説明

紙送り機

【課題】安価にしかも一度に大量の紙を扱うことができ、さらに無人で安定した紙送りを実現できる紙送り機を単純な機構を用いて提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の紙送り機は、二本のローラー5a、5bの上に給紙用の紙19を置くことにより、シュレッダ口に向けて紙を絞り出す機構を有する。この際、扉の開閉と連動した錘機構(吊り下げ錘、錘の配線)により紙に上方から静荷重を与え続けることで最後の一枚まで給紙を可能にする。また、扉の開閉を扉開閉センサーで検知する事で扉開放(給紙)中の誤作動を防止し、紙送りセンサー部13が紙詰まりを検知することで紙詰まり発生時の動作停止を行う。これらの複合的な効果により無人の安定稼動を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙送り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シュレッダやプリンタなどに関わる紙送り技術が数多く報告されている。そのうち本発明に最も近いのではないかと思われるものを2つ挙げる。
【0003】
シュレッダ装置、シュレッダ給紙装置などが報告されている(例えば特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平6−198208号公報
【特許文献2】特開平9−122521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来のシュレッダへの紙送り装置では、上記の2件に代表されるように得てしてどれも装置が巨大であるか、あるいは電子制御部品を数多く用いるかのどちらかであることが多い。前者の場合、図13の例にも示すように大抵は駆動トルクも大きく(回転軸部61)、消費電力の大きいものがほとんどである。後者の例としては図14などが挙げられるが、セットできる用紙枚数が少なく、また生産コストも高くなりがちである。また図13、14及び多くの紙送り装置では紙を上部から供出する構造を取っているものが多く、その都合上どうしても紙の減少に伴い昇降装置が必要になり、これもまた消費電力を大きくする一因となっている。
【0005】
本発明は、安価にしかも一度に大量の紙を扱える紙送り機を単純な機構を用いて提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙送り機は、一または複数本のローラーの上に給紙用の紙を置く機構を有するものである。
また、本発明の紙送り機は、紙を絞り出す機構を有するものである。
また、本発明の紙送り機は、紙に静荷重を与えるものである。
また、本発明の紙送り機は、扉を開けると錘が紙から浮き上がり給紙を可能にし、扉の開閉をセンサーで検知する事で扉開放中の誤作動を防止する機構を有し、更には紙詰まりを検知した場合に自動的に稼動を停止するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明紙送り機によれば、発明全体の機構を単純化でき、さらに安価に製作可能であるという利点を有する。
【0008】
請求項2記載の発明紙送り機によれば、従来の技術ではなかった紙の上側からの給紙も可能であり、以前より一度に大量の紙を扱えるという利点を有する。
【0009】
請求項3記載の発明紙送り機によれば、紙の枚数が少なくなり自重によるローラー部への圧力荷重が弱まっても常に静荷重を与え続けているので最後の一枚まで給紙を実現できる。
【0010】
請求項4記載の発明紙送り機によれば、給紙をする際に自動的に装置自体の稼動を中止することで安全な給紙を提供する利点を有する。また紙詰まりの自動検知により安定感のある無人稼動を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、紙送り機にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。
最初に、紙送り機の構成について説明する。
【0012】
本発明は大きく分けて構造部(傾斜台7、すべり台8、紙漏れ防止板9、傾き調整部材10,傾き調整ネジ11)、駆動部(モーター1、プーリー2、ベルト3、歯車4、ローラー5、ベアリング6)、制御部(マイコン12、紙送りセンサー部13、扉開閉センサー14、速度切り替えスイッチ15、リセットスイッチ16)及び錘部(吊り下げ錘17、錘の配線18)の4つの部分からなる。以下これらを順に説明していく。
【0013】
構造部の構成について説明する。構造部は傾斜台7、すべり台8、紙漏れ防止板9、傾き調整部材10,傾き調整ネジ11からなる。構造部を成している各部品についての詳細を以下に列挙する。
【0014】
傾斜台7について図1、2、4を用いて説明する。傾斜台7は2つ存在する。ただし、傾斜台7の数は2つに限定されない。傾斜台7の形状は板状である。傾斜台7の材料・材質は木材からなる。ただし、傾斜台7は木材に限定されない。傾斜台7には、金属、プラスチックなどを使用することができる。傾斜台7の位置はローラーI(5a)、II(5b)を左右から挟みこむような位置にあり、傾斜台7の上端の高さはローラーI(5a)、II(5b)より高い。ここで図1、2を参考にすると理解しやすいのだが、傾斜台7は傾いた状態で外側のフレームに固定されている。傾斜台7の機能は、傾いた板でローラーI(5a)、II(5b)の間に紙19の谷の先端がくるようにたわませることでローラーI(5a)、II(5b)が紙19を巻き込みやすくさせることである。
【0015】
すべり台8について図1,2,5,8を用いて説明する。すべり台8の個数は1つである。ただし、すべり台8の数は1つに限定されず1つ以上ならばいくつでもよい。すべり台8は2つの部品から構成され、それぞれの形状はすべり台(上側)8aが板状、すべり台(下側)8bは板状のもので紙送りセンサー部13を取り付けるために中央部に三角柱状の出っ張りが存在する。すべり台8の材料・材質は木材からなる。ただし、すべり台8は木材に限定されない。すべり台8には金属、プラスチックなども使用することができる。すべり台8の位置はすべり台(上側)8aがローラーI(5a)、II(5b)の直下に位置する。すべり台(下側)8bがすべり台(上側)8aの下方に位置する。ここで図1、5を参考にすると理解しやすいのだが、すべり台8の接続態様は、すべり台(上側)8aの上端の方はローラーI(5a)、II(5b)の長手方向に対し垂直な軸回りの方向に回転できるようにフレームに固定されている。すべり台(上側)8aの下端の方はフレームに固定されずに、すべり台(下側)8bの上端の上に載せている。すべり台(下側)8bは上端の方はローラーI(5a)、II(5b)の長手方向に対し垂直な軸回りの方向に回転できるようにフレームに固定されている。下端はフレームに固定されず、シュレッダの口に紙19を送りやすいように傾き調整部材10ですべり台(下側)8bの傾きを調整できるようになっている。また、すべり台(下側)8bの中央部には紙送りセンサー部13が取り付けられている。すべり台8の機能はシュレッダ口まで紙を確実に運ぶ事である。ローラーI(5a)、II(5b)が回転して送られてきた紙19がまずすべり台(上側)8aの上に落ち、滑っていった後にすべり台(下側)8bが紙19をシュレッダ口まで誘導する。
【0016】
紙漏れ防止板9について、図1、2、5、9を用いて説明する。紙漏れ防止板9の個数は1つである。ただし、紙漏れ防止板9の数は1つに限定されず、1つ以上ならばいくつでもよい。紙漏れ防止板9の形状は板状である。紙漏れ防止板9の材料・材質は木材からなる。ただし、紙漏れ防止板9は木材に限定されない。紙漏れ防止板9には木材、金属、プラスチックなどを使用することができる。紙漏れ防止板9の位置はすべり台(上側)8a、すべり台(下側)8bと向かいあう位置にある。ここで図1,5を参考にすると理解しやすいのだが、紙漏れ防止板9の上端の方はローラーI(5a)、II(5b)の長手方向に対し垂直な軸回りの方向に回転できるようにフレームに固定されている。紙漏れ防止板9の下端の方は傾き調整ネジ11で支えられている。紙漏れ防止板9の機能は、すべり台(上側)8a、すべり台(下側)8bを滑って落ちてきた紙19がそのままフレームの外に飛び出してしまうのを防ぎ、紙19をシュレッダ口に誘導するのを助けることである。
【0017】
傾き調整部材10について、図5、9を用いて説明する。傾き調整部材10の個数は1つである。ただし傾き調整部材10の数は1つに限定されない。傾き調整部材10の形状は楕円板で偏心カムの役割を果たしている。形状はこれに限定されず、後に述べるようにすべり台(下側)8bの傾きを調整する役割を果たすならば何でも良い。傾き調整部材10の材料・材質は金属と木材からなる。ただし、傾き調整部材10は金属と木材に限定されない。傾き調整部材10にはプラスチックなども使用することができる。傾き調整部材10はすべり台(下側)8bの下端付近のフレームの底面に位置している。ここで図5,9を参考にすると理解しやすいのだが、傾き調整部材10の接続態様としてはすべり台(下側)8bの下端付近の底面フレームの板にネジが固定されている。傾き調整部材10の機能は、ネジに取り付けられた板を回すことによりすべり台(下側)8bの角度を調整することである。
【0018】
傾き調整ネジ11について、図1,5,9を用いて説明する。傾き調整ネジ11の個数は1つである。ただし傾き調整ネジ11の数は1つに限定されず、1つ以上ならばいくつでもよい。傾き調整ネジ11には実際に通常のネジを用いることもできるが、形状はネジに限定されずつっかえ棒の役割を果たすものならば何でも構わない。傾き調整ネジ11の材料・材質は金属からなる。ただし、傾き調整ネジ11は金属に限定されず、木材、プラスチックなども使用することができる。傾き調整ネジ11の位置は、すべり台(下側)8bと向かいあったフレームの下端付近である。ここで図1、5を参考にすると理解しやすいのだが、傾き調整ネジ11の接続態様はすべり台(下側)8bと向かいあったフレームの下端付近に固定されている。傾き調整ネジ11の機能はネジの突出具合によって紙漏れ防止板9の傾きを調整し、紙19をシュレッダの口に誘導するのを助けることである。
【0019】
上記構造部に限定されず例えば、紙を撓ませることでローラー5に巻き取りやすくさせる役割を果たしている傾斜台7の代わりに、ローラー5と平行に設置され紙と垂直な方向に上下する棒を用いてもよい。また傾斜板7に相当するもの自体無くても構わない。この他にもシュレッダ口まで紙を誘導できる機構を有するものであれば何でも構わない。すべり台についても、丸太状のコロを並べてみたり、二段坂の代わりに曲面で構成した板やベルトコンベアを用いたりすることもできる。
【0020】
駆動部の構成について説明する。駆動部はモーター1、プーリー2、ベルト3、歯車4、ローラー5、ベアリング6からなる。駆動部は図1に示す全体図を見れば分かるようにこれらは機構全体の中段部に位置している。駆動部のモーター1・歯車4・ローラー5の噛み合いを上の視点から示したのが図3である。駆動部を成している各部品についての詳細を以下に列挙する。
【0021】
モーター1について、図1,3,4を用いて説明する。モーター1の個数は1つである。ただし、モーター1の数は1つに限定されず1つ以上ならばいくつでもよい。モーター1の位置は紙19及び傾斜台7の下方、ローラーI(5a)の隣に位置している。また、モーター1の上面はローラーI(5a)、II(5b)の上端よりも低い位置になっており、紙19とは接しないところに位置する。ここで図1,3を参考にすると理解しやすいのだが、モーター1の接続態様は、モーター1は横のフレームに固定されモーター1の軸にプーリーI(2a)がネジで固定されている。モーター1の機能は、ローラーI(5a)、II(5b)を回転させるための動力を提供することである。また、モーター1が駆動するとプーリーI(2a)に動力が伝わる。
【0022】
プーリー2について、図3,4,5,6を用いて説明する。プーリー2の個数は2つである。ただしプーリー2の数は2つに限定されず、いくつでもよい。プーリー2の形状は円板状の形態をしており、ベルト3とかみ合う箇所の表面はベルト3の凹凸に合わせて表面が凹凸状になっている。また、軸に固定するためのネジ穴がある。プーリー2の材料・材質はプーリーI(2a)、II(2b)ともに凹凸面はプラスチックでできており、側面の円盤は金属からなる。ただし、プーリーI(2a)、II(2b)ともに金属、プラスチックに限定されない。プーリー2には木材なども使用することができる。プーリー2の位置は、プーリーI(2a)は、モーター1の軸上に位置し、プーリーII(2b)はローラーI(5a)の軸上に位置している。ここで図3、6を参考にすると理解しやすいのだが、プーリーI(2a)はモーター1の軸の回転をベルト3に伝えている。プーリーII(2b)はプーリーI(2a)からベルト3に伝えられた動力を受け取り、それをローラーI(5a)に伝え回転させる役割を果たしている。
【0023】
ベルト3について、図3,6を用いて説明する。ベルト3の個数は1つである。ただしベルト3の数は1つに限定されない。ベルト3の形状は円環構造をしていて、内側は凹凸がついている。ベルト3の材料・材質はゴムからなる。ただし、ベルト3はゴムに限定されずプラスチックなども使用することができる。ベルト3の位置はモーター1の軸とローラーI(5a)の軸を内側に入れる位置にある。ここで図3を参考にすると理解しやすいのだが、ベルト3の接続態様は、モーター1の軸に固定されたプーリーI(2a)とローラーII(5a)に固定されたプーリーII(2b)をつないでいる。ベルト3の機能は、モーター1の動力をプーリーI(2a)から受け取り、プーリーII(2b)へと伝えることである。
【0024】
歯車4について、図1,3,5,6を用いて説明する。歯車4の個数は4つである。ただし歯車4の数は4つに限定されず、1つ以上ならばいくつでもよい。歯車4の形状は円盤状で外周上にかみ合わせのための歯がついている。歯車4の材料・材質は金属からなる。ただし、歯車4は金属に限定されず木材、プラスチックなども使用することができる。歯車4のそれぞれの位置について説明する。歯車4aはローラーI(5a)の軸上に位置している。歯車4bはローラーI(5a)の隣の軸上に位置している。歯車4cはローラーII(5b)の隣の軸上に位置している。歯車4dはローラーII(5b)の軸上に位置している。ここで図3,6を参考にすると理解しやすいのだが、歯車4の接続態様は、それぞれ歯車4a、歯車4b、歯車4c、歯車4dの歯車は歯がかみ合っていて連動するようになっている。歯車4aはプーリーII(2b)が固定されているローラーI(5a)の軸上に固定されている。歯車4b、歯車4cはローラーI(5a)とローラーII(5b)の間の軸上にあり歯車4aと歯車4dをつなぐ役割を果たしている。歯車4dはローラーII(5b)の軸上に固定されていて、歯車4cからの動力を受け取りローラーII(5b)に伝えられるようにしている。歯車4の機能について説明する。歯車4aはプーリーII(2b)から伝わってきた動力をローラーI(5a)の軸を介して受け取り、その動力を歯車4bに伝える。歯車4bは歯車4aから動力を受け取り、その動力を歯車4cへ伝える。歯車4cは歯車4bから動力を受け取り、その動力を歯車4dへ伝える。歯車4dは歯車4cから動力を受け取り、その動力を固定された軸を通じてローラーII(5b)へと伝え、ローラーII(5b)を回転させる。
【0025】
ローラー5について、図1,2、3,5,8,9を用いて説明する。ローラー5の個数は2つである。ただし、ローラー5の数は2つに限定されず、1つ以上ならばいくつでもよい。ローラー5の形状は円柱状で両端に軸がある。ローラー5の材料・材質は金属、ゴムからなる。ただし、ローラー5は金属、ゴムに限定されず木材、プラスチックなども使用することができる。ローラー5の位置は紙19の直下に位置し、すべり台(上側)8aの真上に位置している。ローラーI(5a)、II(5b)の上端はモーター1の上端よりも上側に位置しているここで図1,3を参考にすると理解しやすいのだが、ローラー5の接続態様は、ローラーI(5a)の軸上にはプーリーII(2b)と歯車4aが固定されている。ローラーII(5b)の軸上には歯車4dが固定されている。また、ローラーI(5a)、II(5b)は歯車4a、歯車4b、歯車4c、歯車4dを介して連動するように接続されている。ローラー5の機能について説明する。ローラーI(5a)はモーター1の動力をプーリーII(2b)から軸を介して受け取り、歯車4aからみて時計と反対周りに回転する。またローラーII(5b)はモーター1の動力を歯車4dから軸を介して受け取り、歯車4dからみて時計周りに回転する。ローラーI(5a)とローラーII(5b)がそれぞれ反対側に回転することで、ローラーI(5a)、II(5b)上に置いてある紙19を中央部の隙間に絞り込むように巻き込み下にあるすべり台(上側)8aに紙19を落とす。ここで、ローラ表面にはゴム材を装着し、摩擦力を高める事で紙を巻き込みやすくする工夫をしている。
摩擦力を高めるには、この方法に限定されない。この他にも表面素材は木材、樹脂、金属などでもよい。また、ローラー5表面にギザギザ状の凹凸をつけ紙に引っ掛けながら巻き落とす方法でもよい。
【0026】
ベアリング6について、図3を用いて説明する。ベアリング6の個数は4つである。ただし、ベアリング6の数は4つに限定されず、1つ以上ならばいくつでもよい。ベアリングI(6a)はローラーI(5a)の両端の軸のところに位置している。ベアリングII(6b)はローラーII(5b)の両端の軸のところに位置している。ここで図3を参考にすると理解しやすいのだが、ベアリング6の接続態様は、ベアリングI(6a)の内側はローラーI(5a)の軸に固定され、外側は、モーター1や、ローラーI(5a)、II(5b)の軸が支えられている板に固定されている。ベアリングII(6b)の内側はローラーII(5b)の軸に固定され、外側はベアリングI(6a)と同じ板に固定されている。ベアリング6の機能について説明する。ベアリングI(6a)はローラーI(5a)が回転するときの摩擦力を、ベアリングII(6b)はローラーII(5b)が回転するときの摩擦力をそれぞれ小さくする。
【0027】
上記駆動部に限定されずこの他にもローラーを用いて紙を落とす方法なら何でも良い。すなわち紙を壁面に押し付けながら下から一本のローラーで落とす方法や本発明の2本のローラーの外側にさらに1対(2本)のローラーを設け多段的に紙を絞り込んでいくなど、図12にそれぞれ示すような方法もある。また、各ローラーに直接モーターを取り付けローラーを独立駆動させる方法も採用できる。前記の壁面に押し付ける方法においては必要なローラーが一本であるため経済的な利点があり、また、駆動トルクも少なくて済む。後記の多段階の絞込みでは紙をより正確にシュレッダ口に向かって排出できるという長所を持つ。最後に各ローラーを独立駆動させる方法では、ローラーのさらなる安定駆動を提供することが可能となる。
【0028】
制御部の構成について説明する。制御部はマイコン12、紙送りセンサー部13、扉開閉センサー14、速度切り替えスイッチ15、リセットスイッチ16からなる。制御部の接続様態を図7に、判断フローチャートを図11にそれぞれ示す。制御部を成している各部品についての詳細を以下に列挙する。
【0029】
マイコン12について、図1,4,5,7を用いて説明する。マイコン12の個数は1つである。ただしマイコン12の数は1つに限定されない。接続態様としてはモーター1,紙送りセンサー部13、扉開閉センサー14、速度切り替えスイッチ15、リセットスイッチ16とそれぞれ接続されていて、それぞれのセンサーやスイッチによりモーター1を介してローラーI(5a)、II(5b)の回転のON、OFF、又は速度がそれぞれ切り替わるようになっている。マイコン12の機能を説明する。リセットスイッチ16を押すとマイコン12はモーター1を稼動させローラーI(5a)、II(5b)を回転させる。ローラーI(5a)、II(5b)が一定時間回転した後、紙送りセンサー部13が紙詰まりを検知した場合、マイコン12はモーター1を停止させ紙送りを中止させる。又、扉開閉センサー14により扉の開放が検知された場合もマイコン12がモーター1を停止させる。これらのフローチャートは図11に示す。
【0030】
紙送りセンサー部13について、図1、2、4、5、6、7、8、9を用いて説明する。紙送りセンサー部13の個数は1つである。ただし、紙送りセンサー部13の数は1つに限定されない。紙送りセンサー部13は図8を参照すると分かりやすいが、二つの三角形状の板に平板とローラーが挟まって構成されている。紙送りセンサー部13はすべり台(下側)8bの中央部に位置している。ここで図1、8、9を参考にすると理解しやすいのだが、紙送りセンサー部13の接続態様は、すべり台(下側)8bの中央にある三角柱状の出っ張り部分に紙送りセンサー部13のローラー部が回転できるように固定されている。また配線によりマイコン12と接続されている。紙送りセンサー部13の機能は、リセットスイッチ16を押してローラーI(5a)、II(5b)が稼動している状態において紙送りセンサー部13のローラー部が紙19によって回転させられずに一定時間停止状態になった場合、その状態をマイコンに逐次通達する。つまり、ローラー部の回転の情報を常にマイコンに送る役割を果たしている。
【0031】
扉開閉センサー14について、図1,2,4,6、7を用いて説明する。扉開閉センサー14の個数は1つである。ただし、扉開閉センサー14の数は1つに限定されない。扉開閉センサー14の形状は板状である。扉開閉センサー14の位置はモーター1からみて、ローラーI(5a)、II(5b)と反対側の側面のフレーム上に位置している。ここで図1,4,6、7を参考にすると理解しやすいのだが、扉開閉センサー14の接続態様は、マイコン12と配線により接続されている。扉開閉センサー14の機能は扉の開閉を、扉と連動する棒がセンサー部に触れているかどうかで判断することである。もし扉が開いた場合はマイコン12がモーター1を停止させ紙送りを中止させる。
【0032】
速度切り替えスイッチ15について、図1、2、4、5、6、7を用いて説明する。速度切り替えスイッチ15の個数は1つである。ただし、速度切り替えスイッチ15の数は1つに限定されない。ここで図1,2,5、7を参考にすると理解しやすいのだが、速度切り替えスイッチ15は、マイコン12と配線を介して接続されている。速度切り替えスイッチ15の機能は、そのスイッチ操作によりマイコン12がモーター1の回転数を変化させることである。これによりローラーI(5a)、II(5b)の回転速度を変化させることができ、ローラー5が紙19を巻き込みやすいような速度に使用者が調整することができる。
【0033】
リセットスイッチ16について、図1、2、6、7を用いて説明する。リセットスイッチ16の個数は1つである。ただし、リセットスイッチ16の数は1つに限定されない。ここで図1、2、7を参考にすると理解しやすいのだが、リセットスイッチ16の接続態様は、マイコン12と配線を介して接続されている。リセットスイッチ16の機能は図11を参照すると分かりやすい。すなわち、紙送りセンサー部13、扉開閉センサー14等によりマイコン12がモーター1を停止してしまった場合もしくははじめから停止していた場合、リセットスイッチ16を押すとマイコン12からの指令によりモーター1が再稼動し、ローラーI(5a)、II(5b)を回転させる。
【0034】
上記制御部に限定されずこの他にもレーザー検知を用いた紙詰まり判別法も採用することができる。また、紙送りセンサー部13と扉開閉センサー14の二つのセンサーはそれぞれ無くても構わない。
【0035】
錘部の構成について説明する。錘部は吊り下げ錘17、錘の配線18からなる。図1、2、5を見れば分かるように天井からワイヤーを用いて吊り下げる構造になっている。この錘が扉の開閉に応じて上下する様子は図10に示している。
【0036】
吊り下げ錘17について、図1、2、5、10を用いて説明する。吊り下げ錘17の個数は1つである。ただし、吊り下げ錘17の数は1つに限定されず1つ以上ならばいくつでもよい。吊り下げ錘17の形状は直方体であるが、紙に対して静荷重を与えられるならばどんな形状でも構わない。吊り下げ錘17の材料・材質は金属からなる。ただし、吊り下げ錘17は金属に限定されず木材、プラスチックなども使用することができる。吊り下げ錘17の位置は紙19の上方で、フレームの上端から吊り下げられた位置にある。ここで図1,2,10を参考にすると理解しやすいのだが、吊り下げ錘17の接続態様は、扉と連動する棒の先端に取り付けられた錘の配線18を介してつながっていて、扉の開閉と連動するようになっている。吊り下げ錘17は扉の開閉と連動し、扉が開くと上昇し、扉が閉じると下降する。紙19がローラーI(5a)、II(5b)上にある状態で扉を閉じると吊り下げ錘は紙19の上に搭載され、吊り下げ錘により紙19がローラー中央の絞り出し口に向かう荷重を受けるので最後の一枚まで紙送りされやすくなる。
【0037】
錘の配線18について、図1、2、4、5、6、10を用いて説明する。錘の配線18の個数は1つである。ただし、錘の配線18の数は1つに限定されない。錘の配線18の形状は線状である。錘の配線18の材料・材質は金属からなる。ただし、金属に限定されずプラスチックなども使用することができる。錘の配線18の位置は扉と連動する棒の先端部からフレームの歯車側を通り、フレーム上端付近まで一帯に位置する。ここで図1,2,6,10を参考にすると理解しやすいのだが、錘の配線18の接続態様は、扉と垂直に取り付けられた棒の先端部と吊り下げ錘をつないでいる。これにより扉の開閉と吊り下げ錘の上下運動を連動させている機能を果たしている。
【0038】
上記錘部に限定されずこの他にも扉は両開き式でも構わないし、また錘の代わりに紙の上部から安定した静荷重を加える機構ならば何でもよい。例えば油圧式に荷重を加える方法なども採用できる。
【0039】
紙送り機の動作について図1、3、5、7、8、10、11を用いて説明する。最初に図1の通りにローラー5上に紙19を搭載する。この際図1右方の扉を開放してそこから紙を補充する。
【0040】
紙を所定の位置にセットして扉を閉めた後で、リセットスイッチ16を押す事でモーター1が駆動を開始する。動力の発生源であるモーター1から軸に固定したプーリーI(2a)へ動力が伝わる。そこからベルト3を介してプーリーII(2b)に動力を伝え、さらにプーリーII(2b)を固定した軸を介してローラー5aを回転させる。これらの様子は図3を見ると理解しやすい。なお、ここでローラー5の回転を滑らかにするためにベアリング6を用いた。一方でプーリーII(2b)からローラー5aの軸を介して歯車4aへ動力が伝わり、さらに仲介の歯車4b,4cによりローラーとは反対側の歯車4dが固定されたローラー5bを回転させモーター1側のローラー5aとは反対方向に回転し、図8のように紙を中央に向かって巻き込む。
【0041】
ローラー5によって下に巻き込まれて送られた紙はすべり台8aの上に落ち、さらに下方のすべり台8bに沿って落下し、シュレッダ口まで導かれる。その時に紙はすべり台8bの途中にある紙送りセンサー部13のローラーを回転させながら落下するようになっている。
【0042】
紙送りを順調にこなすためには、図5の右下部の構造に示すように前に飛び出さないように設置された紙漏れ防止板9で紙の送り方向を調整する。すべり台(下側)8bは傾き調整部材10で傾きを、紙漏れ防止板9は傾き調整ネジ11で傾きをそれぞれ調整できるようになっている。これらを使用するシュレッダ装置に合わせて調整しておく事が望ましい。
【0043】
制御部の働きについて説明する。
本発明における制御系のブロック図とフローチャートをそれぞれ図7、図11に示す。図11を見て分かるように扉の開閉とセンサによる紙詰まり検知の二箇所で条件分岐を発生させており、扉の開放や紙詰まりを検知した場合にはすぐにモーター1が停止する。これらの働きにより誤動作の被害を最小限に留められる。なお、リセットスイッチ16を押すことでモーター1を再稼動させることが可能である。
【0044】
扉の開閉判定について以下に詳細を示す。
モーター1を稼動させるためには前述の通りまずリセットスイッチ16を押すが、この際に扉開閉センサー14で扉の開閉のチェックを行い、扉が開いていた場合モーター1は稼動しないためローラー5も回転せず紙は送られない。逆に扉が閉まっている場合はモーター1が稼動してローラー5が紙送りを開始する。モーター1の紙送り速度は速度切り替えスイッチ15により調整可能である。
【0045】
具体的には扉は図10のように開閉する。扉が閉まっているときには扉開閉センサー14の上に扉と直交するように取り付けられた棒の先端が乗っかっており、扉開閉センサー14が扉の開閉を判断する(この場合は接触しているので閉まっていると判断される)。扉に対して垂直に取り付けられた棒の先端と繋がっている錘の配線18の他端に取り付けてある吊り下げ錘17が扉の開閉とともに上下に連動し、扉が閉まっている時には自動的に吊り下げ錘17が紙の上に置かれる仕組みにより装置の稼働中に静荷重を与え続ける。これによりローラー5による紙の巻き込みを助ける。逆に給紙のため扉を開けた際には扉に対して垂直に取り付けられた棒が扉開閉センサー14から離れるので扉は開いていると判断される。なお扉開放中は吊り下げ錘17が上に上がるので給紙の妨げにはならない。
【0046】
次に紙詰まりの検知方法について図9を用いて説明する。
これは紙送りセンサー部13に付いているローラーを用いて行なう。あらかじめ傾き調整ネジで調整しておくことで、紙詰まりを起こさない限り上から次々と落下してくる紙との摩擦によりこの紙送りセンサー部13のローラーは回転し続ける。もし紙送りの最中にシュレッダが紙詰まりなどを起こし、すべり台8を伝って落下する紙が紙送りセンサー部13のローラーを一定時間回転させることができなかった場合にはマイコン12によってモーター1が停止し、給紙がストップする仕組みである。
【0047】
具体的な使用方法としては給紙を必要とする各種機器(シュレッダなどが代表的なもの)に対して本発明を取り付けることになる。すなわち図9のようになる。この図では紙の通り道のみを示しているがポイントとしては、上からの押さえ荷重をかけるために扉開閉連動式の吊り下げ錘17を用いている点、落とし易さを考慮した二段式にちょうつがいで繋がれたすべり台8の採用、紙送りセンサー部13の採用、ローラー5表面にはゴムを巻きつけ摩擦力を高めることで紙を中央に絞り出していく点の4点が大きな特徴である。
【0048】
ここで改めて各部について、本発明による効果を述べる。
まず構造部について述べる。傾斜台7の採用により予め紙の両端を少し持ち上げてたわませておくことによりローラー1による紙の巻取りをスムーズに行えるようになっている。また、すべり台8や紙漏れ防止板9により巻き取り後の紙をシュレッダに安定供給し続けられるようになっている。
次に駆動部について述べる。一つのモーターの駆動トルクを歯車4を介して伝達させることで、消費電力を抑え、かつ、簡潔な機構を用いて二本のローラー5が同じ回転速度を保てるようになっている。これにより、紙の巻き取り速度がどちらかのローラーに偏ることなく常にローラー中央部から紙を絞り出すことができる。また、用紙底面からの紙送りを実現することで機構全体のコンパクト化にも一役買っており、しかも構造上大量の紙をストックしておくことも可能となる。
制御部について述べる。回転検出式の紙送りセンサー部13の採用により、紙詰まりを起こした際に敏速に検出することが可能になり、それによる装置全体の不具合を未然に防ぐ事ができる。
最後に錘部について述べる。錘の配線18を介して扉と錘19が直接つながることによりこれらの動きが常に連動し、扉開閉センサー14との組み合わせにより使用者が特に意識することなく扉開放中(すなわち給紙中)の誤作動を防ぐ事ができる(図10参照)。
【0049】
以上のことから本発明を実施するための最良の形態によれば、発明全体の機構を単純化でき、さらに安価に製作可能であるという利点を有することになる。また、従来の技術ではなかった紙の上側からの給紙も可能であり、以前より紙を大量に搭載できる。紙の枚数が少なくなり紙の自重によるローラー部への圧力荷重が弱まっても、常に静荷重を与え続けているので最後の一枚まで給紙を実現できる。給紙をする際には自動的に装置自体の稼動を中止することで安全な給紙を提供する。また紙詰まりの自動検知により安定感のある無人稼動を提供できる。
【0050】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】全体の構成を斜め上方から見た斜視図である。
【図2】全体の構成を後方から見た断面図である。
【図3】駆動部のモーター・歯車・ローラーの噛み合いを上の視点から示す図である。
【図4】全体の構成を左から見た側面図である。
【図5】全体の構成を左から見た断面図である。
【図6】全体の構成を後方から見た背面図である。
【図7】各部制御の連関を示すブロック図である。
【図8】本機械の動作原理を示す図である。
【図9】図8の様子を左から見た断面図で、シュレッダ口に入るまでの様子を示す図である。
【図10】ワイヤー錘機構による開き扉と錘の上下運動の連動性を示す図である。
【図11】給紙動作の全体概要を示す制御システムフローチャートである。
【図12】本発明の駆動部の代替案として考えられる構造を具体的に示した図である。
【図13】従来の代表図面である。
【図14】従来の代表図面である。
【符号の説明】
【0052】
1‥‥モーター、2‥‥プーリー(2a‥‥プーリーI、2b‥‥プーリーII)、3‥‥ベルト、4‥‥歯車(4a,4b,4c,4d‥‥歯車)、5‥‥ローラー(5a‥‥ローラーI、5b‥‥ローラーII)、6‥‥ベアリング(6a‥‥ベアリングI、6b‥‥ベアリングII)、7‥‥傾斜台、8‥‥すべり台(8a‥‥すべり台(上側)、8b‥‥すべり台(下側))、9‥‥紙漏れ防止板、10‥‥傾き調整部材、11‥‥傾き調整ネジ、12‥‥マイコン、13‥‥紙送りセンサー部、14‥‥扉開閉センサー、15‥‥速度切り替えスイッチ、16‥‥リセットスイッチ、17‥‥吊り下げ錘、18‥‥錘の配線、19‥‥紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数本のローラーの上に給紙用の紙を置く機構を有する紙送り機。
【請求項2】
紙を絞り出す機構を有する請求項1記載の紙送り機。
【請求項3】
紙に静荷重を与える請求項1記載の紙送り機。
【請求項4】
扉を開けると錘が紙から浮き上がり給紙を可能にし、扉の開閉をセンサーで検知する事で扉開放中の誤作動を防止する機構を有し、更には紙詰まりを検知した場合に自動的に稼動を停止する請求項3記載の紙送り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−254150(P2007−254150A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117222(P2006−117222)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】