説明

経皮吸収促進剤及びこれを含有する皮膚外用剤

【課題】レゾルシンという特定化合物に注目し、これを配合する皮膚外用剤を皮膚に塗布した場合に、その経皮吸収を選択的に促進し(又はコントロールし)特異的に皮膚内のターゲット部位へ効率良く貯留させ、その有効濃度を高めることを目的とする、経皮吸収促進剤及び皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】本発明は溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤である。さらに本発明は、(1)溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%と(2)水を50〜97質量%と(3)イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%とを配合することを特徴とする、イソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収促進剤とこれを配合した皮膚外用剤に関する。
【0002】
さらに詳しくは、レゾルシンという特定化合物に注目し、これを配合する皮膚外用剤を皮膚に塗布した場合に、その経皮吸収を選択的に促進し(又はコントロールし)特異的に皮膚内のターゲット部位へ効率良く貯留させ、その有効濃度を高めることを目的とする、経皮吸収促進剤及びこれを配合した皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0003】
薬効成分の投与方法としては、経口投与や注射による投与等がひろく行われてきた。
しかしながら、経口投与の場合には吸収が不十分であったり、胃腸障害等の副作用をひきおこしたりする欠点があった。
また、注射による投与では吸収は速いが、医師等の専門家が必要である。
【0004】
近年、このような副作用や欠点を改善するために、経皮投与による外用製剤が開発されている。経皮投与は、下記の1〜4の理由から注目されている。
1:制御された速度で長時間投与が可能である。
2:投与が確実である。
3:肝臓での代謝をうけにくい。
4:必要に応じて投与を中止できる。
【0005】
特に、皮膚を薬効成分の作用部位とする化粧料などの皮膚外用剤の場合、薬効成分をダイレクトに皮膚に浸透可能かつ、従来のように皮膚の薬効成分通過量を高めるのではなく、有効薬剤のターゲット部位である皮膚各部位での薬剤濃度を高めるような、経皮外用剤を用いることが好ましい。
【0006】
しかしながら、そのような外用製剤においても、未だ十分な皮膚浸透効果が得られない場合が多く、満足できる状態とは言いがたい。
すなわち、皮膚の最外層は角質層と呼ばれ、本来体外からの異物の侵入を防御するバリアー層としての生理的機能を有するものであるため、ただ単に従来外用製剤に常用されてきた基剤中に薬効成分を配合しただけでは、十分に皮膚内での薬剤濃度の向上は認められない。
【0007】
これを改良するために、界面活性剤や油分等の低分子の経皮吸収促進剤を配合したり、あるいは、剤型としてパック、シートを用いることにより皮膚に対するオクルージョン効果を高めたりする方法が主なものとして挙げられる。
例えば、特許文献1には、グリセリル変性シリコーンからなる経皮吸収促進性を利用した皮膚外用剤が開示されている。
【0008】
しかしながら、低分子量の界面活性剤または油分からなる経皮吸収促進剤の使用は、角層間脂質を乱す、製剤上での制約がある、一過的性に皮膚透過量は増加するが皮膚内ターゲット部位での濃度の持続性がないため有効濃度を保つことができない、等の理由で、十分なものとは言いがたい。
また、角層間脂質に対して影響が小さい高分子経皮吸収促進剤、特に水に不溶の油性の高分子経皮吸収促進剤は、水相中の薬剤とは相互作用しにくいため、水溶性薬剤の経皮への浸透促進には不適である。
さらに、パック、シートは使用時の行動が制限される。
【0009】
したがって、皮膚浸透促進剤自体は皮膚への刺激がなく、目的とする薬剤のみを皮膚内のターゲットとする場所へ、選択的に効率よく、かつ持続的に浸透促進させることの可能な基剤の開発が望まれてきた。
【0010】
上述の観点から、本発明者等は、簡便かつ的確に被験物の皮膚浸透量を測定する方法について鋭意研究した結果、特許文献2において、皮膚内各部位へ浸透した被験物量を皮膚浸透された被験物量の指標として、in vitroまたはin vivoで関連付けることにより、簡便かつ的確に被験物の皮膚浸透量(濃度)を把握することが可能であることを見出した。そして、本評価法を用い、特許文献3において、トリグリセリン以上のポリグリセリン基を有する親水性ポリグリセリン変性シリコーンからなる経皮吸収促進剤を発明している。
【0011】
一方、レゾルシン誘導体は美白効果や抗菌効果を期待する薬剤であり、化粧料原料としてこれを配合する化粧料は特許文献4〜8に記載されている。しかしながら、特許文献4〜9には、イソブチルレゾルシンのみを選択してその経皮吸収促進特性については記載されていない。
また、溶解度パラメーターなる概念を化粧料に応用した発明として特許文献9が存在し、グリセリンが関与する経皮吸収促進剤としては、サイコサポニンの経皮吸収促進剤の発明として特許文献10が存在する。しかしながら、特許文献9及び10には、イソブチルレゾルシンの経皮吸収促進については記載されていない。
さらに、溶解度パラメータの求め方については、非特許文献1に詳述されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−118636号公報
【特許文献2】特開2003−183117号公報
【特許文献3】特開2002−71682号公報
【特許文献4】特開2008−19207号公報
【特許文献5】特開2000−38334号公報
【特許文献6】特開2000−327557号公報
【特許文献7】特開平11−269058号公報
【特許文献8】特開2008−31141号公報
【特許文献9】特開昭63−14706号公報
【特許文献10】特開平9−100241号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Robert F. Fedors, "A Method for Estimating Both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids", Polymer Engineering and Science,Vol.14(2), 1974, p.147-154
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者等は、イソブチルレゾルシンの経皮吸収促進特性について鋭意研究を進めた結果、目的とする水溶性薬剤のみを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、その有効濃度を長時間に亘り維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明は、イソブチルレゾルシンを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、その有効濃度を長時間に亘り皮膚中にて維持することが可能な経皮吸収促進剤及び皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち、本発明は、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンであることを特徴とする上記の経皮吸収促進剤を提供するものである。
【0018】
さらに、本発明は、前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする上記の経皮吸収促進剤を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする上記の経皮吸収促進剤を提供するものである。
【0020】
さらに、本発明は、
(1)溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%と、
(2)水を50〜97質量%と、
(3)イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%と
を配合することを特徴とする、イソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤を提供するものである。
【0021】
さらに、本発明は、前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンであることを特徴とする上記のイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする上記のイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤を提供するものである。
【0023】
さらに、本発明は、前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする上記のイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、イソブチルレゾルシンと水とを配合する皮膚外用剤において、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質を皮膚外用剤全量に対して2質量%以上配合することを特徴とする、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法を提供するものである。
【0025】
さらに、本発明は、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンであることを特徴とする上記の経皮吸収促進方法を提供するものである。
【0026】
また、本発明は、前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする上記の経皮吸収促進方法を提供するものである。
【0027】
さらに、本発明は、前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする上記の経皮吸収促進方法を提供するものである。
【0028】
また、本発明は、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる化粧料中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%と、水を50〜97質量%と、イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%とを配合する化粧料を皮膚上に塗布し、当該化粧料に含まれる水を皮膚上で揮発させて、水揮発後に皮膚上に残存する水溶性の液膜中において当該化粧料のイソブチルレゾルシンの飽和溶解度を低下させることにより、当該化粧料中のイソブチルレゾルシンを皮膚に分配されやすくしてイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進することを特徴とする、当該イソブチルレゾルシン配合化粧料を使用する化粧方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、イソブチルレゾルシンを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、有効濃度を長時間にわたり維持することが可能な経皮吸収促進剤及び皮膚外用剤を提供できる。
また、本発明により、イソブチルレゾルシンを効率良く使用して、その美白効果を期待する化粧料を使用する化粧方法乃至美容方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】表1の皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進効果を示すグラフである。
【図2】表2の皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進効果を示すグラフである。
【図3】表4の皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について詳述する
【0032】
1.皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤。
<イソブチルレゾルシン>
本発明に使用するイソブチルレゾルシンは下記構造式で示す4−イソブチルレゾルシンである。イソブチルレゾルシンは毒性がなく、そして感作性及び光感作性がなく、本発明において極めて優れた皮膚外用剤の原料成分となる。その皮膚外用剤中における安定性も遮光性は考慮する必要はあるものの製品として問題はなく、優れた皮膚外用剤(特に化粧料の)原料となる。
【化1】

【0033】
本発明によれば極めて効率よく皮膚に作用させることが可能となるので、その配合量は、後述するが、皮膚外用剤全量に対して0.001〜1質量%と少なくて良い。0.5質量%以下であることが好ましい。
【0034】
<溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質>
本発明のイソブチルレゾルシンからなる経皮吸収促進剤は、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質である。最も好ましくはグリセリンである。
溶解度パラメータが16未満の皮膚外用剤配合成分は、本発明の経皮吸収促進剤ではなく、イソブチルレゾルシンの経皮吸収促進効果を期待できない。
【0035】
本発明の経皮吸収促進剤は、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であっても好ましい。この場合は、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質となっている。
具体的に好ましい経皮吸収促進剤は、グリセリンと、前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上との組み合わせからなる混合物である。
【0036】
溶解度パラメータは次式で定義される。本発明においては、具体的には、"A Method for Estimating Both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids" (Polymer Engineering and Science, Vol.14(2), 1974)の計算法に基づいて定める値である。
【数1】

δ:溶解度パラメータ
ΔE:蒸発エネルギー
ΔV:分子容

混合物の溶解度パラメータは次式で定義される。
[数2]
11 δ1 + x22 δ2
δ mix = ─────────────────
11 + x22
1,x2:それぞれのモル分率
1,V2:それぞれの分子容
δ1,δ2:それぞれの溶解パラメータ
ここで、モル分率は次式により求められる。
1
───
1
1 = ─────────
12
─── + ───
12
2 = 1 − x1
1,W2:それぞれの配合質量
1,M2:それぞれの分子量
【0037】
2.本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、上述した皮膚外用剤成分を、経皮吸収促進剤として配合し、イソブチルレゾルシンの経皮吸収促進を図る皮膚外用剤である。具体的には下記構成を有する皮膚外用剤となる。本発明の皮膚外用剤は水中油型乳化組成物であることが好ましい。
(1)溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%配合すること。
(2)水を50〜97質量%配合すること。
(3)イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%を配合すること。
【0038】
上記不揮発性液状物質の配合量は皮膚外用剤全量に対して5〜15質量%が好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
【0039】
本発明の皮膚外用剤によれば、イソブチルレゾルシンを極めて効率よく皮膚に作用させることが可能となるので、その配合量は少なくても十分にイソブチルレゾルシン配合の効果を期待でき、製品設計上極めて有利となる。
好ましくは皮膚外用剤全量に対して0.01〜0.5質量%である。
【0040】
本発明の皮膚外用剤においても、上記経皮吸収促進剤はグリセリンが好ましい。また、20℃で液状の多価アルコールとの混合物であっても好ましく、多価アルコールはジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上との組み合わせであることが好ましい。
【0041】
本発明の皮膚外用剤には、上記した必須成分の他に、通常皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜配合し、目的とする製品形態に応じて常法により製造することが出来る。
【0042】
3.皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法
本方法は、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンに特化し、その経皮吸収促進方法を提供するものであり、下記の発明からなる。
(1)イソブチルレゾルシンと水とを配合する皮膚外用剤において、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質を皮膚外用剤全量に対して2質量%以上配合することを特徴とする皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法。
(2)イソブチルレゾルシンと水とを配合する皮膚外用剤において、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質を皮膚外用剤全量に対して2質量%以上配合することを特徴とする皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法において、前記不揮発性液状物質がグリセリンであることを特徴とする経皮吸収促進方法。
(3)イソブチルレゾルシンと水とを配合する皮膚外用剤において、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質を皮膚外用剤全量に対して2質量%以上配合することを特徴とする皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法において、前記不揮発性液状物質がグリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする経皮吸収促進方法。
(4)イソブチルレゾルシンと水とを配合する皮膚外用剤において、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質を皮膚外用剤全量に対して2質量%以上配合することを特徴とする皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法において、前記不揮発性液状物質がグリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であって、さらに前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする経皮吸収促進方法。
【0043】
4.イソブチルレゾルシン配合化粧料を使用する化粧方法
前記皮膚外用剤を使用する化粧料方法の発明であり、美容方法に関する発明である。この化粧方法により、効率的にイソブチルレゾルシンによる美容効果が期待できる。
具体的には、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる化粧料中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%と、水を50〜97質量%と、イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%とを配合する化粧料を皮膚上に塗布し、当該化粧料に含まれる水を皮膚上で揮発させて、水揮発後に皮膚上に残存する水溶性の液膜中において当該化粧料のイソブチルレゾルシンの飽和溶解度を低下させることにより、当該化粧料中のイソブチルレゾルシンを皮膚に分配されやすくしてイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進することを特徴とする、当該イソブチルレゾルシン配合化粧料を使用する化粧方法である。
【実施例】
【0044】
次に実施例を挙げて本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。配合量は特に断りのない限り質量%を表わす。
【0045】
<経皮吸収促進効果の評価試験>
評価試験はin vitroの形態で行った。皮膚モデルとしてミニブタの皮膚を用い、本願発明者により開発された特開2002−71682号公報記載(特許文献3)の方法により評価した。
すなわち、イソブチルレゾルシンの単純溶液(0.25質量%のイソブチルレゾルシン分を含む水溶液)、又は不揮発性液状物質を含む上記溶液を、ミニブタ皮膚に適用し、32℃で6hrインキュベートし、表皮を溶媒で抽出、単位質量当たりに含まれる薬剤量をHPLCにより定量することにより、薬剤の皮膚浸透量を比較した。
測定に使用したHPLCは、製品名SI-2、Shiseido社製である。
【0046】
「表1」及び「表2」に示す皮膚外用剤を調製し、イソブチルレゾルシンの角層・表皮への浸透量を評価した。「表1」及び「表2」の結果を図1、図2に示す。
<結果の考察>
これらの結果より、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質であるグリセリンによる経皮吸収促進効果が認められた。しかし、溶解度パラメータが16未満の1,3ブチレングリコール、(溶解度パラメータは11.6)、ジプロピレングリコール(溶解度パラメータは10.0)では経皮吸収促進効果は認められなかった。
一方、グリセリンの場合であっても、皮膚外用剤中に5質量%以上の配合量により極めて優れた皮吸収促進効果が認められた。
【0047】
【表1】









【0048】
【表2】

【0049】
「表3」に示す水溶性の不揮発性液状物質を含む皮膚外用剤を調製し、イソブチルレゾルシンの角層・表皮への浸透量を評価した。この結果より、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質であるグリセリンと多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール)との組み合わせからなる混合物に経皮吸収促進効果が認められた。
【0050】
【表3】

○;コンロトールに対して浸透促進効果あり、−;コントロールに対して浸透促進効果なし
溶解度パラメーターは、"A Method for Estimating Both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids" (Polymer Engineering and Science,Vol.14(2), 1974)の計算法に基づいて定めた値である。
【0051】
下記の実施例は、イソブチルレゾルシン(IBR)の浸透量に対する基剤中の濃度依存性(0.1質量%、0.25質量%、0.5質量%)を確認した実施例である。その結果を図3に示す。図3からIBR浸透量とその基剤中濃度は比例的な関係がある。

【表4】

【0052】
以下に本発明の経皮吸収促進剤を配合した皮膚外用剤(特に化粧料)の実施例を示す。
「透明化粧水」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
1,3−ブチレングリコール 2
グリセリン 5
POE(4.5)ラウリルエーテル酢酸塩 0.1
エタノール 10
イソブチルレゾルシン 0.1
アルブチン 2
4メトキシサリチル酸カリウム 1
酸化鉄 0.001
フェノキシエタノール 1
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.6
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリン、アルブチン、緩衝剤を溶解して水相とする。一方、エタノールにイソブチルレゾルシン、界面活性剤、香料、色剤、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、透明化粧水を得る。
【0053】
「化粧水」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ジプロピレングリコール 1
グリセリン 10
ソルビット 1
POE(20)オレイルアルコールエーテル 1
イソブチルレゾルシン 0.5
アスコルビン酸2−グルコシド 2
エタノール 15
フェノキシエタノール 0.3
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.6
酸化鉄 0.001
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水にジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビット、アスコルビン酸2−グルコシド、緩衝剤を溶解して水相とする。一方、エタノールにイソブチルレゾルシン、POE(20)オレイルアルコールエーテル、香料、色剤、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、化粧水を得る。
【0054】
「化粧水」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
エタノール 10
グリセリン 2
ジプロピレングリコール 1
ポリエチレングリコール1000 1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.15
N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.04
クエン酸ナトリウム 0.18
水酸化カリウム 0.4
イソブチルレゾルシン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
トラネキサム酸 2
アルギニン 0.1
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
フェノキシエタノール 0.2
エデト酸3ナトリウム 0.05
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 1.0
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水にグリセリン、アルカリを加えた後、アスコルビン酸2−グルコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、緩衝剤を加えて水相とする。一方、エタノールに、イソブチルレゾルシン、油溶性成分、香料、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、化粧水を得る。
【0055】
「化粧水」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
エタノール 40
グリセリン 38
ジプロピレングリコール 8
エリスリトール 0.3
ポリエチレングリコール1000 4
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 8
イソステアリン酸 0.5
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.7
ジイソステアリン酸ポリグリセリル 2
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.5
クエン酸 0.06
クエン酸ナトリウム 0.5
水酸化カリウム 0.7
イソブチルレゾルシン 1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
トリメチルグリシン 3
ヒポタウリン 0.5
油溶性甘草エキス 0.5
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2
L−メントール 1
フェノキシエタノール 0.5
エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム 0.1
エデト酸3ナトリウム 0.2
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7
香料 適 量
精製水 残 量
(製法)
精製水に保湿剤、アルカリを加えた後、アスコルビン酸2−グルコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、緩衝剤を加えて水相とする。一方、エタノールに、イソブチルレゾルシン、油溶性成分、香料、防腐剤を溶解してエタノール相とする。このエタノール相を先の水相に添加して可溶化し、化粧水を得る。
【0056】
「2層式化粧水」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
スクワラン 8
ソルビット 1
グリセリン 5
POEソルビタンテトラオレイン酸エステル 0.2
エタノール 10
イソブチルレゾルシン 0.25
グルタチオン 0.2
ヒノキチオール 0.1
フェノキシエタノール 0.3
パラオキシ安息香酸エステル 0.12
酸化鉄 0.001
オレンジ油 0.01
精製水 残 余
(製法)
スクワランに、ヒノキチオール、POEソルビタンテトラオレイン酸エステル、防腐剤、色剤、エタノールを加えて油相とする。残りの成分を混合して水相とする。油相と水相を混合して2層式化粧水を得る。
【0057】
「エモリエントローション(O/W)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ステアリン酸 2
セチルアルコール 1.5
ワセリン 2
スクワラン 3
イソブチルレゾルシンン 0.5
アルブチン 3
レチノール 0.5
トラネキサム酸 2
ユキノシタエキス 0.5
カミツレエキス 0.1
寒天 0.5
グリセリン 8
ソルビタンモノオレイン酸エステル 2
ジプロピレングリコール 4
ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレン共重合体 0.1
ポリエチレングリコール(PEG1500) 3
L−グルタミン酸 0.3
トリエタノールアミン 0.05
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.6
フェノキシエタノール 0.3
パラオキシ安息香酸エステル 0.12
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水にグリセリン、ジプロピレングリコール、イソブチルレゾルシン、アルカリを加えた後、L−グルタミン酸、緩衝剤を加えて水相とする。油溶性成分を油分に溶解し、これを水相と混合してホモミキサーで乳化し、O/W型エモリエントローションを得る。
【0058】
「エモリエントローション(O/W)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ワセリン 2
メチルポリシロキサン 2
エタノール 5
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.2
グリセリン 10
1,3−ブチレングリコール 6
ポリエチレングリコール20000 0.5
ホホバ油 3
スクワラン 2
ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1
水酸化カリウム 0.1
ピロ亜硫酸ナトリウム 0.02
メタリン酸ナトリウム 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
パントテニルエチルエーテル 0.1
イソブチルレゾルシン 0.001
アルブチン 7
L−セリン 1
酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
パラオキシ安息香酸エステル 0.1
エデト酸3ナトリウム 0.05
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.5
ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキシル酸グリセリル
0.5
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残 余
(製法)
精製水にグリセリン、1,3−ブチレングリコール、界面活性剤、薬剤、キレート剤を加え、カルボキシビニルポリマーを溶解する。残りの成分を混合、溶解し、70℃でホモミキサーを用いて乳化し、O/W型エモリエントローションを得る。
【0059】
「ローション(O/W)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ステアリルアルコール 0.5
イソブチルレゾルシン 0.05
ビタミンEアセテート 1
トラネキサム酸 5
硬化パーム油 2
流動パラフィン 3
ポリオキシエチレン変性シリコーン 0.1
グリセリン 5
ジプロピレングリコール 1
ポリエチレングリコール(PEG400) 4
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 1.6
カルボキシビニルポリマー 1.5
水酸化カリウム 0.42
フェノキシエタノール 0.3
エデト酸3ナトリウム 0.1
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水に保湿剤、界面活性剤、薬剤、キレート剤を加え、カルボキシビニルポリマーを溶解する。残りの成分を混合、溶解し、70℃でホモミキサーを用いて乳化し、O/W型ローションを得る。
【0060】
「エモリエントローション(W/O)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
マイクロクリスタリンワックス 1
ミツロウ 2
ラノリン 2
流動パラフィン 10
スクワラン 20
ビタミンAパルミテート 2
4−メトキシサリチル酸カリウム 2
グリセリン 7
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4
POE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1
フェノキシエタノール 0.3
イソブチルレゾルシン 0.25
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 2
グリシン 0.5
エリスリトール 0.5
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.6
オレンジ油 0.01
精製水 残 余
(製法)
精製水にイソブチルレゾルシン、グリセリン、水溶性成分を添加、溶解し、水相とする。油分および油溶性成分、界面活性剤を混合し70℃で溶解させ、これに先の水相を徐添しながらホモミキサーにより乳化し、W/O型エモリエントローションを得る。
【0061】
「クリーム(O/W)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
メチルポリシロキサン 2
デカメチルシクロペンタシロキサン 28
ベヘニルアルコール 0.77
バチルアルコール 1.65
ポリグリセリン変性シリコーン 5
(BIS-BUTHYLDIMETHICONE POLYGLYCERYL-3)
グリセリン 4
ジプロピレングリコール 0.5
ラベンダー油 0.04
サラシミツロウ 1.65
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
2−エチルヘキサン酸セチル 1
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.09
水酸化カリウム 0.42
イソブチルレゾルシン 0.25
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
トリメチルグリシン 0.1
L−アスコルビン酸2−グルコシド 2
酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.12
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
エデト酸3ナトリウム 0.1
精製水 残 余
(製法)
精製水にイソブチルレゾルシン、グリセリン、ジプロピレングリコール、界面活性剤、薬剤、緩衝剤を加え溶解する。残りの成分を混合、溶解し、70℃でホモミキサーを用いて乳化し、O/W型クリームを得る。
【0062】
「エモリエントクリーム(W/O)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
スクワラン 15
デカメチルシクロペンタシロキサン 5
セチルイソオクタノエート 8.5
アスコルビン酸ジパルミテート 2
マイクロクリスタリンワックス 1
有機変性スメクタイト 1.3
POEグリセロールトリイソステアリン酸エステル 0.2
シクロデキストリン 0.2
グリセリン 10
イソブチルレゾルシン 0.01
フェノキシエタノール 0.3
パラオキシ安息香酸エステル 0.2
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
油分に粘土鉱物、界面活性剤、防腐剤、香料を加え均一分散し、さらに薬剤を添加して油性ゲルを得る。精製水にイソブチルレゾルシン、グリセリンおよび他の水溶性成分を添加、溶解後、先の油相に添加、ホモミキサーにより攪拌して、W/O型エモリエントクリームを得る。
【0063】
「油性ジェル」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
流動パラフィン 6
ポリジメチルシロキサン 6
グリセロールトリ−2エチルヘキサン酸エステル 50
ソルビトール 10
ポリエチレングリコール(PEG400) 5
アシルメチルタウリン 5
POEオクチルドデシルアルコールエーテル 10
ビタミンAパルミテート 2
イソブチルレゾルシン 1
ラベンダー油 0.001
グリセリン 5
ジエチレングリコール 0.1
精製水 残 余
(製法)
精製水にイソブチルレゾルシン、グリセリン等保湿剤、アシルメチルタウリンを加え水相とする。残りの成分を混合溶解して油相とし、先の水相にホモミキサーにより攪拌しながら添加して乳化し、油性ジェルを得る。
【0064】
「モイスチャージェル」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ジプロピレングリコール 7
グリセリン 20
ポリエチレングリコール(PEG400) 8
カルボキシビニルポリマー 0.4
メチルセルロース 0.2
POE(15)オレイルアルコールエーテル 1
水酸化カリウム 0.1
イソブチルレゾルシン 0.001
アスコルビン酸 3
尿素 10
フェノキシエタノール 0.3
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.6
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水に水溶性高分子を均一溶解させた後、残りの成分を添加し、均一溶解させ、モイスチャージェルを得る。
【0065】
「モイスチャージェル」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
グリセリン 8
ジプロピレングリコール 1
エリスリトール 1
1,3−ブチレングリコール 1
ポリエチレングリコール1500 1
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール 5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
イソブチルレゾルシン 0.5
パラオキシ安息香酸エステル 0.2
エデト酸−3ナトリウム 0.01
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.7
カルボキシビニルポリマーカリウム 0.5
精製水 残 余
(製法)
精製水に水溶性高分子を均一溶解させた後、残りの成分を添加し、均一溶解させ、モイスチャージェルを得る。
【0066】
「エモリエントクリーム(W/O)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
スクワラン 15
デカメチルシクロペンタシロキサン 5
セチルイソオクタノエート 8.5
アスコルビン酸ジパルミテート 2
4−メトキシサリチル酸カリウム 2
マイクロクリスタリンワックス 1
有機変性スメクタイト 1.3
POEグリセロールトリイソステアリン酸エステル 0.2
グリセリン 10
イソブチルレゾルシン 0.1
フェノキシエタノール 0.3
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
油分に粘土鉱物、界面活性剤、防腐剤、香料を加え均一分散し、さらに薬剤を添加して油性ゲルを得る。精製水にイソブチルレゾルシン、グリセリンおよび他の水溶性成分を添加、溶解後、先の油相に添加、ホモミキサーにより攪拌して、W/O型エモリエントクリームを得る。
【0067】
「エモリエントローション(O/W)」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ステアリン酸 2
セチルアルコール 1.5
ワセリン 4
スクワラン 5
レチノール 0.8
ソルビタンモノオレイン酸エステル 2
グリセリン 5
ポリエチレングリコール(1500) 1
L−グルタミン酸Na 0.3
トリエタノールアミン 0.1
フェノキシエタノール 0.3
イソブチルレゾルシン 0.01
4−メトキシサリチル酸カリウム 1
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.09
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
精製水にイソブチルレゾルシン、グリセリン、アルカリを加えた後、L−グルタミン酸、緩衝剤を加える。油溶性成分を油分に溶解し、水相とホモミキサーで乳化し、O/W型エモリエントローションを得る。
【0068】
「マスク」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
ワセリン 6
ベヘニルアルコール 2.5
グリセリン 9
ジプロピレングリコール 2
マルチトール液 2
ポリエチレングリコール1500 12
スクワラン 11
ベヘニン酸カリウム 2
ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.1
モノイソステアリン酸N−アルキレン(20-30)グリコール 3
2−エチルヘキサン酸セチル 4
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2
酸化チタン 1
メタリン酸ナトリウム 0.1
イソブチルレゾルシン 0.25
L−アルギニン 0.1
ビタミンEアセテート 0.1
ニンジンエキス 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 0.3
ベントナイト 0.5
精製水 残 余
香料 適 量
(製法)
精製水に、イソブチルレゾルシン、グリセリン、ジプロピレングリコール、マルチトール水溶液、ポリエチレングリコール1500、ニンジンエキスを加え十分に混合する。この混合液に残りの水溶性成分を加えて攪拌し、水相とする。スクワランにワセリン及びベヘニルアルコールを混合し、これに残りの油溶性成分を加え攪拌し、さらに、水相とホモミキサーで乳化し、洗い流しタイプのマスクを得る。
【0069】
「口紅」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
二酸化チタン 4.5
赤色201号 0.5
赤色202号 2
赤色223号 0.05
セレシン 4
キャンデリラロウ 8
カルナバロウ 2
ヒマシ油 25
イソステアリン酸ジグリセリド 40
POE(25)ポリオキシプロピレン
(20)2−テトラデシルエーテル 1
イソブチルレゾルシン 0.001
レチノール 1
グリセリン 5
プロピレングリコール 1
オクチルメトキシシンナメート 0.01
α−トコフェロール 0.1
精製水 残 余
(製法)
二酸化チタン、赤色201号、202号をヒマシ油の一部に加えローラーで処理する。赤色223号をヒマシ油に溶解する。精製水、イソブチルレゾルシン、グリセリン、プロピレングリコールを80℃で均一に溶解する。他の成分を混合し、顔料部、染料部を加えホモミキサーで均一に分散した後、水相を加えホモミキサーで乳化後、型に流し込み冷却し、口紅を得る。
【0070】
「ヘアケア用エッセンス」
(配 合 成 分) 配合量(質量%)
パントテニルエチルエーテル 0.5
β−グリチルレチン酸 0.5
センブリ抽出ペースト 0.5
ニコチン酸アミド 0.5
ビタミンEアセテート 0.5
イソブチルレゾルシン 0.05
サンショウエキス 0.1
グリセリン 2
プロピレングリコール 0.2
エタノール 70
イソステアリルアルコール 5
ラウリルジメチルアミンオキサイドオレイン酸ナトリウム 0.5
硬化ヒマシ油エチレンオキシド(40モル付加物) 0.5
精製水 残 余
(製法)
エタノールに各成分を添加し、養毛、また白髪防止効果等を有するヘアケア用エッセンスを得る。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンを選択的に効率よく皮膚内のターゲット部位に浸透させ、有効濃度を長時間にわたり維持することが可能な経皮吸収促進剤、これを配合した皮膚外用剤、経皮吸収促進方法、イソブチルレゾルシンを配合した化粧料を用いた化粧方法を提供することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤。
【請求項2】
前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンであることを特徴とする請求項1記載の経皮吸収促進剤。
【請求項3】
前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする請求項1記載の経皮吸収促進剤。
【請求項4】
前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3記載の経皮吸収促進剤。
【請求項5】
(1)溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%と、
(2)水を50〜97質量%と、
(3)イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%と
を配合することを特徴とする、イソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤。
【請求項6】
前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンであることを特徴とする請求項5記載のイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤。
【請求項7】
前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする請求項5記載のイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤。
【請求項8】
前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項7記載のイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進させた皮膚外用剤。
【請求項9】
イソブチルレゾルシンと水とを配合する皮膚外用剤において、溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質を皮膚外用剤全量に対して2質量%以上配合することを特徴とする、皮膚外用剤中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進方法。
【請求項10】
溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンであることを特徴とする請求項9記載の経皮吸収促進方法。
【請求項11】
前記溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質が、グリセリンと20℃で液状の多価アルコールとの混合物であることを特徴とする請求項9記載の経皮吸収促進方法。
【請求項12】
前記多価アルコールが、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールからなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11記載の経皮吸収促進方法。
【請求項13】
溶解度パラメータが16以上の水溶性の不揮発性液状物質からなる化粧料中のイソブチルレゾルシンの経皮吸収促進剤を2〜15質量%と、水を50〜97質量%と、イソブチルレゾルシンを0.001〜1質量%とを配合する化粧料を皮膚上に塗布し、当該化粧料に含まれる水を皮膚上で揮発させて、水揮発後に皮膚上に残存する水溶性の液膜中において当該化粧料のイソブチルレゾルシンの飽和溶解度を低下させることにより、当該化粧料中のイソブチルレゾルシンを皮膚に分配されやすくしてイソブチルレゾルシンの経皮吸収性を促進することを特徴とする、当該イソブチルレゾルシン配合化粧料を使用する化粧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−1270(P2011−1270A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142870(P2009−142870)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】