説明

線状光源およびその製造方法

【課題】発光素子の周囲に配置された反射壁上に反射壁内に形成された透光性を有する透光樹脂が乗り上げることを抑制することができる線状光源およびその製造方法を提供する。
【解決手段】線状光源は、主表面を有する基板と、主表面上に設けられた発光素子40と、主表面上に形成されると共に発光素子40の周囲を取り囲むように形成された環状のダム32と、ダム32内に充填された透光性樹脂50と、ダム32の上面に形成された撥液剤とを備え、液体状における透光性樹脂の撥液剤上での接触角度は、反射壁での接触角度よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状光源およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から画像表示装置、照明器具やプロジェクタなどの電子機器に搭載される線状光源について各種提案されている。特開平09−148633号公報には、発光ダイオード整列光源に関する発明が開示される。この発光ダイオード整列光源は、複数個の発光ダイオードチップと、一対の白色系樹脂体と、透明樹脂体とを備える。
【0003】
上記複数個の発光ダイオードチップは、プリント配線基板上において直線状に配置される。上記一対の白色系樹脂体は、上記複数個の発光ダイオードチップの両側に平行に配置される。上記透明樹脂体は、上記一対の白色系樹脂体の間に直線状に配置される。
【0004】
特開平09−148633号公報の発光ダイオード整列光源においては、発光ダイオードチップから発した光が、白色系樹脂体によって反射される。白色系樹脂体からの反射光は、光源の光軸上に集まる。特開平09−148633号公報は、この発光ダイオード整列光源によれば、光の利用効率を向上させることによって、高い照度を得ることができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−148633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特開平09−148633号公報に記載された発光ダイオード整列光源においては、製造過程において、白色系樹脂体によって囲まれた領域内に透明樹脂体を充填する際に、透明樹脂体が白色系樹脂体の上面に乗り上げる場合がある。
【0007】
透明樹脂体が白色系樹脂体の上面に乗り上げると、白色系樹脂体の上面に位置する透明樹脂体まで発光ダイオードからの光が達し、当該部分から外部に向けて光が出射される。
【0008】
その結果、当該発光ダイオード整列光源を液晶表示装置や照明装置などに適用した場合には輝度むらの原因となる。
【0009】
また、特開平09−148633号公報に記載された発光ダイオード整列光源においては、発光ダイオードから出射された光の一部は、白色系樹脂体の内表面によって反射される。白色系樹脂体で光が反射される際には、光の一部が白色系樹脂体に吸収される。このため、発光ダイオードから出射される光の利用効率が低くなってる。
【0010】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その第1目的は、発光素子の周囲に配置された反射壁上に反射壁内に形成された樹脂が乗り上げることを抑制することができる線状光源およびその線状光源の製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の第2目的は、発光素子から出射される光の利用効率の向上が図られた線状光源およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る線状光源は、主表面を有する基板と、主表面上に設けられた発光素子と、主表面上に形成されると共に発光素子の周囲を取り囲むように形成された環状の反射壁と、反射壁内に充填された樹脂と、反射壁の上面に形成された撥液膜とを備える。上記撥液膜は、液体状における樹脂と撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における樹脂と反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成される。
【0013】
好ましくは、上記反射壁の内周面は、基板から離れるにつれて反射壁の外周面に近づくように傾斜する。好ましくは、上記反射壁の上面は、平坦面状に形成される。好ましくは、上記撥液膜は、反射壁の上面上および反射壁の内周面上に形成される。
【0014】
本発明に係る線状光源は、他の局面では、主表面を有する基板と、主表面上に設けられた発光素子と、主表面上に形成されると共に発光素子の周囲を取り囲むように形成された環状の反射壁と、反射壁内に充填された樹脂とを備える。上記樹脂と反射壁の内周面との間に空隙部が形成される。好ましくは、上記空隙部は、反射壁の内周面の全周に亘って形成される。
【0015】
好ましくは、上記反射壁の内周面に撥液膜が形成され、撥液膜は、液体状における樹脂と撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における樹脂と反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成される。上記撥液膜は、反射壁の内周面上および反射壁の上面上に形成される。
【0016】
本発明に係る線状光源の製造方法は、主表面を有する基板を準備する工程と、主表面上に環状の反射壁を形成する工程と、反射壁内に位置する主表面上に発光素子を配置する工程と、反射壁の上面に撥液膜を形成する工程と、撥液膜が形成された反射壁内に樹脂を充填する工程とを備え。
【0017】
好ましくは、上記撥液膜は、液体状における樹脂と撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における樹脂と反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成される。
【0018】
本発明に係る線状光源は、他の局面では、主表面を有する基板を準備する工程と、主表面上に環状の反射壁を形成する工程と、反射壁内に位置する主表面上に発光素子を配置する工程と、反射壁の内周面に撥液膜を形成する工程と、撥液膜が形成された反射壁内に樹脂を充填する工程とを備える。
【0019】
好ましくは、上記撥液膜は、液体状における樹脂と撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における樹脂と反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成される。
【0020】
好ましくは、上記反射壁の内周面に撥液膜を形成する工程は、反射壁が形成された主表面および反射壁上に第1撥液膜を形成する工程と、第1撥液膜に異方性エッチングを施して、反射壁の内周面に第1撥液膜を残すことで、撥液膜を形成する工程とを含む。好ましくは、上記樹脂を充填した後に、熱衝撃を加える工程をさらに備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る線状光源およびその製造方法によれば、輝度むらの発生の抑制を図ることができる。
【0022】
本発明に係る線状光源およびその製造方法によれば、発光素子からの光の利用効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態1に係る液晶表示装置を示す正面図である。
【図2】液晶表示装置1の分解斜視図である。
【図3】液晶表示装置1を示す断面図である。
【図4】光源モジュール20の一部を示す斜視図である。
【図5】LEDユニット25の分解斜視図である。
【図6】線状LEDモジュール24aおよび脚部36およびその周囲の部材を示す断面図である。
【図7】線状LEDモジュール24aを模式的に示す斜視図である。
【図8】線状LEDモジュール24aの平面図である。
【図9】図8のIX−IX線における断面図である。
【図10】本実施の形態1に係る線状LEDモジュール24aの製造工程の第1工程を示す断面図である。
【図11】図10に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図12】図11に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図13】図12に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図14】図13に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図15】図14に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図16】蛍光体樹脂50を溝部32a内に充填する際におけるダム32の上面の拡大図である。
【図17】本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aの断面図である。
【図18】蛍光体樹脂50と撥液膜44との界面を示す断面図である。
【図19】本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aの製造工程の過程を示す断面図である。
【図20】図19に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図21】図20に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図22】本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aの断面図である。
【図23】ダム32および蛍光体樹脂50の境界付近を示す断面図である。
【図24】本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aの製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図26】図25に示す製造工程後の工程を示す断面図である。
【図27】ダム32の上面およびその周囲の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から図27を用いて、本発明に係る線状光源と、この線状光源を備えた電子機器について説明する。なお、下記の実施の形態においては、電子機器として、液晶表示装置に適用した例について説明するが、他に照明装置やプロジェクタなどの電子機器にも適用ことができる。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る液晶表示装置を示す正面図である。この図1に示すように、液晶表示装置1は、土台1A上に設けられており、液晶表示装置1は、画像が表示される画面を有している。
【0026】
図2は、液晶表示装置1の分解斜視図であり、図3は、液晶表示装置1を示す断面図である。図2および図3に示すように、液晶表示装置1は、光を出射する光出射面を有するバックライト10と、バックライト10の光出射面上に配置された拡散シート2と、拡散シート2上に配置されたプリズムシート3と、プリズムシート3上に配置された液晶パネル4と、液晶パネル4に設けられたフレーム5とを含む。
【0027】
液晶パネル4は、板状に形成され、液晶パネル4の一方の主表面4Aは、画像を表示可能な画像表示領域と、画像表示領域の外周に位置する非表示領域とを含む。液晶パネル4に表示された画像は、バックライト10からの光によって観察者が視認することができる。
【0028】
フレーム5は液晶パネル4の非表示領域を覆うと共に、画像表示領域に表示された画像が外部から観察可能なように枠状に形成されている。
【0029】
バックライト10は、面発光ユニットあって、液晶パネル4に向けて光を照射している。バックライト10は、光源モジュール20と、光源モジュール20上に配置され、開口部11aが形成されたシャーシ11と、シャーシ11に対して光源モジュール20と反対側に配置された反射シート12と、反射シート12に対してシャーシ11と反対側に配置された導光板13とを含む。
【0030】
バックライト10の導光板13出射された光は拡散シート2およびプリズムシート3を通して液晶パネル4に入射する。
【0031】
光源モジュール20は、図1の一点鎖線に示されるように、液晶表示装置1の背面の高さ方向の中央部に設けられると共に、液晶表示装置1の幅方向に配列する一方の側辺部から他方の側辺部に亘って延びるように形成されている。
【0032】
図4は、光源モジュール20の一部を示す斜視図であり、この図4および上記図3に示すように、光源モジュール20は、液晶表示装置1の幅方向に延びる光源ホルダー21と、光源ホルダー21に設けられた複数のLED(Light Emitting Diode)ユニット25とを含む。
【0033】
光源ホルダー21は、搭載板26と、搭載板26の側辺部から立ち上がるように形成された周壁部27と、周壁部27の上端部から張り出す鍔部28とを含む。
【0034】
搭載板26は、シャーシ11から間隔をあけて配置されており、搭載板26には、複数のLEDユニット25が固定されている。鍔部28は、シャーシ11に固定されている。
【0035】
LEDユニット25は、搭載板26上に配置されるヒートシンク22と、ヒートシンク22上に間隔をあけて配置された線状LEDモジュール24a,24bと、線状LEDモジュール24aおよび線状LEDモジュール24bを接続するように配置されたアーチ形状の光結合部材30とを備える。ヒートシンク22は、板状に形成され、搭載板26に固定されている。
【0036】
図5は、LEDユニット25の分解斜視図である。この図5に示すように、線状LEDモジュール24aは、基板31と、基板31の主表面上に形成されたダム(反射壁)32とを含む。基板31およびダム32は液晶表示装置1の幅方向に長尺に形成されている。ダム32は環状に形成されており、ダム32内には、ダム32の長さ方向に間隔をあけて複数のLEDが設けられている。
【0037】
線状LEDモジュール24bは、基板33と、基板33の主表面上に配置されたダム34とを含む。基板33およびダム34も液晶表示装置1の幅方向に長尺に形成されている。ダム34は、環状に形成されており、ダム34内には、複数のLEDがダム34の長さ方向に間隔をあけて配置されている。
【0038】
光結合部材30は、液晶表示装置1の幅方向に長尺に形成されており、光結合部材30の長さ方向に垂直な断面において、光結合部材30の断面形状は、二股形状なっている。光結合部材30は、付根部35と、付根部35から二股に分かれる脚部36および脚部37とを含む。
【0039】
付根部35の頂点部35aは平坦面とされている。当該頂点部35aは、図3に示すように、シャーシ11に形成された開口部11aと、反射シート12に形成されたスリット12aとから露出する導光板13と接触している。導光板13と光結合部材30とは、別部材であり、その間に空気が介在しないようになっている。具体的には、両部材は、接着剤やレーザ溶着により接合されている。
【0040】
図5において、脚部36および脚部37は、付根部35から離れるにつれて互いの間隔が広がるように形成されている。脚部36の底面は、ダム32上に配置され、脚部37の底面はダム34上に配置される。
【0041】
図6は、線状LEDモジュール24aおよび脚部36およびその周囲の部材を示す断面図である。
【0042】
この図6に示すように、脚部36の底面には突出部38が形成されており、突出部38は、接着剤39によって基板31に固定されている。線状LEDモジュール24aは、環状のダム32内に配置されたLED(発光素子)40を含み、ダム32およびLED40は、突出部38よりも外側に配置されている。脚部36の外周面は、湾曲面状に形成されており、脚部36の外周面によって反射面41が形成されている。
【0043】
LED40からの光は、反射面41によって反射され、その反射光が平坦面状に形成された頂点部35aに達する。その後、図3に示す導光板13に入射し、導光板13に入射された光は、導光板13の内部を全反射して進む。その後、当該光は、図示しない光路変換部である光散乱体と衝突することにより導光板13中を進む角度が変わり、全反射条件が破られ、導光板13の液晶パネル4側表面から出射する。導光板13から出射した光は、拡散シート2およびプリズムシート3を通して液晶パネル4に向かう。
【0044】
このバックライト10によれば、光結合部材30の厚さ方向の伸縮量は大きくないため、伸縮量を考慮して、LED40と光結合部材30との間にクリアランスを設ける必要がない。また、光結合部材30の材質は導光板13の材質と同じ樹脂から形成されているので、LED40からの出射光は、光の損失なしに平坦面状の頂点部35aを通過し導光板13に入射する。それゆえ、LED40からの出射光が外部に直接漏れることを防止することができ、光結合効率を向上させることができる。
【0045】
なお、図5に示す脚部37も脚部36と同様に形成されており、脚部37の外周面は湾曲面状に形成され、当該外周面が反射面42となっている。そして、線状LEDモジュール24bからの光は、反射面42で反射され、頂点部35aを通って、導光板13内に入り込む。
【0046】
なお、線状LEDモジュール24a,24bの光源として、LEDを採用した例について説明したが、必ずしもこれに限らず、例えば、有機EL発光素子または無機EL発光素子を用いることも可能である。
【0047】
図7は、線状LEDモジュール24aを模式的に示す斜視図でり、図8は、図7に示す線状LEDモジュール24aの平面図である。この図7および図8に示すように、ダム32は基板31の主表面上に環状に形成され、ダム32によって、溝部32aが形成されている。
【0048】
ダム32の長手方向の長さL1は、たとえば、110mm程度であり、ダム32の高さHは、たとえば、0.45mmから0.5mm程度とされている。ダム32の幅W1は、たとえば、2.5mm程度とされている。溝部32aの溝幅W2は、たとえば、0.5mm程度とされている。
【0049】
溝部32a内には、蛍光体樹脂50が充填されており、溝部32aの底部には、ダム32の長さ方向に間隔をあけて複数のLED40が配置されている。
【0050】
蛍光体樹脂50は、たとえば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などから形成され、LED40からの光を透過可能な透光性樹脂から形成されている。蛍光体樹脂50の上面は、溝部32aの開口縁部よりも、たとえば、0.05mm程度下方に位置している。LED40同士の距離L2は、たとえば、2mm程度とされている。
【0051】
図9は、図8のIX−IX線における断面図である。この図9に示すように、線状LEDモジュール24aの基板31は、アルミベース31Aと、アルミベース31Aの主表面上に形成された絶縁樹脂31Pと、絶縁樹脂31Pの上面上に形成された配線31Cと、配線31Cの一部が露出するように配線31C上に形成された絶縁樹脂31Rと、配線31Cの上面のうち、絶縁樹脂31Rから露出する部分に形成されためっき31Gとを含む。配線31Cは、銅(Cu)などの導電率の高い金属材料から形成されており、めっき31Gは、たとえば、銀(Ag)等から形成されている。
【0052】
めっき31Gの上面上には、ダイボンドペースト40Sが島状に形成されており、LED40はこのダイボンドペースト40Sの上面上に形成されている。
【0053】
めっき31Gは、反射ミラーとして機能しており、めっき31Gに入射したLED40からの光は、光結合部材30に向けて反射される。
【0054】
ダム32は、めっき31G上に形成されており、このダム32は、白色樹脂から形成されている。ダム32は、たとえば、エポキシ樹脂やシリコン樹脂から形成されており、白色顔料として、チタン(Ti)などが採用されている。図9に示す例においては、ダム32の内周面は基板31の主表面に対して垂直となるように形成されている。なお、ダム32の内周面は、図9中の破線に示すように、基板31の主表面から離れるにつれて、ダム32の外周面に近づくように傾斜する傾斜面としてもよい。このような傾斜面とすることで、ダム32の内周面に入射したLED40からの光を光結合部材30に向けて反射させることができる。
【0055】
ダム32の上面には、撥液膜43が塗布されている。撥液膜43は、たとえば、硅素樹脂系(シリコン)の撥液膜や弗素系化合物(スコッチガード)を含む撥液膜などを採用することができる。
【0056】
なお、線状LEDモジュール24bも線状LEDモジュール24aと同様に構成されている。
【0057】
このように構成された線状LEDモジュール24aによれば、線状LEDモジュール24aの製造過程において、蛍光体樹脂50がダム32の上面上に乗り上げることを抑制することができる。
【0058】
そこで、図10から図16を用いて、本実施の形態1に係る線状LEDモジュール24aの製造方法について説明する。
【0059】
図10は、本実施の形態1に係る線状LEDモジュール24aの製造工程の第1工程を示す断面図である。図10において、アルミベース31Aを準備する。アルミベース31A上に絶縁樹脂31Pを形成し、その後、絶縁樹脂31P上にスパッタリングなどで金属膜を形成し、この金属膜をパターニングして、配線31Cを形成する。
【0060】
配線31Cを形成した後、絶縁樹脂を形成して、この絶縁樹脂をパターニングして、絶縁樹脂31Rを形成する。これにより、配線31Cの一部が露出する。
【0061】
その後、電解めっき等で、絶縁樹脂31Rから露出する配線31Cの上面上にめっき31Gを形成する。このようにして、基板31が形成される。
【0062】
図11は、図10に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図11に示すように、基板31の上面上に金型70を配置する。
【0063】
この金型70の下面にはキャビティ71が形成されている。このキャビティ71の下面は開口している。そして、金型70の下面を基板31の上面に配置した状態で、キャビティ71に樹脂を流し込む。
【0064】
図12は、図11に示す製造工程後の工程を示す断面図であり、この図12に示すように、ダム32が形成される。図13は、図12に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図13に示すように、溝部32aの底面に位置するめっき31Gの表面上にダイボンドペースト40Sを形成する。その後、LED40をダイボンドペースト40S上に配置し、さらに、ボンデリングワイヤ40WをLED40に接続する。
【0065】
図14は、図13に示す製造工程後の工程を示す断面図であり、この図14に示すように、ダム32の上面に、撥液膜43を塗布する。ダム32の上面に撥液膜43を塗布する方法として、たとえば、表面に撥液剤が塗布されたローラなどを用いる方法が挙げられる。
【0066】
図15は、図14に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図14に示すように、ダム32の上面に撥液膜43を塗布した後、ダム32の溝部32a内に液体状の蛍光体樹脂50を充填する。蛍光体樹脂50は、ポッティング方式、トランスファー成型またはインジェクション成型などによって形成される。
【0067】
なお、この図15に示す例においては、ディスペンサノズル80から溝部32a内に透光性を有する樹脂を供給することで、蛍光体樹脂50を形成している。
【0068】
図16は、蛍光体樹脂50を溝部32a内に充填する際におけるダム32の上面の拡大図である。ここで、蛍光体樹脂50を形成する際に、ディスペンサノズル80の角度、ディスペンサノズル80およびダム32の相対的な位置等によって、蛍光体樹脂50の一部がダム32上に乗り上げる場合がある。
【0069】
この際、ダム32の上面には撥液膜43が形成されている。撥液膜43は、液体状の
蛍光体樹脂50に対して大きな撥液性を発揮する。これにより、ダム32および撥液膜43上に塗布された蛍光体樹脂50は、ダム32内にまで退避する。
【0070】
なお、撥液膜43は、液体状の蛍光体樹脂50と撥液膜43とにおける蛍光体樹脂50の接触角度αが、液体状の蛍光体樹脂50とダムとの蛍光体樹脂50の接触角度よりも大きい材料から形成されている。これにより、蛍光体樹脂50が上記のようにダム32の上面に乗り上げたとしても、撥液膜43の撥液性によって、蛍光体樹脂50が良好に溝部32aまで退避する。このようにして、線状LEDモジュール24aを製作することができる。
【0071】
ここで、仮に、蛍光体樹脂50がダム32の上面上に残留すると、LED40からの光が、ダム32の上面上に位置する蛍光体樹脂50にまで達する。ダム32の上面上に位置する蛍光体樹脂50から光が照射されると、光結合部材30における光の結合度が低下する。その結果、光の利用効率の低下や輝度むらが生じる場合がある。
【0072】
その一方で、本実施の形態1に係る線状LEDモジュール24aの製造方法によれば、ダム32上に蛍光体樹脂50が乗り上げることを抑制することができ、光の利用効率の向上および輝度むらの発生の抑制を図ることができる。
【0073】
(実施の形態2)
図17から図21と、適宜図1から図6を用いて、本発明の実施の形態2に係る電子機器としての液晶表示装置、線状LEDモジュールおよび線状LEDモジュールの製造方法について説明する。なお、図17から図21に示す構成のうち、上記図1から図16に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してのその説明を省略する場合がある。
【0074】
なお、本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aも、図1から図6に示す液晶表示装置1のバックライト10に搭載される。
【0075】
図17は、本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aの断面図である。この図17に示す例においては、撥液膜43は、ダム32の内周面上に形成された撥液膜44と、ダム32の外周面上に形成された撥液膜45とを含む。なお、本実施の形態2に示す例においては、ダム32の上面には撥液膜は形成されていない。
【0076】
図18は、蛍光体樹脂50と撥液膜44との界面を示す断面図である。この図18に示すように、蛍光体樹脂50およびダム32の内周面との間には、空隙部47が形成されている。なお、この図18に示す例においては、空隙部47は、ダム32の内周面上に形成された撥液膜44と、蛍光体樹脂50の側面56との間に形成されている。
【0077】
なお、当該空隙部47は、ダム32の内周面の略全面と、蛍光体樹脂50の側面56との間に形成されている。
【0078】
LED40から出射されて側面56に達した光のうち、側面56への入射角が臨界角度よりも大きい光は、側面56において全反射する。側面56において、全反射された光は、ダム32の開口部に向けて進む。
【0079】
LED40から出射され、側面56に達した光のうち、側面56への入射角が臨界角度よりも小さい光は、ダム32の内周面に達し、ダム32の内周面で反射される。ダム32は白色樹脂から形成されているため、ダム32の内周面での反射率は高い。
【0080】
ここで、空隙部47が形成されていない線状LEDモジュールにおいては、LED40からの光のうち、ダム32の内周面に向けて出射された光は、ダム32の内周面で反射される。
【0081】
ここで、ダム32の内周面および蛍光体樹脂50の側面56の間に空隙部47が形成されている場合において光が全反射するときの反射率の方が、ダム32の内周面で反射するときの反射率よりも高い。
【0082】
このため、空隙部47が形成された本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aの光の利用効率は、空隙部47が形成されていない線状LEDモジュールの光の利用効率よりも高い。
【0083】
上記のように構成された線状LEDモジュール24aの製造方法について図19から図21を用いて説明する。
【0084】
図19は、本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aの製造工程の過程を示す断面図である。なお、この図19に示す工程は、上記実施の形態1における図13に示す製造工程後の製造工程を示す断面図である。
【0085】
このため、本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aも、基板31を形成する工程と、基板31のめっき31G上に環状のダム32を形成する工程と、ダム32から露出するめっき31Gの上面にLED40を形成する工程とを含む。
【0086】
そして、図19に示すように、ダム32およびLED40が形成された基板31の全面に撥液膜46を塗布する。
【0087】
撥液膜46は、ダム32の内周面、上面および外周面と、基板31の主表面とに形成される。なお、この撥液膜46は、たとえば、硅素樹脂系(シリコン)の撥液膜や弗素系化合物(スコッチガード)を含む撥液膜などが採用されている。
【0088】
図20は、図19に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図20において、撥液膜46に異方性エッチングを施す。
【0089】
異方性エッチングを施すことで、ダム32の上面および基板31の主表面上に形成された撥液膜46が除去され、ダム32の内周面およびダム32の外周面に撥液膜46が残留する。
【0090】
これにより、ダム32の内周面上に形成された撥液膜44と、ダム32の外周面上に形成された撥液膜45とを含む撥液膜43が形成される。
【0091】
図21は、図20に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図21に示すように、撥液膜43を形成した後に、蛍光体樹脂50をダム32の溝部32a内に充填する。そして、蛍光体樹脂50が硬化した後、熱衝撃を基板31、ダム32および蛍光体樹脂50に加える。
【0092】
たとえば、60度〜200度程度の高温の雰囲気中にさらした後、−70度〜0度程度の低温の雰囲気中にさらす。ダム32の熱膨張率と蛍光体樹脂50との熱膨張率とに差があり、さらに、ダム32の内周面と蛍光体樹脂50との間には撥液膜44が形成されている。
【0093】
このため、図18に示すように、蛍光体樹脂50の側面56と、ダム32の内周面との間に空隙部47が形成される。このようにして、本実施の形態2に係る線状LEDモジュール24aを製作することができる。なお、めっき31Gの上面上には、撥液膜は形成されていないため、熱衝撃を加えた際に、蛍光体樹脂50とめっき31Gとの間に剥離や空隙が形成されることが抑制されている。これにより、蛍光体樹脂50はめっき31Gの上面上に接着している。
【0094】
(実施の形態3)
図22から図27と、適宜上記図1から図6とを用いて、本実施の形態3に係る線状LEDモジュールおよび当該線状LEDモジュールを備えた液晶表示装置について説明する。なお、図22から図27に示す構成のうち、上記図1から図21に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0095】
なお、本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aも、上記図1から図6に示す液晶表示装置1のバックライト10に搭載される。図22において、線状LEDモジュール24aは、ダム32の上面と内周面と外周面とを覆う撥液膜49を備える。
【0096】
撥液膜49は、ダム32の内周面上に形成された撥液膜44と、ダム32の上面に形成された撥液膜49と、ダム32の外周面上に形成された撥液膜45とを含む。
【0097】
図23は、ダム32および蛍光体樹脂50の境界付近を示す断面図である。この図23に示すように、本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aにおいても、蛍光体樹脂50の側面56と、ダム32の内周面との間には、空隙部47が形成されている。
【0098】
このため、本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aにおいてもLED40からの光の利用効率の向上が図られている。
【0099】
このように構成された線状LEDモジュール24aの製造方法について説明する。図24は、本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aの製造工程を示す断面図である。本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aも、基板31を形成する工程と、基板31のめっき31G上に環状のダム32を形成する工程と、ダム32から露出するめっき31Gの上面にLED40を形成する工程とを含む。
【0100】
そして、図24に示すように、基板31の主表面上と、ダム32の表面とを覆う撥液膜46を形成する。その後、ダム32の上面上に位置する撥液膜46を覆うマスク53を形成する。
【0101】
図25は、図24に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図25に示すよう上記マスク53を用いて、撥液膜46に異方性エッチングを施す。これにより、基板31上に形成された撥液膜46が除去される。その一方で、マスク53によって覆われたダム32の上面と、ダム32の外周面および内周面とには撥液膜46が残留し、撥液膜49が形成される。その後、マスク53を除去する。
【0102】
図26は、図25に示す製造工程後の工程を示す断面図である。この図26に示すように、蛍光体樹脂50をダム32内に充填する。
【0103】
図27は、上記図26において、ダム32の上面およびその周囲の構成を示す断面図である。この図27に示すように、ダム32の上面には、撥液膜48が形成されているため、ダム32の上面上に蛍光体樹脂50が乗り上げたときには、撥液膜48の撥液性によって、ダム32の上面上に位置する蛍光体樹脂50は、溝部32a内に退避する。これにより、ダム32の上面上に蛍光体樹脂50が形成されることが抑制されている。
【0104】
これに伴い、本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aにおいても、輝度むら等が発生することを抑制することができる。
【0105】
その後、蛍光体樹脂50が硬化した後、蛍光体樹脂50と、ダム32とに熱衝撃を加える。この際、ダム32の内周面と、蛍光体樹脂50との間には撥液膜44が形成されているため、蛍光体樹脂50とダム32の内周面との間に剥離が生じる。
【0106】
これにより、図23に示すように、蛍光体樹脂50の側面56と、ダム32の内周面との間に空隙部47が形成される。
【0107】
このようにして、本実施の形態3に係る線状LEDモジュール24aを製作することができる。
【0108】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、線状光源およびその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 液晶表示装置、1A 土台、2 拡散シート、3 プリズムシート、4 液晶パネル、4A 主表面、5 フレーム、10 バックライト、11 シャーシ、11a 開口部、12 反射シート、12a スリット、13 導光板、20 光源モジュール、21 光源ホルダー、22 ヒートシンク、24a,24b,24a,24b モジュール、25 ユニット、26 搭載板、27 周壁部、28 鍔部、30 光結合部材、31,33 基板、31A アルミベース、31C 配線、31G めっき、31P,31R 絶縁樹脂、32,34 ダム、32a 溝部、35 付根部、35a 頂点部、36,37 脚部、38 突出部、39 接着剤、40 LED、40S ダイボンドペースト、40W ボンデリングワイヤ、41,42 反射面、43,44,45,46,48,49 撥液膜、47 空隙部、50 蛍光体樹脂、51 内壁部、53 マスク、56 側面、70 金型、71 キャビティ、80 ディスペンサノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基板と、
前記主表面上に設けられた発光素子と、
前記主表面上に形成されると共に前記発光素子の周囲を取り囲むように形成された環状の反射壁と、
前記反射壁内に充填され、前記発光素子を封止する樹脂と、
前記反射壁の上面に形成された撥液膜と、
を備え、
前記撥液膜は、液体状における前記樹脂と前記撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における前記樹脂と前記反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成された、線状光源。
【請求項2】
前記反射壁の内周面は、前記基板から離れるにつれて前記反射壁の外周面に近づくように傾斜する、請求項1に記載の線状光源。
【請求項3】
前記反射壁の上面は、平坦面状に形成された、請求項1または請求項2に記載の線状光源。
【請求項4】
前記撥液膜は、前記反射壁の上面上および前記反射壁の内周面上に形成された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の線状光源。
【請求項5】
主表面を有する基板と、
前記主表面上に設けられた発光素子と、
前記主表面上に形成されると共に前記発光素子の周囲を取り囲むように形成された環状の反射壁と、
前記反射壁内に充填された樹脂と、
を備え、
前記樹脂と前記反射壁の内周面との間に空隙部が形成された、線状光源。
【請求項6】
前記空隙部は、前記反射壁の内周面の全周に亘って形成された、請求項5に記載の線状光源。
【請求項7】
前記反射壁の内周面に撥液膜が形成され、
前記撥液膜は、液体状における前記樹脂と前記撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における前記樹脂と前記反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成された、請求項5または請求項6に記載の線状光源。
【請求項8】
前記撥液膜は、前記反射壁の内周面上および前記反射壁の上面上に形成された、請求項7に記載の線状光源。
【請求項9】
主表面を有する基板を準備する工程と、
前記主表面上に環状の反射壁を形成する工程と、
前記反射壁内に位置する前記主表面上に発光素子を配置する工程と、
前記反射壁の上面に撥液膜を形成する工程と、
前記撥液膜が形成された前記反射壁内に樹脂を充填する工程と、
を備える、線状光源の製造方法。
【請求項10】
前記撥液膜は、液体状における前記樹脂と前記撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における前記樹脂と前記反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成された、請求項9に記載の線状光源の製造方法。
【請求項11】
主表面を有する基板を準備する工程と、
前記主表面上に環状の反射壁を形成する工程と、
前記反射壁内に位置する前記主表面上に発光素子を配置する工程と、
前記反射壁の内周面に撥液膜を形成する工程と、
前記撥液膜が形成された前記反射壁内に樹脂を充填する工程と、
を備える、線状光源の製造方法。
【請求項12】
前記撥液膜は、液体状における前記樹脂と前記撥液膜との濡れ性を示す接触角度が、液体状における前記樹脂と前記反射壁との濡れ性を示す接触角度よりも大きい材料によって形成された、請求項11に記載の線状光源の製造方法。
【請求項13】
前記反射壁の内周面に前記撥液膜を形成する工程は、前記反射壁が形成された前記主表面および前記反射壁上に第1撥液膜を形成する工程と、前記第1撥液膜に異方性エッチングを施して、前記反射壁の内周面に前記第1撥液膜を残すことで、前記撥液膜を形成する工程とを含む、請求項11または請求項12に記載の線状光源の製造方法。
【請求項14】
前記樹脂を充填した後に、熱衝撃を加える工程をさらに備える、請求項11から請求項13のいずれかに記載の線状光源の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−216598(P2012−216598A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79502(P2011−79502)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】