絞り成形食品の成形装置及び方法
【課題】本発明は、手作りと同様の彫りの深い絞り模様が表面全体に形成されるとともに複数の食材を組み合せた多彩な絞り成形食品を効率よく成形することが可能な成形装置及び方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】成形装置1は、基台3の上部には、食材供給機構4が設置されており、食材供給機構4には棒状成形機構7が接続され、その下方に絞り機構2が取り付けられている。棒状成形機構7では、第二食材F2を内ノズル71から棒状に連続形成し、内ノズル71を外ノズル70内で上下動させることで外ノズル70から第一食材F1を吐出又は停止させて、所定の長さずつ間欠成形する。そして、食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体の内部に供給し、第一絞りシャッタ20によりシート体を絞ることで通過領域を閉鎖した後、第二絞りシャッタ21により食材をシート体で絞るように切断する。
【解決手段】成形装置1は、基台3の上部には、食材供給機構4が設置されており、食材供給機構4には棒状成形機構7が接続され、その下方に絞り機構2が取り付けられている。棒状成形機構7では、第二食材F2を内ノズル71から棒状に連続形成し、内ノズル71を外ノズル70内で上下動させることで外ノズル70から第一食材F1を吐出又は停止させて、所定の長さずつ間欠成形する。そして、食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体の内部に供給し、第一絞りシャッタ20によりシート体を絞ることで通過領域を閉鎖した後、第二絞りシャッタ21により食材をシート体で絞るように切断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の表面に絞り模様が形成された絞り成形食品の成形装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、茶巾絞りに代表される種々の絞り成形食品が提供されている。茶巾絞りとは、アズキ、サツマイモ、ユリネ、クリといった食材を蒸したり茹でたりした後すりつぶして餡状に加工し、所定量ずつ麻布等の茶巾(又は布巾)で包み込んで絞り、絞り模様を付したものである。
【0003】
こうした茶巾絞りによる食材の成形はひとつひとつ手作りで行われるため、手間がかかるとともに仕上がりにバラツキが生じやすく生産効率が悪いといった課題があった。特許文献1では、茶巾絞りによる食材の成形を機械化する試みがなされており、棒状食品を囲み膜内に導き、複数のシャッター体を駆動して成形切断領域を拡縮することで、囲み膜を介して棒状食品を切断するようにした点が記載されている。また、特許文献2では、シャッターシートの中央に外皮材及び中心材を配置してシャッターシートで包み、シャッターシートを回動手段により捻ることで絞り成形するようにした点が記載されている。
【特許文献1】特許第2537751号公報
【特許文献2】実開昭60−10477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された成形方法では、切断された食材の表面に囲み膜による絞り目が形成されるものの、手作りで成形された茶巾絞りのように彫りの深い絞り模様を形成することが困難であった。すなわち、手作りの場合には食材を茶巾により包み込んで絞るようにしているが、特許文献1では、囲み膜で食材を包み込むことはなく、囲み膜を介して切断するだけなので、上面の頂上のみに凹凸模様が形成されるが、手作りのように表面全体に彫りの深い絞り模様は形成できない。
【0005】
また、特許文献2では、手作りと同様にシャッターシートにより食材を包み込んで捻るようにしているが、粘着性のある食材の場合にはシャッターシートから容易に分離できず、取り出し時に形が崩れてしまう場合がある。
【0006】
本発明者らは、こうした課題を解決するために新規な絞り成形食品の成形装置を提案している(特願2006−284371号参照)。こうした新規な成形装置を用いることで彫りの深い絞り模様を形成した食品を安定して量産することが可能となったが、茶巾絞りに代表される絞り成形食品は1つの食材を用いて絞り成形しているため、バリエーションに乏しい食品であった。上述した新規な成形装置においては複数の食材を用いて包餡された茶巾絞り等の新規な成形食品を成形することが可能となったが、外観上は従来のものと同様である。
【0007】
そこで、本発明は、手作りと同様の彫りの深い絞り模様が表面全体に形成されるとともに複数の食材を組み合せた多彩な絞り成形食品を効率よく成形することが可能な成形装置及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る絞り成形食品の成形装置は、第一食材を吐出する外ノズル手段と、前記外ノズル手段の内部に配置され第二食材を吐出する内ノズル手段と、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形する棒状成形手段と、棒状成形された前記食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体と、棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り成形手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記絞り成形手段は、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えた第一絞り手段と、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えるとともに前記第一絞り手段よりも上方に所定間隔を空けて配置された第二絞り手段と、前記第一絞り手段の絞り部材を動作させて前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖するとともに前記第二絞り手段の絞り部材を動作させて棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り制御手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記第一絞り手段の下方には、切断された前記食材を支持する支持部材と、前記支持部材を切断された前記食材の底面に当接するように上下動させる支持制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る絞り成形食品の成形方法は、第一食材を吐出する外ノズル手段の内部に第二食材を吐出する内ノズル手段を配置し、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形し、棒状成形された前記食材をその通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体の内部に供給し、前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖した後棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のような構成を有することで、内ノズル手段から連続吐出される第二食材の周囲を被覆するように第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形し、棒状成形された食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体を用いて当該シート体で絞ることにより棒状成形された食材の第一食材が被覆されていない部分を切断するようにしているので、第二食材の周囲を部分的に第一食材が被覆した状態で成形することができ、例えば、第一食材及び第二食材として異なる色合いのものを組み合せれば、従来のものに比べてバリエーションに富んだ絞り成形食品を成形することが可能となる。図13に示すように、成形品の上部に第二食材を表出させてそれ以外の下方の部分に第一食材で被覆するように成形すれば、花模様の色合いの絞り食品に仕上げることができる。
【0011】
また、伸縮可能なシート体を第一絞り手段で絞ることで通過領域を閉鎖し、第一絞り手段より上方に配置した第二絞り手段でシート体を絞ることで食材を切断するようにしたので、切断された食材が第一絞り手段及び第二絞り手段の間でシート体により包み込まれた状態となって絞られるようになり、手作りと同様に、上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様を形成することができる。
【0012】
すなわち、第一絞り手段がシート体を絞ることでシート体に皺が寄った状態で通過領域が閉鎖されるようになり、また、棒状に連続形成された食材の先端部が第二絞り手段により所定量で切断される際にもシート体が絞られて皺が寄った状態となるため、上下を第一絞り手段及び第二絞り手段により絞られたシート体の部分には全体に皺が寄った状態が実現される。そして、第一絞り手段と第二絞り手段との間には所定間隔だけ空けられているため、切断された食材は上下を第一絞り手段及び第二絞り手段により閉鎖されたシート体内部に充填された状態となってシート体の皺の寄った部分が圧接され、切断された食材の上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様が形成されるようになる。
【0013】
その際に、シート体は伸縮可能であるため、切断された食材の量に応じて膨らむこともでき、切断された食材は全体として丸みのある形状に成形される。また、第二絞り手段によりシート体で絞りながら切断された食材の上面部分では食材が角状に突出した形状となり、茶巾絞り特有の形状に仕上げることができる。一方、食材の下面部分では予め第一絞り手段により絞られた状態のシート体が当接するため、突出した形状とはならない。
【0014】
こうして成形された成形品は、第一絞り手段の絞り動作を解除することで、シート体が開いて下方へ取り出し可能となり、食材の成形から取り出しまでの一連の動作を短時間で効率よく行うことができる。
【0015】
また、第一絞り手段の下方に、切断された食材を支持する支持部材と、支持部材を切断された食材の下面に当接するように上下動させる支持制御手段とを備えることで、第一絞り手段の絞り動作が解除されてシート体が開く際に支持部材を上昇させて食材を受けることができ、成形品が型崩れすることなく安定した状態で取り出すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、絞り成形食品の成形装置1に関する全体正面図である。成形装置1は、基台3の上部には、食材供給機構4及び棒状成形機構7が設置されており、食材供給機構4の下方に絞り機構2が取り付けられている。絞り機構2の下方には、成形品を搬送するためのベルトコンベヤ5及びコンベヤベルト50を介して成形品を支持する支持機構6が取り付けられている。
【0018】
食材供給機構4は、食材がホッパ40に投入されると、ホッパ40内のスクリュ(図示せず)により下方に送入されてベーンポンプ41から棒状成形部42に圧送される。そして、後述するように、棒状成形機構7から食材が棒状に連続形成されて絞り機構2に供給されるようになる。図1では、ホッパ40及びベーンポンプ41が2つずつ設けられており、それぞれのホッパ40には、異なる色合いの第一食材F1及び第二食材F2が投入されるするようになっている。
【0019】
図2は、棒状成形機構7及び絞り機構2に関する概略断面図である。棒状成形機構7は、下方に外ノズル70及び内ノズル71からなる二重ノズルを備えており、内ノズル71は外ノズル70の内部に配置されて、その下端の開口は外ノズル70の開口に対して同心円状になるように設定されている。
【0020】
内ノズル71は、可動管路部材72の下端開口部72aに取付固定されており、可動管路部材72の側部開口部72bが一方のベーンポンプ41に接続する供給管路42と連通するように取り付けられる。
【0021】
可動管路部材72は、円筒状に形成されており、下端開口部72a及び側部開口部72b以外は内部に連通する開口は形成されておらず、上部に取付台部72cが設けられている。そして、可動管路部材72は、供給管路42及び43の間に形成された取付開口部44に上部から挿入されて上下方向に摺動可能に取り付けられる。可動管路部材72の上部の外周面には取付開口部44との間にシール部材が設けられて食材が漏出しないようになっている。
【0022】
可動管路部材72の上方には、基台3の上部に設けられた取付基台74にエアシリンダからなる駆動部75が載置固定されている。駆動部75の下方に延設された駆動ロッド76の下端は可動管路部材72の取付台部72cに固定されている。したがって、駆動部75により駆動ロッド76を駆動することで可動管路部材72を上下動させることができる。可動管路部材72が上下動する際に、側部開口部72bが供給管路42に対してずれるようになるが、供給管路42が外部や供給管路43と連通することがないように側部開口部72bの開口形状が形成されている。
【0023】
内ノズル71の下端開口の外周縁は、外ノズル70の下端開口の内周面と同じ径かわずかに大きい径に設定されており、可動管路部材72が下降して内ノズル71が外ノズル72の内周面に当接した状態では、図3に示すように、外ノズル71の下端開口が密閉された状態となって第一食材F1の吐出が一時的に停止されるようになる。
【0024】
外ノズル72は、他方のベーンポンプ41に接続する供給管路43と連通する連通管路73の下端開口部73aに接続されている。
【0025】
第二食材F2は、供給管路42から可動管路部材72内に圧送されて内ノズル71から連続吐出され、連続した棒状に成形されるようになる。第一食材F1は、供給管路43から連通管路73に圧送されて外ノズル70から吐出されるようになる。そして、可動管路部材72が上昇して内ノズル71が外ノズル70から離間した開放位置(図2参照)に位置決めされた場合には、外ノズル70から第一食材F1が吐出されて、棒状に成形された第二食材F2の外周面を被覆するように円筒状に成形される。可動管路部材72が下降して内ノズル71が外ノズル70に当接した閉鎖位置(図3参照)に位置決めされた場合には、外ノズル70からの第一食材F1の吐出は一時的に停止されて、第二食材F2は第一食材F1に被覆されないまま連続吐出されていくようになる。
【0026】
したがって、所定のタイミングで繰返し可動管路部材72を上下動させて閉鎖位置及び開放位置に交互に位置決めすれば、棒状成形された第二食材F2の外周面を被覆するように第一食材F1が円筒状に間欠成形されるようになる。
【0027】
そして、第二食材F2の外周面に第一食材F1により被覆される部分の長さは、後述する絞り機構2の間隔調整部材22により設定される間隔とほぼ一致するか短くなるように設定すればよく、また、第一食材F1が被覆されていない部分の間隔は、後述する第二絞りシャッタ21のシャッタ片211の厚さとほぼ一致するか広くなるように設定することが望ましい。第二食材F2の外周面に被覆される第一食材F1の長さ及び被覆されていない部分の間隔は、成形する食品にどの程度第二食材F2を表出させるかによって設定すればよい。
【0028】
こうした第一食材F1の吐出制御にための可動管路部材72の移動制御は、駆動部75を図示せぬ制御装置により駆動制御される。
【0029】
そして、棒状成形機構7で棒状成形された食材は、下方の絞り機構2に供給される。なお、外ノズル70及び内ノズル71の下端開口は、成形する食品の形状に合せて、例えば、円形の他に、楕円形等の様々な形状にすることができる。
【0030】
絞り機構2は、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21を備えており、2つのシャッタの間には間隔調整部材22が配設されている。第一絞りシャッタ20は、6つのシャッタ片201を備えており、各シャッタ片201は、駆動軸23に取り付けられて駆動軸23を中心に往復揺動するようになっている。第二絞りシャッタ21は、6つのシャッタ片211を備えており、各シャッタ片211は、駆動軸23と同心状に設けられたた駆動中空軸24に取り付けられて駆動中空軸24を中心に往復揺動するようになっている。
【0031】
図4は、図2の平面Sにおける平面図で、第一絞りシャッタ20のシャッタ駆動機構を示している。図4(a)は、6つのシャッタ片201が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片201が取り付けられた各駆動軸23の上端部は、フレーム25の上面に回動可能に軸支されており、フレーム25内には、各駆動軸23の上部に円形のフランジ202がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ202同士は、リンク203が枢着されて連結されており、1つのリンク203が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸204に枢着されている。
【0032】
回転軸204が回転することで、リンク203が連関動作してフランジ202が同期して回動するようになる。図4(a)に示すように各シャッタ片201が開いた状態から、図4(b)に示すように回転軸204を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片201は互いに先端が突き当たるように回動し閉じた状態となる。したがって、回転軸204を所定角度往復回転させることで、各シャッタ片201が往復揺動して開閉するようになる。
【0033】
図4(c)に示すように、各シャッタ片201の一方の端面201Aが凸状に形成されて他方の端面201Bが凹状に形成されており、一方の端面201Aが一方の隣接するシャッタ片201の他方の端面201Bに嵌接し、他方の端面201Bが他方の隣接するシャッタ片201の一方の端面201Aに嵌接するように設定されている。そして、各シャッタ片201の回動により一方の端面201A及び他方の端面201Bが摺接しながら開閉するように動作する。
【0034】
図5は、図2の平面Tにおける平面図で、第二絞りシャッタ21のシャッタ駆動機構を示している。図5(a)は、6つのシャッタ片211が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片211が取り付けられた各駆動中空軸24は、駆動軸23の外周に同心状に回動可能に嵌合しており、フレーム25内において各駆動中空軸24の上部に円形のフランジ212がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ212同士は、リンク213が枢着されて連結されており、1つのリンク213が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸214に枢着されている。
【0035】
回転軸214が回転することで、リンク213が連関動作してフランジ212が同期して回動するようになる。第一絞りシャッタ20と同様に、図5(a)の各シャッタ片211が開いた状態から、図5(b)に示すように回転軸214を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片211は互いに先端が突き当たるように回動し閉じた状態となる。したがって、回転軸214を所定角度往復回転させることで、各シャッタ片211が往復揺動して開閉するようになる。
【0036】
図5(c)に示すように、各シャッタ片211の一方の端面211Aが凸状に形成されて他方の端面211Bが凹状に形成されており、一方の端面211Aが一方の隣接するシャッタ片211の他方の端面211Bに嵌接し、他方の端面211Bが他方の隣接するシャッタ片211の一方の端面211Aに嵌接するように設定されている。そして、各シャッタ片211の回動により一方の端面211A及び他方の端面211Bが摺接しながら開閉するように動作する。
【0037】
各シャッタ片211と各シャッタ片201との間には、リング状の間隔調整部材22がそれぞれ駆動軸23に挿着されており、成形する食品に合せて所定の厚さの間隔調整部材22を取り付ければ、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21の間隔を調整することができる。
【0038】
フレーム25の中央部分には貫通口26が形成されており、貫通口26に上方から外ノズル70及び内ノズル71が挿入されている。そして、貫通口26に対応して第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21の開放時の開口が形成されるようになっている。
【0039】
棒状成形機構7から吐出される食材は棒状に成形されて下方の第一及び第二絞りシャッタに向かって供給される。外ノズル70の周囲には円筒状のシート体9が配設されている。シート体9は、連続形成される食材の通過領域を囲むように下方に延設されており、その上端部は外ノズル70の外周面に固定された空気噴射部8に取付固定され、その下端部は第一絞りシャッタ20の下面に取付固定されている。
【0040】
図6は、外ノズル70及び内ノズル71、空気噴射部8及びシート体9に関する分解斜視図(図6(a))及び組立て状態の斜視図(図6(b))である。シート体9は、伸縮可能な布地を末広がりの円筒状に作成し、その上端開口9a及び下端開口9bの周縁にリング状の金属枠が装着されている。シート体9に用いるシート材料としては、伸縮性のある編地や織地といった布地を用いることができ、その他の伸縮性のあるシート材料を用いてもよい。こうしたシート材料には、予め折目や皺を付けておいてもよい。また、1枚のシート材料を外ノズル70に巻き付けるようにしてシート体9を形成してもよく、複数枚のシート材料を外ノズル70の周囲に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
シート体9の内面側には、食材を分離しやすくするための処理加工しておくことが望ましい。例えば、フッ素加工又はシリコン加工した糸により布地を作成して食材が付着しにくくすればよい。
【0042】
食材がシート体9に付着するのを抑制するために、図1に示すように、シート体9の外周面にアルコールや水等の食材の付着を抑制する液体を噴射する噴射ノズル28a及び28bを絞り機構2に設けるようにしてもよい。そして、シート体9の外周面に噴射ノズル28a及び28bから液体を噴射して食材を付着しにくくすることができる。液体を噴射するタイミングは、絞り動作を行う毎でも数回繰り返す毎でもよく、食材の付着の程度に合わせて設定すればよい。
【0043】
空気噴射部8は、ノズル44に取付固定する取付リング80の下部に環状の通気管路81が固定されており、通気管路81には下面に所定間隔で複数の噴射孔(図示せず)が穿設されている。そして、通気管路81の供給孔部81aから圧縮空気が供給されると、複数の噴射孔から空気が下方に向かって噴射されるようになる。取付リング80の下面には、シート体9の上端開口部9aを係止する複数の係止フック82が設けられており、上端開口部9aを係止フック82に係止することで、図6(b)に示すように、シート体9が通気管路81を覆うようにセットされる。したがって、通気管路81から噴射された空気はシート体9の内面側に沿って流通するようになる。そして、上端開口部9aを係止したシート体9の下端開口部9bを引っ張って、図2に示すように、第一絞りシャッタ20の下面の嵌合部27に嵌め込んで固定する。
【0044】
シート体9の下端開口9bの取付方法としては、図7に示すように、弾性を有する取付紐91の一端部を下端開口9bに固定し、他端部を輪状形成して第一絞りシャッタ20の下面やフレーム25の上面の適当な係止部に係止するようにしてもよい。
【0045】
以上のようにシート体9を取り付けることで、棒状成形機構7から連続形成される棒状の食材の通過領域を囲むようにシート体9が配設され、シート体9を囲むように第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21が配設されるようになる。
【0046】
絞り機構2の下方には、ベルトコンベヤ5が設けられている。ベルトコンベヤ5のコンベヤベルト50は、第一絞りシャッタ20の開口の下方の通過するように配設されており、駆動ローラ51の回転駆動により所定方向に搬送動作するようになっている。そして、第一絞りシャッタ20の開口の下方には、コンベヤベルト50を介して支持部材60が配設されており、支持部材60の両側にコンベヤベルト50を支持する一対の従動ローラ52及び53が設けられている。
【0047】
支持機構6は、支持部材60と、支持部材60を保持する支持ロッド61及び支持ロッド61を上下動する駆動バー62を備えており、駆動モータ(図示せず)により駆動バー62を回動することで支持部材60が上下動する。支持部材60の上下動によりコンベヤベルト50が持ち上げられて絞り機構2の内部にまで上昇するようになる。
【0048】
図8は、支持部材60に関する斜視図である。支持部材60は、支持ロッド61の上端が水平に折れ曲がってコンベヤベルト50の間に設けられた載置部に取付固定されている。支持部材60は、図2の断面図に示すように、凹部に湾曲形成されており、凹部の中央部分60aがわずかに盛り上がるように形成されている。
【0049】
図9から図12は、成形装置1の成形過程を示す第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21の平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構2に関する概略断面図((c)図)である。
【0050】
図9では、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21が開いた状態で、通気管路81の噴射孔から空気が噴射され、第二絞りシャッタ21の切断の際にシート体9の内面に付着した食材及び成形品Hが容易に分離されるようになる。また、絞り皺の付いたシート体9は、噴射された空気により膨らんで皺取りが行われる。
【0051】
まず、第一絞りシャッタ20のシャッタ片201が閉動作を行う。その際、棒状成形機構7から連続形成される棒状の食材の先端が第一絞りシャッタ20に到達する前にシャッタ片201の閉動作が行われる。すなわち、食材の先端部の供給方向下流側(図9では下側)においてシャッタ片201が閉じられて食材の通過領域が閉鎖される。
【0052】
図10では、第一絞りシャッタ20が閉鎖されて予め食材の通過領域が遮断されており、第一絞りシャッタ20の閉鎖によりシート体9が1箇所に集められて絞られることで皺が寄った状態となっている。そして、絞り機構2全体が上昇しながら第二絞りシャッタ21の閉動作が開始される。そのため、シート体9の第一絞りシャッタ20で閉鎖された箇所より上の部分が弛んだ状態となり、第一絞りシャッタ20と第二絞りシャッタ21との間に所定長さの食材が導入される。この場合、棒状成形された第二食材F2の外周面に間欠成形された第一食材F1により被覆されていない部分が第二絞りシャッタ21にほぼ対向するか下方に位置するように食材の導入動作が行なわれる。
【0053】
図11では、第二絞りシャッタ21が閉鎖されてシート体9が1箇所に集められて絞らることで棒状成形された食材が切断される。その際に、絞り機構2は、第二絞りシャッタ21の閉動作に合わせて下降し、棒状成形機構7から連続形成される棒状の食材の供給速度に対応して切断するようになっている。そのため、連続供給される食材が止められることなく切断され、切断された先端部が膨れることを防止する。
【0054】
切断されて分割された食材は、上下を第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21で閉鎖されたシート体9の内部に充填された状態となり、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21で閉鎖されて全体に皺が寄った状態となったシート体に食材が圧接し、皺の間に食材が圧入される。その際に、シート体9が伸縮可能であるため、充填された食材は丸みのある形状に成形される。こうして、食材の上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様が形成されるようになる。そして、切断された食材の外表面には、その下方が第二食材F2により被覆されており、場合によっては上方の一部も第二食材F2により被覆される。絞り模様が形成された後第一絞りシャッタ20が開動作を開始するとともに支持部材60が上昇する。
【0055】
図12では、第一絞りシャッタ20が開いた状態となり、その開いたスペースに支持部材60が上昇して成形品Hの下面にコンベヤベルト50を介して支持部材60の凹部が当接するように設定される。その際に、支持部材60の凹部の中央部分60aが盛り上がっているために、成形品Hの底面が凹んだ状態に形成される。そして、第二絞りシャッタ21が開動作を開始するとともに通気管路81の噴射孔から空気の噴射が開始される。
【0056】
噴射した空気がシート体9の内面に沿って流通してシート体9と食材との間の分離を促すとともに成形品Hを受けた支持部材60が下降する。成形品Hは、コンベヤベルト50の上面に載置された状態で下降し、そのままベルトコンベヤ5により搬送されるようになる。
【0057】
図13は、成形品Hに関する斜視図(図13(a))及び断面図(図13(b))である。成形品H全体として平面視楕円形状に成形されており、上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様が形成されている。こうした全体形状は、外ノズル70及び内ノズル71の下端開口の形状を変えることで、平面視円形状や楕円形状といった種々の形状に成形することができる。そして、成形品Hの高さは、間隔調整部材22の厚さを変更することで調整することができる。また、上面には角状の突起部Jが形成され、下面の中央部分Kが凹状に湾曲形成されており、手作りの茶巾絞りに特有の形状に仕上げることができる。そして、成形品Hの中間から下方は第一食材F1により被覆されており、突起部Jの部分も第一食材F1によりわずかに被覆されている。第一食材F1の間には第二食材F2が表出しており、第一食材F1と異なる色合いの第二食材F2を使用することで、第一食材F1が下方から花びら状に拡がって花模様の色合いを呈するようになる。
【0058】
このように種々の食材を組み合せて様々な色合いや模様を表出させた新規な絞り成形食品を成形することが可能となり、成形可能な食品のバリエーションを格段に拡げることができる。
【0059】
なお、この例では、第二食材F2の周囲に部分的に第一食材F1で被覆するように成形しているが、食材供給機構4に3種類の食材を投入して棒状成形される第二食材F2の中心部に内材用食材を内蔵して成形することで、包餡食品を絞り成形することもできる。図13(c)及び(d)には、包餡成形品H’に関する斜視図及び断面図を示しているが、包餡成形品H’は、餡となる内材用食材Gとそれを被覆する第一食材F1及び第二食材F2から構成され、被覆する食材の外表面全体に彫りの深い絞り模様が形成されている。
【0060】
上述した実施形態では、可動管路部材72を上下動させることで内ノズル71を開放位置又は閉鎖位置に交互に移動させて外ノズル70から第一食材F1を吐出又は停止させるようにしているが、内ノズル71を上下動させて外ノズル70の吐出制御を行うようにしてもよい。
【0061】
図14は、その変形例に関する概略断面図である。図14(a)は、内ノズル71が閉鎖位置に位置決めされた状態を示しており、図14(b)は、開放位置に位置決めされた状態を示している。この例では、可動管路部材72に代えて連結管路部材77が装着固定されており、その下端開口には円筒状の連結部材702が上下方向に摺動可能に取り付けられている。そして、連結部材702の下端部に内ノズル71が取付固定されている。
【0062】
駆動部75の下方に延設された駆動ロッド76の下端には、連結ロッド701の上端が固定されており、連結ロッド701は、連結管路部材77の上部に形成された取付孔77aを貫通し、内ノズル71の中心軸に沿って下方に延設されている。そして、連結ロッド701と取付孔77aとの間は、シール部材を用いて水密にされるとともに上下方向に摺動可能となっている。
【0063】
連結ロッド701の下端部と連結部材702との間には、4枚の連結板703が放射状に取付固定されており、そのため連結部材702は連結ロッド701と連動して上下動するようになる。連結ロッド701の下端には、内ノズル71の中心軸に沿って下端開口から下方に向かって棒状のガイド部材704が延設されている。ガイド部材704は、連続吐出される第一食材F1が棒状成形されていく際に、内ノズル71の中心軸からずれないようにガイドする。
【0064】
図14(a)では、内ノズル71が下降してその下端の外周縁が外ノズル70の内周面に当接した閉鎖位置に位置決めされており、外ノズル70から第一食材F1の吐出が停止される。そして、図14(a)の状態から駆動部75を駆動して駆動ロッド76を上昇させると、図14(b)に示すように、連結ロッド701が引き上げられて内ノズル71が外ノズル70から離間した開放位置に位置決めされるようになり、外ノズル70から第一食材F1が吐出されるようになる。
【0065】
上記実施形態では、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21として、6枚のシャッタ片を用いているが、シャッタ片の枚数は特に限定されることはない。シャッタ駆動手段については、駆動軸を中心に各シャッタ片が往復揺動することにより開閉動作する駆動機構を用いているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、各シャッタ片301が互いに矢印方向にスライドして直線移動することで開閉動作させたり、図16(a)、(b)に示すように、各シャッタ片302が作用ピン303の矢印方向の回転運動に応じて直線運動しながら揺動することにより開閉動作する駆動機構等種々の駆動機構を用いることができる。
【0066】
また、図17及び図18に示す例は、回動軸305が一方に連続回転してシャッタの開閉動作を行う場合であり、図17ではシャッタ片304に隣り合うシャッタ片との摺動面が両側に形成され、回動軸305が1回転する間にシャッタ片304が開閉動作を2回行うことができる。図18ではシャッタ片304に隣り合うシャッタ片との摺動面が片側に形成され、回動軸305が1回転する間にシャッタ片304が開閉動作を1回行うようになっている。そして、各シャッタ片の形状ついても、こうしたシャッタ駆動手段に対応して上記実施形態以外にも図15又は図16に示すような直線状の側辺を有するもの等種々の形状を採用することができる。
【0067】
また、以上の例では、複数のシャッタ片を回動させて絞り動作を行っているが、こうした回動動作以外の絞り動作を用いることもでき、特に限定されない。例えば、図19に示すように、棒状のスライド部材306を用いて絞り動作を行うようにしてもよい。スライド部材306は、ドーナツ状の基台307に穿設された貫通孔に摺動自在に挿通されており、各スライド部材306が基台307の中心に向かって前進して中心にその先端が集中するようになっている。そして、貫通孔内には、バネが装着されており、このバネは、スライド部材306を退避させる方向に付勢するように作用する。基台307の周囲には、基台307を囲むようにドーナツ状の回転体308が回動自在に配設されており、その外周面には駆動歯車311と噛み合う歯列309が形成され、内周面にはスライド部材306の後端と当接するカム面310が形成されている。したがって、駆動歯車311により回転体308を回動させると、カム面310が回動してスライド部材306の後端を押圧し、それによってスライド部材306が前進及び退避動作を行う。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る成形装置に関する全体概略正面図である。
【図2】棒状成形機構及び絞り機構に関する概略断面図である。
【図3】第一食材が吐出停止状態である場合を示す概略断面図である。
【図4】第一絞りシャッタに関する平面図及びシャッタ片の組合せ状態を示す斜視図である。
【図5】第二絞りシャッタに関する平面図及びシャッタ片の組合せ状態を示す斜視図である。
【図6】ノズル、空気噴射部及びシート体に関する分解斜視図及び組立て状態の斜視図である。
【図7】シート体に関する変形例を示す斜視図である。
【図8】支持部材に関する斜視図である。
【図9】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図10】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図11】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図12】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図13】成形品に関する斜視図及び断面図である。
【図14】棒状成形機構に関する変形例を示す概略断面図である。
【図15】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図16】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図17】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図18】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図19】絞り手段に関する別の例を説明する概略平面図である。
【符号の説明】
【0069】
F1 第一食材
F2 第二食材
H 成形品
1 成形装置
2 絞り機構
20 第一絞りシャッタ
21 第二絞りシャッタ
3 基台
4 食材供給機構
5 ベルトコンベヤ
6 支持機構
7 棒状成形機構
8 空気噴射部
9 シート体
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の表面に絞り模様が形成された絞り成形食品の成形装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、茶巾絞りに代表される種々の絞り成形食品が提供されている。茶巾絞りとは、アズキ、サツマイモ、ユリネ、クリといった食材を蒸したり茹でたりした後すりつぶして餡状に加工し、所定量ずつ麻布等の茶巾(又は布巾)で包み込んで絞り、絞り模様を付したものである。
【0003】
こうした茶巾絞りによる食材の成形はひとつひとつ手作りで行われるため、手間がかかるとともに仕上がりにバラツキが生じやすく生産効率が悪いといった課題があった。特許文献1では、茶巾絞りによる食材の成形を機械化する試みがなされており、棒状食品を囲み膜内に導き、複数のシャッター体を駆動して成形切断領域を拡縮することで、囲み膜を介して棒状食品を切断するようにした点が記載されている。また、特許文献2では、シャッターシートの中央に外皮材及び中心材を配置してシャッターシートで包み、シャッターシートを回動手段により捻ることで絞り成形するようにした点が記載されている。
【特許文献1】特許第2537751号公報
【特許文献2】実開昭60−10477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された成形方法では、切断された食材の表面に囲み膜による絞り目が形成されるものの、手作りで成形された茶巾絞りのように彫りの深い絞り模様を形成することが困難であった。すなわち、手作りの場合には食材を茶巾により包み込んで絞るようにしているが、特許文献1では、囲み膜で食材を包み込むことはなく、囲み膜を介して切断するだけなので、上面の頂上のみに凹凸模様が形成されるが、手作りのように表面全体に彫りの深い絞り模様は形成できない。
【0005】
また、特許文献2では、手作りと同様にシャッターシートにより食材を包み込んで捻るようにしているが、粘着性のある食材の場合にはシャッターシートから容易に分離できず、取り出し時に形が崩れてしまう場合がある。
【0006】
本発明者らは、こうした課題を解決するために新規な絞り成形食品の成形装置を提案している(特願2006−284371号参照)。こうした新規な成形装置を用いることで彫りの深い絞り模様を形成した食品を安定して量産することが可能となったが、茶巾絞りに代表される絞り成形食品は1つの食材を用いて絞り成形しているため、バリエーションに乏しい食品であった。上述した新規な成形装置においては複数の食材を用いて包餡された茶巾絞り等の新規な成形食品を成形することが可能となったが、外観上は従来のものと同様である。
【0007】
そこで、本発明は、手作りと同様の彫りの深い絞り模様が表面全体に形成されるとともに複数の食材を組み合せた多彩な絞り成形食品を効率よく成形することが可能な成形装置及び方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る絞り成形食品の成形装置は、第一食材を吐出する外ノズル手段と、前記外ノズル手段の内部に配置され第二食材を吐出する内ノズル手段と、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形する棒状成形手段と、棒状成形された前記食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体と、棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り成形手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記絞り成形手段は、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えた第一絞り手段と、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えるとともに前記第一絞り手段よりも上方に所定間隔を空けて配置された第二絞り手段と、前記第一絞り手段の絞り部材を動作させて前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖するとともに前記第二絞り手段の絞り部材を動作させて棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り制御手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記第一絞り手段の下方には、切断された前記食材を支持する支持部材と、前記支持部材を切断された前記食材の底面に当接するように上下動させる支持制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る絞り成形食品の成形方法は、第一食材を吐出する外ノズル手段の内部に第二食材を吐出する内ノズル手段を配置し、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形し、棒状成形された前記食材をその通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体の内部に供給し、前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖した後棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のような構成を有することで、内ノズル手段から連続吐出される第二食材の周囲を被覆するように第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形し、棒状成形された食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体を用いて当該シート体で絞ることにより棒状成形された食材の第一食材が被覆されていない部分を切断するようにしているので、第二食材の周囲を部分的に第一食材が被覆した状態で成形することができ、例えば、第一食材及び第二食材として異なる色合いのものを組み合せれば、従来のものに比べてバリエーションに富んだ絞り成形食品を成形することが可能となる。図13に示すように、成形品の上部に第二食材を表出させてそれ以外の下方の部分に第一食材で被覆するように成形すれば、花模様の色合いの絞り食品に仕上げることができる。
【0011】
また、伸縮可能なシート体を第一絞り手段で絞ることで通過領域を閉鎖し、第一絞り手段より上方に配置した第二絞り手段でシート体を絞ることで食材を切断するようにしたので、切断された食材が第一絞り手段及び第二絞り手段の間でシート体により包み込まれた状態となって絞られるようになり、手作りと同様に、上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様を形成することができる。
【0012】
すなわち、第一絞り手段がシート体を絞ることでシート体に皺が寄った状態で通過領域が閉鎖されるようになり、また、棒状に連続形成された食材の先端部が第二絞り手段により所定量で切断される際にもシート体が絞られて皺が寄った状態となるため、上下を第一絞り手段及び第二絞り手段により絞られたシート体の部分には全体に皺が寄った状態が実現される。そして、第一絞り手段と第二絞り手段との間には所定間隔だけ空けられているため、切断された食材は上下を第一絞り手段及び第二絞り手段により閉鎖されたシート体内部に充填された状態となってシート体の皺の寄った部分が圧接され、切断された食材の上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様が形成されるようになる。
【0013】
その際に、シート体は伸縮可能であるため、切断された食材の量に応じて膨らむこともでき、切断された食材は全体として丸みのある形状に成形される。また、第二絞り手段によりシート体で絞りながら切断された食材の上面部分では食材が角状に突出した形状となり、茶巾絞り特有の形状に仕上げることができる。一方、食材の下面部分では予め第一絞り手段により絞られた状態のシート体が当接するため、突出した形状とはならない。
【0014】
こうして成形された成形品は、第一絞り手段の絞り動作を解除することで、シート体が開いて下方へ取り出し可能となり、食材の成形から取り出しまでの一連の動作を短時間で効率よく行うことができる。
【0015】
また、第一絞り手段の下方に、切断された食材を支持する支持部材と、支持部材を切断された食材の下面に当接するように上下動させる支持制御手段とを備えることで、第一絞り手段の絞り動作が解除されてシート体が開く際に支持部材を上昇させて食材を受けることができ、成形品が型崩れすることなく安定した状態で取り出すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、絞り成形食品の成形装置1に関する全体正面図である。成形装置1は、基台3の上部には、食材供給機構4及び棒状成形機構7が設置されており、食材供給機構4の下方に絞り機構2が取り付けられている。絞り機構2の下方には、成形品を搬送するためのベルトコンベヤ5及びコンベヤベルト50を介して成形品を支持する支持機構6が取り付けられている。
【0018】
食材供給機構4は、食材がホッパ40に投入されると、ホッパ40内のスクリュ(図示せず)により下方に送入されてベーンポンプ41から棒状成形部42に圧送される。そして、後述するように、棒状成形機構7から食材が棒状に連続形成されて絞り機構2に供給されるようになる。図1では、ホッパ40及びベーンポンプ41が2つずつ設けられており、それぞれのホッパ40には、異なる色合いの第一食材F1及び第二食材F2が投入されるするようになっている。
【0019】
図2は、棒状成形機構7及び絞り機構2に関する概略断面図である。棒状成形機構7は、下方に外ノズル70及び内ノズル71からなる二重ノズルを備えており、内ノズル71は外ノズル70の内部に配置されて、その下端の開口は外ノズル70の開口に対して同心円状になるように設定されている。
【0020】
内ノズル71は、可動管路部材72の下端開口部72aに取付固定されており、可動管路部材72の側部開口部72bが一方のベーンポンプ41に接続する供給管路42と連通するように取り付けられる。
【0021】
可動管路部材72は、円筒状に形成されており、下端開口部72a及び側部開口部72b以外は内部に連通する開口は形成されておらず、上部に取付台部72cが設けられている。そして、可動管路部材72は、供給管路42及び43の間に形成された取付開口部44に上部から挿入されて上下方向に摺動可能に取り付けられる。可動管路部材72の上部の外周面には取付開口部44との間にシール部材が設けられて食材が漏出しないようになっている。
【0022】
可動管路部材72の上方には、基台3の上部に設けられた取付基台74にエアシリンダからなる駆動部75が載置固定されている。駆動部75の下方に延設された駆動ロッド76の下端は可動管路部材72の取付台部72cに固定されている。したがって、駆動部75により駆動ロッド76を駆動することで可動管路部材72を上下動させることができる。可動管路部材72が上下動する際に、側部開口部72bが供給管路42に対してずれるようになるが、供給管路42が外部や供給管路43と連通することがないように側部開口部72bの開口形状が形成されている。
【0023】
内ノズル71の下端開口の外周縁は、外ノズル70の下端開口の内周面と同じ径かわずかに大きい径に設定されており、可動管路部材72が下降して内ノズル71が外ノズル72の内周面に当接した状態では、図3に示すように、外ノズル71の下端開口が密閉された状態となって第一食材F1の吐出が一時的に停止されるようになる。
【0024】
外ノズル72は、他方のベーンポンプ41に接続する供給管路43と連通する連通管路73の下端開口部73aに接続されている。
【0025】
第二食材F2は、供給管路42から可動管路部材72内に圧送されて内ノズル71から連続吐出され、連続した棒状に成形されるようになる。第一食材F1は、供給管路43から連通管路73に圧送されて外ノズル70から吐出されるようになる。そして、可動管路部材72が上昇して内ノズル71が外ノズル70から離間した開放位置(図2参照)に位置決めされた場合には、外ノズル70から第一食材F1が吐出されて、棒状に成形された第二食材F2の外周面を被覆するように円筒状に成形される。可動管路部材72が下降して内ノズル71が外ノズル70に当接した閉鎖位置(図3参照)に位置決めされた場合には、外ノズル70からの第一食材F1の吐出は一時的に停止されて、第二食材F2は第一食材F1に被覆されないまま連続吐出されていくようになる。
【0026】
したがって、所定のタイミングで繰返し可動管路部材72を上下動させて閉鎖位置及び開放位置に交互に位置決めすれば、棒状成形された第二食材F2の外周面を被覆するように第一食材F1が円筒状に間欠成形されるようになる。
【0027】
そして、第二食材F2の外周面に第一食材F1により被覆される部分の長さは、後述する絞り機構2の間隔調整部材22により設定される間隔とほぼ一致するか短くなるように設定すればよく、また、第一食材F1が被覆されていない部分の間隔は、後述する第二絞りシャッタ21のシャッタ片211の厚さとほぼ一致するか広くなるように設定することが望ましい。第二食材F2の外周面に被覆される第一食材F1の長さ及び被覆されていない部分の間隔は、成形する食品にどの程度第二食材F2を表出させるかによって設定すればよい。
【0028】
こうした第一食材F1の吐出制御にための可動管路部材72の移動制御は、駆動部75を図示せぬ制御装置により駆動制御される。
【0029】
そして、棒状成形機構7で棒状成形された食材は、下方の絞り機構2に供給される。なお、外ノズル70及び内ノズル71の下端開口は、成形する食品の形状に合せて、例えば、円形の他に、楕円形等の様々な形状にすることができる。
【0030】
絞り機構2は、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21を備えており、2つのシャッタの間には間隔調整部材22が配設されている。第一絞りシャッタ20は、6つのシャッタ片201を備えており、各シャッタ片201は、駆動軸23に取り付けられて駆動軸23を中心に往復揺動するようになっている。第二絞りシャッタ21は、6つのシャッタ片211を備えており、各シャッタ片211は、駆動軸23と同心状に設けられたた駆動中空軸24に取り付けられて駆動中空軸24を中心に往復揺動するようになっている。
【0031】
図4は、図2の平面Sにおける平面図で、第一絞りシャッタ20のシャッタ駆動機構を示している。図4(a)は、6つのシャッタ片201が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片201が取り付けられた各駆動軸23の上端部は、フレーム25の上面に回動可能に軸支されており、フレーム25内には、各駆動軸23の上部に円形のフランジ202がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ202同士は、リンク203が枢着されて連結されており、1つのリンク203が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸204に枢着されている。
【0032】
回転軸204が回転することで、リンク203が連関動作してフランジ202が同期して回動するようになる。図4(a)に示すように各シャッタ片201が開いた状態から、図4(b)に示すように回転軸204を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片201は互いに先端が突き当たるように回動し閉じた状態となる。したがって、回転軸204を所定角度往復回転させることで、各シャッタ片201が往復揺動して開閉するようになる。
【0033】
図4(c)に示すように、各シャッタ片201の一方の端面201Aが凸状に形成されて他方の端面201Bが凹状に形成されており、一方の端面201Aが一方の隣接するシャッタ片201の他方の端面201Bに嵌接し、他方の端面201Bが他方の隣接するシャッタ片201の一方の端面201Aに嵌接するように設定されている。そして、各シャッタ片201の回動により一方の端面201A及び他方の端面201Bが摺接しながら開閉するように動作する。
【0034】
図5は、図2の平面Tにおける平面図で、第二絞りシャッタ21のシャッタ駆動機構を示している。図5(a)は、6つのシャッタ片211が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片211が取り付けられた各駆動中空軸24は、駆動軸23の外周に同心状に回動可能に嵌合しており、フレーム25内において各駆動中空軸24の上部に円形のフランジ212がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ212同士は、リンク213が枢着されて連結されており、1つのリンク213が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸214に枢着されている。
【0035】
回転軸214が回転することで、リンク213が連関動作してフランジ212が同期して回動するようになる。第一絞りシャッタ20と同様に、図5(a)の各シャッタ片211が開いた状態から、図5(b)に示すように回転軸214を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片211は互いに先端が突き当たるように回動し閉じた状態となる。したがって、回転軸214を所定角度往復回転させることで、各シャッタ片211が往復揺動して開閉するようになる。
【0036】
図5(c)に示すように、各シャッタ片211の一方の端面211Aが凸状に形成されて他方の端面211Bが凹状に形成されており、一方の端面211Aが一方の隣接するシャッタ片211の他方の端面211Bに嵌接し、他方の端面211Bが他方の隣接するシャッタ片211の一方の端面211Aに嵌接するように設定されている。そして、各シャッタ片211の回動により一方の端面211A及び他方の端面211Bが摺接しながら開閉するように動作する。
【0037】
各シャッタ片211と各シャッタ片201との間には、リング状の間隔調整部材22がそれぞれ駆動軸23に挿着されており、成形する食品に合せて所定の厚さの間隔調整部材22を取り付ければ、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21の間隔を調整することができる。
【0038】
フレーム25の中央部分には貫通口26が形成されており、貫通口26に上方から外ノズル70及び内ノズル71が挿入されている。そして、貫通口26に対応して第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21の開放時の開口が形成されるようになっている。
【0039】
棒状成形機構7から吐出される食材は棒状に成形されて下方の第一及び第二絞りシャッタに向かって供給される。外ノズル70の周囲には円筒状のシート体9が配設されている。シート体9は、連続形成される食材の通過領域を囲むように下方に延設されており、その上端部は外ノズル70の外周面に固定された空気噴射部8に取付固定され、その下端部は第一絞りシャッタ20の下面に取付固定されている。
【0040】
図6は、外ノズル70及び内ノズル71、空気噴射部8及びシート体9に関する分解斜視図(図6(a))及び組立て状態の斜視図(図6(b))である。シート体9は、伸縮可能な布地を末広がりの円筒状に作成し、その上端開口9a及び下端開口9bの周縁にリング状の金属枠が装着されている。シート体9に用いるシート材料としては、伸縮性のある編地や織地といった布地を用いることができ、その他の伸縮性のあるシート材料を用いてもよい。こうしたシート材料には、予め折目や皺を付けておいてもよい。また、1枚のシート材料を外ノズル70に巻き付けるようにしてシート体9を形成してもよく、複数枚のシート材料を外ノズル70の周囲に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
シート体9の内面側には、食材を分離しやすくするための処理加工しておくことが望ましい。例えば、フッ素加工又はシリコン加工した糸により布地を作成して食材が付着しにくくすればよい。
【0042】
食材がシート体9に付着するのを抑制するために、図1に示すように、シート体9の外周面にアルコールや水等の食材の付着を抑制する液体を噴射する噴射ノズル28a及び28bを絞り機構2に設けるようにしてもよい。そして、シート体9の外周面に噴射ノズル28a及び28bから液体を噴射して食材を付着しにくくすることができる。液体を噴射するタイミングは、絞り動作を行う毎でも数回繰り返す毎でもよく、食材の付着の程度に合わせて設定すればよい。
【0043】
空気噴射部8は、ノズル44に取付固定する取付リング80の下部に環状の通気管路81が固定されており、通気管路81には下面に所定間隔で複数の噴射孔(図示せず)が穿設されている。そして、通気管路81の供給孔部81aから圧縮空気が供給されると、複数の噴射孔から空気が下方に向かって噴射されるようになる。取付リング80の下面には、シート体9の上端開口部9aを係止する複数の係止フック82が設けられており、上端開口部9aを係止フック82に係止することで、図6(b)に示すように、シート体9が通気管路81を覆うようにセットされる。したがって、通気管路81から噴射された空気はシート体9の内面側に沿って流通するようになる。そして、上端開口部9aを係止したシート体9の下端開口部9bを引っ張って、図2に示すように、第一絞りシャッタ20の下面の嵌合部27に嵌め込んで固定する。
【0044】
シート体9の下端開口9bの取付方法としては、図7に示すように、弾性を有する取付紐91の一端部を下端開口9bに固定し、他端部を輪状形成して第一絞りシャッタ20の下面やフレーム25の上面の適当な係止部に係止するようにしてもよい。
【0045】
以上のようにシート体9を取り付けることで、棒状成形機構7から連続形成される棒状の食材の通過領域を囲むようにシート体9が配設され、シート体9を囲むように第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21が配設されるようになる。
【0046】
絞り機構2の下方には、ベルトコンベヤ5が設けられている。ベルトコンベヤ5のコンベヤベルト50は、第一絞りシャッタ20の開口の下方の通過するように配設されており、駆動ローラ51の回転駆動により所定方向に搬送動作するようになっている。そして、第一絞りシャッタ20の開口の下方には、コンベヤベルト50を介して支持部材60が配設されており、支持部材60の両側にコンベヤベルト50を支持する一対の従動ローラ52及び53が設けられている。
【0047】
支持機構6は、支持部材60と、支持部材60を保持する支持ロッド61及び支持ロッド61を上下動する駆動バー62を備えており、駆動モータ(図示せず)により駆動バー62を回動することで支持部材60が上下動する。支持部材60の上下動によりコンベヤベルト50が持ち上げられて絞り機構2の内部にまで上昇するようになる。
【0048】
図8は、支持部材60に関する斜視図である。支持部材60は、支持ロッド61の上端が水平に折れ曲がってコンベヤベルト50の間に設けられた載置部に取付固定されている。支持部材60は、図2の断面図に示すように、凹部に湾曲形成されており、凹部の中央部分60aがわずかに盛り上がるように形成されている。
【0049】
図9から図12は、成形装置1の成形過程を示す第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21の平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構2に関する概略断面図((c)図)である。
【0050】
図9では、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21が開いた状態で、通気管路81の噴射孔から空気が噴射され、第二絞りシャッタ21の切断の際にシート体9の内面に付着した食材及び成形品Hが容易に分離されるようになる。また、絞り皺の付いたシート体9は、噴射された空気により膨らんで皺取りが行われる。
【0051】
まず、第一絞りシャッタ20のシャッタ片201が閉動作を行う。その際、棒状成形機構7から連続形成される棒状の食材の先端が第一絞りシャッタ20に到達する前にシャッタ片201の閉動作が行われる。すなわち、食材の先端部の供給方向下流側(図9では下側)においてシャッタ片201が閉じられて食材の通過領域が閉鎖される。
【0052】
図10では、第一絞りシャッタ20が閉鎖されて予め食材の通過領域が遮断されており、第一絞りシャッタ20の閉鎖によりシート体9が1箇所に集められて絞られることで皺が寄った状態となっている。そして、絞り機構2全体が上昇しながら第二絞りシャッタ21の閉動作が開始される。そのため、シート体9の第一絞りシャッタ20で閉鎖された箇所より上の部分が弛んだ状態となり、第一絞りシャッタ20と第二絞りシャッタ21との間に所定長さの食材が導入される。この場合、棒状成形された第二食材F2の外周面に間欠成形された第一食材F1により被覆されていない部分が第二絞りシャッタ21にほぼ対向するか下方に位置するように食材の導入動作が行なわれる。
【0053】
図11では、第二絞りシャッタ21が閉鎖されてシート体9が1箇所に集められて絞らることで棒状成形された食材が切断される。その際に、絞り機構2は、第二絞りシャッタ21の閉動作に合わせて下降し、棒状成形機構7から連続形成される棒状の食材の供給速度に対応して切断するようになっている。そのため、連続供給される食材が止められることなく切断され、切断された先端部が膨れることを防止する。
【0054】
切断されて分割された食材は、上下を第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21で閉鎖されたシート体9の内部に充填された状態となり、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21で閉鎖されて全体に皺が寄った状態となったシート体に食材が圧接し、皺の間に食材が圧入される。その際に、シート体9が伸縮可能であるため、充填された食材は丸みのある形状に成形される。こうして、食材の上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様が形成されるようになる。そして、切断された食材の外表面には、その下方が第二食材F2により被覆されており、場合によっては上方の一部も第二食材F2により被覆される。絞り模様が形成された後第一絞りシャッタ20が開動作を開始するとともに支持部材60が上昇する。
【0055】
図12では、第一絞りシャッタ20が開いた状態となり、その開いたスペースに支持部材60が上昇して成形品Hの下面にコンベヤベルト50を介して支持部材60の凹部が当接するように設定される。その際に、支持部材60の凹部の中央部分60aが盛り上がっているために、成形品Hの底面が凹んだ状態に形成される。そして、第二絞りシャッタ21が開動作を開始するとともに通気管路81の噴射孔から空気の噴射が開始される。
【0056】
噴射した空気がシート体9の内面に沿って流通してシート体9と食材との間の分離を促すとともに成形品Hを受けた支持部材60が下降する。成形品Hは、コンベヤベルト50の上面に載置された状態で下降し、そのままベルトコンベヤ5により搬送されるようになる。
【0057】
図13は、成形品Hに関する斜視図(図13(a))及び断面図(図13(b))である。成形品H全体として平面視楕円形状に成形されており、上面、下面及び側面全体に彫りの深い絞り模様が形成されている。こうした全体形状は、外ノズル70及び内ノズル71の下端開口の形状を変えることで、平面視円形状や楕円形状といった種々の形状に成形することができる。そして、成形品Hの高さは、間隔調整部材22の厚さを変更することで調整することができる。また、上面には角状の突起部Jが形成され、下面の中央部分Kが凹状に湾曲形成されており、手作りの茶巾絞りに特有の形状に仕上げることができる。そして、成形品Hの中間から下方は第一食材F1により被覆されており、突起部Jの部分も第一食材F1によりわずかに被覆されている。第一食材F1の間には第二食材F2が表出しており、第一食材F1と異なる色合いの第二食材F2を使用することで、第一食材F1が下方から花びら状に拡がって花模様の色合いを呈するようになる。
【0058】
このように種々の食材を組み合せて様々な色合いや模様を表出させた新規な絞り成形食品を成形することが可能となり、成形可能な食品のバリエーションを格段に拡げることができる。
【0059】
なお、この例では、第二食材F2の周囲に部分的に第一食材F1で被覆するように成形しているが、食材供給機構4に3種類の食材を投入して棒状成形される第二食材F2の中心部に内材用食材を内蔵して成形することで、包餡食品を絞り成形することもできる。図13(c)及び(d)には、包餡成形品H’に関する斜視図及び断面図を示しているが、包餡成形品H’は、餡となる内材用食材Gとそれを被覆する第一食材F1及び第二食材F2から構成され、被覆する食材の外表面全体に彫りの深い絞り模様が形成されている。
【0060】
上述した実施形態では、可動管路部材72を上下動させることで内ノズル71を開放位置又は閉鎖位置に交互に移動させて外ノズル70から第一食材F1を吐出又は停止させるようにしているが、内ノズル71を上下動させて外ノズル70の吐出制御を行うようにしてもよい。
【0061】
図14は、その変形例に関する概略断面図である。図14(a)は、内ノズル71が閉鎖位置に位置決めされた状態を示しており、図14(b)は、開放位置に位置決めされた状態を示している。この例では、可動管路部材72に代えて連結管路部材77が装着固定されており、その下端開口には円筒状の連結部材702が上下方向に摺動可能に取り付けられている。そして、連結部材702の下端部に内ノズル71が取付固定されている。
【0062】
駆動部75の下方に延設された駆動ロッド76の下端には、連結ロッド701の上端が固定されており、連結ロッド701は、連結管路部材77の上部に形成された取付孔77aを貫通し、内ノズル71の中心軸に沿って下方に延設されている。そして、連結ロッド701と取付孔77aとの間は、シール部材を用いて水密にされるとともに上下方向に摺動可能となっている。
【0063】
連結ロッド701の下端部と連結部材702との間には、4枚の連結板703が放射状に取付固定されており、そのため連結部材702は連結ロッド701と連動して上下動するようになる。連結ロッド701の下端には、内ノズル71の中心軸に沿って下端開口から下方に向かって棒状のガイド部材704が延設されている。ガイド部材704は、連続吐出される第一食材F1が棒状成形されていく際に、内ノズル71の中心軸からずれないようにガイドする。
【0064】
図14(a)では、内ノズル71が下降してその下端の外周縁が外ノズル70の内周面に当接した閉鎖位置に位置決めされており、外ノズル70から第一食材F1の吐出が停止される。そして、図14(a)の状態から駆動部75を駆動して駆動ロッド76を上昇させると、図14(b)に示すように、連結ロッド701が引き上げられて内ノズル71が外ノズル70から離間した開放位置に位置決めされるようになり、外ノズル70から第一食材F1が吐出されるようになる。
【0065】
上記実施形態では、第一絞りシャッタ20及び第二絞りシャッタ21として、6枚のシャッタ片を用いているが、シャッタ片の枚数は特に限定されることはない。シャッタ駆動手段については、駆動軸を中心に各シャッタ片が往復揺動することにより開閉動作する駆動機構を用いているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、各シャッタ片301が互いに矢印方向にスライドして直線移動することで開閉動作させたり、図16(a)、(b)に示すように、各シャッタ片302が作用ピン303の矢印方向の回転運動に応じて直線運動しながら揺動することにより開閉動作する駆動機構等種々の駆動機構を用いることができる。
【0066】
また、図17及び図18に示す例は、回動軸305が一方に連続回転してシャッタの開閉動作を行う場合であり、図17ではシャッタ片304に隣り合うシャッタ片との摺動面が両側に形成され、回動軸305が1回転する間にシャッタ片304が開閉動作を2回行うことができる。図18ではシャッタ片304に隣り合うシャッタ片との摺動面が片側に形成され、回動軸305が1回転する間にシャッタ片304が開閉動作を1回行うようになっている。そして、各シャッタ片の形状ついても、こうしたシャッタ駆動手段に対応して上記実施形態以外にも図15又は図16に示すような直線状の側辺を有するもの等種々の形状を採用することができる。
【0067】
また、以上の例では、複数のシャッタ片を回動させて絞り動作を行っているが、こうした回動動作以外の絞り動作を用いることもでき、特に限定されない。例えば、図19に示すように、棒状のスライド部材306を用いて絞り動作を行うようにしてもよい。スライド部材306は、ドーナツ状の基台307に穿設された貫通孔に摺動自在に挿通されており、各スライド部材306が基台307の中心に向かって前進して中心にその先端が集中するようになっている。そして、貫通孔内には、バネが装着されており、このバネは、スライド部材306を退避させる方向に付勢するように作用する。基台307の周囲には、基台307を囲むようにドーナツ状の回転体308が回動自在に配設されており、その外周面には駆動歯車311と噛み合う歯列309が形成され、内周面にはスライド部材306の後端と当接するカム面310が形成されている。したがって、駆動歯車311により回転体308を回動させると、カム面310が回動してスライド部材306の後端を押圧し、それによってスライド部材306が前進及び退避動作を行う。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る成形装置に関する全体概略正面図である。
【図2】棒状成形機構及び絞り機構に関する概略断面図である。
【図3】第一食材が吐出停止状態である場合を示す概略断面図である。
【図4】第一絞りシャッタに関する平面図及びシャッタ片の組合せ状態を示す斜視図である。
【図5】第二絞りシャッタに関する平面図及びシャッタ片の組合せ状態を示す斜視図である。
【図6】ノズル、空気噴射部及びシート体に関する分解斜視図及び組立て状態の斜視図である。
【図7】シート体に関する変形例を示す斜視図である。
【図8】支持部材に関する斜視図である。
【図9】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図10】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図11】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図12】成形装置の成形過程を示す絞りシャッタの平面図((a)図及び(b)図)並びに絞り機構に関する概略断面図((c)図)である。
【図13】成形品に関する斜視図及び断面図である。
【図14】棒状成形機構に関する変形例を示す概略断面図である。
【図15】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図16】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図17】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図18】絞り手段に関する変形例を示す概略平面図である。
【図19】絞り手段に関する別の例を説明する概略平面図である。
【符号の説明】
【0069】
F1 第一食材
F2 第二食材
H 成形品
1 成形装置
2 絞り機構
20 第一絞りシャッタ
21 第二絞りシャッタ
3 基台
4 食材供給機構
5 ベルトコンベヤ
6 支持機構
7 棒状成形機構
8 空気噴射部
9 シート体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一食材を吐出する外ノズル手段と、前記外ノズル手段の内部に配置され第二食材を吐出する内ノズル手段と、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形する棒状成形手段と、棒状成形された前記食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体と、棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り成形手段とを備えていることを特徴とする絞り成形食品の成形装置。
【請求項2】
前記絞り成形手段は、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えた第一絞り手段と、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えるとともに前記第一絞り手段よりも上方に所定間隔を空けて配置された第二絞り手段と、前記第一絞り手段の絞り部材を動作させて前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖するとともに前記第二絞り手段の絞り部材を動作させて棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記第一絞り手段の下方には、切断された前記食材を支持する支持部材と、前記支持部材を切断された前記食材の底面に当接するように上下動させる支持制御手段とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の絞り成形食品の成形装置。
【請求項4】
第一食材を吐出する外ノズル手段の内部に第二食材を吐出する内ノズル手段を配置し、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形し、棒状成形された前記食材をその通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体の内部に供給し、前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖した後棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断することを特徴とする絞り成形食品の成形方法。
【請求項1】
第一食材を吐出する外ノズル手段と、前記外ノズル手段の内部に配置され第二食材を吐出する内ノズル手段と、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形する棒状成形手段と、棒状成形された前記食材の通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体と、棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り成形手段とを備えていることを特徴とする絞り成形食品の成形装置。
【請求項2】
前記絞り成形手段は、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えた第一絞り手段と、前記シート体を囲むように配設された複数の絞り部材を備えるとともに前記第一絞り手段よりも上方に所定間隔を空けて配置された第二絞り手段と、前記第一絞り手段の絞り部材を動作させて前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖するとともに前記第二絞り手段の絞り部材を動作させて棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断する絞り制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記第一絞り手段の下方には、切断された前記食材を支持する支持部材と、前記支持部材を切断された前記食材の底面に当接するように上下動させる支持制御手段とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の絞り成形食品の成形装置。
【請求項4】
第一食材を吐出する外ノズル手段の内部に第二食材を吐出する内ノズル手段を配置し、前記内ノズル手段を前記外ノズル手段の開口の閉鎖位置と開放位置との間で往復移動させて当該内ノズル手段から連続吐出される前記第二食材の周囲を被覆するように前記第一食材を所定の長さずつ筒状に間欠成形し、棒状成形された前記食材をその通過領域を囲むように配設された伸縮可能なシート体の内部に供給し、前記シート体を絞ることで前記通過領域を閉鎖した後棒状成形された前記食材の前記第一食材が被覆されていない部分を前記シート体で絞ることにより切断することを特徴とする絞り成形食品の成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−161148(P2008−161148A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356442(P2006−356442)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】
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