説明

肥満および関連する障害の処置のための、選択的メラニン凝集ホルモンレセプターアンタゴニストとしての新規ヘテロシクリル

本発明は、式Iの化合物およびこのような化合物を調製するための方法を開示し、ここで、m、n、p、R、RおよびXは、本明細書中に定義するとおりであり、この化合物は、メラニン凝集ホルモン(MCH)に対する新規アンタゴニストである。別の実施形態において、本発明は、このようなMCHアンタゴニストを含有する薬学的組成物、ならびに肥満、代謝性障害、摂食障害(例えば、過食症および糖尿病)を処置するためにその組成物を使用する方法を開示する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、メラニン凝集ホルモン(MCH)に対するアンタゴニスト、代謝障害および摂食障害の処置におけるその使用、MCHレセプター調節活性を有する新規化合物、そのようなモジュレーターを一種以上含有する薬学的組成物、このようなモジュレーターを調製する方法および肥満、糖尿病および関連する障害を処置するためにこのようなモジュレーターを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
環状ペプチドであるMCHは、10年以上前に硬骨魚で最初に同定され、それは、色の変化を調節しているようである。より最近、MCHは、哺乳動物における摂食行動のレギュレーターとしてのその潜在的な役割についての研究の対象であった。非特許文献1により報告されているように、MHC欠損マウスは食欲減退(摂食の減少)に起因して体重が減少し、やせた。その発見をを考慮して、MCHのアンタゴニストは、肥満の処置に有効であり得ることが示唆された。特許文献1は、糖尿病または肥満の処置のための併用療法を開示し、その方法は、代謝速度増加剤および摂食行動改変剤(後者の例は、MCHアンタゴニストである)の投与を包含する。さらに、MCHレセプターアンタゴニストはまた、うつ病および/または不安の処置に有用であり得る。非特許文献2。
【0003】
特許文献2は、MCHアンタゴニスト活性を有する化合物を開示する。
【特許文献1】米国特許第5,908,830号明細書
【特許文献2】国際公開第03/047568号パンフレット
【非特許文献1】Shimadaら、「Nature」、1998年12月17日、第396巻、p.670−673
【非特許文献2】Borowksyら、「Nature Medicine」、2002年8月1日、第8巻、p.825−830
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所望の目的は、より良好かつより少ない副作用に対して低いhERG活性を示す化合物を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
一実施形態において、本発明は、MCHアンタゴニスト活性を有する新規へテロシクリル化合物を提供する。これらの化合物は、以下:
【0006】
【化28】

によって表されるか、またはこれらの薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで、
【0007】
【化29】

は、(a)単結合、(b)二重結合または(c)シクロアルキル環を表し、ここで、破線は、−(CR1415であり、Sは、1、2、3または4であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0または1であり、ここで、nとmとの合計は、1〜3であり;
pは、0、1、2、3または4であり;
Xは、以下:
【0008】
【化30】

からなる群より選択され;
は、
【0009】
【化31】

であり;
は、
【0010】
【化32】

であり、ここで、rは、0、1、2または3であり;
は、−(CR1−3−NRであるか、またはRは、
【0011】
【化33】

であり、ここで、tは、1、2、3、4または5であり;
は、水素またはアルキルであり;
およびRは、同じであってもよく異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニルまたはアルキルスルホニルであり;
は、水素、アルキル、アシル、−C(O)NH、−C(O)NH−アルキル、−C(O)N(アルキル)、アルコキシカルボニル、アリールスルホニルまたはアルキルスルホニルであるか;
または、RおよびRは一緒になってそれらが結合している窒素と一緒にヘテロシクリル環を形成し、このへテロシクリル環は、必要に応じて1個または2個の環系置換基で置換され、各環系置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルへテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じであってもよく異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群より独立して選択され;
は、水素またはアルキルであり;
10は、1〜3個の部分であり、各R10は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルおよびハロからなる群より独立して選択され、但し、R10は、Nに隣接する炭素に結合する場合ハロではなく;
11は、水素、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、−C(O)NR、−アルキルC(O)NR、アリールスルホニル、アルキルスルホニルまたはアルキルC(O)であり;
12は、1〜4個の部分であり、各R12は、水素、アルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルキルからなる群より独立して選択され;
Arは、(R13置換アリールまたは(R13置換へテロアリールであり、ここで、uは、1〜3の数であり、各R13は、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、−OCF、−CF、−SO−アルキル、−NO、−SCFおよび−CNからなる群より独立して選択されるか、または上記アリールもしくはヘテロアリール環の隣接する炭素上の2個のR13部分は、連結して、
【0012】
【化34】

を形成し得;
14は、水素、アルキル、−CHOH、ハロ、−CN、−OH、アルコキシまたは−NRであり;
15は、水素、アルキル、−CHOH、ハロ、−CN、−OH、アルコキシまたは−NRである。
【0013】
本発明はまた、代謝性障害(例えば、肥満)の処置のための薬学的組成物に関し、それらの障害は、肥満および摂食障害(例えば、過食症)と関連し、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物を使用する。一局面において、本発明は、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物を用いた、代謝性障害(例えば、肥満)および/または摂食障害(例えば過食症)の処置の方法に関する。別の実施形態は、摂食障害の処置の必要な哺乳動物に、一定量の第1の化合物および第2の化合物を投与する工程を包含する、摂食障害を処置する方法を包含し、この第1の化合物は、式Iの化合物またはその塩もしくは溶媒和物であり、第2の化合物は、抗肥満薬および/または食欲抑制薬であり、ここで、上記第1の化合物および第2の化合物の量は、所望の治療効果を生じる。別の局面において、本発明は、肥満を処置するための薬学的組成物に関し、この薬学的組成物は、肥満処置量の式Iの化合物の少なくとも一種、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(詳細な説明)
本発明が構造式Iにより表される化合物、または薬学的に受容可能な塩またはその溶媒和物に関し、ここで、種々の部分は上記の通りである。
【0015】
本発明の一局面は、
【0016】
【化35】

が、(a)二重結合または(b)
【0017】
【化36】

のいずれかを表す、式Iの化合物を含む。
【0018】
本発明の別の局面は、mが0または1であり、nが0または1であり、そしてpが2または3である、式Iの化合物を含む。
【0019】
本発明の別の局面は、Xが、以下:
【0020】
【化37】

からなる群より選択される、式Iの化合物を含む。
【0021】
本発明の別の局面は、Rが、以下:
【0022】
【化38】

である、式Iの化合物を含む。
【0023】
本発明の別の局面は、Rが、以下:
【0024】
【化39】

である、式Iの化合物である。
【0025】
本発明の別の局面は、Rが−CH−NRである式Iの化合物であり、ここで、RおよびRは必要に応じて、それらが結合する窒素と一緒になってヘテロシクリル環を形成し、このヘテロシクリル環は必要に応じてヒドロキシで置換される得る。
【0026】
本発明の別の局面は、Rが水素またはアルキルであり、そしてRが水素またはアルキルである、式Iの化合物である。
【0027】
本発明の別の局面は、R10が1つまたは2つの部分であり、各R10が水素、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群より独立して選択される、式Iの化合物である。
【0028】
本発明の別の局面は、R10が1つの部分であり、各R10が水素およびヒドロキシからなる群より独立して選択される、式Iの化合物である。
【0029】
本発明の別の局面は、R11が水素またはアルキルである式Iの化合物である。
【0030】
本発明の別の局面は、R12が1つまたは2つの部分であり、各R12部分が水素、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルコキシアルキルからなる群より独立して選択される、式Iの化合物である。
【0031】
本発明の別の局面は、Arが、(R13−置換アリール、(R13−置換ヘテロアリールである式Iの化合物であり、ここで各R13は、ハロおよび−CFからなる群より独立して選択される。
【0032】
本発明の別の局面は、R14が水素またはアルキルであり、R15が水素またはアルキルである、式Iの化合物である。
【0033】
本発明のさらなる局面は、式Iの化合物を含み、ここで:
【0034】
【化40】

が(a)二重結合または(b)−C(R1415)−のいずれかを表し;
mが1または2であり;
nが0または1であり;
pが2または3であり;
Xが以下:
【0035】
【化41−1】

からなる群より選択され;
【0036】
が以下:
【化41−2】

であり;
が以下:
【0037】
【化42】

であり、ここでrは0、1、2または3であり;
が、−C(R)−NRであるか、またはRおよびRは必要に応じてそれらが結合する窒素と一緒になってヘテロシクリル環を形成し、このヘテロシクリル環は必要に応じてヒドロキシで置換され得;
が水素またはアルキルであり;
が水素またはアルキルであり;
10が1つまたは2つの部分であり、各R10が水素、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群より独立して選択され;
11が水素またはアルキルであり;
12が、水素、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルコキシアルキル(alkloxyalkyl)からなる群より選択され;
Arが(R13−置換アリール、(R13−置換ヘテロアリールであり、各R13はハロおよび−CFからなる群より独立して選択され;
14が水素またはアルキルであり;そして
15が水素またはアルキルである。
【0038】
本発明のさらなる局面は、式Iの化合物を含み、ここで:
【0039】
【化43】

が(a)二重結合または(b)−C(R1415)−のいずれかを表し;
mが1であり;
nが0であり;
pが2または3であり;
Xが以下:
【0040】
【化44】

からなる群より選択され;
が以下:
【0041】
【化45】

であり;
が以下:
【0042】
【化46】

であり;
が−C(R)−NRであるか、またはRおよびRは必要に応じてそれらが結合する窒素と一緒になってヘテロシクリル環を形成し、このヘテロシクリル環は必要に応じてヒドロキシで置換され得;
およびRは同じかまたは異なり得、各々が水素またはアルキルであり;
が水素またはアルキルであり;
が水素またはアルキルであり;
10がヒドロキシであり;
11が水素またはアルキルであり;
12が1〜4つの部分であり、各R12は水素およびアルキルからなる群より独立して選択され;
Arは(R13−置換フェニルであり、ここでuは2であり;そして各R13は独立して、水素、ハロ、−OCF、−CFおよび−CNからなる群より選択され;
14が水素またはアルキルであり;そして
15が水素またはアルキルである。
【0043】
式Iの好ましい実施形態は、実施例1〜21からなる群より選択される化合物を含む。
【0044】
式Iのさらなる好ましい実施形態は、以下の式の化合物を含む:
【0045】
【化47】

【0046】
【化48】

他に示されない限り、以下の定義は、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって適用する。この定義は、用語が単独で使用されるかまたは他の用語と組合わせて使用されるかどうかに関係なく適用される。従って、「アルキル」の定義は、「アルキル」および「アルコキシ」、「シクロアルキル」などの「アルキル」部分に適用される。
【0047】
上記のようにそして本明細書全体にわたって使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有することが理解される:
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0048】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳類動物を意味する。
【0049】
「アルキル」は、直鎖状または分枝状であり得、そしてその鎖内に約1〜約20の炭素原子含み得る脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖内に約1個〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、鎖内に約1個〜約6個の炭素原子を含む。分枝とは、一つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直線的なアルキル鎖に結合されることを意味する。「低級アルキル」は、鎖内に約1個〜約6個の炭素原子を有する群を意味し、直鎖状または分枝状であり得る。用語「置換アルキル」は、同じかまたは異なり得る一つ以上の置換基によってアルキル基が置換され得ることを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシ、そして−C(O)O−アルキルから独立して選択される。好ましいアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0050】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素を意味し、これは直鎖状または分枝状であり得、そして鎖内に約2個〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基は、鎖内にの約2個〜約12個の炭素原子を有する;そして、好ましくは鎖内に約2個〜約6個の炭素原子を有する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直線的なアルケニル鎖に結合されることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖状または分枝状であり得る鎖内で約2個〜約6個の炭素原子を意味する。用語「置換アルケニル」は、アルケニル基が、同じであるかまたは異なり得る1つ以上の置換基により置換されることを意味する。各々の置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、および−S(アルキル)からなる群より独立して選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例は、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブタ−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0051】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含んでいる脂肪族炭化水素を意味し、そしてこれは直鎖状または分枝状であり得、その鎖内に約2〜約15の炭素原子を含む。好ましいアルキニル基は、その鎖内にの約2個〜約12個の炭素原子を有し;そしてより好ましくは、その鎖内に約2個〜約4個の炭素原子を有する。分枝状とは、一つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直鎖状アルキニル鎖に結合されることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖状または分枝状であり得る鎖内の約2個〜約6個の炭素原子を意味する。好ましいアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが挙げられる。用語「置換されたアルキニル」は、同じかまたは異なり得る一つ以上の置換基によってこのアルキニル基が置換され得ることを意味し、各置換基はアルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0052】
「アリール」は、約6個〜約14個の炭素原子含み、好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を含む、芳香族単環式または多重環式を意味する。アリール基は、同じかまたは異なり得る一つ以上の「環系置換基」にで必要に応じて置換され得、そして本明細書中に記載されるとおりである。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0053】
「ヘテロアリール」は、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含んでいる芳香族の単環式または多重環式の環系を意味し、ここで一つ以上の環原子は炭素以外の元素(例えば窒素、酸素または硫黄)の単独または組合せである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、同じかまたは異なり得る1つ以上の「環系置換基」によって必要に応じて置換され得、そして本明細書において定義されるとおりである。ヘテロアリールの語根名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアはそれぞれ、少なくとも窒素、酸素または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−酸化物に酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、以下が挙げられる:ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N置換されたピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル(oxindolyl)、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジニル、ピロロピリジル(pyrrolopyridyl)、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリル、など。用語「ヘテロアリール」も、部分的に飽和のヘテロアリール部分(例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなど)をいう。
【0054】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリールおよびアルキルが先に記載したとおりであるアリール−アルキル−基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。好ましいアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0055】
「アルキルアリール」は、アルキルおよびアリールが先に記載したとおりであるアルキル−アリール−基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分に対する結合は、アリールを介する。
【0056】
「シクロアルキル」は、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族性の単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、同じかまたは異なり得る一つ以上の「環系置換基」によって必要に応じて置換され得、そして上記のとおりである。好ましい単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなど、ならびに部分的に飽和した種(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)が挙げられる。
【0057】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が好ましい。
【0058】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。フルオロ、クロロおよびブロモが好ましい。
【0059】
「環系置換基」は、例えば、環系上の利用可能な水素を置き換える、芳香環系または非芳香環系に結合した置換基を意味する。環系置換基は同じかまたは異なり得、各々は、以下からなる群より独立して選択される:アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−、および−SONY(ここで、YおよびYは、同じかまたは異なり得、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群より独立して選択される)。「環系置換基」はまた、環系上の2つの隣接する炭素原子上の2つの利用可能な水素(各炭素上の1つのH)を同時に置き換える単一の部分を意味し得る。このような部分の例としては、メチレンジオキシ(エチレンジオキシ)、−C(CH−などが挙げられ、これらは例えば、以下:
【0060】
【化49】

のような部分を形成する。
【0061】
「ヘテロシクリル」は約3個〜約10個の環原子、好ましくは約4個〜約7個の環原子を含む、非芳香族の飽和の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、環系の原子の一つ以上は炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)の単独または組合わせである。環系に存在する隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5個〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリル語幹名の前の接頭語アザ、オキサまたはチアは、少なくとも、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環における任意の−NHは、例えば、−N(Boc)基、−N(CBz)基、−N(Tos)基などのように保護されて存在し得る;このような保護もまた、本発明の一部とみなされる。ヘテロシクリルは、同じかまたは異なり得る一つ以上の「環系置換基」によって、必要に応じて置換され得、本明細書において定義されるとおりである。ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−時オキシドへと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが挙げられる。
【0062】
本発明のヘテロ原子を含んでいる環系において、N、OまたはSに隣接して炭素原子上のヒドロキシル基が存在すること、および別のヘテロ原子に隣接した炭素上にはNまたはSの基が存在しないことが注意されるべきである。従って、例えば、以下の環:
【0063】
【化50】

において、2および5と記した炭素に直接結合した−OHは存在しない。
【0064】
また、互変異性型、例えば、以下の部分:
【0065】
【化51】

は、本発明の特定の実施形態において等価であるとみなされることが注意されるべきである。
【0066】
「アルキニルアルキル」は、アルキニル−アルキル−基を意味し、このアルキニルおよびアルキルは前述したとおりである。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニル基および低級アルキル基を含む。親部分に対する結合は、アルキルを介する。好ましいアルキニルアルキル基の非限定的な例としては、プロパギルメチルが挙げられる。
【0067】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、このヘテロアリールおよびアルキルは前述したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0068】
「ヘテロアラルキルチオ」は、ヘテロアラルキル−S−基を意味し、このヘテロアラルキルは前述したとおりである。好ましいヘテロアラルキルチオは、低級アルキル基を含む。親部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0069】
「ヘテロアリールアルケニル」は、ヘテロアリール−アルケニル基を意味し、ヘテロアリールおよびアルケニルが前述したとおりである。好ましいヘテロアリールアルケニルは、低級アルケニル基を含む。親部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0070】
「ヘテロアリールアルキニル」は、ヘテロアリール−アルキニル基を意味し、このヘテロアリールおよびアルキニルは前述したとおりである。好ましいヘテロアリールアルキニルは、低級アルキニル基を含む。親部分に対する結合はアルキニルを介する。
【0071】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、アルキルは先に定められとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0072】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、またはシクロアルキル−C(O)−基を意味し、ここで種々の基は先に記載したとおりである。親部分に対する結合はカルボニルを介する。好ましいアシルは低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが挙げられる。
【0073】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、アリール基は先に記載したとおりである。親部分に対する結合はカルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0074】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、このアルキル基は先に記載したとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合はエーテル酸素を介するを介する。
【0075】
「アルコキシアルキル」は、アルコキシ基のアルキル基を意味し、アルコキシ基およびアルキル基は先に記載したとおりである。適切なアルコキシアルキル基の非限定的な例としては、メトキシメチルおよびエトキシメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキル基を介する。
【0076】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、このアリール基は先に記載したとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0077】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O−基を意味し、このアラルキル基は先に記載したとおりである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例には、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシまたは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0078】
「アルキルヘテロアリール」は、アルキル−ヘテロアリール基を意味し、このアルキル基およびヘテロアリール基は先に記載したとおり。親部分に対する結合は、ヘテロアリールを介する。
【0079】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、このアルキル基は先に記載したとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0080】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、このアリール基は先に記載したとおりである。適切なアリールチオ基の非限定的な例には、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0081】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、このアラルキル基は先に記載したとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0082】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−C(O)−基を意味し、このアルキル基は先に記載したとおりである。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。
【0083】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味し、このアリール基は先に記載したとおりである。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。
【0084】
「アラルコキシ」は、アラルキル−O−基を意味し、アラルキル基は先に記載したとおりである。適切なアラルコキシの非限定的な例は、ベンジルオキシである。親部分に対する結合は、酸素を介する。
【0085】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味し、このアラルキル基は先に記載したとおりである。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。
【0086】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味し、このアルキル基は先に記載したとおりである。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分に対する結合は、スルホニルを介する。
【0087】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味し、このアリール基は先に記載したとおりである。親部分に対する結合は、スルホニルを介する。
【0088】
「ヘテロアリールスルホニル」は、ヘテロアリール−S(O)−基を意味し、このヘテロアリール基は先に記載したとおりである。親部分に対する結合は、スルホニルを介する。
【0089】
「ヘテロアリールチオ」は、ヘテロアリール−S−基を意味し、このヘテロアリール基は先に記載したとおりである。親部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0090】
用語「置換された」は、指定された原子上の一つ以上の水素が示された群からの選択物で置き換えられることを意味するが、但し、その存在する状況下での指定された原子の通常の結合価は過剰でなく、そしてこの置換は安定化合物を生じる。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合のみ許容可能である。「安定な化合物」または「安定な構造物」によって、反応混合物からの有用な精製の程度に残存単離(survive isolation)および有効な治療薬への処方に十分に強い化合物および製剤が意味される。
【0091】
用語「必要に応じて置換される」は、特定の基、ラジカルまたは部分を有する任意の置換を意味する。
【0092】
化合物に対する用語「単離された」または「単離された形態」は、合成法もしくは天然の供給源またはそれらの組合せから単離された後の、その化合物の物理的状態をいう。化合物に対する用語「精製した」または「精製された形態」は、本明細書中に記載されるかまたは当業者に周知の精製プロセスから得られた後の、本明細書中に記載されるかまたは当業者に周知の標準的な解析技術によって特徴付け可能であるほど充分な純度の、この化合物の物理的状態をいう。
【0093】
また、テキスト、スキーム、例および本明細書中の表において、不飽和の結合価を有するいかなるヘテロ原子も、結合価を満たすために水素原子を有するとみなされることが、注意されるべきである。
【0094】
化合物における官能基が「保護される」と称される場合、これは、その化合物が反応に供される場合にその基がその保護された部位において所望されない副反応を防止するように改変された形態にあることを意味する。適切な保護基は、当業者に認識されるか、または標準的な教科書(例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991)Wiley、New York)を参照することにより認識される。
【0095】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、R、など)が任意の構築物または式Iにおいて複数存在する場合、各存在におけるこの定義は、他の全ての存在におけるその定義とは無関係である。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含む産物、および特定の量で特定の成分の組合せから直接的または間接的に生じる任意の産物を包含することを意図される。
【0097】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書において企図される。本明細書において使用される場合、用語「プロドラッグ」は、被験体への投与時に、代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を受けて式Iの化合物またはその塩および/もしくはその溶媒和物を生じる、薬物前駆体である化合物を意味する。プロドラッグに関する考察は、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)A.C.S.Symposium Series 14およびBioreversible Carries in Drug Design,(1987)Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供される(これらの両方が本明細書中で参考として援用される)。
【0098】
「溶媒和物」は、本発明の化合物と一つ以上の溶解分子との物理的な会合を意味する。この物理的な会合は、イオン性かつ共有性の結合(水素結合が挙げられる)の程度を変化させること含む。特定の例において、例えば一つ以上の溶解分子が結晶質固体の結晶格子に組み込まれる場合、溶媒和物は単離され得る。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例には、エタノール溶媒和物(ethanolate)、メタノール溶媒和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶解分子がHOである溶媒和物である。
【0099】
式Iの化合物は塩を形成し得、これもまた本発明の範囲内である。本明細書において式Iの化合物の参照は、他に明記しない限り、その塩の参照を包含することが理解される。本明細書において使用される場合、用語「塩」は、無機酸および/または有機酸により形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基により形成された塩基性塩を意味する。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるがこれに限定されない)の両方を含む場合、両性イオン(「内塩(inner salt)」)が形成され得、そしてこれは本明細書中で使用される場合に用語「塩」に包含される。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩も有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を、ある量の酸または塩基(例えば、等量)と、媒体内(例えば、塩が沈殿する媒体)中でかまたは水性媒体中で反応させ、続いて凍結乾燥することによって、形成され得る。
【0100】
例示的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩(tartarate)、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩としても公知)などが挙げられる。さらに、通常、基本的な薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適していると一般にみなされる酸は、例えば、P.Stahlら、Camille G.(編者)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley−VCH:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medical Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.およびそのウェブサイト)。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0101】
例示的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性窒素を含む基は、以下の因子によって四級化され得る:例えば、低級アルキルハライド(例えば、メチル、エチルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ジアルキルサルフェート(例えば、ジメチルサルフェート、ジエチルサルフェートおよびジブチルサルフェート)、長鎖ハライド(例えば、デシル、ラウリルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、アラルキルハライド(例えば臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)など。
【0102】
このようなすべての酸性塩および塩基塩は、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であること意図され、そしてすべての酸性塩および塩基塩類は、本発明の目的に対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0103】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、互変異性型で(例えば、アミドエーテルまたはイミノエーテルとして)存在し得る。このようなすべての互変異性型は、本発明の一部として本明細書中に企図される。
【0104】
本発明の化合物(その化合物の塩、溶媒和物およびそのプロドラッグの塩および溶媒和物が挙げられる)のすべての立体異性体(例えば幾何異性体、光学異性体など)、例えば種々の置換基上の不斉炭素のため存在し得る立体異性体(鏡像異性形態(これは不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマ形態が挙げられる)は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)のように、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、実質的に他の異性体を含まなくてもよいし、または例えば、ラセミ体として混合されるかもしくは他の全ての立体異性体(または他の選択された立体異性体)と混合されてもよい。IUPAC 1974 Recommendationsにより定義されるように、本発明のキラル中心はS配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに等しく適用することを意図される。
【0105】
式Iの化合物は、肥満の処置に有用である、高度に選択的な、高親和性のメラニン凝集ホルモン(Melanin Concentrating Hormone:MCH)レセプターアンタゴニストであり得る。
【0106】
本発明の1局面は、MCHにより媒介される疾患または状態を有する哺乳類(例えば、ヒト)を処置する方法であり、この方法は、治療上有効量の少なくとも1種の式Iの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を投与することによる。
【0107】
「有効量」または「治療有効量」は、MCHによって媒介される疾患または状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置し、したがって所望の治療効果(例えば、体重減少、糖尿病の制御)をもたらすのに有効な本発明の化合物の量を記載することが意味される。
【0108】
好ましい投薬量は、1日あたり体重1kgにつき、約0.001mg〜1000mgの式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物のである。特に好ましい投薬量は、1日あたり体重1kgにつき、約0.01mg〜30mgの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物のである。
【0109】
本発明のさらになお別の局面は、肥満の処置が必要な哺乳動物に、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する、肥満を処置する方法である。
【0110】
本発明のさらなる局面は、哺乳動物に、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する、摂食障害および代謝障害(例えば、過食症および食欲不振)を処置する方法である。
【0111】
本発明の別の局面は、哺乳動物に、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する、高脂血症を処置するための方法である。
【0112】
本発明の別の局面は、哺乳動物に、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する、脂肪性浮腫および脂肪の蓄積を処置するための方法である。
【0113】
本発明の別の局面は、哺乳動物に、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の治療有効量を投与する工程を包含する、II型糖尿病を処置するための方法に関する。
【0114】
MCHサブタイプに対する本発明の化合物の「直接的」な効果に加えて、例えば、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損、II型糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管疾患、胆石、特定の癌、および睡眠時無呼吸のような、体重減少によって利益を受け得る疾患および状態が存在する。
【0115】
本発明はまた、少なくとも1つの、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物に関する。
【0116】
本発明はまた、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアの、肥満を処置する量を含有する、肥満の処置のための薬学的組成物に関する。
【0117】
本発明のさらになお他の局面は、以下に記載されるような、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物と他の化合物との組み合わせである。
【0118】
したがって、哺乳動物(例えば、女性のヒトまたは男性のヒト)に、以下:
a.式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、第1の化合物の量;ならびに
b.抗肥満因子および/もしくは食欲抑制(anorectic)因子(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン様(thyromimetic)因子、食欲抑制(anoretic)因子、またはNPYアンタゴニスト)であり、そして/または必要に応じて、薬学的に、キャリア、ビヒクルもしくは希釈剤である、第2の化合物の量、
を投与する工程を包含し、第1の化合物および第2の化合物の量は(肥満を処置する)治療効果を生じる、肥満を処置するための方法が、本発明の範囲内に包含される。
【0119】
本発明の別の局面は、以下:
a.第1の単位投薬形態にある、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の量および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤の量;
b.第2の単位投薬形態にある、抗肥満因子および/もしくは食欲抑制因子(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制(anoretic)因子、またはNPYアンタゴニスト)の量ならびに薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルもしくは希釈剤の量;ならびに
c.この第1の投薬形態および第2の投薬形態を含むための手段、
を備え、この第1の化合物の量および第2の化合物のその量が治療効果を生じる、キットである。
【0120】
上記の組み合わせ方法、組み合わせ組成物および組み合わせキット中の、好ましい抗肥満因子および/または食欲抑制因子(単独かまたはその任意の組み合わせで用いられる)は、以下である:
フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミン、コレシストキニン−A(以下で、CCK−Aといわれる)アゴニスト、モノアミン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経作用剤、セロトニン作動剤(例えば、デクスフェンフルラミンまたはフェンフルラミン)、ドパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアゴニストまたはメラニン細胞刺激ホルモンレセプターアゴニスト模倣物(mimetic)、メラニン細胞刺激ホルモンアナログ、カンナビノイドレセプターアンタゴニスト、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、OBタンパク質(以下で、「レプチン」といわれる)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニストまたはGIリパーゼインヒビターもしくはGIリパーゼデクリーザー(decreaser)(例えば、オーリスタット)。他の有用な食欲抑制因子としては、ボンベシンアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロンまたはそのアナログ、糖質コルチコイドレセプターアゴニストおよび糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターのアゴニスト(例えば、エキセンディン(Exendin)および繊毛様神経栄養因子(例えば、Axokine))が挙げられる。
【0121】
本発明の別の局面は、哺乳動物(例えば、女性のヒトまたは男性のヒト)に、以下:
a.式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、第1の化合物の量;および
b.アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテイチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口的に生物学的に利用可能なインスリン調製物が挙げられる)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン(rosaglitazone)、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド(glipazide)、グリブリド、またはクロルプロパミドである、第2の化合物の量、
を投与する工程を包含し、第1の化合物の量および第2の化合物の量が治療効果を生じる、糖尿病を処置する方法である。
【0122】
本発明はまた、薬学的な組み合わせ組成物に関し、この組み合わせ組成物は、以下:
式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、第1の化合物;
アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテインチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口的に生物学的に利用可能なインスリン調製物が挙げられる)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリド、またはクロルプロパミドである、第2の化合物;および必要に応じて薬学的なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤、
を含有する組成物の治療有効量を含む。
【0123】
本発明の別の局面は、以下:
a.第1の単位投薬形態にある、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の量および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤の量;
b.第2の単位投薬形態にある、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテインチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口的に生物学的に利用可能なインスリン調製物が挙げられる)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリド、またはクロルプロパミドの量;および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤の量;ならびに
c.この第1の投薬形態および第2の投薬形態を含むための手段、
を備え、この第1の化合物の量および第2の化合物の量が治療効果を生じる、キットである。
【0124】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態にある。このような形態において、この調製物は、活性な構成成分の適当な量を含む適切な大きさの単位用量(例えば、所望の目的を達成する有効量)に細分される。
【0125】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、特定の用途に従って、約1mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約25mgに、変更されても調整されてもよい。
【0126】
利用される実際の投薬量は、患者の要求および処置される状態の重症度に依存して変更され得る。特定の状況に対する適切な投薬レジメンの決定は、当業者の能力の範囲内である。便宜上、1日の総投与量は、必要に応じて、1日の間の部分に分けて投与され得る。
【0127】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与の、量および頻度は、患者の年齢、状態および大きさ、ならびに処置される症状の重症度のような因子を検討して、担当する臨床医の判断に従って調節される。経口投与のための代表的な推奨される1日あたりの投薬レジメンは、2用量〜4用量に分割される、約1mg/日〜約300mg/日の範囲、好ましくは1mg/日〜50mg/日の範囲であり得る。
【0128】
本発明よって示される化合物からの薬学的組成物の調製に関して、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散可能な顆粒剤、カプセル、カシェ剤および坐剤が挙げられる。この散剤および錠剤は、約5%〜約70%の活性成分から構成され得る。適切な固体キャリアは、当該分野において公知であり、これらは、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に適した固体投薬形態として使用され得る。
【0129】
坐剤の調製に関して、低融点の蝋(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオ脂)が、最初に融解され、そして活性成分が、攪拌することによってその中に均一に分散される。次いで、融解した均一な混合物は、都合の良い大きさの型に注がれ、冷却されて凝固する。
【0130】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルションが挙げられる。例としては、非経口的な注射用の水または水−プロピレングリコール溶液が挙げられ得る。
【0131】
液体形態の調製物としてはまた、鼻腔内投与用の溶液が挙げられる。
【0132】
吸入に適したエアロゾル調製物としては、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性な圧縮ガス)との組み合わせであり得る、溶液および粉末形態にある固体が挙げられ得る。
【0133】
使用する少し前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための液体形態の調製物に変換されることが意図される固体形態の調製物もまた、含まれる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液およびエマルションが挙げられる。
【0134】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮的組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルションの形態をとり得、そしてこの目的に対して当該分野において慣習的であるマトリックス型またはレザバ型の、経皮パッチ中に含まれ得る。
【0135】
好ましくは、上記化合物は、経口的に投与される。
【0136】
好ましくは、上記薬学的調製物は、単位投薬形態にある。このような形態において、この調製物は、活性な構成成分の適当な量を含む単位用量(例えば、所望の目的を達成するための有効量)に細分される。
【0137】
式Iの化合物は、下の調製物および実施例において以下の反応スキーム中に示されるような、溶液相合成または固相合成のいずれかを使用する、当業者に公知のプロセスによって生成され得る。
【0138】
(合成)
本明細書中に開示される発明は、以下の調製物および実施例によって例示され、これらの調製法および実施例は、添付の特許請求の範囲に定義される発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。代替的な機構的経路および類似構造は、当業者に明らかである。
【0139】
NMRデータが、存在する場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかにおいて得られた。これらのNMRデータは、括弧に示されたヘルツにおけるプロトン数、多重度、および結合定数を伴って、MeSiから低磁場のppmとして報告される。LC/MSデータが、示される場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech 白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配の流れ:0分−10% CHCN、5分−95% CHCN、7分−95% CHCN、7.5分−10% CHCN、9分−停止、を使用して行われた。エレクトロスプレーイオン化法を使用して観察される親イオンが、与えられる。
【0140】
以下の略語が、下に記載される実験手順を通して利用される:
OTfは、トリフルオロメタンスルホネートを意味し;
TBDPSClは、tert−ブチルジフェニルシリルクロリドを意味し;
TBAFは、テトラブチルアンモニウムフルオライドを意味し;
Ti(OiPr)は、チタンイソプロポキシドを意味し;
DPPAは、ジフェニルホスホリルアジドを意味し;
DBUは、1,8ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを意味し;
PhPは、トリフェニルホスフィンを意味し;
Bnは、ベンジルを意味し;
Meは、メチルを意味し;
THFは、テトラヒドロフランを意味し;
DCMは、ジクロロメタンを意味し;
Bocは、ブトキシカルボニルを意味し;
NMRは、核磁気共鳴分光法を意味し;
MSは、質量分析を意味し;
室温またはrt(周囲)は、約25℃を意味する。
【0141】
本発明の範囲内の代替的な機構的な経路および類似構造物は、当業者に明らかである。
【実施例】
【0142】
(実験実施例)
以下の実施例は、本発明の化合物のいくつかの調製を示し、そして本明細書中に開示された発明の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【0143】
【化52】

10mLメタノール中のアルデヒド3(5.8g、51.3mmol、1当量)を、NaBH(2.1g、1.1当量)によって0℃で3時間処理した。この溶媒を除去し、そしてEtOAcを、抽出のために添加した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1のヘキサン:EtOAc)は、3.4gの所望の生成物(収率58%)を提供した。H NMR(CDCl δ):4.90(s,2H)7.27(m,1H)7.70(m,1H)。この物質(3.4g、29.6mmol、1当量)を、20mL DCM中のTBDPSCl(8.94g、1.1当量)、イミダゾール(4.0g、2当量)によって処理した。この混合物を、14時間攪拌した。溶媒を除去し、EtOAcによって抽出しそしてNaCOによって有機層を乾燥した後に、この溶媒のエバポレーションは、10.5gの所望の望ましい生成物を定量的に生じた。H NMR(CDCl δ):1.1(s,9H)4.90(s,2H)7.30−7.40(m,7H)7.60−7.70(m,5H)。チアゾール(9.6g、27.1mmol、1当量)を、−78℃の窒素下において100mlの無水THFに溶解し、そして18.6mlのnBuLi(ヘキサン中に1.6M、1.1当量)によって処理した。5分後、30mlの塩化トリメチルスズ(THF中に1M、1.1当量)を加えた。40分後、この反応を、ブライン溶液によってクエンチした。THFの除去、ヘキサン中の5%のEtOAcによる抽出およびフラッシュクロマトグラフィー(95:5のヘキサン:EtOAc)は、11.5gの混合物を提供した(出発物質:生成物4=1:5、収率73%)。H NMR(CDCl δ):1.00(s,9H)1.1(s,9H)4.96(s,2H)7.30−7.40(m,6H)7.60−7.70(m,5H)。
【0144】
[3,1,0]ビシクロヘキシルアナログの合成について(方法1):
【0145】
【化53】

化合物4(10.53g、16.9mmol、1.2当量)を、100ml THF中の3−ブロモ−2−シクロペンテン−1−オール5(2.3g、1当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.63g、0.1当量)、LiCl(1.8g、3当量)、NaCO(4.5g、3当量)と窒素下において70℃で一晩混合した。溶媒を除去し、EtOAcによって抽出した後、フラッシュクロマトグラフィー(3:1〜2:1のヘキサン:EtOAc)は、3.8gの所望の生成物(収率62%)を与えた。
【0146】
【化54】

シクロプロパン化反応について、0.52gのサマリウム(Aldrich、3.44mmol、5当量)を、減圧下において火炎で乾燥(flame dry)し、そしてアルゴンによって冷却した。その後、これを4mlの無水THFによって処理し、そしてアルゴン下で−50℃に冷却した。0.28mlのジヨードメタン(5当量)を添加し、そしてこの混合物を、その色が濃緑色に変わったときに−25℃まで温めた。3ml THF中のオレフィン(0.3g、1当量)を、この緑色の溶液中に移し、次いでこの反応に対してTLCを行った。1時間後(5℃の温度において)、このTLCは、このオレフィンの消失を示し、そしてこの反応を、飽和NaCOによってクエンチした。EtOAcで3回抽出した。フラッシュクロマトグラフィー(2:1のヘキサン:EtOAc)は、0.16gの所望の生成物(収率52%)を与えた。
【0147】
【化55】

アルコール(1.14g、2.54mmol、1当量)を、15mL DCM中のDess−Martin試薬(1.18g、1.1当量)によって一晩処理した。この溶媒を除去し、そして1:1のEtOAcとヘキサンとによって抽出し、次いで飽和NaCOによって洗浄した。フラッシュクロマトグラフィー(2:1のヘキサン:EtOAc)は、1.08gの所望の生成物6(収率95%)を与えた。
【0148】
【化56】

モレキュラーシーブ3Å(3.8g)を、減圧下において火炎で乾燥した。冷却後、このケトン6(0.47g、1.06mmol、1当量)を、N−(2−アミノエチル)ピロリジン(0.14g、1.1当量)と混合し、そして一晩攪拌した。この混合物を、0.071gのNaBHおよび5mLのメタノールによって処理した。30分後、この混合物を濾過し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(8:1:92のMeOH:NH:DCM)は、0.57gの所望の生成物を与えた。
【0149】
【化57】

このアミン中間体を、8mL DCM中の0.24gの4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(1.2当量)によって処理した。2時間後、0.2gの樹脂結合型トリスアミンを添加し、そして1時間後、セライトを通した濾過は、0.64gの所望の生成物7を与えた。(MH)C4046SSiについてのMS:751。
【0150】
【化58】

上記の尿素(化合物7)(0.64g)を、10mL DCM中の1.2ml TBAF(THF中に1M)によって3時間処理した。溶媒の除去後、フラッシュクロマトグラフィー(5:1:95のMeOH:NH:DCM)は、0.33gの所望のアルコール(3つの工程において収率66%)を与えた。
【0151】
【化59】

上記の生成物を、6mL THF中のDBU(0.13g、1.3当量)、DPPA(0.71g、4当量)によって70℃にて2時間処理した。溶媒を除去し、EtOAcによって抽出し、そして飽和NaHCOによって洗浄した後、フラッシュクロマトグラフィー(5:1:95のMeOH:NH:DCM)は、0.29gの所望のアジド(収率84%)を与えた。
【0152】
【化60】

上記のアジド(96mg、0.18mmol、1当量)を、3mLのエチルエーテルに溶解し、そして0.2mLのLiAlH(THF中に1M、1.2当量)を添加し、そして38℃に2時間加熱した。溶媒を除去し、EtOAcによって抽出し、そして飽和NaHCOによって洗浄した後、分離用TLC(5:1:95のMeOH:NH:DCM)は、30mgの所望の最終生成物1を与えた。
【0153】
【化61】

交差共役化合物の合成について:
【0154】
【化62】

[3,1,0]ビシクロヘキシルアナログの合成(交差共役、方法1)
シクロプロパン化反応:ジクロロエタン(10ml)中のジエチル亜鉛の溶液(ヘキサン中の1M溶液、1mL、5.5当量)に、クロロヨードメタン(0.1ml、7.5当量)を、0℃にて滴下するように添加した。この溶液を、その温度にて10分間攪拌した。ジクロロエタン(5mL)中のオレフィン化合物の溶液(0.1g、0.181mmol)を、0℃にて滴下するように添加し、そして3時間攪拌した。この反応を、NHCl溶液の添加によってクエンチし、そして酢酸エチルによって抽出した。この溶媒を、減圧下で除去し、そしてこの生成物を、ヘキサン中の5%酢酸エチルを使用した分離用TLCによって単離して、0.055g(54%)のシクロプロパン化した化合物を油として得た。
【0155】
【化63】

【0156】
【化64】

化合物14についてのデータ:
【0157】
【化65】

シクロヘキセニルアナログの合成について(方法2):
【0158】
【化66】

【0159】
【化67】

Ti(OiPr)(21.6g、1.2当量)中のN−(2−アミノエチル)ピロリジン(8.7g、1.2当量)において、200mL DCM中のケトン8(9.9g、63.5mmol、1当量)を、室温にて一晩攪拌した。この混合物を、0℃に冷却し、次いでNaBH(3.4g、1.4当量)を添加した。さらに一晩攪拌した後、5mLのMeOHを添加した。2時間後、飽和NaCOを添加し、次いでEtOAcによって抽出した。フラッシュクロマトグラフィー(10:1:90のMeOH:NH:DCM)は、9.8gの所望の生成物(収率60%)を与えた。
【0160】
【化68】

この物質(3.1g、12.2mmol、1当量)を、BocO(3.2g、1.2当量)、40mL THF中のNaHCO(2g、1.5当量)および40mLの水によって処理した。この混合物を、55℃に48時間加熱した。冷却し、EtOAcによって抽出し、そしてNaCOによって有機層を乾燥した後、この溶媒のエバポレーションは、無色のシロップ(4.4g)を与えた。このシロップを、CeCl・7HO(9g、2当量)、80mLのCHCN中のNaI(0.54g、0.3当量)によって、窒素下において80℃で2時間処理した。さらに4.5gのCeCl・7HO(1当量)、NaI(0.54g、0.3当量)および60mLのCHCNを添加し、そしてこの混合物を、16時間加熱した。室温まで冷却し、EtOAcによって抽出し、NaSOによって乾燥した後、溶媒のエバポレーションは、淡黄色のシロップ9および9’(合計で3.1g、9:9’=1.4:1)を与えた。
【0161】
上記の物質(3.1g、10mmol)を、トルエン/THF(1:1)の50mLに溶解し、−78℃に冷却し、次いで5.36gの(Tf)NPh(15mmol、1.5当量)を添加し、そして30mLのKHMDS溶液(トルエン中に0.5N、1.5当量)をゆっくりと添加した。4時間の攪拌後、40mLの水を、反応混合物中に添加した。この反応混合物を、室温までゆっくりと温め、次いでEtOAcによって抽出した。フラッシュクロマトグラフィー(3:1:100のMeOH:NH:DCM)は、無色のシロップ10(1.5g)として第1の画分を与えた。
【0162】
【化69】

クロマトグラフィーはまた、無色のシロップ10’(1.1g)として第2の画分を与えた。
【0163】
【化70】

【0164】
【化71】

4−フルオロ−3−クロロフェニルイソシアネート(0.6g、3.5mmol、1.2当量)中の15mL DCM中のこの物質10’(1g、2.9mmol、1当量)を、N下において室温で3時間攪拌した。飽和NaCl溶液を添加し、次いでEtOAcによって抽出した。フラッシュクロマトグラフィー(40:100のEtOAc/ヘキサン)は、白色の固形物として11(1.48g、収率96%)を与えた。
【0165】
【化72】

【0166】
【化73】

5の12への変換、およびその後の2への変換後、上に記載されるような方法1を行った。
【0167】
化合物2:
【0168】
【化74】

さらに、上記のスキームおよび実験実施例を改変することによって、以下の化合物が、調製され得る。
【0169】
【化75】

【0170】
【化76】


【0171】
(Herg−Rb二相スクリーニング)
Herg−Rbデータ(μg/mL)(%)を、以下の二相スクリーニングによって測定した。第1相は、細胞ハンドリング(cell−handling)相であって、この相において、細胞にルビジウムが充填され、薬物が添加され、そしてKCl脱分極によって流出が起こされる。第2相は、細胞ハンドリング相の終点で回収される細胞上清中のルビジウム含量の測定である。安定な様式でhERGを発現するCHO細胞が、これらの研究のために使用される。細胞は、研究の1日前に96ウェルディッシュにプレートされる。一晩の培養後、通常の組織培養培地は除去され、そして塩化カリウムの代わりに5mM塩化ルビジウムを含むHEPES緩衝化生理食塩水中で、細胞にルビジウムが3時間充填される。ルビジウム充填の最後の30分間に、細胞は、1.5μg/mlおよび5μg/mlの被験物質によって、予め平衡化される。その後、細胞は5mMのKClを含みルビジウムを含まないHEPES緩衝化生理食塩水によって洗浄されて、全ての細胞外ルビジウムが除去される。細胞ハンドリング相の最終工程は、50mMのKClを含むHEPES緩衝化生理食塩水中でこの細胞を脱分極する工程である。これは、hERGチャネルを開口し、そしてルビジウムの流出を可能にする。上清は、5分後に回収され、そしてルビジウム含量は、96ウェルプレートからサンプリングするためにロボットを備えるフレーム原子吸光度計(flame atomic absorbance spectrometer)(ICR−8000、Aurora Biomed Inc.、Vancouver、British Columbia)を使用して測定される。このチャネルが遮断される場合において、ルビジウムの流出量は、減少する。薬物効果は、化合物が添加されないウェルと、周知の陽性基準(10μMのドフェチリド)によるhERGチャネルの完全な遮断が存在するウェルとの間の違いに基づいて計算される。
【0172】
【化77】

【0173】
【化78】

【0174】
【化79】

【0175】
【化80】

【0176】
【化81】


【0177】
(MCHレセプター結合アッセイ)
MCHレセプターを発現するCHO細胞由来の膜を、4℃にて15分間、5mMのHEPESを用いて細胞を溶解することによって調製した。細胞溶解物を、遠心分離(12.5000×g、15分間)し、そしてそのペレットを、5mMのHEPES中に再懸濁した。各96ウェルプレート(Microlite、Dynex Technologies)について、1mgの細胞膜を、10mlの容量の結合緩衝液(25mMのHEPES、10mMのMGCl、10mMのNaCl、5mMのMnCl、0.1%のBSA)中で、10mgの小麦胚凝集素SPAビーズ(Amersham)と一緒に4℃にて5分間インキュベートした。この膜/ビーズ混合物を、遠心分離(1500×g、3.5分間)し、その上清を、吸引し、そしてそのペレットを、10mlの結合緩衝液中に再懸濁した。次いでこれらの遠心分離、吸引および再懸濁を、繰り返した。次いでこの膜/ビーズ混合物(100μl)を、500pMの[125I]−MCH(NEN)(50μl)および50mlの適切な濃度の化合物(4×所望の最終濃度)を含む96ウェルプレートに添加した。非特異的結合を、この結合反応中に1μMのMCHを含めることによって決定した。この結合反応を、室温にて2時間インキュベートした。次いでプレートを、TOPCOUNTマイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard)において分析した。データを分析し、そしてKi値を、GraphPad Prismを使用して決定した。
【0178】
100nMより大きいKi値を有する化合物を、C分類の化合物として下の表に示す。
【0179】
30nMと100nMとの間のKi値を有する化合物を、B分類の化合物として下の表に示す。
【0180】
30nM未満のKi値を有する化合物を、A分類の化合物として下の表に示す。
【0181】
本発明の好ましい実施形態(実施例1)において、8nMのKi値を観察した。
【0182】
本発明は、上に示される特定の実施形態と組み合わせて記載されたが、多くの代替、改変およびそれらの他の変形は、当業者に明らかである。全ての代替、改変および変形は、本発明の精神および範囲内に含まれることが意図される。
【0183】
【化82】

【0184】
【化83】

【0185】
【化84】

【0186】
【化85】

【0187】
【化86】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】

によって表される化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩であって、ここで、
【化2】

は、(a)単結合、(b)二重結合、または(c)シクロアルキル環を表し、ここで、該破線は、−(CR1415であり、Sは、1、2、3または4であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0または1であり、ここで、nとmとの合計は、1〜3であり;
pは、0、1、2、3または4であり;
Xは、以下:
【化3】

からなる群より選択され、
は、以下:
【化4】

であり;
は、以下:
【化5】

であり、ここで、rは、0、1、2または3であり;
は、−(CR1−3−NRであるか、またはRは、
【化6】

であり、ここで、tは、1、2、3、4または5であり;
は、水素またはアルキルであり;
およびRは、同じであってもよく異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アシル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニルまたはアルキルスルホニルであり;
は、水素、アルキル、アシル、−C(O)NH、−C(O)NH−アルキル、−C(O)N(アルキル)、アルコキシカルボニル、アリールスルホニルまたはアルキルスルホニルであるか;
または、RおよびRは一緒になってそれらが結合している窒素と一緒にヘテロシクリル環を形成し、該へテロシクリル環は、必要に応じて1個または2個の環系置換基で置換され、各環系置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルへテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONYからなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じであってもよく異なっていてもよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアラルキルからなる群より独立して選択され;
は、水素またはアルキルであり;
10は、1〜3個の部分であり、各R10は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルおよびハロからなる群より独立して選択され、但し、R10は、Nに隣接する炭素に結合する場合ハロではなく;
11は、水素、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アシル、アルコキシカルボニル、−C(O)NR、−アルキルC(O)NR、アリールスルホニル、アルキルスルホニルまたはアルキルC(O)であり;
12は、1〜4個の部分であり、各R12は、水素、アルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルキルからなる群より独立して選択され;
Arは、(R13置換アリールまたは(R13置換へテロアリールであり、ここで、uは、1〜3の数であり、各R13は、水素、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、−OCF、−CF、−SO−アルキル、−NO、−SCFおよび−CNからなる群より独立して選択されるか、または該アリールもしくはヘテロアリール環の隣接する炭素上の2個のR13部分は、連結して、
【化7】

を形成し得;
14は、水素、アルキル、−CHOH、ハロ、−CN、−OH、アルコキシまたは−NRであり;
15は、水素、アルキル、−CHOH、ハロ、−CN、−OH、アルコキシまたは−NRである、
化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
前記:
【化8】

が、(a)二重結合または(b)
【化9】

のどちらかを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが0または1であり、nが0または1であり、pが2または3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが、以下:
【化10】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、以下:
【化11】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、以下:
【化12】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、−CH−NRである請求項1に記載の化合物であって、RおよびRが必要に応じて一緒に結合され、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロシクリル環を形成し得、該へテロシクリル環は、必要に応じてヒドロキシで置換され得る、化合物。
【請求項8】
が、水素またはアルキルであり、Rが水素またはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
10が1個または2個の部分であり、各R10が、水素、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群より独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
10が1個の部分であり、R10が、水素およびヒドロキシからなる群より独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
11が水素またはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
12が1個または2個の部分であり、各R12部分が、水素、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルコキシアルキルからなる群より独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物であって、Arが(R13置換アリール、(R13置換へテロアリールであって、各R13が、ハロおよび−CFからなる群より独立して選択される、化合物。
【請求項14】
14が水素またはアルキルであり、R15が水素またはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物であって、以下:
【化13】

は、(a)二重結合または(b)−C(R1415)−を表し;
mは、1または2であり;
nは、0または1であり;
pは、2または3であり;
Xは、以下:
【化14】

からなる群より選択され;
は、以下:
【化15】

であり;
は、以下:
【化16】

であり、ここで、rは、0、1、2または3であり;
は、−C(R)−NRであるか、またはRおよびRは、必要に応じて一緒に結合され、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロシクリル環を形成し得、該へテロシクリル環は、必要に応じてヒドロキシで置換され得;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素またはアルキルであり;
10は、1個または2個の部分であり、各R10は、水素、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群より独立して選択され;
11は、水素またはアルキルであり;
12は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびアルコキシアルキルからなる群より選択され;
Arは、(R13置換アリール、(R13置換へテロアリールであり、各R13は、ハロおよび−CFからなる群より独立して選択され;
14は、水素またはアルキルであり;
15は、水素またはアルキルである、
化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物であって、以下:
【化17】

は、(a)二重結合または(b)−C(R1415)−を表し;
mは、1であり;
nは、0であり;
pは、2または3であり;
Xは、以下:
【化18】

からなる群より選択され;
は、以下:
【化19】

であり;
は、以下:
【化20】

であり;
は、−C(R)−NRであるか、またはRおよびRは、必要に応じて一緒に結合され、それらが結合している窒素と一緒になってヘテロシクリル環を形成し得、該へテロシクリル環は、必要に応じてヒドロキシで置換され得;
およびRは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれは、水素またはアルキルであり;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素またはアルキルであり;
10は、ヒドロキシであり;
11は、水素またはアルキルであり;
12は、1〜4個の部分であり、各R12は、水素およびアルキルからなる群より独立して選択され;
Arは、(R13置換フェニルであり、uは2であり、そして各R13は、水素、ハロ、−OCF、−CFおよび−CNからなる群より独立して選択され;
14は、水素またはアルキルであり;
15は、水素またはアルキルである、
化合物。
【請求項17】
以下:
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

からなる群より選択される、式Iの化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項18】
以下:
【化26】

【化27】

からなる群より選択される、式Iの化合物、またはこれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項19】
代謝性疾患、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要とする患者に請求項1に記載の少なくとも一種の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
代謝性疾患、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要とする患者に請求項17に記載の少なくとも一種の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
代謝性疾患、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要とする患者に請求項18に記載の少なくとも一種の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項22】
前記摂食障害が過食症である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記代謝性疾患が肥満である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記摂食障害が過食症である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記代謝性疾患が肥満である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記摂食障害が過食症である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記代謝性疾患が肥満である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
肥満に関連する障害を処置する方法であって、このような処置を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の少なくとも一種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項29】
肥満に関連する障害を処置する方法であって、このような処置を必要とする哺乳動物に請求項17に記載の少なくとも一種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
肥満に関連する障害を処置する方法であって、このような処置を必要とする哺乳動物に請求項18に記載の少なくとも一種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項31】
前記肥満に関連する障害が、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症または高血圧の内の少なくとも一種である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記肥満に関連する障害が、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症または高血圧の内の少なくとも一種である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記肥満に関連する障害が、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症または高血圧の内の少なくとも一種である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
摂食障害の処置の必要な哺乳動物に、一定量の第一の化合物および第二の化合物を投与する工程を包含する摂食障害を処置する方法であって、該第一の化合物が、請求項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であって、該第二の化合物は、以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬であって、該量の第一の化合物および第二の化合物が治療効果を生じる、
方法。
【請求項35】
摂食障害の処置の必要な哺乳動物に、一定量の第一の化合物および第二の化合物を投与する工程を包含する摂食障害を処置する方法であって、該第一の化合物が、請求項17に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であって、該第二の化合物は、以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬であって、該量の第一の化合物および第二の化合物が治療効果を生じる、
方法。
【請求項36】
摂食障害の処置の必要な哺乳動物に、一定量の第一の化合物および第二の化合物を投与する工程を包含する摂食障害を処置する方法であって、該第一の化合物が、請求項18に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であって、該第二の化合物は、以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬であって、該量の第一の化合物および第二の化合物が治療効果を生じる、
方法。
【請求項37】
薬学的組成物であって、治療有効量の以下:
請求項1に記載の第1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩;
以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬である、第2の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア;
を含有する、薬学的組成物。
【請求項38】
薬学的組成物であって、治療有効量の以下:
請求項17に記載の第1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩;
以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬である、第2の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア;
を含有する、薬学的組成物。
【請求項39】
薬学的組成物であって、治療有効量の以下:
請求項18に記載の第1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩;
以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬である、第2の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア;
を含有する、薬学的組成物。
【請求項40】
薬学的組成物であって、治療有効量の以下:
請求項1に記載の第1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩;
以下:アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテインチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドおよびクロルプロパミドからなる群より選択される、第2の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア;
を含有する、薬学的組成物。
【請求項41】
薬学的組成物であって、治療有効量の以下:
請求項17に記載の第1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩;
以下:アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテインチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドおよびクロルプロパミドからなる群より選択される、第2の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア;
を含有する、薬学的組成物。
【請求項42】
薬学的組成物であって、治療有効量の以下:
請求項18に記載の第1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩;
以下βアゴニスト、甲状腺ホルモン様因子、食欲抑制薬およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される抗肥満薬および/または食欲抑制薬である、第2の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア
を含有する、薬学的組成物。
【請求項43】
少なくとも一種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、少なくとも一種の請求項1に記載の化合物の治療有効量を含有する、薬学的組成物。
【請求項44】
少なくとも一種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、少なくとも一種の請求項17に記載の化合物の治療有効量を含有する、薬学的組成物。
【請求項45】
少なくとも一種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、少なくとも一種の請求項18に記載の化合物の治療有効量を含有する、薬学的組成物。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物の少なくとも一種を少なくとも一種の薬学的に受容可能なキャリアと合わせる工程を包含する、薬学的組成物を作製するためのプロセス。
【請求項47】
請求項17に記載の化合物の少なくとも一種を少なくとも一種の薬学的に受容可能なキャリアと合わせる工程を包含する、薬学的組成物を作製するためのプロセス。
【請求項48】
少なくとも一種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、少なくとも一種の請求項18に記載の化合物の治療有効量を含有する、薬学的組成物。

【公表番号】特表2008−506705(P2008−506705A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521651(P2007−521651)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/025060
【国際公開番号】WO2006/019957
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】