説明

耐久高性能ファイバーセメント製品およびその製造方法

製品における変動炭酸塩化の傾向を低減するために、炭酸塩化低減シーラーを塗布した第一主表面および炭酸塩化低減シーラーを塗布した第二の、一般に相対する主表面を含む人工の繊維補強セメント製品。耐久性のある繊維改質セメント製品の製造方法であって、該製法が、(e)湿潤繊維補強セメント組成物の混合;(f)前記組成物からの第一および第二の、一般に相対する主表面を定義した未加工製品の形成;(g)硬化製品を形成するための未加工製品の硬化;および(h)製品における変動炭酸塩化の傾向を低減するための前記第一および第二主表面への炭酸塩化低減シーラーの塗布の工程を含む製造方法。変動炭酸塩化の傾向を低減した第一主表面を含む人工の繊維補強セメント製品であって、該製品が0.29〜約0.51のセメントのシリカに対する比および25%〜約45%の多孔率を有する製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸塩化作用または変動炭酸塩化(differential carbonation)を低減させる傾向があり、それゆえに耐久性が増加し、改良された高性能ファイバーセメント製品およびそれら製品の製造方法に関する。
【0002】
本発明は主に建物の外壁被覆パネルに関連する使用のために開発され、以下にこの分野に特定の文献を用いて記述される。しかしながら、本発明は、改良された耐候性および耐久性が重要となる他のファイバー補強セメント製品にも同等に応用できることが理解されるであろう。
【背景技術】
【0003】
以下の先行技術の議論は、本発明を適切な技術的背景に位置づけ、その利点の適当な理解を促すことを目的とする。しかしながら、明細書中の先行技術のいかなる議論も、そのような先行技術が広く知られ、または、当分野において一般常識の一部を形成すると承認するものであるとは、決して考えられるべきではない。
【0004】
繊維補強セメント(FRC)製品は、さまざまな建物施工およびさまざまな気候の異なる状況や地理的領域の増加する範囲において、ますます使用されている。そのような製品は、商業用および住宅用建築基準法に適合した使用に特に適するような一般的に手頃さとともに、固有の耐火性、耐水性、耐害虫性、耐カビ性の恩恵を得ている。さらに、FRC製品はほとんどどんな建築物または内装デザインにも使用できるように、簡単に塗装でき、またそうでなければ、装飾仕上げを被覆または積層することができる。
【0005】
FRCの増大する使用は、外装又は内装被覆パネルにおけるものであり、そのパネルは、未処理のFRCボードの表面に特定の仕上げを塗布することによって製造される。そのような仕上げとしては、要求される最終的な外観により、さまざまなコーティング、ビニールフィルム、ラミネートなどがあげられる。
【0006】
典型的に、FRC製品の表面への塗装やコーティングを塗布する工程は以下に述べられる:
・一つまたはそれ以上の表面を、滑らかさを改善し、厚さのばらつきを減少させるために、やすりで磨く。
・シーラーまたは“フィルコート(fillcoat)”を一つはそれ以上の表面へ塗布する。
・シーラーまたはフィルコートをさらに滑らかさを増加させるために、やすりで磨く(back sanded)。シーラーを塗布し、やすりで磨く工程は、表面の滑らかさおよび厚さのばらつきが所定の度合いに達するまで数回繰り返される。
・後のトップコートとシーラーとの接着性を増加させるため、任意で、つなぎコート(tie coat)をシーラー上に塗布する。
・一回またはそれ以上のトップコートをつなぎコート上に塗布し、所望の仕上げが得られるまで、任意でやすりで磨き、再度トップコートを塗布する。
【0007】
高品質仕上げのため、何度もシーリング、やすりがけ、トップコートの反復が一般的に要求される。最終のFRC製品を製造する総費用を減らすために、これらの工程の一つかそれ以上を組み合わせる方法が必要である。
【0008】
その上、外装塗装およびトップコートは、しばしばシーラーとは異なった化学的性質で形成されているため、つなぎコートまたはキーコート(keycoat)は、トップコートまたは塗料ができるだけ長時間シーラーとの接着が継続することを確認して使用されなければならない。つなぎコートの塗布および硬化は、仕上げられたFRC製品の費用に付加される。別途のつなぎコートの必要性を除く方法が必要である。
【0009】
FRC製品は木材や他の従来の建築材よりも丈夫であることが知られているが、時間の経過において、成分の露出がFRC製品における化学変化を引き起こすことは避けられない。これは大部分において、一般的に炭酸塩化と呼ばれる過程の結果、セメント製品上の大気中の二酸化炭素の影響によるものである。炭酸塩化においては、大気中のCO2がFRC基板中に発散され、水の存在下、フリーの水酸化カルシウム、カルシウムケイ酸塩水和物と反応して炭酸カルシウムを生成し、FRC基板の結晶構造を変化させる。FRC基板への二酸化炭素および水の浸入を減少させる方法が必要である。
【0010】
FRC製品の製造は、そのようなパネルの背面の取り付け面を適当に封止することを一般的に薦めてきたが、これは建築業者によっていつもなされるわけではなく、たとえなされても、FRCの製造者は、施工されるどんな隠れた表面シーリングの品質を調整できない。FRC製品の後部を取り付け前に適切に封止することを確実にする方法が必要である。
【0011】
上記の取り付けの作業の結果として、いくつかのFRC製品の部分は、露出の度合いやシーラーまたはその他の表面処理の完全さによって、異なったレートで炭酸塩化されるかもしれない。一つのFRC製品の異なった部分が異なった割合で炭酸塩化された場合、内部応力が発現する。これらの応力が充分大きければ、これらはパネル表面の亀裂および/またはゆがみなどの状態で見た目に明らかとなる。FRC製品の内部応力を低下させるため、炭酸塩化またはその他の種類の悪化が、平均して、抑制された状態で起こることを確実にする方法が必要である。
【0012】
先行技術は、セメント材上のさまざまなシーラーの使用を開示している。例えば、EP−A−469295およびWO96/33143は、風化、つまり大気中の二酸化炭素がセメント製品の表面上に付着している水酸化カルシウムと反応するという表面上の問題からのセメント製品の保護を促進するため、スチレン−アクリレート分散物または純アクリレート分散物を使用することが開示されている。
【0013】
EP−A−355028は、バインダーとして通常のポリマー、および、感光性物質として芳香族ケトンからなる塗装を鉱物基板に塗布することによって、鉱物基板上の風化現象を防止する方法を記載している。
【0014】
US6136383は、効果的に風化を防ぎ、同時に湿気さらすことで強度および外観を不利益に変化させない鉱物成形品のための塗料を開示している。その塗料は、鉱物成形品に塗布された、エチレン化不飽和二重結合を有するポリマーに基づく放射線硬化調整剤からなる。
【0015】
しかしながら、FRC製品基板の内部で起こる炭酸塩化作用に対して、それぞれの文献は、表面現象である風化を低下させることに焦点をあてている。風化を制御するには、水へのバリアを形成するシーラーを必要とする。内部炭酸塩化の制御は、二酸化炭素と水の両方に対するバリアを形成するシーラーを要する。さらに、炭酸塩化減少するシーラーは、セメント材のアルカリ性質と両立できなければならず、目的とする環境下で耐久性がなければならない。さらなる制約として、シーラーはそれのみ、またはその他の材料と併用したものは、シーラーに塗布される装飾用トップコートまたは他の建築上の塗装が、トップコートの耐用年数中、シーラーとの接着性を維持することが確実でなければならい。従って、以下の必須性能基準:
・FRC複合物中の内部炭酸塩化、特に得意な炭酸塩化作用の低減または排除すること
・耐アルカリ性、またはセメント材と両立すること
・使用されるトップコートの種類にかかわらず、耐用年数中、トップコートの接着性を維持すること、
を適宜満たすシーラーが必要である。
【0016】
高分子フィルムがこの分野では有効であることが示唆されてきた。例えば、US20010004821A1は、カスタマイゼーションおよび取り付け前に、FRCパネルの裏面へポリエチレンの予備成形樹脂シート、泡状のポリエチレンシート、ポリエチレンテレフタレート、ビニルクロライドまたはビニリデンクロライドシート(またはそれらの組み合わせ)を貼り付ける技術を開示している。この工程は費用がかかり、時間を消費し、高分子材料の非効率的な使用であり、商業的に適していないようである。積層されたフィルムまたはシートはFRC製品の表面へ内部浸透するネットワークを形成せず、それゆえ、移動中や貯蔵中に隣り合うシートから衝撃および磨耗を受けやすい。よって、最終FRC製品が、通常使用されうる後の使用を制限する。FRC製品の背面に炭酸塩化減少シーラーを提供する、より効率的な方法が必要である。
【0017】
商業用建設物を被膜加工するための前加工したFRC建築パネルの使用の具体的な例として、以前はFRC合成物の表面の不完全を補い、また多孔性FRC基板への高価な装飾用トップコートの過剰な吸収、または、しみ込み(strike-in)を減らすため、シーラーをフィルコートとして使用してきた。次に、これらのシーラーはトップコートのための滑らかな表面、または単に比較的薄い厚さのフィルムを提供するため、やすりで磨かなければならない。いずれの場合も、そのようなシーラー自体は、効率的な炭酸塩化作用低下フィルムを構成せず、炭酸塩化耐性を提供するためには厚いトップコート層の存在に依存しなければならなかった。トップコートの耐用年数は限られており、シーラーを貼り付ける先行技術の方法はトップコートの炭酸塩化の耐性を維持することを目的としていなかったため、耐用年数の最後にはFRC複合物の炭酸塩化耐性が低下した。FRC複合物上のトップコートの進行中の炭酸塩化耐性を提供する方法が必要である。
【0018】
US特許第6162511号は、FRC製品に適した放射線硬化コーティングの形成を開示しているが、どの塗装がFRC中で炭酸塩化作用を低下させることに適しているかを決定する方法は開示されていなかった。またトップコートの炭酸塩化作用のみからFRC複合物を保護するシーラーを提供するため、そこに記載されている塗装形成品を使用する方法の開示もされていない。
【0019】
本発明の目的は、高性能ファイバー補強セメント製品および先行技術の前記の不利の一つまたはそれ以上を克服もしくは改善した製品の製造方法、または少なくとも有効な別の方法を提供することである。
【発明の開示】
【0020】
本発明の第一の見解に従うと、セメント製品におけるばらついた炭酸塩化の傾向を低減するために、炭酸塩化低減シーラーを塗布した第一主表面および炭酸塩化低減シーラーを塗布した第二の、一般に相対する主表面を含む人工の繊維補強セメント製品を提供する。
【0021】
本明細書の記載において、シーラーとは高分子、有機または無機組成物の塗膜またはフィルムのことをいい、それは直接FRC基板に接触し、外部の環境からFRC基板への二酸化炭素や水分の移動を低減し、または除く効果を有する。機能的に効率的なシーラーとするには、塗膜は実質的に、水や二酸化炭素を比較的急速に進入させる穴、孔、亀裂、またはその他の欠陥があってはならない。
【0022】
ここで使われているように、トップコートまたは塗料は装飾用に提供される高分子、有機または無機組成物の塗膜またはフィルムのことをいい、シーラーの後もしくはその上に塗布される。トップコートや塗料は、たいてい外部環境に直接さらされ、結果、時間および暴露とともに低下する。
【0023】
好ましくは、炭酸塩化低減シーラーは、実質的に製品のすべての表面に塗布される。少なくとも一つの前記第一および第二主表面に塗布された炭酸塩化減少シーラーは、好ましくは放射線硬化シーラーである。シーラーは、好ましくは、UV、赤外または近赤外線;RF(高周波)、マイクロ波;ガンマ線、電子線放射からなる群より選ばれた放射線により硬化する。しかしながら、代替の態様において、シーラーは、熱、空気または化学的に硬化されうる。
【0024】
少なくとも一つの第一および第二主表面に塗布されたシーラーは、好ましくは実質的にエポキシアクリレートシーラーおよびウレタンアクリレートシーラーのアクリル系からなる群より選ばれた組成物から構成されている。シーラーは、任意で、完全な接着を促進する組成物を含んでもよい。第一および第二主表面に塗布されたシーラーは、実質的に同じ組成物または異なった組成物から構成されてもよいと理解されるべきである。
【0025】
放射線硬化シーラーは、好ましくは、プレポリマー、バインダーポリマーまたはそれらの混合物を含有する。例えば、プレポリマーは、エチレン不飽和ポリエステル、エチレン不飽和ポリエーテル、エチレン不飽和ポリウレタン、エチレン化不飽和エポキシ、オリゴ−エステル(メタ)アクリレート、エチレン不飽和ポリ(メタ)アクリレートおよびそれらの変性物から選ばれた一つまたはそれ以上のオリゴマーからなる。使用される典型的なプレポリマーは、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、ならびにそれらの共重合体およびブロック共重合体から選択されるアクリル化オリゴマーである。
【0026】
ある好ましい態様において、少なくとも一つの前記第一および第二主表面に塗布された炭酸塩化低減シーラーは、続いて塗布されるトップコートの結合を増強するのに適合した接着性増加方法に供される。あるいは、シーラーは、トップコートの結合を増強するために採用された別途のキーコートにより覆われる。しかしながら、いくつかの使用においては、キーコートが必要でないことが理解されるべきである。
【0027】
それぞれの主表面に塗布されたシーラーは、全体の厚さで15ミクロン以上であることが好ましく、より好ましくは15ミクロン〜約80ミクロンであり、最も好ましくは15ミクロン〜約50ミクロンである。シーラーは、単独での塗布、また、あるいは、複数の被覆または工程で塗布される。シーラーはまた、複数の工程で硬化されうる。
【0028】
ある好ましい態様において、シーラーとキーコート間の結合を増強させるため、シーラーの部分的硬化の後、かつ完全硬化の前に、キーコートは少なくとも一つの主表面上に塗布される。同様に、シーラーとトップコート間の結合を増加させるため、部分的硬化の後、かつ完全硬化の前に、トップコートを少なくとも一つの主表面上に塗布する。
【0029】
好ましくは、シーラーは実質的に耐アルカリ性であり、シーラーを経て予定範囲までの二酸化炭素の移動を防ぐために好ましくは充分に架橋され、好ましくは実質的に硬化状態で柔軟である。
【0030】
好ましくは、1つまたはそれ以上の組成物の化学組成、製造方法および硬化製品の構造が、製品の変動炭酸塩化傾向を低減するシーラーとの組合せで選択される。
【0031】
組成物のセメントのシリカに対する比は、乾燥重量で、好ましくは0.2〜約1.5であり、より好ましくは0.3〜約0.9であり、より好ましくは0.3〜約0.5であり、さらにより好ましくは0.36〜0.43であり、もっとも好ましくは約0.39である。
【0032】
製品は、製造において所定の多孔率および密度が得られるように成形されることが好ましい。多孔率と密度は、特に、改善された炭酸塩化または変動炭酸塩化への耐性を与えるように選択される。所定の多孔率および密度は、たとえば、未硬化FRC製品を目的とする多孔率および密度が達成されるまで、未硬化の状態でプレスすることにより得られる。あるいは、所定の多孔率および密度は、FRC製品を製造するためにつかわれる材料の割合を選択するときに、粒子充填理論を適用することにより得られる。スタックプレス、エンボスロールまたはフィルタープレスのいずれによるプレス方法も、この分野で公知のものである。
【0033】
製品は、好ましくは30%〜約60%、より好ましくは35%〜約45%の多孔率を有する。製品は、好ましくは0.5〜約2.0、より好ましくは0.8〜約1.9%、さらにより好ましくは1.2〜1.6の相対密度を有する。
【0034】
FRC製品は、ハットシェック(Hatschek)工程を用いて形成されることが好ましいが、あるいは、押出、マッツァ(Mazza)法、手動レイアップまたは他の適切な方法により成形される。
【0035】
好ましい態様においては、製品は、外装の外壁パネルとして使用のために設計された繊維補強セメントシート製品である。好ましくは、シートが実質的に長方形であり、炭酸塩化低減シーラーが全6面に塗布されているものである。
【0036】
望ましくは、前記シート製品の第一主表面が、基板に向けて内向き配向に適合させた取り付け表面であり、前記シート製品の第二主表面は、外向き配向に適合させた露出表面である。基板は、好ましくは建築骨格の形式をとる。
【0037】
第二の見解に従うと、本発明は、耐久力のある繊維補強セメント製品の製造方法を提供するものであり、前記方法は、
湿った繊維補強セメント組成物の混合;
前記組成物から第一または第二の一般に反対の主表面を定義する未加工製品の形成;
硬化製品を形成するための未加工製品の硬化;および
製品における変動炭酸塩化傾向低減のための、前記第一および第二主表面への炭酸塩化低減シーラーの塗布
の工程からなる。
【0038】
未加工の繊維セメント製品を形成するための工業的方法のひとつの好ましい例は、オーストラリア特許第515151号に記載されており、文献に基づく全てがここで一体とされる。
【0039】
炭酸塩化低減シーラーは、実質的に製品の全表面に塗布されていることが好ましい。炭酸塩化低減シーラーは、好ましくは照射線硬化シーラーである。より好ましくは、シーラーは、UV、赤外または近赤外線;RF、マイクロ波;ガンマ線、および電子線照射からなる群より選択される照射形式により硬化される。しかしながら、あるいは、シーラーは、熱、空気または化学的に硬化される。
【0040】
FRCの硬化工程は、好ましくは、オートクレーブ、空気およびスチーム硬化からなる群より選択される方法を用いて行われる。
【0041】
好ましくは、前記方法は、硬化製品が、横断側面をとおして低減された炭酸塩化勾配を示すように制御された方法で、硬化の前に、未加工の製品を圧縮するさらなる工程を含む。圧縮工程は、好ましくは30%〜約60%、より好ましくは、35%〜約45%の多孔率を達成するように、未加工の製品に圧力の添加を含む。
【0042】
ある態様の方法において、好ましくは、シーラーとキーコートとの結合を増強するために、部分硬化の後、かつ完全硬化の前に、シーラーの上にキーコートを塗布する更なる工程を含む。他の態様では、前記方法は、好ましくは、シーラーとトップコートとの結合を増強するために、部分硬化の後、かつ完全硬化の前に、シーラーの上にトップコートを塗布する更なる工程を含む。
【0043】
望ましくは、好ましい放射線硬化シーラーは、放射線硬化アクリル系共重合体シーラーからなる。より好ましくは、アクリル系共重合体シーラーは、透明なエポキシアクリレートシーラーである。より好ましくは、放射線硬化シーラーは、炭酸塩化低減シーラー機能と組み合わせ、また、引き続くトップコートの接着を改善するために、キーコートと組み合わせる。
【0044】
さらに、シーラーはFRCの製造工程の間に塗布することができ、またあるいは、製品が基板に取り付けられる直前または後でもよいことが理解されるべきである。さらに、第一および第二主表面は、同時または別個のときに密封できる。たとえば、第一主表面は、FRC製造方法の間に密封することができ、第二主表面は、その場で密封することができる。
【0045】
第三の見解に従うと、本発明は、変動炭酸塩化の傾向を低減した第一主表面を含む人口繊維補強セメント製品を提供し、前記製品は、0.29〜約0.51のセメントのシリカに対する比、および25%〜約45%の多孔率を有する。
【0046】
好ましくは、製品は、炭酸塩化低減シーラーを塗布した主表面を含む。より好ましくは、炭酸塩化低減シーラーは、実質的に製品の全表面に塗布される。好ましい態様においては、製品の少なくとも一つの主表面に塗布された炭酸塩化低減シーラーは、放射線硬化シーラーである。
【0047】
[図の詳細な説明]
本発明の好ましい形態を、これより取り込まれた表および添付する図面を参考に実施例のみの方法で述べる。
図1は、本発明の種々の見解に従う高性能圧縮製品の典型的な製造方法を示すフローチャートである。
【0048】
[本発明の好ましい態様]
本発明は、第一に外装または内装の建築外壁およびライニングパネルに用いるために特別に設計した高性能の圧縮千期セメントの製造における使用を開発したものであり、これ以降本出願との関連について述べる。
【0049】
図1を参照すると、建築外壁パネルを製造するために設計した本発明の好ましい形式での使用に適した典型的な製造方法のフローチャートが示されている。このフローチャートを参照すると、最初の工程2は、FRC未加工シートの製造であり、好ましい態様は、一般に以下の表に示す範囲内に合致する繊維セメント組成物による製造である。
【0050】
【表1】

【0051】
この好ましい組成物は、少なくともいくつかの他の先行技術の組成物と比べた場合に、低減されたセメントのシリカに対する比を有し、最終製品における二酸化炭素の反応が全体として低減するのに貢献する低減されたセメント成分である。該セメントは、典型的に、一般のポーランドセメント1型であり、シリカは、200G粉砕石英のような適当なシリカであればいずれでもよい。適切なシリカ含有物質の例には、これらに限定されるものではないが、アモルファスシリカ(無定形シリカ)、珪藻土、稲もみ殻の灰、溶鉱炉の粉炭、粒状粉炭、鋼鉄粉炭、鉱物酸化物、鉱物水酸化物、粘土、マグナサイト(magnasite)、白雲石、高分子ビーズ、金属酸化物、および水酸化物またはそれらの混合物である。
【0052】
好ましいパルプには、ハンマー粉砕クラフトパルプのような種々のセルロース繊維が含まれる。しかしながら、他の繊維も使用できうることが理解されるであろう。特にこのまし態様では、繊維はセルロース木材パルプである。適当な繊維のほかの例は、セラミック繊維、ガラス繊維、ミネラルウール、スチール繊維、およびポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ビスコース、ナイロン、PVC、PVA、レーヨン、ガラスセラミックス、炭素、またはそれらの混合物のような合成ポリマー繊維である。
【0053】
また、必要に応じて、粘度増強剤、密度改質剤、分散剤(dispersing agent)、飛散灰、シリカフューム、地熱シリカ、難燃剤、増粘剤、顔料、着色剤、可塑剤、分散剤(dispersant)、発泡剤、凝集剤、耐水剤、有機密度改質剤、アルミニウム粉末、カオリン、アルミナ三水和物、マイカ、メタカオリン、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、重合体樹脂乳化剤、またはこれらの混合体を含む任意の付加的な添加剤を、組成物に取り込むことができることも注意すべきである。
【0054】
好ましい方法において、シートは、当業者に公知の従来の方法でHatschek法を用いて製造される。Hatschek法は、目的のシート厚さが達成されるまで、吸収性コンベア上で脱水スラリーの複数の層を堆積させるために、回転ドラム篩装置を用いる。
【0055】
フローチャート1に参照される好ましい未加工シート製造方法は、適当な大きさの未加工シートを複数製造することから始まり、それからそれらを積み重ね、そして任意で圧縮場へ運搬する。圧縮場では、プレスは、シートの大きさおよび積み重ね高さを考慮してプログラムされており、製品は、30%〜約60%、より好ましくは35%〜約45%の多孔率を達成するように圧縮される。この圧力は、最終製品における所望の結果を達成するための試行により決定した所定の時間維持される。プレス後、圧縮された未加工製品を硬化する。硬化は、工程3に記載されたように従来の方法でオートクレーブにおいて行われるか、または、空気硬化を含むその他多数の従来の方法を用いて行うことができる。
【0056】
硬化が完了すれば、通常、シートを、任意でエッジかんなを用いて正確な寸法に大きさをそろえる従来のシート仕上げラインを通して、望みの大きさに切断し(工程4)、エッジを仕上げる(工程5)。
【0057】
任意で、炭酸塩化低減シーラーを、好ましくは放射線硬化性エポキシアクリレートシーラーであるが、シートの仕上げライン(工程6)を離れる前にFRCシートのそれぞれのエッジに塗布することができる。前記被覆は、好ましくはUV照射線により硬化可能なものである。しかしながら、電子線、RF、マイクロ波、赤外線および化学硬化などの代替の硬化機構に基づく被覆も用いることができる。好ましいシーラーの組成物は、エポキシ類、ウレタン類、ポリエステル、アクリレート類、およびこのような組成物の組合せを含む。
【0058】
本発明の好ましい形態には、仕上げFRCシートが工程6に示されたのと同様の種類のシーラーで、全6面(正面と取り付け面が2つの主表面、4つのエッジ)が完全に被覆されているものもある。これは、まず、FRCシートの積み重ねの端のシーラーの手動ロールの塗装またはスプレー、それから従来のロールコーターを用いてFRCシートの正面および背面のシーラーの別個のロール塗装によりなされる。一般に、16積み重ねたシートが、最大効率で、FRCシートがロールコート機を経て、硬化される前に乾燥を防ぐように、一度にエッジコートされる。好ましくは、皮膜厚さが5〜15ミクロンの範囲である。
【0059】
最終的に、塗布された炭酸塩化低減シーラーが放射線硬化シーラーであれば、前記シーラーは、シーラーの組成物に適応する適当な照射源で硬化する(工程7)。本発明で用いられる皮膜の硬化に設計された典型的な放射線硬化系は、化学線(UV)硬化装置を与えるフュージョンシステム(910 Clopper Rd. Gaithersburg,MD)により入手でき、電子線硬化装置についてはAdvanced Electron Beam(10 Upton Drive, Wilmington, MA)およびEnergy Sciences, Inc(42 Industrial Way, Wilmington, MA. 01887 USA)により入手できる。放射線硬化可能な皮膜の他の硬化方法は、ガンマ線照射、近赤外線照射、およびマイクロ波照射を含む既知のものである。硬化は、大気条件または窒素層またはCO2のような不活性大気中で行われる。また、US特許出願US20030207956A1に開示されているように、従来の熱硬化で、組合せた照射線硬化も適当であり、前記文献は全体が文献としてここで組み込まれる。
【0060】
シーラーがUV硬化シーラーである場合は、前記シーラーは、250〜400nmの波長、200〜600ワット/インチの強度、好ましくは300〜600ワット/インチのUV照射線を与えるUVランプを用いて硬化されうる。
【0061】
シーラーが電子線硬化シーラーである場合は、電子源は、50〜600KeV、より好ましくは150〜300KeVの強度を供与するものである。放射線源に関わらず、大部分の放射線硬化シーラーは、80〜3,000mJ/cm2の放射線に暴露された後に充分に硬化される。任意で、被膜中に残っている残渣共溶媒または水をIRまたはNIR照射の暴露を経て温度80℃まで基板を加熱することにより取り除く。本発明で用いられる炭酸塩化低減シーラーはまた、従来の熱硬化方法を用いて熱硬化されうる。
【0062】
本発明に適した炭酸塩化低減シーラーは、二酸化炭素および水の両方の移動を低減するように特別に選択される。これらのシーラーは、溶媒ベース、水ベース、粉状被覆またはこれらに類似するものとして形成される。それらは100%固体か、または、選択し適用した方法に適する粘度を得るために適当な溶媒または水で還元したものが考えられる。炭酸塩化低減シーラーが放射線硬化シーラーの場合では、シーラーは取り付けて、US特許第3935364号、WO 0220677A1およびUS特許第6136383号に記載されている方法を用い硬化され、これらの文献のそれぞれは全体が文献としてここで取り込まれる。ロールコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、パウダーコーティングおよびそれに類するものが、シーラーを塗布するのにすべて適当な方法である。加えて、シーラーは、シーラーの硬化および接着を増強させるために、たとえば30℃〜150℃の通常よりも高い温度で塗布される。あるいは、基板それ自体は、同じ効果を得るために30℃〜150℃で加熱される。
【0063】
シーラー組成物は、高分子バインダー、フィラーおよび/または顔料のほかに、湿潤剤、粘度改質剤、分散剤、消泡剤、防腐剤および疎水剤、殺生剤、繊維および他の典型的な成分を通常の補助剤からなる。適当なフィラーの例は、アルミノケイ酸塩類、ケイ酸塩類、アルカリ土類金属炭酸塩であり、好ましくは、方解石または石灰、白雲石など形態にある炭酸カルシウム、およびタルクなどのアルミニウムケイ酸塩またはマグネシウムケイ酸塩もあげられる。代表的な顔料は、二酸化チタン、鉄酸化物および硫酸バリウムである。放射線硬化シーラーを用いる場合は、WO 0220677A1に開示されているような触媒または促進剤を、シーラーの硬化の促進に用いることができる。
【0064】
炭酸塩化低減シーラーは、水性分散体であり、一般に固形分が、従来の塗料の総重量に対して20〜約80重量%、より好ましくは30〜約60重量%の範囲である。塗料の好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%、最も好ましくは50〜約90重量%は、高分子バインダーにより構成される。好ましくは、70重量%未満、より好ましくは10〜約50重量%が、顔料および/またはフィラーにより構成される。透明なシーラーの場合には、顔料および/またはフィラー含量は、一般に約10%未満である。キーコートまたはキーコート/シーラーの組合せの場合には、フィラー含量は、10%〜約70%であり、より好ましくは10%〜約50%である。
【0065】
炭酸塩化低減シーラーは、プレポリマー、バインダーポリマーまたはそれらの混合物を用いて形成される。プレポリマーは、例えば、エチレン不飽和ポリエステル、エチレン不飽和ポリエーテル、エチレン不飽和ポリウレタン、エチレン不飽和エポキシ、オリゴ−エステル(メタ)アクリレート、エチレン不飽和ポリ(メタ)アクリレート、およびこれらの改質製品より選択される1つまたはそれ以上のオリゴマーからなる。用いられるプレポリマーの典型的なものは、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、およびそれらの共重合体、ブロック共重合体より選択されるアクリル化オリゴマーである。
【0066】
炭酸塩化低減に効果的である放射線硬化シーラーに用いられるポリマーバインダーの好ましい例は、エポキシアクリレートおよびウレタンアクリレートである。これらは、樹脂の形態で得られ、BASF、PPG インダストリーズ、サートマー(SARTOMER)、バリナ プロプライアトリー リミテッド、またはアクゾ ノベル(Akzo Nobel)により供給される。
【0067】
炭酸塩化低減シーラーとして有用であるシーラーの具体例は、アクゾ ノベル製、UV硬化性アクリル系透明シーラー R60301−001、モス ヴァラ オーストラリア
【0068】
アーキテクチャー インダストリアル コーティングズ プロプライアトリー リミテッド製のUV硬化性エポキシアクリレートシーラーである。例えば、湿潤接着促進および比較的に高い顔料荷重(loading)であるR80179−001キーコート(アクゾ ノベル製)と混合した場合、シーラーは耐久性のあるポリウレタンまたはエポキシベースの装飾用のトップコートにより被覆されうる。
【0069】
トップコートの耐久性のある接着は、シーラーの表面にキーコートを塗布することにより達成され、前記キーコートは、所定のバインダー/フィラー比を有しており、任意で1つまたはそれ以上の接着促進剤を有するものである。接着促進剤の具体例は、シラン類、シラノール類、シリコネート類または他のシリコンベース接着促進剤、またはこの分野で公知のカップリング剤があげられる。アミノ系またはアミノベース接着促進剤も用いることができる。これらのキーコートは、主として、ポリウレタンおよびエポキシベースのトップコートと区別される、ウォーターベースアクリル類のようなウォーターベース被覆への改善された接着性を与えるために用いられるが、いずれの適当なキーコート組成物も、結合を増強するために状況にあわせて用いることができる。
【0070】
キーコートに用いられるフィラーは、機械的結合が可能となるために、硬化キーコートにおいてある程度の表面粗性を達成するように選択される。タルク、マイカ、炭酸塩類およびその他の鉱物が本発明に適当である。
【0071】
さらに、キーコートの必要性を削除するために、シーラーが、組成物中に直接取り込まれた接着促進剤を有していてもよい。アミンベースまたはシランベースの接着促進剤は効果的であることが示されている。前記シーラーは、特定のフィラーの使用または硬化方法により粗くされた表面を有していてもよい。
【0072】
述べられてきたように、本発明は、炭酸塩化または変動炭酸塩化の傾向を低減するFRC製品における非常に多くの方法を説明したものであり、それによって改善された耐久力が生み出されたことが理解されるであろう。例えば、低下したセメントのシリカに対する比は、一般に製品における二酸化炭素の反応を低減し、それにより、種々のシートの境界を通して、また最終シート自体を通して接触しうるどのような変動炭酸塩化も最小化する。
【0073】
同様に、透過性と剛性(密度により影響されうるが)の制御は、シート、特に種々の表面が異なったレベルおよび型の密封を有するものを通しての炭酸塩化の勾配を制御することを可能にする。
【0074】
最後に、制御された型において、パネルの少なくとも取り付け面に、シーラー、より好ましくはアクリル系UV硬化性シーラーのような炭酸塩化低減シーラーを工場的に応用することは、取り付け表面に充分なシーリングがなくてもパネル取り付けにリスクがないこと、それによって、一度取り入れたように最終パネルの潜在的な炭酸塩化の差を再度低減することを確実にする。これは、原型の製造業者のプレシーリングにより、輸送および保管の間の基板の寿命を増大するという付加的な利点がある。また、それは、外壁パネルの仕上げおよび設置にさらなる被覆およびそれに類するものを設けることを非常に容易なものとする。パネルの全6表面上へのシーリングは、確実に、特に1つまたはそれ以上の面が未処理である場合にみられるようなパネルを通しての分離した変動炭酸塩化の機会を、大いに低減する。
【0075】
上述した製造工程および特徴のそれぞれは、個々に、改善された圧縮FRC製品の製造方法の発明を定義する。さらに、これらの製造工程および特徴が混ぜ合わされた場合、多くの異なる方法でなされるのであるが、先行技術に対して多大な優れた性能特性を有する製品の製造を可能にする相補の相互作用がある。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、出願人が製造し、製品名「Exo Tec」で販売している最も好ましい態様の一つである圧縮FRCシートへの本発明の適用である。当該製品の一般仕様を以下に示す。C:Sは、組成においてセメントのシリカに対する比を表わす。
【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
未加工状態の製品を、スタックプレスを用いてプレスし、多孔率が30〜40%で、目標密度が約1.55g/ccである製品を作製する。この製品を約60℃で約80時間予備硬化を行い、ついで120℃〜200℃で、約24時間オートクレーブによる硬化を行った。製品をその後、以前に述べた方法で密封して、試験を行った。
【0080】
試験結果
従来の高密度被覆FC複合成形品と本実施例で述べた組成および被覆した複合体FRC成形品の促進試験は、本発明の重要な性能利点を示す。促進された過熱/雨/炭酸塩化サイクルのもとでは、従来の製品は、特異な炭酸塩化の影響のために、歪をおこす傾向を示す。この影響は従来の表面被服処理によって、一般に鈍らされているが、排除はされていない。
【0081】
本発明のFRC複合体は、性能の驚異的かつ予期せぬ改善を示している。以下の表は、複合体FC製品の試料を支持枠の予め決められた点に固定して、複合体の系を二酸化炭素に富んだ大気中に8時間の条件とし、続いて片方の表面を70℃まで1時間加熱し、常温で1時間表面を湿らせるとういサイクルを予め定めた回数行うことを含む促進試験後の歪曲結果を示す。
【0082】
機器により、試料の初期の固定位置から離れた不変の歪曲度を記録した。歪曲は、試料が固定された支持枠から離れた製品の反りまたは歪みとして観測された。歪曲がない、または最小の歪曲は、満足のいく性能である試料を示す。複合体製品の厚さの50%またはそれ以上の歪曲は、一般に、厳しい環境に適応した場合に、成形品が不安定であることを示す。
【0083】
【表4】

【0084】
以下の表は、非シーリングの標準FRC組成と比較した、実施例に従い作製された繊維セメント複合体建造物パネルの表面、中心および背面または取り付け面に存在する水和セメント層の炭酸塩化%を示す。
【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
評価
明らかに、本発明に従い製造され貼り付けられた試験試料は、試験条件化で、対応する従来技術による試料に比べて、歪曲と炭酸塩化において優れた性能を示す。
【0088】
つまり、出願人による重要な調査および開発が、以前には理解されなかった繊維補強セメント製品における分解や歪の重要な機構の予期せぬ理解という結果となっている。この理解に従うと、特定組成のシーラーまたは被覆の相助作用の関係を通して、好ましくは、製品における過度および比較的均一な炭酸塩化の勾配を集団的に誘発するために、特別に設計された密度、多孔率性質、製造方法および化学組成により得られた改質された透過可能な側面とを結合して使用する場合であり、先行技術の主な限界は、ある程度効果的に適合させることができる。したがって、本発明は、先行技術に対して、実質的でかつ商業的に意義のある改善を示す。
【0089】
最後に、本発明においては、特にFRC圧縮シートおよびパネルに適合されているが、他のFRC製品にも適合可能なことは、当業者に容易に理解されるであろう。同様に、好ましい実施例は、特定の組成について示されているが、本発明は他の多くの形式においても同様の有利な結果を得るためになされてよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の種々の見解に従う高性能圧縮製品の典型的な製造方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩化低減シーラーを塗布した第一主表面および炭酸塩化低減シーラーを塗布した第二の、一般に相対する主表面を含み、製品の変動炭酸塩化傾向を低減する繊維補強されたセメント製品。
【請求項2】
炭酸塩化低減シーラーが実質的に製品の全表面に塗布された請求項1記載の製品。
【請求項3】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布した炭酸塩化低減シーラーが、放射線硬化可能なシーラーである請求項1または2記載の製品。
【請求項4】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、UV、赤外線および近赤外、RF、マイクロ波、ガンマ線、および電子線照射からなる群より選択される放射線により硬化可能である請求項3記載の製品。
【請求項5】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、熱的、空気、または化学的に硬化可能である、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項6】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、実質的に、アクリル類;エポキシアクリレートおよびウレタンアクリレートシーラーからなる群より選択された組成物である、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項7】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、完全な接着を促進する組成物である、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項8】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、実質的に同じ組成物である、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項9】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、実質的に異なる組成物である、請求項1〜7のいずれかに記載の製品。
【請求項10】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、トップコートの結合を増強するに適した接着性組成物を含む、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項11】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、トップコートの結合を増強するに適した独立したキーコートにより被覆された、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項12】
主表面のそれぞれに塗布したシーラーが、全体で15ミクロン以上の厚さである、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項13】
主表面のそれぞれに塗布したシーラーが、全体で15ミクロン〜80ミクロンの厚さである、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項14】
主表面のそれぞれに塗布した炭酸塩化低減シーラーが、全体で15ミクロン〜50ミクロンの厚さである、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項15】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、複数の層または工程で塗布された、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項16】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、複数の工程で硬化された、前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項17】
シーラーとキーコートの間の結合を増強するために、シーラーの部分硬化の後かつ完全硬化の前に、キーコートが少なくとも1つの主表面のシーラー上に塗布された請求項16記載の製品。
【請求項18】
シーラーとトップコートの間の結合を増強するために、シーラーの部分硬化の後かつ完全硬化の前に、トップコートが少なくとも1つの主表面に塗布された請求項16または17記載の製品。
【請求項19】
炭酸塩化低減シーラーが実質的に耐アルカリ性である前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項20】
炭酸塩化低減シーラーが、シーラーをとおして所定範囲への二酸化炭素の移動を防ぐために充分に架橋された前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項21】
炭酸塩化低減シーラーが、硬化状態において実質的に可とう性である前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項22】
硬化製品の組成物の化学構造、製造方法および物理的構造の1つまたはそれ以上が、製品における炭酸塩化の傾向を低減するように選択される前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項23】
組成が、乾燥重量で0.2〜約1.5のセメントのシリカに対する比を有する請求項22記載の製品。
【請求項24】
組成が、乾燥重量で0.3〜約0.9のセメントのシリカに対する比を有する請求項22記載の製品。
【請求項25】
組成が、乾燥重量で0.3〜約0.5のセメントのシリカに対する比を有する請求項22記載の製品。
【請求項26】
セメントのシリカに対する比が、乾燥重量で0.36〜約0.43である請求項22記載の製品。
【請求項27】
セメントのシリカに対する比が、乾燥重量で約0.39である請求項22記載の製品。
【請求項28】
多孔率が30%〜約40%である請求項22〜27のいずれかに記載の製品。
【請求項29】
多孔率が30%〜約60%である請求項22〜28のいずれかに記載の製品。
【請求項30】
多孔率が35%〜約45%である請求項22〜28のいずれかに記載の製品。
【請求項31】
相対密度が0.5〜約2.0である請求項22〜30のいずれかに記載の製品。
【請求項32】
相対密度が0.8〜約1.9である請求項22〜31のいずれかに記載の製品。
【請求項33】
ハットシェック工程を用いて形成される請求項1〜32いずれかに記載の製品。
【請求項34】
押出しにより形成される請求項1〜32いずれかに記載の製品。
【請求項35】
外装外壁パネルに使用するために設計された繊維補強セメントシート製品である前記いずれかの請求項に記載の製品。
【請求項36】
シート製品が長方形であり、炭酸塩化低減シーラーが6面に塗布された請求項35記載の製品。
【請求項37】
シート製品の第一主表面が基板に向かって内向きに配向した貼り付け表面であり、シート製品の第二主表面が外向きに配向した露出面である請求項35または36記載の製品。
【請求項38】
(a)湿った繊維補強セメント組成物の混合;
(b)前記組成物からの第一主表面および炭酸塩化低減シーラーを塗布した第二の一般に相反する主表面の境界を定めた未加工製品の形成;
(c)硬化製品を形成するための未加工製品の硬化;および
(d)製品における変動炭酸塩化傾向低減のための、前記第一および第二主表面への炭酸塩化低減シーラーの塗布
の工程からなる耐久性のある繊維補強セメント製品の製造方法。
【請求項39】
炭酸塩化低減シーラーが実質的に製品の全表面に塗布された請求項38記載の製造方法。
【請求項40】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布した炭酸塩化低減シーラーが、放射線硬化可能なシーラーである請求項38または39記載の方法。
【請求項41】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、UV、赤外または近赤外線、RF、マイクロ波、ガンマ線、および電子線照射からなる群より選択される放射線により硬化可能である請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、熱的、空気、または化学的に硬化可能である請求項38〜41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、アクリル類;エポキシアクリレートおよびウレタンアクリレートシーラーからなる群より選択される請求項38〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、完全な接着を促進する組成物である請求項38〜43のいずれかに記載の製品。
【請求項45】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、実質的に同じ組成物である請求項38〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、実質的に異なる組成物である請求項38〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
硬化工程が、オートクレーブ、空気およびスチーム硬化からなる群より選択される工程を使用して実行される請求項38〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
製品が、外装外壁パネルに使用するために設計された繊維補強セメントシート製品である請求項38〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
シート製品が長方形であり、炭酸塩化低減シーラーが6面に塗布された請求項48記載の方法。
【請求項50】
シート製品の第一主表面が基板に向かって内向きに配向した貼り付け表面であり、シート製品の第二主表面が外向きに配向した露出面である請求項48または49記載の方法。
【請求項51】
基板が支持枠である請求項50記載の方法。
【請求項52】
硬化製品の組成物の化学構造、製造方法および物理的構造の1つまたはそれ以上が、製品における炭酸塩化の傾向を低減するように選択される請求項38〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
さらに、硬化製品が低減された炭酸塩化勾配を示すように制御された方法で、硬化の前に前記未加工製品を圧縮する工程を含む請求項52記載の方法。
【請求項54】
硬化製品が、30%〜約60%の多孔率を有する請求項50〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
硬化製品が、35%〜約45%の多孔率を有する請求項54記載の方法。
【請求項56】
硬化製品が、0.5〜約2.0の相対密度が請求項50〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
硬化製品が、0.8〜約1.9の相対密度を有する請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記湿った繊維補強セメント組成物が、乾燥重量で0.2〜約1.5のセメントのシリカに対する比を有する請求項50〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記湿った繊維補強セメント組成物が、乾燥重量で0.3〜約0.9のセメントのシリカに対する比を有する請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記湿った繊維補強セメント組成物が、乾燥重量で0.3〜約0.5のセメントのシリカに対する比を有する請求項58記載の方法。
【請求項61】
セメントのシリカに対する比が、乾燥重量で0.36〜約0.43である請求項58記載の方法。
【請求項62】
セメントのシリカに対する比が、乾燥重量で約0.39である請求項58記載の製品。
【請求項63】
主表面のそれぞれに塗布したシーラーが、全体で15ミクロン以上の厚さである、請求項38〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
主表面のそれぞれに塗布したシーラーが、全体で15ミクロン〜80ミクロンの厚さである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布したシーラーが、複数の層または工程で塗布された請求項38〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
炭酸塩化低減シーラーが実質的に耐アルカリ性である請求項38〜65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
炭酸塩化低減シーラーが、シーラーをとおしての所定範囲への二酸化炭素の移動を防ぐために充分に架橋された請求項38〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
炭酸塩化低減シーラーが、硬化状態において実質的に曲げることができる請求項38〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記第一および第二主表面の少なくとも一方に塗布した炭酸塩化低減シーラーが、複数の工程で硬化された請求項38〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
シーラーとキーコートの間の結合を増強するために、シーラーの部分硬化の後かつ完全硬化の前に、キーコートが少なくとも1つの主表面のシーラー上に塗布するさらなる工程を含む請求項69記載の方法。
【請求項71】
シーラーとトップコートの間の結合を増強するために、シーラーの部分硬化の後かつ完全硬化の前に、トップコートが少なくとも1つの主表面に塗布するさらなる工程を含む請求項69または70記載の方法。
【請求項72】
変動炭酸塩化傾向を低減する第一主表面を含む加工された繊維補強セメント製品であって、セメントのシリカに対する比が0.29〜約0.51であって、多孔率が25%〜約45%である製品。
【請求項73】
炭酸塩化低減シーラーが塗布された主表面を含む請求項72記載の製品。
【請求項74】
炭酸塩化低減シーラーが実質的に製品の全表面に塗布された請求項73の製品。
【請求項75】
炭酸塩化低減シーラーが放射線硬化可能なシーラーである請求項73または74記載の製品。

【図1】
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【公表番号】特表2006−521994(P2006−521994A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506421(P2006−506421)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000978
【国際公開番号】WO2004/087412
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504163759)ジェームズ ハーディー インターナショナル ファイナンス ベスローテン フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】