説明

組電池及び車両

【課題】サーミスタ素子を小型化する。
【解決手段】複数の単電池を第1の方向に積層した電池群と、前記電池群を挟む位置に配置される一対のエンドプレートと、前記電池群のうち端子が位置する側の端子設置面に沿って設けられ、前記一対のエンドプレートを互いに連結することにより前記電池群を拘束する拘束部材と、前記端子と前記拘束部材とに挟まれた領域に位置し、前記端子設置面に接触するサーミスタ素子が接続されたフレキシブルフラットケーブルと、を有することを特徴とする組電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池の温度を検出するために用いられるサーミスタ素子の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自動車の車両走行に用いられるモータに電力を供給するバッテリとして、複数の単電池を積層した充放電可能な組電池が知られている。この種の組電池には、組電池の温度情報を取得するためのサーミスタ素子が設けられている。
【0003】
特許文献1は、バッテリの各電池を直列に接続する各バスバーを有するバスバーモジュールに温度検出モジュールを組み付けて組立体を構成し、この組立体の該バスバーモジュールを該バッテリに組み付けると同時に、該温度検出モジュールの各温度センサが各電池に配置されることを特徴とする温度検出モジュールの取付構造を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−277420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、温度検出モジュール用のW/H(ワイヤーハーネス)を引き回すスペースが必要となるため、組電池を小型化する際の制約となっていた。また、サーミスタ素子は、測定精度の低下を抑制するために、電池に対する接触圧を一定範囲に保つ必要があり、測温面に対してサーミスタ素子を圧接するための板バネなどを取り付ける必要があった。このため、サーミスタ素子及びサーミスタ素子により取得された温度情報を監視ユニットに送信する送信部が大型化し、組電池の小型化を妨げていた。そこで、本願発明は、サーミスタ素子を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明に係る組電池は、複数の単電池を第1の方向に積層した電池群と、前記電池群を挟む位置に配置される一対のエンドプレートと、前記電池群のうち端子が位置する側の端子設置面に沿って設けられ、前記一対のエンドプレートを互いに連結することにより前記電池群を拘束する拘束部材と、前記端子と前記拘束部材とに挟まれた領域に位置し、前記端子設置面に接触するサーミスタ素子が接続されたフレキシブルフラットケーブルと、を有することを特徴とする。
【0007】
(2)上記(1)の構成において、前記フレキシブルフラットケーブルの厚み方向は、前記第1の方向に直交する方向であって、かつ、前記端子及び前記拘束部材が向き合う第2の方向である。(2)の構成によれば、前記第2の方向における、端子、拘束部材及びフレキシブルフラットケーブルの設置領域をより小さくすることができる。
【0008】
(3)上記(2)の構成において、前記拘束部材は板状に形成されており、該拘束部材の板厚方向は、前記第2の方向である。(3)の構成によれば、上記(2)の効果を更に高めることができる。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)の構成において、前記サーミスタ素子は、前記フレキシブルフラットケーブルの弾性力により前記端子設置面に圧接されている。(4)の構成によれば、サーミスタ素子及び端子設置面の接触圧のバラツキを抑制できる。
【0010】
(5)上記(4)の構成において、複数のバスバーであって、それぞれが前記第1の方向に隣接する前記単電池の前記端子を互いに接続する前記複数のバスバーをユニット化するバスバーモジュールを備え、前記フレキシブルフラットケーブルは、前記バスバーモジュールに固定されており、前記バスバーモジュールに搭載された各前記バスバーは、各前記端子の外面にナットを締結することにより固定されており、前記ナットの締結力により前記フレキシブルフラットケーブルが前記端子設置面に位置する方向に押し込まれることで、前記端子設置面に対して前記サーミスタ素子が圧接している。(5)の構成によれば、バスバーの締結動作とともに、フレキシブルフラットケーブルに対してサーミスタ素子を押圧する弾性力を発生させることができる。
【0011】
(6)上記(2)〜(5)の構成において、前記端子は、前記第2の方向において並ぶ正極端子及び負極端子からなり、前記拘束部材は、前記正極端子及び前記負極端子のうち一方の端子よりも他方の端子に近接して位置する第1の拘束部材と、前記他方の端子よりも前記一方の端子に近接して位置する第2の拘束部材とからなり、前記第1の拘束部材及び前記第2の拘束部材に挟まれた領域に、前記電池群を冷却する冷却経路が形成されている。(6)の構成によれば、端子及び拘束部材に挟まれたデッドスペースにフレキシブルフラットケーブルが配置されるため、冷却経路をより大きくすることができる。
【0012】
(7)上記(6)の構成において、前記フレキシブルフラットケーブルは、前記他方の端子及び前記第1の拘束部材に挟まれた領域に位置する第1のフレキシブルフラットケーブルと、前記一方の端子及び前記第2の拘束部材に挟まれた領域に位置する第2のフレキシブルフラットケーブルとを有し、前記他方の端子は、第1の導電部材を介して前記単電池の内部に収容された発電要素に接続されており、前記第2の方向において、前記第1の導電部材と前記発電要素との接続部、前記他方の端子、前記第1のフレキシブルフラットケーブル及び前記第1の拘束部材はこの順序で並んでおり、前記一方の端子は、第2の導電部材を介して前記単電池の内部に収容された発電要素に接続されており、前記第2の方向において、前記第2の導電部材と前記発電要素との接続部、前記一方の端子、前記第2のフレキシブルフラットケーブル及び前記第2の拘束部材はこの順序で並んでいる(7)の構成によれば、発熱温度が高くなる前記接続部から離間した位置にサーミスタ素子が位置するため、測温精度の低下を抑制できる。
【0013】
(8)上記(1)〜(7)のうちいずれか一つに記載の組電池を備えた車両であって、前記組電池は、車両の走行に用いられるモータに供給される電力を蓄電するバッテリであって、リアシートの下部に配置されている。(8)の構成によれば、上下方向のスペースに制約があるリアシートの下部領域において、組電池を好適に設置することができる。
【0014】
(9)上記(4)に記載の組電池を備えた車両であって、前記組電池は、車両の走行に用いられるモータに供給される電力を蓄電するバッテリである。(9)の構成によれば、サーミスタ素子は、フレキシブルフラットケーブルの弾性力により、サーミスタ素子及び端子設置面の接触状態が維持されるように、組電池の振動に追従するため、車両搭載時における測温精度の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サーミスタ素子を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】車両の一部における構成を示すブロック図である。
【図2】組電池の斜視図である。
【図3】組電池の断面図である。
【図4】サーミスタ素子及びフレキシブルフラットケーブルの組み立て斜視図である。
【図5】サーミスタ素子及びフレキシブルフラットケーブルの配置方法の変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である車両の一部における構成を示すブロック図である。車両は、組電池の出力を用いてモータを駆動する駆動経路とエンジンによる駆動経路とを有するハイブリッド自動車であるが、本発明は組電池の出力を用いてモータを駆動する電気自動車、燃料電池自動車にも適用することができる。
【0018】
同図を参照して、車両は、組電池100と、リレー101と、電圧コンバータ102と、インバータ103と、モータジェネレータMG1と、モータジェネレータMG2と、動力分割プラネタリーギヤP1と、リダクションプラネタリーギヤP2と、減速機Dと、エンジン106と、監視ユニット107と、ECU108とを含む。
【0019】
組電池100は、リレー101を介して、電圧コンバータ102に接続されている。リレー101は、ECU108によってオンとオフとの間で制御される。リレー101がオンとは通電状態を意味し、リレー101がオフとは非通電状態を意味する。電圧コンバータ102は、組電池100の電力を昇圧して、インバータ103に供給する。このとき、インバータ103は、電圧コンバータ102から与えられる直流電圧を三相交流に変換してモータジェネレータMG2に出力する。リダクションプラネタリーギヤP2は、モータジェネレータMG2で得られた動力を減速機Dに伝達して、図示しない車輪を駆動する。動力分割プラネタリーギヤP1は、エンジン106で得られた動力を二経路に分割し、一方は減速機Dを介して車輪に伝達され、他方はモータジェネレータMG1を駆動して発電を行う。
【0020】
このモータジェネレータMG1において発電された電力は、インバータ103を介してモータジェネレータMG2の駆動に用いられることでエンジン106を補助する。また、リダクションプラネタリーギヤP2は、車両減速時に、減速機Dを介して伝達される動力をモータジェネレータMG2に伝達し、モータジェネレータMG2を発電機として駆動する。このモータジェネレータMG2で得られた電力は、インバータ103において三相交流から直流電圧に変換され、電圧コンバータ102に伝達される。このとき、ECU108は、電圧コンバータ102が降圧回路として動作するように制御する。電圧コンバータ102で降圧された電力は、組電池100に蓄電される。
【0021】
組電池100には、サーミスタ素子41が設けられている。監視ユニット107は、サーミスタ素子41を介して、組電池100の温度に関する情報を取得し、この取得した温度情報をECU108に出力する。ECU108は、取得した温度情報に基づき、組電池100の温度を制御すべく、組電池100に対して冷媒を供給する図示しないブロワを駆動する。また、ECU108は、取得した温度情報に基づき、組電池100のSOC(State of charge)を算出する。監視ユニット107は、組電池100とともにユニット化されている。
【0022】
次に、図2及び図3を参照しながら、組電池100の構成について詳細に説明する。図2は、組電池の斜視図であり、バスバーモジュールの組み付け前の状態を示す。図3は、単電池をY−Z面で切断した断面図であり、単電池の内部に収容された発電要素を透視して図示する。これらの図において、X軸、Y軸及びZ軸は互いに異なる直交する三軸であり、これらの定義は他の図面においても同様である。図2を参照して、組電池100は、電池群1、ブラケット2、一対のエンドプレート3、および第1〜第4の拘束バンド(拘束部材に相当する)4a〜4dを備える。電池群1は、電気的に互いに直列に接続された複数の単電池11を備える。これらの単電池11は、矢印で示す積層方向(第1の方向に相当する)に積層されている。
【0023】
単電池11は、単電池11の積層方向(X軸方向)において向き合う一対の外面と、Y軸方向において向き合う一対の外面と、Z軸方向において向き合う一対の外面とを有するいわゆる角型電池である。図3を参照して、Z軸方向に向き合う一対の外面のうち一方の外面、すなわち、端子設置面11cには突状の正極端子11a及び負極端子11bがY軸方向(第2の方向)に並んで形成されている。ここで、端子設置面11cは、Y軸方向の長さがX軸方向の長さよりも長い長方形に形成されている。なお、端子設置面11cとは、端子が接合されている面という意味に解釈してはらならず、単電池11における前記複数の外面のうち正極端子11a及び負極端子11bが位置する側の外面という意味に解釈すべきである。
【0024】
図2を参照して、積層方向に隣接する単電池11のうち、一方の単電池11の正極端子11a及び他方の単電池11の負極端子11bは積層方向において並んでいる。図3を参照して、これらの正極端子11a及び負極端子11bは互いにバスバー51を介して電気的及び機械的に接続されている。ここで、バスバー51には、板厚方向(Z軸方向)に貫通する一対の貫通穴部が形成されており、一方の貫通穴部には積層方向に隣接する一方の単電池11における正極端子11aが挿通され、他方の貫通穴部には他方の単電池11における負極端子11bが挿通される。正極端子11a及び負極端子11bの外面にはネジ溝が形成されており、これらのネジ溝に締結ナット61を締結することにより、これらの正極端子11a及び負極端子11bに対してバスバー51が固定される。
【0025】
バスバーモジュール50には複数のバスバー51が載置されており、このバスバーモジュール50を端子設置面11cに載置することにより、全てのバスバー51を正極端子11a及び負極端子11bに対して同時に挿通させることができる。これにより、バスバー51の組み付け作業を容易化することができる。ブラケット2は、積層方向に隣接する単電池11の間に位置して、冷却通路を形成する。
【0026】
第1〜第4の拘束バンド4a〜4dはそれぞれ、単電池11の積層方向に延びており、絶縁性の保護枠12により覆われている。図2を参照して、一対のエンドプレート3は、電池群1を挟む位置に配置される。一対のエンドプレート3のX軸方向の端面にはそれぞれ、第1の拘束バンド4a及びc第3の拘束バンド4c(図3参照)を挟み込むことにより保持する一対の挟持板33a、33bが形成されている。これらの挟持板33a、33bを、リベット6を介してリベット止めすることにより、第1の拘束バンド4a及びc第3の拘束バンド4cが強固に固定される。図3において、第1の拘束バンド4a及び正極端子(他方の端子に相当する)11aはY軸方向に所定の隙間を隔てて向き合っている。つまり、図2を参照して、第1の拘束バンド4aは、X軸方向に並ぶ二つの端子群のうちY軸方向の一端側に位置する端子群に沿って設けられている。
【0027】
一対のエンドプレート3のX軸方向の端面にはそれぞれ、第2の拘束バンド4b及び第4の拘束バンド4dを挟み込むことにより保持する一対の挟持板32a、32bが形成されている。これらの挟持板32a、32bを、リベット6を介してリベット止めすることにより、第2の拘束バンド4b及び第4の拘束バンド4dが強固に固定される。図3において、第2の拘束バンド4b及び負極端子(一方の端子に相当する)11bはY軸方向に所定の隙間を隔てて向き合っている。つまり、第2の拘束バンド4bは、X軸方向に並ぶ二つの端子群のうちY軸方向の他端側に位置する端子群に沿って設けられている。
【0028】
図2を参照して、一対のエンドプレート3は、X−Y面方向に沿って延在するフランジ部34を備える。フランジ部34は、貫通穴部34aを備える。貫通穴部34aに対して図示しない締結部材を締結することにより、組電池100を車両の固定部に固定することができる。ここで、車両の固定部は、車両のリアシート下、或いはラゲッジルームの内部であってもよい。
【0029】
図3を参照して、第1の拘束バンド4a及び第2の拘束バンド4bに挟まれ領域には、冷却通路が形成されている。図示しないブロワから供給された冷却風は、冷却通路の内部を端子設置面11cに沿って移動し、隣接する単電池11の間に形成された隙間に流入して、各単電池11を冷却する。
図3を参照して、単電池11の内部には、発電要素110が収容されている。発電要素110は、正極体と、負極体と、正極体及び負極体の間に配置されるセパレータとを含む。セパレータには電解液が含浸されている。単電池11は、リチウムイオン電池、或いはニッケル水素電池であってもよい。発電要素110のY軸方向における一端部には、正極側末塗工部110aが形成されており、Y軸方向における他端部には、負極側未塗工部110bが形成されている。正極側末塗工部110aには、正極側集電端子131が電気的及び機械的に接続されており、負極側末塗工部110bには、負極側集電端子141が電気的及び機械的に接続されている。
【0030】
正極側接続端子(第1の導電部材に相当する)132は、断面(Y−Z面で切断した断面)形状がZ字形状に形成されており、上段側には正極端子11aが接続され、下段側には正極側集電端子131が接続されている。なお、本明細書では、正極側集電端子131及び正極側接続端子132の接続部を「発電要素接続部」と称する。負極側接続端子(第2の導電部材に相当する)142は、断面(Y−Z面で切断した断面)形状がZ字形状に形成されており、上段側には負極端子11bが接続され、下段側には負極側集電端子141が接続されている。なお、本明細書では、負極側接続端子142及び負極側集電端子141の接続部を「発電要素接続部」と称する。また、単電池11は、複数の電池セルを接続することにより構成される電池モジュールであってもよい。電池セルとは、充放電を行うことができる最小単位の要素を意味する。
【0031】
ここで、単電池11における「発電要素接続部」は、電流が集中することにより発熱温度が高くなるため、この部位にサーミスタ素子41を当接させても、単電池11の正確な温度を測定することができない。つまり、正極端子11aの左側の領域(第1の拘束バンド4aが位置する領域に対して正極端子11aを挟んだ反対側の領域)は、サーミスタ素子41を当接させる測温領域として用いることができない。同様に、負極端子11bの右側の領域(第2の拘束バンド4bが位置する領域に対して負極端子11bを挟んだ反対側の領域)は、サーミスタ素子41を当接させる測温領域として用いることができない。このように、電池温度を測定できる領域には制約があり、この制約の下、適切な位置にサーミスタ素子41を配置するために、本実施形態では下記の構成を採用している。
【0032】
図3及び図4を参照して、サーミスタ素子41は、フレキシブルフラットケーブル42の脚部42cに接続されている。フレキシブルフラットケーブル42は、複数の導電線42aと、これらの導電線42aを挟み込んで保持する一対のプラスチックフィルムテープ42bとを備える。一対のプラスチックフィルムテープ42bは、互いに接触する接触面において接合されている。接合方法には、熱融着、或いは接着剤を用いることができる。複数の導電線42aは、略一定間隔に配置されており、それぞれが単電池11の積層方向に延びている。複数の導電線42aは、プラスチックフィルムテープ42b内において互いに絶縁されている。脚部42cは、対応する導電線42aに接続されている。接続方法には、抵抗溶接を用いることができる。サーミスタ素子41は、各単電池11に設けられても良いし、或いは複数の単電池11、つまりブロック単位で設けられても良い。
【0033】
フレキシブルフラットケーブル42は、バスバーモジュール50に保持されている。バスバーモジュール50に載置されたバスバー51を、隣接する一方の単電池11における正極端子11aと他方の単電池11における負極端子11bとに挿通すると、フレキシブルフラットケーブル42及びサーミスタ素子41は、正極端子11a及び第1の拘束バンド4aに挟まれた領域と、負極端子11b及び第2の拘束バンド4bに挟まれた領域に収められ(以下、これらの領域をまとめ「対向領域」と称する場合がある)、端子設置面11cに対してサーミスタ素子41が当接する。フレキシブルフラットケーブル42は、対向領域に収められた状態で、その厚み方向が正極端子11a及び第1の拘束バンド4aが向き合う方向(Y軸方向)、つまり、第2の方向を向いている。
【0034】
正極端子11a及び負極端子11bの外面に対してそれぞれナット61を締結すると、バスバーモジュール50及びこれに保持されるフレキシブルフラットケーブル42が端子設置面11cに向かって押し下げられ、フレキシブルフラットケーブル42が弾性変形する。そして、この弾性変形したフレキシブルフラットケーブル42の弾性力により、端子設置面11cに対してサーミスタ素子41が圧接される。
【0035】
ここで、車両走行時に組電池100が振動した場合、サーミスタ素子41は、フレキシブルフラットケーブル42の弾性力により、サーミスタ素子41及び端子設置面11cの接触状態を維持するように、組電池100の振動に追従するため、車両搭載時における測温精度の低下を抑制できる。さらに、サーミスタ素子41を測温面である端子設置面11cに圧接するためのバネ機構を省略することができ、サーミスタ素子41の小型化及び部品点数の削減による低コスト化を図ることができる。
【0036】
また、対向領域にフレキシブルフラットケーブル42を配置した構造とすることにより、サーミスタで取得した温度情報を監視ユニットに伝達するW/H(ワイヤーハーネス)を配設した従来の構造と比べて、組電池100をZ軸方向(高さ方向)に小型化することができる。ここで、組電池100を車両のリアシート(図示しない)下に配置する場合には、高さ方向のスペースに対する制約が厳しいため、本実施形態に係る組電池100を好適に用いることができる。さらに、対向領域に配置されるフレキシブルフラットケーブル42及びサーミスタ素子41がいわゆる邪魔板となって、冷却風の風漏れを抑制することができる。これにより、冷却効率の低下を抑制することができる。
【0037】
また、フレキシブルフラットケーブル42を、その厚み方向と正極端子11a及び第1の拘束バンド4aの向き合う方向(Y軸方向)とが一致するように、対向領域に配置することにより、測温精度の低下を抑制しながら、デッドスペースを有効に活用することができる。さらに、第1の拘束バンド4aと第2の拘束バンド4bとに挟まれた冷却通路がより大きくなり、冷却能力を増大させることができる。これにより、組電池100の劣化を抑制することができる。また、第1の拘束バンド4a及び第2の拘束バンド4bを、これらの板厚方向と正極端子11a及び第1の拘束バンド4aの向き合う方向(Y軸方向)とが一致するように配置することにより、冷却通路をより大きくすることができる。
【0038】
(変形例1)
上述の実施形態では、端子設置面11cを単電池11の上面に設定したが、本発明はこれに限られるものではない。本発明は、側面(Y軸方向の端面)に端子が形成された単電池を複数備える組電池に対しても適用することもできる。この場合、当該側面に沿って拘束バンドが配置され、拘束バンドと端子とに挟まれた領域にフレキシブルフラットケーブル42及びサーミスタ素子41が配置される。
【0039】
(変形例2)
フレキシブルフラットケーブル42は、正極端子11a(負極端子11b)及び第1の拘束バンド4a(第2の拘束バンド4b)に挟まれた領域において、様々な向きに配置することができる。つまり、フレキシブルフラットケーブル42は、上下方向(Z軸方向)が厚み方向となる構成(図4(a)参照)、バスバー51及びフレキシブルフラットケーブル42がL字形状に配置される構成(図4b参照)であってもよい。
【0040】
(変形例3)
上述の実施形態では、フレキシブルフラットケーブル42をバスバーモジュール50に対して固定したが、本発明はこれに限られるものではない。フレキシブルフラットケーブル42は、端子設置面11cに対してサーミスタ素子41を圧接させることができれば、バスバーモジュール50以外の部位に固定することもできる。
【符号の説明】
【0041】
4a〜4b 第1〜第4の拘束バンド 11 単電池 11a 正極端子
11b 負極端子 11c 端子設置面 41 サーミスタ素子
42 フレキシブルフラットケーブル 42a 導線
42b プラスチックフィルムテープ 50 バスバーモジュール
100 組電池 107 監視ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を第1の方向に積層した電池群と、
前記電池群を挟む位置に配置される一対のエンドプレートと、
前記電池群のうち端子が位置する側の端子設置面に沿って設けられ、前記一対のエンドプレートを互いに連結することにより前記電池群を拘束する拘束部材と、
前記端子と前記拘束部材とに挟まれた領域に位置し、前記端子設置面に接触するサーミスタ素子が接続されたフレキシブルフラットケーブルと、を有することを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記フレキシブルフラットケーブルの厚み方向は、前記第1の方向に直交する方向であって、かつ、前記端子及び前記拘束部材が向き合う第2の方向であることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記拘束部材は板状に形成されており、該拘束部材の板厚方向は、前記第2の方向であることを特徴とする請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記サーミスタ素子は、前記フレキシブルフラットケーブルの弾性力により前記端子設置面に圧接されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の組電池。
【請求項5】
複数のバスバーであって、それぞれが前記第1の方向に隣接する前記単電池の前記端子を互いに接続する前記複数のバスバーをユニット化するバスバーモジュールを備え、
前記フレキシブルフラットケーブルは、前記バスバーモジュールに固定されており、
前記バスバーモジュールに搭載された各前記バスバーは、各前記端子の外面にナットを締結することにより固定されており、前記ナットの締結力により前記フレキシブルフラットケーブルが前記端子設置面に位置する方向に押し込まれることで、前記端子設置面に対して前記サーミスタ素子が圧接していることを特徴とする請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記端子は、前記第2の方向において並ぶ正極端子及び負極端子からなり、
前記拘束部材は、前記正極端子及び前記負極端子のうち一方の端子よりも他方の端子に近接して位置する第1の拘束部材と、前記他方の端子よりも前記一方の端子に近接して位置する第2の拘束部材とからなり、
前記第1の拘束部材及び前記第2の拘束部材に挟まれた領域に、前記電池群を冷却する冷却経路が形成されていることを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか一つに記載の組電池。
【請求項7】
前記フレキシブルフラットケーブルは、前記他方の端子及び前記第1の拘束部材に挟まれた領域に位置する第1のフレキシブルフラットケーブルと、前記一方の端子及び前記第2の拘束部材に挟まれた領域に位置する第2のフレキシブルフラットケーブルとを有し、
前記他方の端子は、第1の導電部材を介して前記単電池の内部に収容された発電要素に接続されており、前記第2の方向において、前記第1の導電部材と前記発電要素との接続部、前記他方の端子、前記第1のフレキシブルフラットケーブル及び前記第1の拘束部材はこの順序で並んでおり、
前記一方の端子は、第2の導電部材を介して前記単電池の内部に収容された発電要素に接続されており、前記第2の方向において、前記第2の導電部材と前記発電要素との接続部、前記一方の端子、前記第2のフレキシブルフラットケーブル及び前記第2の拘束部材はこの順序で並んでいることを特徴とする請求項6に記載の組電池。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載の組電池を備えた車両であって、前記組電池は、車両の走行に用いられるモータに供給される電力を蓄電するバッテリであって、リアシートの下部に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項4に記載の組電池を備えた車両であって、前記組電池は、車両の走行に用いられるモータに供給される電力を蓄電するバッテリであることを特徴とする車両。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−51085(P2013−51085A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187730(P2011−187730)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】