説明

経口的に分散性の薬剤組成物及びその調製方法

【解決手段】経口的に分散性の固形の薬剤の形態を調製するための処理で、次の工程: a) 活性原料を、少なくとも1種の親水性カルボン酸塩重合体を用いて被覆する工程、b) 工程(a)において得られる被覆化活性原料を、活性原料の融点よりも低い融点を持つ少なくとも1種の脂質化合物と共に造粒する工程、c) 工程(b)において得られる顆粒を、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体と共に混合する工程、及びd) 工程(c)において得られる顆粒を経口的に分散性の固形の薬剤の形態を得るのに適切な原料と共に混合する工程を備える。経口的に分散性の固形の薬剤の形態は、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体及び少なくとも1種の脂質化合物を用いて被覆される活性原料を備え、前記被覆化活性原料が、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体を備えるマトリクスにおいて包埋される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
この発明(本発明とも言う)は経口的に分散性の薬剤組成物に関し、それは、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体及び少なくとも1種の脂質化合物を用いて被覆される活性な原材料を備え、前記被覆化した活性な原材料が、少なくとも1種の高い分子量を持つ親水性の自然な重合体を備えるマトリクスにおいて包埋されるものであり、及び又、その調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(技術分野の状態)
多くの技術が、風味のマスキング又は不快な風味の活性な原材料の放出に関連して、この技術分野において記述されている。最も重要な例を次に挙げる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
US(米国)特許第4,916,161号明細書は、湿式造粒(wet granulation)処理が、不快な風味を持つイブプロフェン又は他の活性な原材料の風味をマスキングするために、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて記述される。しかしながら、この文献はマイクロカプセル化(microencapsulation)の技術を言及していない。
【0004】
US特許第4,946,648号明細書は、水において迅速に脱凝集(disaggregate)する、凍結乾燥によって得られ、及びマンニトール及び少なくとも1種の自然なゴムの混合物を備える薬剤の形態を記述する。
【0005】
US特許第5,084,278号明細書は、マイクロカプセルにおいてマイクロカプセル化される活性な原材料の薬剤調剤物を記述し、それは、エチルセルロースをメタクリル酸エステルの共重合体又はアクリル酸スチレンの共重合体を伴ってなる。調製方法は流動床の乾燥機において行われる。
【0006】
US特許第5,215,755号及びUS 5,320,855号の明細書は、回転式の造粒技術を用いる被覆化(coated)錠剤の調製を記述する。造粒の混合物は、活性な原材料、例えば、イブプロフェン、及び例えば、ポリビニルピロリドン、グリコール酸澱粉ナトリウム(sodium starch glycolate)及びラウリル硫酸ナトリウムのような賦形剤から構成される。被覆物質は、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物から構成される。
【0007】
US特許第5,298,261号明細書は、凍結乾燥の処理を用いる容易に脱凝集可能な錠剤の調製を記述する。好ましい賦形剤は、例えば、アラビアガム、グアーガム、キサントレア樹脂(xanthorea resin、xanthorrhea resin)、カラゲナンガム又はトラガカントガムのようなゴム、及び例えば、マンニトール、右旋糖(デキストロース)、ショ糖、乳糖、麦芽糖(マルトース)、マルトデキストリン又はメイズ(トウモロコシ)シロップのような糖質(炭水化物)である。
【0008】
US特許第5,405,617号は、活性な原材料を、溶融状態にて、流動床の被覆装置で動かして噴霧される脂肪酸エステルの混合物において組み込むことによって得る薬剤調剤物を記述する。
【0009】
US特許第5,460,825号明細書は、回転式の造粒技術によって得られ、及び酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(cellulose acetate butyrate)、又はその組合せ及びヒドロキシプロピルセルロースを用いて被覆される顆粒の圧縮を用いる、咀嚼性(チュアブル)錠剤の調製を記述する。造粒の混合物は、活性な原材料、例えば、ファモチジン、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような結合剤、及び例えば、乳酸のような媒介物(ビヒクル)から構成される。
【0010】
US特許第5,466,464号明細書は、活性な原材料、例えば、乳糖及び/又はマンニトールのような糖質、及び寒天から構成される。活性な原材料を含む糖マトリクス(sugar matrix)を、溶解及びその後の乾燥によって得る。得られる固形の調製物は、同様な調剤物よりも高い硬度を持ち、及び従ってブリスタ(blisters)から容易に除去され得る。
【0011】
US特許第5,489,436号明細書は、流動床の技術を用いて、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、及びメタクリル酸のエステル、及び例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、三酢酸セルロース又はその混合物のようなセルロースのエステル、及び随意にポリビニルピロリドンの混合物で被覆される活性な原材料から得られる咀嚼性錠剤の調製を記述する。
【0012】
US特許第5,464,632号明細書は、活性な原材料を、被覆化微結晶又は被覆又は未被覆の微顆粒の形態において、脱凝集剤(disaggregating agent)(カルボキシメチルセルロース又は架橋化PVP(cross-linked PVP))及び膨張剤(swelling agent)(アミド、修飾化アミド、微結晶性セルロース)及び糖との組み合わせにおいて含む、錠剤の直接圧縮による調製を記述する。
【0013】
US特許第5,501,861号明細書は、活性な原材料の、例えば、糖、澱粉糖、乳糖、蜂蜜、糖のアルコール誘導体及び四炭糖(tetroses)のような糖質と、小量の水との混合物においての湿式造粒を用いる、容易に分散可能な錠剤の調製を記述する。
【0014】
US特許第5,576,014号明細書は、口で溶解可能な錠剤の調製を記述し、活性な原材料、及び低く、及び高いプラズマ性(plasmability)を持つ糖類(saccharides)との混合物の流動床の造粒及びその後の顆粒(granulate)の圧縮を用いる。
【0015】
US特許第5,728,403号明細書は、活性な原材料の被覆性粒子による風味のマスキングのための方法を記述し、トリグリセリド及び共重合体の混合物を用い、それは、pH5.5で溶解性で、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸の自然のエステル(Eudragit E(ユードラジットE))から導かれる。被覆性物質を揮発性の溶媒(アセトン)において溶解し、及び活性な原材料を溶液において懸濁させる。溶媒を、次いで蒸発させ、及びマイクロカプセルを回収する。
【0016】
US特許第5,762,961号明細書は、容易に脱凝集可能な多孔性錠剤を得るための方法を記述し、それは、活性な原材料、希釈剤及び結合剤を、容易に蒸発可能な(volatilisable)アンモニアの塩を伴って用い、次いで得られる錠剤を減圧下(under vacuum)に容易に脱凝集可能な多孔性の塊(mass)を得るようなやり方において加熱することによる。
【0017】
US特許第5,738,875号明細書は、若干の活性な原材料の不快な風味をマスキングするための処理を記述し、それは、水溶性賦形剤及び自然の重合体(ゼラチン)の水溶液における活性な原材料の懸濁/溶解及び次いで個々の投与量単位(dosage units)の凍結乾燥による。
【0018】
US特許第5,837,277号明細書は、若干の活性な原材料の不快な風味をマスキングする処理を記述し、その後、流動床での、異なる透過性の特性を持つメタクリル酸重合体に基づく調剤物の水性分散物を用いる被覆による。
【0019】
US特許第5,869,098号明細書は、慣習的な打錠機(tabletting machines)を用いて形成することができ、及び迅速に口で脱凝集する錠剤を生産するのに有用な組成物を記述する。組成物は、典型的に部分的に吸湿性のマトリクスから構成され、それは、結晶化のプロモータを用いて再結晶化することができる。
【0020】
US特許第5,876,759号明細書は、活性な原材料を備える錠剤の形成を記述し、その原材料は、酢酸セルロース及び酢酸酪酸セルロースから選ばれる第1の重合体及びポリビニルピロリドン及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる第2の重合体、マンニトール、ソルビトール、右旋糖、ショ糖、キシリトール及び乳糖のような脱凝集剤、及びセルロース、ポリビニルピロリドン、澱粉及び修飾化澱粉のような結合剤から構成される重合体の混合物を用いて被覆される。
【0021】
US特許第5,866,163号明細書は、溶解性錠剤の調製を記述し、糖結晶性マトリクスの調製のために設計される機器を用いることによる。
【0022】
US特許第6,024,981号明細書は、口腔において溶解する錠剤の調製を記述し、それは、2%に等しいか、又はそれより低い脆弱性及び15ニュートンよりも高い硬度を持つ。
【0023】
US特許第6,106,861号明細書は、迅速な脱凝集可能な錠剤(<40秒)を得るための処理を請求し、それは、架橋化ポリビニルピロリドン、またクロスポビドンとしても既知なもの、及び架橋化カルボキシメチルセルロース、またクロスカルメロースとしても既知なもののような少なくとも1種の脱凝集剤、マンニトール、キシリトール、ソルビトール及びマルチトールのような結合特性を持つ少なくとも1種の希釈剤、及び被覆化微結晶の形態での活性な原材料から構成される。
【0024】
US特許第6,465,009号明細書は、迅速な脱凝集可能な錠剤を得るための処理を記述し、それは、活性な原材料及び糖類の賦形剤を、残留溶媒がない(free from)水溶性重合体(PVP)と共に造粒する工程、圧縮工程、及び加湿化雰囲気における後-処置及びその後の乾燥の2種から構成される。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の概要)
本発明は、経口の薬剤の形態を提供することを意図し、それはまた、例えば、フルルビプロフェン、及びイブプロフェンのような、苦痛-軽減(pain-relieving)の生成物の管理(administration、投与)のために適切である。したがって、活性な原材料の素早い放出が、これらの薬剤の形態に対して求められる。経口的に分散性の錠剤(タブレット)又は顆粒はこの特長を持つが、しかし、また活性な原材料の口での素早い放出が、それを、それらの活性な原材料にとって不適切にし、それらは、例えば、フルルビプロフェン及びイブプロフェンのような極めて不快な風味を持つ。
【0026】
本発明はまた、経口的に分散性の固形の薬剤の形態を調製するための方法及び経口的に分散性の固形の薬剤の形態を提供すること意図し、それは薬物を容易に放出し、及びそれは活性な原材料が極めて不快な風味を持つときでさえ、良好な嗜好性(palatability)を持つ。
【0027】
これらの問題は、本発明に従う方法及び経口的に分散性の固形の薬剤の形態により克服される。
【0028】
第1の局面において、本発明は経口的に分散性の固形の薬剤の形態を調製するための方法を提供し、それは、以下の工程:
a. 活性原料を、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体を用いて被覆する工程、
b. 工程(a)において得られる被覆化活性原料を、活性原料の融点よりも低い融点を持つ少なくとも1種の脂質化合物と共に造粒(顆粒化)する工程、
c. 工程(b)において得られる顆粒を、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体と共に混合する工程、及び
d. 工程(c)において得られる顆粒を経口的に分散性の固形の薬剤の形態を得るのに適切な原料と共に混合する工程
を備える。
【0029】
第2の局面において、本発明は、経口的に分散性の固形の薬剤の形態を提供するもので、それは、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体及び少なくとも1種の脂質化合物を用いて被覆される活性原料を備え、そこでは、前記被覆化活性原料が、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体を備えるマトリクスにおいて包埋される。
【0030】
本明細書及び添付の請求の範囲において、用語“経口的に分散性(可能)”は、任意の固形の投与単位を意味する意図であり、それは、水又は唾液の存在下に自発的に脱凝集し、そのような(かかる)脱凝集は、多分、咀嚼又は分散によって、1.5分よりも短いうちに、好ましくは1分よりも短くて、及び更により一層好ましくは、30秒よりも短くに改善される。
【0031】
次に、表現“高分子量を持つ親水性の天然の重合体”は、親水性の重合体を意味する意図であり、それは、植物又は動物から得られ、及び1,000より高い分子量で、好ましくは10,000よりも高く、及びまだ好ましくは100,000よりも高いものを持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(発明の詳細な記載)
本発明は、経口的に分散性の固形の薬剤の形態を調製するための処理に関し、それは、以下の工程:
a) 活性原料を、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体を用いて被覆する工程、
b) 工程(a)において得られる被覆化活性原料を、活性原料の融点よりも低い融点を持つ少なくとも1種の脂質化合物と共に造粒する工程、
c) 工程(b)において得られる顆粒を、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体と共に混合する工程、及び
d) 工程(c)において得られる顆粒を、経口的に分散性の固形の薬剤の形態を得るのに適切な原料と共に混合する工程
を含む。
【0033】
本発明の好適な局面では、固形の薬剤の形態は錠剤又は顆粒である。
【0034】
したがって、口において分散する錠剤を得るのが望ましい場合、本発明に従う方法は、好ましくは更に、工程(d)において得られる調剤物の加圧の工程(e)を備える。
【0035】
顆粒の場合において、これを直接的に更に投与量単位にまで分け、及び小袋又は任意の他の適切な種類の包装において詰めることができる。
【0036】
本明細書及び添付の請求の範囲において、活性な原料の顆粒で、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体を用いて被覆されたものは、“マイクロカプセル”の名称によって識別される。
【0037】
本発明に従うマイクロカプセルは、活性な原料の風味を、このやり方において被覆し、マスクするが、しかし、そのものの素早い放出を可能にする。
【0038】
好ましくは、活性な原料の風味をマスクすることが可能である一方、工程a) は、活性な原料のそれ自体の溶解よりも大きい活性原料の溶解の速度が得られるのを可能にする。
【0039】
次いで、工程b)は、大幅に調製物の嗜好性を改善する。しかし、この工程は、活性な原料の溶解の速度において、活性な原料それ自体の溶解の速度よりも低くなることを伴わないで、その減少を含み得る。
【0040】
好ましくは、工程c)は、更に活性な原料の風味のマスキングを、その放出の速度を変えることなく改善する。
【0041】
その後の工程d)及びe)の主要な目的は、種々の成分を互いに、直接的な混合によって混ぜ、及び次いでその直接的な加圧によるその圧縮で、経口的に分散性の錠剤が調製されるようにし、又はそれらを更に、その後の包装工程のための用量単位中に分け、経口的に分散性の顆粒が調製される。
【0042】
任意の活性な原料で不快な風味を持つものは、本発明に関連して用いることができる。好ましくは、本発明は、非-ステロイド性の抗-炎症薬(anti-inflammatory)の活性な原料(また、略号NSAID、“Non Steroidal Anti Inflammatory Drug”によっても既知である)の嗜好性を改善するのに用いられ、例えば、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、メサラミン、スルファサラジン、及びサリチル酸メチルのようなサリチル酸の誘導体、例えば、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、アンチピリン、アミノピリン、ジピロン及びアパゾン(アザプロパゾン)のようなピラゾロンの誘導体、例えば、フェナセチン及びアセトアミノフェン(パラセタモール)のようなパラ-アミノフェノールの誘導体、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、エトフェナム酸(etofenamic acid)及びそれらの薬剤上許容可能な塩のようなフェナム酸塩(fenamate)として知られるN-フェニルアントラニル酸(phenylanthranylic acid、phenylanthranilic acid)の誘導体、及び例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン(phenoprofen、fenoprofen)、ケトプロフェン、フェンブフェン、ピルプロフェン、オキサプロジン(oxaprozine、oxaprozin)、インドプロフェン及びチアプロフェン酸のようなプロピオン酸の誘導体のようなものである。上述のNSAIDの各々は、出版物において広く記述されており、例えば、Goodman(グッドマン)及びGilman(ギルマン)、The Pharmacological Basis of Therapeutics (8th edition)(治療の薬理学的基礎(第8版))、McGraw-Hill(マグロウ-ヒル社)、1993年、638-381頁において、the Merck Index(メルク・インデックス)、第12版1996年、Merck & Co. Inc.(メルク社)、New Jersey(ニュージャージ州)、USA(米国)において、Martindale(マーティンデイル)、The Complete Drug Reference(ザ・コンプリート・ドラッグ・リファレンス)、the Royal Pharmaceutical Society of Great Britain(英国薬剤師会)、1 Lambeth(ランベス)High Street(ハイストリート)、London(ロンドン) SE1 7JN、UK(英国)において、及びthe US, British and European Pharmacopoeias(米国、英国及び欧州薬局方)においてである。
【0043】
典型的に、活性な原料は、イブプロフェン、ナプロキセン又はフルルビプロフェンの水-不溶性の酸の形態である。
【0044】
本発明に従って用いることができる親水性のカルボン酸塩重合体は、例えば、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロースのような、カルボキシアルキルセルロース、例えば、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、琥珀酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びアセトフタル酸(acetophthalate)セルロースのような、ジカルボン酸のアルキルセルロースとのヘミエステル、及び例えば、アクリル酸及びメタクリル酸及び/又はアクリル酸塩及び/又はメタクリル酸塩の共重合体のような、アルケニルカルボキシ酸(alkenyl carboxy acid)とアルケニルカルボキシ酸のアルキルエステルとの共重合体から構成される群より選ばれる。本発明における用いるのに好ましい重合体は、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に会社で、信越化学工業株式会社、日本国所在(the company Shin-Etsu Chemical Co., Ltd, Japan)からの商業上の生産物HP-50TM(商標)及びHP-55TM(商標)である。これらの商業上の生産物は、それらが、ヒドロキシプロピル残基(5から10までのモル%)、メトキシ残基(18から24までのモル%)、フタリル残基(phthalyl residues)(21から35までのモル%)を含み、及びそれらの分子量(約80,000±10,000)によって特徴付けられる。
【0045】
本発明に従う好ましい親水性のカルボン酸塩重合体は、ジカルボン酸のアルキルセルロースとのヘミエステルから構成される群より選ばれる。
【0046】
典型的に、前記親水性のカルボン酸塩重合体は、フタル酸及び琥珀酸のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0047】
好ましくは、活性原料及び前記親水性のカルボン酸塩重合体間の重量比率は60:40及び99.9:0.1の間で構成される。より一層好ましくは、前記比率は75:25から99:1までに及ぶ。典型的に、これは85:15から95:5までに及ぶ。したがって、好ましくは、各重量部の活性原料について添加される親水性のカルボン酸塩重合体の重量部は、0.67から0.001までの範囲で、より一層好ましくは、0.33から0.01まで、更により一層好ましくは、0.175から0.05までである。
【0048】
本発明に従って用い得る脂質化合物は、例えば、ステアリン酸のような脂肪酸、ジベヘン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル及びパルミトステアリン酸(palmitostearate)グリセリル(PrecirolTM(プレシロール(商標))ATO5、Gattofosse Milano (ガットホセ・ミラノ社)、Italy(イタリア国)所在によって生産され、及び流通させる)のような、脂肪酸の脂肪性(aliphatic)アルコールとのエステル、例えば、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びミリスチルアルコールのような脂肪(fatty)アルコール、例えば、Gattofosse Italia(ガットホセ・イタリア社)、Milan(ミラン)によって生産及び流通される商業上の生産物SupocireTM(スポチレ(商標))、及びCondea Chemie GmbH(コンデア・ヘミー社)、Germany(ドイツ国)所在によって生産及び流通されるWitepsolTM(ウイットプソル(商標))、及びその混合物のような脂肪酸のトリグリセリドから構成される群より選ばれる。
【0049】
好ましくは、本発明に従う脂質化合物は、12から18までの個数の炭素原子を持つ脂肪性アルコールから構成される群より選ばれる。典型的には、本発明に従う脂質化合物はセチルアルコールである。
【0050】
好ましくは、活性原料及び前記脂質化合物間の重量比率は75:25及び99.9:0.1の間で構成される。より一層好ましくは、前記比率は80:20から99:1までに及ぶ。典型的に、これは85:15から95:5までに及ぶ。このように、活性原料の各重量部について添加される脂質化合物の重量部は、好ましくは0.33から0.001まで、より一層好ましくは0.25から0.01まで、更により一層好ましくは再度0.175から0.05までに及ぶ。
【0051】
本発明に従って用い得る高分子量を持つ親水性の自然な重合体は好ましくは、グアーガム、アラビアガム、インドガム(karaya gum)、ゲラノガム(gelano gum)、カラゲナン、キトサン、ガラクタン、ポルグルミト(PolglumytTM(商標))(A.C.R.A.F. S.p.A.(社)、Rome(ローマ)、Italy所在によって生産及び流通され、及び特許第EP654,048号に記載のグリコーゲンの脱プロテイン化(deproteinated)画分の商品名)及びその混合物から構成される群より選ばれる。
【0052】
本発明に従う、高分子量を持つ特に好適な親水性の自然な重合体は、グアーガムである。
【0053】
好ましくは、活性原料及び高分子量を持つ親水性の自然な重合体(又はその混合物)間の重量比率は、75:25及び99.9:0.1の間で構成される。より一層好ましくは、前記比率は80:20から99.5:0.5までに及ぶ。典型的に、これは85:15から99:1までに及ぶ。このように、各重量部の活性原料について添加される高分子量を持つ親水性の自然な重合体(又はその混合物)の重量部は、好ましくは、0.33から0.001まで、より一層好ましくは、0.25から0.005まで、更により一層好ましくは再度0.175から0.01までに及ぶ。
【0054】
本発明の好適例において、特に、経口的に分散性の錠剤を調製する場合、高分子量を持つ親水性の自然な重合体を、微結晶性セルロースとの混合物として用いて、混合物の圧縮性(compressibility、圧縮率)を改善する。1から15までの重量部の微結晶性セルロースを、各重量部のグアーガムについて含有する混合物が特に好ましい。4から10までの重量部の微結晶性セルロースを、各重量部のグアーガムについて含有する混合物が更により一層好ましい。
【0055】
高分子量を持つ親水性の自然な重合体を、微結晶性セルロースとの混合物に加えるとき、各重量部の活性原料について添加されるその混合物の重量部は、1.2から0.1までに及ぶ。より一層好ましくは、前記範囲は1.0から0.2までに及ぶ。
【0056】
本発明に従って用い得る他の原料には、希釈剤、剥脱性薬剤(exfoliating agents)、脱凝集剤、甘味料、香味料(flavourings)、滑剤(lubricants)及び同様のものが包含される。
【0057】
適切な希釈剤の例には、乳糖、澱粉、マンニトール、右旋糖、ケイ酸カルシウム、ソルビトール、キシリトールが包含される。
【0058】
適切な剥脱性薬剤の例には、マンニトール、右旋糖、ケイ酸カルシウムが包含される。
【0059】
適切な脱凝集剤の例には、AcDiSol(クロスカルメロースナトリウム)、ポリプラスドン(polyplasdone)(架橋化PVP)、ExplotabTM(エキスプロタブ(商標))(澱粉グリコール酸ナトリウム)が包含される。
【0060】
適切な甘味料の例には、アスパルテーム、サッカリンのようなもの(saccharine)、アセサルフェーム(acesulfame)が包含される。
【0061】
適切な香味料の例には、グレープフルーツの香味、キイチゴの香味、レモンの香味、オレンジの香味及び同様のものが包含される。
【0062】
適切な滑剤の例には、コロイド性シリカ(colloidal silica)、ステアリン酸マグネシウム、PEG4000、PEG6000、PEG20000、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムが包含される。
【0063】
本発明に従う方法において、活性原料を少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体で被覆する工程は、好ましくは、マイクロカプセル化の技術を用いて実行する。マイクロカプセル化の技術は、微粉状(finely powdered)の活性原料を、活性原料の微粒子(microparticle)のまわりに薄膜(thin film)を形成し得る化合物を用いて被覆することが包含される。そのようにして得られるマイクロカプセルの寸法は、好ましくは、0.5及び1000の間のマイクロメータである。
【0064】
マイクロカプセル化の種々の方法が、界面重合方法、インシトゥの重合方法、押出方法、液滴形成(coacervation、コロイド脱混合現象)方法、溶媒蒸散方法(evaporation method、蒸着法)、噴霧方法のように、その技術分野において既知である。
【0065】
本発明の方法を実施するのに用い得る方法は、US特許第4,766,012号明細書において記述される方法であり、そこでは、親水性のカルボン酸塩重合体を水において塩化(salification)の処理を用いて溶解し、活性原料の粒子を水において分散させ、及び次いで親水性のカルボン酸塩重合体溶液に連続的な撹拌の下で添加し、次いで親水性のカルボン酸塩重合体を生じさせて、活性原料の粒子上に沈殿させる酸化合物を添加する。
【0066】
本発明に従う方法では、上記工程において得られる被覆化活性原料を、活性原料の融点よりも低い融点を持つ少なくとも1種の脂質化合物と共に造粒する工程は、既知の技術に従い、好ましくは加熱可能なジャケットの回転式造粒機(Jacket rotary granulators)を用いる回転式造粒技術によって実行する。さらに、その細部を実験の部において説明する。
【0067】
本発明に従う方法では、先行する工程において得られる顆粒を、混合物において高い分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体と共に、随意に、微結晶性セルロースと共に、混合する工程は、既知の技術に従って、好ましくは、慣習的なV-形混合機(V-shaped mixers)又はDIOSNA混合機/造粒機を用いる直接混合技術によって実行する。
【0068】
本発明の方法において、先行する工程において得られる顆粒を、経口的に分散性の錠剤又は顆粒を生産するのに適切な原料と共に混合する工程は、既知の技術に従い、好ましくは、慣習的なV-形混合機又はDIOSNA混合機/造粒機を用いる直接混合技術によって実行する。
【0069】
本発明に従う方法において、加圧し又は更に用量単位にまで分け、及びその後に先行する工程において得られる調剤物を包装する工程は、慣習的な技術及び機器を用いて実行する。
【実施例】
【0070】
以下の例は、本発明を例証するが、しかし、それを何ら制限するものでない。
(実験の部)
(材料及び方法)
(溶解試験)
試験を、リン酸塩緩衝剤においてpH7.2で(6.8gのKH2PO4及び1.4gのNaOHを1リッタの脱ミネラル化水(demineralised water)において溶解することによって得る)、マイクロカプセルの溶解試験について100rpmで、及びタブレットの溶解試験について50rpmで、欧州薬局方、04/2003年の第4.4版において記載の方法に従って実行した。
【0071】
(嗜好性の評価)
試験下の一定の量の生成物を、イブプロフェンの刺激性作用に対して感受性のある5種の異なる個体に投与した。先に、それらに、ある形態を与え、及びそれらがその形態上で、一定の時間で投与される生成物の嗜好性のそれらの評価を依頼し、そのとき、それは口において配置し(t0)、嚥下の間(t1)、嚥下の後(t2)及び5分後(t3)で、以下の変数(パラメータ)に基づく:
【0072】
【表1】

【0073】
5種の個体にまた、刺激が、強い(3)、中位(2)、弱い(1)又は零(0)であったかどうか言うように依頼した。
【0074】
したがって、試験下の生成物の嗜好性は、試験を受ける個体によって感じる刺激に関連する上述の数字の値が高いほどより一層悪かった。
【0075】
(イブプロフェンBP80)
イブプロフェンは以下の特性を持つ:
-遊離の見掛密度(free apparent density): 0.328、
-圧密化(compacted)見掛密度: 0.505、
-活性原料の流動性: 34mm孔(Giuliani Tecnologie Srl(ジュリアーニ・テクノロジ社)、Turin(チュリン)、Italy所在からのFlowdexTM(フローデックス(商標))の機器を用いて実行する試験)で、製造者によって機器について推奨される手法を用いる、
-粒度: 次の通り:
【0076】
【表2】

【0077】
-リン酸塩緩衝剤におけるpH7.2で(6.8gのKH2PO4及び1.4gのNaOHを1リッタの脱ミネラル化水において溶解することによって得る)、100rpmでの溶解性; 5種の試験の平均は以下の結果を与えた:
5分後の30.1%、10分後の58.6%、15分後の71.0%、20分後の78.8%、30分後の86.9%、
-嗜好性: 嗜好性の試験を、上記に指し示すように、200mgのイブプロフェンBP80を各個体に対して投与し、実行した。結果を次の表において示し、及びそれはイブプロフェンそれ自体の嗜好性が非常に悪いことを示す。
【0078】
【表3】

【0079】
(親水性のカルボン酸塩重合体)
フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースで、日本国の会社の信越化学工業株式会社からの商品名HP-55TMを持つものを用いた。
【0080】
(略号)
以下の例において、次の略号は次の意味を持つ:
Al=活性原料
HCP=親水性のカルボン酸塩重合体
LC=脂質化合物
MC1=例1のマイクロカプセル
MC2=例2のマイクロカプセル
MC3=例3のマイクロカプセル
GR1=顆粒1
GR2=顆粒2
GR3=顆粒3
GR4=顆粒4
【0081】
(比率)
別に指示しない場合、Al及びHCP又はLC間の比率は、重量による比率であるものを意図する。
【0082】
(例1)
(マイクロカプセルの調製(Al: HCP=95:5))
95.00gのイブプロフェンBP 80、5.00gのHP-55TM重合体及び0.75gのKOHを用いた。
水酸化カリウムの脱ミネラル化水(約60mL)における溶液を、第1の容器において調製した。HP-55TMをその溶液に完全に溶解するまで添加した。別の容器において、イブプロフェンBP 80の懸濁液を、脱ミネラル化水(500mL)において調製し、及びそのようにして得られる懸濁液を均質化した。次いで、溶液を懸濁液に連続的な撹拌の下で添加した。そのようにして得る混合物を、1NのHClを用いて、すべての時間で撹拌を維持し、2.5から2.9までのpH値が得られるまで、酸性にした。酸性化の間に沈殿するマイクロカプセルをフィルタ上で収集し、及び次いでトレイ(皿)に手動で配置した。
そうして得られる粒子を、静的床のオーブン(static bed oven)において、40℃での強制熱風によって若干の時間乾燥させた。最終的に、粒子を、30メッシュ(600ミクロン)の篩上に配置し、及びその篩を通るものを収集した。
【0083】
(例2)
(マイクロカプセルの調製(Al: HCP=90:10))
調製を、上記例1におけるものと類似させて実行し、630.00gのイブプロフェンBP 80、70.00gのHP-55TM、11.00gのKOH、0.63gのモノパルミチン酸サッカロース(ショ糖)及び1.26gのジメチコンの使用による。
水酸化カリウムの脱ミネラル化水(約820mL)での溶液を、第1の容器において調製し、及び次いでHP-55TMを、完全な溶解にまで添加した。活性原料の脱ミネラル化水(約3500mL)での懸濁物を、先にモノパルミチン酸サッカロース及びジメチコンを添加して、別の容器において調製し、及びそのようにして得る懸濁物を均質化した。
次いで、手法を例1において説明するように続けた。
【0084】
(例3 )
(マイクロカプセルの調製(Al: HCP=75:25))
調製を、上記例2において説明するのと類似するやり方において実行し、525.00gのイブプロフェンBP 80、175.00gのHP-55TM、26.80gのKOH、0.54gのモノパルミチン酸サッカロース及び1.08gのジメチコンを用いた。
【0085】
(例4)
(マイクロカプセル放出試験)
例1から3において得られるマイクロカプセル(MC1、MC2及びMC3)を、リン酸塩緩衝剤において、UV(紫外線)分光光度計を用いる放出試験にかけた。0及び45の間の分に放出されるAlの割合を、次の表において示す。比較を助けるために、Alそれ自体で同じ試験において得られる結果を、最下行において示す(先の実験の部参照)。
【0086】
【表4】

【0087】
上記表におけるデータは、AlのHCPでの被膜が、明らかに活性原料についての放出時間を改善し、HCPが界面活性剤として作用するかのようであることを示す。HCPの効果はすべての実験量のHCPについてほぼ同じであった。
【0088】
(例5)
(マイクロカプセルの嗜好性)
マイクロカプセルMC1、MC2及びMC3を、先に説明したのと同じ者及び同じ手法を用いて実行した嗜好性の試験にかけ、200mgの活性原料を含有する量のマイクロカプセルの投与を用いた。結果を次の表において示す。
【0089】
【表5】

【0090】
【表6】

【0091】
【表7】

【0092】
上記表において示すデータは、AlのHCPでの被膜が部分的にAlの不快な風味を、特にMC2及びMC3の場合において、マスクしたことを示す。
【0093】
(例6)
(顆粒の調製)
MC1及びMC2を、脂質化合物(LC)としてセチルアルコールと共に顆粒化(granulated)し、風味-マスキングの効果を高め、及び圧縮性を改善した。造粒は、Zanchetta company(ザンケッタ社)、Lucca(ルッカ)、Italy所在からのRotolab(ロトラボ)のロータリ(回転式)造粒機において実行した。
以下の顆粒をこのやり方で調製した:
【0094】
【表8】

【0095】
各顆粒の調製を、ロータリ造粒機のジャケット温度がLCの軟化を実現させるけれども、しかしマイクロカプセルの構造の損傷を伴わないような値に設定することによって実行した。顆粒1-4の特定の場合において、ジャケット温度を50℃に設定した。
【0096】
次いで、マイクロカプセル及びセチルアルコールで、先にミルし、及び30メッシュ(600μm)の篩を介して通したものをロータリ造粒機のチャンバ(室)中に注いだ。粉体を少なくとも180秒間、混合櫂(mixing paddle)の速度を700rpmに設定して混合した。次いで、造粒機のジャケットの加熱を始め、温度を50℃に設定した。撹拌を、生成物の温度が47℃に達するまで続けた。
【0097】
造粒処理を、前記温度に到達した後、数分間中断する。
【0098】
最後に、室温に冷却した後、そのようにして得る顆粒を20メッシュ(850μm)の篩上で篩い分けた。
【0099】
顆粒の嗜好性は、更に、造粒処理を次のように実行するときに、改善される:
1)撹拌の下で、全体の量のセチルアルコールを融解するまで加熱する工程、及びしかる後、冷却する工程;
2)MC1、MC2又はMC3を、撹拌櫂を備える反応機において懸濁させる工程;
3)工程1)からのセチルアルコールを工程2)の懸濁物に添加する工程、及びしかる後、混合する工程;
4)工程3)において得られる懸濁物を冷却する工程;
5)ファーズ(fase)4において得られる懸濁物をろ過する工程。
【0100】
(例7)
(顆粒上での放出試験)
リン酸塩緩衝剤における0から30までの分での放出試験を、4種の顆粒GR1-GR4においてHPLC(高性能液体クロマトグラフィ)分析を用いて実行した。
次の表において示す結果は重量による割合である。
【0101】
【表9】

【0102】
上記結果は、セチルアルコールが、活性原料の放出の速度上で若干の遅延作用を持つことを示す。しかし、良好な結果が、顆粒GR2及びGR4を用いて得られた。
【0103】
(例8)
(顆粒の嗜好性)
顆粒GR1-GR4を、先に説明したのと同じ者及び同じ手法を用いて実行した嗜好性試験にかけ、200mgの活性原料を含有する量の顆粒の投与を用いた。結果を次の表において示す。
【0104】
【表10】

【0105】
【表11】

【0106】
【表12】

【0107】
【表13】

【0108】
上記データはGR1についての優れた嗜好性値及びGR2及びGR4についての許容可能な値を示す。
【0109】
(例9)
(経口的に分散性のタブレットの調製)
以下の重量割合の組成を持つタブレットの最初のバッチを調製した:
【0110】
【表14】

【0111】
Ac-Di-SolTMは、FMC Corporation(FMC社)、Philadelphia(フィラデルフィア)、PA(ペンシルベニア州)、USA所在によって製造及び流通されるクロスカルメロースナトリウムに基づく生成物の登録商標である。
【0112】
調製はまずAをB及びCと混合することによって実行した。
他の原材料を別々に混合し、及び14メッシュ(1400μm)の篩を介して篩い分けた。
【0113】
次いで、最初の混合物のA、B及びCを、他の原料の第2の混合物と共に混合し、良好な流れ特性を有する均質な分散物を生成した。
【0114】
最後に、そのようにして得る混合物を交互の打錠機(alternating tabletting machine)を用いて加圧した。
【0115】
2.4Kpの平均硬度及び1.4gのそれぞれの重量を持つタブレットをこのやり方において生産した。各タブレットは200mgのイブプロフェンを含有した。
【0116】
(例10)
(経口的に分散性のタブレットの調製)
以下の重量割合の組成を持つ第2のタブレットのバッチを、上記例9において説明するのと同じやり方において調製した:
【0117】
【表15】

【0118】
(例11)
(経口的に分散性のタブレットについての放出試験)
試験は、pH7.2でリン酸塩緩衝剤においてHPLC分析を用いて、例9に従い得られる6つのタブレット上で実行した。結果を次の表において示し、及びそれを各タブレットから放出される、0分から45分までの活性原料の重量割合として現す。
【0119】
【表16】

【0120】
(例12)
(経口的に分散性のタブレットの嗜好性)
嗜好性の試験を、上述のように21名の者の異なる齢及び性、喫煙者及び非-喫煙者、鎮痛薬の使用者及び未使用者の群上であるが、すべてがイブプロフェンの刺激性作用に対して感受性のある者について実行した。
【0121】
次の表において示す結果は、個人によって観察される各感覚(焼け、穿痛、刺痛、鈍重、砂質)についての合計の平均スコア(点数)であり、各投与の後の時間t0、t1、t2及びt3で得られるスコアの計から得られる。最後の行はすべての感覚についての合計平均を示す。
【0122】
【表17】

【0123】
例11及び12の結果は、例9のタブレットで得られる良好な嗜好性の結果を示し、更に一層良好に、例10のものについてであるが、その一方で、活性原料を容易に放出する特性を維持する。
【0124】
(例13)
(経口的に分散性の顆粒の調製)
以下の重量割合の組成を持つ顆粒を調製した:
【0125】
【表18】

【0126】
調製はまずAをB及びCと混合することによって実行した。
他の原材料を別々に混合し、及び14メッシュ(1400μm)の篩を介して篩い分けた。
【0127】
第1の混合物のA、B及びCを、次に第2の混合物の他の原料と共に、合計時間で10分間混合し、良好な流れ特性を有する均質な分散物を生成した。
【0128】
同じやり方における作業によって、2種の他の顆粒で、コーラ香味の代えて、グレープフルーツ香味及びオレンジ/キイチゴ香味を含有するものを調製した。そのようにして得る顆粒についての嗜好性の試験を、先に説明したのと同じ者及び同じ手法を用い、及び200mgの活性原料を含む量の顆粒を投与することによって実行し、それは、タブレットを用いて得られる嗜好性の結果よりも良好か、又はそれと匹敵する結果を示した。
【0129】
(例14)
(経口的に分散性の顆粒についての放出試験)
試験を、リン酸塩緩衝剤pH7.2で、HPLC分析を用いて、例13に従って得る顆粒について実行した。結果を次の表において示し、及びそれは、各タブレットから、0分及び15分の間に放出される活性原料の重量割合として現す。
【0130】
【表19】

【0131】
表における結果は、顆粒が活性原料を容易に放出する良好な能力を持つことを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口的に分散性の固形の薬剤の形態を調製するための方法であって、次の工程:
a. 活性原料を、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体を用いて被覆する工程、
b. 工程(a)において得られる被覆化活性原料を、活性原料の融点よりも低い融点を持つ少なくとも1種の脂質化合物と共に造粒する工程、
c. 工程(b)において得られる顆粒を、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体と共に混合する工程、及び
d) 工程(c)において得られる顆粒を経口的に分散性の固形の薬剤の形態を得るのに適切な原料と共に混合する工程
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記固形の薬剤の形態が錠剤又は顆粒から構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項1に従う方法。
【請求項3】
工程(d)の後、次の:
e) 工程d)において得られる調剤物を加圧して、経口的に分散性の錠剤を得る工程
を備えることを特徴とする、請求項1に従う方法。
【請求項4】
工程(d)の後、次の:
e) 工程d)において得られる調剤物を更に分けて、経口的に分散性の顆粒の用量単位を得る工程
を備えることを特徴とする、請求項1に従う方法。
【請求項5】
前記活性原料が非-ステロイド性の抗-炎症薬から構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項1から4までの何れか1項に従う方法。
【請求項6】
前記活性原料が、サリチル酸の誘導体、ピラゾロンの誘導体、パラ-アミノフェノールの誘導体、N-フェニルアントラニル酸の誘導体及びプロピオン酸の誘導体から構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項5に従う方法。
【請求項7】
前記活性原料が、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フェンブフェン、ピルプロフェン、オキサプロジン、インドプロフェン及びチアプロフェン酸から構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項5に従う方法。
【請求項8】
前記活性原料が、イブプロフェン、ナプロキセン及びフルルビプロフェンから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項7に従う方法。
【請求項9】
前記親水性のカルボン酸塩重合体が、カルボキシアルキルセルロース重合体、アルキルセルロースジカルボン酸のヘミエステル、及びアルケニルカルボキシ酸とアルケニルカルボキシ酸のアルキルエステルとの共重合体から構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項1から8までの何れか1項に従う方法。
【請求項10】
前記親水性のカルボン酸塩重合体が、フタル酸及び琥珀酸のヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項9に従う方法。
【請求項11】
前記脂質化合物が、脂肪酸、脂肪酸の脂肪性アルコールとのエステル、脂肪アルコール、及び脂肪酸のトリグリセリドから構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項1から10までの何れか1項に従う方法。
【請求項12】
前記脂質化合物が、12から18までの個数の炭素原子を持つ脂肪性アルコールから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項11に従う方法。
【請求項13】
高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体が、グアーガム、アラビアガム、カライアガム(karaia gum、インドゴム(karaya gum))、ジェランガム、カラゲナン、キトサン、ガラクタン、ポルグルミト(PolglumytTM(商標))及びその混合物から構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項1から12までの何れか1項に従う方法。
【請求項14】
高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体が、微結晶性セルロースとの混合物として用いられることを特徴とする、請求項13に従う方法。
【請求項15】
経口的に分散性の固形の薬剤の形態であって、少なくとも1種の親水性のカルボン酸塩重合体及び少なくとも1種の脂質化合物を用いて被覆される活性原料を備え、前記被覆化活性原料が、高分子量を持つ少なくとも1種の親水性の自然な重合体を備えるマトリクスにおいて包埋されることを特徴とする、経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項16】
前記固形の薬剤の形態が、錠剤及び顆粒から構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項15に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項17】
前記活性原料が非-ステロイド性の抗-炎症薬から構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項15又は16に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項18】
前記活性原料が、サリチル酸の誘導体、ピラゾロンの誘導体、パラ-アミノフェノールの誘導体、N-フェノールアントラニル(phenol anthranylic、phenyl anthranilic)酸の誘導体及びプロピオン酸の誘導体から構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項17に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項19】
前記活性な原材料が、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フェンブフェン、ピルプロフェン、オキサプロジン、インドプロフェン及びチアプロフェン(tiaoprofenic、tiaprofenic)酸から構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項18に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項20】
前記活性原料が、イブプロフェン、ナプロキセン及びフルルビプロフェンから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項19に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項21】
前記親水性のカルボン酸塩重合体が、カルボキシアルキルセルロース重合体、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース、ジカルボン酸のアルキルセルロースとのヘミエステル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、琥珀酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びアセトフタル酸セルロース、及びアルケニルカルボキシ酸とアルケニルカルボキシ酸のアルキルエステルとの共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸及び/又はアクリル酸塩及び/又はメタクリル酸塩の共重合体から構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項16から20までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項22】
前記親水性のカルボン酸塩重合体が、フタル酸ヒドロキシプロピルセルロースで、5から10までのモル%のヒドロキシルプロピル残基、18から24までのモル%のメトキシ残基及び21から35までのモル%のフタリル残基を含むものから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項21に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項23】
前記親水性のカルボン酸塩重合体が、ジカルボン酸のアルキルセルロースとのヘミエステルから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項21に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項24】
前記親水性のカルボン酸塩重合体が、フタル酸及び琥珀酸のヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項23に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項25】
前記活性原料の各重量部について、0.67から0.001までの重量部の前記親水性のカルボン酸塩重合体を備えることを特徴とする、請求項15から24までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項26】
前記活性原料の各重量部について、0.33から0.01までの重量部の前記親水性のカルボン酸塩重合体を備えることを特徴とする、請求項25に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項27】
前記活性原料の各重量部について、0.175から0.05までの重量部の前記親水性のカルボン酸塩重合体を備えることを特徴とする、請求項26に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項28】
前記脂質化合物が、脂肪酸、脂肪性アルコールとの脂肪酸エステル、脂肪アルコール及び脂肪酸のトリグリセリドから構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項15から27までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項29】
前記脂質化合物が、12から18までの個数の炭素原子を持つ脂肪性アルコールから構成される群より選ばれることを特徴とする、請求項28に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項30】
前記活性原料の各重量部について、0.33から0.001までの部(重量部)の前記脂質化合物を備えることを特徴とする、先行する請求項15から29までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項31】
前記活性原料の各重量部について、0.25から0.01までの部(重量部)の前記脂質化合物を備えることを特徴とする、請求項30に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項32】
前記活性な原材料の各重量部について、0.175から0.05までの部(重量部)の前記脂質化合物を備えることを特徴とする、請求項31に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項33】
高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体が、グアーガム、アラビアガム、インドガム、ゲラノガム、カラゲナン、キトサン、ガラクタン、ポルグルミト(商標)及びその混合物から構成される群より選ばれることを特徴とする、先行する請求項15から32までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項34】
前記活性原料の各重量部について、0.33から0.001までの部(重量部)の高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体を備えることを特徴とする、先行する請求項15から33までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項35】
前記活性原料の各重量部について、0.25から0.005までの部(重量部)の高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体を備えることを特徴とする、請求項34に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項36】
前記活性原料の各重量部について、0.175から0.01までの部(重量部)の高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体を備えることを特徴とする、請求項34に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項37】
高分子量を持つ前記親水性の自然な重合体が、微結晶性セルロースとの混合物において用いられることを特徴とする、先行する請求項15から36までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項38】
前記混合物が、活性原料の各重量部について、4から10までの重量部の微結晶性セルロースを含むことを特徴とする、請求項37に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項39】
前記活性原料の各重量部について、高分子量を持つ親水性の自然な重合体と微結晶性セルロースとの1.2から0.1までの部(重量部)の前記混合物を備えることを特徴とする、先行する請求項37及び38の何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項40】
前記活性原料の各重量部について、高分子量を持つ親水性の自然な重合体と微結晶性セルロースとの1.0から0.2までの部(重量部)の前記混合物を備えることを特徴とする、請求項39に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項41】
活性原料の放出が、リン酸塩緩衝剤においてpH7.2で高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて測定するとき、5分後に58%に等しいか、又はそれよりも高いことを特徴とする、先行する請求項15から40までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項42】
活性原料についての放出プロファイルが、リン酸塩緩衝剤においてpH7.2でHPLCを用いて測定するとき、次の傾向:
【表1】

を示すことを特徴とする、先行する請求項15から41までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。
【請求項43】
活性原料についての放出プロファイルが、リン酸塩緩衝剤においてpH7.2でHPLCを用いて測定するとき、次の傾向:
【表2】

を示すことを特徴とする、先行する請求項15から42までの何れか1項に従う経口的に分散性の固形の薬剤の形態。

【公表番号】特表2008−522995(P2008−522995A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544783(P2007−544783)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012859
【国際公開番号】WO2006/061142
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(592160973)アジェンデ・キミケ・リウニテ・アンジェリニ・フランチェスコ・ア・チ・エレ・ア・エフェ・ソシエタ・ペル・アチオニ (36)
【氏名又は名称原語表記】AZIENDE CHIMICHE RIUNITE ANGELINI FRANCESCO A.C.R.A.F.SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】