説明

継手装置、流体供給装置、温度調整装置、露光装置、デバイス製造方法、ステージ装置、及び流体軸受

【課題】流体の漏出を抑制できる継手装置を提供する。
【解決手段】継手装置は、第1流路が形成された第1部材と、第2流路が形成され、第1部材とは異なる第2部材と、第1流路と第2流路とを導通させた状態で第1部材と第2部材とを回転可能に接続する支持部と、第1部材と第2部材との間に配置された気体軸受とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手装置、流体供給装置、温度調整装置、露光装置、デバイス製造方法、ステージ装置、及び流体軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、例えば特許文献1に開示されているような、ステージ装置を備えた露光装置が使用される。
【特許文献1】米国特許第6222614号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ステージ装置に供給される温度調整用の流体が漏出すると、例えば露光装置を構成する部材が汚染されたり、露光光の光路の状態が変化したりして、露光不良が発生する可能性がある。その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。
【0004】
本発明の態様は、流体の漏出を抑制できる継手装置、流体供給装置、及び温度調整装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、流体の漏出を抑制できるステージ装置、及び流体軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に従えば、第1流路が形成された第1部材と、第2流路が形成され、第1部材とは異なる第2部材と、第1流路と第2流路とを導通させた状態で第1部材と第2部材とを回転可能に接続する支持部と、第1部材と第2部材との間に配置された気体軸受と、を備えた継手装置が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の継手装置を介して流体を供給する流体供給装置が提供される。
【0007】
本発明の第3の態様に従えば、所定空間に温度調整用の流体を供給して物体の温度を調整する温度調整装置であって、所定空間に流体を供給するために、第2の態様の流体供給装置を備えた温度調整装置が提供される。
【0008】
本発明の第4の態様に従えば、露光光で基板を露光する露光装置であって、当該露光装置を構成する複数の物体のうち、少なくとも1個の物体の温度を調整するために、第3の態様の温度調整装置を備えた露光装置が提供される。
【0009】
本発明の第5の態様に従えば、第4の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0010】
本発明の第6の態様に従えば、移動可能な可動部材を有するステージ装置であって、第1の態様の継手装置を備え、継手装置の少なくとも一部を可動部材で支持するステージ装置が提供される。
【0011】
本発明の第7の態様に従えば、第1部材に設けられ、異なる方向を向くように、流体吹出口がそれぞれ配置された少なくとも3つのパッド面と、第2部材に設けられ、パッド面のそれぞれと対向可能な支持面と、を備えた流体軸受が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、流体の漏出を抑制できる。また本発明によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0014】
図1は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図、図2は、本実施形態に係る基板ステージ2の一例を示す平面図である。本実施形態においては、露光装置EXが、極端紫外(EUV:Extreme Ultra-Violet)光で基板Pを露光するEUV露光装置である場合を例にして説明する。極端紫外光は、例えば波長5〜50nm程度の軟X線領域の電磁波である。以下の説明において、極端紫外光を適宜、EUV光、と称する。一例として、本実施形態では、波長13.5nmのEUV光を露光光ELとして用いる。
【0015】
図1及び図2において、露光装置EXは、パターンが形成されたマスクMを保持しながら移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、マスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置3とを備えている。
【0016】
また、本実施形態の露光装置EXは、基板ステージ2の温度を調整する温度調整装置100を備えている。本実施形態の温度調整装置100は、温度調整用の流体を送出する流体供給装置101と、流体供給装置101から送出された流体が流れる流路を有し、その流体を基板ステージ2に供給する流体供給機構70とを備えている。流体供給機構70は、複数の管部材70Pと、それら管部材70Pを接続する継手装置80とを備えている。継手装置80は、第1の管部材70Pと第2の管部材70Pとを相対的に回転可能に接続する。
【0017】
基板Pは、半導体ウエハ等の基材の表面に感光材(レジスト)等の膜が形成されたものを含む。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。本実施形態において、マスクMは、EUV光を反射可能な多層膜を有する反射型マスクである。露光装置EXは、多層膜でパターンが形成されたマスクMの表面(反射面)を露光光EL(EUV光)で照明し、マスクMで反射した露光光ELで基板Pを露光する。
【0018】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置、所謂スキャニングステッパである。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置3は、基板Pを投影光学系PLの投影領域に対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明光学系ILの照明領域に対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、マスクMを露光光ELで照明し、マスクMからの露光光ELを基板Pに照射して、基板Pを露光する。
【0019】
本実施形態の露光装置EXは、露光光ELが進行する空間4を所定の環境状態に調整可能なチャンバ装置5を備えている。本実施形態において、チャンバ装置5は、空間4を形成するチャンバ部材6と、空間4の環境状態を調整するための環境調整装置7とを備えている。本実施形態において、チャンバ部材6は、例えばクリーンルームの床面Fに設けられた支持機構6Sに支持されている。支持機構6Sは、防振ユニットを含む。露光光ELが進行する空間4は、チャンバ部材6の内側の空間を含み、露光光ELは、その内側の空間を進行する。環境調整装置7は、真空システムを含み、空間4を真空状態に調整可能である。制御装置3は、環境調整装置7を用いて、露光光ELが進行する空間4をほぼ真空状態に調整する。一例として、本実施形態においては、空間4の圧力は、例えば、1×10−4〔Pa〕程度の減圧雰囲気に調整される。
【0020】
以下の説明において、空間4を適宜、チャンバ空間4、と称する。本実施形態において、照明光学系ILの少なくとも一部、マスクステージ1、投影光学系PL、及び基板ステージ2のそれぞれは、チャンバ空間4に配置されている。
【0021】
照明光学系ILは、光源装置(不図示)からの露光光ELでマスクMを照明する。光源装置は、例えばキセノン(Xe)等のターゲット材料にレーザー光を照射して、そのターゲット材料をプラズマ化し、EUV光を発生させるレーザ生成プラズマ光源装置、所謂、LPP(Laser Produced Prasma)方式の光源装置を含む。なお、光源装置が、所定ガス中で放電を発生させて、その所定ガスをプラズマ化し、EUV光を発生させる放電生成プラズマ光源装置、所謂、DPP(Discharge Produced Prasma)方式の光源装置でもよい。光源装置で発生したEUV光(露光光EL)は、照明光学系ILに入射する。
【0022】
照明光学系ILは、複数の光学素子を含み、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明光学系ILの光学素子は、EUV光を反射可能な多層膜を備えた多層膜反射鏡を含む。光学素子の多層膜は、例えばMo/Si多層膜を含む。
【0023】
マスクステージ1は、ステージ本体8と、マスクMを保持しながらステージ本体8に対して移動可能なテーブル9とを含む。テーブル9は、ステージ本体8の−Z側に配置されている。テーブル9は、マスクMを保持した状態で、露光光ELの光路に対して移動可能である。ステージ本体8は、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。テーブル9は、マスクMをリリース可能に保持する保持部50を有する。保持部50は、静電チャック機構を含み、静電力でマスクMを保持する。保持部50は、マスクMを静電力で保持可能な保持面51を有する。本実施形態において、保持面51は、−Z側を向き、XY平面とほぼ平行であり、マスクMの裏面と対向可能である。テーブル9は、保持部50でマスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0024】
本実施形態においては、マスクステージ1(保持部50)は、マスクMの反射面が−Z側を向くように、マスクMを保持する。また、本実施形態においては、マスクステージ1は、マスクMの反射面とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。照明光学系ILから射出された露光光ELは、マスクステージ1に保持されているマスクMの反射面に照射される。
【0025】
マスクステージ1は、駆動システム10の作動によって移動する。駆動システム10は、ステージ本体8を移動可能な、例えばリニアモータ等を含む粗動ユニット11と、ステージ本体8に対してテーブル9を移動可能な、例えばボイスコイルモータ等を含む微動ユニット12とを含む。本実施形態においては、マスクステージ1(マスクM)の位置情報を計測可能なレーザ干渉計を有する干渉計システム(不図示)、及びマスクMの反射面の位置情報を検出可能なフォーカス・レベリング検出システム(不図示)が設けられている。制御装置3は、干渉計システムの計測結果、及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、駆動システム10を作動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を行う。
【0026】
投影光学系PLは、複数の光学素子を含み、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLの光学素子は、EUV光を反射可能な多層膜を備えた多層膜反射鏡を含む。光学素子の多層膜は、例えばMo/Si多層膜を含む。
【0027】
基板ステージ2は、上面13及び下面14を有するプレート部材15と、プレート部材15の上面13側(+Z側)で移動可能な第1ステージ本体16と、プレート部材15の上面13側で移動可能な第2ステージ本体17と、プレート部材15の上面13側で、基板Pを保持しながら移動可能なテーブル18と、プレート部材15の下面14を支持する支持機構19とを備えている。支持機構19は、プレート部材15の下面14と対向するチャンバ部材6の内側の設置部6Tに設けられている。
【0028】
テーブル18は、基板Pを保持しながら第1、第2ステージ本体16、17に対して移動可能である。テーブル18は、基板Pを保持した状態で、露光光ELの光路に対して移動可能である。テーブル18は、基板Pをリリース可能に保持する保持部60を有する。保持部60は、静電チャック機構を含み、静電力で基板Pを保持する。保持部60は、基板Pを静電力で保持可能な保持面61を有する。本実施形態において、保持面61は、+Z側を向き、XY平面とほぼ平行であり、基板Pの裏面と対向可能である。テーブル18は、保持部60で基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0029】
本実施形態においては、基板ステージ2(保持部60)は、基板Pの表面(露光面)が+Z側を向くように、基板Pを保持する。また、本実施形態においては、基板ステージ2は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。投影光学系PLから射出された露光光ELは、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面に照射される。
【0030】
基板ステージ2は、駆動システム20の作動によって移動する。駆動システム20は、第1ステージ本体16を移動可能な、例えばリニアモータを含む第1ユニット21と、第2ステージ本体17を移動可能な、例えばリニアモータを含む第2ユニット22と、テーブル18を移動可能な、例えばボイスコイルモータ等を含む第3ユニット23とを含む。本実施形態においては、基板ステージ2(基板P)の位置情報を計測可能なレーザ干渉計を有する干渉計システム(不図示)、及び基板Pの表面の位置情報を検出可能なフォーカス・レベリング検出システム(不図示)が設けられている。制御装置3は、干渉計システムの計測結果、及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて、駆動システム20を作動し、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置制御を行う。
【0031】
図3は、温度調整装置100及び基板ステージ2の一部を示す側断面図、図4は、XY平面と平行な断面図である。図1、図2、図3、及び図4において、テーブル18は、基板Pをリリース可能に保持する保持面61を有する保持部60を有する。テーブル18(保持部60)は、静電チャック機構を含み、基板Pの裏面を静電力で保持する。
【0032】
テーブル18は、基板Pの裏面と対向可能な上面62を有する。保持部60は、上面62に設けられ、基板Pの裏面を支持する支持部材91を含む。支持部材91は、例えばピン状の部材であり、上面62に複数配置されている。支持部材91は、所定の間隔をあけて、上面62の複数の位置のそれぞれに配置されている。支持部材91は、基板Pの裏面を支持する上面(支持面)63を有する。上面63のそれぞれは、Z軸方向に関してほぼ同じ位置(高さ)に配置されている。本実施形態においては、保持面61は、上面62、63を含む。
【0033】
テーブル18は、保持面61に静電力を発生するための電極部材90を有する。電極部材90は、テーブル18の内部に配置されている。電極部材90は、テーブル18の複数の所定位置のそれぞれに設けられている。電極部材90のそれぞれは、配線を介して電源(不図示)と電気的に接続可能である。電源は、電極部材90のそれぞれに、所定の電圧を印加可能である。電源は、例えばチャンバ装置5の外側に配置されている。
【0034】
なお、本実施形態の静電チャック機構は、所謂、双極方式である。電極部材90は、正の電位が与えられる保持用電極と、負の電位が与えられる保持用電極とを含む。なお、図3においては、正の電位が与えられる電極部材90のみが示されており、負の電位が与えられる保持用電極の図示が省略されている。
【0035】
本実施形態のテーブル18は、低膨張セラミックスを含む絶縁材料で形成されている。テーブル18の少なくとも一部は、静電チャック機構の誘電体として機能する。上面62は、上述の低膨張セラミックスを含む絶縁材料で形成されている。電極部材90は、上面62の−Z側のテーブル18の内部に配置されている。
【0036】
複数の電極部材90のそれぞれは、印加される電圧に応じて、基板Pを支持部材91に吸着するための静電力を発生させる。制御装置3は、電源を用いて、電極部材90に所定の電圧を印加することによって、基板Pとテーブル18との間にクーロン力(ジャンセン・ラーベック力)を発生させる。これにより、基板Pは静電力によって支持部材91に吸着され、テーブル18(保持部90)は、静電力で基板Pを保持する。
【0037】
温度調整装置100は、基板ステージ2の温度を調整する。温度調整装置100は、温度調整用の流体を送出可能な流体供給装置101と、流体供給装置101から送出された流体を基板ステージ2に供給する流体供給機構70とを備えている。
【0038】
本実施形態において、テーブル18は、温度調整用の流体が流れる内部流路64を有する。電極部材90は、内部流路64の外側に配置されている。本実施形態においては、内部流路64は、電極部材90の−Z側に形成されている。テーブル18は、内部流路64に流体を流入させるための入口65と、内部流路64から流体を流出させるための出口66とを備えている。
【0039】
本実施形態において、温度調整装置100は、内部流路64に温度調整用の流体を供給して、電極部材90の温度を調整する。例えば電力(電圧)の供給によって、電極部材90は、発熱する。流体は、電極部材90の温度上昇を抑制するために、内部流路64に供給される。流体は、電極部材90を冷却するための冷却剤として機能する。本実施形態においては、流体として、液体を用いる。
【0040】
温度調整用の流体(液体)として、例えばハイドロフルオロエーテル(例えば「ノベックHFE」:住友スリーエム株式会社製)、フッ素系不活性液体(例えば「フロリナート」:住友スリーエム株式会社製)等を用いることができる。なお、温度調整用の流体として、水を用いてもよい。
【0041】
継手装置80を含む流体供給機構70の一端は、テーブル18に支持されている。流体供給装置101と内部流路64(入口65)とは、流体供給機構70を介して接続されている。流体供給機構70は、流体供給装置101から送出された流体が流れる流路を有する。流体供給機構70は、流体供給装置101から送出された流体を内部流路64に供給する。流体供給装置101は、内部流路64に流体を供給するために、温度調整された流体を流体供給機構70の流路に送出する。温度調整装置100は、電極部材90の温度を調整するために、流体供給装置101から送出された流体を、流体供給機構70の流路及び入口65を介して内部流路64に供給する。内部流路64に流体が流れることによって、内部流路64の外側に配置されている電極部材90の温度が調整される。本実施形態によれば、発熱する電極部材90を冷却することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、温度調整装置100は、出口66に接続され、出口66を介して内部流路64から流出した流体が流れる流路を有する流体回収機構102と、流体回収機構102を流れた流体を回収する流体回収装置103とを備えている。流体回収装置103は、例えば真空システムを含み、流体を吸引して回収可能である。出口66より出た内部流路64の流体は、流体回収機構102の流路を流れて、流体回収装置103に回収される。
【0043】
次に、駆動システム20について説明する。第1ステージ本体16を移動可能な第1ユニット21は、リニアモータを含む。図2に示すように、本実施形態において、第1ユニット21は、第1ガイド部材24に配置されたリニアモータの固定子21Cと、第1ステージ本体16に配置されたリニアモータの可動子21Mとを含む。第1ステージ本体16は、第1ガイド部材24にガイドされてY軸方向に移動可能である。本実施形態においては、第1ステージ本体16は、2つ設けられている。第1ガイド部材24は、2つの第1ステージ本体16に対応するように、2つ設けられている。第1ガイド部材24は、第1ステージ本体16をY軸方向にガイドする。
【0044】
図1及び図2に示すように、第1ガイド部材24は、プレート部材15の上面13に配置されている。第1ガイド部材24は、Y軸方向に長い。上面13において、2つの第1ガイド部材24は、X軸方向に所定距離離れて配置されている。第1ガイド部材24の両端のそれぞれは、支持部材25に支持されている。支持部材25は、プレート部材15に固定されている。支持部材25は、第1ガイド部材24とプレート部材15とが離れるように、第1ガイド部材24を支持する。
【0045】
図5は、第1ステージ本体16及び第1ガイド部材24を示す側断面図である。図5に示すように、第1ステージ本体16は、第1ガイド部材24が配置される開口26を有する。第1ステージ本体16は、第1ガイド部材24の周囲に配置される。
【0046】
第1ユニット21の固定子21Cは、複数のコイル35を有する。本実施形態において、コイル35は、第1ガイド部材24の内部空間37に配置されている。本実施形態において、第1ガイド部材24は、コイル35が配置される内部空間37を形成するハウジングとして機能する。コイル35は、内部空間37において、Y軸方向に複数配置されている。第1ユニット21の可動子21Mは、複数の磁石36を有する。本実施形態において、磁石36は、第1ステージ本体16に配置されている。第1ステージ本体16は、固定子21C及び可動子21Mを含む第1ユニット21の作動によって、第1ガイド部材24にガイドされながら、Y軸方向に移動可能である。
【0047】
なお、本実施形態においては、第1ユニット21は、固定子21Cがコイルを含み、可動子21Mが磁石を含む、所謂、ムービングマグネット方式のリニアモータであるが、第1ユニット21として、固定子21Cが磁石を含み、可動子21Mがコイルを含む、所謂、ムービングコイル方式のリニアモータでもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、基板ステージ2は、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間に配置されたガスベアリング27を備えている。ガスベアリング27の作動によって、第1ステージ本体16(可動子21M)は、第1ガイド部材24(固定子21C)に対して、非接触で支持される。本実施形態のガスベアリング27は、差動排気型である。本実施形態のガスベアリング27は、第1ステージ本体16の内面に配置され、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24との間に気体を供給する給気口28と、給気口28に対して第1ステージ本体16の内面の所定位置に配置され、気体を排出する排気口29と、給気口28及び排気口29に対して第1ステージ本体16の内面の所定位置に配置され、気体を吸引する第1吸引口30及び第2吸引口31とを含む。本実施形態において、給気口28は、Y軸方向に関して第1ガイド部材24の外面の少なくとも2箇所に気体を供給するように、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して一方側(+Y側)及び他方側(−Y側)それぞれの第1ステージ本体16の内面の所定位置に配置されている。
【0049】
排気口29は、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して給気口28の外側に配置されている。具体的には、排気口29は、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して+Y側の給気口28と第1ステージ本体16の+Y側の端部との間、及び−Y側の給気口28と第1ステージ本体16の−Y側の端部との間のそれぞれに配置されている。排気口29は、給気口28の近くに配置されている。本実施形態においては、排気口29は、不図示の排気管を介して、チャンバ部材6の外側の大気空間と接続されている。すなわち、本実施形態においては、排気口29は、大気開放されている。第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間の気体は、排気口29より、不図示の排気管を介して、チャンバ部材6の外側に排出される。
【0050】
第1吸引口30は、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して排気口29の外側に配置されている。具体的には、第1吸引口30は、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して+Y側の排気口29と第1ステージ本体16の+Y側の端部との間、及び−Y側の排気口29と第1ステージ本体16の−Y側の端部との間のそれぞれに配置されている。本実施形態においては、第1吸引口30は、不図示の吸引管を介して、真空システムを含む吸引装置と接続されている。吸引装置は、第1吸引口30を介して、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間の気体を吸引可能である。
【0051】
第2吸引口31は、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して第1吸引口30の外側に配置されている。具体的には、第2吸引口31は、Y軸方向に関して第1ステージ本体16の中央に対して+Y側の第1吸引口30と第1ステージ本体16の+Y側の端部との間、及び−Y側の第1吸引口30と第1ステージ本体16の−Y側の端部との間のそれぞれに配置されている。本実施形態においては、第2吸引口31は、不図示の吸引管を介して、真空システムを含む吸引装置と接続されている。吸引装置は、第2吸引口31を介して、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間の気体を吸引可能である。
【0052】
ガスベアリング27は、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間に所定のギャップを形成するために、給気口28より第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間に気体を供給する。給気口28より第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間に供給された気体の少なくとも一部は、排気口29より排出される。これにより、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間に所定のギャップが形成され、第1ステージ本体16は、第1ガイド部材24に対して、非接触で支持される。また、ガスベアリング27は、第1吸引口30及び第2吸引口31から気体を吸引することによって、例えば第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間の気体が、第1ステージ本体16の内面と第1ガイド部材24の外面との間の空間から外側の空間(すなわちチャンバ空間4)に流出することを抑制することができる。すなわち、第1吸引口30及び第2吸引口31を用いる吸引動作によって、ガスベアリング27の給気口28から供給された気体が、チャンバ空間4に流入することが抑制され、チャンバ空間4の真空状態が維持される。
【0053】
次に、図1、図2、図3を参照して、第2ユニット22について説明する。第2ステージ本体17を移動可能な第2ユニット22は、リニアモータを含む。本実施形態において、第2ユニット22は、第2ガイド部材32に配置されたリニアモータの固定子22Cと、第2ステージ本体17に配置されたリニアモータの可動子22Mとを含む。第2ステージ本体17は、第2ガイド部材32にガイドされてX軸方向に移動可能である。
【0054】
第2ガイド部材32は、X軸方向に長い。第2ガイド部材32の両端のそれぞれは、第1ステージ本体16に接続されている。
【0055】
図3に示すように、第2ステージ本体17は、第2ガイド部材32が配置される開口33を有する。第2ステージ本体17は、第2ガイド部材32の周囲に配置される。
【0056】
第2ユニット22の固定子22Cは、複数のコイル38を有する。本実施形態において、コイル38は、第2ガイド部材32の内部空間40に配置されている。本実施形態において、第2ガイド部材32は、コイル38が配置される内部空間40を形成するハウジングとして機能する。コイル38は、内部空間40において、X軸方向に複数配置されている。第2ユニット22の可動子22Mは、複数の磁石39を有する。本実施形態において、磁石39は、第2ステージ本体17に配置されている。第2ステージ本体17は、固定子22C及び可動子22Mを含む第2ユニット22の作動によって、第2ガイド部材32にガイドされながら、X軸方向に移動可能である。
【0057】
なお、本実施形態においては、第2ユニット22は、固定子22Cがコイルを含み、可動子22Mが磁石を含む、所謂、ムービングマグネット方式のリニアモータであるが、第2ユニット22として、固定子22Cが磁石を含み、可動子22Mがコイルを含む、所謂、ムービングコイル方式のリニアモータでもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、基板ステージ2は、第2ステージ本体17の内面と第2ガイド部材32の外面との間に配置されたガスベアリング34を備えている。ガスベアリング34の作動によって、第2ステージ本体17(可動子22M)は、第2ガイド部材32(固定子22C)に対して、非接触で支持される。第2ステージ本体17の内面と第2ガイド部材32の外面との間に配置されたガスベアリング34は、図5を参照して説明したガスベアリング27と同等の構成を有する。ガスベアリング34についての説明は省略する。
【0059】
テーブル18は、第2ステージ本体17に搭載されている。テーブル18を移動可能な第3ユニット23は、第2ステージ本体17とテーブル18との間に配置されたボイスコイルモータを含む。テーブル18は、基板Pを保持した状態で、第3ユニット23の作動によって、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0060】
第1ユニット21の作動によって、第1ステージ本体16がY軸方向に移動すると、その第1ステージ本体16に接続されている第2ガイド部材32及び第2ステージ本体17も、第1ステージ本体16とともに、Y軸方向に移動する。また、2つの第1ステージ本体16の一方の移動量と他方の移動量とを異ならせることによって、第2ガイド部材32及び第2ステージ本体17は、θZ方向に移動(回転)する。また、第2ステージ本体17は、第2ユニット22の作動によって、X軸方向に移動する。すなわち、第2ステージ本体17は、第1、第2ユニット21、22の作動によって、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。また、テーブル18は、第3ユニット23の作動によって、第2ステージ本体17上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0061】
図2及び図3に示すように、本実施形態においては、流体供給機構70は、複数の管部材70Pと、それら管部材70Pを接続する継手装置80とを備えている。次に、図6を参照して、継手装置80について説明する。図6は、本実施形態に係る継手装置80の一例を示す側断面図である。図6を用いる以下の説明においては、複数の管部材70Pを接続する継手装置80のうち、第1の管部材70Pと第2の管部材70Pとを接続する継手装置80について説明する。
【0062】
図6において、継手装置80は、第1流路71Rが形成され、第1の管部材70Pに接続される第1部材71と、第2流路72Rが形成され、第2の管部材70Pに接続される第2部材72と、第1流路71Rと第2流路72Rとを導通させた状態で、第1部材71と第2部材72とを回転可能に接続する支持部73と、第1部材71と第2部材72との間に配置された気体軸受74とを備えている。第1部材71と第2部材72とは異なる。
【0063】
第1部材71及び第2部材72のそれぞれは、管部材である。本実施形態において、支持部73は、第1部材71の内面と所定のギャップを介して対向する第2部材72の外面、及び第2部材72の外面と所定のギャップを介して対向する第1部材71の内面の少なくとも一部を含む。図6において、第2部材72の外面と対向する部分の第1部材71の軸(中心軸、回転軸)J1は、Z軸方向とほぼ平行であり、第1部材71の内面と対向する部分の第2部材72の軸(中心軸、回転軸)J2は、Z軸方向とほぼ平行である。第1部材71と第2部材72とは、支持部73を介して、図6中、θZ方向に相対的に回転可能である。
【0064】
気体軸受74は、第1部材71に設けられ、異なる方向を向くように、給気口75A、75B、75Cがそれぞれ配置された3つのパッド面76A、76B、76Cと、第2部材72に設けられ、パッド面76A、76B、76Cのそれぞれと対向可能な支持面77A、77B、77Cとを備える。
【0065】
パッド面76A、76B、76Cは、第1部材71の軸J1を囲むように第1部材71の内面に配置されている。支持面77A、77B、77Cは、第2部材72の軸J2を囲むように第2部材72の外面に配置されている。すなわち、本実施形態においては、パッド面76A、76B、76C及び支持面77A、77B、77Cのそれぞれは、第1部材71及び第2部材72の相対的な回転時の回転軸J1、J2を囲むように配置されている。
【0066】
本実施形態において、パッド面76Bは、+Z側を向いており、軸J1を囲むように輪帯状に形成されている。パッド面76Cは、−Z側を向いており、軸J1を囲むように輪帯状に形成されている。パッド面76Aは、パッド面76Bの内縁とパッド面76Cの内縁とを結ぶように形成されている。
【0067】
本実施形態において、支持面77Bは、−Z側を向いており、軸J2を囲むように輪帯状に形成されている。支持面77Cは、+Z側を向いており、軸J2を囲むように輪帯状に形成されている。支持面77Aは、支持面77Bの内縁と支持面77Cの内縁とを結ぶように形成されている。
【0068】
本実施形態において、パッド面76Aには、溝(絞り溝、凹部)78Aが形成されている。給気口75Aは、溝78Aの内側に配置されている。同様に、給気口75B、75Cは、パッド面76B、76Cに形成された溝78B、78Cの内側に配置されている。
【0069】
給気口75A、75B、75Cは、流路79を介して、気体供給装置(不図示)と接続されている。給気口75A、75B、75Cは、気体供給装置から供給された気体を、第1部材71の内面と第2部材72の外面との間に吹き出す。これにより、パッド面76A、76B、76Cと、支持面77A、77B、77Cとの間にギャップが形成される。すなわち、気体軸受74により、第1部材71が第2部材72に非接触で支持される。気体軸受74は、第1部材71と第2部材72とを回転可能に非接触で支持する。
【0070】
また、本実施形態の継手装置80は、第1部材71と第2部材72との間に配置され、気体を吸引する吸引口81を備えている。本実施形態において、吸引口81は、第2部材72の外面と対向する第1部材71の内面の所定位置に配置されている。吸引口81は、第1部材71と第2部材72との間において、パッド面76A、76B、76C、及び支持面77A、77B、77Cの外側に配置されている。
【0071】
吸引口81は、パッド面76A、76B、76C、及び支持面77A、77B、77Cを含む気体軸受74より、第1、第2流路71R、72Rに対する第1、第2部材71、72の外部空間に近い位置に配置されている。本実施形態において、外部空間は、チャンバ空間4である。上述のように、チャンバ空間4は、ほぼ真空である。
【0072】
本実施形態において、吸引口81は、気体軸受74に対してチャンバ空間4に近い+Z側に配置されている。本実施形態において、吸引口81は、第1部材71の内面に形成された溝82の内側に配置されている。溝82は、軸J1(第2部材72の外面)を囲むように形成されている。本実施形態においては、吸引口81は、不図示の吸引管を介して、真空システムを含む吸引装置と接続されている。吸引装置は、吸引口81を介して、第1部材71の内面と第2部材72の外面との間の気体を吸引可能である。
【0073】
また、本実施形態の継手装置80は、気体軸受74と吸引口81との間に配置された排気口83を備えている。本実施形態において、排気口83は、第2部材72の外面と対向する第1部材71の内面の所定位置に配置されている。排気口83は、第1部材71と第2部材72との間において、パッド面76A、76B、76C及び支持面77A、77B、77Cと吸引口81との間に配置されている。
【0074】
本実施形態において、排気口83は、第1部材71の内面に形成された溝84の内側に配置されている。溝84は、軸J1(第2部材72の外面)を囲むように形成されている。本実施形態においては、排気口83は、不図示の排気管を介して、チャンバ部材6の外側の大気空間と接続されている。すなわち、本実施形態においては、排気口83は、大気開放されている。第1部材71の内面と第2部材72の外面との間の気体は、排気口83より、不図示の排気管を介して、チャンバ部材6の外側に排出される。
【0075】
また、本実施形態においては、継手装置80は、気体軸受74より第1、第2流路71R、72Rに近い位置に配置され、第1、第2流路71R、72Rの流体の漏出を抑制する抑制部材85を備えている。本実施形態において、抑制部材85は、第2部材72の端面と第1部材71との間に配置されたOリングである。
【0076】
制御装置3は、第1部材71の内面と第2部材72の外面との間に所定のギャップを形成するために、給気口75A、75B、75Cより第1部材71の内面と第2部材72の外面との間に気体を供給する。給気口75A、75B、75Cより第1部材71の内面と第2部材72の外面との間に供給された気体の少なくとも一部は、排気口83より排出される。これにより、第1部材71の内面と第2部材72の外面との間に所定のギャップが形成され、第1部材71は、第2部材72に対して、非接触で支持される。また、制御装置3は、吸引口81から気体を吸引することによって、例えば第1部材71の内面と第2部材72の外面との間の気体が、第1部材71の内面と第2部材72の外面との間の空間から外側の空間(すなわちチャンバ空間4)に流出することを抑制することができる。すなわち、吸引口81を用いる吸引動作によって、気体軸受74の給気口75A、75B、75Cから供給された気体が、チャンバ空間4に流入することが抑制され、チャンバ空間4の真空状態が維持される。
【0077】
図3及び図4に示すように、出口66には、流体回収機構102が接続されている。出口66から出た流体は、流体回収機構102の流路を介して、流体回収装置103に回収される。流体回収機構102の構成は、流体供給機構70の構成とほぼ同等である。流体回収機構102についての説明は省略する。
【0078】
また、上述したように、本実施形態においては、マスクMを保持する保持部50は、静電チャック機構を含み、テーブル12は、電極部材と、温度調整用の流体が流れる内部流路とを有する。本実施形態の露光装置EXは、テーブル12の電極部材の温度を調整するために、上述の温度調整装置100と同等の構成を有する温度調整装置を備えており、そのテーブル12の電極部材の温度を調整することができる。
【0079】
また、第1、第2ユニット21、22のコイル35、38は、電流の供給により発熱する。本実施形態の露光装置EXは、コイル35、38の温度を調整するために、上述の温度調整装置100と同等の構成を有する温度調整装置を備えている。コイル35、38の温度を調整するための温度調整装置は、温度調整用の流体を、内部空間37、40に供給する。第1、第2ガイド部材24、32は、内部空間37、40に流体を流入させるための入口と、内部空間37、40から流体を流出させるための出口とを備えている。温度調整装置は、その入口から内部空間37、40に流体を入れることによって、コイル35、38の温度を調整することができる。
【0080】
次に、上述の構成を有する露光装置EXの動作の一例について説明する。
【0081】
チャンバ空間4が、環境調整装置7によって、真空状態に調整される。また、マスクMがマスクステージ1の保持部50に保持されるとともに、基板Pが基板ステージ2の保持部60に保持される。
【0082】
制御装置3は、基板Pを保持部60で保持するために、テーブル18に配置されている電極部材90に電力を供給する。制御装置3は、少なくとも電極部材90に電力を供給するとき、温度調整装置100を用いて、電極部材90の温度を調整する。制御装置3は、電極部材90の温度を調整するために、流体供給装置101を作動して、流体供給装置101より流体を送出する。流体は、継手装置80の第1、第2流路71R、72Rを含む流体供給機構70の流路、及び入口65を介して、内部流路64に流入する。入口65より内部流路64に流入した流体は、内部流路64を流れる。内部流路64の流体は、その内部流路64の外側に配置されている電極部材90の熱を回収し、出口66に流れる。出口66から流出した流体は、流体回収機構102の流路を介して、流体回収装置103に吸引(回収)される。
【0083】
また、上述したように、本実施形態においては、テーブル12の電極部材の温度を調整するための温度調整装置が設けられている。制御装置3は、その温度調整装置を用いて、テーブル12の電極部材の温度調整を実行する。
【0084】
制御装置3は、基板Pの露光処理を開始する。マスクMを露光光ELで照明するために、制御装置3は、照明光学系ILより露光光ELを射出する。照明光学系ILより射出された露光光ELは、マスクステージ1に保持されているマスクMに入射する。マスクMは、露光光EL(EUV光)で照明される。マスクMの反射面に照射され、その反射面で反射した露光光ELは、投影光学系PLに入射する。投影光学系PLに入射した露光光ELは、その投影光学系PLを進行した後、基板ステージ2に保持されている基板Pに照射される。制御装置3は、マスクMのY軸方向への移動と同期して、基板PをY軸方向に移動しつつ、マスクMを露光光ELで照明する。これにより、基板Pは露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
【0085】
制御装置3は、マスクMを保持したマスクステージ1を移動するために、駆動システム10を作動する。また、制御装置3は、基板Pを保持した基板ステージ2を移動するために、駆動システム20を作動する。制御装置3は、第1、第2ユニット21、22のコイル35、38に電流を供給する。
【0086】
上述したように、本実施形態においては、コイル35、38の温度を調整するための温度調整装置が設けられている。制御装置3は、少なくともコイル35、36に電流を供給するとき、温度調整装置を用いて、内部空間37、40に温度調整用の流体を供給する。これにより、コイル35、38の温度が調整される。
【0087】
また、駆動システム10がコイルを有する場合、コイル35、38の温度を調整する方法と同様の方法で、その駆動システム10のコイルの温度を調整することができる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、継手装置80を含む流体供給機構70を介して、内部流路64、内部空間37、40に温度調整用の流体を供給することで、流体の漏出を抑制しつつ、電極部材90、コイル35、38の温度調整を実行することができる。したがって、露光不良の発生を抑制し、不良デバイスの発生を抑制できる。
【0089】
本実施形態によれば、継手装置80の第1部材71と第2部材72とが相対的に回転可能であり、流体供給機構70は、テーブル18、ガイド部材32等の移動に追従可能である。したがって、テーブル18、ガイド部材32等の移動性能の低下を抑制し、且つ流体の漏出を抑制しつつ、温度調整を実行することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、管部材70P及び継手装置80を含む流体供給機構70を、アウトガスが少なく、流体に対する耐性が高く、流体に対するバリア性が高い金属等で形成することが可能である。したがって、チャンバ空間4の環境が変化したり、露光光ELの光路の状態が変化したりすることを抑制できる。
【0091】
なお、図7に示すように、第1、第2流路71R、72Rを含む流体供給機構70の流路に、可撓性のチューブ88を配置し、そのチューブ88の流路を介して流体を供給してもよい。チューブ88は、例えばオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂で形成可能である。これにより、流体の漏出をより一層抑制できる。また、図7の実施形態によれば、抑制部材85を省略できる。
【0092】
なお、上述の実施形態においては、温度調整用の流体が液体である場合を例にして説明したが、気体でもよい。
【0093】
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EXがEUV露光装置である場合を例にして説明したが、露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等を用いてもよい。また、上述の各実施形態においては、露光光ELが進行するチャンバ空間4が真空状態である場合を例にして説明したが、空気、窒素ガス等、所定のガスで満たされた空間でもよい。
【0094】
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスク又はレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0095】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0096】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0097】
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0098】
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0099】
更に、例えば米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているように、基板を保持する基板ステージと、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
【0100】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0101】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0102】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図8に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態に従って、マスクを介した露光光で基板を露光すること、及び露光した基板を現像することを含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0103】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本実施形態に係る露光装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る基板ステージの一例を示す平面図である。
【図3】本実施形態に係る温度調整装置及び基板ステージの一部を示す側断面図である。
【図4】本実施形態に係る温度調整装置及び基板ステージの一部を示す断面図である。
【図5】本実施形態に係る基板ステージの一部を示す断面図である。
【図6】本実施形態に係る継手装置の一例を示す側断面図である。
【図7】本実施形態に係る流体供給装置の一例を示す側断面図である。
【図8】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0105】
1…マスクステージ、2…基板ステージ、3…制御装置、4…チャンバ空間、18…テーブル、20…駆動システム、21…第1ユニット、22…第2ユニット、23…第3ユニット、24…第1ガイド部材、32…第2ガイド部材、35…コイル、37…内部空間、38…コイル、40…内部空間、60…保持部、61…保持面、64…内部流路、70…流体供給機構、71…第1部材、71R…第1流路、72…第2部材、72R…第2流路、73…支持部、74…気体軸受、75A、75B、75C…給気口、76A、76B、76C…パッド面、77A、77B、77C…支持面、80…継手装置、81…吸引口、83…排気口、85…抑制部材、88…第3部材、90…電極部材、100…温度調整装置、101…流体供給装置、EL…露光光、EX…露光装置、J1…軸、J2…軸、M…マスク、P…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路が形成された第1部材と、
第2流路が形成され、前記第1部材とは異なる第2部材と、
前記第1流路と前記第2流路とを導通させた状態で前記第1部材と前記第2部材とを回転可能に接続する支持部と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置された気体軸受と、を備えた継手装置。
【請求項2】
前記気体軸受は、給気口がそれぞれ配置され、異なる方向を向く少なくとも3つのパッド面と、前記パッド面のそれぞれと対向可能な支持面とを含む請求項1記載の継手装置。
【請求項3】
前記パッド面は、前記第1部材の軸を囲むように前記第1部材に配置され、
前記支持面は、前記第2部材の軸を囲むように前記第2部材に配置される請求項2記載の継手装置。
【請求項4】
前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、気体を吸引する吸引口を備える請求項1〜3のいずれか一項記載の継手装置。
【請求項5】
前記吸引口は、前記気体軸受より、前記第1、第2流路に対する前記第1、第2部材の外部空間に近い位置に配置される請求項4記載の継手装置。
【請求項6】
前記気体軸受と前記吸引口との間に配置された排気口を備える請求項5記載の継手装置。
【請求項7】
前記気体軸受より前記第1、第2流路に近い位置に配置され、前記第1、第2流路の流体の漏出を抑制する抑制部材を備える請求項1〜6のいずれか一項記載の継手装置。
【請求項8】
前記第1、第2流路に対する前記第1、第2部材の外部空間は、ほぼ真空である請求項1〜7のいずれか一項記載の継手装置。
【請求項9】
前記気体軸受により、前記第1部材が前記第2部材に非接触で支持される請求項1〜8のいずれか一項記載の継手装置。
【請求項10】
前記第1流路及び前記第2流路の少なくとも一方に、可撓性の第3部材が配置される請求項1〜9のいずれか一項記載の継手装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項記載の継手装置を介して流体を供給する流体供給装置。
【請求項12】
所定空間に温度調整用の流体を供給して物体の温度を調整する温度調整装置であって、
前記所定空間に流体を供給するために、請求項11記載の流体供給装置を備えた温度調整装置。
【請求項13】
露光光で基板を露光する露光装置であって、
当該露光装置を構成する複数の物体のうち、少なくとも1個の物体の温度を調整するために、請求項12記載の温度調整装置を備えた露光装置。
【請求項14】
前記露光光の光路に対して移動可能な可動部材を有するステージ装置を備え、
前記継手装置の少なくとも一部が、前記可動部材に支持される請求項13記載の露光装置。
【請求項15】
コイルを有するアクチュエータ装置を備え、
前記少なくとも1個の物体は、前記コイルを含む請求項13又は14記載の露光装置。
【請求項16】
前記所定空間を形成するハウジングを備え、
前記コイルは、前記ハウジングの内側に配置される請求項15記載の露光装置。
【請求項17】
保持面を有する保持部材と、前記保持部材に配置され、前記保持面に静電力を発生するための電極部材とを有する保持装置を備え、
前記少なくとも1個の物体は、前記電極部材を含む請求項13又は14記載の露光装置。
【請求項18】
前記所定空間は、前記保持部材の内部に形成され、
前記電極部材は、前記所定空間の外側に配置される請求項17記載の露光装置。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか一項記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項20】
移動可能な可動部材を有するステージ装置であって、
請求項1〜10のいずれか一項記載の継手装置を備え、
前記継手装置の少なくとも一部を前記可動部材で支持するステージ装置。
【請求項21】
第1部材に設けられ、異なる方向を向くように、流体吹出口がそれぞれ配置された少なくとも3つのパッド面と、
第2部材に設けられ、前記パッド面のそれぞれと対向可能な支持面と、を備えた流体軸受。
【請求項22】
前記第1部材と前記第2部材とを回転可能に非接触で支持する請求項21記載の流体軸受。
【請求項23】
前記パッド面及び前記支持面のそれぞれは、前記回転時の回転軸を囲むように配置される請求項22記載の流体軸受。
【請求項24】
前記第1部材と前記第2部材との間に、前記パッド面及び前記支持面の外側に配置され、流体を吸引する吸引口を備える請求項21〜23のいずれか一項記載の流体軸受。
【請求項25】
前記パッド面及び前記支持面と前記吸引口との間に配置された排気口を備える請求項24記載の流体軸受。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−283660(P2009−283660A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134024(P2008−134024)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】