充処理や精算処理等を実行するためのモード切替キー等の入力手段6を備える。
7は表示部であり、顧客が購入する商品の価格やレジ係員が入力した内容等を表示する。
8はレシート発行部であり、顧客へレシートを発行する機能を有する。
【0014】
9は硬貨入出金機3の硬貨入金口部であり、レジ係員が顧客から受取った硬貨を投入する入金口としての機能を備える。
10は硬貨出金口部であり、顧客に釣銭としての出金する硬貨を集積する出金口としての機能を備える。
11は硬貨リジェクト庫であり、図示しない硬貨の金種等を鑑別する硬貨鑑別部で金種を鑑別できなかった硬貨を収納する。
【0015】
図2において、15は紙幣入出金機2の紙幣入出金口部であり、レジ係員が顧客から受取った紙幣や補充紙幣を投入する入金口としての機能と、釣銭として出金する紙幣を集積するための出金口としての機能を有する。
16は紙幣鑑別部であり、パターン認識により紙幣の金種を鑑別する他、正損および重送、斜行等の異常搬送紙幣を鑑別する鑑別センサ17を備えており、後述する搬送路26により搬送された紙幣を鑑別する機能を有する。
【0016】
18は金種別紙幣収納部としての千券収納部であり、紙幣鑑別部16で千円紙幣と鑑別した紙幣を集積板18aに集積して収納すると共に、集積した千円紙幣を1枚ごとに分離して繰出す機能を有する。
19は金種別紙幣収納部としての5千券収納部であり、紙幣鑑別部16で5千円紙幣と鑑別した紙幣を集積板19aに集積して収納すると共に、釣銭に用いない1万円紙幣や2千円紙幣の非出金用金種の紙幣を収納する機能を有する他、集積板19aに集積した5千円紙幣を1枚ごとに分離して繰出す機能を有する。
【0017】
集積板18a、19aはその上に集積した紙幣の枚数に応じて、図示しない昇降機等によって上下動可能に構成される。
20は回収庫であり、紙幣を搬入するための回収口22を有すると共に、紙幣入出金機2に装着可能に構成され、入金処理時に紙幣鑑別部16で鑑別した異常搬送紙幣(以下、入金リジェクト紙幣という。)や精算処理時に回収する千券収納部18と5千券収納部19に集積された紙幣を回収する。
【0018】
23は可動式仕切板であり、図3、図4に示すように紙幣搬送方向の前方側の一端を回収庫20内部に設けたシャフト21に回転可能に取付け、他端を回収庫20の上面に押し付けるようにスプリングを取付け、ソレノイド24およびリンク部25によって一端を支点として他端が昇降可能に構成される。
ソレノイド24は、通電時にはその内部のプランジャ24aを突出させ、非通電時にはプランジャ24aを吸引するように構成される。
【0019】
リンク部25は、第1リンク25aと第2リンク25bとを組み付け、第1リンク25aをソレノイド24のプランジャ24aに取付け、通電したことによってソレノイド24のプランジャ24aが突出して第1リンク25aが動いたときに、第2リンク25bが動いて可動式仕切板23の他端を下方に押圧して動かすように構成する。
回収庫20に異常搬送紙幣が搬送されたときは、ソレノイド24を通電してリンク部25の第2リンク25bで可動式仕切板23を下方に押圧することにより、可動式仕切板23が一端を支点に他端が回収口ゲート27の下方に下がって異常搬送紙幣が可動式仕切板23の上面に集積していく共に、精算処理で千券収納部18と5千券収納部19から回収する紙幣が搬送されたときは、ソレノイド24を非通電にして可動式仕切板23の他端を回収庫20の上面に押し付けた状態にすることにより、回収する紙幣を可動式仕切板23の下方に集積していく。
【0020】
26は搬送路であり、対向配置されたローラあるいはベルト等により構成され、紙幣入出金口部15に投入された紙幣を挟持して正逆方向に搬送する機能を有する搬送路であって、紙幣鑑別部16を経由して千券収納部18や5千券収納部19、回収庫20へと搬送すると共に、千券収納部18と5千券収納部19に収納した紙幣を回収庫20へ搬送する。
【0021】
27は回収口ゲートであり、図示しない駆動機構により回転駆動するフィードローラ27aと図示しないバネ部材によりフィードローラ27aを押圧してフィードローラ27aに従動するプレッシャローラ27bとにより構成され、回収庫20の近傍で回収口22の外側に設けられる。
28は紙幣検知センサであり、発光部と受光部とを対向させた光学式センサであって、回収庫20へ搬送される紙幣の通過を検知する。
【0022】
30、40は千券収納部18、5千券収納部19に設けられた紙幣繰出機構であり、それぞれ正逆回転可能に構成された分離モータ31、41の回転がピックアップローラ32、42に伝達するようにギアやプーリ、ベルト等を組み合わせて構成する。
33は分離ゲートであり、正逆方向に回転する繰出ローラ33aと紙幣の集積方向にのみ回転する分離ローラ33bとにより構成され、ピックアップローラ32によって千券収納部18から繰出された紙幣を1枚づつ挟持して搬送路26へ送り込む。
【0023】
43は分離ゲートであり、正逆方向に回転する繰出ローラ43aと紙幣の集積方向にのみ回転する分離ローラ43bとにより構成され、ピックアップローラ42によって5千券収納部19から繰出された紙幣を1枚づつ挟持して搬送路26へ送り込む。
45は出金リジェクト庫であり、釣銭としての紙幣の払出しを行う出金処理において紙幣鑑別部16で異常搬送紙幣と鑑別された出金リジェクト紙幣を収納する。
【0024】
47は分岐搬送路であり、対向配置されたローラあるいはベルト等により紙幣を挟持して搬送する機能を有する搬送路であって、切替ブレード48aにより搬送路26から分岐された紙幣を切替ブレード48bにより回収庫20あるいは出金リジェクト庫45へ振分けて搬送する。
49はトリガセンサであり、発光部と受光部とを対向させた光学式センサであって、発光部からの光を紙幣を遮断したことを受光部が感知して切替ブレード48a、48bの切替のタイミングを検出する。
【0025】
図5において、50はPOSレジスタ1の制御部であり、CPU(Central Processing Unit)51とメモリ52、I/Oポート53、54、55等が内部バス56を介して通信を行うように構成されている。
メモリ52は、CPU51による演算処理に必要なプログラムやデータ等の情報を格納すると共に、演算処理の結果等を記憶する。
【0026】
I/Oポート53は操作部5や表示部7等のPOSレジスタ1の各部への動作指示を送信する機能を有する。
I/Oポート54は分離モータ31、41やソレノイド24等の紙幣入出金機2内の駆動機構57および鑑別センサ17、紙幣検知センサ28、トリガセンサ49等へCPU51からの動作指示を送信する機能を有する。
【0027】
I/Oポート55は硬貨入出金機3内のモータやソレノイド等の駆動機構58および硬貨を検知する硬貨検知センサ59等へCPU51からの動作指示を送信する機能を有する。
上述した構成における出金処理および入金処理を行うときの動作について説明する。
精算所のレジ係員は顧客が購入する商品のバーコードをPOSレジスタ1と接続した図示しないバーコードリーダーによって読み取る。
【0028】
POSレジスタ1の制御部50は、読み取った顧客の品物のバーコードから品物の価格を認識し、認識した価格を表示部7に表示する。
レジ係員は表示部7に表示された価格を顧客に伝えて顧客から紙幣や硬貨を受取り、その紙幣や硬貨を確認して操作部5によって受取った金額を入力する。
金額の入力を認識した制御部50は、認識した金額と認識した価格とを比較して釣銭の金額を計数し、メモリ52に出金する釣銭紙幣の金種ごとの枚数を記憶する。
【0029】
本実施例においては、計数の結果、6千円分の紙幣(千円紙幣を1枚と、5千円紙幣を1枚)を出金する。
出金処理を行う制御部50は、千券収納部18および5千券収納部19の集積板18a、19aを上昇させて紙幣繰出機構30、40を動作させ、出金金額に必要な枚数の紙幣を繰出す、つまり千券収納部18および5千券収納部19からそれぞれ1枚紙幣を繰出す。
【0030】
これによって、集積板18aに集積した紙幣は分離モータ31の回転が伝達して回転するピックアップローラ32に押し付けられて繰出され、同様に集積板19aに集積した紙幣は分離モータ41の回転が伝達して回転するピックアップローラ42に押し付けられて繰出される。
制御部50は、繰出した紙幣を分離ゲート33、43によって搬送路26へ送り込み、搬送路26によって紙幣を紙幣鑑別部16を介するように紙幣入出金口部15へ向けて搬送し、途中の紙幣鑑別部16によって搬送した紙幣を鑑別する。
【0031】
制御部50は、鑑別した紙幣が5千券収納部19に収納していた非出金用金種の紙幣の場合は、ソレノイド24を非通電にして可動式仕切板23を回収口ゲート27よりも上方に位置させ、紙幣がトリガセンサ49を通過したときに切替ブレード48aによって紙幣を分岐搬送路47へ送って回収庫20へ搬送し、分岐搬送路47によって搬送した非出金用金種の紙幣を回収口ゲート27によって挟持して回収庫20の内部に放出し、可動式仕切板23の下方に集積して回収する。
【0032】
制御部50は、異常搬送紙幣としての出金リジェクト紙幣を鑑別した場合は、搬送した出金リジェクト紙幣がトリガセンサ49を通過したときに切替ブレード48aによって出金リジェクト紙幣を分岐搬送路47へ送り、切替ブレード48bの切替えによって出金リジェクト庫45へ搬送して収納する。
制御部50は、鑑別した紙幣が千円紙幣または5千円紙幣であった場合は、搬送路26によって紙幣を紙幣入出金口部15に搬送すると共に、メモリ52に搬送した紙幣の金種ごとの枚数を計数して記憶する。
【0033】
全ての紙幣を鑑別した制御部50は、メモリ52に記憶した釣銭紙幣の金種ごとの枚数と記憶した搬送した紙幣の金種ごとの枚数とを比較し、搬送した紙幣の枚数が釣銭紙幣の枚数に足りないと判定したときは、千券収納部18または5千券収納部19からそれぞれ足りない枚数分の紙幣を繰出して上述した出金処理の動作を再度実行し、メモリ52に記憶した搬送した紙幣の枚数が記憶した釣銭紙幣の枚数と同一となったときにレシート発行部8でレシートを発行する。
【0034】
レジ係員は発行されたレシートを顧客に渡した後に、顧客から受取っていた硬貨を硬貨入金口部9に投入し、受取った紙幣を紙幣入出金口部15に投入する。
制御部50は、硬貨入金口部9に投入された硬貨を鑑別し、鑑別した金種ごとに図示しない金種別硬貨収納部に収納する。
入金処理を行う制御部50は、紙幣入出金口部15に投入された紙幣を1枚づつ搬送路26によって紙幣鑑別部16に搬送し、搬送した紙幣を紙幣鑑別部16によって鑑別する。
【0035】
制御部50は、紙幣鑑別部16で紙幣の金種を鑑別したとき、紙幣が千円紙幣であるときは搬送路26によって千券収納部18に搬送して集積板18a上に集積し、紙幣が千円紙幣以外であるときは、搬送路26によって5千券収納部19に搬送して集積板19a上に集積し、紙幣入出金口部15から次の紙幣を搬送する。
制御部50は、紙幣鑑別部16で鑑別した紙幣が異常搬送紙幣である入金リジェクト紙幣であると判定したとき、ソレノイド24に通電して可動式仕切板23の他端を回収口ゲート27の下方に移動させる。
【0036】
制御部50は、搬送方向を紙幣入出金口部15の方へ反転させ、搬送路26によって入金リジェクト紙幣を搬送し、トリガセンサ49を通過したときに、切替ブレード48aによって入金リジェクト紙幣を分岐搬送路47へ送って回収庫20へ搬送し、分岐搬送路47によって搬送した入金リジェクト紙幣を回収口ゲート27によって挟持して回収庫20の内部に放出し、可動式仕切板23上に集積して回収する。
【0037】
制御部50は、紙幣検知センサ28によって入金リジェクト紙幣の通過を確認したら、紙幣入出金口部15から次の紙幣を搬送して上述したように紙幣の入金処理を実行し、紙幣を全て搬送して入金処理の終了を認識し、ソレノイド24を非通電の状態にすることによって可動式仕切板23に取り付けたスプリングが他端を回収庫20の上面に押し付けるように作用するため、集積した入金リジェクト紙幣は可動式仕切板23と回収庫20の上面との間で挟まれて押し付けられる。
【0038】
次に精算処理を行うときの動作について説明する。
レジ係員がPOSレジスタ1の操作部5によって紙幣入出金機2の精算処理のための入力操作を行う。
精算処理のための入力を受付けた制御部50は、ソレノイド24を非通電にして可動式仕切板23を回収口ゲート27の上方に位置されると共に、上述した出金処理と同様にして紙幣繰出機構30、40を動かして千券収納部18および5千券収納部19の集積板18a、19aを上昇させて紙幣を1枚づつ繰出していく。
【0039】
制御部50は、繰出した紙幣を分離ゲート33、43によって搬送路26へ送り込んで搬送すると共に、切替ブレード48aによって紙幣を分岐搬送路47へ送り込んで回収庫20へ搬送し、搬送した紙幣を回収口ゲート27で挟持して回収庫20の内部に放出し、可動式仕切板23の下方に集積して回収する。
制御部50は、紙幣検知センサ28が所定の時間、紙幣の通過を検知しなかったと判定したとき、ソレノイド24に通電して可動式仕切板23を下降させて集積した紙幣を可動式仕切板23と回収庫20の下面との間で押し付ける。
【0040】
このように、入金処理で入金リジェクト紙幣を鑑別したときは、可動式仕切板23の上に集積されている紙幣の上面が回収口ゲート27よりも低くなるように可動式仕切板23を移動させ、入金リジェクト紙幣を可動式仕切板23上に集積し、出金処理で非出金用金種の紙幣を鑑別したときや精算処理を行うときは、可動式仕切板23が回収口ゲート27よりも高い位置にあるため、非出金用金種の紙幣および精算処理で回収される紙幣を可動式仕切板23の下方に集積する。
【0041】
以上説明したように、本実施例では、回収庫の内部に可動式仕切板を設け、入金リジェクト紙幣を回収庫に集積するときは、可動式仕切板を回収口ゲートの下方に移動させて入金リジェクト紙幣を可動式仕切板上に集積し、精算処理で回収する紙幣を回収庫に集積するときは、可動式仕切板を回収口ゲートの上方へ位置させて精算処理で回収する紙幣を可動式仕切板の下方に集積することによって、回収庫内の入金リジェクト紙幣と精算処理時に回収する紙幣とを区別するので、レジ係員が回収庫を取り外して入金リジェクト紙幣を取り出し、再び回収庫を取り付ける手間を省くことができ、業務効率を向上させることができる。
【0042】
また、入金リジェクト紙幣を可動式仕切板上に集積した後、可動式仕切板を上昇させて回収庫の上面との間で入金リジェクト紙幣を押し付けるようにしたので、入金リジェクト紙幣の折れやくせ等によって回収庫内でのジャム等の障害を防止することができる
さらに、精算処理で回収した紙幣を可動式仕切板の下方に集積した後、可動式仕切板を下降させて回収庫との間で押し付けるようにしたので、紙幣の折れやくせ等によって回収庫内でのジャム等の障害を防止することができる。
【実施例2】
【0043】
図6は実施例2の紙幣入出金機を示す概略構成図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6において、60はリジェクト庫扉であり、専用のセキュリティーキーにより開錠と施錠を行うロック機構を備え、出金リジェクト庫45の内部を開放する扉である。
本実施例の出金リジェクト庫45は、回収庫20の下方に設置され、リジェクト庫扉60を開いた状態でレジ係員が手を入れることによって出金リジェクト紙幣を取り出せるように構成する。
【0044】
本実施例の制御部50のメモリ52には、通常の紙幣出金処理を実行するための紙幣出金処理実行プログラムに、出金処理における出金リジェクト紙幣の鑑別回数の閾値を格納すると共に、出金リジェクト紙幣を鑑別した回数を計数して計数した回数が格納した鑑別回数の閾値となったときに表示部7に出金リジェクト庫45が満杯になったことを通知するための画面を表示させるアプリケーションプログラムを加えた本実施例の紙幣出金処理実行プログラムを格納している。
【0045】
上述した構成における出金処理で出金リジェクト紙幣を鑑別したときの動作について説明する。
制御部50は、上記実施例1の出金処理と同様に千券収納部18あるいは5千券収納部19から繰出した紙幣を紙幣鑑別部16によって鑑別し、出金リジェクト紙幣と鑑別したときは搬送路26によって搬送された出金リジェクト紙幣がトリガセンサ49を通過したときに搬送振替ゲート48aを切替えて出金リジェクト紙幣を分岐搬送路47へ分岐させ、搬送振替ゲート48bを切替えることによって出金リジェクト庫45へ搬送し、出金リジェクト庫45に収納する。
【0046】
制御部50は、出金リジェクト紙幣を鑑別したときに出金リジェクト紙幣の鑑別回数を計数してメモリ52に記憶し、記憶した鑑別回数と格納した閾値とを比較して鑑別回数が閾値と同じと判定したときに表示部7に出金リジェクト庫45が満杯である旨の画面を表示する。
レジ係員は表示部7の出金リジェクト庫45が満杯である旨の画面を見て、セキュリティーキーによってリジェクト庫扉60を開錠して出金リジェクト庫45内部に手を入れて出金リジェクト紙幣を取り出す。
【0047】
このように、出金リジェクト庫から紙幣を取り出すときに開くリジェクト庫扉60を設け、レジ係員は出金リジェクト庫45に集積した出金リジェクト紙幣を取り出すときに、リジェクト庫扉60を開けて出金リジェクト庫45内に手を入れて出金リジェクト紙幣を取り出すようにする。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1の効果に加えて、出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出すためのリジェクト庫扉を設けて、リジェクト庫扉を開いて出金リジェクト庫内に手を入れて出金リジェクト紙幣を取り出せるようにしたため、出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出すためにPOSレジスタから紙幣入出金機を引き出し、出金リジェクト庫を開く手間を省くことができるので、レジ係員にとって出金リジェクト紙幣の取り出しを容易に行うことができる。
【0048】
なお、本実施例においては、リジェクト庫扉を開いた状態でレジ係員が手を入れて出金リジェクト紙幣を取り出すことができるとして説明したが、ロック機構を備えて紙幣入出金機から引き出し可能に構成した出金リジェクト庫を設け、出金リジェクト紙幣を取り出すときに、ロック機構を開錠してから出金リジェクト庫を引き出すようにすれば、出金リジェクト紙幣の取り忘れを防止することができる。
【実施例3】
【0049】
図7は実施例3の紙幣入出金機を示す概略構成図である。
なお、上記各実施例と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
図7において、70は入金リジェクト紙幣返却口部であり、紙幣入出金口部15の上方に設けられて、紙幣鑑別部16で鑑別した入金リジェクト紙幣を集積するための返却口としての機能を有する。
【0050】
71は入金リジェクト紙幣搬送路であり、対向配置されたローラあるいはベルト等により紙幣を挟持して搬送する機能を有する搬送路であって、切替ブレード72によって搬送路26から分岐された紙幣を入金リジェクト紙幣返却口部70へ搬送する。
上述した構成の作用について説明する。
本実施例においては、通常回収庫20に回収している入金リジェクト紙幣を回収しないでレジ係員が確認できるようにするため、予めレジ係員がPOSレジスタ1の操作部5によって入金リジェクト紙幣をレジ係員に返却するための設定入力を行い、これを認識したCPU51はI/Oポート54を介して紙幣入出金機2に入金リジェクト紙幣のレジ係員への返却指示を送信したものとして説明する。
【0051】
紙幣入出金口部15に紙幣が投入された場合、制御部50は投入された紙幣を一枚づつ搬送路26によって紙幣鑑別部16へ搬送し、紙幣鑑別部16で搬送された紙幣を鑑別する。
制御部50は紙幣鑑別部16で紙幣の金種を鑑別した場合は、上記実施例1と同様にして搬送路26によって紙幣を千券収納部18または5千券収納部19に収納する。
【0052】
制御部50は紙幣鑑別部16で入金リジェクト紙幣を鑑別した場合は、搬送路26によって入金リジェクト紙幣を紙幣入出金口部15の方向へ搬送すると共に、切替ブレード72を切替えて入金リジェクト紙幣を入金リジェクト紙幣搬送路71に分岐させる。
制御部50は入金リジェクト紙幣搬送路71によって入金リジェクト紙幣を入金リジェクト紙幣返却口部70へ搬送して集積する。
【0053】
このように、入金リジェクト紙幣返却口部70を設けて鑑別した入金リジェクト紙幣を搬送して集積する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2のリジェクト庫扉を設けて、リジェクト庫扉を開いて出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出せるようにしたことにより、レジ係員にとって出金リジェクト紙幣の取り出しを容易に行うことができるという効果に加えて、入金リジェクト紙幣を集積するための入金リジェクト紙幣返却口部を設けたため、入金リジェクト紙幣を紙幣入出金口部に戻すようにしたために、紙幣入出金口部に紙幣鑑別部に搬送されていない紙幣が残っているにも関わらず入金リジェクト紙幣が戻ってきたために入金処理が中断してしまうことを防止するので、業務効率を向上させることができる。
【0054】
なお、上記実施例3においては、入金リジェクト紙幣返却口部を紙幣入出金口部の上方に設けるとして説明したが、図8に示すように紙幣入出金口部の下方に設置しても、同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施例においては、小売店や大型量販店等の精算所に設置されるPOSレジスタに適用した場合を例に説明したが、銀行等の金融機関の店舗の窓口に設置されて窓口係員が使用する窓口端末に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1のレジ釣銭機を示す外観斜視図
【図2】実施例1の紙幣入出金機を示す説明図
【図3】実施例1の回収庫を示す斜視図
【図4】実施例1の回収庫を示す側方断面図
【図5】実施例1のPOSレジスタを示すブロック図
【図6】実施例2の紙幣入出金機を示す概略構成図
【図7】実施例3の紙幣入出金機を示す概略構成図
【図8】入金リジェクト紙幣返却口部の配置を変更した紙幣入出金機を示す概略構成図
【符号の説明】
【0056】
1 POSレジスタ
2 紙幣入出金機
3 硬貨入出金機
5 操作部
6 入力手段
7 表示部
8 レシート発行部
9 硬貨入金口部
10 硬貨出金口部
11 硬貨リジェクト庫
15 紙幣入出金口部
16 紙幣鑑別部
17 鑑別センサ
18 千券収納部
18a、19a 集積板
19 5千券収納部
20 回収庫
22 回収口
23 可動式仕切板
24 ソレノイド
24a プランジャ
25 リンク部
25a 第1リンク
25b 第2リンク
26 搬送路
27 回収口ゲート
27a フィードローラ
27b プレッシャローラ
28 紙幣検知センサ
30、40 紙幣繰出機構
31、41 分離モータ
32、42 ピックアップローラ
33、43 分離ゲート
33a、43a 繰出ローラ
33b、43b 分離ローラ
45 出金リジェクト庫
47 分岐搬送路
48a、48b 切替ブレード
49 トリガセンサ
50 制御部
51 CPU
52 メモリ
53、54、55 I/Oポート
56 内部バス
57、58 駆動機構
59 硬貨検知センサ
60 リジェクト庫扉
70 入金リジェクト紙幣返却口部
71 入金リジェクト紙幣搬送路
72 切替ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の投入を受付ける紙幣入出金口部と、該投入された紙幣を鑑別する紙幣鑑別部と、該紙幣鑑別部で金種を鑑別した紙幣を収納する金種別紙幣収納部と、該金種別紙幣収納部から紙幣を繰出す紙幣繰出機構と、該紙幣繰出機構によって繰出した紙幣および入金処理で前記紙幣鑑別部で鑑別した入金リジェクト紙幣を回収する回収庫と、該回収庫の内部に設けられて昇降可能に構成された可動式仕切板とを設け、前記回収庫に紙幣を放出する回収口ゲートを備え、
前記回収庫に回収する紙幣に応じ、前記可動式仕切板を昇降させ、前記回収庫内で紙幣を分別して回収することを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動式仕切板を、一端は紙幣回収方向の前方側に回転可能に取付け、他端は前記回収口ゲートの上方から前記回収口ゲートの下方までの間を移動可能に取付けて構成したことを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記入金リジェクト紙幣を回収するときは、前記可動式仕切板を、前記回収口ゲートの下方で、前記回収する入金リジェクト紙幣を回収された入金リジェクト紙幣の上面に集積する位置に移動させ、前記紙幣繰出機構によって前記金種別紙幣収納部から繰出した紙幣を回収するときは、前記可動式仕切板を、前記回収口ゲートの上方に移動させることを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3において、
前記可動式仕切板を、前記入金リジェクト紙幣の回収後に、該回収した入金リジェクト紙幣を前記回収庫に押し付けるように移動させることを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項5】
請求項1から請求項3または請求項4において、
前記可動式仕切板を、前記金種別紙幣収納部から繰出した紙幣の回収後に、該回収した紙幣を前記回収庫に押し付けるように移動させることを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項6】
請求項1から請求項4または請求項5において、
出金処理のときに、前記紙幣鑑別部で鑑別した出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト庫と、該出金リジェクト庫から出金リジェクト紙幣を取り出す際に開放するリジェクト庫扉とを設けたことを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項7】
請求項6において、
前記出金リジェクト庫を、引き出し可能に構成したことを特徴とする紙幣入出金機。
【請求項8】
請求項1から請求項6または請求項7において、
入金リジェクト紙幣をレジ係員に返却するときに、前記紙幣鑑別部で鑑別した入金リジェクト紙幣を集積する入金リジェクト紙幣返却口部と、前記搬送路に設けられ、前記入金リジェクト紙幣の搬送方向を切替える切替ブレードと、該切替ブレードによって搬送方向が切替えられた前記入金リジェクト紙幣を前記入金リジェクト紙幣返却口部へ搬送する入金リジェクト紙幣搬送路とを備えたことを特徴とする紙幣入出金機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−34482(P2007−34482A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214253(P2005−214253)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】