説明

紫外線検知装置

【課題】簡易かつ確実に紫外線を検知することができる小型でウェアラブルな紫外線検知装置を提供する。
【解決手段】紫外線計測装置1では、ピンホール35によって所定の範囲の自然光を集光し、集光した自然光をバイナリーレンズ37によって平行光に調整し、平行光に調整した光を、ニッケル膜に形成したスリット41を介して、回折格子5の入射面に入射光として垂直に入射し、回折格子5により分光された紫外線UV−A、UB−B、UV−Cを受光する。紫外線計測装置1を用いることによって、回折格子5を用いて容易に自然光から紫外線UV−A、UB−B、UV−Cを分光することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線検知装置に関するものであり、特に、回折格子を用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オゾン層の破壊の影響で、太陽光線中の紫外線量が多くなり、それが人体等生物に及ぼす弊害が懸念されている。オゾン層は、地球上に降り注ぐ太陽光中の紫外線の大部分を吸収し、地上の生物を守る働きをしているものである。しかし、工場等から大気中に放出される特定フロン等の化学物質がこのオゾン層を破壊している。特定フロン等は、化学的に安定な物質であるため、工場等から大気中に放出されると対流圏ではほとんど分解されずに成層圏に達し、そこで強い太陽紫外線を受けて分解され、塩素原子を放出する。この塩素原子が、オゾン分子を次々に破壊し、オゾン量を減少させている。
【0003】
かかるオゾン層の破壊により、従来では地上まで到達しなかったような紫外線も地上に到達する可能性が多くなっている。ここで、紫外線とは光(電磁波)の一種で、波長380nm以下のものをいう。化粧品などの分野で頻繁に用いられるUV−A、UV−Bなどの分類を初め、波長帯ごとに分類がなされている(UV−A:波長320〜380nm,UV−B:波長280〜320nm,UV−C:波長200〜280nm)。
【0004】
このような紫外線の人体への悪影響としては、皮膚への影響、目への影響、免疫への影響などが知られている。皮膚への影響としては、皮膚がん(有棘細胞癌や悪性黒色腫など)やしみ・そばかすの発生の原因となりこと、また目への影響としては、白内障や緑内障の原因となること、免疫への影響としては、長時間の紫外線を浴びると免疫が低下することなどである。
【0005】
このように紫外線の影響が、人体にとって非常に危険なものであるにもかかわらず、紫外線自体は、目に見えないものであり、人体の五感で照射強度を判定できないものである。近年では、衣類や、帽子、日傘などに紫外線対策がなされた製品が市場にでている状況である。
【0006】
従来の紫外線検知装置としては、例えば、市販されている紫外線センサがある(非特許文献1を参照)。このような従来の紫外線検知装置は、通常、固定装置を前提としており、人が衣類やカバン等に付けて、ウェアラブルに持ち歩くようなものではない。
しかしながら、上述のような状況下、ウェアラブルに持ち歩くことができるような紫外線検知装置が求められている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
また、単に紫外線の量を示すだけではなく、どのような紫外線がどれだけ存在するのか、どれだけ照射を受けたのかを検知すべく、異なる波長領域の紫外線を同時に分離して精度よく安定して測定可能であり、小さく簡便な構成で低コストの紫外線検知装置が求められている(例えば、特許文献2を参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2006−71580号公報
【特許文献2】特開2002−344001号公報
【非特許文献1】紫外線センサーデバイス、“380−InGaN”、[online]、2007年、ALGAN株式会社、[2008年2月25日]、インターネット(URL:http://algan.jp/jp/products/sensor/)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の紫外線センサには、以下のような改善すべき点がある。現在市販されている紫外線センサは、測定時に、太陽等の光源に向けて測定する必要があり、太陽光からの直接の紫外線、もしくは受光部分から入射する一定方向の紫外線しか測定できない。紫外線は散乱光が多く、全体の50〜60%は散乱光として存在するため、一方向しか測定できない現在市販されているものは、全紫外線量を測定できない。
【0010】
また、紫外線量は波長によって人体に対する影響が違うため、波長別に測定する必要がある。現在市販されている紫外線センサは、特定波長域の部分測定か、若しくは、波長別にセンサ受光部を交換する必要がある。さらに、現在市販されている紫外線センサは、受光部分の劣化があり多くは保障期間が1年未満のものが多い。さらに、小型・モバイル型で、分光可能な紫外線センサは、現状では市販されていない。
【0011】
また、上記特許文献1に開示された技術では、紫外線の種別毎に検知することが不可能である。
【0012】
また、上記特許文献2に開示された技術では、紫外線受光素子が2つ積層されてなる構成とされており、先に受光する一方の紫外線受光素子が特定波長の紫外光を検出し、その紫外線受光素子を透過した紫外線を他の紫外線受光素子を検出するものであるため、後の紫外線受光素子の検知感度が悪くなるという問題点がある。
【0013】
このような状況に鑑み、本発明は、異なる波長領域の紫外線を同時に分離し、簡易かつ確実に紫外線を検知することができるウェアラブルな小型の紫外線検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明に係る紫外線計測装置は、光を集光する集光手段と、集光された光を平行光に調整する平行光調整手段と、該平行光が垂直に入射される入射面を有する回折格子と、該回折格子により分光された紫外線を受光する紫外線受光素子とを備える構成される。
かかる構成によれば、ウェアラブルに持ち歩いた場合に、種々の方向から入射する太陽光を集光でき、それら光を回折格子面に対して垂直に入射でき、紫外光を特定波長毎に分光できることから、太陽光を浴びた中に含まれる紫外線を、その種別(UV−A,UV−B,UV−C)毎に感度よく測定できる。
ここで、平行光調整手段は、光を平行に調整し、平行に調整した光を入射光として回折格子に入射でき、回折格子により多くの入射光を入射することができるものである。
また、集光手段によれば、光を集光した上で回折格子手段に入射することから、より多くの光を回折格子手段に入射することができる。
【0015】
(2)ここで、平行光調整手段は、回折格子の入射面側に配置され、貫通するスリットを有するスリット手段を有し、該スリットは回折格子の入射面に対して垂直に形成されていることが好ましい態様である。
かかる構成によれば、入射面に対して垂直に形成されたスリットを介して回折格子に入射光を入射することから、確実に回折格子手段に対して垂直に入射光を入射することができる。
【0016】
(3)また、本発明に係る紫外線検知装置における平行光調整手段は、光を入射するバイナリーレンズを有する構成とされる。かかる構成によれば、バイナリーレンズによって光を平行に調整することから、より確実に光を平行に調整することができる。
【0017】
(4)ここで、バイナリーレンズ手段は、ガラス部材の内部に形成されているのが好ましい態様である。ガラス部材の内部にバイナリーレンズを形成することで、容易にバイナリーレンズを配置することができ、また、取り扱いの利便性が向上できる。
【0018】
(5)ここで、集光手段は、光を集光するためのピンホールを有することが好ましい態様である。ピンホールを用いることによって、容易に光を集光することができる。
【0019】
(6)ここで、集光手段は、光を集光するための全方位集光レンズを有する。全方位集光レンズを用いることによって、多くの光を容易に集光することができる。
(7)また、全方位集光レンズは、具体的には、球状レンズ若しくは半球状レンズを用いる。
【0020】
(8)また、以下のa)〜d)の4層構造を備えた紫外線検知装置とすることが好適である。
a)集光手段として球状レンズ若しくは半球状レンズを用い、平行光調整手段としてバイナリーレンズを用い、球状レンズ若しくは半球状レンズとバイナリーレンズを石英ガラスに形成した集光・並行調整層
b)回折格子を形成した回折格子層
c)紫外線受光素子を2次元アレイ状に並置した受光素子層
d)回折格子層と受光素子層の間に設けられた空間により形成されるスペーサー層
4層構造を備えたことを特徴とする紫外線検知装置。
かかる4層構造とすることで、異なる波長領域の紫外線を同時に分離し、簡易かつ確実に紫外線を検知することができるウェアラブルな小型の紫外線検知装置を得ることができる。
【0021】
(9)各層の具体的なスケールは、各種仕様設計が可能であるが、現状の最も小型なものは、集光・並行調整層が5mmであり、回折格子層が2mmであり、スペーサー層が14mmであり、受光素子層が1mmで構成される。
【0022】
(10)また、本発明に係る紫外線検知装置は、検知した紫外線の量を計測する紫外線計測手段を有する構成とされる。
かかる構成によれば、検知した紫外線の量を計測することができる。
【0023】
(11)また、上述した紫外線受光素子は、窒化ガリウムを含む受光素子を有することが好ましい態様である。回折格子によって分光された紫外線を、窒化ガリウムを含む受光素子によって受光する構成とすることで、UV−A,UV−B,UV−Cの紫外光の受光感度に優れた紫外線受光素子を容易に製作することが可能である。
【0024】
(12)本発明に係る紫外線検知方法は、紫外線を含む光を集光し、集光した光を平行光に調整し、平行光に調整した光を入射光として回折格子の入射面に入射し、回折格子により分光された紫外線を受光する工程を備える。
かかる工程により、確実に回折格子手段によって紫外線を分光することができる。
【0025】
(12)また、本発明に係る紫外線調整方法では、集光した光をガラス部材の内部に構成されたバイナリーレンズに入射し、該バイナリーレンズを透過した光をバイナリーレンズの中心軸と平行な方向に貫通するスリットに入射する工程を備える。
かかる工程により、確実に光を平行に調整することができる。
【0026】
ここで、「平行」とは、完全に平行な場合はもちろん、平行に等しい場合も含む概念である。また、「垂直」とは、完全に垂直な場合はもちろん、垂直に等しい場合も含む概念である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の紫外線検知装置によれば、異なる波長領域の紫外線を同時に分離し、簡易かつ確実に紫外線を検知することができるウェアラブルな小型の紫外線検知装置の提供できるといった効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0029】
本発明における紫外線計測装置1の概要を図1に基づき説明する。紫外線計測装置1では、ピンホール35によって所定の範囲の自然光を集光し、集光した自然光をバイナリーレンズ37によって平行光に調整し、平行光に調整した光を、ニッケル膜に形成したスリット41を介して、回折格子5の入射面に入射光として垂直に入射し、回折格子5により分光された紫外線UV−A(UV−A1、UV−A2)、UB−B、UV−Cを受光する。紫外線計測装置1を用いることによって、回折格子5を用いて容易に自然光から紫外線UV−A、UB−B、UV−Cを分光することができる。
【0030】
(紫外線計測装置の構成)
紫外線計測装置1の構成を図2に基づき説明する。紫外線量計測装置1は、コリメート・ユニット3、回折格子5、紫外線センサ7、及び紫外線計測回路9を有している。コリメート・ユニット3は、外部から自然光を集光し、集光した自然光をコリメートする。スリット膜4は、コリメートされた自然光の一部を通過させる。回折格子5は、コリメートされた自然光を分光する。紫外線センサ7は、分光によって得られた紫外線を検知する。紫外線量計測回路9は、検知され紫外線の量を、所定の周波数毎に計測する。
以下において、コリメート・ユニット3、スリット膜4、回折格子5、及び紫外線センサ7の構成について説明する。
【0031】
(コリメート・ユニットの構成)
コリメート・ユニット3の構成を図2及び図3に基づき説明する。コリメート・ユニット3は、石英ガラス板31、金属膜33、ピンホール35、及びバイナリーレンズ37を有している。
石英ガラス板31の厚さt31は、本実施例では、1mmである。
金属膜33は、本実施例では、例えばニッケル膜により構成される。金属膜33は、石英ガラス板31の表面に形成される。 金属膜33の厚さt33は、本実施例では、0.2mmである。
ピンホール35は、金属膜33内に形成される。なお、ピンホール35の直径は、本実施例では、直径5μmある。ピンホール35を矢印a1側から見た顕微鏡写真を図3Aに示す。
【0032】
バイナリーレンズ37は、石英ガラス板31の内部に形成される。バイナリーレンズ37は、石英ガラス31の内部に周期構造をしたリング状の屈折率変化領域を形成したものである。石英ガラス板31の内部にバイナリーレンズ37を形成することによって、石英ガラスにレンズ機能を付加することができる。バイナリーレンズ37の直径は、本実施例では、直径120μmある。バイナリーレンズ37は、フェムト秒レーザーを用いて石英ガラス板31の内部に形成される。なお、バイナリーレンズ37の中心軸を軸AX1とする。軸AX1は、図2に示す光学系の中心軸に該当する。石英ガラス板31の内部に形成されたバイナリーレンズ37を矢印a1側から見た顕微鏡写真を図3Bに示す。
【0033】
(スリット膜の構成)
スリット膜4の構成を図2に基づき説明する。スリット膜4は、ニッケル膜による構成されている。スリット膜4は、回折格子5の入射面P1上に配置される。スリット膜4は、回折格子5の入射面P1まで貫通するスリット41を一つ有している。
図4に示すように、スリット41は、長方形上の孔により形成されており、幅100μm、深さ2mm、長さ500μmである。なお、スリット51における深さとは、コリメートされた自然光の進行方向(矢印AX1)に沿う方向の上記の孔の長さをいう。
【0034】
長方形の孔を形成する面P41〜P44は、回折格子5の入射面P1に対して垂直に形成されている。つまり、スリット41は、回折格子5の入射面P1に対して、垂直に形成されている。回折格子5の入射面P1上にスリット膜4を配置することによって、スリット41を通過するコリメートされた自然光を回折格子の入射面P1に垂直に当てることができる。
【0035】
なお、スリット膜4は、例えば、ニッケルのCVDによって形成し、スリット51は、 例えば、リソグラフィにより形成する。
【0036】
(回折格子の構成)
回折格子5の構成を図2に基づき説明する。回折格子5は、コリメート・ユニット3によってコリメートされる自然光の進行方向(軸AX1に沿う矢印a1方向)に対して、当該自然光が入射する入射面P1が垂直となるように配置される。このように、コリメートされた自然光の進行方向に対して、回折格子5を垂直に配置することによって、ひいては回折格子5内部の回折格子を垂直に配置することによって、自然光の分光が可能となる。
本実施例における紫外線計測装置1では、回折格子5において、波長200nm〜400nmの紫外線を約30nmピッチで分光することが可能であり、自然光から紫外線UV−A、UV−B、UV−Cを分光することが可能となっている。なお、本実施例における回折格子5の内部に形成する回折格子は、図5に示すように、格子周期d51が500nm、開口径d53が250nmである。
また、回折格子5は、例えば、石英ガラス板の表面に形成された紫外線硬化樹脂にレーザーの干渉光を照射し、干渉光が照射された紫外線硬化樹脂だけを硬化させる方法によって生成される。
【0037】
(紫外線センサの構成)
図2における紫外線センサ7は、窒化ガリウムを含む受光素子(窒化ガリウム系受光素子)によって構成されている。窒化ガリウムは、300nm付近に受光のピークが存在することから、紫外線センサ7において、紫外線のうち200nm〜400nmの波長を有するものを効率よく受光させることができる。
【0038】
また、窒化ガリウム系受光素子は、特性の劣化が少なく、耐久性がよいという特徴がある。このため、窒化ガリウム系受光素子を用いた紫外線計測装置1は、長期間の使用に十分に耐えることができる。
【0039】
なお、窒化ガリウムとその他の物質(例えば、アルミニウム)を混合することによって、紫外線センサ7が受光する紫外線のピーク波長を調整することができる。例えば、アルミニウムを混合することによって、受光波長のピークをより短波長側にさせることができる。紫外線計測装置1では、紫外線センサ7において、紫外線UV−A、UV−B、UV−Cを受光させるように、窒化ガリウムとその他の物質との混合比率を調整している。
【0040】
(分光確認)
紫外線計測装置1における紫外線UV−A、UV−B、UV−Cの分光確認試験をおこなった。日本においては、自然光が少ないことから、分光をより確実に確認できるように、紫外線UV−A、UV−B、UV−Cを比較的多く含むキセノンランプ(Xeランプ)を光源とするXeランプ・ビーム光を用いている。
実験に用いた紫外線計測実験装置51の構成を図6に示す。紫外線計測実験装置51では、ニッケル膜4を光の入射面P1に有する回折格子5を所定の支持台61の上に配置し、回折格子5の下に窒化ガリウム系受光素子を複数配置した紫外線センサ7を配置している。Xeランプ・ビーム光は矢印a6方向から、回折格子5に入射する。
【0041】
図6における領域R1の拡大図を図7に示す。図7には、紫外線計測実験装置51における主要な実測値を示す。スリット41を有するニッケル膜4の厚さは1mm、回折格子5の厚さは3mmである。また、紫外線センサ7は、回折格子5の下面から8mmの位置に配置される。
スリット41は、照射されるXeランプ・ビーム光の中心から2mmずれた位置に設けられる。スリット41の幅d1は、100μmである。
【0042】
図7における光学系では、紫外線センサ7において、波長200nmの紫外線をスリット41の中心から1.4mmの位置に、波長400nmの紫外線をスリット41の中心から3.1mmの位置に、それぞれ分光する。
紫外線計測実験装置51を用いた実験により得られた結果を図8に示す。図8Aは、横軸に検出した波長(紫外域)を、縦軸にそのカウント数を示す。また図8Bは、横軸に検出した波長(紫外域)を、縦軸にその相対感度を示す。
【0043】
このことから、紫外線計測事件装置51と同様の構成を有する紫外線計測装置1は、自然光から紫外線UV−A、UV−B、UV−Cを分光することが可能であることが確認できる。
【実施例2】
【0044】
(a)光の集光に関して
前述の実施例1においては、自然光を集光するに当たって、ピンホール35を用いたが、光を集光できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、全方位集光レンズを用いるようにしてもよい。全方位集光レンズの一例を図9に示す。図9に示すように、全方位集光レンズ39は、球形のレンズであり、例えば、直径1〜2mmのものを用いることができる。
また、図10に示すように、全方位集光レンズは、半球状のレンズであり、例えば、直径1〜2mmのものを用いることができる。
【0045】
(b)スリットに関して
前述の実施例1においては、バイナリーレンズ37を用いて自然光を平行光に調整したとしても、完全な平行光にできなかった自然光を除去するためにスリット41を用いたが、完全な平行光による分光に対する影響が問題とならない程度であるならば、スリット41を用いなくともよい。
【0046】
(c)バイナリーレンズに関して
前述の実施例1においては、石英ガラス板31の内部に形成したバイナリーレンズ37を用いて自然光を平行光に調整したが、自然光を平行光に調整できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、バイナリーレンズ37以外のレンズを用いた光学系を用いてもよい。
【0047】
(d)石英ガラス
前述の実施例1においては、バイナリーレンズ37及び回折格子5は石英ガラスを用いて生成したが、紫外線を透過できるものであれば、これに限定されない。例えば、サファイアを用いて、バイナリーレンズ、回折格子を生成するようにしてもよい。また、紫外線を透過する特殊樹脂を用いるようにしてもよい。
【0048】
(e)検知紫外線
前述の実施例1においては、回折格子5によって紫外線UV−A、UV−B、UV−Cを分光するとしたが、例示の紫外線に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る皮膚の透明感評価装置は、幼児期から成人時期まで長期間使用でき、波長別、被爆累積量を表示できる紫外線センサに用いることができる。また、気象庁、公的機関向けの高感度、長寿命の紫外線測定器に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る紫外線検知装置である紫外線計測装置1の概要を説明する図である。
【図2】図1に係る紫外線計測装置1の構成を示す図である。
【図3】図2に係る紫外線計測装置1の顕微鏡写真であり、Aはピンホール35を、Bはバイナリーレンズ37を、それぞれ示す。
【図4】図2に係るスリット41の形状を示す図である。
【図5】図2に係る回折格子5の概念を示した図である。
【図6】紫外線計測実験装置51の構成を示す図である。
【図7】図6における範囲R1の拡大図である。
【図8】紫外線計測実験装置51による実験結果を示す図である。
【図9】ボール状の全方位集光レンズを用いた場合を示す図である。
【図10】ドーム状の全方位集光レンズを用いた場合を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 紫外線計測装置
3 コリメート・ユニット
31 石英ガラス板
33 金属膜
35 ピンホール
37 バイナリーレンズ
39 全方位集光レンズ
4 ニッケル膜
41 スリット
5 回折格子
7 紫外線センサ
9 紫外線量計測回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を検知する紫外線検知装置であって、
光を集光する集光手段と、
集光された光を平行光に調整する平行光調整手段と、
前記平行光が垂直に入射される入射面を有する回折格子と、
前記回折格子により分光された紫外線を受光する紫外線受光素子と、
を備えたことを特徴とする紫外線検知装置。
【請求項2】
前記平行光調整手段は、
前記回折格子の入射面側に配置され、貫通するスリットを有するスリット手段、
を有し、
前記スリットは、前記回折格子の入射面に対して垂直に形成されていること、
を特徴とする請求項1の紫外線検知装置。
【請求項3】
前記平行光調整手段は、
光を入射するバイナリーレンズを有すること、
を特徴とする請求項1の紫外線検知装置。
【請求項4】
前記バイナリーレンズは、ガラス部材の内部に形成されていること、
を特徴とする請求項3の紫外線検知装置。
【請求項5】
前記集光手段は、
光を集光するためのピンホールを有すること、
を特徴とする請求項1に記載の紫外線検知装置。
【請求項6】
前記集光手段は、
光を集光するための全方位集光レンズを有すること、
を特徴とする請求項1に記載の紫外線検知装置。
【請求項7】
前記全方位集光レンズは、球状レンズ若しくは半球状レンズであること、
を特徴とする請求項6に記載の紫外線検知装置。
【請求項8】
前記集光手段として球状レンズ若しくは半球状レンズを用い、
前記平行光調整手段としてバイナリーレンズを用い、
前記球状レンズ若しくは半球状レンズと前記バイナリーレンズを石英ガラスに形成した集光・並行調整層と、
前記回折格子を形成した回折格子層と、
前記紫外線受光素子を2次元アレイ状に並置した受光素子層と、
前記回折格子層と前記受光素子層の間に設けられた空間により形成されるスペーサー層と、
4層構造を備えたことを特徴とする紫外線検知装置。
【請求項9】
前記集光・並行調整層が5mm以下であり、
前記回折格子層が2mm以下であり、
前記スペーサー層が14mm以下であり、
前記受光素子層が1mm以下で構成されることを特徴とする請求項8に記載の紫外線検知装置。
【請求項10】
検知した紫外線の量を計測する紫外線計測手段、
を有する請求項1〜請求項9に係るいずれかの紫外線検知装置。
【請求項11】
前記紫外線受光素子は、
窒化ガリウムを含む受光素子を有すること、
を特徴とする請求項10の紫外線検知装置。
【請求項12】
紫外線を検知する紫外線検知方法であって、
紫外線を含む光を集光し、
集光した光を平行光に調整し、
平行光に調整した光を入射光として回折格子の入射面に入射し、
回折格子により分光された紫外線を受光すること、
を特徴とする紫外線検知方法。
【請求項13】
集光した光を平行光に調整する紫外線調整方法であって、
集光した光をガラス部材の内部に構成されたバイナリーレンズに入射し、
前記バイナリーレンズを透過した光を、
前記バイナリーレンズの中心軸と平行な方向に貫通するスリットに入射すること、
を特徴とする紫外線調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−236642(P2009−236642A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82254(P2008−82254)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000179926)山本光学株式会社 (49)
【出願人】(597073645)ナルックス株式会社 (38)
【出願人】(508092174)株式会社ADMO (1)
【出願人】(500079388)
【Fターム(参考)】