説明

組み立てシステム

【課題】1つのラインで異なる種類の自動車部品を組み立てつつ、設備スペースを削減できる組み立てシステムを提供すること。
【解決手段】組立てシステム1は、本体および部品でそれぞれ構成される複数種類の自動車部品を組み立てる。この組み立てシステム1は、前記複数種類の自動車部品のそれぞれの本体および部品が載置されて走行する複数の走行台車21〜24と、複数種類の自動車部品のそれぞれの部品が載置された複数の部品用パレット30と、部品用パレット30を搬送するベルトコンベア40と、作業者が配置されるメインライン50と、このメインライン50からオフセットされて、ロボットRB1〜RB5が配置されるバイパスライン80と、これらを制御する制御装置60と、を備える。制御装置60は、メインライン50およびバイパスライン80のうち少なくとも1つにより走行台車21〜24の搬送経路を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てシステムに関する。詳しくは、本体と、この本体に取り付けられる部品と、でそれぞれ構成される複数種類の自動車部品を組み立てる組み立てシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の製造工程では、ドア、インパネ、バンパーなどの自動車部品は、別々のラインで組み立てられている。しかしながら、近年、製造設備を小型化するため、ラインの本数を削減し、1つのラインで異なる種類の自動車部品を組み立てることが要請される。
【0003】
そこで、異なる種類の自動車部品を人手で組み立てることが考えられるが、作業者の作業が複雑になり、サイクルタイムが長期化する、という問題がある。
この問題を解決するため、例えば、ストッカの内部を区分けして複数のトレイを設け、これらトレイに異なる種類の部品を収納しておき、搬送されるワークの種類に応じて、このワークに組み付ける部品が収納されたトレイを部品取り出し位置に移動する手法が提案されている(特許文献1参照)。
これにより、作業者は、部品取り出し位置にあるトレイの中から部品を取り出して、ワークに組み付けるだけでよいので、サイクルタイムが長期化するのを防止できる。
【特許文献1】特開2001−353627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この手法では、取り付ける部品の種類が増大するため、作業者の周囲に多くの部品を配置する必要があり、設備スペースが増大する、という問題があった。
【0005】
本発明は、設備スペースを削減しつつ、1つのラインで異なる種類の自動車部品を組み立てることができる組み立てシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組み立てシステム(例えば、後述の組み立てシステム1)は、本体(例えば、後述の本体71〜74)と、当該本体に取り付けられる部品と、でそれぞれ構成される複数種類の自動車部品を組み立てる組み立てシステムであって、前記複数種類の自動車部品のそれぞれの本体および部品が載置された複数の第1パレット(例えば、後述の本体用パレット25および第2部品用パレット27)と、前記複数種類の自動車部品のそれぞれの部品が載置された複数の第2パレット(例えば、後述の部品用パレット30)と、前記第1パレットおよび第2パレットを搬送する搬送装置(例えば、後述の走行部26およびベルトコンベア40)と、作業者が配置されるメインライン(例えば、後述のメインライン50)と、当該メインラインからオフセットされて、ロボット(例えば、後述のRB1〜RB5)が配置されるバイパスライン(例えば、後述のバイパスライン80)と、これらを制御する制御装置(例えば、後述の制御装置60)と、を備え、前記制御装置は、前記メインラインおよび前記バイパスラインのうち少なくとも1つにより前記搬送装置の搬送経路を設定する搬送経路設定手段(例えば、後述の搬送経路設定手段61)と、前記搬送装置を駆動して、当該搬送経路構成手段により設定した搬送経路に沿って、前記第1パレットおよび前記第2パレットを同期して搬送する搬送装置駆動手段(例えば、後述の搬送装置駆動手段62)と、前記バイパスラインのロボットを駆動して、前記第1パレットから前記部品を取り出して前記第1パレットに載置された本体に取り付けるロボット駆動手段(例えば、後述のロボット駆動手段63と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、まず、搬送装置の搬送経路を設定する。次に、異なる種類の自動車部品のそれぞれの本体を第1パレットに載置し、これら本体に取り付けられる部品を第1パレットおよび第2パレットに載置する。そして、これら第1パレットおよび第2パレットを同期して搬送するとともに、バイパスラインのロボットにより、第1パレットから部品を取り出して第1パレットに載置された本体に取り付ける。一方、メインラインでは、作業者は、第2パレットから部品を取り出して、第1パレットに載置された本体に取り付ける。よって、設備スペースを削減しつつ、作業者およびロボットにより、1つのラインで異なる種類の自動車部品を組み立てることができる。
また、メインラインに作業者を配置し、このメインラインからオフセットされたバイパスラインにロボットを配置したので、作業者が配置されるエリアとロボットが配置されるエリアとを分けることができ、安全性を確保できる。
【0008】
この場合、前記制御手段の搬送経路構成手段は、所定の場合には、前記搬送経路から前記バイパスラインを除外することが好ましい。
【0009】
ロボットの動作に不具合が生じていない場合には、バイパスラインを含んで搬送装置の搬送経路を設定する。これにより、各パレットは、ロボットが配置されるバイパスラインに沿って搬送され、バイパスラインのロボットにより自動車部品を組み立てる。
ここで、例えば、バイパスラインに配置されたロボットの動作に不具合が生じた場合には、搬送装置の搬送経路からこのバイパスラインを除外する。これにより、各パレットがこのバイパスラインに沿って搬送されなくなるので、自動車部品の組み立て作業を停止することなく、不具合が生じたロボットをメンテナンスできる。
【0010】
この場合、前記制御手段の搬送装置駆動手段は、所定の場合には、前記バイパスラインのロボットのうち少なくとも1つを通過するように、前記第1パレットおよび前記第2パレットを搬送することが好ましい。
【0011】
例えば、ロボットの動作に不具合が生じた場合には、この不具合が生じたロボットを通過するように、各パレットを搬送する。これにより、自動車部品の組み立て作業を停止することなく、不具合が生じたロボットをメンテナンスできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、まず、搬送装置の搬送経路を設定する。次に、異なる種類の自動車部品のそれぞれの本体を第1パレットに載置し、これら本体に取り付けられる部品を第1パレットおよび第2パレットに載置する。そして、これら第1パレットおよび第2パレットを同期して搬送するとともに、バイパスラインのロボットにより、第1パレットから部品を取り出して第1パレットに載置された本体に取り付ける。一方、メインラインでは、作業者は、第2パレットから部品を取り出して、第1パレットに載置された本体に取り付ける。よって、設備スペースを削減しつつ、作業者およびロボットにより、1つのラインで異なる種類の自動車部品を組み立てることができる。また、メインラインに作業者を配置し、このメインラインからオフセットされたバイパスラインにロボットを配置したので、作業者が配置されるエリアとロボットが配置されるエリアとを分けることができ、安全性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る組み立てシステム1の概略構成を示す図である。
組み立てシステム1は、本体と、当該本体に取り付けられる部品と、でそれぞれ構成される複数種類の自動車部品を組み立てるものである。
自動車部品とは、例えば、左右のドア、インストルメントパネル、フロントバンパ、リヤバンパである。
【0014】
この組み立てシステム1は、自動車のボディ10が搬送される3つのボディ搬送路11A、11B、11Cに囲まれて配置されている。
この組み立てシステム1は、複数の走行台車20と、複数の第2パレットとしての部品用パレット30と、これら部品用パレット30を搬送する第2搬送装置としてのベルトコンベア40と、このベルトコンベア40を挟んで設けられて作業者が配置されるメインライン50と、このメインライン50からオフセットされてロボットRBが配置されるバイパスライン80と、走行台車20、ベルトコンベア40、およびロボットRBを制御する制御装置60と、を備える。
【0015】
ベルトコンベア40は、第1搬入口41から第1搬出口42まで、略U字形状に延びている。このベルトコンベア40は、部品用パレット30が第1搬入口41に供給されると、この部品用パレット30を搬送して、第1搬出口42から排出する。
このベルトコンベア40は、外側ベルトコンベア40Aと、この外側ベルトコンベア40Aの内側に並んで配置された内側ベルトコンベア40Bと、を備える。
なお、図1では、組み立てシステム1の構成の理解を容易にするため、ボディ搬送路11A〜11Cを、搬入口41および搬出口42、43に接近して配置したが、実際には、これらボディ搬送路11A〜11Cは、搬入口41および搬出口42、43から大きく離れて配置される。
【0016】
また、外側ベルトコンベア40Aの途中には、第2搬出口43が設けられており、この第2搬出口43と第1搬出口42との間には、第2搬入口44が設けられている。
【0017】
メインライン50は、ベルトコンベア40の外側に設けられた外側メインライン50Aと、ベルトコンベア40の内側に設けられた内側メインライン50Bと、を備える。
すなわち、外側メインライン50Aは、外側ベルトコンベア40Aに沿って配置され、内側メインライン50Bは、内側ベルトコンベア40Bに沿って配置される。
【0018】
外側メインライン50Aの第1搬入口41から第2搬出口43までの間には、第1搬入口41側から順番に、6人の作業者PA1〜PA6が配置される。また、外側メインライン50Aの第2搬入口44から第1搬出口42までの間には、第2搬入口44側から順番に、11人の作業者PA7〜PA17が配置される。
【0019】
内側メインライン50Bは、上流側に設けられた第1メインライン51と、第1メインライン51の下流側に設けられた第2メインライン52と、第2メインライン52の下流側に設けられた第3メインライン53と、を備える。
【0020】
第1メインライン51には、上流側から順番に、3人の作業者PB1〜PB3が配置される。第2メインライン52には、上流側から順番に、8人の作業者PB4〜PB11が配置される。第3メインライン53には、1人の作業者PB12が配置される。
【0021】
バイパスライン80は、第1メインライン51および第2メインライン52の間に設けられた第1バイパスライン81と、第2メインライン52および第3メインライン53の間に設けられた第2バイパスライン82と、で構成される。
第1バイパスライン81には、上流側から順番に、4台のロボットRB1〜RB4が配置される。第2バイパスライン82には、1台のロボットRB5が配置される。
【0022】
図2は、走行台車20の斜視図である。
各走行台車20は、複数種類の自動車部品それぞれの本体71〜74が載置された第1パレットとしての本体用パレット25と、本体用パレット25に設けられた第1パレットとしての第2部品用パレットと、これら本体用パレット25および第2部品用パレット27を搬送する第1搬送装置としての走行装置26と、を備える。
【0023】
第2部品用パレット27には、第1搬入口41に供給される走行台車21〜24の自動車部品の種類に応じて、各自動車部品の本体71〜74に取り付けられる部品が載置されている。
走行装置26は、それぞれ、制御装置60の指令に従って、所定の経路を走行する。
【0024】
走行台車20のうち、本体用パレット25に自動車部品の本体としてリヤバンパの本体71が載置されたものを走行台車21、フロントバンパの本体72が載置されたものを走行台車22、インストルメントパネルの本体73が載置されたものを走行台車23、および、左右のドアの本体74が載置されたものを走行台車24とする。
【0025】
図1に戻って、走行台車21、22は、第1搬入口41の外側メインライン50A側に供給される。この走行台車21、22は、外側メインライン50Aに沿って走行して、第2搬出口43に到達する。
【0026】
走行台車23は、第2搬入口44に供給される。この走行台車23は、外側メインライン50Aに沿って走行して、第1搬出口42に到達する。
【0027】
走行台車24は、ボディ搬送路11Cを通って、第1搬入口41の内側メインライン50B側に供給される。
この走行台車24は、内側メインライン50Bの第1メインライン51、バイパスライン80の第1バイパスライン81、内側メインライン50Bの第2メインライン52、バイパスライン80の第2バイパスライン82、および内側メインライン50Bの第3メインライン53に沿って走行する。その後、走行台車24は、第1搬出口42から搬出され、ボディ搬送路11Cに到達する。
【0028】
部品用パレット30は、上側が開放された箱形状であり、この部品用パレット30には、第1搬入口41に供給される走行台車21〜24の自動車部品の種類に応じて、各自動車部品の本体71〜74に取り付けられる部品が載置されている。
この部品用パレット30は、外側ベルトコンベア40Aに供給される外側部品用パレット30Aと、内側ベルトコンベア40Bに供給される内側部品用パレット30Bと、で構成される。
【0029】
図3は、制御装置60の構成を示すブロック図である。
制御装置60は、搬送経路設定手段61、搬送装置駆動手段62、および、ロボット駆動手段63を備える。
【0030】
搬送経路設定手段61は、メインライン50およびバイパスライン80のうち少なくとも1つにより、走行台車20の走行装置26の搬送経路を設定する。
具体的には、搬送経路設定手段61は、外側メインライン50A、内側メインライン50Bの第1メインライン51、第2メインライン52および第3メインライン53、ならびに、バイパスライン80の第1バイパスライン81および第2バイパスライン82の中から適宜選択して、搬送経路を設定する。
【0031】
搬送装置駆動手段62は、搬送経路設定手段61により設定した搬送経路に沿って、走行台車20の走行装置26を走行させる。
ここで、搬送装置駆動手段62は、外側ベルトコンベア40Aを駆動して、第1搬入口41の外側メインライン50A側に供給された走行台車21〜23に同期して、外側部品用パレット30Aを搬送する。また、搬送装置駆動手段62は、内側ベルトコンベア40Bを駆動して、第1搬入口41の内側メインライン50B側に供給された走行台車24に同期して、内側部品用パレット30Bを搬送する。
【0032】
ロボット駆動手段63は、バイパスライン80のロボットRB1〜RB5を駆動して、走行台車20の第2部品用パレット27から部品を取り出して本体用パレット25に載置された本体に取り付ける。
【0033】
以上の組み立てシステム1の動作は、以下のようになる。
走行台車24は、ボディ搬送路11Cを通って、第1搬入口41に到達する。ここで、ボディ搬送路11Cでは、ボディ10からドアの本体74が取り外され、走行台車24に載置される。
【0034】
次に、走行台車24は、内側メインライン50Bの第1メインライン51、バイパスライン80の第1バイパスライン81、内側メインライン50Bの第2メインライン52、バイパスライン80第2バイパスライン82、および内側メインライン50Bの第3メインライン53に沿って走行する。
【0035】
内側メインライン50Bの第1メインライン51では、3人の作業者PB1〜PB3により、走行台車24に載置されたドアの本体74に部品が取り付けられる。
バイパスライン80の第1バイパスライン81では、3台のロボットRB1〜RB4により、走行台車24に載置されたドアの本体74に部品が取り付けられる。
内側メインライン50Bの第2メインライン52では、8人の作業者PB4〜PB11により、走行台車24に載置されたドアの本体74に部品が取り付けられる。
バイパスライン80の第2バイパスライン82では、1台のロボットRB5により、走行台車24に載置されたドアの本体74に部品が取り付けられる。
内側メインライン50Bの第2メインライン52では、1人の作業者PB12により、走行台車24に載置されたドアの本体74に部品が取り付けられる。
【0036】
その後、これら走行台車24は、第1搬出口42から搬出され、ボディ搬送路11Cに到達する。この走行台車24に載置されドアは、ボディ搬送路11Cにおいて、ボディ10に再び取り付けられる。
【0037】
走行台車21、22は、第1搬入口41に供給され、外側メインライン50Aに沿って走行する。
外側メインライン50Aでは、6人の作業者PA1〜PA6により、走行台車21、22に載置されたリヤバンパの本体71およびフロントバンパの本体72に部品が取り付けられる。
その後、これら走行台車21、22は、第2搬出口43から搬出され、走行台車21、22に載置されたリヤバンパおよびフロントバンパは、ボディ搬送路11Bにおいて、ボディ10に取り付けられる。
【0038】
走行台車23は、第2搬入口44に供給され、外側メインライン50Aに沿って走行する。
外側メインライン50Aでは、11人の作業者PA7〜PA17により、走行台車23に載置されたインストルメントパネルの本体73に部品が取り付けられる。
その後、これら走行台車23は、第1搬出口42から搬出され、走行台車23に載置されたインストルメントパネルは、ボディ搬送路11Aにおいて、ボディ10に取り付けられる。
【0039】
また、組み立てシステム1では、バイパスラインを構成する全てのロボットに不具合が生じた場合、以下のように対応する。
例えば、図4に示すように、第2バイパスライン82のロボットRB5に不具合が生じた場合、このロボットRB5の稼働を停止する。そして、制御装置60により、走行台車24の走行経路を以下のように変更する。
すなわち、走行台車24の走行経路から第2バイパスライン82を除外して、第2メインライン52の次に第3メインライン53に向かうように、走行台車24の走行経路を設定する。
さらに、第2メインライン52と第3メインライン53との間に、新たに作業者PB13を配置して、この作業者PB13により、ロボットRB5で行っていた組み立て作業を行う。
【0040】
また、組み立てシステム1では、バイパスラインを構成する一部のロボットに不具合が生じた場合、以下のように対応する。
例えば、図5に示すように、第1バイパスライン81のロボットRB3に不具合が生じた場合、まず、ロボットRB3の稼働を停止する。
【0041】
ここで、ロボットRB1〜RB4により取り付けられる部品を部品B1〜B4とすると、この状態では、ロボットRB1、RB2、RB4は稼働しているから、走行台車24上の自動車部品の本体は、ロボットRB1、RB2により部品B1、B2が取り付けられた後、ロボットRB3による部品B3の取り付けが行われず、ロボットRB4により部品B4が取り付けられることになる。
したがって、部品B3を取り付けた後に部品B4を取り付けることができる場合には、制御装置60により、RB3を通過するように走行台車24を走行させ、図5中の位置Xにおいて、作業者が人手で部品B3を取り付ける。
【0042】
しかしながら、部品B3を取り付けた後に部品B4を取り付けることができない場合がある。例えば、部品B3に部品B4の一部が嵌合する構造であったり、部品B3を部品B4で締め付ける構造であったりする場合である。
【0043】
この場合、上述のバイパスラインを構成する全てのロボットに不具合が生じた場合と同様に、ロボットRB1〜RB4の稼働を停止し、制御装置60により、走行台車24の走行経路から第1バイパスライン81を除外して、第1メインライン51の次に第2メインライン52に向かうように、走行台車24の走行経路を設定する。そして、第1メインライン51と第2メインライン52との間に、新たに作業者を配置して、これら作業者により、ロボットRB1〜RB5で行っていた作業を行う。
【0044】
あるいは、ロボットRB3に加えて、ロボットRB4の稼働を停止し、制御装置60により、これらRB3、RB4を通過するように、走行台車24を走行させて、図5中の位置Xにおいて、作業者が人手で部品B3、B4を取り付ける。
なお、この手法によれば、製造する自動車部品の種類を変更したり、設計変更に伴ってロボットRB1〜RB5の構造を変更したりする場合にも、自動車部品の製造を続行しながら、ロボットを工事できる。
【0045】
なお、ここでは、第1バイパスライン81のロボットRB3に不具合が生じた場合について説明したが、その他のRB1、RB2、RB4に不具合が生じた場合についても、同様の手法を採用できる。
【0046】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、搬送経路設定手段61により、走行台車20の走行装置26の搬送経路を設定する。次に、自動車部品のそれぞれの本体71〜74を走行台車20の本体用パレット25に載置し、これら本体71〜74に取り付けられる部品を走行台車20の第2部品用パレット27および部品用パレット30に載置する。そして、これら走行台車20および部品用パレット30を同期して搬送するとともに、バイパスライン80のロボットRB1〜RB5により、走行台車20の第2部品用パレット27から部品を取り出して走行台車20の本体用パレット25に載置された本体71〜74に取り付ける。
【0047】
すると、メインライン50では、各作業者PA1〜PA17、PB1〜PB12の正面側には、走行台車20により自動車部品の本体が供給され、各作業者PA1〜PA17、PB1〜PB12の背面側には、部品用パレット30により、この本体に取り付けられる部品が供給される。よって、作業者PA1〜PA17、PB1〜PB12は、背面側の部品用パレット30から部品を取り出して、正面側の本体用パレット25に載置された本体71〜74に取り付ける。これにより、設備スペースを削減しつつ、1つのラインで異なる種類の自動車部品を組み立てることができる。
【0048】
また、メインライン50に作業者PA1〜PA17、PB1〜PB12を配置し、このメインライン50からオフセットされたバイパスライン80にロボットRB1〜RB5を配置したので、作業者が配置されるエリアとロボットが配置されるエリアとを分けることができ、安全性を確保できる。
【0049】
(2)例えば、第2バイパスライン82に配置されたロボットRB5の動作に不具合が生じた場合には、走行台車20の走行装置26の走行経路からこの第2バイパスライン82を除外する。これにより、本体用パレット25がこの第2バイパスライン82に沿って搬送されなくなるので、自動車部品の組み立て作業を停止することなく、不具合が生じたロボットRB5をメンテナンスできる。
【0050】
(3)例えば、第1バイパスライン81のロボットRB3の動作に不具合が生じた場合には、この不具合が生じたロボットRB3を通過するように、走行台車20の走行装置26を走行させる。これにより、自動車部品の組み立て作業を停止することなく、不具合が生じたロボットをメンテナンスできる。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る組み立てシステムの概略構成を示す図である。
【図2】前記実施形態に係る組み立てシステムの走行台車の斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る組み立てシステムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】前記実施形態に係る組み立てシステムのバイパスラインの全てのロボットに不具合が生じた場合の動作を説明するための図である。
【図5】前記実施形態に係る組み立てシステムのバイパスラインの一部のロボットに不具合が生じた場合の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 組み立てシステム
25 本体用パレット(第1パレット)
26 走行部(搬送装置)
27 第2部品用パレット(第1パレット)
30 部品用パレット(第2パレット)
40 ベルトコンベア(搬送装置)
50 メインライン
60 制御装置
61 送経路設定手段
62 送装置駆動手段
63 ロボット駆動手段
71 リヤバンパの本体
72 フロントバンパの本体
73 インストルメントパネルの本体
74 左右のドアの本体
80 バイパスライン
RB1〜RB5 ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、当該本体に取り付けられる部品と、でそれぞれ構成される複数種類の自動車部品を組み立てる組み立てシステムであって、
前記複数種類の自動車部品のそれぞれの本体および部品が載置された複数の第1パレットと、
前記複数種類の自動車部品のそれぞれの部品が載置された複数の第2パレットと、
前記第1パレットおよび第2パレットを搬送する搬送装置と、
作業者が配置されるメインラインと、
当該メインラインからオフセットされて、ロボットが配置されるバイパスラインと、
これらを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記メインラインおよび前記バイパスラインのうち少なくとも1つにより前記搬送装置の搬送経路を設定する搬送経路設定手段と、
前記搬送装置を駆動して、当該搬送経路構成手段により設定した搬送経路に沿って、前記第1パレットおよび前記第2パレットを同期して搬送する搬送装置駆動手段と、
前記バイパスラインのロボットを駆動して、前記第1パレットから前記部品を取り出して前記第1パレットに載置された本体に取り付けるロボット駆動手段と、を備えることを特徴とする組み立てシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の組み立てシステムにおいて、
前記制御手段の搬送経路構成手段は、所定の場合には、前記搬送経路から前記バイパスラインを除外することを特徴とする組み立てシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の組み立てシステムにおいて、
前記制御手段の搬送装置駆動手段は、所定の場合には、前記バイパスラインのロボットのうち少なくとも1つを通過するように、前記第1パレットおよび前記第2パレットを搬送することを特徴とする組み立てシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−214274(P2009−214274A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62987(P2008−62987)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】