説明

脂溶性活性物質を含むマイクロカプセル

本発明は、活性物質の含有量が、マイクロカプセルの全重量で30〜60%であり、脂溶性活性物質と親水コロイドの比が少なくとも4:1である、親水コロイドおよび任意の一種以上のその他のマトリックス成分を含むマトリックスに埋め込まれた、プロビタミン、ビタミンおよびそれらのエステル、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA’s)、カロテノイド類ならびにベンゾキノン類から選択される少なくとも一種の脂溶性活性物質を含むマイクロカプセルおよびかかるマイクロカプセルを調製する方法に関する。本発明のマイクロカプセルは、活性物質を含む錠剤、食品およびその他の製品の調製に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊離表面脂肪(free surface fat)の含有率が低い、脂溶性活性物質を含むマイクロカプセル、かかるマイクロカプセルの調製方法、これらの使用およびマイクロカプセルを含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
親水コロイドマトリックス中にカプセル化された脂溶性活性物質を含む製品は、食品、補助食品、飲料、医薬品、農産物および動物薬ならびにパーソナルケア製品などのあらゆる種類の人間用の製品および動物用の製品において幅広い使用が見出されている。その目的は、例えば輸送中の、臭気の発生および生理学的活性の損失を回避するために、酸化に対して感受性の活性物質を攻撃する酸素やその他の物質から活性物質を保護することおよび製品の保存期限を延長することである。
【0003】
脂溶性活性物質をカプセル化する際に、重要かつ一般に認知された品質パラメーターは、遊離表面脂肪の含有量である。製品が実質的には遊離表面脂肪を含むような場合、例えば、多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む製品中の遊離表面脂肪の含有量が1〜2%以上である場合には、製品の品質が著しく損なわれ、製品は酸化を経て速やかに劣化する。この品質パラメーターに適合するPUFA製品は、通常、25〜30%以上の活性物質を保持できない。その上、脂溶性活性物質の含有量が増大した製品は伝統的に、親水コロイドの量も増大させて使用することにより製造しなければならない。
【0004】
Hoganらは、大豆油のエマルションで使用する際のカゼインナトリウムのマイクロカプセル化の特性を記載している(J. Agric. Food Chem. (2001) Vol 49, No. 4, pages 1934-1938)。タンパク質の重量に基づく、油/タンパク質の比の増大の影響が試験されており、油/タンパク質の比を0.25から3.0に増大させるとマイクロカプセル化の効率が段階的に減少する結果となったようである。
【0005】
Vegaらは、タンパク質に対する油の比が0.25〜5の範囲であるエマルションについて記載している(Jour. Dairy Sci. (2006) Vol. 89, No. 2, pages 383-401)。油を30%含有するエマルションにラクトースを加えると、表面脂肪は30%から5%未満に減少した。
【0006】
Vegaらは、カプセルの材料としてトレハロースまたはラクトースを含み、カゼイン塩または乳タンパク質単離物により安定化された無水乳脂肪エマルションの噴霧乾燥について記載している(Int. Dairy Jour. (2007) Vol. 17, No. 6, pages 683-695)。噴霧乾燥したエマルションについて、溶媒抽出可能な表面遊離脂肪の値が測定され、タンパク質に対する油の比が高い程、表面遊離脂肪は増大するようである。
【0007】
WO 94/01001には、油:カゼイン塩の比が約2.25:1〜2.75:1の、マイクロカプセル化した油脂製品について記載されている。得られた製品は、例えば、25%の脂肪または油を保持する。
【0008】
WO 01/74175には、60%以下のやや高めの油含有量である、カプセル化された油製品について記載されている。得られた製品は、遊離表面脂肪の含有量が高く、および/または親水コロイドの含有量が比較的高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 94/01001
【特許文献2】WO 01/74175
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Agric. Food Chem. (2001) Vol 49, No. 4, pages 1934-1938
【非特許文献2】Jour. Dairy Sci. (2006) Vol. 89, No. 2, pages 383-401
【非特許文献3】Int. Dairy Jour. (2007) Vol. 17, No. 6, pages 683-695
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、脂溶性活性物質の含有量が高く、かつ遊離表面脂肪の含有量が望ましい低さであるマイクロカプセルおよびその新規な調製方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、付随する親水コロイドの含有率の増大を回避した、脂溶性活性物質の含有量が高いマイクロカプセルを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、貯蔵安定性および輸送安定性ならびに錠剤、押出物などへとさらに加工する間の機械的強度および改善された性能を有するマイクロカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、親水コロイドおよび任意の一種以上のその他のマトリックス成分を含むマトリックスに埋め込まれた、プロビタミン、ビタミンおよびそのエステル、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、カロテノイド類ならびにベンゾキノン類から選択される少なくとも一種の脂溶性活性物質を含むマイクロカプセルに関し、ここで、活性物質の含有量はマイクロカプセルの全重量の30〜60%であり、脂溶性活性物質と親水コロイドの比は少なくとも4:1である。
【0015】
本発明はさらに、
親水コロイドおよび任意のその他のマトリックス成分の溶液または分散物を用意するステップ、
プロビタミン、ビタミンおよびそのエステル、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、カロテノイド類ならびにベンゾキノン類から選択される少なくとも一種の脂溶性活性物質を上記の溶液または分散物に加えるステップ、
得られた混合物を、マトリックス中に上記の少なくとも一種の活性物質を含む溶液または分散物が調製されるように、処理するステップ、
得られた混合物を、それぞれの粒子がマトリックスに埋め込まれた少なくとも一種の活性物質を含む粒子の塊が調製されるように、微粉化し乾燥するステップ
を含む方法であって、上記の少なくとも一種の活性物質および上記の親水コロイドを少なくとも4:1の比で使用する、マイクロカプセルの調製方法に関する。
【0016】
驚くべきことに、マイクロカプセルの調製において、親水コロイドに対する油の比が高いものを使用することにより、より多い量の脂溶性活性化合物を最終製品中に含有させると同時に遊離表面脂肪の含有率の低い状態を維持することが可能になることが見出された。例えば、製品がPUFA製品である場合には、同時に遊離表面脂肪の含有量を2%、さらには1%もの低い値に維持しながら、少なくとも30%、40%または60%の量のPUFAでさえ製品中に含ませることができる。ほとんどの場合、遊離表面脂肪の含有量は、マイクロカプセルの全重量の1%未満であり、例えば0.5%未満または0.3%、0.2% もしくは0.1%未満である。
【0017】
これまでに使用されている従来の方法によると、25〜30%以上の脂溶性活性化合物を含有させる試みでは大抵、遊離表面脂肪が望ましくない程実質的に増大する。
【0018】
本発明の方法によると、驚くべきことに、親水コロイドの量が対応して増大することなく、活性物質の量を増大させることも可能となった。使用されている従来の方法によると、活性物質をより多く含有させる試みでは、より多い量の親水コロイドを使用することも必要であった。従って、本発明のマイクロカプセルの調製のために使用される方法は費用効率が高い。
【0019】
遊離表面脂肪の量が減少すると、酸化を受け易いマイクロカプセルの表面上の遊離脂肪が少なくなるので、カプセル化効率は改善する。従って、マイクロカプセルは貯蔵中、輸送中、錠剤および押出物へのさらなる加工中または食品混合物における使用中、機械的および化学的にみて、より安定なものになる。
【0020】
本明細書中で使用される「マイクロカプセル」の語は、各々の粒子がマトリックス物質を含んでおり、そのマトリックス物質中に複数の固体微粒子もしくは液体微粒子または溶質分子が埋め込まれているような粒子を意味する。マイクロカプセルは通常、約5mmまたはそれよりも小さい平均直径、例えば、1mm〜0.05mm、0.6〜0.1mmなどの平均直径を有する。それらは、また、例えば、2mm〜0.01mm、1.5mm〜0.2mmの直径を有することもできる。
【0021】
本明細書中で使用される「分散(物)」の語は、液状媒体(例えば、水/水溶液)中に分散した液体粒子(例えば、油滴)を含む混合物を意味するエマルション、または液状媒体(例えば、水/水溶液)中に分散した固体粒子を意味する懸濁液の両方を含む。
【0022】
本明細書中で使用される「遊離表面脂肪(free surface fat)」または「遊離脂肪(free fat)」の語は、特定の条件下で、有機溶媒により容易に抽出可能である脂肪を意味する。この脂肪は酸化の影響を受け易い。遊離脂肪は、粒子表面上に、脂肪球(fat globule)として粒子表面のすぐ下に、もしくは毛細管と接触して、または既に抽出された脂肪球にほぼ接触する溶解脂肪(dissolution fat)として存在する。本発明に関連して定義される遊離表面脂肪は、実施例に記載されたように測定される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一つの実施形態において、活性物質の含有量は、マイクロカプセルの全重量の少なくとも32.5%、例えば少なくとも35%であり、少なくとも37.5%、または少なくとも40%である。マイクロカプセルの全重量の少なくとも42.5%、少なくとも45%または少なくとも47.5%であることもできる。
【0024】
その他の実施形態において、上記の脂溶性活性物質と上記の親水コロイドの比は少なくとも5:1、例えば、少なくとも6:1、少なくとも7:1または少なくとも8:1である。
【0025】
本発明のマイクロカプセルまたは本発明により調製したマイクロカプセル中に含まれる脂溶性活性物質は、物質の物理的分解および化学的分解を回避するために、貯蔵、輸送、取り扱いおよび使用の間、例えば、酸素、湿気(moisture)、光線および物理的影響から保護を必要とする物質である。さらに、これらの活性物質は化学系または生物系のいずれかにおいて活性であると考えられる。
【0026】
本発明に関連した使用に好適な活性物質は、プロビタミンおよびビタミン、例えば、ビタミンA、およびそのエステル、ビタミンEおよびそのエステル、例えば、ビタミンEアセテート、ビタミンDおよびビタミンK、例えば、ビタミンD2、ビタミンD3およびビタミンK1、一価不飽和脂肪酸ならびに、とりわけ、(n-3)脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)を含む魚油の形態で加えることができる多価不飽和脂肪酸(PUFA)、共役リノレン酸(CLA)、カロテノイド、例えば、β-カロテン、ルテイン、リコピン、β-クリプトキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチンおよびゼアキサンチン、クルクミンおよびベンゾキノン類、例えば、コエンザイムQ10(ユビデカレノン)である。
【0027】
一つの実施形態によると、脂溶性活性物質はビタミンEもしくはビタミンEアセテート、ビタミンA、ビタミンD2、ビタミンD3もしくはビタミンK1、一価不飽和脂肪酸もしくはPUFA(多価不飽和脂肪酸を含む油)、β-カロテン、リコピン、ルテインまたはコエンザイムQ10である。
【0028】
本発明のマトリックス親水コロイドは、タンパク質、例えばカゼイン塩、ホエイタンパク、乳タンパク、または加水分解物、天然多糖類および修飾多糖類ならびに天然親水コロイド、例えばアルギン酸塩、カラギーナン、ゼラチン、アカシアゴム、修飾アカシアゴム、ペクチン、修飾ペクチンまたは混合物など、任意の従来の物質であることができる。親水コロイドに好適なその他のマトリックスの例は、天然源由来の澱粉、例えば、ポテト、小麦、トウモロコシ(maize)、タピオカおよび米、または修飾澱粉、例えばオクテニルコハク酸修飾澱粉ナトリウムである。
【0029】
一つの実施形態において、親水コロイドはカゼインナトリウムまたはカゼインカリウムである。
【0030】
マイクロカプセルを調製するための本発明の方法の一つの実施形態において、上記の脂溶性活性物質と上記の親水コロイドは、少なくとも5:1または少なくとも6:1例えば、少なくとも7:1または少なくとも8:1の比で使用する。
【0031】
マトリックスは任意に、溶解炭水化物(例えば、ソルビトールおよびスクロース)および/または抗酸化物質などの別の成分を含むことができる。
【0032】
マイクロカプセルは、抗酸化物質、例えばt-ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、t-ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、EDTAもしくはその塩、トコフェロール、TBHQ、エトキシキン、没食子酸プロピル、ならびにハーブの抽出物、とりわけ、ローズマリーもしくはオレガノの抽出物;凝固防止剤、例えば、リン酸およびケイ酸三カルシウム、とりわけ二酸化ケイ素およびケイ酸アルミニウムナトリウム;可塑剤、例えば、炭水化物および糖アルコール(carbohydrate alcohols)、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、転化糖、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、タガトース、プルラン、ラフティロース(Raftilose)(オリゴフルクトース)、デキストリン、マルトデキストリン、グリセリンならびにそれらの混合物、例えば、スクロース、トレハロース、プルラン、デキストリンおよびラフティロース(Raftilose)ならびにそれらの混合物、乳化剤および界面活性剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、スクロースエステル、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドならびにそれらの誘導体、レシチンなどの、従来の添加剤をさらに含むことができる。
【0033】
粒子塊を製造するための溶液または分散物の粉砕および乾燥は、噴霧冷却、噴霧乾燥またはシート乾燥および粉砕などの任意の従来の方法で行うことができる(例えば、WO 91/06292参照)。
【0034】
本発明の方法の一つの実施形態において、微粉化し、乾燥する工程の間、コーンスターチなどの粉末剤(powdering agent)をマイクロカプセルに供給する。
【0035】
本発明はまた、本発明によるマイクロカプセルを含む製品に関する。本発明の一つの実施形態によると、この製品は食品、補助食品、飲料、医薬品または動物薬品、飼料または補助飼料、パーソナルケア製品または家庭用品である。
【0036】
本発明の方法により調製した製品は、上述のものなど様々な適用に同様に好適である。
【0037】
最後に、本発明は、活性物質を含有する錠剤またはその他の固体塊の製造のための、本発明のマイクロカプセルの使用に関する。
【0038】
本発明の方法は、以下の一般的なレシピに従って、または実施例に示した様に実行できる。
【0039】
マトリックス成分を含む、水溶性の成分を温水に加え、撹拌条件下で溶解させる。脂溶性成分を混合し、その後、水相に加え、混合物を溶液または分散物を調製するように処理する。必要であれば、溶液または分散物を従来の方法により微粉化し、乾燥する前に、適切な粘度に希釈する。
【0040】
適用できる場合には、粉末剤を微粉化および乾燥の間に、加える。
【0041】
遊離表面脂肪は、四塩化炭素、石油エーテルまたはn-ペンタンなどの好適な溶媒による最終マイクロカプセル製品からの抽出により測定する。
【0042】
ここで、以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0043】
試験方法:遊離表面脂肪の測定
原理:マイクロカプセルを石油エーテル中に分散させ、カプセル化されていない脂肪を溶解させ、カプセル化されていない脂肪の量を重量分析法により測定する。遊離脂肪は、製品の重量に対する抽出された脂肪の量として表される。
【0044】
方法:製品10.00g(±0.50g)を250mLの三角フラスコに入れる。
【0045】
石油エーテル50.0mLをフラスコに加え、数秒間振る。石油エーテルで湿らせたWhatman No.4濾紙を通して、重量を釣り合わせた100mL三角フラスコに石油エーテルの上澄み液を移す。
【0046】
別の石油エーテル50mLで手順を繰り返し、石油エーテル2x10mLでさらに繰り返す。
【0047】
最大40℃で、窒素下にて石油を完全に蒸発させ、105℃のインキュベーター中に1時間フラスコを置き、デシケーター中で放冷する。
【0048】
フラスコの重さ(グラム)を量る(小数点以下4桁)。
【0049】
以下の式により、サンプル中の遊離脂肪の含有量(%)を計算する。
【数1】

【0050】
本発明による実施例
実施例1 PUFA油:カゼイン塩の比が8:1であるPUFA製品
カゼインカリウム 389g、スクロース 1700g、アスコルビン酸ナトリウム 312gを撹拌下、65℃で水 1200mlに溶解させた。PUFA油(エイコサペンタエン酸(EPA) 60mg/gおよびドコサヘキサエン酸(DHA) 260mg/gを含む)3117gを抗酸化物質と混合し、65℃に加熱し、水溶液に加え、撹拌した。
【0051】
分散物はローター/ステータシステムで均質化し(あるいは、高圧ホモジナイザーを適用することもできる)、噴霧可能な粘度に希釈した。
【0052】
続いて、分散物を噴霧乾燥塔中で霧化し、分散粒子を澱粉の薄層で覆い、乾燥した。
【0053】
得られた乾燥粉末は以下の特徴を有した。
【0054】
PUFA油の含有量:42.0%、
遊離脂肪:0.2 %。
【0055】
実施例2 PUFA油:カゼイン塩の比が10:1であるPUFA製品
カゼインカリウム 332g、スクロース 1356g、アスコルビン酸ナトリウム 252gを撹拌下、65℃で水 1100mlに溶解させた。PUFA油(エイコサペンタエン酸(EPA) 60mg/gおよびドコサヘキサエン酸(DHA) 260mg/gを含む)3324gを抗酸化物質と混合し、65℃に加熱し、水溶液に加え、撹拌した。
【0056】
分散物はローター/ステータシステムで均質化し、(あるいは、高圧ホモジナイザーを適用することもできる)、噴霧可能な粘度に希釈した。
【0057】
続いて、分散物を噴霧乾燥塔中で霧化し、分散粒子を澱粉の薄層で覆い、乾燥した。
【0058】
得られた乾燥粉末は以下の特徴を有した。
【0059】
PUFA油の含有量:45.9%、
遊離脂肪:0.27 %。
【0060】
脂溶性活性物質/親水コロイドの比がその他の比である分散物およびマイクロカプセルを同様に調製した。結果は表1に示す。
【0061】
実施例3
PUFA油:カゼイン塩の比がその他の比であるPUFA製品を同様に調製した。結果を同表に示す。
【表1】

【0062】
比較例
比較例1 PUFA油:カゼイン塩の比が2:1であるPUFA製品
カゼインカリウム 3000g、スクロース 6000g、アスコルビン酸ナトリウム 1356gを撹拌下、65℃で水 1400mlに溶解させた。PUFA油(エイコサペンタエン酸(EPA) 60mg/gおよびドコサヘキサエン酸(DHA) 260mg/gを含む)6002gを抗酸化物質と混合し、65℃に加熱し、水溶液に加え、撹拌した。
【0063】
分散物はローター/ステータシステムで十分に均質化し、(あるいは、高圧ホモジナイザーを適用することもできる)、噴霧可能な粘度に希釈した。
【0064】
続いて、分散物を噴霧乾燥塔中で霧化し、分散粒子を澱粉の薄層で覆い、乾燥した。
【0065】
得られた乾燥粉末は以下の特徴を有した。
【0066】
PUFAの含有量:26.8%、
遊離脂肪:0.04 %。
【0067】
比較例2 PUFA油:カゼイン塩の比が3:1であるPUFA製品
カゼインカリウム 487g、スクロース 492g、アスコルビン酸ナトリウム 146gを撹拌下、65℃で水 1400mlに溶解させた。PUFA油(エイコサペンタエン酸(EPA) 60mg/gおよびドコサヘキサエン酸(DHA) 260mg/gを含む)1460gを抗酸化物質と混合し、65℃に加熱し、水溶液に加え、撹拌した。
【0068】
分散物はローター/ステータシステムで十分に均質化し、(あるいは、高圧ホモジナイザーを適用することもできる)、噴霧可能な粘度に希釈した。
【0069】
続いて、分散物を噴霧乾燥塔中で霧化し、分散粒子を澱粉の薄層で覆い、乾燥した。
【0070】
得られた乾燥粉末は以下の特徴を有した。
【0071】
PUFAの含有量:45.9%、
遊離脂肪:2.68 %。
【0072】
比較例3
PUFA油:カゼイン塩の比が3.5:1であるPUFA製品を同様に調製した。得られた乾燥粉末は以下の特徴を有した。
【0073】
PUFA油の含有量:49.4%、
遊離脂肪:13.6 %。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水コロイドおよび任意の一種以上のその他のマトリックス成分を含むマトリックスに埋め込まれた、プロビタミン、ビタミンおよびそのエステル、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、カロテノイド類ならびにベンゾキノン類から選択される、少なくとも一種の脂溶性活性物質を含むマイクロカプセルであって、前記活性物質の含有量がマイクロカプセルの全重量の30〜60%であり、前記脂溶性活性物質と前記親水コロイドの比が少なくとも4:1である、前記マイクロカプセル。
【請求項2】
活性物質がビタミンEもしくはビタミンEアセテート、ビタミンA、ビタミンD2、ビタミンD3もしくはビタミンK1、一価不飽和脂肪酸もしくはPUFA油、β-カロテン、リコピン、ルテインまたはQ10である、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
活性物質の含有量がマイクロカプセルの全重量の少なくとも35%である、請求項1〜2のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
活性物質の含有量がマイクロカプセルの全重量の少なくとも40%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
脂溶性活性物質と親水コロイドの比が少なくとも6:1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
脂溶性活性物質と親水コロイドの比が少なくとも8:1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
親水コロイドがタンパク質である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
親水コロイドがカゼイン塩、例えば、カゼインナトリウムまたはカゼインカリウムである、請求項7に記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
マトリックスが抗酸化物質および/または炭水化物をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロカプセルの調製方法であって、
親水コロイドおよび任意のその他のマトリックス成分の溶液または分散物を用意するステップ、
プロビタミン、ビタミンおよびそのエステル、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、カロテノイド類ならびにベンゾキノン類から選択される少なくとも一種の脂溶性活性物質を前記溶液または分散物に加えるステップ、
こうして得られた混合物を処理して、前記マトリックス中の前記少なくとも一種の活性物質の溶液または分散物を調製するステップ、
こうして得られた混合物を微粉化し乾燥して、各粒子が前記マトリックスに埋め込まれた前記少なくとも一種の活性物質を含む粒子塊を調製するステップ
を含んでおり、前記少なくとも一種の活性物質および前記親水コロイドを少なくとも4:1の比で使用する、前記方法。
【請求項11】
少なくとも一種の活性物質および親水コロイドを少なくとも6:1の比で使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一種の活性物質および親水コロイドを少なくとも8:1の比で使用する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロカプセルまたは請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法により製造したマイクロカプセルを含む製品。
【請求項14】
食品、補助食品、飲料、医薬品または動物薬、飼料もしくは補助飼料、パーソナルケア製品または家庭用品であることを特徴とする、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
活性物質を含有する錠剤の製造のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロカプセル、または請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法により製造したマイクロカプセルの使用。

【公表番号】特表2011−508591(P2011−508591A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538729(P2010−538729)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067887
【国際公開番号】WO2009/080702
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】