説明

経路案内装置、経路案内方法及び経路案内プログラム

【課題】滞在地の滞在時間をユーザの滞在履歴に基づいて適切な滞在時間とすることにより、当該滞在時間を含む経路情報の精度を向上させる。
【解決手段】ユーザによって選択された滞在地の入力を受け、前記ユーザが滞在地に滞在した滞在時間の履歴を記憶した滞在履歴データベースを参照して前記滞在地と対応する滞在時間を取得し、前記滞在地を含む移動経路及び当該移動経路の移動にかかる移動時間を求め、前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動経路を案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出発地から到着地までの移動経路を表示して案内するものとしてナビゲーションシステムが広く普及している。
【0003】
また、走行経路を表示するだけでなく、移動に伴う時刻を管理し、例えば、何時に出発して、最初の滞在地(目的地)に何時に到着し、この滞在地から何時に出発し、次の滞在地に何時に到着し、この滞在地から何時に出発して、最終の滞在地に何時に到着するといったドライブプランを案内するナビゲーションシステムも知られている。
【0004】
このように各滞在地の滞在時間に基づき、各滞在地の出発時刻や到着時刻やを管理することにより、複数の滞在地を経由して到着地に向かうプランであっても、到着時刻を具体的に知ることができる。また、各滞在地への到着が遅れた場合に警告を表示することや、遅れを解消するために滞在地を抜かし、その次の滞在地へ向かう変更案を提示するといった工程管理を行うことが行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−82972号公報
【特許文献2】特開2008−309798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにドライブプランを作成する場合、滞在地間の移動ルートや移動にかかる時間は、地図情報や交通情報に基づいて求め、各滞在地での滞在時間は、規定の時間を用いていた。
【0007】
しかし、各滞在地での滞在時間は、ユーザによって異なるものであり、一意に決められるものではなかった。例えば、水族館を目的地とした場合、水族館が好きなユーザは、他のユーザと比べて水族館の滞在時間が長く、規定の時間よりも滞在時間が長くなりやすい。従って、水族館からの出発時刻が予定よりも遅れて、以降の予定が狂う可能性が高いといった問題が生じてしまう。
【0008】
このため、以降の予定が狂わないようにする為には、予め提案された滞在時間をユーザ自身で必要な長さに修正することになり煩わしい。また、ユーザが主観的に修正を行ったのでは適切に修正できるとは限らず、好きな水族館のために無駄に長く滞在時間を設定することや、規定の時間で充分と判断して修正せず、実際には好きな水族館に没頭して長く滞在してしまうことがあり、適切にドライブプランを提案することが出来なかった。
【0009】
そこで本発明は、滞在地の滞在時間をユーザの滞在履歴に基づいて適切な滞在時間とすることにより、当該滞在時間を含む経路情報の精度を向上させる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、経路案内装置は、
ユーザによって選択された滞在地の入力を受ける滞在地受付部と、
前記ユーザが滞在地に滞在した滞在時間の履歴を記憶した滞在履歴データベースを参照して前記滞在地と対応する滞在時間を取得する滞在時間取得部と、
前記滞在地を含む移動経路及び当該移動経路の移動にかかる移動時間を求める経路探索部と、
前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報を出力する経路情報出力部と、
を備える。
【0011】
また、前記経路案内装置において、
前記滞在地の滞在時間が前記ユーザの履歴に無い場合、
前記滞在地に滞在した履歴のある他のユーザのうち、前記ユーザと類似する類似ユーザが前記滞在地に滞在した滞在時間に基づいて前記滞在地の滞在時間を求めても良い。
【0012】
更に、前記経路案内装置において、
出発地から前記滞在地を経由して到着地に移動する場合に、
前記経路探索部が、前記出発地から前記滞在地までの移動経路の移動にかかる移動時間を前記出発地からの出発時刻に加えて当該滞在地の到着時間を求め、当該滞在地の到着時刻に当該滞在地の滞在時間を加えて当該滞在地の出発時刻を求め、当該滞在地から前記到着地までの移動経路の移動に係る移動時間を当該滞在地の出発時刻に加えて前記到着地の到着時刻を求め、
前記経路情報出力部が、前記出発地からの出発時刻、前記滞在地への到着時刻、前記滞在地からの出発時刻、及び前記到着時刻への到着時刻を含む経路情報を出力しても良い。
【0013】
前記経路案内装置において、
前記経路情報に含まれる滞在地を複数の候補地の何れかに変更する場合に、変更後の到着地への到着時刻と、変更前の到着地への到着時刻との差が最も少ない候補地に変更しても良い。
【0014】
また、上記課題を解決するため、経路案内方法は、
ユーザによって選択された滞在地の入力を受けるステップと、
前記ユーザが滞在地に滞在した滞在時間の履歴を記憶した滞在履歴データベースを参照して前記滞在地と対応する滞在時間を取得するステップと、
前記滞在地を含む移動経路及び当該移動経路の移動にかかる移動時間を求めるステップと、
前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報を出力するステップと、
をコンピュータが実行する。
【0015】
また、前記経路案内方法において、
前記滞在地の滞在時間が前記ユーザの履歴に無い場合、
前記滞在地に滞在した履歴のある他のユーザのうち、前記ユーザと類似する類似ユーザが前記滞在地に滞在した滞在時間に基づいて前記滞在地の滞在時間を求めても良い。
【0016】
更に、前記経路案内方法において、
出発地から前記滞在地を経由して到着地に移動する場合に、
前記出発地から前記滞在地までの移動経路の移動にかかる移動時間を前記出発地からの出発時刻に加えて当該滞在地の到着時間を求め、当該滞在地の到着時刻に当該滞在地の滞在時間を加えて当該滞在地の出発時刻を求め、当該滞在地から前記到着地までの移動経路の移動に係る移動時間を当該滞在地の出発時刻に加えて前記到着地の到着時刻を求め、
前記出発地からの出発時刻、前記滞在地への到着時刻、前記滞在地からの出発時刻、及び前記到着時刻への到着時刻を含む経路情報を出力しても良い。
【0017】
前記経路案内方法において、
前記経路情報に含まれる滞在地を複数の候補地の何れかに変更する場合に、変更後の到着地への到着時刻と、変更前の到着地への到着時刻との差が最も少ない候補地に変更しても良い。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明は、上記経路案内方法をコンピュータに実行させるための経路案内プログラムであっても良い。更に、この経路案内をコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録しても良い。コンピュータに、この記録媒体の動作情報管理プログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0019】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、滞在地の滞在時間をユーザの滞在履歴に基づいて適切な滞在時間とすることにより、当該滞在時間を含む経路情報の精度を向上させる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1のネットワーク構成を示す図
【図2】アプリケーションサーバのハードウェア構成を示す図
【図3】車載機のハードウェア構成を例示するブロック図
【図4】アプリケーションサーバ及び車載機の機能を示すブロック図
【図5】滞在時間を算出する機能の説明図
【図6】ドライブプランを作成する為の機能の全体を示す図
【図7】滞在時間の登録及び滞在時間統計処理の説明図
【図8】滞在時の状況分析の説明図
【図9】類似ユーザ判定処理の説明図
【図10】ドライブプラン作成処理の説明図
【図11】ドライブプランの滞在地を入れ替える処理の説明図
【図12】ユーザの滞在履歴データベースの一例を示す図
【図13】ユーザの滞在状況データベースの一例を示す図
【図14】類似ユーザグループの滞在履歴データベースの一例を示す図
【図15】類似ユーザグループの滞在状況データベースの一例を示す図
【図16】滞在時間を算出する具体例(パターン1)を示す図
【図17】滞在時間を算出する具体例(パターン2)を示す図
【図18】滞在時間を算出する具体例(パターン3)を示す図
【図19】実施形態2のネットワーク構成を示す図
【図20】ユーザ端末のハードウェア構成図
【発明を実施するための形態】
【0022】
〈事施形態1〉
《全体構成》
図1は本発明の経路案内装置としてのアプリケーションサーバ10が車載機(ユーザ端末)20と連携してサービスを提供する際のネットワーク構成を示す図である。本実施形
態のアプリケーションサーバ10は、ネットワークを介してユーザの車載機20から出発地や、滞在地、出発時刻等の入力を受け、各滞在地での滞在時間を当該ユーザの滞在履歴に基づいて求めたドライブプランを作成して、車載機20に提供する。
【0023】
また、アプリケーションサーバ10は、複数のユーザについて滞在履歴をデータベースに登録しており、当該ユーザの滞在履歴に同一の滞在場所が登録されていない場合、類似ユーザの滞在履歴に基づいて滞在時間を求める。
【0024】
更に、アプリケーションサーバ10は、ウェブサーバやアプリケーションサービスプロバイダ等の外部サーバ40から情報を収集し、各滞在地の一般的な滞在時間を蓄積しておき、前記ユーザの滞在履歴に無い滞在場所について、外部サーバ40から収集した情報に基づいて滞在時間を求める。
【0025】
図2は、アプリケーションサーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、アプリケーションサーバ10は、本体内にCPU(central processing
unit)やメインメモリ等よりなる演算処理部12、演算処理の為のデータやソフトウェ
アを記憶した記憶部(ハードディスク)13、データの入出力を行う入出力インタフェイス14、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)15等を備えたコンピュータである。
【0026】
該入出力インタフェイス14には、キーボードやポインティングデバイスといった操作部、メモリカードやDVDといった記憶媒体の読み書き装置、そして表示装置やプリンタ等の出力デバイスが適宜接続される。
CCU15は、ネットワークを介した他のコンピュータとの通信を制御する。
【0027】
記憶部13には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(経路案内プログラム等)がインストールされている。また、記憶部13は、各ユーザの滞在地毎の滞在時間を記憶した滞在履歴データベース131や状況データベース132、滞在状況データベース133、基本時間データベース134、地図情報を記憶した地図情報データベース135、POIデータベース136を格納している。
【0028】
演算処理部12は、CPUやメモリ、チップセット等を備えた所謂システムボードであり、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部13から適宜読み出して実行し、入出力インタフェイス14やCCU15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより、滞在地受付部41や、滞在時間取得部42、経路探索部43、経路情報出力部44、滞在時間登録部45、類似ユーザ判定部46、状況データ収集部47、状況分析部48、外部情報収集部49としても機能する。
この滞在地受付部41としては、ユーザによって選択された滞在地の入力を車載機20からネットワークを介して受信する。
【0029】
滞在時間取得部42としては、ユーザの滞在地毎の滞在時間を記憶した滞在履歴データベース131を参照して滞在地受付部41で受け付けた滞在地の滞在時間を取得する。
経路探索部43としては、滞在地を含む移動経路を地図情報に基づいて求めると共に、当該移動経路の移動にかかる移動時間を算出する。
【0030】
経路情報出力部44としては、前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報をドライブプランとして出力する。例えば、この経路情報を送信命令と共にCCU15へ送ることで、CCU15に経路情報を車載機20へ送信させる。
【0031】
状況データ収集部47としては、車載機20や外部サーバ40から状況データを受信し
て状況データベース132に登録する。状況データとは、天候や、気温、POIの混雑状況等と日時や曜日とを対応付けた情報である。
類似ユーザ判定部46としては、滞在履歴データベース131を参照し、滞在履歴が類似したユーザを類似ユーザとして判定する。なお、具体的な判定方法は後述する。
【0032】
状況分析部48としては、車載機20から受信した滞在時間(日時)や位置情報に基づき、状況データベース132から日時や位置が一致する状況データを索出して滞在時の状況を求める。
【0033】
滞在時間登録部45としては、車載機20から受信した滞在時間と滞在地の識別情報を当該車載機20のユーザの滞在履歴として滞在履歴データベース131に登録する。また、滞在時間登録部45は、滞在時間を統計処理して滞在時間の平均値や、最大値、最小値、最頻値、標準偏差等を求めて滞在履歴データベース131に登録する。
更に、滞在時間登録部45は、状況分析部48で求めた滞在時の状況毎に滞在時間の平均をとって滞在状況データベース133に登録する。
【0034】
外部情報収集部49としては、ウェブサーバやアプリケーションサービスプロバイダ等の外部サーバ40と接続して状況データや滞在場所の基本滞在時間を収集し、収集した状況データを状況データベース132へ登録し、収集した基本滞在時間を基本時間データベース134へ登録する。本実施形態の基本滞在時間は、各POIのホームページや、POIへ行ったユーザのブログ等で紹介されている滞在時間を収集し、平均したものである。なお、基本滞在時間は、アプリケーションサーバ10の管理者が、POIの規模等から判断して任意に設定しても良い。
【0035】
図3は車載機20のハードウェア構成を例示するブロック図である。
106は、交通情報通信システム(VICS(登録商標))に係る交通情報を受信し、受信した交通情報を出力するVICS情報受信部で、交通情報通信システムからのデータを受信する受信機(FM受信機,電波ビーコン受信機,光ビーコン受信機)、受信したデータを復号する復号回路等から構成される。107は、GPS(登録商標)衛星からのGPS信号に基づき自車位置を検出し、検出した現在地情報を出力するGPS情報受信部で、GPS信号を受信するGPS信号受信回路、受信したGPS信号に基づき自車位置を算出する演算部から構成される。
【0036】
130は、地図上に自車位置や目的地までの経路を表示したり、交差点等で音声等により右左折等の進行方向案内を行い、またVICS情報受信部106から交通情報、GPS情報受信部107から自車位置情報を入手して表示したりして、目的地までの経路案内を行うナビゲーション部で、ナビゲーションの為の各種演算処理を行うCPU、各種処理のためにデータを記憶するRAM等のメモリ等から構成され、制御部100からの制御信号に従って、各種動作が制御される。
【0037】
表示部113は、制御部100からの映像信号に基づき表示画面上に地図等の映像を表示する。また、表示部113は、表示画面と重畳させてタッチパネルを備え、操作メニュー等を表示し、ユーザがこの操作メニューに触れて選択する操作をタッチパネルで検出し、検出した操作信号を制御部100に入力する。
【0038】
115は、各種データや制御プログラムを記憶するメモリ(記憶媒体)で、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、書換え可能なフラッシュメモリ等により構成される。
【0039】
121は、他の装置との通信を行う通信ユニットで、例えば、無線LANやWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)アクセス網、携帯電話回線を介し
て通信を行う。
【0040】
100は、車載機内の各部或いは接続された外部機器からの信号、またユーザの操作に基づく各操作部からの操作指示信号等の入力を受け、それら信号に基づき車載機の各部、或いは外部機器を統括的に制御する制御部で、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成され、ROM等のメモリに記憶されたプログラムに従い動作する。制御部100は、滞在時間計測部や、プラン要求部、状況通知部としても機能する。
【0041】
滞在時間計測部としては、滞在地に滞在している時間を計測し、この滞在時間と滞在地の識別情報とを対応付けた滞在情報をアプリケーションサーバ10に送信する。例えば、ナビゲーション部130に目的地を設定し、ルート案内に従って目的地に向かい、自車位置が、設定した目的地の位置に達したと判定した場合に、タイマー或いはGPS信号に基づく現在時刻を当該目的地(滞在地)への到着時刻として記憶する。また、位置情報或いは車速情報に基づき、次に移動を開始したと判定した場合に、この時刻を当該目的地からの出発時刻とし、前記到着時刻から出発時刻までの経過時間を滞在時刻として求める。そして、ナビゲーション部130に目的地として設定していた滞在地名を識別情報とし、滞在地名と滞在時間とを対応付けてアプリケーションサーバ10へ送信する。
【0042】
また、滞在時間計測部としては、所定の時間間隔で位置情報と時刻とをメモリ115に記録しておき、所定時間以上同じ位置に停車していた場合に、この位置を滞在位置とし、この位置に停車していた時間を滞在時間としても良い。例えば、滞在地に到着してACC電源をオフし、滞在後、ACC電源をオンして出発した場合について考える。通常、停車してACC電源をオフにするまでには、多少の時間があるので、ACC電源をオフにする直前に記録された位置情報は、停車位置の位置情報となる。また、出発する際も、通常は、ACC電源をオンにしてから移動を開始するまでには多少の時間があるので、ACC電源をオンにした直後に記録された位置情報は、停車位置の位置情報となる。このように、停車位置の位置情報が複数記録され、このうち最も早い時刻と、最も遅い時刻との差が、この停車位置での滞在時間となる。この滞在時間が所定時間以上であれば、当該位置を滞在地とし、この滞在地の位置情報(識別情報)と滞在時間とを対応付けた滞在情報をアプリケーションサーバ10に送信する。
【0043】
なお、滞在情報の滞在時間と組み合わせる識別情報は、アプリケーションサーバ10で滞在地を識別できる情報であれば良く、位置情報や、滞在地名に限らず、各滞在地に割り当てたIDや、電話番号等であっても良い。また、滞在時間は、滞在時刻(日時)を含む情報でも良い。
【0044】
プラン要求部としては、ユーザがタッチパネル等の入力部を操作して滞在地を選択し、この滞在地を示す情報をアプリケーションサーバ10に通知する。なお、車載機20のメモリ115がレジャー施設や観光スポットといった所謂POI(Point Of Interest)を記
憶したPOIデータベース151を備え、ユーザがプラン要求部に対してPOIの名称や住所、ジャンル、エリア等を入力した場合に、POIデータベース151を参照して対応するPOIを一覧表示し、ユーザが選択したPOIの名称や位置情報を滞在地の情報としてアプリケーションサーバ10へ送信して滞在地を設定する。
【0045】
状況通知部としては、降雨センサによって検出した雨の有無や、照度センサによって検出した照度、温度センサによる外気温等の状況を示す情報を収集し、アプリケーションサーバ10に送信する。なお、雨の有無はワイパーのON又はOFFに基づくものでも良い。また、照度は、ライトのON又はOFFに基づくものでも良い。
【0046】
図4は、アプリケーションサーバ10及び車載機20の機能を示すブロック図である。
図4に示すように、車載機20は、制御部100により、位置情報取得や、滞在時間計測、目的地情報管理の機能を実現している。例えば制御部100は、ナビゲーション部130を制御して位置情報を取得すると共に、当該位置に滞在している時間を計測し、滞在地の位置情報と滞在時刻を対応付け、通信部121を介してアプリケーションサーバ10へ送信する。
【0047】
更に、制御部100は、ユーザの操作に応じ、POIデータベース151を参照してPOIを表示し、ユーザが選択したPOIの名称や位置情報を滞在地の情報としてアプリケーションサーバ10へ送信して目的地(滞在地)を設定する。
【0048】
図5は、車載機20の制御部100が滞在時間を算出する機能の説明図である。図5の処理は、ユーザの車両(車載機20)が、滞在地に到達した際に開始され、先ず、滞在地を判定する(ステップS11)。
例えば、ナビゲーション部130から自車位置を取得し、POIデータベース151を参照して当該自車位置にあるPOIを索出する。
【0049】
また、ナビゲーション部130に目的地(滞在地)を設定して経路案内を行っている際、自車位置が滞在地の位置に達した場合に、ナビゲーション部130に設定されている目的地を滞在地として用いる。
【0050】
次に、ユーザの車両が移動を開始した際、制御部100は、この停車から移動開始までの時間を計測して滞在時間として求める(S12)。例えば、ACCをオフしてからACCをオンするまでの時間を計測する。また、目的地設定をしてその地点に訪れた場合で、近くの駐車場に車を止めて徒歩で目的地に向かう場合、駐車場に停車してACCをオフにする前に、目的地の位置情報を携帯電話に送信する。そして、徒歩で移動中は携帯電話が測位し、目的地に到着した時点から目的地を離れるまでの滞在時間を計測し、車両に戻ってACCをオンにした後に携帯電話から車載機20へ滞在時間を送信する。
そして、制御部100は、滞在時間と滞在地の位置情報を滞在情報としてアプリケーションサーバ10へ送信する(S13)。
【0051】
一方、アプリケーションサーバ10は、演算処理部12により、図4に示すように、滞在時間統計処理、類似ユーザ分析、状況データ収集、状況データ分析・状況予測、外部情報収集、最適滞在時間算出の機能を実現している。
【0052】
また、演算処理部12は、図6に示すように、適切なドライブプランを作成するため、各ユーザの車載機20から滞在情報を受信し、滞在履歴データベース131に蓄積することで各ユーザの滞在時間を学習する(S21)。ここで、演算処理部12は、受信した滞在情報の識別情報で識別情報と対応するPOIジャンルをPOIデータベース136から求め、滞在履歴データベース131の当該POIジャンルに前記滞在情報を登録する。
【0053】
また、演算処理部12は、受信した滞在情報の日時に該当する状況を状況データベース132から求め、状況毎の滞在時間を滞在状況データベース133に登録する(S22)。
【0054】
演算処理部12は、滞在履歴データベース131を参照し、各ユーザの行動パターンや、滞在先の傾向、趣味・嗜好を学習し、これらが類似したユーザのグループに分ける(S23)。
【0055】
更に、演算処理部12は、ウェブサーバのクロールやアプリケーションサービスプロバイダからの情報の取得などにより、状況データや各POIの基本滞在時間を収集する(S
24)。
【0056】
そして、演算処理部12は、ユーザ毎の滞在履歴や、類似ユーザの滞在履歴、基本滞在時間に基づいて、各滞在地の滞在時間を求め、ドライブプランを作成して車載機20へ送信する(S25)。
【0057】
図7は、滞在時間の登録及び滞在時間統計処理(図6,S21)の説明図である。車載機20から、滞在情報を受信した場合、この識別情報で識別されるPOI毎に滞在時間を滞在履歴データベース131に登録し、滞在履歴とする(S31)。
【0058】
また、演算処理部12は、登録した滞在時間について、POI毎に最大滞在時間、最小滞在時間、平均滞在時間、滞在時間中央値、滞在時間最頻値、標準偏差値を求め、滞在履歴データベースへ登録する(S32)。
【0059】
図8は、滞在時の状況分析(図6,S22)の説明図である。車載機20から、滞在情報を受信した場合、この滞在時刻の状況データを状況データベース132から索出する(S41)。この状況データは、例えば、滞在時期(季節、曜日、時間帯など)や、天候(天気、気温、湿度、風速など)、周辺状況(景観、明るさ、紫外線量、花粉量、砂塵、騒音、臭気、足回り状態(舗装されている、ぬかるんでいる、階段がある、急勾配などの路面の状態)など)、施設情報(屋内/屋外、設備(冷暖房/トイレ/食事処の有無)、収容人数(キャパシティ)、土足可否など)、混雑状況(人/車、施設内/周辺エリア、ユーザ分布(子供、青年、高齢者)など)である。
【0060】
また、演算処理部12は、滞在状況データベース133からステップS41で求めた状
況と同じ状況の滞在時間を読み出し、受信した滞在時間を加えて平均を取り、滞在状況データベース133の滞在時間を更新する(S42)。
【0061】
図9は、類似ユーザ判定処理(図6,S23)の説明図である。周期的或いは滞在情報を受信した場合など、所定のタイミングで図9の処理が開始されると、演算処理部12は、まず、滞在履歴データベース131を参照し、各ユーザの滞在履歴に基づいて頻度の高い移動のタイミング及び滞在地を学習する(S51)。例えば、移動タイミング及び滞在地を頻度の高い順に抽出する。移動のタイミングとしては、日にちや、曜日、時間等のタイミング毎に移動の頻度を求め、上位のタイミングを抽出する。例えば、移動頻度の高い曜日の1番目が土曜日、2番目が日曜日、移動(出発)の頻度の高い時間の1番目が9:00〜10:00、2番目が7:00〜8:00、3番目が11:00〜12:00、移動(到着)の頻度の高い時間
の1番目が17:00〜18:00、2番目が21:00〜22:00、3番目が23:00〜24:00などのようにユーザごとに頻度の高い順に所定数抽出する。
【0062】
同様に、移動履歴に基づき滞在した頻度の高い滞在地を抽出する。例えば、頻度の高い滞在地の1番目がO水族館、2番目がT遊園地、3番目がA寺などのように、ユーザごとに頻度の高い順に所定数抽出する。
【0063】
次に、演算処理部12は、移動先を基に、良く行く場所(滞在地)の傾向(POIジャンル)を学習する(S52)。例えば、滞在した頻度の高い滞在地のPOIジャンルを所定数抽出し、1番目が水族館、2番目が遊園地、3番目が寺院のように求める。
【0064】
また、演算処理部12は、ステップS52で求めた頻度の高いPOIジャンルから、ユーザの趣味や嗜好を推測する(S53)。例えば、水族館や釣り具店へ行く頻度の高いユーザは、海に対する嗜好が高い、遊園地やキャラクターショップへ行く頻度の高いユーザは、テーマパークに対する嗜好が高い、CDショップや楽器店に行く頻度の高いユーザは
音楽鑑賞を趣味とするなど、頻度の高いPOIジャンルの組み合わせと、趣味・嗜好との対応関係を予め定義しておき、ステップS52で求めた頻度の高いPOIジャンルと対応する趣味・嗜好を当該ユーザの趣味・嗜好として推定し、記憶部13に登録する。
そして演算処理部12は、同じ趣味や嗜好を有するユーザを抽出し、趣味や嗜好毎にユーザをグループ分けして記憶部に記憶する(S54)。
【0065】
図10は、ドライブプラン作成処理(図6,S25)の説明図である。
車載機20からネットワークを介してドライブプランの作成要求を受信し、図10の処理を開始すると、アプリケーションサーバ10の演算処理部12は、先ず、ユーザに対して出発地、滞在地、到着地、出発時刻の入力を促し、入力された出発地、滞在地、到着地、出発時刻を車載機20から受信する(S61)。
【0066】
次に演算処理部12は、入力された出発地、滞在地、到着地に基づき地図情報データベース135を参照して、出発地から滞在地までの移動ルートと移動時間、滞在地が複数設定されている場合には滞在地間の移動ルートと移動時間、最終の滞在地から到着地までの移動ルートと移動時間を求める。なお、到着地を滞在地の一つとし、最終の滞在地を到着地と称することとしても良い。そして、出発時刻に各滞在地までの移動時間を加えて各滞在地への到着時刻を算出し、各滞在地への到着時刻における状況を状況データベース132から求める。例えば、状況データベース132を参照して出発時刻の天気予報を読み出すことや、先週の同じ曜日且つ同じ時刻の混雑状況を読み出すこと等により、滞在地の状況を予測する(S62)。
【0067】
次に演算処理部12は、ステップS61でドライブプランの作成要求をしたユーザ(以下当該ユーザ)の滞在履歴から同じ滞在地(POI)を訪れた際の滞在時間を抽出する(S63)。なお、同じPOIの滞在時間が滞在履歴に無い場合、即ち訪れたことが無い場合、滞在状況データベース133を参照して、同じPOIジャンルのうち、ステップS62で求めた状況と適合する状況の滞在時間を抽出する。
【0068】
また、演算処理部12は、当該ユーザと類似する類似ユーザグループの滞在履歴データベースから同じPOIを訪れた際の滞在時間を抽出する(S64)。なお、同じPOIの滞在時間が滞在履歴に無い場合、即ち訪れたことが無い場合、当該類似ユーザグループの滞在状況データベースを参照して、同じPOIジャンルのうち、ステップS62で求めた状況と適合する状況の滞在時間を抽出する。
また、演算処理部12は、基本時間データベース134から同じPOIの滞在時間を抽出する(S65)。
【0069】
そして、演算処理部12は、ステップS63,S64,S65で求めた滞在時間に基づき、適切な滞在時間を求める(S66)。例えば、ステップS63の結果をIの結果、ステップS64の結果をIIの結果、ステップS65の結果をIIIの結果、としたとき、
パターン1:当該ユーザが過去に訪れたことのある場所の場合、
Iの結果>IIの結果>IIIの結果の順で重み付けを行う。
パターン2:当該ユーザが過去に訪れたことが無く、類似ユーザが訪れたことのある場所の場合、
IIの結果>Iの結果>IIIの結果の順で重み付けを行う。
パターン3:当該ユーザが過去に訪れたことのある場所の場合、
IIIの結果>Iの結果>IIの結果の順で重み付けを行う。
【0070】
この重み付けを行った場合の滞在時間の算出手法としては、例えば、パターン1の場合、Iの結果とIIの結果との差に所定係数(例えば0.5)を乗じてIの結果に加え、Iの結果とIIIの結果との差に所定係数(例えば0.1)を乗じて更に加える。即ち、Iの結
果が1時間、IIの結果が50分、IIIの結果が1時間20分の場合に、Iの結果とIIの結
果との差が−10分であるので、所定係数0.5を乗じて−5分をIの結果1時間に加えて55分とし、また、Iの結果とIIIの結果との差が20分であるので、所定係数0.1
を乗じて2分を更に加えて適切な滞在時間を57分とする。
【0071】
同様に、パターン2の場合、IIの結果とIの結果との差に所定係数(例えば0.5)を乗じてIIの結果に加え、IIの結果とIIIの結果との差に所定係数(例えば0.1)を乗じ
て更に加える。
【0072】
また、パターン3の場合、IIIの結果とIの結果との差に所定係数(例えば0.5)を
乗じてIIIの結果に加え、IIIの結果とIIの結果との差に所定係数(例えば0.1)を乗じて更に加える。
【0073】
なお、適切な滞在時間の算出手法としては、重み付けを行うものに限らず、パターン1:当該ユーザが過去に訪れたことのある場所の場合にIの結果を選択し、パターン2:当該ユーザが過去に訪れたことが無く、類似ユーザが訪れたことのある場所の場合にIIの結果を選択し、パターン3:当該ユーザが過去に訪れたことのある場所の場合にIIIの結果
を選択して適切な滞在時間としても良い。
【0074】
次に、演算処理部12は、ステップS62で求めた各滞在地の出発時刻に、各滞在地の適切な滞在時間を加え、各滞在地の出発時刻を求める。また、最終の滞在地の出発時刻に到着地までの移動時間を加えて到着時刻を求める。更に、上記出発地から各滞在地を経由して到着地までの移動ルートと、各滞在地への到着時刻や、各滞在地からの出発時刻、到着地への最終的な到着時刻を含むドライブプランを作成する(S67)。
そして、演算処理部12は、作成したドライブプランを当該ユーザの車載機20へ送信する(S68)。
【0075】
このようにユーザの滞在履歴に基づいて、ユーザの趣味や嗜好に沿った適切な滞在時間を用いてドライブプランを作成できるので、作成したドライブプランにおける各滞在地の滞在時間と、実際の各滞在地での滞在時間との誤差が少なくなり、精度の高いドライブプランを提供できる。
【0076】
なお、図10は、新規にドライブプランを作成する例として示したが、既に作成されたドライブプランに滞在地を追加する場合も図10と同様の処理で行うことができる。例えば、図10のステップS61で追加する滞在地の情報を受信し、この滞在地について以降の処理で滞在時間を求め、ステップS67で既に設定されているドライブプランに前記滞在地を追加し、この滞在地での滞在時間を用いて以降の予定を修正すれば良い。
【0077】
また、図11は、ドライブプランの滞在地を入れ替える処理の説明図である。
車載機20からネットワークを介してドライブプランの変更要求を受信し、図11の処理を開始すると、アプリケーションサーバ10の演算処理部12は、先ず、ユーザに対して変更する滞在地の選択を促し、何れの滞在地が選択されたのかを示す情報を車載機20から受信する(S71)。なお、ユーザからの要求に応じて図11の変更処理を開始するものに限らず、渋滞等によってドライブプランに遅れが生じて、この遅れが所定時間以上となった場合に、自動的に車載機20の制御部100が、ユーザに対して変更を促し、アプリケーションサーバ10へ変更要求を行うものでも良い。
【0078】
演算処理部12は、POIデータベースを参照し、選択された滞在地と対応するPOIジャンルを求め(S72)、このPOIジャンルに属し、ルート周辺に位置するPOIを抽出する(S73)。例えば、選択された滞在地と最も近いPOIを一つ抽出する。
【0079】
次に演算処理部12は、抽出したPOIの現在時刻における状況を状況データベース132から求める(S74)。なお、抽出したPOIへの到達予定時刻を求めて、到達予定時刻における状況を求めても良い。
【0080】
また、演算処理部12は、当該ユーザの滞在履歴から同じPOIを訪れた際の滞在時間を抽出する(S75)。なお、同じPOIの滞在時間が滞在履歴に無い場合、即ち訪れたことが無い場合、同じPOIジャンルの施設を訪れた際の滞在時間を抽出する。
【0081】
また、演算処理部12は、当該ユーザと類似する類似ユーザの滞在履歴から同じPOIを訪れた際の滞在時間を抽出する(S76)。なお、同じPOIの滞在時間が滞在履歴に無い場合、即ち訪れたことが無い場合、同じPOIジャンルの施設を訪れた際の滞在時間を抽出する。
また、演算処理部12は、基本時間データベース134から同じPOIの滞在時間を抽出する(S77)。
そして、演算処理部12は、ステップS75,S76,S77で求めた滞在時間に基づき、適切な滞在時間を求める(S78)。
【0082】
次に、演算処理部12は、選択された滞在地を抽出した滞在地に代えて、移動経路を再探索し、S78で求めた滞在時間を用いて各滞在地の到着時間、到着地への到着時間を再計算して、ドライブプランを修正し(S79)、車載機20へ送信する(S80)。
【0083】
この修正されたドライブプランを受信した車載機20の制御部100は、修正されたドライブプランを表示部113表示すると共に、「変更されたドライブプランを採用しますか?」のように、変更の確認を促すメッセージを表示或いは音声出力し、採用された場合には、修正を反映させ、修正されたドライブプランに基づいて以降の案内を行う。一方、変更が採用されなかった場合には、修正されたドライブプランを破棄する。
【0084】
なお、上記の例では、ステップS73で、抽出するPOIを一つとしたが、これに限らず、複数のPOI(候補地)を選択し、この複数のPOIについて、夫々以降の処理S74〜S79を行い、複数の修正候補を作成して、車載機20へ送信する(S80)構成としても良い。また、複数の修正候補のうち、抽出された滞在地の次の滞在地或いは到着地への到着時間が修正前と比べて最も少ないものを採用しても良い。
【0085】
このように、修正を行う場合にもユーザの滞在履歴に基づいて、ユーザの趣味や嗜好に沿った適切な滞在時間を用いてドライブプランを修正できるので、修正したドライブプランにおける各滞在地の滞在時間と、実際の各滞在地での滞在時間との誤差が少なくなり、精度の高いドライブプランを提供できる。
また、複数の候補地の何れかに変更する場合に、変更後の到着地への到着時刻と、変更前の到着地への到着時刻との差が最も少ない候補地に変更することにより、滞在地の入れ替えることにより、以降の予定に与える影響を最小限に抑えられる候補地を容易に選択できる。
【0086】
次に図12〜図18を用い、滞在時間の算出手法について具体的に説明する。
図12は、ユーザの滞在履歴データベースの一例を示す図である。図12に示すように、各ユーザの滞在履歴データベース131は、POIジャンルに複数のPOIの識別情報(図12の例ではPOIの名称)が対応付けられ、各POIについて、滞在時間の最大値(MAX)、最小値(MIN)、平均値(AVE)が登録されている。例えば図12の例では、POIジャンルとして寺院と水族館が登録されており、POIジャンルの寺院には、A寺、B寺、C寺が登録され、A寺の滞在時間の最大値が1時間、最小値が30分、平
均値が50分となっている。
【0087】
図13は、ユーザの滞在状況データベースの一例を示す図である。図13に示すように、POIジャンル毎に、滞在時期(季節、曜日、時間帯等や、天候(晴れ、雨など)、周辺状況(景観、明るさ等)、施設情報(屋内/屋外、駐車場の有無)、混雑状況(人/車)といった状況が登録され、各状況について、滞在時間の平均値が登録されている。
【0088】
図14は、類似ユーザグループの滞在履歴データベースの一例を示す図である。類似ユーザグループの滞在履歴データベースは、図9に示した類似ユーザ判定処理によってグループ分けしたユーザグループ毎に、当該ユーザグループに属する全ユーザの滞在履歴を合わせたものである。なお、データの項目は、図12の個人ユーザの滞在履歴データベースと同じである。
【0089】
図15は、類似ユーザグループの滞在状況データベースの一例を示す図である。類似ユーザグループの滞在状況データベースは、図9に示した類似ユーザ判定処理によってグループ分けしたユーザグループ毎に、当該ユーザグループに属する全ユーザの滞在状況を合わせたものである。なお、データの項目は、図13の個人ユーザの滞在状況データベースと同じである。
(パターン1)
これらのデータベースを用い、ドライブプランの作成を要求したユーザ(以下当該ユーザ)が過去に訪れたことのあるA寺の滞在時間を求める場合について説明する。
【0090】
図10に示したドライブプラン作成処理のステップS63において、演算処理部12は、図16に示すように当該ユーザの滞在履歴データベース131から同じPOIであるA寺の滞在時間(図16の例では平均値)を読み出し、また、滞在状況データベース133を参照し、A寺が属するPOIジャンルである寺院の中から、ステップS62で求めた状況と適合する状況の滞在時間を読み出す。なお、ステップS62で求めた状況と滞在状況データベース133の状況との適合の判断は、完全に一致した場合だけでなく、一部の項目が一致した場合に適合したと判断しても良い。例えば滞在状況データベース133に登録された状況のうち、ステップS62で求めた状況と一致する項目が最も多いものを適合した状況と判定しても良い。
【0091】
そして、演算処理部12は、滞在履歴データベース131から読み出した滞在時間50分と滞在状況データベース133から読み出した滞在時間45分との平均をとり、Iの結果として滞在時間47.5分を求める。
【0092】
また、図10のステップS66において、演算処理部12は、A寺が当該ユーザの滞在履歴データベース131に含まれるのでパターン1と判断し、Iの結果である47.5分を適切な滞在時間として採用する。これに限らず、演算処理部12は、パターン1と判断した場合、前述のように、Iの結果に重み付けしたIIの結果と、重み付けしたIIIの結果
を加えて適切な滞在時間を求めても良い。
(パターン2)
【0093】
次に、ドライブプランの作成を要求したユーザ(以下当該ユーザ)は過去に訪れたことが無いが、類似ユーザは訪れたことのあるPOI(D寺)の滞在時間を求める例について説明する。
【0094】
本例では、図10のステップS63において、当該ユーザの滞在履歴データベース131にD寺が含まれていないので、演算処理部12は、図17(B)に示すように滞在状況データベース133を参照し、D寺が属するPOIジャンルである寺院の中から、ステッ
プS62で求めた状況と適合する状況の滞在時間を読み出し、Iの結果とする。
【0095】
また、演算処理部12は、図10のステップS64において、類似ユーザの滞在履歴データベースからD寺と対応する滞在時間(図17(A)の例では、平均値)を読み出し、IIの結果とする。
【0096】
更に、演算処理部12は、図10のステップS65において、基本時間データベース134からD寺と対応する滞在時間(図17(C)の例では、平均値)を読み出し、IIIの
結果とする。
【0097】
そして、演算処理部12は、図10のステップS66において、D寺が当該ユーザの滞在履歴データベース131に無く、類似ユーザの滞在履歴データベースにあるのでパターン2と判断し、例えばIIの結果である1時間30分とIの結果である45分を採用し、平均をとって適切な滞在時間を1時間7.5分とする。これに限らず、演算処理部12は、パターン2と判断した場合、前述のように、IIの結果に重み付けしたIの結果と、重み付けしたIIIの結果を加えて適切な滞在時間を求めても良い。例えば、IIの結果とIの結果
との差に所定係数(例えば0.5)を乗じてIIの結果に加え、IIの結果とIIIの結果との
差に所定係数(例えば0.1)を乗じて更に加える。即ち、IIの結果が1時間30分、Iの結果が45分、IIIの結果が1時間の場合、IIの結果とIの結果との差が−45分であ
るので、所定係数0.5を乗じた−22.5分をIIの結果1時間30分に加えて1時間7.5分とし、また、IIの結果とIIIの結果との差が−30分であるので、所定係数0.1
を乗じた−3分を更に加えて適切な滞在時間を1時間4.5分とする。
(パターン3)
次に、ドライブプランの作成を要求したユーザ(以下当該ユーザ)も類似ユーザも訪れたことが無いPOI(Z水族館)の滞在時間を求める例について説明する。
【0098】
本例では、図10のステップS63において、当該ユーザの滞在履歴データベース131にZ水族館が含まれていないので、演算処理部12は、図18(A)に示すように滞在状況データベース133を参照し、Z水族館が属するPOIジャンルである水族館の中から、ステップS62で求めた状況と適合する状況の滞在時間を読み出し、Iの結果とする。
【0099】
また、演算処理部12は、図10のステップS64において、図18(B)に示すように類似ユーザの滞在状況データベースを参照し、Z水族館が属するPOIジャンルである水族館の中から、ステップS62で求めた状況と適合する状況の滞在時間を読み出し、IIの結果とする。
【0100】
更に、演算処理部12は、図10のステップS65において、基本時間データベース134からZ水族館と対応する滞在時間(図18(C)の例では、平均値)を読み出し、IIIの結果とする。
【0101】
そして、演算処理部12は、図10のステップS66において、Z水族館が当該ユーザの滞在履歴データベース131に無く、且つ類似ユーザの滞在履歴データベースにも無いのでパターン3と判断し、IIIの結果に重み付けしたIの結果と、重み付けしたIIの結果
を加えて適切な滞在時間を求めても良い。例えば、IIIの結果とIの結果との差に所定係
数(例えば0.5)を乗じてIIIの結果に加え、IIIの結果とIIの結果との差に所定係数(例えば0.1)を乗じて更に加える。即ち、IIIの結果が1時間、Iの結果が1時間50
分、IIの結果が1時間40分の場合、IIIの結果とIの結果との差が50分であるので、
所定係数0.5を乗じた25分をIIIの結果1時間に加えて1時間25分とし、また、IIIの結果とIIの結果との差が40分であるので、所定係数0.1を乗じた4分を更に加えて
適切な滞在時間を1時間29分とする。また、これに限らず、I〜IIIの結果の平均をと
って適切な滞在時間としても良い。
【0102】
以上のように本実施形態によれば、ユーザの滞在履歴に基づいて、各滞在地の滞在時間を求めるので、ユーザの趣味や嗜好に沿った適切な滞在時間を設定でき、設定した滞在時間と実際の滞在時間との誤差が少なくなり、精度の高いドライブプランを提供できる。
【0103】
また、ユーザが過去に行ったことの無い滞在地についても、ユーザの滞在履歴に基づいて嗜好の似ている類似ユーザを判定し、類似ユーザの滞在履歴に基づいて滞在時間を求めることにより、適切な滞在時間を設定できる。
〈実施形態2〉
図19は、実施形態2のネットワーク構成を示す図、図20はユーザ端末30のハードウェア構成図である。
【0104】
前述の実施形態1では、ユーザ端末として車載機20を用いた例を示したが、これに限らず、ユーザ端末は、パーソナルコンピュータや、スマートフォン、携帯電話、ポータブルゲーム機、ブックリーダ、タブレット型コンピュータ等であっても良い。また、これらの組み合わせでも良く、例えば、ドライブプランを作成する際の出発地や滞在地の入力はパーソナルコンピュータで行い、アプリケーションサーバ10からドライブプランを受信してユーザに対する経路情報の表示を車載機20で行っても良い。なお、その他の構成は前述の実施形態1と同じであり、再度の説明は省略する。
【0105】
図20に示すように、ユーザ端末30は、本体内にCPU(central processing unit
)やメインメモリ等よりなる演算処理部32、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(SSD)33、音声処理部34、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)35、入力制御部36、出力制御部37、タイマー38、位置検出部39を備えたコンピュータである。本実施形態2のユーザ端末30は、携帯電話やスマートフォンなどの携帯可能な装置である。
【0106】
音声処理部34は、通話用のスピーカ及びマイクと接続され、マイクから入力された音声をエンコードして音声データとし、CCU35を介して送信させると共に、CCU35を介して受信した音声データをデコードし、デコードした音声を通話用のスピーカから出力させる。
CCU35は、携帯電話回線やインターネット等のネットワークを介して他のコンピュータと接続し、通信の制御を行う。
記憶部33には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。
【0107】
入力制御部36には、キーボードや、操作ボタン、ダイヤル、ポインティングデバイス、タッチパネル等の操作部が接続され、ユーザが当該操作部を操作することによってユーザからの情報の入力を受け、この情報を演算処理部32に入力する。また、入力制御部36には、記憶媒体の読み取り装置(メモリカードリーダ)が接続され、当該記憶媒体から情報を読み出して演算処理部32等へ入力する。
【0108】
出力制御部37には、スピーカ、表示部、LED、バイブレータ等の出力部が接続され、ペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトがインストールされている。
タイマー38は、クロック信号をカウントすることにより時間や時刻を求めて演算処理部32等に提供する。
位置検出部39は、複数のGPS衛星からの信号を受信し、当該信号に基づいて位置情
報、例えば緯度・経度を求める。
【0109】
演算処理部32は、CPUやメモリ等を備え、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部33から適宜読み出して実行し、滞在時間計測部や、プラン要求部、経路情報出力部としても機能する。
【0110】
滞在時間計測部としては、滞在地に滞在している時間を計測し、この滞在時間と滞在地の識別情報とを対応付けた滞在情報をアプリケーションサーバ10に送信する。
【0111】
また、滞在時間計測部としては、所定の時間間隔で位置情報と時刻とをメモリ115に記録しておき、所定時間以上同じ位置に停車していた場合に、この位置を滞在位置とし、この位置に停車していた時間を滞在時間としても良い。
【0112】
プラン要求部としては、ユーザがタッチパネル等の入力部を操作し、ドライブプラン(経路情報)の作成を要求し、ドライブプランを作成するための出発地や滞在地、到着地、出発時間又は到着時間等をアプリケーションサーバ10に通知する。
【0113】
また、経路情報出力部としては、アプリケーションサーバ10から受信したドライブプラン(経路情報)を出力してユーザに示す。例えば経路や到着時刻等の情報を表示部に表示させることや、出力制御部37を介して音声メッセージを出力させることを行う。なお、アプリケーションサーバ10が経路情報をHTMLやXMLといったマークアップランゲージ等で記述された所定形式のデータ、所謂ウェブページで提供する場合、経路情報出力部はウェブブラウザといった一般的なソフトウェアで実現しても良い。また、プラン要求部についても、アプリケーションサーバ10が滞在地等の入力画面や、入力に対する確認画面等をウェブページで提供する構成であれば、ウェブブラウザで実現しても良い。
【0114】
このように、本実施形態2のユーザ端末30は、前述の実施形態1の車載機20と略同じ機能を有しており、ユーザが車両等で移動する際にユーザ端末30を携帯することで、滞在情報をアプリケーションサーバ10へ送信する機能や、ドライブプランの作成を要求する機能、アプリケーションサーバ10からドライブプランを受信してユーザに提供する機能を実施形態1と同様に実施できる。
【0115】
なお、必ずしもユーザ端末30が滞在時間計測部、プラン要求部、および経路情報出力部の機能を全て有している必要はなく、滞在時間計測部を省略しても良い。この場合、車載機20が滞在時間計測部を備え、滞在情報をアプリケーションサーバ10へ送信すれば良い。
【0116】
また、ドライブプランを作成する際の出発地や滞在地の入力はユーザ端末30で行い、ユーザに対するドライブプランの表示は車載機20で行っても良い。例えば、ユーザ端末30からアプリケーションサーバ10にアクセスし、ウェブ上でドライブプランの作成或いは修正の要求と共に、出発地、滞在地、到着地、出発時間の入力を行い、アプリケーションサーバが図10,図11のようにドライブプランの作成・修正を行う。
【0117】
そして、この作成・修正されたドライブプランをユーザに提示し、ユーザが了解した場合にドライブプランの送信をユーザ端末30からアプリケーションサーバ10に通知して、アプリケーションサーバ10から車載機20へドライブプランを送信する。或いは、アプリケーションサーバ10からユーザ端末30へドライブプランを送信して、ユーザ端末30から車載機20へ入力する。これにより車載機20は、適切な滞在時間を用いて作成されたドライブプランに基づいて経路案内を行うことができる。
以上のように、本実施形態2の構成においても、前述の実施形態1と同様に、精度の高
いドライブプランを提供できる。
【符号の説明】
【0118】
10 アプリケーションサーバ
20 車載機
30 ユーザ端末
40 外部サーバ
131 滞在履歴データベース
132 状況データベース
133 滞在状況データベース
134 基本時間データベース
151 POIデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって選択された滞在地の入力を受ける滞在地受付部と、
前記ユーザが滞在地に滞在した滞在時間の履歴を記憶した滞在履歴データベースを参照して前記滞在地と対応する滞在時間を取得する滞在時間取得部と、
前記滞在地を含む移動経路及び当該移動経路の移動にかかる移動時間を求める経路探索部と、
前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報を出力する経路情報出力部と、
を備える経路案内装置。
【請求項2】
前記滞在地の滞在時間が前記ユーザの履歴に無い場合、
前記滞在地に滞在した履歴のある他のユーザのうち、前記ユーザと類似する類似ユーザが前記滞在地に滞在した滞在時間に基づいて前記滞在地の滞在時間を求める請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
出発地から前記滞在地を経由して到着地に移動する場合に、
前記経路探索部が、前記出発地から前記滞在地までの移動経路の移動にかかる移動時間を前記出発地からの出発時刻に加えて当該滞在地の到着時間を求め、当該滞在地の到着時刻に当該滞在地の滞在時間を加えて当該滞在地の出発時刻を求め、当該滞在地から前記到着地までの移動経路の移動に係る移動時間を当該滞在地の出発時刻に加えて前記到着地の到着時刻を求め、
前記経路情報出力部が、前記出発地からの出発時刻、前記滞在地への到着時刻、前記滞在地からの出発時刻、及び前記到着時刻への到着時刻を含む経路情報を出力する請求項1又は2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記経路情報に含まれる滞在地を複数の候補地の何れかに変更する場合に、変更後の到着地への到着時刻と、変更前の到着地への到着時刻との差が最も少ない候補地に変更する請求項3に記載の経路案内装置。
【請求項5】
ユーザによって選択された滞在地の入力を受けるステップと、
前記ユーザが滞在地に滞在した滞在時間の履歴を記憶した滞在履歴データベースを参照して前記滞在地と対応する滞在時間を取得するステップと、
前記滞在地を含む移動経路及び当該移動経路の移動にかかる移動時間を求めるステップと、
前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報を出力するステップと、
をコンピュータが実行する経路案内方法。
【請求項6】
ユーザによって選択された滞在地の入力を受けるステップと、
前記ユーザが滞在地に滞在した滞在時間の履歴を記憶した滞在履歴データベースを参照して前記滞在地と対応する滞在時間を取得するステップと、
前記滞在地を含む移動経路及び当該移動経路の移動にかかる移動時間を求めるステップと、
前記滞在時間と移動時間と移動経路を含む経路情報を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるための経路案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−247227(P2012−247227A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117306(P2011−117306)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】