説明

緩衝体及び梱包体

【課題】処理治具や基板に異物が付着するのを抑制し、十分な緩衝効果が期待できる緩衝体及び梱包体を提供する。
【解決手段】半導体ウェーハ搭載用の処理治具を収納可能な樹脂製の処理治具用収納ケースと、熱可塑性樹脂を含む成形材料を使用して成形され、処理治具用収納ケースを挟持する可撓性の一対のトレー30とを備え、各トレー30を、容器本体に嵌入されて被覆する嵌入被覆部31と、嵌入被覆部31の周囲に形成されて外方向に伸びるフランジ35と、フランジ35の一部に形成される凹溝38と、フランジ35の残部に形成される凸条39とから形成する。嵌入被覆部31の底を凹凸32に形成し、フランジ35の一部分を折曲してベローズ37を形成し、ベローズ37を嵌入被覆部31と凹溝38及び凸条39の間に介在させ、処理治具用収納ケースを一対のトレー30間に挟む際、一方のトレー30の凹溝38と他方のトレー30の凸条39とを嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の基板に関する処理治具用収納ケースを保護する緩衝体及び梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口径12インチ(φ300mm)の半導体ウェーハをダイシングする場合には、SEMIスタンダードG74−0699等で推奨されているテープフレームに半導体ウェーハをマウントし、この半導体ウェーハをマウントしたテープフレームをコインスタック型の容器に収納して工場に輸送し、この輸送先の工場でテープフレームをフレームカセットに移し替えて収納し直した後、ダイサー等の加工装置に半導体ウェーハをセットするようにしている(特許文献1、2参照)。
【0003】
フレームカセットは、図示しないが、一般的にはアルミニウムを使用して前後部がそれぞれ開口した箱形に構成され、13枚あるいは25枚のテープフレームを上下に並べて整列収納するよう機能する。
【0004】
ところで、従来のフレームカセットは、以上のようにアルミニウム製なので、テープフレームとの接触に伴い導電性の異物を発生させたり、重いので取り扱いに支障を来たすという問題があった。
そこで係る問題を解消すべく、アルミニウム製フレームカセットの代わりとして、樹脂製のフレームカセットが提案され、このフレームカセットにテープフレームを収納して直ちに出荷・輸送し、テープフレームの移し替え作業を省く手法が検討されている。
【特許文献1】特開平8‐80989号公報
【特許文献2】特表2005‐508274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂製のフレームカセットにテープフレームを収納して出荷・輸送する場合には、段ボール箱等にフレームカセットを適切な形に加工された緩衝材を介して収納・梱包するので、輸送時の振動や衝撃により緩衝材が削れてテープフレームや半導体ウェーハに付着し、後のパッケージ工程や基板実装工程に悪影響を及ぼすという問題が新たに生じることとなる。
【0006】
また、フレームカセットの出荷・輸送に際し、一般的な緩衝材(発泡ポリスチレンや発泡ポリエチレン等)を使用する場合には、十分な緩衝効果が期待できないので、テープフレームから半導体ウェーハが剥がれたり、半導体ウェーハの破損を招くおそれがある。さらに、一般的な緩衝材は、大きく、嵩張るので、保管スペースやその費用が増大してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、処理治具や基板に異物が付着するのを抑制し、十分な緩衝効果が期待できる緩衝体及び梱包体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、基板を搭載する処理治具を容器本体内に収納可能な樹脂製の処理治具用収納ケースと、熱可塑性樹脂を含む成形材料を使用して成形され、処理治具用収納ケースを挟み持つ可撓性の一対のトレーとを備えたものであって、
処理治具用収納ケースは、前後部がそれぞれ開口した容器本体と、この容器本体の両側壁内に対向して突出形成され、処理治具のリングフレームを支持する一対の支持片とを含み、容器本体の上下方向に一対の支持片を間隔をおいて複数配列し、隣接する支持片と支持片との間をリングフレーム用の挿入溝に区画形成し、支持片と挿入溝のいずれか一方の略後部に、リングフレームの側部後方に対向するストッパを設けるとともに、このストッパには、リングフレームのがたつきを規制する傾斜面を形成し、
各トレーは、処理治具用収納ケースの容器本体に嵌め入れられて被覆する嵌入被覆部と、この嵌入被覆部の周囲に形成されて外方向に伸びるフランジと、このフランジの一部に形成される凹部と、フランジの残部に形成される凸部とを含み、嵌入被覆部を断面略U字形に形成してその底を凹凸に形成し、フランジの一部分を折り曲げてベローズを形成し、このベローズを嵌入被覆部と凹部及び凸部との間に介在させ、
処理治具用収納ケースを一対のトレー間に挟む際、一方のトレーの凹部と他方のトレーの凸部とを嵌め合わせるようにしたことを特徴としている。
【0009】
なお、処理治具用収納ケースの容器本体の開口した前後部の少なくともいずれか一方を着脱自在に開閉する可撓性の蓋体を備え、この蓋体に、処理治具のリングフレームに干渉する膨出部を形成することができる。
また、トレーを、真空成形あるいは圧空成形することができる。
【0010】
また、トレーの凹部と凸部とをそれぞれ平面略U字形に形成し、これら凹部と凸部との両端部同士を突き合わせることが可能である。
さらに、トレーの嵌入被覆部における底の隅部を、平面略半円形に形成して処理治具用収納ケースの容器本体との接触を回避する接触回避部とすることが可能である。
【0011】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし5いずれかに記載の緩衝体を梱包体に収納することを特徴としている。
【0012】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくとも半導体ウェーハ(φ200mm、φ300mm、φ450mm)や各種のガラス板等が含まれる。処理治具用収納ケースは、全部が樹脂製でも良いし、大部分が樹脂製でも良い。また、成形材料は、熱可塑性樹脂の他、帯電防止剤等の各種フィラーを含有しても良い。トレーや蓋体は、樹脂製のシートを使用して成形することができる。これらは、透明、不透明、半透明を特に問うものではない。
【0013】
蓋体は、容器本体の開口した前部あるいは後部を着脱自在に開閉するものでも良いし、容器本体の前後部をそれぞれ開閉するものでも良い。また、凹部や凸部は、単数複数を特に問うものではない。さらに、梱包体は、周知の段ボール箱でも良いし、専用の箱等でも良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処理治具や基板に異物が付着するのを抑制し、十分な緩衝効果が期待できるという効果がある。
また、処理治具用収納ケースの容器本体の開口した前後部の少なくともいずれか一方を着脱自在に開閉する可撓性の蓋体を備え、この蓋体に、処理治具のリングフレームに干渉する膨出部を形成すれば、容器本体に収納された処理治具のがたつきを抑制することができる。
【0015】
また、トレーを真空成形すれば、トレーの少量多品種生産や安価な量産化が期待でき、しかも、表面加飾性の自由度を向上させることができる。また、トレーを圧空成形すれば、金型に忠実な形状を得ることができるので、高精度なトレーを得ることができる他、シャープなラインやシボを円滑、かつ容易に転写することができる。
【0016】
また、トレーの凹部と凸部とをそれぞれ平面略U字形に形成し、これら凹部と凸部との両端部同士を突き合わせれば、外部からの気体の流入を防いで密封度を向上させることが可能となる。
さらに、トレーの嵌入被覆部における底の隅部を、平面略半円形に形成して処理治具用収納ケースの容器本体との接触を回避する接触回避部とすれば、嵌入被覆部の底の隅部が容器本体との接触で損傷するのを抑制し、トレーの反復使用を可能として環境負荷を軽減することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明に係る緩衝体の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における緩衝体は、図1ないし図13に示すように、半導体ウェーハWを搭載する処理治具1を容器本体20内に収納可能な樹脂製の処理治具用収納ケース10と、熱可塑性樹脂を含む成形材料を使用して成形され、処理治具用収納ケース10を挟持する一対のトレー30と、処理治具用収納ケース10の容器本体20の開口した前後部をそれぞれ開閉する一対の蓋体40とを備え、段ボール箱等からなる梱包体50に収納・梱包される。
【0018】
半導体ウェーハWは、図1に示すように、例えば薄く丸くスライスされた口径300mmのシリコンウェーハからなり、表裏両面がそれぞれ鏡面に形成されており、周縁部には、位置合わせ用のノッチが平面略半楕円形に選択的に切り欠かれる。
【0019】
処理治具1は、図1や図2に示すように、半導体ウェーハWを収納可能な中空のリングフレーム2を備え、このリングフレーム2の裏面に、中空を下方から覆う可撓性の粘着層3が着脱自在に粘着されており、この粘着層3上に半導体ウェーハWが着脱自在に粘着保持される。リングフレーム2は、所定の樹脂等を含む成形材料を使用して平板に成形され、前部両側には位置決め用の切り欠き4がそれぞれ平面略三角形に形成されており、表面後部の中央には、移動体識別用のRFIDタグ5が貼着される。
【0020】
処理治具用収納ケース10は、図2ないし図5に示すように、半導体ウェーハWを搭載する処理治具1を出し入れ可能に収納する容器本体20と、この容器本体20の両側壁23内に対設され、処理治具1のリングフレーム2を水平に支持する一対の支持片26とを備えて透明に構成され、異物の混入を防止する観点からポリエチレン製の包装袋により包装される。
【0021】
容器本体20は、図2に示すように、処理治具1を収納可能な大きさを有する矩形の底板21と、この底板21に上方から間隔をおいて対向する同形の天板22と、これら底板21と天板22の両側部間を縦に連結する一対の側壁23とを備え、前後部がそれぞれ開口した矩形の箱形に構成されており、半導体ウェーハWを搭載した処理治具1、あるいは半導体ウェーハWを搭載する処理治具1のリングフレーム2を図示しない搬送ロボットを介し水平に複数整列収納するよう機能する。
【0022】
容器本体20の底板21、天板22、一対の側壁23は、例えばポリカーボネート等の樹脂を含む成形材料によりそれぞれ射出成形され、ビス等の複数の締結具により組み立てられる。底板21の内面前端には図2に示すように、下方のリングフレーム2の出し入れに資する矩形溝24が切り欠かれ、相対向する一対の側壁23の上部前方間と上部後方間とには図3や図4に示すように、略ハット形を呈する握持操作用のハンドル25がそれぞれ起伏可能に軸支される。
【0023】
一対の支持片26は、図2や図5に示すように、容器本体20の上下方向に所定の間隔をおいて複数配列され、上下方向において隣接する支持片26と支持片26との間がリングフレーム2用の挿入溝27に区画形成されており、各支持片26が容器本体20の前後方向に伸びる細長い板に形成される。各挿入溝27は、支持片26と同様に容器本体20の前後方向に伸長形成され、リングフレーム2の厚さ以上の高さ(幅)を有する。
【0024】
各支持片26の下面後部には図5に示すように、リングフレーム2の側部後方に干渉・対向して位置決めするストッパ28が一体形成され、このストッパ28の側面には、下方の支持片26に向かうにしたがい徐々に狭まる傾斜面29が滑らかに形成されており、この傾斜面29がリングフレーム2の表面後部に隙間をおいて対向する。
【0025】
なお、図6に示すように、各支持片26の下面中央部に、リングフレーム2の表面側部に隙間をおいて対向する突起を一体的に突出形成し、この突起を先細りの台形に形成してその両側部を下方の支持片26に向かうにしたがい徐々に狭まる滑らかな傾斜面29とすることもできる。
【0026】
一対のトレー30は、図7ないし図9に示すように、例えば可撓性のバランスや曲げ強度等に優れるPP等からなる所定のシートを用いてそれぞれ半透明の可撓性に成形される。各トレー30は、処理治具用収納ケース10に嵌入されて被覆する嵌入被覆部31と、この嵌入被覆部31の周囲から外方向に水平に伸長するフランジ35と、このフランジ35の表面の一部に形成される凹溝38と、フランジ35の表面の残部に形成される凸条39とを備えてスタッキング可能に熱成形、具体的には欠けや屑の発生しにくい真空成形法により成形される。
【0027】
嵌入被覆部31は、平面略矩形を呈した断面略U字形、換言すれば、中空の略角錐台形に形成され、その平坦な浅い底には衝撃緩和機能を発揮する変形可能な凹凸32が形成されており、処理治具用収納ケース10の上半分あるいは下半分に嵌入されて被覆・保護する。この嵌入被覆部31の凹凸32は、嵌入被覆部31の底の中央部付近に複数の段付き有底円筒部33が配列されることにより形成される。また、嵌入被覆部31の底の四隅部は、平面略半円形の半球形に湾曲形成され、処理治具用収納ケース10の容器本体20との接触を回避する接触回避部34を形成する。
【0028】
フランジ35は、嵌入被覆部31の周囲に形成されて平面略枠形を呈し、先端部に折り返し片36が一体形成されて嵌入被覆部31の底方向に傾斜しながら指向する。このフランジ35は、その一部分である末端部側が厚さ方向に連続して折曲形成されることにより内外方向に伸縮する平面略枠形のベローズ37を形成する。このベローズ37は、嵌入被覆部31と凹溝38及び凸条39との間に位置し、伸縮することにより強い衝撃を緩和するよう機能する。
【0029】
凹溝38は、例えばフランジ35の半分の先端部寄りに平面略U字形に凹み形成され、ベローズ37の半分を外側から包囲しており、対向するトレー30の凸条39に着脱自在に嵌合される。また、凸条39は、例えばフランジ35の残り半分の先端部寄りに平面略U字形に突出形成され、その両端部が凹溝38の両端部に連続して突き合わされるとともに、ベローズ37の残り半分を外側から包囲しており、対向するトレー30の凹溝38に着脱自在に嵌合される。
【0030】
各蓋体40は、図10ないし図13に示すように、所定の樹脂を含む成形材料により可撓性や弾性を有する横長の断面略皿形に成形され、容器本体20の開口した前後部に着脱自在に嵌合する。この正面略矩形の蓋体40は、例えば可撓性のバランスや曲げ強度等に優れるPP等からなる所定のシートを用いて透明に成形され、中央部の上下方向に、リングフレーム2に干渉して位置決め挟持する略線条の突部41が複数配列形成されており、両側部には、リングフレーム2の両側部に圧接してがたつきを抑制防止する略矩形の膨出部42がそれぞれ立体的に一体形成される。
【0031】
各突部41は、左右方向に直線的に伸長形成され、リングフレーム2に干渉して位置決め挟持する他、蓋体40の強度や剛性を向上させる。また、蓋体40の周縁部は、図11や図12に示すように、突部41や膨出部42側に屈曲して略枠形を呈し、上下部の両側には、容器本体20の開口した前後部の外周面に係止する係止部43が一体的に膨出形成される。
【0032】
梱包体50は、図8や図9に示すように、開口した上部を複数のフラップ51により開閉する溝切り形の外装用段ボール箱からなるが、何らこれに限定されるものではない。例えば、テレスコープ形、組み立て形、差込形、ブリス形等の段ボール箱でも良い。
【0033】
上記において、容器本体20内に処理治具1のリングフレーム2を収納する場合には、容器本体20内に処理治具1のリングフレーム2を前方から搬送ロボットにより水平に挿入すれば良い。
すると、容器本体20の挿入溝27にリングフレーム2が水平に挿入されてスライドするとともに、一対の支持片26にリングフレーム2の両側部が下方から略水平に支持され、ストッパ28の傾斜面29にリングフレーム2が案内されて接触・停止し、これらにより、容器本体20内にリングフレーム2が適切に位置決め収納されることになる。
【0034】
容器本体20内に処理治具1のリングフレーム2が収納されると、容器本体20の開口した前後部に蓋体40がそれぞれ着脱自在に嵌合され、この蓋体40の複数の突部41がリングフレーム2の前後部を挟持してその動きを規制することにより、搬送、運搬、輸送時の振動に伴うリングフレーム2の上下方向へのがたつきが抑制防止される。
【0035】
上記作業の際、ストッパ28にリングフレーム2の後部が規制されるので、挿入されたリングフレーム2の位置ずれや脱落が有効に防止される。また、ストッパ28のテーパ形の傾斜面29が挿入溝27の余分なスペースを徐々に埋めるので、振動に伴うリングフレーム2の上下方向へのがたつきを抑制防止することができ、半導体ウェーハWやリングフレーム2の損傷を招くことがない。
【0036】
次に、必要数のリングフレーム2を収納した処理治具用収納ケース10を梱包体50に収納して梱包する場合には、先ず、処理治具用収納ケース10の開口した前後部に蓋体40をそれぞれ装着してリングフレーム2やその半導体ウェーハWのばたつきを事前に抑え、包装袋により処理治具用収納ケース10を包装し、一対のトレー30の間に包装した処理治具用収納ケース10を挟持・内蔵し、対向する一対のトレー30の凹溝38と凸条39とをそれぞれ嵌合させて一対のトレー30を密着させる。
【0037】
こうして一対のトレー30を密着させたら、開口した梱包体50に一対のトレー30を上方から収納し、梱包体50の複数のフラップ51を曲げて開口部を閉じ、その後、梱包体50の複数のフラップ51を粘着テープ等で封止すれば、処理治具用収納ケース10を梱包して出荷、輸送することができる。
【0038】
上記構成によれば、処理治具用収納ケース10をそのままの状態で出荷したり、輸送するのではなく、緩衝材として機能する専用の一対のトレー30間に処理治具用収納ケース10を挟持させて出荷、輸送するので、輸送時の振動や衝撃により緩衝材が削れてリングフレーム2や半導体ウェーハWに付着し、後のパッケージ工程や基板実装工程に悪影響を及ぼすことがない。
【0039】
また、各トレー30を、粉砕しやすい発泡材ではなく、シートを用いて成形するので、パーティクルや塵埃の発生を未然に防ぐことができ、しかも、各トレー30をスタッキング可能な構成に成形するので、省スペースで整理整頓することができる。また、嵌入被覆部31に凹凸32を、フランジ35にはベローズ37をそれぞれ形成するので、例え梱包体50が落下して強い衝撃が作用しても、処理治具用収納ケース10や半導体ウェーハWに作用する衝撃を和らげて損傷を有効に抑制することができる。
【0040】
また、対向する一対のトレー30を密着させる際、細長いU字形の凹溝38と凸条39とを嵌合させるので、密着度を著しく増大させて緩衝機能の向上を図ることが可能になる。また、各トレー30が真空成形あるいは圧空成形可能な形状なので、スタッキング時の収まりが良好となる。
【0041】
また、嵌入被覆部31の底の四隅部に、容器本体20の角ばった四隅部との接触を回避する接触回避部34を形成するので、嵌入被覆部31の底の隅部が容器本体20との接触で損傷するのを抑制防止することが可能となる。さらに、凹溝38と凸条39の両端部同士を隙間を介して突き合わせるのではなく、連続して突き合わせて外部からの気体の流入を防ぐので、密封機能の大幅な向上が期待できる。
【0042】
なお、上記実施形態ではトレー30と蓋体40とを熱成形したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、PS、PE、PET、PVC、PA等からなるシートを用いてトレー30と蓋体40とを熱成形等しても良い。また、左右一対のトレー30の間に処理治具用収納ケース10を挟持・内蔵しても良い。また、フランジ35の内方向から外方向に向かうにしたがい、ベローズ37の山部分と谷部分の間の高低差を変化させ、緩衝機能に変更を加えることも可能である。
【0043】
また、ベローズ37の一側部の外側に、強度を向上させる長大溝部を凹み形成するとともに、ベローズ37の他側部の外側に、強度を向上させる長大突条を膨出形成することも可能である。また、凹溝38に、ベローズ37の右半分を包囲させても良いし、そうでなくても良い。さらに、凸条39に、ベローズ37の左半分を包囲させても良いし、そうでなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る緩衝体の実施形態における処理治具を模式的に示す斜視説明図である。
【図2】本発明に係る緩衝体の実施形態における処理治具用収納ケースを模式的に示す正面説明図である。
【図3】本発明に係る緩衝体の実施形態における処理治具用収納ケースを模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係る緩衝体の実施形態における処理治具用収納ケースを模式的に示す側面説明図である。
【図5】本発明に係る緩衝体の実施形態における処理治具用収納ケースの内部を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明に係る緩衝体の実施形態における処理治具用収納ケースの他の内部を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明に係る緩衝体の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図8】本発明に係る緩衝体の実施形態を模式的に示す正面説明図である。
【図9】本発明に係る緩衝体の実施形態における一対のトレーを模式的に示す説明図である。
【図10】本発明に係る緩衝体の実施形態における蓋体を模式的に示す説明図である。
【図11】本発明に係る緩衝体の実施形態における蓋体を模式的に示す側面説明図である。
【図12】本発明に係る緩衝体の実施形態における蓋体を模式的に示す底面説明図である。
【図13】本発明に係る緩衝体の実施形態における蓋体を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 処理治具
2 リングフレーム
3 粘着層
10 処理治具用収納ケース
20 容器本体
23 側壁
26 支持片
27 挿入溝
28 ストッパ
29 傾斜面
30 トレー
31 嵌入被覆部
32 凹凸
33 有底円筒部
34 接触回避部
35 フランジ
37 ベローズ
38 凹溝(凹部)
39 凸条(凸部)
40 蓋体
41 突部
42 膨出部
43 係止部
50 梱包体
W 半導体ウェーハ(基板)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搭載する処理治具を容器本体内に収納可能な樹脂製の処理治具用収納ケースと、熱可塑性樹脂を含む成形材料を使用して成形され、処理治具用収納ケースを挟み持つ可撓性の一対のトレーとを備えた緩衝体であって、
処理治具用収納ケースは、前後部がそれぞれ開口した容器本体と、この容器本体の両側壁内に対向して突出形成され、処理治具のリングフレームを支持する一対の支持片とを含み、容器本体の上下方向に一対の支持片を間隔をおいて複数配列し、隣接する支持片と支持片との間をリングフレーム用の挿入溝に区画形成し、支持片と挿入溝のいずれか一方の略後部に、リングフレームの側部後方に対向するストッパを設けるとともに、このストッパには、リングフレームのがたつきを規制する傾斜面を形成し、
各トレーは、処理治具用収納ケースの容器本体に嵌め入れられて被覆する嵌入被覆部と、この嵌入被覆部の周囲に形成されて外方向に伸びるフランジと、このフランジの一部に形成される凹部と、フランジの残部に形成される凸部とを含み、嵌入被覆部を断面略U字形に形成してその底を凹凸に形成し、フランジの一部分を折り曲げてベローズを形成し、このベローズを嵌入被覆部と凹部及び凸部との間に介在させ、
処理治具用収納ケースを一対のトレー間に挟む際、一方のトレーの凹部と他方のトレーの凸部とを嵌め合わせるようにしたことを特徴とする緩衝体。
【請求項2】
処理治具用収納ケースの容器本体の開口した前後部の少なくともいずれか一方を着脱自在に開閉する可撓性の蓋体を備え、この蓋体に、処理治具のリングフレームに干渉する膨出部を形成した請求項1記載の緩衝体。
【請求項3】
トレーを、真空成形あるいは圧空成形した請求項1又は2記載の緩衝体。
【請求項4】
トレーの凹部と凸部とをそれぞれ平面略U字形に形成し、これら凹部と凸部との両端部同士を突き合わせるようにした請求項1、2、又は3記載の緩衝体。
【請求項5】
トレーの嵌入被覆部における底の隅部を、平面略半円形に形成して処理治具用収納ケースの容器本体との接触を回避する接触回避部とした請求項1ないし4いずれかに記載の緩衝体。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の緩衝体を収納することを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−123814(P2009−123814A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294303(P2007−294303)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】