説明

細胞を分離するためのマイクロ流体デバイス

試料から少なくとも所定の一種の細胞(C1)を分離するためのマイクロ流体システムである。システム(1)は、所定種類の細胞(C1)の少なくとも一部を試料のさらなる細胞(C2)に対して実質的に選択的に主チャンバ(4)から回収チャンバ(5)に移動させるための分離ユニット(3)を備えている。2つの弁(9,10)が、主チャンバ(4)の上流および下流に配置されており、2つの弁(11,12)が回収チャンバ(5)の上流および下流に配置されている。制御アセンブリ(23)は、前述の弁(9,10,11、2)を管理するように、設計されている。提案されているこのシステム(1)は、高度の再現性および正確さで細胞を分離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体システム、粒子を分離するための装置、マイクロ流体デバイス、および粒子を分離するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定種類の粒子を分離するためのデバイスが、当技術分野において知られている。このデバイスは、主チャンバであって、オペレータが、ピペットを用いて、試料を主チャンバの孔を通して主チャンバ内に導くようになっている、主チャンバと、回収チャンバであって、オペレータが、ピペットを再び用いて、所定種類の粒子を回収チャンバの孔を通して回収チャンバから引き出すようになっている、回収チャンバと、を備えている。
【0003】
特許文献1,2は、試料を操作するための複雑なデバイスであって、該デバイス内に完全に組み入れられた複数の弁を備えている、デバイスを開示している。
【0004】
特許文献3は、粒子を操作するためのシステムのいくつかの態様のみを開示しており、デバイスの構造の詳細およびその操作の詳細は、明確に述べられていない。
【0005】
周知のデバイスは、分離ステップ中、導入ステップ中、および回収ステップ中の精度に関して種々の問題を有している。さらに、その結果が必ずしも再現可能ではなく、場合によっては、試料の汚染が種々のステップ中に生じ、特別の器用さを有するオペレータの介入が必要とされることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0073110号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1179585号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0209354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、現在の技術の欠点を少なくとも部分的に解消することができ、同時に、容易かつ経済的に製造することができる利点を有する、マイクロ流体システム、粒子を分離するための装置、マイクロ流体デバイス、および粒子を分離するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、後続の独立請求項および好ましくは該独立請求項に直接的または間接的に従属している請求項のいずれか1つに記載されているものによるマイクロ流体システムが提供されることになる。
【0009】
特に明確に規定されていない限り、本明細書において、以下の用語は、以下に述べる意味を有しているものとする。
【0010】
断面の「等価直径(equivalent diameter)」は、該断面と同じ面積を有する円の直径と理解されたい。
【0011】
チャンネルまたはダクトの「断面(cross section)」は、チャンネル(またはダクト)の長手方向に対して、すなわち、チャンネル(またはダクト)内において流体が前進する方向に対して実質的に直交する断面と理解されたい。
【0012】
孔の「等価直径(equivalent diameter)」は、孔自体の最小寸法の断面と同じ面積を有する円の直径と理解されたい。
【0013】
「マイクロ流体システム(またはデバイス)(microfluidic system (or device)」は、少なくとも1つのマイクロ流体チャンネル(またはダクト)を備えているシステム(またはデバイス)と理解されたい。
【0014】
「マイクロ流体チャンネル(またはダクト)(microfluidic channel (or duct)」は、1mm未満の等価直径の断面を有するチャンネル(またはダクト)と理解されたい。
【0015】
チャンネルまたはダクトの寸法は、表面形状測定装置を用いる標準的な方法によって測定可能である。
【0016】
本明細書では、「粒子(particle)」は、500μm未満(有利には、150μm未満)の最大寸法を有する遊離細胞と理解されたい。粒子の非制限的な例として、細胞、細胞堆積物(特に、細胞断片)、細胞凝集体(例えば、ニューロスフィアまたはマンモスフィアのような幹細胞から派生する細胞の小さい塊)、微生物、リポスフェア、(ポリスチレン微粒子および/または磁気的微粒子)、および細胞に連結された微粒子によって形成される複合ナノ粒子(例えば、100μm以下のナノ粒子)が挙げられる。有利には、粒子は、細胞である。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、粒子(有利には、細胞および/または細胞堆積物)は、60μm未満の最大寸法を有している。
【0018】
粒子の寸法は、目盛を刻んだスケール付きの顕微鏡または(粒子が堆積する)目盛を刻んだスライド式スケールと共に用いられる一般的な顕微鏡を用いる標準的な方法によって測定可能である。
【0019】
本明細書では、粒子の「寸法(dimensions)」は、粒子の長さ、幅、および厚みと理解されたい。
【0020】
「実質的に選択的(substantially selective)」という用語は、粒子の変位(または移動および/または分離を示す他の同様の用語)を特定するために用いられており、変位および/または分離される粒子の大半は、一種または複数種の粒子である。有利には、実質的に選択的な変位(または移動および/または分離を示す他の同様の用語)は、少なくとも90%(有利には、95%)の所定の一種または複数種の粒子を含む粒子の変位を意味している(なお、百分率は、粒子の全数に対する所定の一種または複数種の粒子の数によって定められるものである)。
【0021】
以下、本発明の実施形態のいくつかの非制限的な例を示す添付の図面を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によって構成されているシステムの概略図である。
【図2】本発明によって構成されているシステムの代替的実施形態の概略図である。
【図3】図1のシステムの概略的な側面図である。
【図4】本発明によって構成されているデバイスの分解斜視図である。
【図5】図4のデバイスの構成要素の平面図である。
【図6】図5のデバイスの構成要素を下から見た平面図である。
【図7】図4のデバイスの構成要素の斜視図である。
【図8】図4のデバイスの構成要素の分解斜視図である。
【図9】図8の構成要素の平面図である。
【図10】明瞭にするために部品が取り外されている、本発明によって構成されている装置の部分斜視図である。
【図11】明瞭にするために部品が取り外されている、異なる操作位置にある図10の装置の部分斜視図である。
【図12】図10,図11の装置の細部を下から見た斜視図である
【図13】明瞭にするために部品が取り外されている、図10,図11の装置の一部の平面図である。
【図14】,
【図15】2つの異なる操作位置にある図1−3のシステムの細部の部分断面図である。
【図16】図1−3のシステムの細部の部分断面図である。
【図17】図14,図15に示されている細部の一部の斜視図である。
【図18】図17の細部の分解斜視図である。
【図19】,
【図20】種々の操作ステップにある図4のデバイスの細部を示す図である。
【図21】図4のデバイスの平面図である。
【図22】図1のシステムを用いて行われた試験の写真である。
【図23】図1,図2の細部の実施形態を拡大して示す図である。
【図24】図17に示される部品の変更形態の斜視図である。
【図25】図24の変更形態の分解斜視図である。
【図26】図24の変更形態の側断面図である。
【図27】,
【図28】種々の操作ステップにある図31のデバイスの細部を示す図である。
【図29】図31のデバイスの構成要素の分解斜視図である。
【図30】図29の構成要素の平面図である。
【図31】本発明によって構成されているデバイスの平面図である。
【図32】図6の構成要素の変更形態、詳細には、図31のデバイスの構成要素を下から見た平面図である。
【図33】図32の細部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[マイクロ流体システム]
本発明の第1の態様によれば、(図20に概略的に示されているように)試料から少なくとも所定の一種の粒子C1を実質的に分離するためのマイクロ流体システム1が提供されている。システム1(図1)は、入口2であって、使用時、試料が該入口2を通ってシステム1内に導かれるようになっている、入口2と、(図20に概略的に示されているように)所定種類の粒子C1の少なくとも一部を試料のさらなる粒子C2から実質的に選択的に分離するように設計された分離ユニット3と、分離ユニット3に接続された出口8であって、具体的には、使用時に、実質的に選択的に分離された所定種類の粒子C1の少なくとも一部が、該出口8を通ってシステム1から流出するようになっている、出口8と、を備えている。分離ユニット3は、入口2に接続されている。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、入口2と分離ユニット3との間(詳細には、入口2と主チャンバ4との間)に配置された弁9と、出口8と分離ユニット3との間に配置された弁12と、を備えている。詳細には、システム1は、分離ユニット3とシステム1の外側に開いている各開口との間に配置された弁を備えている。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、分離ユニット3は、主チャンバ4および回収チャンバ5を備えており、所定種類の粒子C1の少なくとも一部を試料のさらなる粒子C2に対して実質的に選択的に主チャンバ4から回収チャンバ5に移動させるように設計されている。
【0026】
分離ユニット3は、チャンネル6をさらに備えている。チャンネル6は、チャンバ4,5を互いに接続しており、(すなわち、チャンバ4,5間の流体の移動を可能としており)、チャンバ4,5のいずれの寸法(特に、幅および長さ)よりもかなり小さい寸法(特に、幅および長さ)を有している。
【0027】
システム1は、出口7であって、試料が主チャンバ4内に自由に流入することを可能とし、従って、通気口として機能するように主チャンバ4に接続されている、出口7と、回収チャンバ5に接続された出口8であって、使用時に、回収チャンバ5内に収集された所定種類の粒子C1の少なくとも一部が、該出口8を通ってシステム1から流出するようになっている、出口8と、を備えている。
【0028】
システム1は、主チャンバ4の上流に配置された弁9と、主チャンバ4と出口7との間に配置された弁10と、回収チャンバ5に接続された弁11と、回収チャンバ5と出口8との間に配置された弁12と、をさらに備えている。詳細には、弁11は、回収チャンバ5とキャリア液体源との間に配置されている。
【0029】
さらに詳細には、回収チャンバ5は、一方の側の主チャンバ4と他の側の弁11,12との間に配置されており、主チャンバ4は、一方の側の回収チャンバ5と他の側の弁9,10との間に配置されている。
【0030】
弁9,10は、主チャンバ4への試料の流入を調整するように設計されている。
【0031】
弁11,12は、キャリア液の回収チャンバ5への流入および所定種類の粒子C1を伴うキャリア液の回収チャンバ5から出口8への流出を調整するように設計されている。
【0032】
もし使用時に弁9,12が閉じており、弁11,10が開いているなら、主チャンバ4の洗浄が行われていることになる。換言すれば、このとき、試料のさらなる粒子C2が主チャンバ4から排出(すなわち、流出)されていることになる。
【0033】
特定の実施形態によれば、キャリア液は、緩衝液、特に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0034】
図1に示されている実施形態によれば、システム1は、入口2と弁9との間に配置されたリザーバ13であって、入口2を通って導かれた試料を収集するように設計されている、リザーバ13と、キャリア液を収容するためのリザーバ14であって、回収チャンバ5を満たすように設計されている、リザーバ14と、を備えている。換言すれば、リザーバ14は、キャリア液源として機能している。システム1は、リザーバ7’をさらに備えている。リザーバ7’は、出口7に配置されており、主チャンバ4から流入する流体を収集するように設計されている。
【0035】
弁9は、入口2と主チャンバ4との間、詳細には、リザーバ13と主チャンバ4との間に配置されており、入口2および主チャンバ4を互いに接続または分離するように設計されている。
【0036】
有利には、システム1は、圧力源15をさらに備えている。圧力源15は、所定圧力を供給する方向においてリザーバ13と主チャンバ5との間に圧力差をもたらすためのものである。詳細には、圧力源15は、所定圧力を供給する方向においてリザーバ13から主チャンバ5に向かって圧力を加えるように設計されている。いくつかの実施形態によれば、リザーバ13は、圧力源15と弁9との間に配置されている。
【0037】
具体的には、リザーバ13は、圧力源15と主チャンバ4との間に配置されている。
【0038】
特定の実施形態によれば、システム1は、ダクト16を備えている。ダクト16は、圧力源15と主チャンバ4との間を接続しており、(すなわち、圧力源15と主チャンバ4との間の流体の移動を可能にしており)、該ダクト16に沿って、リザーバ13および弁9が配置されている。ダクト16は、2mm未満の等価直径の断面を有しており、有利には、50μm以上の等価直径の断面を有している。ダクト16は、0.9mm以下の等価直径の断面を有する少なくとも1つのストレッチ部を備えている。
【0039】
システム1は、振動装置17をさらに備えている。振動装置17は、少なくとも入口2から主チャンバ4までの領域において、試料に加えられる圧力の周期的な変動を生じさせるように設計されており、圧力源15とリザーバ13との間に配置されている。このようにして、リザーバ13および/またはダクト16および/または主チャンバ4内に存在する試料の粒子C1,C2が振動させられ、試料の粒子C1,C2のリザーバ13から主チャンバ4への流入が改良されることになる。すなわち、粒子C1,C2がリザーバ13および/またはダクト16および/または主チャンバ4のそれぞれの壁に塊状集積または付着する傾向が小さくなる。主チャンバ4内における粒子C1,C2の分散の均一性も改良されることになる。
【0040】
有利には、振動装置17は、特にTジョイント19によって、ダクト16に接続された振動ダイアフラム18を備えている。特定の実施形態によれば、振動ダイアフラムは、入口および出口が短絡しているマイクロポンプ(Thinxxs(登録商標)MDP2205)である。
【0041】
(図1に示されていない)いくつかの実施形態によれば、入口2は、圧力源15(特に、ジョイント19)とリザーバ13との間において、ダクト16に沿って配置されている。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、ダクト20を備えている。ダクト20は、主チャンバ4と出口7との間に配置されており、ダクト16の断面よりも小さい断面を有する少なくとも1つのストレッチ部20’を有している。詳細には、ストレッチ部20’の断面は、ダクト16の断面よりも少なくとも100μmだけ小さくなっている。有利には、ストレッチ部20’は、主チャンバ4のすぐ下流に配置されている(すなわち、さらなるストレッチ部または要素を介在させることなく、主チャンバ4の下流に配置されている)。
【0043】
ストレッチ部20’は、150μm未満の幅、110μm未満の深さ、および2mmを超える長さを有している。有利には、ストレッチ部20’は、100μmを超える幅、30μmを超える深さ、および特に、6mm未満の長さを有している。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、ダクト20は、ストレッチ部20’’を備えている。ストレッチ部20’’は、ストレッチ部20’と出口7との間に配置されており、ストレッチ部20’ の等価直径の断面よりも大きい(具体的には、ダクト16の等価直径の断面と実質的に等しい)等価直径の断面を有している。
【0045】
概して、種々の実施形態によれば、システム1は、試料がダクト20に進入し始めたときを直接的または間接的に検出するためのセンサと、主チャンバに向かう試料の流入を阻止するための阻止装置と、センサによって検出されたもの(詳細には、試料がダクト20に進入し始めたとき)に応じて阻止装置を作動させるために、センサおよび阻止装置に接続された制御アセンブリと、を備えている。
【0046】
いくつかの特定の実施形態によれば、システム1は、ダクト16に沿った圧力の変動および/または主チャンバ4における圧力の変動を検出するための圧力センサ21と、主チャンバ4に向かう試料の流入を阻止するための阻止装置22と、を備えている。システム1は、検出された圧力の変動に応じて阻止装置22を作動させるために、圧力センサ21および阻止装置22に接続された制御アセンブリ23をさらに備えている。詳細には、使用時、制御アセンブリ23は、圧力センサ21が所定の閾値を超える圧力を検出したとき、阻止装置を作動させるようになっている。
【0047】
さらに特定の実施形態によれば、システム1は、圧力センサ21に加えてまたは圧力センサ21の代替として、以下の要素、すなわち、ストレッチ部20’の入口に配置された光学センサと、試料の通過の開始に起因する伝導度の変動を検出するために、ストレッチ部20’の入口に配置された電気伝導度の検出器と、試料の通過の開始に起因する誘電率の変動を検出するために、ストレッチ部20’の入口に配置された誘電率の検出器と、試料の通過の開始に起因する熱抵抗の変動を検出するために、ストレッチ部20’の入口に配置された熱抵抗の検出器と、試料の通過の開始に起因する熱容量の変動を検出するために、ストレッチ部20’の入口に配置された熱容量の検出器と、から選択される1つまたは2つの要素を備えている。これらのいずれにおいても、制御アセンブリ23は、該1つまたは複数の検出器に接続されており、該1つまたは複数の検出器によって検出された変動に応じて阻止装置20を作動させるように、設計されている。
【0048】
いくつかの実施形態によって、光学センサは、集積フォトダイオードまたは(可能であれば、画像拡大システム付きの)外部ビデオカメラである。
【0049】
図23を特に参照すると、阻止装置22は、安全弁22’を備えており、有利には、圧力源15とリザーバ13との間に配置されている。阻止装置22が作動されるとき、安全弁22’が操作され、圧力源15からの空気噴流が外側に放出され、ダクト16に沿った圧力が低下するようになっている。安全弁22’は、Tジョイント22’’によってダクト16に流体力学的に接続されている。
【0050】
詳細には、阻止装置22は、ジョイント19と圧力源15との間において、特に、主チャンバ4に圧力を供給する方向に関して圧力センサ21の上流に配置されている。
【0051】
前述したことから、分離ユニット3内への試料の導入が改善され、これによって、試料のかなりの部分が分離ユニット3を超える危険性が減少することが推察されるだろう。
【0052】
代替的実施形態によれば、阻止装置22が設けられておらず、阻止機能は、制御アセンブリ23に接続された弁によって行われるようになっている。換言すれば、使用時に、制御アセンブリ23は、圧力センサ21が所定の閾値よりも高い圧力を検出したとき、弁9を閉じるようになっている。
【0053】
有利には、制御アセンブリ23は、弁9,10,11,12に接続されている。
【0054】
制御アセンブリと他の要素(装置、弁ユニット、など)との間の接続は、既存の電気接続具(導体ケーブル)を介してもたらされてもよいし、または電磁波(例えば、電波、マイクロ波など)を介して、もたらされてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、入口24を備えている。リザーバ14は、入口24と弁11との間に配置されており、入口24を通って導かれたキャリア液を収集するように設計されている。
【0056】
弁11は、入口24と回収チャンバ5との間に配置されており、入口24および回収チャンバ5を互いに接続または分離するように設計されている。詳細には、弁11は、リザーバ14と回収チャンバ5との間に配置されており、リザーバ14および回収チャンバ5を互いに接続または分離するように設計されている。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、リザーバ14と回収チャンバ5との間に圧力差をもたらすための圧力源25を備えている。詳細には、圧力源25は、リザーバ14から回収チャンバ5に向かって圧力を加えるようになっている。
【0058】
有利には、リザーバ14は、圧力源25と弁11との間に配置されている。具体的には、システム1は、ダクト26を備えている。ダクト26は、圧力源25と回収チャンバ5とを接続しており、(すなわち、圧力源25と回収チャンバ5との間の流体の移動を可能としており)、該ダクト26に沿って、リザーバ14および弁13が配置されている。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、入口24は、ダクト26に沿って、詳細には、圧力源25とリザーバ14との間に配置されている。
【0060】
図3を特に参照すると、システム1は、振動装置17aを備えている。振動装置17aは、振動装置17と同様であり、少なくとも回収チャンバ5の領域において、圧力の周期的な変動を生じさせるように設計されている。このようにして、回収チャンバ5内に存在している所定種類の粒子C1が振動させられ、回収チャンバ5から出口8に向かう所定種類の粒子C1の流出が改良されることになる。すなわち、粒子C1が回収チャンバ5および/または回収チャンバ5を出口8に接続している(すなわち、回収チャンバ5と出口8との間の流体の移動を可能にしている)ダクト27のそれぞれの壁に塊状集積または付着する傾向が小さくなる。弁12は、回収チャンバ5と出口8との間に配置されている。
【0061】
有利には、振動装置17aは、特にTジョイント19aによって、ダクト26に接続されたダイアフラムポンプ18aを備えている。
【0062】
(図示されていない)実施形態によれば、チャンバ5を満たすためのシステムは、チャンバ4を満たすためのシステムと同様である。
【0063】
従って、前記の場合には、(図示されていない)阻止装置が圧力源25とリザーバ14との間に配置されており、さらに、主チャンバ4を参照して前述したものと同様の(図示されていない)1つまたは複数のセンサおよび/または検出器が、ダクト26の入口または他の適切な位置に配置されている。
【0064】
(図示されていない)実施形態によれば、システム1は、検出器(特に、光学検出器、インピーダンス検出器、または超音波検出器)を備えている。制御アセンブリ23に接続された該検出器は、出口8に配置されており、出口8から流出する液体を検出するように設計されている。制御アセンブリ23は、光学センサによって検出されたものに応じて弁11および/または弁12の開口度を調整するように設計されている。詳細には、使用時に、光学センサが(所定種類の粒子C1の少なくとも一部が存在している)キャリア液の少なくとも一滴を検出すると、制御アセンブリ23は、安全弁を作動させ、作動圧力をゼロにし、これによって、液体の流れを阻止するようになっている。
【0065】
付加的または代替的に、光学センサが(所定種類の粒子C1の少なくとも一部が存在している)キャリア液の少なくとも一滴を検出すると、制御アセンブリ23は、弁12および/または弁11を閉じるようになっている。
【0066】
このようにして、極めて少量の液体内の粒子C1を得ることが可能である。これによって、後続の分析ステップが容易になる。
【0067】
図2は、回収チャンバ5に対するダクト26の位置に関して図1のシステムと異なっているシステム1の一実施形態を示している。この実施形態では、システム1は、ダクト28を備えている。ダクト28は、回収チャンバ5を出口7(または図示されていないさらなる出口)に接続しており、該ダクト28に沿って、制御アセンブリ23に接続された弁29が配置されている。ダクト26は、ダクト27,28間において、回収チャンバ5に接続されている。詳細には、ダクト26は、チャンネル6の実質的に前方において、回収チャンバ5に接続されている。
【0068】
図14,15を特に参照すると、いくつかの実施形態によれば、弁9,10,11,12の少なくとも1つ(特に、各弁9,10,11,12)は、特定の弁Vに関して以下に述べる特定の構造を有している(換言すれば、弁9,10,11,12の1つまたは複数は、以下に述べる弁Vの構造を有している)。
【0069】
本発明の一態様によれば、弁Vが設けられている。
【0070】
弁Vは、閉鎖要素30を備えている。閉鎖要素30は、実質的に弾性の材料から構成されており(特に、該材料から作製されており)、閉鎖要素30が各ダクトの2つのストレッチ部31,32を分離する(図14に示されている)阻止位置と、閉鎖要素30がストレッチ部31,32間の流体の移動を可能とするように位置している(図15に示されている)開位置との間で行き来するように設計されている。
【0071】
弁Vは、2つのストレッチ部31,32間に配置されたダイアフラム33を備えている。閉鎖要素30が阻止位置に位置するとき、閉鎖要素30自体が、ストレッチ部31,32を互いに分離するために、ダイアフラム33に接触するようになっている。閉鎖要素30が開位置に位置するとき、閉鎖要素30自体が、ストレッチ部31,32間の流体の移動を可能にするために、ダイアフラム33から離れて位置するようになっている。
【0072】
弁Vは、個別の機械的圧力要素34をさらに備えている。圧力要素34は、閉鎖要素30を阻止位置に保持するために、閉鎖要素30をストレッチ部31,32に向かって(詳細には、ダイアフラム33に向かって)押圧するようになっている。有利には、機械的圧力要素34は、バネから構成されている(詳細には、バネである)。このバネは、閉鎖要素34が阻止位置から開位置に移った時に、圧縮され、閉鎖要素30が開位置から阻止位置に移ったときに、伸張するようになっている。
【0073】
弁Vは、流体力学的アクチュエータ35を備えている。アクチュエータ35は、機械的圧力要素34を収容している中空要素37を備えるアクチュエータノズル36を備えている。中空要素37は、内部チャンネル38と、閉鎖要素34に接触して配置された(特に、アクチュエータ孔39を備える)開端と、を有している。
【0074】
流体力学的アクチュエータ35は、シール要素40を備えている。シール要素40は、内部チャンネル38に沿って液密に摺動するように設計されており、機械的圧力要素と接触してアクチュエータ孔39に対応する位置に配置されている。
【0075】
流体力学的アクチュエータ35は、吸引ユニット41をさらに備えている。吸引ユニット41は、アクチュエータノズル36を(図3に示されている)吸引源43に接続するダクト42を備えている。
【0076】
使用時に、吸引ユニット41が作動されると、シール要素30が後方に吸引され、シール要素40を押圧し、このシール要素40が、機械的圧力要素34を圧縮するように内部チャンネル38内で摺動する。その結果、前記負圧が、閉鎖要素30を開位置に達するまでダイアフラム33から離れる方に移動させることになる。吸引ユニットが停止すると、機械的圧力要素34が、シール要素40を外側に向かってアクチュエータ孔39内に押圧する。その結果、シール要素40が、閉鎖要素30を阻止位置に達するまでダイアフラム33に対して押圧することになる。
【0077】
(図7にも示されている)閉鎖要素30は、薄膜部分44と、薄膜部分44の周縁に沿って延在している突起45と、を有している。換言すれば、閉鎖要素30は、周辺縁において大きな厚みを有している。これによって、薄膜の機械的な抵抗および閉鎖要素30とアクチュエータノズル36(具体的には、中空要素37)との間の液密性を改良することができる。突起45は、環状形状を有している。
【0078】
特定の実施形態によれば、薄膜部分44は、実質的に円筒状の形状を有しており、この場合、突起45は、円形リングの形状を有している。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、閉鎖要素30は、単一のゴム状材料(すなわち、エラストマー)または互いに異なる多数のゴム状材料の組合せ(例えば、混合)によって作製されている。
【0080】
有利には、エラストマーは、シリコーン、具体的には、シリコーンゴムを含んでいる(特に、シリコーン、具体的には、シリコーンゴムからなっている)。いくつかの実施形態では、シリコーンは、以下の式:
[RSiO]
を有している。式中、nは、4よりも大きい整数であり、各Rは、メチル、エチル、プロピルからなる群から独立して選択されるものとする。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、エラストマーは、一種のみのシリコーン、または代替的に、互いに異なる多数の種類のシリコーンを含んでいる(すなわち、該シリコーンから構成されている)。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータノズル36の直下に配置されているのは、機械的圧力要素46(特に、バネ)である。圧力要素46は、アクチュエータノズル36を閉鎖要素30に対して押圧するためのものである。
【0083】
変更形態によれば、流体力学的アクチュエータ35は、図24−26に示されている構造を有している。この構造において、シール要素40は、分解可能な2つの構成部品40’,40’’を備えている。
【0084】
弁Vの特別の構造が先行技術を上回る著しい利点をもたらすことが、強調されるべきである。
【0085】
第1の利点は、試料のガス汚染(特に、空気汚染)の危険性が低い点にある。この点に関して、通常、閉鎖要素30は、ガスに対して部分的に透過性であること、およびここに提案されている解決策では、閉鎖要素30を阻止位置に保持するために空気噴流を供給する必要がないこと(空気噴流を供給すれば、空気噴流の一部がダクトに進入することになること)に留意されたい。
【0086】
第2の利点は、吸引源が機能しているとき(多数の部品が高液密をもたらすために嵌合されるとき)の圧力損失が低減される点にある。
【0087】
図3の実施形態では、弁9,11は、概略的に示されており、前述した弁Vと同じ構造を実質的に有している。この場合、有利には、弁9,11は、各々、それぞれの吸引源43に接続されている。
【0088】
(図示されていない)いくつかの実施形態によれば、システム1は、圧力源15,25を備えていない。この場合、弁9および/または弁11は、単一弁に代わって、ダクト16および/またはダクト26に沿って連続して配置された複数の弁を備えている。使用時に、連続して配置されたこれらの弁は、試料および/またはキャリア液を分離ユニット3に供給するために、順次開閉されるようになっている。これによって、連続して配置された弁は、蠕動ポンプと同じように作動することになる。
【0089】
蠕動ポンプのように作動させるには、通常、連続して配置された少なくとも3つの弁が必要であることに留意されたい。
【0090】
しかし、いくつかの実施形態によれば、弁9および/または弁11は、各々、連続して配置された2つの弁を備えている(特に、該2つの弁からなっている)。この場合、前記弁は、蠕動ポンプのように作動させるために、弁10および/または弁12と組み合わせて作動されるようになっている。
【0091】
これらの実施形態は、いくつかの利点を有している。すなわち、これらの実施形態は、煩わしい圧力源を内蔵する必要がなく、分離ユニット3に送給される流体の量を極めて正確に調整することができる。
【0092】
図3に示されている実施形態によれば、システム1は、電気泳動システムを備えている。分離ユニット3は、電気泳動システムの少なくとも一部を備えている。いくつかの実施形態によれば、分離ユニット3は、電気泳動システム(の全体)を備えている。
【0093】
詳細には、システム1(特に、電気泳動システム)は、光学センサ47を備えている。制御アセンブリ23は、光学センサ47および分離ユニット3に接続されている。有利には、光学センサ47は、ビデオカメラ48を備えている。使用時に、制御アセンブリ23は、光学センサ47によって検出されたものに応じて、チャンバ4,5の種々の作動要素を作動させるようになっている。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、分離ユニット3は、オペレータ・インターフェイス49(人/機械インターフェイス)をさらに備えている。有利には、オペレータ・インターフェイス49は、パーソナル・コンピュータを備えている。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、電気泳動システムおよび/またはその操作は、特許出願番号WO0069565、WO2007010367、およびWO2007049120の少なくとも1つに記載されている。これらの特許出願の内容は、完全に記載されているようにここに完全に引用されるものとする(および参照することによって、ここに含まれるものとする)。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、システム1(図2)は、冷却アセンブリ50を備えている。冷却アセンブリ50は、分離ユニット3の少なくとも一部、特に、主チャンバ4および回収チャンバ5を冷却するように設計されている。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、冷却アセンブリ50は、ペルチエアセンブリであり、冷却プレート51を備えている。冷却プレート51は、分離ユニット3からの熱を吸収するように設計された作用面52と、熱を発散する放出面53と、を有している。有利には、作用面52は、放出面53よりも小さい面積を有している。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、作用面52と分離ユニット3との間に配置されているのは、熱伝導性ポリマー材料から作製された(それ自体が知られている)マットである。
【0099】
冷却アセンブリ50は、熱交換器として機能する調整回路55に接続された伝熱プレート54をさらに備えている。
【0100】
回路55は、2つのダクト56と、2つのダクト56間に配置されたラジエーター57と、ラジエーター57内を流れる調整流体を冷却するための複数のファン58と、調整流体をダクト56に沿っておよびラジエーター内に流すポンプ59と、を備えている。
【0101】
図3に示されている実施形態によれば、システム1は、少なくとも1つ(典型的には、4つ)の機械的圧力要素60(具体的には、バネ)を備えている。圧力要素60は、冷却アセンブリ50を主チャンバ4および回収チャンバ5に向かって押圧するためのものである。
【0102】
図16,18,13,3を特に参照すると、システム1は、ダクト16の2つのストレッチ部間およびダクト26の2つのストレッチ部間にそれぞれ配置された2つの圧力供給ノズル61,61aをさらに備えている。
【0103】
圧力供給ノズル61は、中空体62を備えている。中空体62は、圧力装置64に接続されており、圧力装置64に対して反対の端に配置された圧力供給孔63を有している。
【0104】
圧力装置64は、圧力ユニット65を備えている。圧力ユニット65は、圧力源15と、圧力源15を圧力供給ノズル61に接続するダクト(特に、ダクト16の第1のストレッチ部)と、を備えている。
【0105】
圧力供給孔63とダクト16の第2のストレッチ部との間に配置されているのは、実質的に弾性の材料を含んでいる(特に、該材料からなっている)(図7,16に示されている)シールリング66である。
【0106】
有利には、上記の実質的に弾性の材料は、閉鎖要素30に関して前述したように定義されるものである。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、シールリング66は、実質的に円形であり、実質的に中心の孔67と、孔67の範囲を定めている内側部分と、内側部分よりも大きい厚みを有する周辺部分と、を有している。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、少なくとも1つの機械的圧力要素68(特に、バネ)をさらに備えている。圧力要素68は、圧力供給ノズル63をシールリング66に向かって(具体的には、該シールリング66に対して)押圧するように配置されている。このようにして、圧力のより小さい分散(すなわち、良好なシール)が、圧力供給ノズル63、シールリング66、およびダクト16の第2のストレッチ部の間に得られることになる。機械的圧力要素68は、生じ得る装置の平面性の欠如を補償し、加えられる接触圧力を調整する重要な機能を有している。
【0109】
有利な実施形態によれば、圧力供給ノズル61aは、圧力装置64に接続されている圧力供給ノズル61と同じ構造を有しており、対応する機械的圧力要素68aによって、各シールリング66aに向かって押圧されるようになっている。
【0110】
システム1は、(図13に部分的に示されている)シート69をさらに備えている。シート69は、図示されていない周知の形式の取外し可能な収集器(例えば、試験管)を収容するように設計されており、出口8に配置されている。
【0111】
ダクト27とシート69との間に配置されているのは、シールリング70である。シールリング70は、ダクト27とシート69との間のより小さい分散(すなわち、良好な密封)を確実なものとするように設計されている。シールリング70は、実質的に弾性の材料を含んでいる(具体的には、該材料からなっている)。
【0112】
有利には、上記の実質的に弾性の材料は、閉鎖要素30に関して前述したように定義されるものである。
【0113】
いくつかの実施形態によれば、シールリング70は、実質的に円形であり、実質的に中心の孔71と、孔71の範囲を定めている内側部分と、内側部分よりも大きい厚みを有する周辺部分と、を有している。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、2つの分離可能な部分、すなわち、実質的に固定された装置72(該装置72の一実施形態が図10,11に部分的に示されている)と、デバイス73(該デバイス73の一実施形態の平面図が図21に示されており、分解図が図4に示されている)と、を備えている。
【0115】
本発明の特定の態様によれば、試料から少なくとも所定の一種の粒子C1を分離するためのマイクロ流体システム1であって、第1の入口2であって、使用時に、試料が該第1の入口2を通ってシステム1内に導かれるようになっている、第1の入口2と、主チャンバ4および回収チャンバ5を備えている分離ユニット3であって、所定種類の粒子C1の少なくとも一部を試料のさらなる粒子C2に対して実質的に選択的に主チャンバ4から回収チャンバ5に移動させるように設計されている、分離ユニット3と、主チャンバ4に接続された第1の出口7と、回収チャンバ5に接続された第2の出口8であって、使用時に、回収チャンバ5に収集された所定種類の粒子C1の少なくとも一部が該第2の出口8を通ってシステム1から流出するようになっている、第2の出口8と、を備えている、マイクロ流体システムにおいて、主チャンバ4の上流に配置された第1の弁9と、主チャンバ4と第1の出口7との間に配置された第2の弁10と、回収チャンバ5の上流に配置された第3の弁11と、回収チャンバ5と第2の出口8との間に配置された第4の弁12と、を備えていることを特徴とするマイクロ流体システムが提供されている。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、本システムは、本発明の第1の態様および第2の態様に従って前述した特性の1つまたは複数を備えている。
【0117】
使用時に、(前述した本発明の態様の1つまたは複数による)システム1は、以下に述べる方法に従って、用いられるようになっている。
【0118】
[方法]
本発明の第3の態様によれば、マイクロ流体システムによって、試料から少なくとも所定の一種の粒子C1を分離するための方法が提供されている。マイクロ流体システムは、システム1またはシステム1と同様のマイクロ流体システムである。有利には、マイクロ流体システムは、本発明の先行する態様の1つによる前述のシステム1である。いずれにしても、方法の説明を簡素化するために、マイクロ流体システムおよびその部品は、システム1および同様または同一の部品を識別するために用いられた参照番号によって識別することにする。
【0119】
本方法は、試料をシステム1の入口2を通してシステム1内に導くステップと、分離ステップであって、該ステップ中に、所定種類の粒子C1の少なくとも一部がシステム1の分離ユニット3内においてさらなる粒子C2から分離されるようになっている、分離ステップと、分離ステップに少なくとも部分的に先立って行われる第1の供給ステップであって、該ステップ中に、試料の少なくとも一部が分離ユニット3に送給されるようになっている、第1の供給ステップ(該第1の供給ステップは、図19e−19iに概略的に示されている)と、分離ステップに少なくとも部分的に続く回収ステップであって、該ステップ中に、実質的に選択的に分離された所定種類の粒子C1の少なくとも一部が分離ユニット3からシステム1の出口8内に流出するようになっている、回収ステップ(該回収ステップは、図20c,20dに概略的に示されている)と、を含んでいる。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、入口2と分離ユニット3との間に配置された弁9と、出口8と分離ユニット3との間に配置された弁12と、を備えている。分離ステップ中に、弁9,12は、閉状態に保持されている。
【0121】
詳細には、システム1は、システム1の外側に開いている各開口(例えば、入口および/または出口)と分離ユニット3との間に配置された弁を備えている。分離ステップ中に、これらの弁の各々は、閉状態に保持されている。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、回収ステップは、分離ステップに完全に続いて行われるようになっている。
【0123】
いくつかの実施形態によれば、分離ステップは、第1の供給ステップに完全に続いて行われるようになっている。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、分離ステップ中に、所定種類の粒子C1は、試料のさらなる粒子C2に対して実質的に選択的に分離ユニット3の主チャンバ4から回収チャンバ5に移動するようになっている(分離ステップが終了した状態が、図20aに示されている)。
【0125】
いくつかの実施形態によれば、図2に記載されているシステムを用いる分離ステップ中に、多数の所定種類の粒子C1が、主チャンバ4から回収チャンバ5の特定の領域(該回収チャンバの残りからの流体抵抗を介して隔離されている領域)に移動するようになっている。
【0126】
システム1の出口7および出口8は、それぞれ、主チャンバ4および回収チャンバ5に接続されている。
【0127】
有利には、システム1は、主チャンバ4の上流に配置された弁9と、主チャンバ4の下流に配置された弁10と、回収チャンバ5の上流に配置された弁11と、回収チャンバ5の下流に配置された弁12と、を備えている。分離ステップ中に、詳細には、主チャンバ4および回収チャンバ5を外側に対して隔離するために、弁9,10,11,12は、閉じられている。
【0128】
本方法は、分離ステップに少なくとも部分的に先立って行われる第1の供給ステップであって、該ステップ中に、試料の少なくとも一部が主チャンバ4内に送給されるようになっている、第1の供給ステップ(該第1の供給ステップは、図19e−19iに概略的に示されている)と、分離ステップに少なくとも部分的に先立って行われる第2の供給ステップであって、該ステップ中に、キャリア液が回収チャンバ4に送給されるようになっている、第2の供給ステップ(該第2の供給ステップは、図19a−19dに示されている)と、をさらに含んでいる。
【0129】
本方法は、回収ステップであって、該ステップ中に、キャリア液が、所定種類の粒子C1の少なくとも一部と一緒に、回収チャンバ5から出口8内に流出するようになっている、回収ステップ(該回収ステップは、図20c,20dに概略的に示されている)をさらに含んでいる。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、導入ステップ中、試料の少なくとも一部が、システム1のリザーバ13内に導かれるようになっている。
【0131】
有利には、分離ステップは、電気泳動によって行われるようになっている。少なくとも分離ステップ中、分離ユニット3は、冷却されている。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、第1の供給ステップおよび第2の供給ステップの少なくとも1つまたは両方が、分離ステップに完全に先立って行われるようになっている。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、第2の供給ステップは、第1の供給ステップに少なくとも部分的に先立って行われるようになっている。有利には、第2の供給ステップは、第1の供給ステップに完全に先立って行われるようになっている。
【0134】
いくつかの実施形態によれば、試料を主チャンバに供給するための第1の圧力が設定されるようになっている。
【0135】
詳細には、第1の圧力は、試料をリザーバ13から主チャンバ4に向かって押圧するためのものである。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、第1の圧力は、第1の供給ステップの少なくとも前または第1の供給ステップ中に加えられるようになっている。
【0137】
有利には、回収ステップ中、所定種類の粒子C1の少なくとも一部に振動、具体的には、周期的に変動する圧力が加えられるようになっている(振動の周波数は、2Hzから80Hzの間、有利には、5Hzから40Hzの間である)。有利には、第1の供給ステップ中、システム1の主チャンバ4の上流に配置された弁9、およびシステム1の主チャンバ4と出口7との間に配置された弁10が開けられている。詳細には、第1の供給ステップ中、試料が弁9を通過している。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、第1の供給ステップ中に、試料に振動、具体的には、周期的に変動する圧力が加えられるようになっている(振動の周波数は、2Hzから80Hzの間、有利には、5Hzから40Hzの間である)。
【0139】
特定の実施形態によれば、システム1は、入口2を主チャンバ4に接続するためのダクト16と、主チャンバ4と出口7との間に配置されたダクト20であって、ダクト16の断面よりも小さい、具体的には、少なくとも100μmだけ小さい断面を有している、ダクト20を備えており、第1の供給ステップ中、試料の圧力が、検出され、検出された圧力に応じて、特に、所定値よりも高い圧力が検出されたとき、試料の供給が阻止されるようになっている。
【0140】
さらに他の実施形態によれば、圧力の検出に加えてまたは圧力の検出の代替として、以下の検出、すなわち、チャンバ4とダクト20との間の試料の通過の光学的検出と、チャンバ4とダクト20との間の接続領域における試料の通過の開始に起因する電気伝導度の変動の検出と、チャンバ4とダクト20との間の接続領域における試料の通過の開始に起因する誘電率の変動の検出と、チャンバ4とダクト20との間の接続領域における試料の通過の開始に起因する熱抵抗の変動の検出と、チャンバ4とダクト20との間の接続領域における試料の通過の開始に起因する熱容量の変動の検出と、の1つまたは複数が行われるようになっている。
【0141】
前述したいずれの場合においても、試料がダクト20に進入し始めたことが検知されたとき、試料の流入が阻止されるようになっている。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、第2の供給ステップ中、システム1の回収チャンバ5の上流に配置された弁11および回収チャンバ5と出口8との間に配置された弁12は、開けられている。
【0143】
有利には、キャリア液を回収チャンバ5に供給するための第2の圧力が設定されるようになっている。詳細には、第2の圧力は、キャリア液をシステム1のリザーバ14から回収チャンバ5に向かって押圧するためのものである。第2の供給ステップ中、キャリア液は、弁11を通過するようになっている。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、第2の圧力は、第2の供給ステップの少なくとも前および第2の供給ステップ中に加えられるようになっている。
【0145】
回収ステップ中、弁11,12は、開けられている。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、分離ステップに少なくとも部分的に続いて、かつ回収ステップに少なくとも部分的に先立って行われる放出ステップであって、該放出ステップ中に、試料のさらなる粒子C2の少なくとも一部が主チャンバ4から出口7内に流出するようになっている、放出ステップを備えている。該放出ステップは、図20b,20cに概略的に示されている。有利には、放出ステップは、完全に分離ステップの後および/または完全に回収ステップの前に行われるようになっている。
【0147】
放出ステップ中、弁10,11は、キャリア液を主チャンバ4に供給するために、開けられている。
【0148】
放出ステップを実行することによって、さらなる粒子C2の一部が回収チャンバ5を通るキャリア液の流れによって主チャンバ4から引き戻され、回収ステップ中に出口8を通過する危険性を低減させることができる。
【0149】
実際には、いくつかの実施形態によれば、回収チャンバ5をキャリア液によって満たすために、弁11,12が開けられる。この時点で、主チャンバ4を試料によって満たすために、弁9,10が開けられる。次いで、弁9,10,11,12が閉じられ、所定種類の粒子C1が実質的に選択的に主チャンバ4から回収チャンバ5に移動する。この時点で、さらなる粒子C2の少なくとも一部をチャンバ4から流出させるために、弁10,11が開けられることになる。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、所定種類の粒子C1は、放出ステップ中に、回収チャンバ5内に少なくとも部分的にとどまるように、回収チャンバ5内に位置している。詳細には、所定種類の粒子C1は、主チャンバ4と回収チャンバ5とを接続させるためのチャンネル6に対して横方向にずれて位置している(すなわち、該チャンネルの前方に位置していない)。具体的には、粒子C2は、チャンネル6と出口8に接続されているダクト26との間に位置している。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、弁29(図2,27)を備えている。弁29は、回収チャンバと出口7(または図示されていないさらなる出口)との間に配置されている。チャンバ5は、ダクト27(従って、弁12)に流体力学的に接続されている第1の領域5’と、ダクト28(従って、弁29)に流体力学的に接続されている第2の領域5’’と、(弁11に接続されている)ダクト26の端末ストレッチ部を画定しているさらなる領域と、を備えている。
【0152】
第2の充填ステップ中、弁12,11は、弁12,11に接続されている回収チャンバ5の第1の領域5’を満たすために、開けられるようになっており、弁11,29は、弁11,29に接続されている回収チャンバ5の第2の領域5’’を満たすために、開けられるようになっている。
【0153】
特定の実施形態によれば、弁12,11,29は、第1の領域5’を満たすために、開けられるようになっている(図27b,27c)。この時点で、弁12が閉じられ、第2の領域5’’が満たされるようになっている(図27d)。
【0154】
分離ステップ中、所定種類の粒子C1の少なくとも一部および少なくとも第2の所定の一種の粒子C3の少なくとも一部が、回収チャンバ5(特に、第2の領域5’’)内に移動するようになっている(図28a,28b)。回収ステップは、第1の回収サブステップを備えており、該サブステップ中、所定種類の粒子C1の少なくとも一部が、実質的に選択的に第1の領域5’内に運ばれ(図28d)、続いて、所定種類の粒子C1の少なくとも一部が、さらなるキャリア液を回収チャンバ5に供給することによって、第1の領域5’から出口8内に流出することになる(図28e)。
【0155】
回収ステップは、第2の回収サブステップを備えており、該サブステップ中、粒子C3の少なくとも一部が、さらなるキャリア液を回収チャンバ5に供給することによって、回収チャンンバ5から出口8内に流出することになる。
【0156】
有利には、第2の回収サブステップ中、粒子C3の少なくとも一部が、第1の領域5’内に運ばれ(図28e,28f)、続いて、粒子C3の少なくとも一部が、第1の領域5’からから出口8内に流出するようになっている(図28g)。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、洗浄ステップを備えており、該ステップ中、主チャンバ4内に存在しているさらなる粒子C2は、チャンネル6から除去されるようになっている。洗浄ステップ中、弁11,10は、開けられている(図28c)。有利には、洗浄ステップ中、弁29は、閉じられており、粒子C1,C3は、第2の領域5’’内に位置している。有利には、洗浄ステップ中、弁12は、閉じられている。有利には、洗浄ステップ中、弁9は、閉じられている。
【0158】
有利には、洗浄ステップは、回収ステップに少なくとも部分的に(特に、完全に)続いて、かつ回収ステップに少なくとも部分的に(特に、完全に)先立って、行われるようになっている。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、回収ステップ中、出口8から流出するキャリア液の第1の滴が検出されるようになっており、該第1の滴が検出されたとき、回収チャンバ5からの流出が阻止されるようになっている。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、多数の回収ステップが引き続き行われるようになっており、この場合、少なくとも一滴が検出されるたびに、出口8の近傍に配置されている容器を取り換えることになる。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、二酸化炭素がシステム1内に送給されるようになっている。これによって、システム1内の酸素の存在が低減または排除されることになる。システム内の酸素の存在は、本方法の種々のステップ中に、泡を生じさせることがある。
【0162】
代替的実施形態によれば、キャリア液(および/または可能であれば、試料)は、システム1(または分離ユニット3)内に導かれる前に、超音波によってガスを除く(脱ガスする)ようになっている。
【0163】
有利には、試料およびキャリア液は、20℃よりも高い、特に25℃よりも高い温度で用いられるようになっている。これによっても、泡が生じる危険性が低減されることになる。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、本発明の第1の態様によって規定されているシステム1を用いて、適用されるようになっている。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、システム1は、2つの分離可能な部分、すなわち、実質的に固定された装置72(該装置72の実施形態は、図10,11に示されている)と、デバイス73(該デバイス73の実施形態は、図21の平面図および図4の分解図に示されている)と、を備えている。デバイス73は、有利には、使い捨て式であり、装置72に接続されるように設計されている。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、試料の一部しか主チャンバ4内に運ばれないようになっている。実際には、試料に対して、複数の連続的な部分的分離がなされるようになっている。
【0167】
[マイクロ流体デバイス]
本発明の第4の態様によれば、試料から少なくとも所定の一種の粒子C1を分離するためのデバイス73が提供されている。デバイス73は、入口2であって、使用時に、試料が該入口2を通ってデバイス73内に導かれるようになっている、入口2と、主チャンバ4および回収チャンバ5を備えている分離ユニット3と、を備えている。分離チャンバ3(特に、主チャンバ4)は、入口2に接続されている。詳細には、分離ユニット3は、電気泳動システムの一部を備えている。
【0168】
分離ユニット3は、使用時に、デバイス73が装置72内に取り付けられるとき、所定種類の粒子C1の少なくとも一部を試料のさらなる粒子C2に対して実質的に選択的に主チャンバ4から回収チャンバ5に移動させるように、設計されている。いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、主チャンバ4に接続された出口7と、回収チャンバ5に接続された出口8と、を備えている。
【0169】
使用時に、出口8を通って、回収チャンバ5内に収集された所定種類の粒子C1の少なくとも一部が、デバイス73から流出されるようになっている。
【0170】
出口7は、試料を主チャンバ内に自由に流入させることを可能にするように、従って、通気口として機能するように、設計されている。
【0171】
デバイス73は、(特に、主チャンバ4と入口2との間において)主チャンバ4の上流に配置された弁部分74と、主チャンバ4と出口7との間に配置された弁部分75と、をさらに備えている。
【0172】
弁部分74は、弁9の一部を構成するように設計されている。弁74は、弁10の一部を構成するように設計されている。
【0173】
また、デバイスは、回収チャンバ5に接続された弁部分76と、回収チャンバ5と出口8との間に配置された弁部分77と、を備えている。
【0174】
詳細には、回収チャンバ5は、一方の側の主チャンバ4と他の側の第3および第4の弁部分76,77との間に配置されており、主チャンバ4は、一方の側の回収チャンバ5と他の側の第1および第2の弁部分74,75との間に配置されている。
【0175】
弁部分75は、弁11の一部を構成するように設計されており、弁部分76は、弁12の一部を構成するように設計されている。
【0176】
いくつかの実施形態によれば、弁部分74,75,76,77の少なくとも一部は、閉鎖要素30を備えている。閉鎖要素30は、閉鎖要素30がデバイス73の各チャンネルの2つのストレッチ部を分離するように位置する阻止位置と、閉鎖要素30が該2つのストレッチ部を互いに接続させるように位置する開位置と、の間で行き来するように設計されている。有利には、各弁部分74,75,76,77は、それぞれの閉鎖要素30を備えている。
【0177】
有利には、閉鎖要素30は、システム1に関して前述したように特徴付けられている。詳細には、閉鎖要素30は、薄膜部分を有している。該薄膜部分は、具体的には、実質的に弾性の材料から作製されている。
【0178】
いくつかの実施形態によれば、弁部分74,75,76,77の少なくとも1つ、特に各々は、デバイス73のダクトの2つのストレッチ部間に配置されるダイアフラム33を備えている。阻止位置では、閉鎖要素30は、ダイアフラム33に接触しており、開位置では、閉鎖要素30は、ダイアフラム33から離れて位置している。
【0179】
弁部分74,75,76,77の少なくとも1つ、特に各々は、デバイス73のチャンネルに少なくとも1つの孔を備えている。詳細には、各閉鎖要素30は、対応するチャンネルの2つの個別の孔に対応する箇所に配置されている。前記孔は、それぞれのダイアフラム33によって互いに分離している。これらの孔の各々は、0.1から0.7mmの範囲内の直径を有している。特定の実施形態によれば、各孔は、略0.5mmの直径を有している。
【0180】
いくつかの実施形態によれば、各弁部分74,75,76,77は、流体力学的アクチュエータ35を除いた前述の弁Vの一部に対応している。
【0181】
閉鎖要素30の少なくとも1つは、デバイス73の外部のアクチュエータによって作動可能になっている。詳細には、外部アクチュエータは、装置72の一部を構成している。さらに具体的には、閉鎖要素30の各々は、デバイス73の外部のそれぞれのアクチュエータによって作動可能になっている。詳細には、これらの外部アクチュエータは、装置72の一部を構成している。
【0182】
閉鎖要素30の少なくとも1つ、特に、各々は、少なくとも部分的に露出しており、外方を向いて配置されている。これは、閉鎖要素30と各外部アクチュエータとの連結およびその相互作用にとって、より便利である。
【0183】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、入口2と弁部分74との間に配置されたリザーバ13であって、入口2を通って導かれた試料を収集するように設計されているリザーバ13と、リザーバ13を主チャンバ4に接続しているチャンネル78であって、該チャンネル78に沿って、弁部分74が配置されているチャンネル78と、をさらに備えている。詳細には、チャンネル78は、ダクト16の一部を構成している。
【0184】
有利には、チャンネル78は、0.9mmから50μmの範囲内の等価直径の断面を有している。特に、チャンネル78は、0.7mmから0.1mmの範囲内の幅および1.00mmから0.15mmの範囲内の深さを有している。特定の実施形態によれば、チャンネル78は、略0.5mmの幅および略0.25mmから略0.5mmの深さを有している。チャンネル78の特定の経路は、空気がデバイス73に進入する危険の低減に寄与するようになっている。
【0185】
有利には、リザーバ13は、5μLから100μLの容積、特に、3mmから0.8mmの範囲内の幅および1.5mmから0.25mmの範囲内の深さを有している。
【0186】
特定の実施形態によれば、リザーバ13は、略35μLの容積、略1mmの幅、および略0.5mmの深さを有している。
【0187】
有利には、弁部分74は、リザーバ13と主チャンバ4との間に配置されている。
【0188】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、供給孔79を備えている。詳細には、供給孔79は、入口2に配置されている。リザーバ13は、供給孔79と主チャンバ4との間に配置されている。チャンネル78が、供給孔79を主チャンバ4に接続している。
【0189】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、供給孔79の外側を包囲しているシールリング66を備えている。
【0190】
有利には、シールリング66は、システム1に関して前述したように特徴付けられており、具体的には、それぞれの圧力供給ノズル61に連結されるように設計されている。
【0191】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、(ダクト20の一部に対応する)チャンネル80を備えている。チャンネル80は、主チャンバ4と出口7との間に配置されており、ストレッチ部20’を備えている。ストレッチ部20’は、チャンネル78の断面よりも小さい、具体的には、少なくとも100μmだけ小さい断面を有している(ストレッチ部20’は、図9に明瞭に示されている)。
【0192】
有利には、ストレッチ部20’は、150μm未満の幅、110μm未満の深さ、および2mmを超える長さを有している。有利には、ストレッチ部20’は、100μmを超える幅、30μmを超える深さ、および特に6mm未満の長さを有している。
【0193】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、キャリア液を収容するように設計されたリザーバ14を備えている。
【0194】
有利には、リザーバ14は、10mLから100μLの範囲内の容積、5mmから0.8mmの範囲内の幅、および1.5mmから0.25mmの範囲内の深さを有している。
【0195】
特定の実施形態によれば、リザーバ14は、略150μL、略1mmの幅、および略0.5mmの深さを有している。
【0196】
デバイス73は、リザーバ14を回収チャンバ5に接続しているチャンネル81を備えており、該チャンネル81に沿って、弁部分76が配置されている。
【0197】
特に、チャンネル81は、ダクト26の一部を構成している。
【0198】
有利には、チャンネル81は、0.9mmから200μmの範囲内の等価直径の断面を有している。詳細には、チャンネル81は、0.7mmから0.25mmの範囲内の幅および0.7mmから0.15mmの範囲内の深さを有している。特定の実施形態によれば、チャンネル81は、略0.5mmの幅および略0.25mmの深さを有している。
【0199】
チャンネル81の特定の経路は、空気がデバイス73に進入する危険の低減に寄与するようになっている。
【0200】
いくつかの実施形態によれば、弁部分76は、リザーバ14と回収チャンバ5との間に配置されている。いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、供給孔82を備えている。リザーバ14は、供給孔82と回収チャンバ5との間に配置されており、チャンネル81が供給孔82を回収チャンバ5に接続している。
【0201】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、供給孔82の外側を包囲しているシールリング66aを備えている。
【0202】
有利には、シールリング66aは、システム1に関して前述したように特徴付けられており、詳細には、各圧力供給ノズル61aに連結されるように設計されている。
【0203】
デバイス73は、デバイス73を装置72に電気的に接続するための(図3に示されている)電気コネクタ83を備えている。有利には、電気コネクタ83は、少なくとも1つの電気回路、特に、接続電気印刷回路(PCB)を備えている(特に、該回路(PCB)からなっている)。
【0204】
図31に示されている実施形態によれば、デバイス73は、弁29の一部を構成するように設計されたさらなる弁部分29’を備えている。この場合、弁部分29’は、回収チャンバ5とデバイス73の出口(すなわち、システム1の出口)との間に配置されている。前記出口は、前述した出口7,8に対してさらなる出口であってもよいし、出口7または出口8と同じであってもよい(図31に示されている実施形態では、前記出口は、出口7に対応している)。
【0205】
その結果、いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、さらなる出口を備えるようになっており、弁部分29’は、回収チャンバと該さらなる出口との間に配置されており、任意選択的に、該さらなる出口は、出口7に対応している。
【0206】
デバイス73は、ダクト28をさらに備えている。ダクト28は、チャンバ5(特に、第2の領域5’’)をさらなる出口に流体力学的に接続している。弁部分29’は、ダクト28に対応する位置に配置されている。
【0207】
これらの場合、チャンバ5は、ダクト27(従って、弁部分77)に流体力学的に接続された第1の領域5’と、ダクト28(従って、弁部分29’)に流体力学的に接続された第2の領域5’’と、(弁部分76に接続された)チャンネル81(すなわち、ダクト26)の端末ストレッチ部を画定しているさらなる領域と、を備えている。
【0208】
ダクト28は、0.9mmから200μmの範囲内の等価直径の断面を有している。特に、ダクト28は、0.7mmから0.25mmの範囲内の幅および0.7mmから0.15mmの範囲内の深さを有している。特定の実施形態によれば、ダクト28は、略0.5mmの幅および略0.25mmの深さを有している。
【0209】
図31のデバイス73は、図2に示されているシステム1の一部を構成しており、図27,28に示されているように機能するように、設計されている。
【0210】
[装置]
本発明の第5の態様によれば、試料から少なくとも所定の一種の粒子C2を分離するための装置72が提供されている。
【0211】
装置72は、試料から所定種類の粒子C1を分離するためのマイクロ流体デバイス(特に、デバイス73)を収容するための(図11では開けられており、図10では閉じられている)シート84と、装置72をマイクロ流体デバイスに電気的に接続するための(図3,13に示されている)電気コネクタ85と、電気コネクタ85に接続された制御アセンブリ23と、を備えている。いくつかの実施形態によれば、装置72は、電気泳動システムの一部を備えている。
【0212】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、ハッチ86を備えている。図11では、持上げ位置にあるハッチが示されており、図10では、押下げ位置にあるハッチ86が示されている。ハッチ86の底面が、図12に示されている。
【0213】
装置72は、少なくとも4つの流体力学的アクチュエータ35を備えている。各アクチュエータ35は、それぞれの弁の一部を形成するように設計されており、各アクチュエータ孔39を有するそれぞれのアクチュエータノズル36(特に、図13参照)と、少なくとも2つの圧力供給ノズル61,61aと、を備えている。これらの圧力供給ノズル61,61aは、それぞれ、圧力供給孔63,63aを有している。
【0214】
各流体力学的アクチュエータ35は、装置72の外部、詳細には、前記マイクロ流体デバイス73に属しているそれぞれの閉鎖要素30を移動させるように設計されている。詳細には、各流体力学的アクチュエータ35は、それぞれの閉鎖要素30と連結するように(接触するように)設計されている。
【0215】
装置は、圧力供給孔63,63aにおける圧力を特定するために、圧力供給ノズル61に接続された少なくとも圧力装置64と、アクチュエータノズル36(図3)に接続された少なくとも1つの圧力装置87であって、アクチュエータ孔の少なくとも1つ(図14,15)に対応する領域に吸引をもたらすように設計されている、少なくとも1つの圧力装置87と、を備えている。
【0216】
ハッチ86が持上げ位置にあるとき、シート84が開いており、外側からアクセス可能である(図11)。詳細には、ハッチ86が持上げ位置にあるとき、マイクロ流体デバイス(特に、デバイス73)がハッチ86の下方に挿入可能である。使用時に、いったんマイクロ流体デバイスがハッチ86の下方に挿入されたなら、ハッチ86が押下げられ(図10)、マイクロ流体デバイスが、シート84内に組み入れられる。これは、一端にカム輪郭部89を有するハンドル88を回転させることによって、行われる。カム輪郭部89は、回転によって、(図示されていない周知の)バネの抵抗を上回ってハッチ86を下方に押圧し、ハッチ86を持上げ位置に保持する傾向にある。
【0217】
図12に示されているように、ハッチ86は、弁9,10,11,12を点検するための孔86aおよびチャンバ4,5を肉眼によって観察可能とするための開口86bを備えている。
【0218】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、圧力装置64,87を備える圧力アセンブリ90(図3)を備えている。圧力アセンブリ90は、少なくとも1つのポンプを備えている。
【0219】
いくつかの実施形態によれば、圧力装置64は、圧力ユニット65および少なくとも1つの圧力ユニット65aを備えている。これらの圧力ユニット65,65aは、それぞれの圧力供給ノズル61,61aに接続されている。圧力ユニット65,65aは、個別に作動可能であり、各々、対応する圧力供給孔63,63aにおける圧力(特に、該孔を通る空気噴流)を特定するように設計されている。
【0220】
いくつかの実施形態によれば、圧力装置64は、少なくとも1つの圧力源15(および/または25)を備えている(図1,2,3)。圧力ユニット65および圧力ユニット65aの少なくとも1つは、圧力源15および/または25をそれぞれの圧力供給ノズル61および/または61aに接続する対応するダクト(詳細には、圧力ユニットの場合、ダクト16の第1のストレッチ部、圧力ユニット65aの場合、ダクト26の第1のストレッチ部)を備えている。
【0221】
装置72は、前述のダクトに沿って圧力を検出するための圧力センサ21と、各圧力供給ノズル61および/または61aへの圧力の伝達を阻止するように設計された阻止装置22と、を備えている。制御アセンブリ23は、検出された圧力に応じて阻止装置22を作動するために、圧力センサ21および阻止装置22に接続されている。
【0222】
いくつかの実施形態によれば、圧力センサ21は、圧力装置64に対応する位置に配置されている。
【0223】
有利には、阻止装置22は、安全弁を備えている。該安全弁は、詳細には、前述のダクト(ダクト16の第1のストレッチ部および/またはダクト26の第1のストレッチ部)に沿って配置されている。
【0224】
図1,2に示されている実施形態によれば、阻止装置22は、ダクト16の第1のストレッチ部に沿って配置されており、圧力センサ21は、ダクト16内の圧力を検出するように設計されている。
【0225】
(図示されていない)いくつかの実施形態によれば、装置72は、ダクト26の圧力を検出するための圧力センサと、阻止装置と、を備えている。これらの圧力センサおよび阻止装置は、圧力センサ21および阻止装置22に関して前述したのと同じように特徴付けされており、かつ配置されている。
【0226】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、少なくとも1つの振動装置17および/または17aを備えている。該振動装置は、前述のダクト(ダクト16の第1のストレッチ部および/またはダクト26の第1のストレッチ部)に沿って配置されており、それぞれの圧力供給孔63および/または63a(図3)における圧力源15および/または25によって特定された圧力の周期的な変動を生じさせるように設計されている。
【0227】
有利には、振動装置17および/または17aは、ダイアフラムポンプを備えている。
【0228】
有利には、装置72は、2つの振動装置17,17aを備えている。振動装置17,17aは、それぞれ、ダクト16の第1のストレッチ部およびダクト26の第1のストレッチ部に沿って配置されている。振動装置17,17aは、それぞれ、圧力供給孔63,63aにおける対応する圧力源15,25によって特定された圧力の周期的な変動を生じさせるように設計されている。
【0229】
いくつかの実施形態によれば、圧力装置87は、少なくとも4つの吸引ユニット41を備えている。吸引ユニット41は、各々、それぞれのアクチュエータノズル36に接続されている。吸引ユニット41は、別々に作動可能であり、各々、対応するアクチュエータ孔39において少なくとも1つの吸引操作を行うように設計されている。
【0230】
有利には、圧力装置87は、少なくとも1つの吸引源43を備えている。吸引ユニット41の少なくとも1つは、吸引源43をそれぞれのアクチュエータノズル36に接続する各ダクト42と、前記各アクチュエータノズル36への吸引の伝達を阻止するように設計された(図示されていない周知の)阻止装置と、を備えている。
【0231】
有利には、前述の阻止装置は、ダクト42に沿って配置された弁と、圧力源43の作動装置であって、圧力源43を作動または停止するように設計されている、作動装置と、から成る群として選択される要素を備えている。
【0232】
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータノズル36の少なくとも1つは、対応する機械的圧力要素34を備えている(図14、15)。圧力要素34は、圧力を各アクチュエータ孔39を介して外側に向かって加えるように設計されている。
【0233】
有利には、機械的圧力要素34は、バネを備えており、該バネの外端に、シール要素40が配置されている。
【0234】
有利には、アクチュエータノズル36の1つまたは複数は、中空要素37を備えている。中空要素37は、機械的圧力要素34を収容するためおよび各吸引ユニット41を対応するアクチュエータ孔39に接続するためのものである。中空要素37は、対応するアクチュエータ孔39を有する一端を備えている。
【0235】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、アクチュエータノズル36の1つまたは複数をマイクロ流体デバイスに向かって押圧するための少なくとも1つの機械的圧力要素46を備えている。有利には、機械的圧力要素46は、バネを備えている(特に、バネから構成されている)。
【0236】
有利には、装置72は、複数の機械的圧力要素46を備えている。これらの圧力要素46は、それぞれ、アクチュエータノズル36をマイクロ流体デバイスに押圧するようになっている。詳細には、各機械的圧力要素46は、それぞれのアクチュエータノズルを対応する閉鎖要素30に向かって(対して)押圧するように設計されている。
【0237】
いくつかの実施形態によれば、流体力学的アクチュエータ35の1つまたは複数(特に、全て)が、システム1に対して前述したように特徴付けられている。
【0238】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、少なくとも1つの圧力供給ノズル61および/または61aをマイクロ流体デバイスに向かって(特に、対して)押圧するための少なくとも1つの機械的圧力要素68および/または68aを備えている。
【0239】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、マイクロ流体デバイスの少なくとも一部を冷却するように設計された冷却アセンブリ50を備えている。詳細には、熱が吸収される対象となるマイクロ流体デバイスの一部は、分離ユニット3である。
【0240】
有利には、冷却アセンブリ50は、システム1に関して前述したように特徴付けられている。
【0241】
詳細には、冷却アセンブリ50は、マイクロ流体デバイスからの熱を吸収するように意図されている作用面52および熱を放散するための放出面53を有している冷却プレート51を備えている。作用面52は、放出面53よりも小さい寸法を有している。
【0242】
有利には、冷却アセンブリ50は、ペルチエおよびペルチエに接続された熱交換装置(具体的には、調整回路55)を備えている。
【0243】
有利には、装置72は、冷却アセンブリ50をマイクロ流体デバイスに向かって押圧するための少なくとも1つの機械的圧力要素60(特に、複数の機械的圧力要素60)を備えている。
【0244】
(図示されていない)一実施形態によれば、装置72は、少なくとも1つのさらなるアクチュエータノズル36および1つのさらなる対応する吸引ユニット41を備えている。
【0245】
いくつかの実施形態によれば、制御アセンブリ23は、各アクチュエータ36および/または各圧力供給ノズル61における圧力および/または吸引を互いに独立して調整するために、圧力装置64,87に接続されている。
【0246】
いくつかの実施形態によれば、装置72は、所定種類の粒子C1の少なくとも一部を含んでいるキャリア液を収集するための収集ユニットを備えている。詳細には、収集ユニットは、シート69(図13)を備えている。シート69は、図示されていない周知の取外し可能な収集器(例えば、試験管)を収容するように設計されており、かつ出口8に配置されている。
【0247】
有利には、装置72は、前記キャリア液の一滴が収集ユニットに進入するときを検出するための検出器(例えば、図示されていない周知のビデオカメラ)を備えている。
【0248】
前記検出器は、制御アセンブリ23に接続されている。使用時に、検出器が一滴の通過を検知したとき、制御アセンブリは、回収チャンバ5からのキャリア液の流出を中断するようになっている。
【0249】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73および/または装置72の部品は、個別に記載したいくつかの態様についてのみ、システム1の同様の部品として特徴付けられるものとし、および/またはその逆にシステム1の部分も、個別に記載したいくつかの態様についてのみ、デバイス73および/または装置72の同様の部品として特徴付けられるものとする。
【0250】
[マイクロ流体デバイス]
本発明のさらに他の態様によれば、試料から少なくとも所定の一種の粒子C1を実質的に分離するためのデバイス73が提供されている。デバイス73は、入口2であって、使用時に、試料が該入口2を通ってデバイス73内に導かれるようになっている入口2と、所定種類の粒子C1の少なくとも一部を試料のさらなる粒子C2から実質的に選択的に分離するように設計された分離ユニット3と、分離ユニット3に接続された出口8であって、使用時に、実質的に選択的に分離された所定種類の粒子C1の少なくとも一部が、該分離ユニット3を通ってデバイス73から流出するようになっている出口8と、を備えている。
【0251】
デバイス73は、入口2と分離ユニット3との間に配置された弁部分74と、出口8と分離ユニット3との間に配置された弁部分77と、を備えている。詳細には、デバイス73は、デバイス73の外側に開いている各開口と分離ユニット3との間に配置された弁部分を備えている。
【0252】
いくつかの実施形態によれば、デバイス73は、個別に記載したいくつかの態様についてのみ、本発明の第4の態様に記載したものとして特徴付けられている。
【0253】
[利点]
本発明は、前述したものに加えて、先行技術と比較して、種々の利点を有していることが強調されるべきである。とりわけ、以下の利点が挙げられる。
【0254】
分離ユニット3が外部から隔離されている間(弁9,10が閉じられている間)に、所定種類の粒子C1を回収チャンバ5内に送ることができる。このようにして、試料の液部分およびキャリア液のいずれの蒸発も実質的に阻止することができる。蒸発を回避することによって、回収チャンバ5から主チャンバ4への(またはその逆への)逆流が生じないので、これによって、粒子C1および/またはC2が制御されずに移動するおそれが低減する(詳細には、回収チャンバ5内に運ばれた粒子C1は、主チャンバ4内に戻ることがなく、同様に、さらなる細胞C2は、回収チャンバ5内に戻ることがない)。さらに、蒸発を回避することによって、分離ユニット3内の塩の濃度が増大しない。塩の濃度が増大すると、導電性が増大し、対応する問題(チャンバ4,5内に存在する電極の損傷)を伴う局部的な電力消費が増大することがある。
【0255】
種々のステップは、制御アセンブリ23によって制御されている。これによって、高度の再現性が得られる(先行技術によれば、オペレータが、ピペットによって試料および回収液を導かねばならなかった)。
【0256】
試料を装填する前にデバイス73内に二酸化炭素をもたらすことによって、チャンバ4,5内に泡が生じる危険性が低減する。泡は、分析される試料の容積を低減させ、もし泡がチャンネル6に対応する領域を占有している場合、とりわけ、所定種類の粒子C1の回収を妨げる可能性がある。
【0257】
試料は、有利には使い捨て式のデバイス73とのみ接触するようになっている。これによって、システム1の種々の部品を洗浄する必要がなく、一連の試料間の汚染が生じる危険が著しく低減する。これに関して、より複雑でより高価な能動部品の大部分は、使い捨て式ではない装置72内に配置されていることも強調されるべきである。
【0258】
試料が分離ユニット3に極めて近いリザーバ13内に保持されているという事実のおかげで、システム1は、極めて小さい未使用の容積しか有していない。リザーバ13,14は、いずれも、デバイス73の一部を形成している。
【0259】
本特許出願は、2つのイタリア特許出願(具体的には、BO2009A000152,BO2009A000153)の優先権を主張するものであり、これらの内容は、その全体がここに引用されるものとする。特に、該イタリア特許出願は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0260】
本発明のさらなる特性は、デバイス73の実施形態およびシステム1の操作のいくつかの単なる例示的な非制限的実施例の以下の記載から明らかになるだろう。
【実施例1】
【0261】
この実施例は、分離ユニット3のシリコン基チップ91の製造について述べるものである。このチップは、図9および図8の分解図により明瞭に示されている。
【0262】
チップは、19.9mmの幅、24.5mmの長さ、および1.2mmの厚みを有しており、シリコン基板92(厚み:600μm)と、チャンバ4,5およびチャンネル6の範囲を定めるスペーサ93(厚み:90μm)と、特にホウケイ酸塩または石英から作製された透明蓋94(500μm)と、を備えている。
【0263】
基板92は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)標準技術を用いて、得られている。感光性ポリマー(Dryresist(登録商標)、特に、Ordyl SY300、Elga Europe)の層(厚み:90μm)が、基板92上に垂直に積層される。次いで、感光性ポリマーの層は、フォトリソグラフィックマスク(24000DPIの現像液によって印刷された透明スライド)によって部分的に保護され、15秒間紫外線照射(150W)され、これによって、感光性ポリマー層の露出している(すなわち、マスクの暗部によって覆われていない)領域が重合される。選択的な重合が完了した時点で、積層基板を現像液(BMR現像液―キシレンと2−ブトキシエチルアセテートとの混合物、異性体の混合物)内に浸漬することによって、非重合部分が除去される。
【0264】
この時点で、このようにして得られた対応するスペーサ要素93を有する基板92は、乾燥のために、50℃の炉内に1時間置かれる。
【0265】
(ガラスから作製された)蓋94(厚み:500μm)が、フライス加工によって得られている。蓋94の孔は、700μmの直径の底部および1200μmの直径の上部を有する切頭円錐形状を有している。
【0266】
蓋94が、95°の温度で80分間、スペーサ要素93に押圧され、これによって、スペーサ要素93との熱接合が得られる。
【実施例2】
【0267】
この実施例は、図4の斜視図によって部分的に示されているPCB(印刷回路基板)95について述べるものである。
【0268】
PCB95は、周知のフォトリソグラフィー技術(例えば、前述の実施例参照)を用いて作製された4つの銅層を備えている。
【0269】
PCB95は、エポキシポリマーとガラス繊維との複合材料から作製された主要構造体を有している。図4に示されているPCB95の形状は、該主要構造体をフライス加工することによって得られたものである。
【0270】
銅層は、主要構造体内に埋設されており、400個のパッドが外方に露出している。400個のパッドは、(図4において)、上方を向いており(すなわち、チップ91の方を向いており)、PCB95の開口98の両側に配置されている(具体的には、200個のパッドが、矢印96によって示されている領域に配置されており、200個のパッドが、矢印97によって示されている領域に配置されている)。
【0271】
これらのパッドは、(図4において)下方を向いているさらなる400個のパッドに電気的に接続されている。具体的には、200個のさらなるパッドは、矢印99によって示されている領域におけるPCBの一端に配置されており、200個のさらなるパッドは、矢印100によって示されている領域におけるPCB95の一端に対応する位置に配置されている。
【0272】
領域96,97に配置されているパッドは、PCB95をチップ91に電気的に接続することを意図して、金によって被覆されている。
【0273】
領域98,99に配置されているパッドは、金によって被覆されており、デバイス73を装置72、特に、制御アセンブリ23に電気的に接続するための電気コネクタとして機能するようになっている。
【0274】
PCB95は、略1.6mmの厚みを有している。
【実施例3】
【0275】
この実施例は、チップ91とPCB95との接続について述べるものである。
【0276】
チップ91は、「ピック&プレース(pick & place)」装置を用いてPCB95の中心に位置合せされ、接着剤によってPCB95に接着される。
【0277】
領域96,97に配置されているPCB95の400個のパッドは、アルミニウムワイヤを用いる周知のワイヤボンディング技術によって、チップ91に接続される。アルミニウムワイヤは、各々、それぞれのパッドをチップ91の片側101または101aに接続することになる。次いで、これらのワイヤは、ワイヤ自体を保護するために、エポキシ樹脂によって被覆され、重合される。
【0278】
この時点で、1μLの銀含有塗料が、蓋94の(図8,9では103の番号によって示されている)4つの孔を介して、チップ91のコーナに配置された4つの空所102(図9)の各々内に導入される。この塗料は、シリコン基板92と蓋94との電気接続をもたらすために用いられる。
【0279】
図29,30は、チップ91の変更形態を示している。前記変更形態は、図1−3に示されているのと同じように製造され、かつ組み立てられることが可能であり、これによって、図31に示されているデバイス73を得ることができる。
【実施例4】
【0280】
この例は、PMMA製の中間プレート104、プレキシガラス製の上プレート105、およびプレキシガラス製の支持プレート105と、の製造について述べるものである(図4)。
【0281】
プレート104,105,106は、略1mmの厚みを有しており、フライス加工によって得られている。フライス加工の後、フライス加工によって生じたバリを除くために、サテン仕上げが行われている。次いで、プレート104,105,106は、超音波槽によって洗浄されている。
【0282】
プレート104は、上面図が図5に示されており、下から見た平面図が図6に示されている。容易に分かるように、プレート104(図5)の上面には、デバイス73のチャンネルの一部(例えば、78,80,81)、リザーバの一部(例えば、13,7’,14)、および孔の一部(例えば、79,82,107,107’,107’’,108)が得られている。孔107は、プレート104の全厚みを横断する貫通孔であり、対になって、弁部分74,75,76,77の構成要素をなしている(図21)
【0283】
孔108は、出口8に配置されている。使用時に、孔108を通って、キャリア液が粒子C2と一緒に流出することになる。孔107’,107’’は、チップ91への接続用の貫通孔である。
【0284】
プレート104の底面では、空洞109が、それぞれ、孔107の各対の周囲および孔108の周囲に配置されている。各空洞は、環状の形状を有しており、略0.5mmの直径および略0.25mmの深さを有している。空洞109の存在によって、閉鎖要素30およびシールリング70が液密接触を維持するために押圧しなければならない面積(閉鎖要素30の場合、孔107を閉鎖しなければならない面積)が、低減されることになる。
【0285】
プレート104,105,106は、それぞれの貫通孔109を有している。デバイス75の組立中、プレート104,105,106は、固定式の線状ロッドがこれらの孔110を貫通するように配置されている。このようにして、プレート104,105,106を真っ直ぐに並べることが可能である。プレート104,105,106は、それぞれの中心開口を有しており、いったんデバイス73が組み立てられると、これらの中心開口を通して、チャンバ4,5の内容物を観察することが可能である。
【0286】
プレート106は、開口111を有している。いったんデバイス73が組み立てられると、これらの開口111によって、閉鎖要素30およびシールリング66,70が外方に露出することになる。各開口111の周囲に配置されているのは、それぞれの環状空洞である。これらの空洞によって、閉鎖要素30およびシールリング66,70のそれぞれの良好な位置決めおよび良好な密封が可能になる。実際には、前記空洞は、閉鎖要素30およびシールリング66,70用のハウジングとして機能している。
【0287】
前述のチャンネル、リザーバ、空洞、開口、および孔も、微細フライス加工によって得られている。
【0288】
図32,33は、プレート104の変更形態を示している。この場合、各空洞109は、周辺チャンネル119を有している。周辺チャンネル119は、具体的には、実質的に円形である。各弁部分74,75,76,77に対して、1つの孔107が、チャンネル119に対応する位置に配置されており、1つの孔107がチャンネル119の外側の空洞109に配置されている。この特定の構成によって、弁V(図14,15)の開弁中、摂動(具体的には、流体の運動−吸引)を低減させることができる。弁Vの開弁動作は、比較的穏やかになり、開弁中に弁Vに生じる負圧が比較的小さくなる。
【実施例5】
【0289】
閉鎖要素30、シールリング66,70、および接続要素112は、周知の射出成形技術を用いて、得られている。用いられた材料は、Elastosil(登録商標)である。この材料は、閉鎖要素30の場合にはショア硬度60、およびシールリング66,70および接続要素112の場合にはショア硬度50が得られるように、処理されている。
【0290】
接続要素112は、中心開口113および貫通孔114を有しており、デバイス73が組み立てられたとき、チップ91をプレート104に接続させるようになっている。具体的には、孔114は、孔107’を基板92の孔115に接続させ、孔107’’を基板92の孔116に接続させている。
【実施例6】
【0291】
この実施例は、デバイス73を得るための前述した種々の構成要素の組立について述べるものである。前述したように、種々の構成要素を真っ直ぐに並べるために、固定式の線状ロッドが用いられている。
【0292】
プレート104,105は、エタノール接着によって互いに接続されている。両面接着層117(Elcom S. p. A製のDuplobond(登録商標、厚み:0.325mm)が、プレート106の上面に接着されている。適切に形作られた(具体的には、孔110に対応する中心開口および孔を有する)両面接着層117は、例えば、レーザまたは突切り機によって切断された連続テープから得られている。
【0293】
閉鎖要素30、シールリング66,70、および接続要素112は、プレート106上に取り付けられている。この時点において、有機シラン層が、プレート104の底面に堆積され、必要な箇所のみを接合するために、プラズマによって選択的に除去されるようになっている(シリコーン要素とPMMA−ポリメチルメタクリレートとを選択的に接合する方法は、イタリア特許出願第BO2007000588に記載されている。この特許出願の内容は、完全に記載されているようにここに完全に引用されるものとする)。具体的には、有機シランは、供給孔79,82および孔107,107’,107’’に対応する領域では、除去されるかまたは付着されないようになっている。閉鎖要素30、シールリング66,70、および接続要素111は、プラズマによって活性化される。次いで、プレート104,106が、互いに接触され、かつ押圧されることになる。
【0294】
この時点で、さらなる両面接着層118(Lohmann S. p. A製のDuplobond(登録商標)、厚み:0.325mm)が、プレート106の底面に付着される。
【0295】
次いで、プレート106は、PCB95の(チップ91がすでに取り付けられている)上面に対して押圧されることになる。
【実施例7】
【0296】
この実施例は、システム1の操作を最適化するために行われる試験について述べるものである。
【0297】
粒子C1および/またはC2の沈降は、リザーバ13および/またはダクト78内の粒子の付着の原因の1つである。
【0298】
通常、試料がチャンバ4内に導かれる前に、該試料は、かなり長い時間(具体的には、30分)、リザーバ13内に保持されている。この期間中、粒子C1およびC2は、リザーバの底面に沈殿している。これらの粒子を該底面から引き離すために、通常、強力な力が必要である。さらに、粒子C1およびC2は、一般的に、チャンバ4内において、試料の液部分よりもかなり緩慢に移動する。その結果、粒子C1およびC2は、チャンバ4がすでに試料の液部分によって少なくとも部分的に占められたときに、チャンバ4に入ることになり、チャンバ4の中心部分にのみ不均一に分散しようとする(すなわち、粒子C1およびC2は、チャンバ4の周辺のコーナ部分に到達しない傾向にある)。また、全ての粒子C1およびC2がチャンバ4に到達しないおそれが著しく生じることにも留意されたい。
【0299】
チャンバ4内の粒子C1およびC2の不均一な分散によって、粒子C2からの粒子C1の分離および粒子C1のチャンバ5内への移動により大きな問題が生じることになる。
【0300】
このようなことから、チャンバ4の充填に関して、2つの試験を行った。(マイクロポンプ:Thinxxs(登録商標)MDP2205短絡回路型を備える)振動装置17を第1の試験中では停止させておき、第2の試験中に(30Hzの周波数で)作動させた。
【0301】
DAPIによって標識化されたK562細胞培養(試料の濃度:略1250粒子/μL)を用いて、試料を準備した。
【0302】
振動装置17を作動させていない試験の結果が、図22の左列の写真に示されている。振動装置17を作動させている試験の結果が、図22の右列の写真に示されている。これらの写真は、種々の光学条件下で撮られたものである。
【0303】
容易に分かるように、振動装置17が作動しているとき、粒子C1およびC2がチャンバ4のコーナにおいてもより均一に分布しており、これによって、未使用空間が著しく小さくなっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から少なくとも所定の一種の粒子(C1)を分離させるためのマイクロ流体デバイス(73)であって、装置(72)に接続されるように設計されており、前記デバイス(73)を前記装置に接続するための電気コネクタと、第1の入口(2)であって、使用時に、前記試料が該第1の入口(2)を通って前記マイクロ流体デバイス(73)内に導かれるようになっている、第1の入口(2)と、前記第1の入口(2)に接続された分離ユニット(3)であって、主チャンバ(4)および回収チャンバ(5)を備えており、前記所定種類の前記粒子(C1)の少なくとも一部を前記試料のさらなる粒子(C2)に対して実質的に選択的に前記主チャンバ(4)から前記回収チャンバ(5)に移動させるように設計されている、分離ユニット(3)と、前記主チャンバ(4)に接続された第1の出口(7)と、 前記回収チャンバ(5)に接続された第2の出口(8)であって、特に、使用時に、前記回収チャンバ(5)内に収集された前記所定種類の前記粒子(C1)の少なくとも一部が、該第2の出口(8)を通って前記マイクロ流体デバイス(73)から流出するようになっている、第2の出口(8)と、を備えている、マイクロ流体デバイス(73)において、第1の弁(9)の一部を構成するように設計された第1の弁部分(74)であって、前記主チャンバ(4)の上流、すなわち、前記第1の入口(2)と前記主チャンバ(4)との間に配置されている、第1の弁部分(74)と、第2の弁(10)の一部を構成するように設計された第2の弁部分(75)であって、前記主チャンバ(4)と前記第1の出口(7)との間に配置されている、第2の弁部分(75)と、第3の弁(11)の一部を構成するように設計された第3の弁部分(76)であって、前記回収チャンバ(5)に接続されている、第3の弁部分(76)と、第4の弁(12)の一部を構成するように設計された第4の弁部分(77)であって、前記回収チャンバ(5)と前記第2の出口(8)との間に配置されている、第4の弁部分(77)と、を備えており、前記回収チャンバ(5)は、一方の側における前記主チャンバ(4)と他の側における前記第3および第4の弁部分(76,77)との間に配置されており、前記主チャンバ(4)は、一方の側における前記回収チャンバ(5)と他の側における前記第1および第2の弁部分(74,75)との間に配置されており、前記弁部分(74,75,76,77)の少なくとも1つ、特に、各々は、閉鎖要素(30)を備えており、前記閉鎖要素(30)は、前記閉鎖要素(30)が前記マイクロ流体デバイス(73)のそれぞれのチャンネルの2つのストレッチ部(31,32)を分離するように位置している阻止位置と、前記閉鎖要素(30)が前記2つのストレッチ部(31,32)を互いに接続させるように位置している開位置と、の間で行き来するように設計されており、前記閉鎖要素(30)の少なくとも1つ、特に、各々は、前記マイクロ流体デバイス(73)の外部に位置している、特に、前記装置(72)に属しているそれぞれのアクチュエータによって操作可能になっていることを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記閉鎖要素(30)は、少なくとも部分的に露出しており、前記デバイスの外側を向いて配置されており、前記分離ユニット(3)は、電気泳動システムの少なくとも一部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記閉鎖要素(30)は、実質的に弾性の材料を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記閉鎖要素(30)は、薄膜部分(44)を有しており、該薄膜部分(44)は、実質的に弾性の材料を含んでおり、特に、該材料から作製されていることを特徴とする先行する請求項の1つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記弁部分(74,75,76,77)の少なくとも1つ、特に、各々は、前記マイクロ流体デバイス(73)のチャンネルの2つのストレッチ部(31,32)間に配置されたダイアフラム(33)を備えており、特に、前記阻止位置において、前記閉鎖要素(30)は、前記ダイアフラム(33)に接触しており、前記開位置において、前記閉鎖要素(30)は、前記ダイアフラム(33)から離れて位置していることを特徴とする先行する請求項の1つに記載のデバイス。
【請求項6】
前記弁部分(74,75,76,77)の少なくとも1つ、特に、各々は、前記マイクロ流体デバイス(73)のチャンネルに少なくとも1つの孔を備えていることを特徴とする先行する請求項の1つに記載のデバイス。
【請求項7】
第1のリザーバ(13)であって、前記第1の入口(2)と前記第1の弁部分(74)との間に配置されており、前記第1の入口(2)を通って導かれた前記試料を収集するように設計されている、第1のリザーバ(13)と、前記第1のリザーバ(13)を前記主チャンバ(4)に接続している第1のチャンネル(78)であって、前記第1のチャンネル(78)に沿って、前記第1の弁部分(74)が配置されている、第1のチャンネル(78)と、を備えている先行する請求項の1つに記載のデバイス。
【請求項8】
第1の供給孔(79)を備えており、前記第1のリザーバ(13)は、前記第1の供給孔(79)と前記主チャンバ(4)との間に配置されており、前記第1のチャンネル(78)は、前記第1の供給孔(79)を前記主チャンバ(4)に接続していることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
弾性材料を含んでいる、特に、第弾性材料から作製されている第1のシールリング(66)を備えており、前記シールリング(66)は、前記第1の供給孔(79)の外側を包囲しており、各圧力供給ノズル(61)と連結するように設計されていることを特徴とする請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
第2のチャンネル(80)を備えており、前記第2のチャンネル(80)は、前記主チャンバ(4)と前記第1の出口(7)との間に配置されており、前記第1のチャンネル(78)の断面よりも小さい、特に少なくとも100μmだけ、小さい断面を有していることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1のチャンネル(78)は、0.9mmから50μmの範囲内の等価直径の断面を有しており、前記第2のチャンネル(80)は、150μm未満の幅、110μm未満の深さ、および2mmを超える長さを有していることを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2のチャンネル(80)は、100μmを超える幅、3μmを超える深さ、および特に、6mm未満の長さを有していることを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
キャリア液を含むように設計された第2のリザーバ(14)と、前記第2のリザーバ(14)を前記回収チャンバ(5)に接続している第3のチャンネル(81)であって、該第3のチャンネル(81)に沿って、前記第3の弁部分(76)が配置されている、第3のチャンネル(81)と、を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項14】
第2の供給孔(82)を備えており、前記第2のリザーバ(14)は、前記第2の供給孔(82)と前記回収チャンバ(5)との間に配置されており、前記第3のチャンネル(81)は、前記第2の供給孔(82)を前記回収チャンバ(5)に接続していることを特徴とする請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
第2のシールリング(66a)を備えており、該第2のシールリング(66a)は、弾性材料を含んでおり、特に、該弾性材料から作製されており、前記第2の供給孔(82)の外側を包囲しており、各さらなる圧力供給ノズル(61a)に連結するように設計されていることを特徴とする請求項13または14に記載のデバイス。
【請求項16】
第3の出口と、第5の弁(29)の一部を構成するように設計された第5の弁部分(29’)と、を備えており、前記弁部分(29’)は、前記回収チャンバ(5)と前記第3の出口とに間に配置されており、任意選択的には、前記第3の出口は、前記第1の出口に対応していることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項17】
前記マイクロ流体デバイス(73)を前記分離ユニット(3)を管理するように設計された制御アセンブリ(23)を備えている装置(72)に電気的に接続するために、特に、電気回路を有する電気コネクタ(83)を備えていることを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項18】
試料から少なくとも所定の一種の細胞(C1)を分離するための装置(72)であって、前記試料から前記所定種類の前記細胞(C1)を分離するためのマイクロ流体デバイス(73)を収容するためのシート(84)と、前記装置(72)を前記マイクロ流体デバイス(73)に電気的に接続するための電気コネクタ(85)と、前記電気コネクタ(85)に接続された制御アセンブリ(23)と、少なくとも4つの流体力学的アクチュエータ(35)であって、各々がそれぞれの弁(V;9,10,11,12)の一部を構成するように設計されており、各アクチュエータ孔(39)を有するそれぞれのアクチュエータノズル(36)を備えている、少なくとも4つの流体力学的アクチュエータ(35)と、少なくとも2つの圧力供給ノズル(61,61a)であって、各々がそれぞれの圧力供給孔(63,63a)を有している、少なくとも2つの圧力供給ノズル(61,61a)と、前記圧力供給孔(63,63a)における圧力を特定するために、前記圧力供給ノズル(61,61a)に接続された少なくとも1つの第1の圧力装置(64)と、前記アクチュエータノズル(36)に接続されており、前記アクチュエータ孔(39)に吸引をもたらすように少なくとも設計されている、少なくとも1つの第2の圧力装置(87)と、を備えており、各流体力学的アクチュエータ(35)は、前記装置(72)の外部に位置している、特に、前記マイクロ流体デバイスに属しているそれぞれの閉鎖要素(30)を移動させるように設計されていることを特徴とする装置。
【請求項19】
前記第1および第2の圧力装置(64,87)を備える圧力アセンブリ(90)を備えており、前記圧力アセンブリ(90)は、少なくとも1つのポンプを備えていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の圧力装置(64)は、第1の圧力ユニット(65)および第2の圧力ユニット(65a)を備えており、前記第1および第2のユニット(65,65a)の各々は、それぞれの圧力供給ノズル(61,61a)に接続されており、前記第1および第2の圧力ユニット(65,65a)は、個別に操作可能になっており、各々、対応する圧力供給孔(63,63a)における圧力(特に、該孔を通る空気噴流の圧力)を特定するように設計されていることを特徴とする請求項18または19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記第1の圧力装置(64)は、少なくとも1つの圧力源(15,25)と、前記第1および第2の圧力ユニット(65,65a)の少なくとも1つであって、前記圧力源(15,25)を各圧力供給ノズル(61,61a)に接続している対応する第1のダクトを備えている、前記第1および第2の圧力ユニット(65,65a)の少なくとも1つと、前記第1のダクトに沿った圧力を検出するための圧力センサ(21)と、前記各圧力供給ノズル(61,61a)に対する圧力の伝達を中断するように設計された第1の阻止装置(22)と、を備えており、前記制御アセンブリ(23)は、検出された圧力に応じて前記第1の阻止装置(22)を操作するために、前記圧力センサ(21)および前記第1の阻止装置(22)に接続されていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の阻止装置(22)は、安全弁(22’)を備えており、該安全弁(22’)は、特に、前記第1のダクトに沿って配置されており、作動されると、前記第1のダクト内の圧力を外部圧力にするために、前記第1のダクトを外界に連通させるように設計されていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の圧力装置(64)は、少なくとも1つの圧力源(15,25)と、前記第1および第2の圧力ユニット(65,65a)の少なくとも1つであって、前記圧力源(15,25)を前記各圧力供給ノズル(61,61a)に接続している対応する第1のダクトを備えている、前記第1および第2の圧力ユニット(65,65a)の少なくとも1つと、少なくとも1つの振動装置(17,17a)であって、前記第1のダクトに沿って配置されており、前記各圧力供給孔(63,63a)における前記圧力源(15,25)によって定められた圧力の周期的な変動をもたらすように設計されている、少なくとも1つの振動装置(17,17a)と、を備えていることを特徴とする請求項18〜22のいずれか1つに記載の装置。
【請求項24】
前記振動装置(17,17a)は、ダイアフラムポンプを備えていることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第2の圧力装置(87)は、第1の吸引ユニット、第2の吸引ユニット、第3の吸引ユニット、および少なくとも1つの第4の吸引ユニット(41)を備えており、各々がそれぞれのアクチュエータノズル(36)に接続されており、前記第1、第2、第3、および第4の吸引ユニット(41)は、個別に操作可能になっており、各々、対応するアクチュエータ孔(39)において少なくとも1つの吸引を定めるようになっていることを特徴とする請求項18〜24のいずれか1つに記載の装置。
【請求項26】
前記第2の圧力装置(87)は、少なくとも1つの吸引源(43)を備えており、前記第1、第2、第3、および第4の吸引ユニット(41)の少なくとも1つは、前記吸引源(43)を前記各アクチュエータノズル(36)に接続している第2のダクト(42)と、前記各アクチュエータノズル(36)への吸引の伝達を中断するように設計された第2の阻止装置と、を備えていることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記第2の阻止装置は、前記第2のダクト(42)に沿って配置された弁と、前記圧力源(43)のアクチュエータと、からなる組として選択される要素を備えており、前記アクチュエータは、前記圧力源(43)を作動させるかまたは停止させるように設計されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記アクチュエータノズルの少なくとも1つの第1のアクチュエータノズル(36)は、圧力を各アクチュエータ孔(39)を通して外方に加えるように設計された対応する第1の機械的圧力要素(34)を備えていることを特徴とする請求項18〜27のいずれか1つに記載の装置。
【請求項29】
前記第1の機械的圧力要素(34)は、バネと、特に前記バネの外端に配置されたシール要素(40)と、を備えていることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記第1のアクチュエータノズル(36)は、前記第1の機械的圧力要素(34)を収容するためおよび前記各吸引ユニット(41)を前記対応するアクチュエータ孔(39)に接続するための中空要素(37)を備えており、前記中空要素(37)は、前記対応するアクチュエータ孔(39)を有する一端を有していることを特徴とする請求項28または29の記載の装置。
【請求項31】
各アクチュエータノズル(36)を前記マイクロ流体デバイス(73)に向かって押圧するための少なくとも1つの第2の機械的圧力要素(46)を備えていることを特徴とする請求項18〜30のいずれか1つに記載の装置。
【請求項32】
各圧力供給ノズルを前記マイクロ流体デバイス(73)に向かって押圧するための少なくとも1つの第3の機械的圧力要素(58)を備えていることを特徴とする請求項18〜31のいずれか1つに記載の装置。
【請求項33】
前記マイクロ流体デバイス(73)の少なくとも一部を冷却するように設計された冷却アセンブリ(50)を備えていることを特徴とする請求項18〜32のいずれか1つに記載に装置。
【請求項34】
前記冷却アセンブリ(50)は、前記マイクロ流体デバイス(73)の少なくとも一部からの熱を吸収するように設計された作用面(52)および熱を発散するための放出面(53)を有している冷却プレート(51)を備えており、前記作用面(52)は、前記放出面(53)よりも小さい寸法を有していることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記冷却アセンブリ(50)は、ペルチエおよび前記ペルチエに接続された熱交換装置(55)を備えていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記冷却アセンブリ(50)を前記マイクロ流体デバイス(73)に向かって押圧するための少なくとも1つの第4の機械的圧力要素(60)を備えていることを特徴とする請求項33〜35のいずれか1つに記載の装置。
【請求項37】
少なくとも1つのさらなるアクチュエータノズルおよび1つのさらなる対応する吸引ユニットを備えていることを特徴とする請求項18〜36のいずれか1つに記載の装置。
【請求項38】
前記制御アセンブリ(23)は、各アクチュエータノズル(36)および各圧力供給ノズル(61,61a)における圧力および/または吸引を互いに独立して調整するために、前記第1の圧力装置(64)および前記第2の圧力装置(87)に接続されていることを特徴とする請求項18〜37のいずれか1つに記載の装置。
【請求項39】
前記所定種類の前記細胞(C1)の少なくとも一部を含んでいるキャリア液を収集するための取集ユニットを備えていることを特徴とする請求項18〜38のいずれか1つに記載の装置。
【請求項40】
前記キャリア液の一滴が前記収集ユニットに入ったときを検出するための検出器を備えていることを特徴とする請求項39に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a)】
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【図19b)】
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【図19c)】
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【図19d)】
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【図19e)】
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【図19f)】
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【図19g)】
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【図19h)】
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【図19i)】
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【図20a)】
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【図20b)】
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【図20c)】
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【図20d)】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27a)】
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【図27b)】
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【図27c)】
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【図27d)】
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【図27e)】
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【図27f)】
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【図27g)】
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【図27h)】
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【図28a)】
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【図28b)】
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【図28c)】
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【図28d)】
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【図28e)】
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【図28f)】
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【図28g)】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32−33】
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【公表番号】特表2012−520668(P2012−520668A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500332(P2012−500332)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000615
【国際公開番号】WO2010/106434
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(507008482)シリコン・バイオシステムズ・ソシエタ・ペル・アチオニ (7)
【Fターム(参考)】