説明

統括電力制御装置及び統括電力制御方法

【課題】風力発電や太陽光発電を安価かつ大量に系統連系する。
【解決手段】発電出力制御システム10は、複数の発電装置の出力を合わせることにより、急な出力変動を抑えることを可能とし、複数の風力発電装置1及びパワーコンディショナ4と、統括制御装置7とがネットワーク8を介して通信可能に接続される。統括制御装置7は、風力発電装置1やパワーコンディショナ4から出力電力を受信し、その出力電力に応じて、個々の風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送る。詳細には、エリア内の風力発電装置1と、太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4との出力電力の総和を計算し、その総和に基づく電力変動速度が規定値を超えていた場合には、風力発電装置1及びパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送信する。その際に、各々の風力発電装置1及びパワーコンディショナ4に対して優先順位を付けて抑制指令を送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置や太陽光発電装置を電力系統に連系する際に、電力系統に出力する電力を制御する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電においては、風のエネルギーを効率よく取り出すために、風車の羽根(ブレード)のピッチ角の制御が行われている(特許文献1参照)。また、太陽光発電においては、パワーコンディショナにて、太陽電池の出力電力.が最大になる点(最適動作点)に追従する最大電力点追従制御(MPPT[Maximum Power Point Tracking]制御)が行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−48050号公報
【特許文献2】特開平7−281775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風力発電や太陽光発電を電力系統に連系する際には、風や太陽光の強さにより発電電力が大きく変動しやすいことから、電力系統の調整能力に応じた、連系可能量の制限が存在する。そこで、連系可能量を増大させるために、蓄電池を設置することが提案されている。しかしながら、蓄電池は高価で、その設置には多額の費用がかかり、そのことにより、風力発電・太陽光発電の導入が妨げられるおそれもある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、風力発電や太陽光発電を安価かつ大量に系統連系することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する複数の発電電力制御装置と通信する統括電力制御装置であって、各発電電力制御装置から出力電力を受信する手段と、受信した各出力電力を合計し、記憶する手段と、合計した前記出力電力の変動速度を計算し、計算した変動速度が所定値を越えた場合に、当該変動に係る前記発電電力制御装置に優先して電力変動抑制指令を送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、合計した出力電力の上昇速度が所定値を超えた場合には、出力電力の上昇に係る発電電力制御装置に優先して抑制指令を送信し、一方、合計した出力電力の低下速度が所定値を超えた場合には、出力電力の低下に係る発電電力制御装置に優先して抑制指令を送信する。これによれば、複数の発電電力制御装置に係る出力電力の合計を判定することにより、急な出力変動を極力抑えるとともに、所定値を超えた変動速度を検出したとしても、変動状況に応じて選択された発電電力制御装置に抑制指令を送信するので、効率的に出力変動を抑制することができる。
【0008】
請求項における分散型電源は、実施の形態における風力発電装置1と、太陽光発電装置3及びパワーコンディショナ4に対応する。請求項における発電出力制御装置は、実施の形態におけるピッチ角制御部16と、パワーコンディショナ4に対応する。請求項における統括電力制御装置は、実施の形態における統括制御装置7に対応する。
【0009】
なお、本発明は、統括電力制御方法を含む。その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、風力発電や太陽光発電を安価かつ大量に系統連系することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る発電装置の構成を示す図であり、(a)は風力発電装置及びその周辺の構成を示し、(b)は電力系統における電力調整能力の限界を示し、(c)は太陽光発電装置及びその周辺の構成を示す。
【図2】発電電力の時間的な変動例を示す図である。
【図3】電力変動に対応した発電出力制御方法の詳細を示す図であり、(a)は風力発電装置1の制御方法を示し、(b)は太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4の制御方法を示す。
【図4】第2の実施の形態に係る発電出力制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る発電出力制御装置は、風力発電や太陽光発電等の発電装置による発電電力に基づいて、電力系統への出力電力を最大にする制御を行う際に、発電電力の変動が所定の条件を満たすときに、最大点から動作点をずらす制御を行うものである。
【0013】
これによれば、発電電力の変動後又は変動前に出力電力を抑制することにより、出力電力の変動速度を抑制することができるので、発電装置の電力系統への連系可能量を増加させることができる。換言すれば、発電装置の発電電力が急に上がったり、下がったりすると、出力電力に対する電力系統側の調整能力が付いて行かないことがあるが、出力電力の変動速度を抑制することにより、電力系統側の調整範囲内に収めることができる。
【0014】
≪第1の実施の形態≫
本発明に係る第1の実施の形態では、個別に発電装置単体の出力制御を行う。図1は、第1の実施の形態に係る発電装置の構成を示す図である。図1(a)は、風力発電装置及びその周辺の構成を示す。風力発電装置1は、電力系統2に接続され、風力により発電した電力を電力系統2に出力するものであり、ブレード11、可変ピッチ12、ロータ13、増速機14、発電機15及びピッチ角制御部16を備える。ブレード11は、風車の羽根である。可変ピッチ12は、ブレード11と、ロータ13とを接続するとともに、ブレード11の向き、すなわち、ピッチ角を変更する駆動機構である。ロータ13は、可変ピッチ12を介してブレード11を支持し、ブレード11が受風することにより回転する。増速機14は、ロータ13と、発電機15との間にあって、ロータ13の回転速度を増加させて、発電機15に伝達する。発電機15は、増速機14から伝達された回転により発電を行う。
【0015】
ピッチ角制御部16は、風力発電装置1に内蔵又は外付け接続されるCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサで構成され、発電機15の出力電力を取得しながらブレード11のピッチ角が適切になるように可変ピッチ12を制御する。通常時は、動作点が最高効率点になる最適ピッチ角にする制御を行うが、発電機15の出力電力の変動速度(単位は、例えば、[%/分])が速過ぎる時は、ピッチ角を最適ピッチ角から少しずらして、変動速度を抑制する。ピッチ角をずらす量としては、例えば、風力発電装置1の定格出力の数%程度の出力低下分に相当する角度だけずらす。
【0016】
図1(b)は、電力系統における電力調整能力の限界を示し、横軸を時間とし、縦軸を発電機出力とするグラフである。LFC(Load Frequency Control)は、需要予測困難な電力変動(数分から十数分程度の周期)や需給ミスマッチに対応する制御であり、LFC制御範囲は、そのLFCにより許容可能な電力変動範囲を示し、実際には発電機出力の±5%程度の範囲になる。ガバナフリーは、LFCでは追従できないような電力変動(数秒から数分程度の周期)に対応する制御であり、例えば、タービン等の機械的な慣性力による吸収等による。EDC(Economic Load Dispatching Control)は、比較的長時間の電力変動(十数分から数時間程度の周期)に対応する制御であり、需給予測に合わせて先行的に制御する。
【0017】
図1(c)は、太陽光発電装置及びその周辺の構成を示す。太陽光発電装置3は、パワーコンディショナ4を通じて電力系統5につながり、パワーコンディショナ4と、電力系統5との間に電力モニタ6が設けられる。太陽光発電装置3は、太陽光を受けて発電し、発電した電力をパワーコンディショナ4に出力するものであり、例えば、太陽電池により実現される。パワーコンディショナ4は、CPU、DSP等のマイクロプロセッサ及びHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置を備え、電力系統5に出力する電力を調整する装置であり、太陽光発電装置3からの発電電力を受け、その発電電力の変動に応じて、最適動作点からわずかにずれた点で動作するように制御し、その動作点に対応する出力電圧を100Vに変換して、電力系統5に出力する。動作点は、太陽光発電装置3の電圧・電流特性に沿って調整される。電力モニタ6は、パワーコンディショナ4から電力系統5に出力される電力を監視する。
【0018】
図2及び図3は、発電出力制御方法の詳細を示す図である。図2は、発電電力の時間的な変動例を示し、横軸を時間として、縦軸を発電電力とするグラフである。風力発電装置1や太陽光発電装置3による発電電力は、例えば、上昇→安定→降下のように変動する。そして、風力発電装置1の電力変動に対しては、風力発電装置1に備えられたピッチ角制御部16がブレード11のピッチ角を制御することにより、風力発電装置1から電力系統2への出力電力を調整する。つまり、風力発電装置1の発電電力そのものを調整する。一方、太陽光発電装置3の電力変動に対しては、太陽光発電装置3に接続されたパワーコンディショナ4が、太陽光発電装置3から受けた発電電力に応じて、電力系統5へ出力する電力を調整する。従って、太陽光発電装置3の発電電力そのものを調整することはしない。それらの詳細を以下に説明する。
【0019】
図3(a)は、図2の電力変動に対応した、風力発電装置1の制御方法を示し、周速比を横軸とし、ブレード11のピッチ角を縦軸とするグラフである。グラフに描かれた曲線は、ブレード11の周速比と、最大出力を得るための最適ピッチ角との関係を示す。周速比とは、羽根に当たる風速[m/秒]に対する羽根の外周部の回転速度[m/秒]の比であり、風車翼端速度を風速で除算することにより算出される。ピッチ角制御部16は、この曲線の示す特性データを記憶し、通常は、記憶した特性データに従い、周速比に応じてブレード11のピッチ角を最適値に調整する制御を行うが、電力変動に対しては、以下のような制御を行う。
【0020】
(1)発電電力が上昇している場合(電力の上昇を検知又は予測した場合)
発電電力の上昇速度が所定値(例えば、5[%/分])を超えた場合、最適ピッチ角からずれたピッチ角にすることにより、発電電力の上昇を極力抑える。これにより、上昇の傾きが小さくなり、発電電力の上昇速度を抑制することができる。「最適ピッチ角からずれたピッチ角」とは、その時点の周速比に対応する最適ピッチ角に対して、所定値を引いたピッチ角又は所定の比率(<1)を乗じたピッチ角をいう。
電力の上昇を検知するには、電力を逐次計測し、上がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を上昇速度に換算し、その換算した上昇速度を所定値と比較する。
【0021】
(2)発電電力が安定している場合
発電電力の降下に備えて、ピッチ角をあえて最適ピッチ角の手前にずらす。これにより、安定時の電力と、降下後の電力との差が小さくなり、降下時の傾斜が小さくなる。なお、発電電力が降下することを予測したときに、ピッチ角を最適ピッチ角からずらすようにしてもよい。逆に言えば、発電電力の降下を予測しないときには、発電電力の上昇を予測する又は予測しないにかかわらず、そのまま最適動作点で動作させる。これによれば、安定時の電力損失を減らし、最大出力を維持することができる。
電力の安定を検知するには、電力を逐次計測し、上がり、下がりがないことを検知する。
【0022】
(3)発電電力が降下している場合
安定時にピッチ角を最適ピッチ角の手前にした後、発電電力の降下が始まって、降下速度が所定値(例えば、−5[%/分])を下回る場合、ピッチ角を最適ピッチ角に戻す。これにより、降下後の電力を上げることができ、安定時の電力と、降下後の電力との差を小さくすることができ、その結果、発電電力の降下速度を抑制することができる。
電力の降下を検知するには、電力を逐次計測し、下がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を降下速度に換算し、その換算した降下速度を所定値と比較する。
【0023】
なお、風力発電装置1の発電電力を予測するには、気象情報のデータから風速及び風向を予測したり、過去の実績データを用いたりする方法があり、その一例として、オンラインで風力発電によって給電される電力量を把握する風力発電予測ツールAWPT(Advanced Wind Power Prediction Tool)がある。
【0024】
図3(b)は、図2の電力変動に対応した、太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4の制御方法を示し、横軸を電圧Vとし、縦軸を電流Iとするグラフである。グラフに描かれた曲線は、一定の光源下における太陽電池のV−I出力特性を示す。それぞれの破線で囲まれた矩形の面積が出力電力になる。
【0025】
最適動作点Pでは、電圧Vと、電流Iとのバランスがよく、出力電力が最大になる。電圧Vの動作点では、電流は大きいが、電圧が低いので、出力電力が小さい。電圧Vの動作点では、電圧は高いが、電流が小さいので、出力電力が小さい。なお、開放電圧はVで示し、短絡電流はIで示す。
【0026】
パワーコンディショナ4は、この曲線の示す特性データを記憶し、通常は、記憶した特性データに従い、太陽光に応じて最適に動作するように制御を行うが、電力変動に対しては、以下のような制御を行う。なお、動作点は、一定の光源下における特性データの曲線上を移動するものとする。
【0027】
(1)発電電力が上昇している場合(電力の上昇を検知又は予測した場合)
発電電力の上昇速度が所定値(例えば、5[%/分])を超えた場合、最適動作点からずれた動作点で動作させることにより、出力電力の上昇を極力抑える。これにより、上昇後の出力電力が小さくなり、上昇の傾きが小さくなるので、出力電力の上昇速度を抑制することができる。「最適動作点からずれた動作点で動作させる」とは、最適動作点における電力に対して、所定値を引いた電力又は所定の比率(<1)を乗じた電力を出力すること、又は、最適動作点における電圧若しくは電流を所定値分増加又は減少させたときの動作点に対応する電力を出力することをいう。
発電電力の上昇を検知するには、発電電力を逐次計測し、上がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を上昇速度に換算し、その換算した上昇速度を所定値と比較する。
【0028】
(2)発電電力が安定している場合
発電電力の降下に備えて、動作点をあえて最適動作点の手前にずらして動作させる。これにより、安定時の出力電力と、降下後の出力電力との差が小さくなり、降下時の傾斜が小さくなる。なお、発電電力が降下することを予測したときに、動作点を最適動作点からずらすようにしてもよい。逆に言えば、発電電力の降下を予測しないときには、発電電力の上昇を予測する又は予測しないにかかわらず、そのまま最適動作点で動作させる。これによれば、安定時の電力損失を減らし、最大出力を維持することができる。
発電電力の安定を検知するには、発電電力を逐次計測し、上がり、下がりがないことを検知する。
【0029】
(3)発電電力が降下している場合
安定時に動作点を最適動作点の手前にして動作させた後、発電電力の降下が始まって、降下速度が所定値(例えば、−5%/分)を下回る場合、動作点を最適動作点に戻す。これにより、降下後の出力電力を上げることができ、安定時の出力電力と、降下後の出力電力との差を小さくすることができる。これによれば、出力電力の降下速度を抑制することができる。
発電電力の降下を検知するには、発電電力を逐次計測し、下がり始めたときの勾配を検知する。そして、その勾配を降下速度に換算し、その換算した降下速度を所定値と比較する。
【0030】
なお、太陽光発電装置3の発電電力を予測するには、例えば、気象情報のデータから日射量を予測し、その日射量から発電量を予測する方法がある。
【0031】
≪第2の実施の形態≫
本発明に係る第2の実施の形態では、あるエリア内に位置する複数の発電装置につながる制御装置を統括制御する。図4は、発電出力制御システムの構成を示す図である。発電出力制御システム10は、限られたエリアに位置する複数の発電装置の出力を合わせることにより、急な出力変動を抑えることを可能とするものであり、複数の風力発電装置1(ピッチ角制御部16)及び複数のパワーコンディショナ4と、統括制御装置7とがネットワーク8を介して通信可能に接続される。統括制御装置7は、通信部(NIC[Network Interface Card]等)、処理部(CPU)及び記憶部(HDD、SSD等)を備えたPC(Personal Computer)やサーバによって実現され、風力発電装置1やパワーコンディショナ4のそれぞれから出力電力を受信し、その出力電力に応じて、個々の風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送る。
【0032】
詳細には、エリア内の風力発電装置1と、太陽光発電装置3につながるパワーコンディショナ4との出力電力の総和を計算し、その総和に基づく電力変動速度が規定値を超えていた場合には、風力発電装置1及びパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送信する。その際に、各々の風力発電装置1及びパワーコンディショナ4に対して優先順位を付けて抑制指令を送る。優先順位の付け方には、以下の2通りが考えられる。
【0033】
(1)各装置が電力上昇中、安定運転中及び電力降下中のうち、どの状態にあるかを見て、必要な状態のものの電力抑制を行う。電力抑制が必要な状態のものとは、例えば、電力の合計値が上昇していれば、出力電力が上昇中の装置を抑制の対象とするわけであり、すなわち、変動の原因になっているものを抑制する。これは、抑制効果の大きい方法である。
(電力上昇抑制が必要なら、電力上昇中の装置だけを選択して、抑制指令を送る)
具体的には、電力上昇中の装置に対しては、動作点を最適点からずらす指令を出す。電力降下中の装置に対しては、動作点を最適点に戻す指令を出す。
【0034】
(2)出力電力の小さいものから優先的に電力抑制(カット)する。これは、コストを優先する(発電した電力を有効に使う)方法であり、出力電力の小さいものは、十分な風・光が当たっておらず、最高効率点で動作していないという考え方に基づく。
【0035】
なお、風力発電装置1(ピッチ角制御部16)やパワーコンディショナ4による個々の発電装置の制御と、統括制御装置10によるエリア全体の制御とを両方組合せてもよいし、エリア全体の制御だけを行ってもよい。また、統括制御装置10は、他のエリアに位置する発電装置を監視制御する統括制御装置10や、発電装置が連系する電力系統2、5と情報をやりとりすることにより、より細やかな制御を行うようにしてもよい。例えば、統括制御装置10が、複数のエリアにおける発電出力の総和を計算して、その総和出力の変動速度が所定値を超えた場合に、特定の風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送ったり、電力系統2、5の電力調整能力が不足した場合に、風力発電装置1やパワーコンディショナ4に電力変動抑制指令を送ったりすることが考えられる。
【0036】
なお、上記実施の形態では、図1(a)に示す風力発電装置1のピッチ角制御部16や、図1(c)に示すパワーコンディショナ4を機能させるために、CPUやDSPで実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係るピッチ角制御部16やパワーコンディショナ4が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0037】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、風力発電装置1や太陽光発電装置3について、発電電力が上昇した場合に、電力系統への出力電力を最大からずらすことにより、上昇前の出力電力と、上昇後の最大からずらした出力電力との差が小さくなる。次に、発電電力の安定時に、電力系統への出力電力を最大からずらすことにより、発電電力が低下した場合に、安定時の最大からずらした出力電力と、低下後の出力電力との差が小さくなる。そして、実際に発電電力が低下した場合に、電力系統への出力電力を最大に戻すことにより、安定時の最大からずらした出力電力と、低下後の最大に戻った出力電力との差が小さくなる。
【0038】
以上によれば、蓄電池を用いずに、風力発電装置1や太陽光発電装置3から電力系統に出力する電力が変化する傾斜、すなわち、変動速度を抑制することにより、連系可能量を増やすことができる。これによれば、連系可能量に制約のある風力発電装置1や太陽光発電装置3を、安価かつ大量に系統連系することができる。さらに、これにより、風力発電装置1や太陽光発電装置3の導入を促進する効果が期待できる。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0040】
なお、上記実施の形態には、以下の発明も含まれる。
【0041】
(1)電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、前記分散型電源の発電電力が安定していることを検知したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする発電出力制御装置。
【0042】
(2)電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置であって、前記分散型電源の発電電力が安定していることを検知し、かつ、前記発電電力が低下することを予測したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする発電出力制御装置。
【0043】
(3)(1)又は(2)に記載の発電出力制御装置であって、前記発電電力が低下したことを検知したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点に戻すことを特徴とする発電出力制御装置。
【0044】
(4)電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置による発電出力制御方法であって、前記発電出力制御装置は、前記分散型電源の発電電力が安定していることを検知したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする発電出力制御方法。
【0045】
(5)電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する発電出力制御装置による発電出力制御方法であって、前記発電出力制御装置は、前記分散型電源の発電電力が安定していることを検知し、かつ、前記発電電力が低下することを予測したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点からずらすことを特徴とする発電出力制御方法。
【0046】
(6)(4)又は(5)に記載の発電出力制御方法であって、前記発電出力制御装置は、前記発電電力が低下したことを検知したときに、前記分散型電源の動作点を前記出力電力が最大となる動作点に戻すことを特徴とする発電出力制御方法。
【符号の説明】
【0047】
1 風力発電装置
2 電力系統
3 太陽光発電装置
4 パワーコンディショナ(発電出力制御装置)
5 電力系統
7 統括制御装置(統括電力制御装置)
16 ピッチ角制御部(発電出力制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する複数の発電電力制御装置と通信する統括電力制御装置であって、
各発電電力制御装置から出力電力を受信する手段と、
受信した各出力電力を合計し、記憶する手段と、
合計した前記出力電力の変動速度を計算し、計算した変動速度が所定値を越えた場合に、当該変動に係る前記発電電力制御装置に優先して電力変動抑制指令を送信する手段と、
を備えることを特徴とする統括電力制御装置。
【請求項2】
電力系統に連系した分散型電源の出力電力を制御する複数の発電電力制御装置と通信する統括電力制御装置による統括電力制御方法であって、
前記統括電力制御装置は、
各発電電力制御装置から出力電力を受信するステップと、
受信した各出力電力を合計し、記憶するステップと、
合計した前記出力電力の変動速度を計算し、計算した変動速度が所定値を越えた場合に、当該変動に係る前記発電電力制御装置に優先して電力変動抑制指令を送信するステップと、
を実行することを特徴とする統括電力制御方法。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−19415(P2013−19415A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179448(P2012−179448)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2010−36525(P2010−36525)の分割
【原出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】