説明

絶縁膜形成用組成物、絶縁膜の製造方法、およびそれによって得られる絶縁膜

【課題】絶縁膜形成用組成物を提供すること。
【解決手段】絶縁膜形成用組成物は、ポリマーAと、ポリマーBと、溶媒Aおよび大気圧における沸点が溶媒Aよりも低い溶媒Bと、を含み、かつ、以下の式(i)および(ii)を満たす。
前記ポリマーAの溶媒Aへの溶解度>前記ポリマーAの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(i)
前記ポリマーBの溶媒Aへの溶解度<前記ポリマーBの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(ii)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜形成用組成物、絶縁膜の製造方法、およびそれによって得られる絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模半導体集積回路(ULSI)は、増大する情報処理量や機能の複雑さに対応するため、さらなる高速処理が強く望まれている。ULSIの高速化は、チップ内素子の微細化・高集積化や膜の多層化により実現されてきている。しかしながら、素子の微細化に伴い配線抵抗や配線間寄生容量が増大し、配線遅延がデバイス全体の信号遅延の支配的要因となりつつある。この問題を回避するために、低抵抗率配線材料や低誘電率(Low−k)層間絶縁膜材料の導入が必須の技術となっている。
【0003】
低誘電率の層間絶縁膜としては、例えば、シリカ(SiO)の膜密度を低下させたポーラスシリカ膜、Fをドープしたシリカ膜であるFSG、CをドープしたSiOC膜等の無機系層間絶縁膜や、ポリイミド、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル等の有機系層間絶縁膜が挙げられる。
【0004】
また、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG膜と呼ばれるテトラアルコキシシランの加水分解縮合生成物を主成分とする塗布型の層間絶縁膜や、有機アルコキシシランを加水分解縮合して得られるポリシロキサンからなる有機SOG膜が提案されている。
【特許文献1】特開2007−324283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
層間絶縁膜は2層以上の異なる層から構成されている場合がある。しかしながら、2種類以上の異なる層から形成される層間絶縁膜を塗布により形成する場合、各層を別々に塗布して成膜する必要があるため、手間が多くかかる。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑み、簡便に2層以上の異なる層を有する絶縁膜を形成するための組成物、絶縁膜の製造方法、およびそれによって得られる絶縁膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる絶縁膜を形成するための組成物は、
ポリアリーレン,ポリアリーレンエーテル,ポリベンゾオキサゾール,およびポリイミドから選ばれる少なくとも1種のポリマー(以下、ポリマーAという)と、
下記一般式(1)で表されるポリカルボシラン(以下、ポリマーBという)と、
【0008】
【化2】

・・・・・(1)
(式中、RおよびRは独立して、水素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、Rはメチレン基またはメチン基を表し、mおよびnはそれぞれ、10<m+n<1000およびn/m<0.3の条件を満たす正の整数を表す。)
【0009】
溶媒Aおよび大気圧における沸点が溶媒Aよりも低い溶媒Bと、
を含み、かつ、以下の式(i)および(ii)を満たす。
【0010】
前記ポリマーAの溶媒Aへの溶解度>前記ポリマーAの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(i)
前記ポリマーBの溶媒Aへの溶解度<前記ポリマーBの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(ii)
上記組成物において、前記溶媒Aの沸点と前記溶媒Bの沸点との差が40℃以上であることができる。
【0011】
本発明の一態様にかかる絶縁膜の形成方法は、
上記組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜から前記溶媒Aおよび前記溶媒Bを除去する工程と、
前記塗膜に対して硬化処理を行う工程と、
を含む。
【0012】
本発明の一態様にかかる絶縁膜は、上記絶縁膜の形成方法により得られ、組成が異なる二層を有する。
【発明の効果】
【0013】
上記組成物を用いて、例えば塗布法による1回の塗布によって、組成が異なる二層を有する絶縁膜を簡便に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明について具体的に説明する。
【0015】
1.絶縁膜を形成するための組成物
本発明の一実施形態に係る組成物は、絶縁膜を形成するための組成物であり、ポリマーAおよびポリマーBと、溶媒Aおよび大気圧における沸点が溶媒Aよりも低い溶媒Bと、を含み、かつ、以下の式(i)および(ii)を満たす。
【0016】
前記ポリマーAの溶媒Aへの溶解度>前記ポリマーAの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(i)
前記ポリマーBの溶媒Aへの溶解度<前記ポリマーBの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(ii)
本実施形態に係る組成物を基材に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を硬化させることにより、組成が異なる二層を有する絶縁膜を1回の塗布で簡便に形成することができる。この場合、絶縁膜を構成する各層は、特定成分(例えば炭素原子)の濃度が異なっていてもよい。
【0017】
本実施形態に係る組成物において、溶媒Aと溶媒Bの混合比(溶媒A/溶媒B)は重量比にして0.01〜100であることが好ましく、0.1〜10であることが特に好ましい。
【0018】
本実施形態に係る組成物において、溶媒Aの沸点と前記溶媒Bの沸点との差は40℃以上であることがより好ましい。溶媒Aの沸点と前記溶媒Bの沸点との差が40℃未満であると、膜を形成した際にポリマーAを含む層とポリマーBを含む層との分離が十分でない場合がある。
【0019】
また、ポリマーAとポリマーBの混合比は、形成する膜の厚みの比に応じて適宜設定することができるが、ポリマーA100重量部に対して、ポリマーBが0.01〜100重量部であることが好ましく、特に0.1〜10重量部であることがより好ましい。ポリマーBが0.01重量部未満である場合、膜形成後に十分な薬液耐性を発現することができない場合があり、また、100重量部を超えると、膜の低誘電率化を達成できない場合がある。
【0020】
また、ポリマーAとポリマーBの混合比は、形成する膜の厚みに応じて適宜設定することが可能で、通常0.01重量%〜50重量%であり、好ましくは0.1重量%〜30重量%であり、特に好ましくは0.5重量%〜20重量%である。
【0021】
1.1.ポリマーB
ポリマーBは、下記一般式(1)で表されるポリカルボシラン(以下「化合物1」ともいう。)である。
【0022】
【化3】

・・・・・(1)
(式中、RおよびRは独立して、水素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、Rはメチレン基またはメチン基を表し、mおよびnはそれぞれ、10<m+n<1000およびn/m<0.3の条件を満たす正の整数を表す。)
【0023】
化合物1において、RおよびRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロメチル基、アミノメチル基、ヒドロキシメチル基、シリルメチル基、2−メトキシエチル基等などが挙げられ、RおよびRのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ピラジニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−エチニルフェニル基、4−アミノフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シリルフェニル基が挙げられる。
【0024】
化合物1の重量平均分子量に特に制限はないが、好ましくは500〜500,000である。これらのポリカルボシランの形態は通常、常温で固体もしくは液状である。
【0025】
化合物1の製造方法としては、例えば、塩基性酸化物、金属水素化物、金属化合類物を触媒としてジエチニル化合物とシラン化合物の脱水素共重合を行う方法(特開平7−90085号公報、特開平10−120689号公報、特開平11−158187号公報)、塩基性酸化物を触媒としてエチニルシラン化合物の脱水素重合を行う方法(特開平9−143271号公報)、有機マグネシウム試薬とジクロロシラン類とを反応させる方法(特開平7−102069号公報、特開平11−029579号公報)、塩化第一銅および三級アミンを触媒としてジエチニル化合物とシラン化合物の脱水素共重合を行う方法(Hua Qin Liu and John F. Harrod, The Canadian Journal of Chemistry, Vol. 68, 1100−1105(1990))、酸化マグネシウムを触媒としてジエチニル化合物とシラン化合物との脱水素共重合を行う方法(特開平7−90085号公報および特開平10−204181号公報)等が使用できるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
【0026】
1.2.ポリマーA
ポリマーAは、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、ポリベンゾオキサゾールおよびポリイミドから選ばれる少なくとも1種のポリマーである。
【0027】
ポリマーAは、具体的には、下記一般式(2)〜(5)の群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し構造単位からなることが好ましい。
【0028】
【化4】

・・・・・(2)
【0029】
【化5】

・・・・・(3)
【0030】
【化6】

・・・・・(4)
【0031】
【化7】

・・・・・(5)
(式(2)〜(5)中、R31〜R35はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子を示し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれる少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、o〜sは0〜4の整数を表し、fは5〜100モル%、gは0〜95モル%、hは0〜95モル%(ただし、f+g+h=100モル%)、iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、i+j=100モル%)であり、AおよびBはそれぞれ独立に、下記一般式(6)〜(8)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、R36,R36’は水素原子または下記一般式(9)および(10)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは下記一般式(11)および(12)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【0032】
【化8】

・・・・・(6)
【0033】
【化9】

・・・・・(7)
【0034】
【化10】

・・・・・(8)
(式(6)〜(8)中、R37、R38、R43およびR44は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化11】

で表される基を示し、R39〜R42およびR45〜R47は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、またはアリール基を示し、kは0〜3の整数を表し、lは2〜3の整数を表し、t〜zは独立に0〜4の整数を表す。)
【0035】
【化12】

・・・・・(9)
【0036】
【化13】

・・・・・(10)
(式(9)および(10)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、m’は0〜5の整数を表し、n’は0〜7の整数を表す。)
【0037】
【化14】

・・・・・(11)
【0038】
【化15】

・・・・・(12)
(式(11)および(12)中、R48はハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、フェノキシ基またはアリール基を示し、R49は単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、メチルフェニルメチリデン基、トリフルオロメチルメチルメチリデン基、トリフルオロメチルフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、または式
【化16】

で表される基を示し、上記式中R50は、独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、またはフェニル基を表し、a1、a2は独立に0〜4の整数を表し、a3は0〜6の整数を表す。)
【0039】
以下に、一般式(2)〜(5)で表される化合物の詳細を説明する。
【0040】
1.2.1.化合物2
一般式(2)で表される重合体(以下、「化合物2」ともいう)は、例えば、下記一般式(13)に示す化合物をモノマーとして、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【0041】
【化17】

・・・・・(13)
(式中、R31,R32はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、o,pは0〜4の整数を表し、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す。)
【0042】
上記一般式(13)中のXを構成するQ,Q’のうち、アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0043】
また、上記式(13)中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、p−トリル基、p−ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。上記一般式(13)中のXとしては、下記一般式(14)〜(19)に示す2価の基が好ましい。これらのうちでは、一般式(27)に示すフルオレニレン基がさらに好ましい。
【0044】
−C(CH− ・・・・・(14)
−C(CF− ・・・・・(15)
−C(CF)(C)− ・・・・・(16)
−CH(CH)− ・・・・・(17)
−C(C− ・・・・・(18)
【0045】
【化18】

・・・・・(19)
上記一般式(19)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタンなどを挙げることができる。本発明においては、上記一般式(19)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【0046】
本発明においては、上記一般式(13)に示す化合物の少なくとも1種と、下記一般式(20)および一般式(21)に示す化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合させてもよい。
【0047】
【化19】

・・・・・(20)
(式中、R33,R34はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R56,R57は、−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、およびフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、q,rは0〜4の整数を表す。)
上記一般式(20)において、R33,R34のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子など、1価の有機基としては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など、アリル基として、プロペニル基など、アリール基として、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。また、R56,R57中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基など、アリール基として、フェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0048】
上記一般式(21)に示す化合物としては、例えば、4,4’−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジメチルスルフォニロキシ−3,3’,5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−メチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4’−ビス(4−フルオロベンゼンスルフォニロキシ)ビフェニル、4,4’−ジクロロ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノンなどを挙げることができる。上記一般式(20)に示す化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
【化20】

・・・・・(21)
(式中、R35は、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R58,R59は、−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、sは0〜4の整数を表す。)
【0050】
上記一般式(21)において、R35のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子など、1価の有機基としては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など、アリル基として、プロペニル基など、アリール基として、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。また、R58,R59中の−OSOZを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基など、アリール基として、フェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0051】
上記一般式(21)に示す化合物としては、例えば、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもでき、好ましくはm−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェノキシベンゼンなどである。上記一般式(21)に示す化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
化合物2中の繰り返し構造単位の割合は、上記一般式(2)において、fは5〜100モル%、好ましくは5〜95モル%、gは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%、hは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%(ただし、f+g+h=100モル%)である。fが5モル%未満(gまたはhが95モル%を超える)では、重合体の有機溶剤への溶解性が劣る場合がある。
【0053】
化合物2を製造する際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系が好ましく、この触媒系としては、(I)遷移金属塩および配位子、または配位子が配位された遷移金属(塩)、ならびに(II)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などを挙げることができる。これらのうち、特に塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0054】
また、配位子としては、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどを挙げることができるが、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、臭化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、ヨウ化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、硝酸ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2’−ビピリジン、臭化ニッケル2,2’−ビピリジン、ヨウ化ニッケル2,2’−ビピリジン、硝酸ニッケル2,2’−ビピリジン、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどを挙げることができるが、塩化ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2’−ビピリジンが好ましい。
【0055】
このような触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、酸や有機酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。また、このような触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などを挙げることができるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0056】
このような触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、上記一般式(13)、上記一般式(20)、および上記一般式(21)で示される化合物の総量1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満であると、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。このような触媒系において、遷移金属塩および配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記一般式(13)で表される化合物、上記一般式(20)で表される化合物および上記一般式(21)で表される化合物の総量1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満であると、重合が充分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
【0057】
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記一般式(13)で表される化合物、上記一般式(20)で表される化合物および上記一般式(21)で表される化合物の総量1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満であると、重合速度を上げる効果が不充分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
【0058】
本発明で使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどを挙げることができ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。重合溶媒中における上記一般式(13)で表される化合物、一般式(20)で表される化合物および一般式(21)で表される化合物の総量の濃度は、通常、1〜100重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、上記重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。なお、上記化合物2のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1,000〜1,000,000である。
【0059】
1.2.2.化合物3
一般式(5)で表される重合体(以下、「化合物3」ともいう)は、例えば、下記一般式(22)〜(24)に示す化合物を含むモノマーを触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【0060】
【化21】

・・・・・(22)
(式中、R31,R32はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基またはハロゲン原子、Xは−CQQ’−(ここでQ,Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子またはアリール基を示す)で示される基およびフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、o、pは0〜4の整数を表し、R60,R61は水酸基、ハロゲン原子、−OM’基(M’はアルカリ金属である)からなる群から選ばれる少なくとも1種を示す。)
【0061】
前記一般式(22)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ブロモフェニル)メタン、ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ブロモ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、ビス(4−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−プロペニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−フルオロ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパンなどを挙げることができる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させてもよい。本発明においては、前記一般式(22)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【0062】
【化22】

・・・・・(23)
(式中、R33,R34はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、またはハロゲン原子、R62,R63は水酸基、ハロゲン原子、−OM’基(M’はアルカリ金属である)からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−およびフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種を示し、eは0または1を表し、q,rは0〜4の整数を表す。)
【0063】
前記一般式(23)に示す化合物としては、例えば、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジヨードビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジプロペニルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジエチルビフェニル、4,4’−ジメチルヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジブロモオクタフルオロビフェニル、4,4−ジヒドロキシオクタフルオロビフェニル、3,3’−ジアリル−4,4’−ビス(4−ヒドロキシ)ビフェニル、4,4’−ジクロロ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジブロモ−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、4,4’−ジヨード−2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させてもよい。前記一般式(25)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
【化23】

・・・・・(24)
(式中、R35は炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基,またはハロゲン原子を示し、R58,R59は−OSOZ(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはアリール基を示す。)、水酸基、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示し、sは0〜4の整数を表す。)
【0065】
前記一般式(24)に示す化合物としては、例えば、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシトルエン、2,5−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシトルエン、3,4−ジヒドロキシトルエン、3,5−ジヒドロキシトルエン、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもできる。上記ビスフェノール化合物はナトリウム、カリウムなどを含有する塩基性化合物によって、水酸基を−OM’基(M’はアルカリ金属である)に置換させても良い。前記一般式(24)に示す化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。一般式(3)で表される化合物3中の繰り返し構造単位の割合は、上記一般式(3)において、Iは0〜100モル%、jは0〜100モル%(ただし、I+j=100モル%)である。
【0066】
一般式(3)で表される化合物3の合成方法としては、例えば、ビスフェノール化合物とジハロゲン化化合物をアルカリ金属化合物の存在下、溶剤中で加熱することにより得られる。上記ビスフェノール化合物およびジハロゲン化化合物の使用割合は、ビスフェノール化合物が45〜55モル%、好ましくは48〜52モル%、ジハロゲン化化合物が55〜45モル%、好ましくは52〜48モル%である。ビスフェノール化合物の使用割合が45モル%未満または55モル%を越えると重合体の分子量が上昇しにくく、塗膜の塗布性が劣る場合がある。この際使用するアルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属リチウムなどを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。アルカリ金属化合物の使用量は、ビスフェノール化合物に対して、通常、100〜400モル%、好ましくは100〜250モル%である。また、反応を促進させるため、金属銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、ギ酸第一銅、ギ酸第二銅などの助触媒を使用しても良い。この助触媒の使用量は、ビスフェノール化合物に対し、通常、1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%である。
【0067】
反応に使用する溶剤としては、例えばピリジン、キノリン、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホキシド、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを使用することができる。これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。一般式(3)で表される化合物3を合成する際の反応濃度としては、モノマーの重量を基準として、2〜50重量%、反応温度としては50〜250℃である。また、重合体合成時に生じる金属塩や未反応モノマーを除去するため、反応溶液をろ過することや反応溶液を重合体に対して貧溶剤である溶媒により再沈殿や酸性、アルカリ性水溶液により洗浄することが好ましい。このようにして得られる化合物3のGPC法による重量平均分子量は、通常、500〜500,000、好ましくは800〜100,000である。
【0068】
1.2.3.化合物4
一般式(4)で表される重合体(以下、「化合物4」ともいう)は、例えば、下記一般式(25)および一般式(26)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記一般式(25)および一般式(26)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを触媒の存在下で重合することにより得ることができる。
【0069】
【化24】

・・・・・(25)
【0070】
【化25】

・・・・・(26)
(式中、R37〜R42およびk,t,u,v,wは上記一般式(6)および上記一般式(7)に関して定義した通りである。)
【0071】
【化26】

・・・・・(27)
【0072】
【化27】

・・・・・(28)
(式中、R42〜R47およびl,w,x,y,zは上記一般式(7)および上記一般式(8)に関して定義した通りであり、X’はハロゲン原子を示す。)
【0073】
上記一般式(25)で表わされる化合物としては、例えば、4,4’−ジエチニルビフェニル、3,3’−ジエチニルビフェニル、3,4’−ジエチニルビフェニル、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,3’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、4,4’−ジエチニルベンゾフェノン、3,3’−ジエチニルベンゾフェノン、3,4’−ジエチニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチニルジフェニルメタン、3,3’−ジエチニルジフェニルメタン、3,4’−ジエチニルジフェニルメタン、4,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,3’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジエチニルベンズアニリド、3,3’−ジエチニルベンズアニリド、3,4’−ジエチニルベンズアニリド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,3’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、2,4,4’−トリエチニルジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−エチニルフェニル)フルオレン、4,4”−ジエチニル−p−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−m−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−o−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0074】
上記一般式(26)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、2,5−ジエチニルトルエン,3,4−ジエチニルトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0075】
上記一般式(27)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ブロモベンゾイル)−3−(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ヨードベンゾイル)−3−(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−3−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−3−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−3−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−3−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−4−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−4−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−4−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ブロモフェニル)フルオレン、4,4”−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4”−ジヨード−m−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−m−ターフェニル、4,4”−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4”−ジヨード−p−ターフェニル、4,4”−ジブロモ−p−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0076】
上記一般式(28)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2,3−ジヨードトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,6−ジブロモトルエン、3,4−ジブロモトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0077】
本発明において、化合物4は、上記一般式(25)で表される化合物および/または一般式(26)で表される化合物と、上記一般式(27)で表される化合物および/または一般式(28)で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造され、この際、上記一般式(25)で表される化合物および/または一般式(26)で表される化合物と、上記一般式(27)で表される化合物および/または一般式(28)で表される化合物の使用割合は、前者の化合物の総量1モルに対して、後者の化合物の総量が0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.95〜1.05である。後者の化合物の総量が0.8モル未満の場合や1.2モルを越える場合は、得られる重合体の分子量が上昇しにくい。
【0078】
化合物4の製造においては、上記一般式(25)〜(28)で表される化合物を、遷移金属化合物を含む触媒の存在下で重合させることが好ましい。さらに、遷移金属化合物および塩基性化合物を含む触媒がより好ましく、特に下記の(a)成分、(b)成分および(c)成分から構成されているものが特に好ましい。
【0079】
(a)パラジウム塩およびパラジウムに対し配位子として結合するか、配位子として結合する基(原子団)を供給して錯体(錯イオンを含む)を形成し得る物質(以下、配位子形成体という)、またはパラジウム錯体(必要に応じて配位子形成体をさらに加えてもよい)
(b)1価の銅化合物
(c)塩基性化合物
(a)成分のうちパラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム等を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、パラジウム塩の使用割合は、上記一般式(25)〜(28)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは、0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0080】
(a)成分のうち配位子形成体としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリシアノフェニルホスフィン、トリシアノメチルホスフィン等を挙げることができる。中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。配位子形成体の使用割合は、上記一般式(25)〜(28)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0004〜50モル、さらに好ましくは0.004〜5モルである。0.0004モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、50モルを超えると精製が困難となることがある。
【0081】
(a)成分のうちパラジウム錯体としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。中でも、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、パラジウム錯体の使用割合は、上記一般式(25)〜(28)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0082】
(b)1価の銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)
等を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、(b)1価の銅化合物の使用割合は、上記一般式(33)〜(36)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0083】
(c)塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエチルアミン、アンモニア、n−ブチルアミン、イミダゾール等を挙げることができる。中でも、ジエチルアミン、ピペリジン、n−ブチルアミンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。ここで、(c)塩基性化合物の使用割合は、上記一般式(25)〜(28)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、1〜1000モル、さらに好ましくは1〜100モルである。1モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、100モルを超えると経済的ではなくなる。
【0084】
1.2.4.化合物5
一般式(5)で表される重合体(以下、「化合物5」ともいう)は、例えば、下記一般式(29)と、下記一般式(30)に示す化合物および/または下記一般式(31)に示す化合物を反応させることによって製造することができる。
【0085】
【化28】

・・・・・(29)
【0086】
【化29】

・・・・・(30)
【0087】
【化30】

・・・・・(31)
(式(29)〜(31)中、R36,R36’は水素原子または上記一般式(9)および(10)で表される芳香族基の群から選ばれる少なくとも1種の基を示し、W,Wは上記一般式(11)および(12)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を示す。)
【0088】
一般式(5)に表される化合物5は、一般式(29)のシクロペンタジエノン基と一般式(30)および/または一般式(31)のアセチレン基とをディールズアルダー反応をすることにより得ることができる。
【0089】
化合物5の数平均分子量(Mn)は3,500より大きく、好ましくは4,000より大きく、好ましくは6,400未満であり、より好ましくは6,000未満である。また、化合物5の重量平均分子量(Mw)は500より大きく、好ましくは8,000より大きく、好ましくは15,000未満であり、より好ましくは12,000未満である。さらに、化合物5は好ましくは約2.5未満、より好ましくは約2.3未満の多分散性(Mw/Mn)を有する。
【0090】
1.3.溶媒A
溶媒Aとしては、例えば、ヘプタン、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、乳酸エチル、γ−ブチルラクトンが好適に用いられる。
【0091】
また、溶媒Aの大気圧下での沸点は、30℃〜100℃であることが好ましく、50℃〜90℃であることがより好ましく、60〜80℃であることが特に好ましい。例えば、沸点が30℃よりも低い場合には、組成物を塗布して塗膜を形成する前に溶媒が蒸発して、均一な塗膜を形成できない場合がある。一方、溶媒Bの沸点が100℃よりも高い場合には、十分に加熱を行う必要が生じる。
【0092】
また、本発明で用いる溶媒Aと溶媒Bとは、相溶性であることが必要である。相溶性は、組成物の具体的構成において、溶媒Aと溶媒Bとが分離しない程度の相溶性があれば足りる。
【0093】
1.4.溶媒B
溶媒Bとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、イッソプロピルエーテル、エチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ビニル、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼンが好ましい。
【0094】
また、溶媒Bの大気圧下での沸点は、100℃〜250℃であることが好ましく、100℃〜180℃であることがより好ましい。
【0095】
2.絶縁膜の形成方法
本発明の一実施形態に係る絶縁膜の形成方法は、上記組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜から溶媒Aおよび溶媒Bを除去する工程と、前記塗膜に対して硬化処理を行う工程と、を含む。
【0096】
本実施形態において、組成物を基材に塗布して塗膜を形成する場合、塗装手段としては、例えば、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法、スキャン塗布法等が挙げられる。
【0097】
塗膜からの溶媒Aおよび溶媒Bの除去は、具体的には溶媒を蒸発させることで行われる。具体的には、必要に応じて加熱することで溶媒AおよびBを蒸発させることができるが、沸点の高い溶媒Aについては加熱により蒸発させることが好ましい。なお、溶媒の除去は溶媒が完全に無くなった状態でなくてもよく、硬化膜としての特性が得られる範囲で溶媒が残存していてもよい。
【0098】
本実施形態にかかる絶縁膜の形成方法によれば、ポリマーAが高密度に存在する下層(例えば、溶媒Bよりも溶媒Aとの相溶性が高いポリマーAから主に構成される下層)と、ポリマーAが実質的に存在しない上層(例えば、溶媒Aよりも溶媒Bとの相溶性が高いポリマーBから主に構成される上層)とを有する絶縁膜を形成することができる。ここで、溶媒Bの大気圧における沸点が溶媒Aより低いことにより、溶媒Aおよび溶媒Bを効率よく除去することができる。
【0099】
また、塗膜の硬化は、加熱、紫外線照射、および電子線照射から選ばれる少なくとも1種を用いて行われることができ、加熱および紫外線照射を同時に用いて行われるのが好ましい。
【0100】
塗膜の硬化を加熱により行う場合、300〜450℃で行われるのが好ましく、350℃〜400℃であるのがより好ましい。この場合、加熱時間は通常、60分間未満であることが好ましく、30分間であるのがより好ましい。また、塗膜の硬化を紫外線照射により行う場合、紫外線照射に使用される紫外線の波長が300nm以下であるのが好ましく、220〜270nmであるのがより好ましい。また、この場合、加熱および紫外線照射の時間は10分間未満であることが好ましく、1〜5分間であることがより好ましい。
【0101】
加熱手段としては、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することができる。
【0102】
酸素以外の雰囲気の構成成分としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。また、圧力は常圧であることが好ましい。
【0103】
3.絶縁膜
本発明の一実施形態に係る絶縁膜は、上記絶縁膜の形成方法により得られたものである。上述の絶縁膜を形成するための組成物を通常の方法で塗布し、その後溶媒を除去すると、2以上の層に分離する。ここで、2以上の層とは、「ポリマーAが高密度に存在する層」と、「ポリマーAが実質的に存在しない層」を共に含む2以上の層である場合が挙げられる。本実施形態に係る絶縁膜は、例えば、組成が異なる二以上の層を有する。組成が異なる二以上の層を有する絶縁膜は、例えば、銅ダマシン配線構造体に使用される絶縁膜として好適に使用できる。
【0104】
この場合、組成が異なる二層は、特定成分(例えば炭素原子)の濃度が各々の層において深さ方向で異なっていてもよい。炭素原子の濃度が絶縁膜の深さ方向で異なる絶縁膜としては、例えば、表面に近づくにつれて炭素原子の濃度が高くなる絶縁膜、あるいは、表面に近づくにつれて炭素原子の濃度が低くなる絶縁膜が挙げられる。このうち、絶縁層の表面に近づくにつれて炭素原子の濃度が高くなる絶縁膜は、表面付近の炭素原子の濃度が高いため、組成が均一な絶縁膜と比較して、エッチングや薬液処理などのプロセス耐性に優れている。
【0105】
本実施形態に係る絶縁膜の一例を図1に示す。図1に示される絶縁膜100は、上記組成物を基材に塗布して塗膜を形成し、該塗膜に対して硬化処理を行うことにより得られ、主にポリマーAを硬化して得られる第1の膜20と、主にポリマーBを含む塗膜を硬化して得られる第2の膜10からなる。
【0106】
4.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、それぞれ重量部および重量%であることを示している。
【0107】
4.1.評価方法
4.1.1.接触角
ポリマー膜の疎水性を評価する目的で、協和界面科学社製接触角測定装置(DropMaster500)を用いて、ポリマー膜の表面に超純水液滴を滴下し、接触角の測定を行った。疎水性が高いと、RIEや薬液に対する耐性が良い(プロセス耐性が良い)とされている。
【0108】
4.1.2.薬液耐性
ポリマー膜が形成された8インチウエハを、室温で0.2%の希フッ酸水溶液中に3分間浸漬し、ポリマー膜の浸漬前後の膜厚変化を観察した。下記に定義する残膜率が99%以上である場合、薬液耐性が良好である(「A」)と判断し、残膜率が99%未満である場合、薬液耐性が良好でない(「B」)と判断する。
残膜率(%)=(浸漬後の膜の膜厚)÷(浸漬前の膜の膜厚)×100
【0109】
4.1.3.二層観察
TEM観察により、ポリマー膜が1回の塗布で二層に分離しているかを確認した。二層分離が確認された場合を「A」、二層分離が確認されなかった場合を「B」として表2に示す。
【0110】
4.1.4.溶解度
溶媒100gに対してポリマーがx[g]溶解したときの溶解度をx[g/100g]として、各溶媒へのポリマーの溶解度を測定した。その結果を表1に示す。
【0111】
【表1】

【0112】
4.2.調製例
4.2.1.調製例1(反応液1の調製)
・有機系膜のための膜形成用組成物(2)の調製
温度計、アルゴンガス導入管、および攪拌装置を備えた1000ml三口フラスコに、テトラヒドロフラン120ml、ジクロロビストリフェニルフォスフィンパラジウム3.46g、ヨウ化銅1.44g、ピペリジン20ml、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン185.72gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加え25℃で20時間反応させた。この反応液をメタノール5リットルで再沈殿を2回繰り返した後、シクロヘキサノンに溶かし、超純水で2回洗浄し、メタノール5リットルでさらに再沈殿し、沈殿を濾過および乾燥して、重量平均分子量35,000のポリマーAを得た。
【0113】
2gのポリマーAおよび重量平均分子量500のポリビニルメトキシシロキサン0.05gをシクロヘキサノン(沸点155℃、以下「溶媒A」とする。)18gに溶解させ、0.2μm孔径のポリテトラフルオロエチレン(デュポン社製、テフロン(登録商標))製フィルターで濾過を行い、反応液1を得た。
【0114】
4.2.2.調製例2(反応液2の調製)
石英製セパラブルフラスコ中へ、原料ポリマー((株)日本カーボン社製、商品名「ニプシType−S」、以下「ポリマーB」とする。)10gおよびテトラヒドロフラン(沸点65℃、以下「溶媒B」とする。)90gを仕込み、25℃で2時間攪拌を行った。その後、含有メタル低減のためにゼータ電位フィルター濾過を行い、ポリマーBが溶媒Bに溶解している反応液2を得た。
【0115】
4.3.実施例
4.3.1.実施例1
反応液1および反応液2をポリマーの重量比が50:50になるようにブレンドし、レベリング剤としてジメチルポリシロキサンを0.1phr添加した。ミックスローターで30分間攪拌して、実施例1の膜形成用組成物1を得た。
【0116】
4.3.2.比較例1
50gの反応液1に、5gのポリマーBおよび45gのシクロヘキサノン(溶媒A)を加えてブレンドし、レベリング剤としてジメチルポリシロキサンを0.1phr添加し、ミックスローターで30分間攪拌して、比較例1の膜形成用組成物を得た。しかしながら、この組成物ではポリマーの沈殿が観察された。
【0117】
4.3.3.膜の形成
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて膜形成用組成物1および反応液2をそれぞれ塗布し、ホットプレート上にて90℃で3分間、窒素雰囲気下200℃で3分間基板を乾燥した後、420℃のホットプレートで基板を30分間焼成して、実施例1および参考例1のポリマー膜(膜厚0.5μm)を形成した。
【0118】
【表2】

【0119】
表2によれば、実施例1の膜形成用組成物を用いて得られた膜は、疎水性が高く、薬液耐性に優れ、ポリマーAが高密度に存在する下層と、ポリマーAが実質的に存在しない上層との二層からなる。このことは、ポリマーBのみを用いて得られた参考例1の膜と比較すると明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁膜を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0121】
10…第2の膜(上層)、20…第1の膜(下層)、100…絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレン,ポリアリーレンエーテル,ポリベンゾオキサゾール,およびポリイミドから選ばれる少なくとも1種のポリマー(以下、ポリマーAという)と、
下記一般式(1)で表されるポリカルボシラン(以下、ポリマーBという)と、
【化1】

・・・・・(1)
(式中、RおよびRは独立して、水素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、Rはメチレン基またはメチン基を表し、mおよびnはそれぞれ、10<m+n<1000およびn/m<0.3の条件を満たす正の整数を表す。)
溶媒Aおよび大気圧における沸点が溶媒Aよりも低い溶媒Bと、
を含み、かつ、以下の式(i)および(ii)を満たす、絶縁膜形成用組成物。
前記ポリマーAの溶媒Aへの溶解度>前記ポリマーAの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(i)
前記ポリマーBの溶媒Aへの溶解度<前記ポリマーBの前記溶媒Bへの溶解度
・・・(ii)
【請求項2】
前記溶媒Aの沸点と前記溶媒Bの沸点との差が40℃以上である、請求項1に記載の絶縁膜形成用組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜から前記溶媒Aおよび前記溶媒Bを除去する工程と、
前記塗膜に対して硬化処理を行う工程と、
を含む、絶縁膜の形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁膜の形成方法により得られ、組成が異なる二層を有する絶縁膜。

【図1】
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【公開番号】特開2009−227888(P2009−227888A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77304(P2008−77304)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】