説明

結晶成長装置および製造方法

【課題】 アルカリ金属の外部への蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置を提供する。
【解決手段】 反応容器10は、金属Naと金属Gaとの混合融液180を保持する。外部反応容器20は、反応容器10の周囲を覆う。配管30は、反応容器10の下側において外部反応容器20に連結される。ポーラスプラグ40は、反応容器10と外部反応容器20との連結部よりも下側の配管30内に固定される。ガスボンベ120は、圧力調整器110を介して窒素ガスを配管30へ供給する。ポーラスプラグ40および金属融液170は、混合融液180から蒸発した金属Na蒸気の配管30内への拡散を防止するとともに、空間13,21内の圧力と空間31内の圧力との差圧によって配管30内の窒素ガスを空間13,21内へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、III族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置およびIII族窒化物結晶の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、紫外、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN(III族窒化物半導体)系デバイスは、その殆どがサファイアおよびシリコンカーバイド(SiC)を基板とし、その基板上にMOCVD法(有機金属化学気相成長法)およびMBE法(分子線結晶成長法)等を用いて作製されている。
【0003】
このように、サファイアおよびシリコンカーバイドを基板として用いた場合、熱膨張係数および格子定数が基板とIII族窒化物半導体とでそれぞれ大きく異なっているため、III族窒化物半導体内に多くの結晶欠陥が含まれることとなる。この結晶欠陥は、デバイス特性を低下させ、たとえば、発光デバイスにおいては、寿命が短い、動作電力が大きい、等の欠点に直接関係する。
【0004】
また、サファイア基板は、絶縁体であるため、従来の発光デバイスのように基板側から電極を取り出すことが不可能であった。これにより、III族窒化物半導体側から電極を取り出すことが必要となる。その結果、デバイスの面積が大きくなり、高コスト化を招くという不都合があった。そして、デバイスの面積が大きくなると、サファイア基板とIII族窒化物半導体という異種材料の組み合わせに伴う基板の反りという新たな問題が発生する。
【0005】
さらに、サファイア基板上に作製されたIII族窒化物半導体デバイスは、劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)において必要とされる共振器端面を得ることは、容易ではない。このため、現在は、ドライエッチング、またはサファイア基板を厚さ100μm以下まで研磨した後に劈開に近い形に分離し、共振器端面の形成を行なっている。したがって、従来のLDのように、共振器端面の形成とチップ分離とを単一工程で行なうことが困難であり、工程の複雑化によるコスト高を招いていた。
【0006】
これらの問題を解決するため、サファイア基板上にIII族窒化物半導体を選択的に横方向に成長させるなどの工夫をし、結晶欠陥を低減させることが提案された。これにより、結晶欠陥を低減させることが可能となったが、サファイア基板の絶縁性および上述した劈開の困難性に関する問題は、依然として残っている。
【0007】
こうした問題を解決するためには、基板上に結晶成長する材料と同一である窒化ガリウム(GaN)基板が最適である。そのため、気相成長および融液成長等により、バルクGaNを結晶成長させる方法が、各種、提案されている。しかし、未だ高品質かつ実用的な大きさを有するGaN基板は、実現されていない。
【0008】
GaN基板を実現する1つの方法として、ナトリウム(Na)をフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、アジ化ナトリウム(NaN)と金属Gaとを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法:内径=7.5mm、長さ=100mm)にNaNおよび金属Gaを窒素雰囲気中で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶が成長するものである。
【0009】
この方法は、600〜800℃と比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm程度と比較的低く、実用的な成長条件であることが特徴である。
【0010】
そして、最近では、アルカリ金属とIII族金属との混合融液と、窒素を含むV族原料とを反応させることにより、高品質なIII族窒化物結晶が実現されている(特許文献2)。
【特許文献1】米国特許第5868837号明細書
【特許文献2】特開2001−58900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、アルカリ金属とIII族金属との混合融液と、窒素を含むV族原料とを反応させてGaNを結晶成長させる方法においては、結晶成長中に混合融液からアルカリ金属が外部へ蒸発してしまい、アルカリ金属とIII族金属とのモル比率が変化する。その結果、結晶サイズの拡大を阻害するという問題および結晶品質が変動するという問題が生じる。
【0012】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、アルカリ金属の外部への蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、アルカリ金属の外部への蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明によれば、結晶成長装置は、反応容器と、多孔質部材と、加熱装置とを備える。反応容器は、アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する。多孔質部材は、反応容器内の混合融液に接する容器空間内のアルカリ金属蒸気が外部空間へ流出する経路上に金属融液を表面張力により保持するとともに、外部から供給された窒素原料ガスを容器空間と外部空間との間の差圧により金属融液を介して反応容器内へ供給する。加熱装置は、混合融液を結晶成長温度に加熱する。
【0015】
好ましくは、金属融液は、混合融液と異なる。
【0016】
好ましくは、金属融液は、アルカリ金属融液からなる。
【0017】
好ましくは、結晶成長装置は、反応容器の周囲を覆う外部反応容器をさらに備える。そして、多孔質部材は、金属融液を外部反応容器と反応容器との間に保持する。
【0018】
好ましくは、多孔質部材の温度は、金属融液が実質的に蒸発しない温度に設定される。
【0019】
好ましくは、結晶成長装置は、重力方向において反応容器の下側で外部反応容器に連結された配管をさらに備える。多孔質部材は、外部反応容器と配管との連結部よりも下方の配管内に配置される。
【0020】
好ましくは、結晶成長装置は、ガス供給装置をさらに備える。ガス供給装置は、外部空間から多孔質部材に窒素原料ガスを供給する。
【0021】
好ましくは、容器空間に連通する外部反応容器内の空間と金属融液との第1の界面または該第1の界面付近における第1の温度は、容器空間と混合融液との第2の界面または該第2の界面付近における第2の温度以上である。
【0022】
好ましくは、第1の温度は、第2の温度に略一致する。
【0023】
好ましくは、金属融液は、混合融液と同じである。
【0024】
好ましくは、多孔質部材は、混合融液に接して設けられる。
【0025】
好ましくは、反応容器は、多孔質部材からなり、混合融液を保持する第1の容器と、第1の容器に接して設けられ、混合融液および気体の通過を阻止する第2の容器とからなる。
【0026】
好ましくは、結晶成長装置は、外部反応容器と、ガス供給装置とをさらに備える。外部反応容器は、反応容器の周囲を覆う。ガス供給装置は、反応容器と外部反応容器との間の圧力が容器空間における圧力に略一致するように、窒素原料ガスを反応容器と外部反応容器との間に供給する。
【0027】
好ましくは、多孔質部材は、金属またはセラミックスの焼結体からなる。
【0028】
好ましくは、多孔質部材は、金属ワイヤーの集合体からなる。
【0029】
また、この発明によれば、製造方法は、結晶成長装置を用いてIII族金属窒化物結晶を製造する製造方法である。結晶成長装置は、アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する反応容器と、反応容器内の混合融液に接する容器空間内のアルカリ金属蒸気が外部空間へ流出する経路上に金属融液を表面張力により保持するとともに、外部から供給された窒素原料ガスを容器空間と外部空間との間の差圧により反応容器内へ供給する多孔質部材とを備える。
【0030】
そして、製造方法は、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気中でアルカリ金属およびIII族金属を反応容器内に入れる第1の工程と、容器空間に窒素原料ガスを充填する第2の工程と、反応容器を結晶成長温度に加熱する第3の工程と、所定の時間、反応容器の温度を結晶成長温度に保持する第4の工程と、容器空間内の圧力が所定の圧力に保持されるように多孔質部材を介して窒素原料ガスを反応容器内へ供給する第5の工程とを備える。
【0031】
好ましくは、金属融液は、混合融液と同じである。
【0032】
好ましくは、結晶成長装置は、反応容器の周囲を覆う外部反応容器をさらに備える。金属融液は、反応容器と外部反応容器との間に配置される。
【0033】
そして、製造方法は、不活性ガス雰囲気中で金属融液用の金属を反応容器と外部反応容器との間に入れる第6の工程と、反応容器と外部反応容器との間を金属融液用の金属が液体になる温度に加熱する第7の工程とをさらに備える。
【0034】
好ましくは、製造方法は、多孔質部材の温度を金属融液が多孔質部材を介して実質的に蒸発しない温度に保持する第8の工程をさらに備える。
【0035】
好ましくは、結晶成長装置は、反応容器の周囲を覆う外部反応容器をさらに備える。金属融液は、反応容器と外部反応容器との間に配置される。
【0036】
そして、製造方法は、多孔質部材の温度を金属融液が多孔質部材を介して実質的に蒸発しない温度に保持する第6の工程をさらに備える。
【0037】
好ましくは、金属融液は、混合融液と異なる。
【0038】
好ましくは、金属融液は、アルカリ金属融液である。
【発明の効果】
【0039】
この発明においては、多孔質部材および金属融液を用いて、アルカリ金属とIII族金属との混合融液からアルカリ金属が蒸発するのが抑制されるとともに、混合融液に接する容器空間へ窒素原料ガスが安定的に供給される。その結果、混合融液中におけるアルカリ金属とIII族金属とのモル比率が安定する。
【0040】
したがって、この発明によれば、高品質で且つ大きいサイズを有するIII族窒化物結晶を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0042】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による結晶成長装置の概略断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による結晶成長装置100は、反応容器10と、外部反応容器20と、配管30と、ポーラスプラグ40と、加熱装置50,60と、ガス供給管70,80と、バルブ90,91,140と、圧力調整器110と、ガスボンベ120と、排気管130と、真空ポンプ150と、圧力センサー160と、金属融液170とを備える。
【0043】
反応容器10は、略円柱形状を有し、本体部11と、蓋部12とからなる。外部反応容器20は、反応容器10と所定の間隔を隔てて反応容器10の周囲に配置される。反応容器10は、窒化ホウ素(BN)からなり、外部反応容器20は、SUS316Lからなる。
【0044】
配管30は、重力方向DR1において、反応容器10の下側で外部反応容器20に連結される。ポーラスプラグ40は、たとえば、焼結タングステン(W)からなり、外部反応容器20と配管30との連結部よりも下側の配管30内に保持される。そして、ポーラスプラグ40は、タングステンの粉を水素雰囲気中において1600℃で焼結することにより作製される。
【0045】
加熱装置50は、外部反応容器20の外周面20Aを囲むように配置される。加熱装置60は、外部反応容器20の底面20Bに対向して配置される。ガス供給管70は、一方端がバルブ90を介して外部反応容器20に連結され、他方端が圧力調整器110を介してガスボンベ120に連結される。ガス供給管80は、一方端がバルブ91を介して配管30に連結され、他方端がガス供給管70に連結される。
【0046】
バルブ90は、外部反応容器20の近傍でガス供給管70に装着される。バルブ91は、配管30の近傍でガス供給管80に装着される。圧力調整器110は、ガスボンベ120の近傍でガス供給管70に装着される。ガスボンベ120は、ガス供給管70に連結される。
【0047】
排気管130は、一方端がバルブ140を介して外部反応容器20に連結され、他方端が真空ポンプ150に連結される。バルブ140は、外部反応容器20の近傍で排気管130に装着される。真空ポンプ150は、排気管130に連結される。
【0048】
圧力センサー160は、外部反応容器20に取り付けられる。金属融液170は、金属ナトリウム(金属Na)融液からなり、反応容器10と外部反応容器20との間に保持される。
【0049】
反応容器10は、金属Naと、金属ガリウム(金属Ga)との混合融液180を保持する。外部反応容器20は、反応容器10の周囲を覆う。配管30は、ガス供給管70,80を介してガスボンベ120から供給された窒素ガス(Nガス)をポーラスプラグ40に導く。
【0050】
ポーラスプラグ40は、数十μmの気孔が空間的に繋がった構造からなり、配管30内の窒素ガスを金属融液170の方向へ通過させ、窒素ガスを金属融液170を介して空間21内へ供給する。また、金属融液170の表面張力により、数十μmの気孔の中には金属融液170は入らず、金属融液170は、ポーラスプラグ40の表面に保持される。この結果、ポーラスプラグ40は、金属融液170を反応容器10と外部反応容器20との間に保持する。
【0051】
加熱装置50は、反応容器10および外部反応容器20を外部反応容器20の外周面20Aから加熱する。加熱装置60は、反応容器10および外部反応容器20を外部反応容器20の底面20Bから加熱する。
【0052】
ガス供給管70は、ガスボンベ120から圧力調整器110を介して供給された窒素ガスをバルブ90を介して外部反応容器20内へ供給する。ガス供給管80は、ガスボンベ120から圧力調整器110を介して供給された窒素ガスをバルブ91を介して配管30内へ供給する。
【0053】
バルブ90は、ガス供給管70内の窒素ガスを外部反応容器20内へ供給し、または窒素ガスの外部反応容器20内への供給を停止する。バルブ91は、ガス供給管80内の窒素ガスを配管30内へ供給し、または窒素ガスの配管30内への供給を停止する。圧力調整器110は、ガスボンベ120からの窒素ガスを所定の圧力にしてガス供給管70,80に供給する。
【0054】
ガスボンベ120は、窒素ガスを保持する。排気管130は、外部反応容器20内の気体を真空ポンプ150へ通過させる。バルブ140は、外部反応容器20内と排気管130とを空間的に繋げ、または外部反応容器20内と排気管130とを空間的に遮断する。真空ポンプ150は、排気管130およびバルブ140を介して外部反応容器20内の真空引きを行なう。
【0055】
圧力センサー160は、外部反応容器20内の圧力を検出する。金属融液170とポーラスプラグ40とを介して窒素ガスが空間21へ供給される。
【0056】
図2は、GaN結晶の製造方法を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。図2を参照して、一連の動作が開始されると、Arガスが充填されたグローブボックス内へ反応容器10および外部反応容器20を入れる。そして、Arガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10に入れる(ステップS1)。この場合、金属Naおよび金属Gaを5:5のモル比率で反応容器10に入れる。なお、Arガスは、水分量が10ppm以下であり、かつ、酸素量が10ppm以下であるArガスである(以下、同じ)。
【0057】
その後、Arガス雰囲気中で金属Naを反応容器10と外部反応容器20との間に入れる(ステップS2)。そして、反応容器10および外部反応容器20内にArガスを充填した状態で反応容器10および外部反応容器20を結晶成長装置100に設置する。
【0058】
引続いて、バルブ140を開け、真空ポンプ150によって反応容器10および外部反応容器20内に充填されたArガスを排気する。真空ポンプ150によって反応容器10および外部反応容器20内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きした後、バルブ140を閉じ、バルブ90,91を開けて窒素ガスをガスボンベ120からガス供給管70,80を介して反応容器10および外部反応容器20内へ充填する。この場合、圧力調整器110によって反応容器10および外部反応容器20内の圧力が1気圧程度になるように反応容器10および外部反応容器20内へ窒素ガスを供給する。
【0059】
そして、圧力センサー160によって検出した外部反応容器20内の圧力が1気圧程度になると、バルブ90,91を閉じ、バルブ140を開けて真空ポンプ150によって反応容器10および外部反応容器20内に充填された窒素ガスを排気する。この場合も、真空ポンプ150によって反応容器10および外部反応容器20内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きする。
【0060】
そして、この反応容器10および外部反応容器20内の真空引きと反応容器10および外部反応容器20への窒素ガスの充填とを数回繰り返し行なう。
【0061】
その後、真空ポンプ150によって反応容器10および外部反応容器20内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ140を閉じ、バルブ90,91を開けて圧力調整器110によって反応容器10および外部反応容器20内の圧力が10〜50気圧の範囲になるように反応容器10および外部反応容器20内へ窒素ガスを充填する(ステップS3)。
【0062】
この場合、反応容器10と外部反応容器20との間の金属Naは、固体であるので、窒素ガスは、ポーラスプラグ40を介して配管30の空間31から外部反応容器20内の空間21および反応容器10内の空間13へ供給される。蓋部12は、本体部11上に載せられているだけであり、本体部11と蓋部12との間には間隙が有るので、空間21へ供給された窒素ガスは、その間隙を介して反応容器10の空間13にも充填される。そして、圧力センサー160によって検出した空間21内の圧力が10〜50気圧の範囲になった時点でバルブ90が閉じられる。この時点で、空間13,21,31内の圧力は10〜50気圧になっている。
【0063】
そうすると、バルブ90を閉じ、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20を800℃まで加熱する(ステップS4)。この場合、反応容器10と外部反応容器20との間に保持された金属Naは、融点が約98℃であるので、反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱される過程で溶融され、金属融液170になる。そして、2つの気液界面1,2が発生する(図1参照)。気液界面1は、金属融液170と外部反応容器20内の空間21との界面に位置し、気液界面2は、金属融液170とポーラスプラグ40との界面に位置する。
【0064】
また、反応容器10および外部反応容器20の温度が800℃に昇温された時点で、ポーラスプラグ40の温度は、150℃である。従って、気液界面2における金属融液170(=金属Na融液)の蒸気圧は、7.6×10−9気圧であり、金属融液170(=金属Na融液)は、ポーラスプラグ40の気孔を介して殆ど蒸発しない。その結果、金属融液170(=金属Na融液)は、殆ど減少しない。
【0065】
ポーラスプラグ40の温度が300℃または400℃に昇温されても、金属融液170(=金属Na融液)の蒸気圧は、それぞれ、1.8×10−5気圧および4.7×10−4気圧であり、この程度の蒸気圧では、金属融液170(=金属Na融液)の減少を殆ど無視できる。
【0066】
このように、結晶成長装置100においては、ポーラスプラグ40の温度は、金属融液170(=金属Na融液)が蒸発によって実質的に減少しない温度に設定される。
【0067】
さらに、反応容器10および外部反応容器20の温度が800℃に昇温されると、反応容器10内の金属Naおよび金属Gaも液体になり、金属Naと金属Gaとの混合融液180が発生する。そして、空間13内の窒素ガスが混合融液180中へ取り込まれ、混合融液180中にGaN結晶が成長し始める。
【0068】
その後、GaN結晶の成長が進行すると、空間13内の窒素ガスが消費され、空間13内の窒素ガスが減少する。そうすると、空間13,21内の圧力P1が配管30内の空間31の圧力P2よりも低くなり(P1<P2)、空間13,21内と空間31内との間に差圧が発生し、空間31の窒素ガスは、ポーラスプラグ40および金属融液170(=金属Na融液)を介して空間21および空間13内へ順次供給される(ステップS5)。
【0069】
その後、反応容器10および外部反応容器20の温度が、所定の時間(数十時間〜数百時間)、800℃に保持される(ステップS6)。これによって、大きなサイズのGaN結晶が成長する。このGaN結晶は、c軸(<0001>)方向に成長した柱状形状を有し、欠陥フリーの結晶である。
【0070】
そして、反応容器10および外部反応容器20の温度が降温されて(ステップS7)、GaN結晶の製造が終了する。
【0071】
図3は、反応容器10および外部反応容器20の温度のタイミングチャートである。また、図4は、図3に示す2つのタイミングt1,t2間における反応容器10および外部反応容器20内の状態を示す模式図である。さらに、図5は、図2に示すステップS5における反応容器10および外部反応容器20内の状態を示す模式図である。
【0072】
図3を参照して、反応容器10および外部反応容器20が加熱装置50,60によって加熱され始めると、反応容器10および外部反応容器20の温度は、上昇し始め、タイミングt1において98℃に達し、タイミングt2で800℃に達する。
【0073】
そうすると、反応容器10と外部反応容器20との間に保持された金属Naは溶け、金属融液170(=金属Na融液)になる。そして、窒素ガス3は、金属融液170(=金属Na融液)およびポーラスプラグ40を介して配管30内の空間31へ拡散することができず、空間13,21内に閉じ込められる(図4参照)。
【0074】
このように、結晶成長装置100においては、ポーラスプラグ40および金属融液170(=金属Na融液)によって窒素ガス3を反応容器10および外部反応容器20内の空間13,21に閉じ込めてGaN結晶を成長させることを特徴とする。
【0075】
タイミングt2以降、反応容器10および外部反応容器20の温度は、800℃に保持され、混合融液180中でGaN結晶の成長が進行する。タイミングt1以降、金属融液170および混合融液180中の金属Naが蒸発し始め、徐々に蒸気圧が高くなる。タイミングt2以降、800℃では、Naは、0.45気圧の蒸気圧を有する。その結果、空間13,21内には、窒素ガス3および金属Na蒸気4が存在する。
【0076】
そして、窒素ガス3の消費によって、空間13,21内の圧力P1が配管30内の空間31の圧力P2よりも低下する。そうすると、金属融液170は、空間13,21側へ移動し、金属融液170の気液界面1,2は、上昇する。
【0077】
このような状態において、窒素ガスは、配管30の空間31からポーラスプラグ40を介して金属融液170に供給され、金属融液170中を泡171となって移動し、気液界面1から空間13,21へ供給される。そして、空間13,21内の圧力P1が空間31内の圧力P2とほぼ同じになると、金属融液170が元の位置まで降下し、配管30の空間31からポーラスプラグ40および金属融液170を介した窒素ガスの反応容器10および外部反応容器20への供給が停止される。
【0078】
このように、ポーラスプラグ40が存在することにより、金属融液170(=金属Na融液)の表面張力によって反応容器10と外部反応容器20との間に金属融液170が保持されるとともに、窒素ガスが空間31から反応容器10および外部反応容器20内へ供給される。従って、ポーラスプラグ40は、金属融液170の通過を阻止する構造からなる。
【0079】
また、結晶成長装置100においては、金属Na蒸気4を空間13,21内へ閉じ込めた状態でGaN結晶を成長させることを特徴とする。この特徴によって、混合融液180中からの金属Naの蒸発が減少し、混合融液180中における金属Naと金属Gaとのモル比率をほぼ一定に保持でき、大きく、かつ、高品質なGaN結晶を成長させることができる。
【0080】
さらに、結晶成長装置100においては、反応容器10内の空間13に連通した外部反応容器20内の空間21と金属融液170との気液界面1または気液界面1付近における温度T1は、空間13と混合融液180との気液界面5または気液界面5付近における温度T2に略一致するように、加熱装置50は、反応容器10および外部反応容器20を加熱する。
【0081】
このように、気液界面1または気液界面1付近における温度T1を気液界面5または気液界面5付近における温度T2に略一致させることによって、金属融液170から蒸発した金属Na蒸気と混合融液180から蒸発した金属Na蒸気とが空間13,21内で平衡状態になり、空間13内の金属Na蒸気が空間21内へ拡散するのを抑制できる。その結果、混合融液180からの金属Naの蒸発を確実に抑制して混合融液180中における金属Naと金属Gaとのモル比率を安定化でき、高品質で且つ大きなサイズを有するGaN結晶を安定して製造できる。
【0082】
さらに、結晶成長装置100においては、温度T1が温度T2よりも高くなるように反応容器10および外部反応容器20を加熱してもよい。この場合、反応容器10と外部反応容器20との間に加熱装置をさらに設置し、その設置した加熱装置によって反応容器10を加熱して気液界面5または気液界面5付近を温度T2に加熱し、加熱装置50によって気液界面1または気液界面1付近を温度T1に加熱する。
【0083】
このように、温度T1を温度T2よりも高い温度に設定することによって、気液界面1における金属Naの蒸気圧が気液界面5における金属Naの蒸気圧よりも高くなり、金属Na蒸気が空間21から空間13内へ拡散する。そうすると、空間13内において金属Na蒸気の濃度が高くなり、混合融液180からの金属Naの蒸発をさらに抑制できる。その結果、混合融液180中における金属Naと金属Gaとのモル比率を確実に安定化でき、高品質で且つ大きいサイズを有するGaN結晶を安定して製造できる。
【0084】
したがって、結晶成長装置100においては、温度T1が温度T2以上に設定されてGaN結晶の製造が行なわれる。
【0085】
図6は、実施の形態1による結晶成長装置の他の概略断面図である。実施の形態1による結晶成長装置は、図6に示す結晶成長装置100Aであってもよい。図6を参照して、結晶成長装置100Aは、図1に示す結晶成長装置100のポーラスプラグ40をポーラスプラグ41に代えたものであり、その他は、結晶成長装置100と同じである。
【0086】
ポーラスプラグ41は、ワイヤーを圧縮した圧縮ワイヤー(「金属ワイヤーの集合体」という)からなる。より具体的には、直径が0.1mmφであり、長さが5mのSUS316Lを圧縮成型することにより、ポーラスプラグ41を作製する。この場合、ポーラスプラグ41は、数百μmの気孔を有する。
【0087】
このように、SUS316Lを圧縮成型することによって、ポーラスプラグ40よりも大きな気孔を有するポーラスプラグ41を得ることができる。また、SUS316Lの直径を変えることによって、ポーラスプラグ41の気孔の大きさを制御できる。
【0088】
そして、ポーラスプラグ41の気孔の大きさを相対的に大きくすることによってポーラスプラグ41における詰りを無くすことができる。金属Naは、酸化物および水酸化物を容易に作成し、それらがポーラスプラグ41を詰らせることもある。しかし、ポーラスプラグ41は、相対的に大きな気孔を有し、気孔の大きさも制御可能である。したがって、ポーラスプラグ41における詰りを無くすことができる。その結果、安定的な結晶成長を実現でき、高品質、大型、および均一なGaN結晶を実現できる。
【0089】
結晶成長装置100AにおけるGaN結晶の製造方法は、図2に示すフローチャートに従って実行され、結晶成長装置100におけるGaN結晶の製造方法と同じである。そして、結晶成長装置100Aにおいても、温度T1が温度T2以上になるように反応容器10および外部反応容器20が加熱されてGaN結晶の製造が行なわれる。
【0090】
なお、SUS316LやSUS304、あるいはボロンナイトライド(BN)の粉を焼結してポーラスプラグ40を作製してもよい。また、SUS304およびインコネル等を圧縮成型してポーラスプラグ41を作製してもよい。SUS(316Lや304)を用いてポーラスプラグ40を作製する場合、SUSの粉は、1200℃の温度で焼結される。
【0091】
実施の形態1においては、ポーラスプラグ40,41は、「多孔質部材」を構成する。
【0092】
また、圧力調整器110およびガスボンベ120は、「ガス供給装置」を構成する。
【0093】
さらに、配管30内の空間31は、「外部空間」を構成する。
【0094】
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2による結晶成長装置の概略断面図である。図7を参照して、実施の形態2による結晶成長装置200は、反応容器210と、外部反応容器220と、加熱装置230,240と、ガス供給管250,260と、バルブ270,280,330,340と、圧力調整器290と、ガスボンベ300と、排気管310,320と、真空ポンプ350と、圧力センサー360,370とを備える。
【0095】
反応容器210は、略円柱形状を有し、容器211,212とからなる。容器211は、焼結Wからなり、容器212は、SUS316Lからなる。容器211は、容器212と連結されており、容器212と連結されることにより、略円柱形状の反応容器210を構成する。
【0096】
外部反応容器220は、反応容器210と所定の間隔を隔てて反応容器210の周囲に配置される。加熱装置230は、反応容器210と外部反応容器220との間に反応容器210の外周面210Aに対向して配置され、加熱装置240は、反応容器210と外部反応容器220との間に反応容器210の底面210Bに対向して配置される。
【0097】
ガス供給管250は、一方端がバルブ270を介して反応容器210に連結され、他方端が圧力調整器290を介してガスボンベ300に連結される。ガス供給管260は、一方端がバルブ280を介して外部反応容器220に連結され、他方端がガス供給管250に連結される。
【0098】
バルブ270は、反応容器210の近傍でガス供給管250に装着される。バルブ280は、外部反応容器220の近傍でガス供給管260に装着される。圧力調整器290は、ガスボンベ300の近傍でガス供給管250に装着される。ガスボンベ300は、ガス供給管250に連結される。
【0099】
排気管310は、一方端がバルブ330を介して反応容器210に連結され、他方端が真空ポンプ350に連結される。排気管320は、一方端がバルブ340を介して外部反応容器220に連結され、他方端が排気管310に連結される。バルブ330は、反応容器210の近傍で排気管310に装着される。バルブ340は、外部反応容器220の近傍で排気管320に装着される。真空ポンプ350は、排気管310に連結される。
【0100】
圧力センサー360は、反応容器210に取り付けられ、圧力センサー370は、外部反応容器220に取り付けられる。
【0101】
反応容器210は、金属Naと、金属Gaとの混合融液180を保持する。そして、容器211は、数十μmの気孔が空間的に繋がった構造からなり、外部反応容器220内の空間221から反応容器210内の空間213へ混合融液180を介して窒素ガスを導入するとともに、混合融液180の表面張力により、数十μmの気孔の中には混合融液180が入らず、混合融液180を反応容器210内に保持する。また、容器212は、空間213に存在する窒素ガスおよび金属Na蒸気を空間213内に密閉する。
【0102】
外部反応容器220は、反応容器210の周囲を覆う。加熱装置230は、反応容器210を反応容器210の外周面210Aから加熱する。加熱装置240は、反応容器210を反応容器210の底面210Bから加熱する。
【0103】
ガス供給管250は、ガスボンベ300から圧力調整器290を介して供給された窒素ガスをバルブ270を介して反応容器210内へ供給する。ガス供給管260は、ガスボンベ300から圧力調整器290を介して供給された窒素ガスをバルブ280を介して外部反応容器220へ供給する。
【0104】
バルブ270は、ガス供給管250内の窒素ガスを反応容器210内へ供給し、または窒素ガスの反応容器210内への供給を停止する。バルブ280は、ガス供給管260内の窒素ガスを外部反応容器220内へ供給し、または窒素ガスの外部反応容器220内への供給を停止する。圧力調整器290は、ガスボンベ300からの窒素ガスを所定の圧力にしてガス供給管250,260に供給する。
【0105】
ガスボンベ300は、窒素ガスを保持する。排気管310は、反応容器210内の気体を真空ポンプ350へ通過させる。バルブ330は、反応容器210内と排気管310とを空間的に繋げ、または反応容器210内と排気管310とを空間的に遮断する。
【0106】
排気管320は、外部反応容器220内の気体を真空ポンプ350へ通過させる。バルブ340は、外部反応容器220内と排気管320とを空間的に繋げ、または外部反応容器220内と排気管320とを空間的に遮断する。
【0107】
真空ポンプ350は、排気管310およびバルブ330を介して反応容器210内の真空引きを行なうとともに、排気管320およびバルブ340を介して外部反応容器220内の真空引きを行なう。
【0108】
圧力センサー360は、反応容器210内の圧力を検出し、圧力センサー370は、外部反応容器220内の圧力を検出する。
【0109】
結晶成長装置200を用いてGaN結晶を成長させる場合、グローブボックスを用いてArガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器210内に入れ、反応容器210内の空間213および外部反応容器220内の空間221をArガスで充填した状態で反応容器210および外部反応容器220を結晶成長装置200に設置する。
【0110】
そして、バルブ330,340を開け、真空ポンプ350によって排気管310,320を介して反応容器210および外部反応容器220内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きした後、バルブ330,340を閉じ、バルブ270,280を開けて窒素ガスをガスボンベ300からガス供給管250,260を介して反応容器210および外部反応容器220内へ充填する。この場合、圧力調整器290によって反応容器210および外部反応容器220内の圧力が1気圧程度になるように反応容器210および外部反応容器220内へ窒素ガスを供給する。
【0111】
そして、圧力センサー360,370によって検出した反応容器210および外部反応容器220内の圧力が1気圧程度になると、バルブ270,280を閉じ、バルブ330,340を開けて真空ポンプ350によって反応容器210および外部反応容器220内に充填された窒素ガスを排気する。この場合も、真空ポンプ350によって反応容器210および外部反応容器220内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きする。
【0112】
そして、この反応容器210および外部反応容器220内の真空引きと反応容器210および外部反応容器220への窒素ガスの充填とを数回繰り返し行なう。
【0113】
その後、真空ポンプ350によって反応容器210および外部反応容器220内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ330,340を閉じ、バルブ270,280を開けて圧力調整器290によって反応容器210および外部反応容器220内の圧力が10〜50気圧の範囲になるように反応容器210および外部反応容器220内へ窒素ガスを充填する。
【0114】
そして、圧力センサー360,370によって検出した圧力が10〜50気圧になった時点でバルブ270を閉じる。この時点では、反応容器210および外部反応容器220の温度は室温であるので、反応容器210内の金属Naおよび金属Gaは、固体である。したがって、バルブ280を介して外部反応容器220内へ充填された窒素ガスは、容器211の気孔を介して反応容器210内にも拡散し、反応容器210内の圧力は、外部反応容器220内の圧力と容易に一致する。
【0115】
反応容器210および外部反応容器220への窒素ガスの充填が終了すると、加熱装置230,240によって反応容器210を800℃に加熱し、その後、数十時間〜数百時間、反応容器210の温度を800℃に保持する。
【0116】
反応容器210に入れられた金属Naおよび金属Gaは、反応容器210が加熱される過程で融け、反応容器210内で混合融液180が生成される。そうすると、反応容器210内の空間213に存在する窒素ガスは、容器211に接しておらず、容器212を通過できず、混合融液180も通過できないため、空間213内に閉じ込められる。
【0117】
そして、GaN結晶の成長が進行するに伴って、混合融液180から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気および窒素ガスが空間213内に閉じ込められる。この場合、空間213における金属Na蒸気の圧力は、0.45気圧である。また、GaN結晶の成長が進行するに伴って、空間213内の窒素ガスが消費され、反応容器210内の圧力P3が外部反応容器220内の圧力P4よりも低くなると(P3<P4)、外部反応容器220内の空間221に存在する窒素ガスは、容器211を介して反応容器210内へ導入される。
【0118】
図8は、図7に示す結晶成長装置200におけるGaN結晶の成長の1つの過程を示す模式図である。空間221から反応容器210内へ導入された窒素ガスは、混合融液180を泡181となって移動し、空間213内へ導入される。これによって、窒素ガスが空間213内へ安定的に供給される。
【0119】
GaN結晶の成長時には、容器211の温度は800℃である。しかし、容器211は、上述したように、焼結Wからなるので、混合融液180が反応容器210から流出しないように混合融液180の表面張力によって混合融液180を反応容器210内に保持する。
【0120】
このように、反応容器210の一部である容器211を焼結Wにより作製し、混合融液180の表面張力によって混合融液180を反応容器210内に保持することにより、混合融液180に接する空間213内に窒素ガスおよび金属Na蒸気を閉じ込めることができる。
【0121】
その結果、図1に示す結晶成長装置100と同じように、高品質、大型、および均一なGaN結晶を実現できる。
【0122】
図9は、GaN結晶の製造方法を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。図9を参照して、一連の動作が開始されると、Arガスが充填されたグローブボックス内へ反応容器210および外部反応容器220を入れる。そして、Arガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器210に入れる(ステップS11)。この場合、金属Naおよび金属Gaを5:5のモル比率で反応容器210に入れる。
【0123】
そして、反応容器210および外部反応容器220内にArガスを充填した状態で反応容器210および外部反応容器220を結晶成長装置200に設置する。
【0124】
引続いて、上述した動作によって、反応容器210および外部反応容器220内の真空引きと、反応容器210および外部反応容器220への窒素ガスの充填とを数回繰り返し行なう。その後、バルブ330,340を開け、真空ポンプ350によって反応容器210および外部反応容器220内に充填された窒素ガスを排気する。真空ポンプ350によって反応容器210および外部反応容器220内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きした後、バルブ330,340を閉じ、バルブ270,280を開けて窒素ガスをガスボンベ300からガス供給管250,260を介して反応容器210および外部反応容器220内へ供給する。そして、圧力調整器290によって反応容器210および外部反応容器220内の圧力が10〜50気圧になるように反応容器210および外部反応容器220内へ窒素ガスを充填する(ステップS12)。
【0125】
この場合、反応容器210内へ入れられた金属Naおよび金属Gaは、固体であるので、窒素ガスは、反応容器210の容器211を介しても、外部反応容器220の空間221から反応容器210内の空間213へ供給される。そして、圧力センサー360,370によって検出した空間213,221内の圧力が10〜50気圧になった時点でバルブ270が閉じられる。
【0126】
その後、加熱装置230,240によって反応容器210を800℃まで加熱する(ステップS13)。これにより、反応容器210内の金属Naおよび金属Gaが溶け、混合融液180が反応容器210内に生成される。そして、混合融液180の温度が800℃になると、混合融液中でGaN結晶が成長し始める。
【0127】
なお、反応容器210が800℃に昇温されると、容器211も800℃に昇温されるが、容器211は、焼結Wからなるので、混合融液180の表面張力によって混合融液180を反応容器210内に保持する。
【0128】
また、GaN結晶の成長が進行すると、混合融液180から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気が空間213内に生成される。この場合、金属Na蒸気の圧力は、800℃において、約0.45気圧である。金属Na蒸気が空間213内に生成されても、金属Na蒸気は、混合融液180および容器212にのみ、接するので、空間213から反応容器210外へ流出することがない。その結果、混合融液180中の金属Naと金属Gaとのモル比率は、安定する。
【0129】
さらに、GaN結晶の成長が進行すると、空間213内の窒素ガスが消費され、空間213内の窒素ガスが減少する。そうすると、空間213内の圧力P3が空間221の圧力P4よりも低くなり(P3<P4)、空間213内と空間221内との間に差圧が発生し、空間221の窒素ガスは、容器211(焼結Wからなる)および混合融液180を介して空間213内へ供給される(ステップS14)。
【0130】
その後、反応容器210の温度が、所定の時間(数十時間〜数百時間)、800℃に保持される(ステップS15)。これによって、大きなサイズのGaN結晶が成長する。このGaN結晶は、c軸(<0001>)方向に成長した柱状形状を有し、欠陥フリーの結晶である。
【0131】
そして、反応容器210の温度が降温されて(ステップS16)、GaN結晶の製造が終了する。
【0132】
結晶成長装置200を用いた場合には、結晶成長装置100の配管30を設ける必要がないので、結晶成長装置200を単純な構造にできる。
【0133】
また、結晶成長装置200においては、混合融液180をGaN結晶の原料とするとともに、窒素ガスおよび金属Na蒸気を反応容器210の空間213内に閉じ込めるために用いるので、結晶成長装置100のように混合融液180の他に金属融液170を必要とせず、結晶成長装置100に比べ金属Naの量を少なくできる。その結果、低コストなGaN結晶を製造できる。
【0134】
なお、ボロンナイトライド(BN)やSUS(SUS316LやSUS304等
)の粉を焼結して容器211を作製してもよい。
【0135】
また、実施の形態2においては、焼結Wからなる容器211は、「多孔質部材」を構成する。
【0136】
さらに、圧力調整器290およびガスボンベ300は、「ガス供給装置」を構成する。
【0137】
さらに、反応容器210と外部反応容器220との間の空間は、「外部空間」を構成する。
【0138】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0139】
[実施の形態3]
図10は、実施の形態3による結晶成長装置の概略断面図である。図10を参照して、実施の形態3による結晶成長装置100Bは、図1に示す結晶成長装置100から金属融液170を削除したものであり、その他は、結晶成長装置100と同じである。
【0140】
図11および図12は、それぞれ、図10に示す結晶成長装置100BにおけるGaN結晶の成長過程の一部を示す第1および第2の模式図である。結晶成長装置100Bを用いてGaN結晶を成長させる場合、金属Naおよび金属Gaを反応容器10に入れ、反応容器10と外部反応容器20との間に金属Naを入れない。
【0141】
この状態で加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20を800℃まで加熱すると、混合融液180から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気が空間13から空間21へ拡散する。そして、ポーラスプラグ40の温度は、上述したように、150℃に設定されているので、空間21へ拡散した金属Na蒸気は、ポーラスプラグ40に触れて冷却され、融液になる。その結果、金属Na融液190がポーラスプラグ40の上側に溜まる(図11参照)。そして、ポーラスプラグ40は、金属Na融液190を表面張力によって保持する。
【0142】
そうすると、ポーラスプラグ40および金属Na融液190は、窒素ガスおよび金属Na蒸気を空間13,21内に閉じ込める。したがって、それ以降、混合融液180からの金属Naの蒸発が抑制され、混合融液180中の金属Naと金属Gaとのモル比率が安定する。その結果、大きなサイズのGaN結晶を成長できる。
【0143】
GaN結晶の成長が進行すると、空間13内の窒素ガスが消費され、空間13内の窒素ガスが減少する。そうすると、空間13,21内の圧力P1が空間31の圧力P2よりも低くなり(P1<P2)、空間13,21内と空間31内との間に差圧が発生し、空間31の窒素ガスは、ポーラスプラグ40および金属Na融液190を介して空間13,21内へ供給される。この場合、ポーラスプラグ40を通過した窒素ガスは、金属Na融液190中を泡191となって移動する(図12参照)。
【0144】
このように、反応容器10と外部反応容器20との間に金属Naを保持してなくても、実施の形態1における結晶成長装置100と同じようにGaN結晶を成長できる。
【0145】
なお、結晶成長装置100Bを用いてGaN結晶を製造する製造方法は、図2に示すフローチャートのステップS2を削除した工程からなる。
【0146】
また、結晶成長装置100Bにおいては、空間21と金属Na融液190との気液界面6または気液界面6付近における温度T3が気液界面5または気液界面5付近における温度T2以上に設定されてGaN結晶の製造が行なわれる。温度T4が温度T2以上に設定されるのは、実施の形態1において温度T1が温度T2以上に設定される理由と同じである。
【0147】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0148】
[実施の形態4]
図13は、実施の形態4による結晶成長装置の概略断面図である。図13を参照して、実施の形態4による結晶成長装置100Cは、図1に示す結晶成長装置100の配管30を配管301に代え、金属融液170を金属融液192に代え、加熱装置61を追加したものであり、その他は、結晶成長装置100と同じである。
【0149】
結晶成長装置100Cにおいては、ポーラスプラグ40は、配管301内に設置され、ガス供給管80は、配管301の空間302に連結される。
【0150】
配管301は、略L字形状からなり、反応容器10の蓋部12の近傍で外部反応容器20に連結される。金属融液192は、金属Na融液からなり、外部反応容器20内の空間21に連通する配管301内の空間303にポーラスプラグ40によって保持される。
【0151】
加熱装置61は、配管301に対向して配置され、金属融液192と空間303との気液界面7を800℃に加熱する。この場合、ポーラスプラグ40の温度は、金属融液192が実質的に蒸発しない温度(たとえば、150℃)に設定される。
【0152】
結晶成長装置100Cを用いてGaN結晶を成長させる場合、グローブボックスを用いてArガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10内に入れ、Arガス雰囲気中で金属Naを配管301の空間303に入れる。そして、反応容器10内の空間13、外部反応容器20内の空間21および配管301内の空間302,303をArガスで充填した状態で反応容器10、外部反応容器20および配管301を結晶成長装置100Cに設置する。
【0153】
そして、実施の形態1において説明した方法によって、反応容器10、外部反応容器20および配管301内の真空引きと、反応容器10、外部反応容器20および配管301内への窒素ガスの充填とを数回繰り返す。
【0154】
その後、真空ポンプ150によって反応容器10、外部反応容器20および配管301内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ140を閉じ、バルブ90,91を開けて圧力調整器110によって反応容器10、外部反応容器20および配管301内の圧力が10〜50気圧の範囲になるように反応容器10、外部反応容器20および配管301へ窒素ガスを充填する。
【0155】
そして、圧力センサー160によって検出した圧力が10〜50気圧になった時点でバルブ90を閉じる。この時点では、反応容器10、外部反応容器20および配管301の温度は室温であるので、配管301内の金属Naは、固体である。したがって、配管301の空間302へ供給された窒素ガスは、ポーラスプラグ40の気孔を介して外部反応容器20および反応容器10内にも拡散し、空間13,21,302,303の圧力は、容易に一致する。
【0156】
反応容器10、外部反応容器20および配管301への窒素ガスの充填が終了すると、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20を800℃に加熱するとともに、加熱装置61によって気液界面7を800℃に加熱し、その後、数十時間〜数百時間、反応容器10、外部反応容器20および気液界面7の温度を800℃に保持する。
【0157】
反応容器10に入れられた金属Naおよび金属Gaは、反応容器10が加熱される過程で融け、反応容器10内で混合融液180が生成される。また、配管301内の金属Naは、配管301が加熱される過程で融け、金属融液192が配管301内で生成される。そうすると、反応容器10、外部反応容器20および配管301内の窒素ガスは、バルブ90,140が閉じており、金属融液192を通過できないため、空間13,21,303内に閉じ込められる。
【0158】
そして、GaN結晶の成長が進行するに伴って、混合融液180および金属融液192から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気および窒素ガスが空間13,21,303内に閉じ込められる。この場合、空間13,21,303における金属Na蒸気の圧力は、0.45気圧である。また、GaN結晶の成長が進行するに伴って、空間13内の窒素ガスが消費され、反応容器10内の圧力P1が配管301の空間302内の圧力P5よりも低くなると(P1<P5)、配管301の空間302内に存在する窒素ガスは、ポーラスプラグ40および金属融液192を介して空間13,21,303内へ導入される。
【0159】
その結果、図1に示す結晶成長装置100と同じように、高品質、大型、および均一なGaN結晶を実現できる。
【0160】
なお、結晶成長装置100Cを用いてGaN結晶を製造する製造方法は、図2に示すフローチャートと同じフローチャートからなる。この場合、ステップS2において、金属Naは、Arガス雰囲気中で配管301の空間303内に入れられる。また、ステップS3において、反応容器10、外部反応容器20および配管301内へ窒素ガスが所定の圧力(10〜50気圧)まで充填される。さらに、ステップS4において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面7が800℃に加熱され、ステップS6において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面7の温度が800℃に保持され、ステップS7において、反応容器10、外部反応容器20および配管301の温度が降温される。
【0161】
また、結晶成長装置100Cにおいては、空間303と金属融液192との気液界面7または気液界面7付近における温度T6が気液界面5または気液界面5付近における温度T2以上に設定されてGaN結晶の製造が行なわれる。温度T6が温度T2以上に設定されるのは、実施の形態1において温度T1が温度T2以上に設定される理由と同じである。
【0162】
さらに、結晶成長装置100Cにおいては、加熱装置61は、配管301内の金属Naが液体になり、気液界面7が800℃よりも低い温度になるように配管301を加熱するようにしてもよい。
【0163】
さらに、結晶成長装置100Cにおいては、ポーラスプラグ40に代えてポーラスプラグ41を用いてもよい。
【0164】
図14は、実施の形態4による結晶成長装置の他の概略断面図である。実施の形態4による結晶成長装置は、図14に示す結晶成長装置100Dであってもよい。図14を参照して、結晶成長装置100Dは、図13に示す結晶成長装置100Cの配管301を配管304に代え、加熱装置61を加熱装置62に代えたものであり、その他は、結晶成長装置100Cと同じである。
【0165】
結晶成長装置100Dにおいては、ポーラスプラグ40は、配管304内に設置され、ガス供給管80は、配管304の空間305に連結される。
【0166】
配管304は、直線形状からなり、反応容器10の蓋部12の近傍で外部反応容器20に連結される。金属融液193は、金属Na融液からなり、外部反応容器20内の空間21に連通する配管304内の空間305にポーラスプラグ40によって保持される。
【0167】
加熱装置62は、配管304に対向して配置され、金属融液193と空間306との気液界面8を800℃に加熱する。この場合、ポーラスプラグ40の温度は、金属融液193が実質的に蒸発しない温度に設定される。
【0168】
結晶成長装置100Dを用いてGaN結晶を成長させる場合、グローブボックスを用いてArガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10内に入れ、Arガス雰囲気中で金属Naを配管304の空間306に入れる。そして、反応容器10内の空間13、外部反応容器20内の空間21および配管304内の空間305,306をArガスで充填した状態で反応容器10、外部反応容器20および配管304を結晶成長装置100Dに設置する。
【0169】
そして、実施の形態1において説明した方法によって、反応容器10、外部反応容器20および配管304内の真空引きと、反応容器10、外部反応容器20および配管304内への窒素ガスの充填とを数回繰り返す。
【0170】
その後、真空ポンプ150によって反応容器10、外部反応容器20および配管304内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ140を閉じ、バルブ90,91を開けて圧力調整器110によって反応容器10、外部反応容器20および配管304内の圧力が10〜50気圧の範囲になるように反応容器10、外部反応容器20および配管304へ窒素ガスを充填する。
【0171】
そして、圧力センサー160によって検出した圧力が10〜50気圧になった時点でバルブ90を閉じる。この時点では、反応容器10、外部反応容器20および配管304の温度は室温であるので、配管304内の金属Naは、固体である。したがって、配管304の空間305へ供給された窒素ガスは、ポーラスプラグ40の気孔を介して外部反応容器20および反応容器10内にも拡散し、空間13,21,305,306の圧力は、容易に一致する。
【0172】
反応容器10、外部反応容器20および配管304への窒素ガスの充填が終了すると、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20を800℃に加熱するとともに、加熱装置62によって気液界面8を800℃に加熱し、その後、数十時間〜数百時間、反応容器10、外部反応容器20および気液界面8の温度を800℃に保持する。
【0173】
反応容器10に入れられた金属Naおよび金属Gaは、反応容器10が加熱される過程で融け、反応容器10内で混合融液180が生成される。また、配管304内の金属Naは、配管304が加熱される過程で融け、金属融液193が配管304内で生成される。そうすると、反応容器10、外部反応容器20および配管304内の窒素ガスは、バルブ90,140が閉じており、金属融液193を通過できないため、空間13,21,306内に閉じ込められる。
【0174】
そして、GaN結晶の成長が進行するに伴って、混合融液180および金属融液193から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気および窒素ガスが空間13,21,306内に閉じ込められる。この場合、空間13,21,306における金属Na蒸気の圧力は、0.45気圧である。また、GaN結晶の成長が進行するに伴って、空間13内の窒素ガスが消費され、反応容器10内の圧力P1が配管304の空間305内の圧力P6よりも低くなると(P1<P6)、配管304の空間305内に存在する窒素ガスは、ポーラスプラグ40および金属融液193を介して空間13,21,306内へ導入される。
【0175】
その結果、図1に示す結晶成長装置100と同じように、高品質、大型、および均一なGaN結晶を実現できる。
【0176】
なお、結晶成長装置100Dを用いてGaN結晶を製造する製造方法は、図2に示すフローチャートと同じフローチャートからなる。この場合、ステップS2において、金属Naは、Arガス雰囲気中で配管304の空間306内に入れられる。また、ステップS3において、反応容器10、外部反応容器20および配管304内へ窒素ガスが所定の圧力(10〜50気圧)まで充填される。さらに、ステップS4において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面8が800℃に加熱され、ステップS6において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面8の温度が800℃に保持され、ステップS7において、反応容器10、外部反応容器20および配管304の温度が降温される。
【0177】
また、結晶成長装置100Dにおいては、空間306と金属融液193との気液界面8または気液界面8付近における温度T7が気液界面5または気液界面5付近における温度T2以上に設定されてGaN結晶の製造が行なわれる。温度T7が温度T2以上に設定されるのは、実施の形態1において温度T1が温度T2以上に設定される理由と同じである。
【0178】
さらに、結晶成長装置100Dにおいては、加熱装置62は、配管304内の金属Naが液体になり、気液界面8が800℃よりも低い温度になるように配管304を加熱するようにしてもよい。
【0179】
さらに、結晶成長装置100Dにおいては、ポーラスプラグ40に代えてポーラスプラグ41を用いてもよい。
【0180】
さらに、結晶成長装置100Dにおいては、金属融液193がポーラスプラグ40,41の空間306側の端面の全面に接するように、ポーラスプラグ40,41が設置される配管304の一部分を配管304の他の部分よりも細くしてもよい。
【0181】
図15は、実施の形態4による結晶成長装置のさらに他の概略断面図である。実施の形態4による結晶成長装置は、図15に示す結晶成長装置100Eであってもよい。図15を参照して、結晶成長装置100Eは、図13に示す結晶成長装置100Cから金属融液192を削除したものであり、その他は、結晶成長装置100Cと同じである。
【0182】
結晶成長装置100Eにおいては、加熱装置61は、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱された後に配管301内の一部の領域307を800℃に加熱する。
【0183】
図16は、図15に示す反応容器10、外部反応容器20および配管301の一部の領域307の温度変化を示す図である。図16において、曲線k1は、反応容器10および外部反応容器20の温度変化を示し、図3に示す温度変化と同じである。また、曲線k2は、配管301の一部の領域307の温度変化を示す。
【0184】
図16を参照して、加熱装置61は、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱されるタイミングt2になると、配管301の一部の領域307を加熱し始め、タイミングt3で配管301の一部の領域307を800℃に加熱する。そして、加熱装置61は、タイミングt3以降、配管301の一部の領域307を800℃に保持する(曲線k2参照)。
【0185】
反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱され、混合融液180の温度が800℃になると、タイミングt2以降、混合融液180中でGaN結晶の成長が開始されるとともに、金属Naが混合融液180から蒸発し始める。そうすると、反応容器10内における金属Na蒸気が増加し、空間13内の金属Na蒸気は、本体部11と蓋部12との空隙を介して空間21,303へ拡散する。
【0186】
この場合、加熱装置61は、配管301を加熱していないため、ポーラスプラグ40の温度は室温である。したがって、空間303内へ拡散した金属Na蒸気は、配管301内で冷却され、図13に示す金属融液192のように金属融液もしくは固体となってポーラスプラグ40上に溜まる。そして、空間13から空間303への金属Na蒸気の拡散は、空間13,21,303において金属Na蒸気が平衡状態になるまで継続される。つまり、空間13から空間303への金属Na蒸気の拡散は、気液界面5における温度T2と気液界面7における温度T6とが略一致するまで、すなわち、気液界面7における温度T6が気液界面5における温度T2に一致するタイミングt3まで継続される。
【0187】
そして、タイミングt3以降、空間13,21,303内における金属Na蒸気が平衡状態に達すると、混合融液180からの金属Naの蒸発が抑制され、混合融液180中で大きなGaN結晶が成長する。
【0188】
結晶成長装置100Eを用いてGaN結晶を成長させる場合、グローブボックスを用いてArガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10内に入れる。そして、反応容器10内の空間13、外部反応容器20内の空間21および配管301内の空間302,303をArガスで充填した状態で反応容器10、外部反応容器20および配管301を結晶成長装置100Eに設置する。
【0189】
そして、実施の形態1において説明した方法によって、反応容器10、外部反応容器20および配管301内の真空引きと、反応容器10、外部反応容器20および配管301内への窒素ガスの充填とを数回繰り返す。
【0190】
その後、真空ポンプ150によって反応容器10、外部反応容器20および配管301内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ140を閉じ、バルブ90,91を開けて圧力調整器110によって反応容器10、外部反応容器20および配管301内の圧力が10〜50気圧の範囲になるように反応容器10、外部反応容器20および配管301へ窒素ガスを充填する。
【0191】
反応容器10、外部反応容器20および配管301への窒素ガスの充填が終了すると、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20を800℃に加熱し、反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱されると、加熱装置61によって配管301の一部の領域307を800℃に加熱し、その後、数十時間〜数百時間、反応容器10、外部反応容器20および一部の領域307の温度を800℃に保持する。
【0192】
反応容器10に入れられた金属Naおよび金属Gaは、反応容器10が加熱される過程で融け、反応容器10内で混合融液180が生成される。そして、混合融液180から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気が空間13、空間21および空間303へ拡散する。
【0193】
そうすると、空間303内へ拡散した金属Na蒸気は、上述したように、金属融液192となってポーラスプラグ40上に溜まる。その後、配管301内の気液界面7が800℃になると、空間13,21,303における金属Na蒸気が平衡状態になり、金属Na蒸気の空間13から空間303への拡散が停止される。
【0194】
そうすると、反応容器10、外部反応容器20および配管301内の窒素ガスは、バルブ90,140が閉じており、金属融液192を通過できないため、空間13,21,303内に閉じ込められる。
【0195】
そして、GaN結晶の成長が進行するに伴って、混合融液180および金属融液192から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気および窒素ガスが空間13,21,303内に閉じ込められる。この場合、空間13,21,303における金属Na蒸気の圧力は、0.45気圧である。また、GaN結晶の成長が進行するに伴って、空間13内の窒素ガスが消費され、反応容器10内の圧力P1が配管301の空間303内の圧力P5よりも低くなると(P1<P5)、配管301の空間302内に存在する窒素ガスは、ポーラスプラグ40および金属融液192を介して空間13,21,303内へ導入される。
【0196】
その結果、図1に示す結晶成長装置100と同じように、高品質、大型、および均一なGaN結晶を実現できる。
【0197】
なお、結晶成長装置100Eを用いてGaN結晶を製造する製造方法は、図2に示すフローチャートからステップS2を削除したフローチャートからなる。この場合、ステップS3において、反応容器10、外部反応容器20および配管301内へ窒素ガスが所定の圧力(10〜50気圧)まで充填される。また、ステップS4において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面7が800℃に加熱され、ステップS6において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面7の温度が800℃に保持され、ステップS7において、反応容器10、外部反応容器20および配管301の温度が降温される。
【0198】
その他は、結晶成長装置100Cと同じである。
【0199】
図17は、実施の形態4による結晶成長装置のさらに他の概略断面図である。実施の形態4による結晶成長装置は、図17に示す結晶成長装置100Fであってもよい。図17を参照して、結晶成長装置100Fは、図14に示す結晶成長装置100Dから金属融液193を削除したものであり、その他は、結晶成長装置100Dと同じである。
【0200】
結晶成長装置100Fにおいては、加熱装置62は、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱された後に配管304内の一部の領域308を800℃に加熱する。この場合、加熱装置62は、図16に示す曲線k2に従って一部の領域308を800℃に加熱する。
【0201】
結晶成長装置100Fを用いてGaN結晶を成長させる場合、グローブボックスを用いてArガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10内に入れる。そして、反応容器10内の空間13、外部反応容器20内の空間21および配管304内の空間305,306をArガスで充填した状態で反応容器10、外部反応容器20および配管304を結晶成長装置100Fに設置する。
【0202】
そして、実施の形態1において説明した方法によって、反応容器10、外部反応容器20および配管304内の真空引きと、反応容器10、外部反応容器20および配管304内への窒素ガスの充填とを数回繰り返す。
【0203】
その後、真空ポンプ150によって反応容器10、外部反応容器20および配管304内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ140を閉じ、バルブ90,91を開けて圧力調整器110によって反応容器10、外部反応容器20および配管304内の圧力が10〜50気圧の範囲になるように反応容器10、外部反応容器20および配管304へ窒素ガスを充填する。
【0204】
反応容器10、外部反応容器20および配管304への窒素ガスの充填が終了すると、加熱装置50,60によって反応容器10および外部反応容器20を800℃に加熱し、反応容器10および外部反応容器20が800℃に加熱されると、加熱装置62によって配管304の一部の領域308を800℃に加熱し、その後、数十時間〜数百時間、反応容器10、外部反応容器20および一部の領域308の温度を800℃に保持する。
【0205】
反応容器10に入れられた金属Naおよび金属Gaは、反応容器10が加熱される過程で融け、反応容器10内で混合融液180が生成される。そして、混合融液180から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気が空間13、空間21および空間306へ拡散する。
【0206】
そうすると、空間306内へ拡散した金属Na蒸気は、上述したように、金属融液193となってポーラスプラグ40上に溜まる。その後、配管304内の気液界面8が800℃になると、空間13,21,306における金属Na蒸気が平衡状態になり、金属Na蒸気の空間13から空間306への拡散が停止される。
【0207】
そうすると、反応容器10、外部反応容器20および配管304内の窒素ガスは、バルブ90,140が閉じており、金属融液193を通過できないため、空間13,21,306内に閉じ込められる。
【0208】
そして、GaN結晶の成長が進行するに伴って、混合融液180および金属融液193から金属Naが蒸発し、金属Na蒸気および窒素ガスが空間13,21,306内に閉じ込められる。この場合、空間13,21,306における金属Na蒸気の圧力は、0.45気圧である。また、GaN結晶の成長が進行するに伴って、空間13内の窒素ガスが消費され、反応容器10内の圧力P1が配管304の空間306内の圧力P6よりも低くなると(P1<P6)、配管304の空間305内に存在する窒素ガスは、ポーラスプラグ40および金属融液193を介して空間13,21,306内へ導入される。
【0209】
その結果、図1に示す結晶成長装置100と同じように、高品質、大型、および均一なGaN結晶を実現できる。
【0210】
なお、結晶成長装置100Fを用いてGaN結晶を製造する製造方法は、図2に示すフローチャートからステップS2を削除したフローチャートからなる。この場合、ステップS3において、反応容器10、外部反応容器20および配管304内へ窒素ガスが所定の圧力(10〜50気圧)まで充填される。また、ステップS4において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面8が800℃に加熱され、ステップS6において、反応容器10、外部反応容器20および気液界面8の温度が800℃に保持され、ステップS7において、反応容器10、外部反応容器20および配管304の温度が降温される。
【0211】
その他は、結晶成長装置100Dと同じである。
【0212】
なお、上述した実施の形態1から実施の形態4においては、結晶成長温度は、800℃であると説明したが、この発明においては、これに限らず、結晶成長温度は、600℃以上であればよい。また、窒素ガス圧力も数気圧以上の加圧状態の本結晶成長方法で成長可能な圧力あればよい。すなわち、上限も本実施の形態の50気圧に限定されるものではなく、50気圧以上の圧力であってもよい。
【0213】
また、上記においては、Arガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10,210に入れ、Arガス雰囲気中で金属Naを反応容器10,210および外部反応容器20,220間に入れると説明したが、この発明においては、これに限らず、He、NeおよびKr等のArガス以外のガスまたは窒素ガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10,210に入れ、Arガス以外のガスまたは窒素ガス雰囲気中で金属Naを反応容器10,210および外部反応容器20,220間または配管301,304内に入れてもよく、一般的には、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを反応容器10,210に入れ、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気中で金属Naを反応容器10,210および外部反応容器20,220間または配管301,304内に入れればよい。そして、この場合、不活性ガスまたは窒素ガスは、水分量が10ppm以下であり、かつ、酸素量が10ppm以下である。
【0214】
さらに、GaN結晶の結晶成長中にポーラスプラス40,41を介して反応容器10内へ供給される窒素ガスも、水分量および酸素量が10ppm以下である。
【0215】
さらに、金属Gaと混合する金属は、Naであると説明したが、この発明においては、これに限らず、リチウム(Li)およびカリウム(K)等のアルカリ金属、またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属を金属Gaと混合して混合融液180を生成してもよい。そして、これらのアルカリ金属が溶けたものは、アルカリ金属融液を構成し、これらのアルカリ土類金属が溶けたものは、アルカリ土類金属融液を構成する。
【0216】
さらに、窒素ガスに代えて、アジ化ナトリウムおよびアンモニア等の窒素を構成元素に含む化合物を用いてGaN結晶を製造してもよい。そして、これらの化合物は、窒素原料ガスを構成する。
【0217】
さらに、Gaに代えて、ボロン(B)、アルミニウム(Al)およびインジウム(In)等のIII族金属を用いてもよい。
【0218】
したがって、この発明による結晶成長装置または製造方法は、一般的には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とIII族金属(ボロンを含む)との混合融液を用いてIII族窒化物結晶を製造するものであればよい。
【0219】
そして、この発明による結晶成長装置または製造方法を用いて製造したIII族窒化物結晶は、発光ダイオード、半導体レーザ、フォトダイオードおよびトランジスタ等のIII族窒化物半導体デバイスの作製に用いられる。
【0220】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0221】
この発明は、アルカリ金属の外部への蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を結晶成長する結晶成長装置に適用される。また、この発明は、アルカリ金属の外部への蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を製造する製造方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】この発明の実施の形態1による結晶成長装置の概略断面図である。
【図2】GaN結晶の製造方法を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。
【図3】反応容器および外部反応容器の温度のタイミングチャートである。
【図4】図3に示す2つのタイミングt1,t2間における反応容器および外部反応容器内の状態を示す模式図である。
【図5】図2に示すステップS5における反応容器および外部反応容器内の状態を示す模式図である。
【図6】実施の形態1による結晶成長装置の他の概略断面図である。
【図7】実施の形態2による結晶成長装置の概略断面図である。
【図8】図7に示す結晶成長装置におけるGaN結晶の成長の1つの過程を示す模式図である。
【図9】GaN結晶の製造方法を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。
【図10】実施の形態3による結晶成長装置の概略断面図である。
【図11】図10に示す結晶成長装置におけるGaN結晶の成長過程の一部を示す第1の模式図である。
【図12】図10に示す結晶成長装置におけるGaN結晶の成長過程の一部を示す第2の模式図である。
【図13】実施の形態4による結晶成長装置の概略断面図である。
【図14】実施の形態4による結晶成長装置の他の概略断面図である。
【図15】実施の形態4による結晶成長装置のさらに他の概略断面図である。
【図16】図15に示す反応容器、外部反応容器および配管の一部の領域の温度変化を示す図である。
【図17】実施の形態4による結晶成長装置のさらに他の概略断面図である。
【符号の説明】
【0223】
1,2 気液界面、3 窒素ガス、4 金属Na蒸気、10,210 反応容器、11 本体部、12 蓋部、13,21,213,221 空間、20,220 外部反応容器、20A 外周面、20B,210B 底面、30 配管、40,41 ポーラスプラグ、50,60,230,240 加熱装置、70,80,250,260 ガス供給管、90,91,140,270,280,330,340 バルブ、100,100A,100B,200 結晶成長装置、110,290 圧力調整器、120,300 ガスボンベ、130,310,320 排気管、150,350 真空ポンプ、160,360,370 圧力センサー、170 金属融液、180 混合融液、171,181,191 泡、190 金属Na融液、210A 外周面、211,212 容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する反応容器と、
前記反応容器内の前記混合融液に接する容器空間内のアルカリ金属蒸気が外部空間へ流出する経路上に金属融液を表面張力により保持するとともに、外部から供給された窒素原料ガスを前記容器空間と前記外部空間との間の差圧により前記金属融液を介して前記反応容器内へ供給する多孔質部材と、
前記混合融液を結晶成長温度に加熱する加熱装置とを備える結晶成長装置。
【請求項2】
前記金属融液は、前記混合融液と異なる、請求項1に記載の結晶成長装置。
【請求項3】
前記金属融液は、アルカリ金属融液からなる、請求項2に記載の結晶成長装置。
【請求項4】
前記反応容器の周囲を覆う外部反応容器をさらに備え、
前記多孔質部材は、前記金属融液を前記外部反応容器と前記反応容器との間に保持する、請求項2または請求項3に記載の結晶成長装置。
【請求項5】
前記多孔質部材の温度は、前記金属融液が実質的に蒸発しない温度に設定される、請求項4に記載の結晶成長装置。
【請求項6】
重力方向において前記反応容器の下側で前記外部反応容器に連結された配管をさらに備え、
前記多孔質部材は、前記外部反応容器と前記配管との連結部よりも下方の前記配管内に配置される、請求項5に記載の結晶成長装置。
【請求項7】
前記外部空間から前記多孔質部材に前記窒素原料ガスを供給するガス供給装置をさらに備える、請求項5または請求項6に記載の結晶成長装置。
【請求項8】
前記容器空間に連通する前記外部反応容器内の空間と前記金属融液との第1の界面または該第1の界面付近における第1の温度は、前記容器空間と前記混合融液との第2の界面または該第2の界面付近における第2の温度以上である、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の結晶成長装置。
【請求項9】
前記第1の温度は、前記第2の温度に略一致する、請求項8に記載の結晶成長装置。
【請求項10】
前記金属融液は、前記混合融液と同じである、請求項1に記載の結晶成長装置。
【請求項11】
前記多孔質部材は、前記混合融液に接して設けられる、請求項10に記載の結晶成長装置。
【請求項12】
前記反応容器は、
前記多孔質部材からなり、前記混合融液を保持する第1の容器と、
前記第1の容器に接して設けられ、前記混合融液および気体の通過を阻止する第2の容器とからなる、請求項11に記載の結晶成長装置。
【請求項13】
前記反応容器の周囲を覆う外部反応容器と、
前記反応容器と前記外部反応容器との間の圧力が前記容器空間における圧力に略一致するように、前記窒素原料ガスを前記反応容器と前記外部反応容器との間に供給するガス供給装置とをさらに備える、請求項12に記載の結晶成長装置。
【請求項14】
前記多孔質部材は、金属またはセラミックスの焼結体からなる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の結晶成長装置。
【請求項15】
前記多孔質部材は、金属ワイヤーの集合体からなる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の結晶成長装置。
【請求項16】
結晶成長装置を用いてIII族金属窒化物結晶を製造する製造方法であって、
前記結晶成長装置は、
アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する反応容器と、
前記反応容器内の前記混合融液に接する容器空間内のアルカリ金属蒸気が外部空間へ流出する経路上に金属融液を表面張力により保持するとともに、外部から供給された窒素原料ガスを前記容器空間と前記外部空間との間の差圧により前記反応容器内へ供給する多孔質部材とを備え、
前記製造方法は、
不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気中で前記アルカリ金属および前記III族金属を前記反応容器内に入れる第1の工程と、
前記容器空間に前記窒素原料ガスを充填する第2の工程と、
前記反応容器を結晶成長温度に加熱する第3の工程と、
所定の時間、前記反応容器の温度を前記結晶成長温度に保持する第4の工程と、
前記容器空間内の圧力が所定の圧力に保持されるように前記多孔質部材を介して前記窒素原料ガスを前記反応容器内へ供給する第5の工程とを備える製造方法。
【請求項17】
前記金属融液は、前記混合融液と同じである、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記結晶成長装置は、前記反応容器の周囲を覆う外部反応容器をさらに備え、
前記金属融液は、前記反応容器と前記外部反応容器との間に配置され、
前記製造方法は、
前記不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気中で前記金属融液用の金属を前記反応容器と前記外部反応容器との間に入れる第6の工程と、
前記反応容器と前記外部反応容器との間を前記金属融液用の金属が液体になる温度に加熱する第7の工程とをさらに備える、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
前記製造方法は、前記多孔質部材の温度を前記金属融液が前記多孔質部材を介して実質的に蒸発しない温度に保持する第8の工程をさらに備える、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記結晶成長装置は、前記反応容器の周囲を覆う外部反応容器をさらに備え、
前記金属融液は、前記反応容器と前記外部反応容器との間に配置され、
前記製造方法は、前記多孔質部材の温度を前記金属融液が前記多孔質部材を介して実質的に蒸発しない温度に保持する第6の工程をさらに備える、請求項16に記載の製造方法。
【請求項21】
前記金属融液は、前記混合融液と異なる、請求項18から請求項20のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項22】
前記金属融液は、アルカリ金属融液である、請求項21に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−45664(P2007−45664A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231762(P2005−231762)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000224754)核燃料サイクル開発機構 (51)
【Fターム(参考)】