説明

脱水解砕方法、装置、及び廃材利用システム

【課題】 新たな化石燃料を用いること無く乾燥処理でき、しかも乾燥処理の際に被乾燥物が可動物に絡みついて損傷を与えることの無い脱水解砕装置を提供する。
【解決手段】 内部にその軸心方向に処理対象物を搬送するフィードスクリュー4aを備えた筒状ケーシング4bと、前記ケーシング4bの軸方向端部の出口部4cに出口側程縮径された筒状体でなる圧縮脱水処理部4dとを備え、前記圧縮脱水処理部4dと前記出口部4cとの境界部位で前記フィードスクリュー4aによる捻り力で前記処理対象物を捻り解砕するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にその軸心方向に処理対象物を搬送するフィードスクリューを備えた筒状ケーシングと、前記ケーシングの軸方向端部の出口部に出口側ほど縮径された筒状体でなる圧縮脱水処理部とを備えた脱水解砕装置、方法、及び、当該脱水解砕装置を使用した廃材利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
森林から伐採され建築資材として加工された木材は、ボイラで生成された乾き蒸気で加熱乾燥処理された後に出荷されているが、このときのボイラ燃料に化石燃料が使用されるために、製造コストが嵩むという問題があった。
【0003】
そのため、上述した木材の加工処理時に発生する樹皮(バーク)等の可燃廃棄物をボイラの燃料として使用することが考えられているが、一般に樹皮等は含水率が高く、特に秋季から冬季にかけて伐採された樹木の樹皮は加工時に濡れた地面に落下する等によって極めて含水率が高くなっているために、そのままでは有効な燃料として使用するのが困難であり、無駄に廃棄処分されていた。
【0004】
そのような含水率の高い可燃廃棄物を乾燥及び炭化処理して有価物として回収するシステムとして、流木等を破砕機で破砕処理して化石燃料を用いた熱風発生機からの熱風で乾燥させ、乾燥処理された流木片を回転炉で炭化処理する処理方法が提案されている。
【特許文献1】特許第3046776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、樹皮等の長尺物の可燃廃棄物を乾燥処理する際には、乾燥機内のリフターや攪拌羽根等の可動部に絡みついて機械を破損する虞が強く、さらには、可燃廃棄物を乾燥処理するために化石燃料により熱風を発生させると、化石燃料の低減による製造コストの低減という目的に反することになる。
【0006】
一方、樹皮等の可燃廃棄物を天日乾燥させる場合には、作業のための人件費が嵩み、天候の影響で時間が掛かるばかりでなく、十分に乾燥できない場合には補助燃料としての化石燃料が必要とされる等、経済性に劣るという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述の従来欠点に鑑み、新たな化石燃料を用いること無く乾燥処理でき、しかも乾燥処理の際に被乾燥物が可動物に絡みついて損傷を与えることの無い脱水解砕装置及び経済性に富んだ廃材利用システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明による脱水解砕方法の特徴構成は、特許請求の範囲の請求項1に記載した通り、筒状ケーシング内でその軸心方向に沿って処理対象物が圧密になるように回転搬送させながら連続的に脱水処理するとともに、搬送方向下流側で前記処理対象物に対して回転を抑止しながら圧密化する抵抗を付与し、前記抵抗を付与された領域と前記回転搬送された領域の境界領域で前記処理対象物を脱水解砕する点にある。
【0009】
上述の構成によれば、処理対象物が回転搬送されつつ圧密化されて連続的に脱水処理されながら筒状ケーシング内を搬送された後に、下流側で抵抗が付与されてその回転が抑止されると、回転部位と抑止部位とで捩れ現象が発生する。この捩れ現象により処理対象物が解砕されるとともに、さらなる脱水作用が進むようになるのである。
【0010】
本発明による脱水解砕装置の第一の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、内部にその軸心方向に処理対象物を搬送するフィードスクリューを備えた筒状ケーシングと、前記ケーシングの軸方向端部の出口部に出口側ほど縮径された筒状体でなる圧縮脱水処理部とを備えた脱水解砕装置であって、前記圧縮脱水処理部と前記出口部との境界部位で前記フィードスクリューによる捻り力で前記処理対象物を捻り解砕するように構成されている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、製材過程で生じた樹皮等の可燃廃棄物がフィードスクリューによって筒状ケーシング内で搬送される間に圧密化されて水分が絞り落とされ、さらに出口側ほど縮径された圧縮脱水処理部で上流側からフィードスクリューによって搬送される可燃廃棄物による押圧力が作用して一層の圧密化が図られるのである。しかも、フィードスクリューによってケーシング内周に沿って回転しながら搬送される可燃廃棄物と、回転することなく出口部に向けて軸芯方向に押圧されるのみの可燃廃棄物との境界部位では捻り力が作用するために、圧縮脱水されるばかりでなく、解砕処理されるようになるのである。つまり、樹皮等の長尺物であっても、当該捻り力によって短く解砕されるばかりでなく、圧縮捻り力によって細胞膜が破壊されるので、殊の外、脱水性能が向上するのである。しかも、そのように細胞膜が破壊された樹皮等は、細胞膜が正常な樹皮等に比べて乾燥効率が飛躍的に高まるのである。
【0012】
同第二の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記フィードスクリューの径方向端部が肉盛溶接されている点にある。
【0013】
樹皮等の可燃廃棄物は製材工程において地面に落下蓄積されることが多く、そのような可燃廃棄物をバックホウ等の集積機械で掻き集める際に、砂利等の固形異物が混入する可能性が高くなる。そのような異物が混入した被処理物が上述の脱水解砕装置に投入され、フィードスクリューによってケーシング内周に沿って回転搬送されると、筒状ケーシング内壁とフィードスクリューの径方向端部に固形異物が噛み込まれてフィードスクリューが損傷する虞が高くなる。このような場合には部品交換が必要となり、頻発するとメンテナンスコストが嵩むことになる。そこで、フィードスクリューの径方向端部が肉盛溶接されることによって十分な強度確保が可能となり、万一肉盛部が損傷しても十分に修理補修を行なうことができるようになるのである。
【0014】
同第三の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記筒状ケーシングと前記圧縮脱水処理部との接続部に排水口が形成されている点にある。
【0015】
処理対象物である可燃性廃棄物は、脱水処理部、特に捻り力が作用する圧縮脱水処理部と出口部との境界部位で脱水処理が進むことになり、この部位から大量の水分が絞り取られる。そのような水分がさらに上流側の被処理物に流れ込むとせっかくの脱水処理も効果が落ちるようになるという不都合を解消するものである。さらに脱水することにより、解砕がスムーズに進む。
【0016】
本発明による廃材利用システムの第一の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、廃材を脱水処理する脱水装置と、前記脱水装置により脱水処理された廃材を乾燥処理する乾燥装置と、前記乾燥装置により乾燥処理された廃材を燃料とする燃焼炉と、前記燃焼炉の排ガスの廃熱を前記乾燥装置の乾燥熱源として供給する廃熱供給装置とを備えて構成される点にある。
【0017】
上述の構成によれば、脱水装置で脱水処理された後の廃材を乾燥装置で乾燥することにより効率的に乾燥処理でき、乾燥された廃材が燃焼炉の燃料として利用でき、しかもその燃焼炉の廃熱が乾燥装置の熱源として利用できるので、化石燃料を必要としない自己完結的な経済性の高い廃材利用システムを実現することができるようになるのである。
【0018】
同第二の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記廃熱供給装置が、前記燃焼炉の排ガスを前記乾燥装置に供給する排ガス供給路と、前記排ガス供給路に送ガスする送ガスファンと、前記排ガスに空気を混入して温度調節する混気装置とを備えてなり、前記混気装置が前記排ガス供給路の上流側に設けられている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、燃焼炉からの排ガス供給路の上流側に混気装置を設けて適切な乾燥用温度に調節した後に下流側に送ガスできるので、混気装置の下流側には高価な耐熱構造を採用する必要が無くなり、設備コストを大きく低減させることができるようになるのである。
【0020】
同第三の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記排ガス供給路に排ガス中の煤塵を除去するサイクロンが設けられている点にある。
【0021】
燃焼炉で燃え上がった廃材の火の粉が激しく舞い上がり排ガス供給路を介して乾燥装置に流下すると、乾燥中の廃材が着火して事故が発生する危険が伴うが、上述の構成によれば、排ガス供給路に設けられたサイクロンによって危険な火の粉等が除去されるので、効果的にシステムの安全性を確保することができるのである。
【0022】
同第四の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記脱水装置が、上述した何れかの脱水解砕装置で構成されている点にある。
【0023】
上述した通り、前記脱水解砕装置によって脱水された樹皮等の廃材は、脱水解砕時にその細胞膜が破壊されるので、細胞膜が正常な樹皮等に比べて乾燥効率が飛躍的に高まるので、少ない熱源で効果的に乾燥処理することができるようになるのである。
【0024】
本発明による可燃廃棄物の処理方法の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、伐採木材の製材過程で生じる可燃廃棄物を脱水解砕処理する脱水解砕工程と、前記脱水解砕工程の後に乾燥処理する乾燥工程と、前記伐採木材からの製材を乾燥処理するための熱源が供給される燃焼炉の燃料として投入する燃焼工程とからなる点にある。
【0025】
上述の構成によれば、従来、廃棄されていた伐採木材の製材過程で生じる可燃廃棄物を製材乾燥用の熱源として、化石燃料に代えて有効利用できるようになるので、製材事業の経済効率も大きく改善することができるようになった。しかも化石燃料と異なり森林エネルギーを利用するものであるので、二酸化炭素排出規制の点でも効果的なものとなるのである。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した通り、本発明によれば、新たな化石燃料を用いること無く乾燥処理でき、しかも乾燥処理の際に被乾燥物が可動物に絡みついて損傷を与えることの無い脱水解砕装置及び経済性に富んだ廃材利用システムを提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明による廃材利用システム及び脱水解砕装置について説明する。廃材利用システムは、伐採木材の製材過程で生じる廃材としての可燃廃棄物を脱水解砕処理する脱水解砕工程と、前記脱水解砕工程の後に乾燥処理する乾燥工程と、前記伐採木材からの製材を乾燥処理するための熱源が供給される燃焼炉の燃料として投入する燃焼工程とからなる可燃廃棄物の処理方法において活用されるシステムで、図1に示すように、可燃性廃棄物である廃材Bを脱水処理する脱水装置4と、前記脱水装置4により脱水処理された廃材Bを乾燥処理する乾燥装置5と、前記乾燥装置5により乾燥処理された廃材Bを燃料とする燃焼炉6としてのボイラと、前記燃焼炉6の排ガスの廃熱を前記乾燥装置5の乾燥熱源として供給する廃熱供給装置7とを備えて構成される。
【0028】
上述の廃材利用システムは、製材プラントに構築されるもので、以下に詳述する。森林からの伐採木材を製材するときに発生し、地面に落下堆積した端材や樹皮(バーク)でなる可燃性の廃材Bが、ドーザー装置やバックホウ等の集積装置によって受入ヤード1に集積され、前記受入ヤード1から受入ホッパ2に投入された廃材Bは層厚規制装置30を備えた第一搬送コンベア機構3aを介して前記脱水装置4に定量供給される。
【0029】
前記脱水装置4で脱水された廃材Bは、第二搬送コンベア機構3bにより前記乾燥装置5の投入ホッパ5aに投入され、内部で加熱乾燥処理された後の廃材Bが排出フィーダ5bから排出される。乾燥された廃材Bが第三搬送コンベア機構3c及び第四搬送コンベア機構3dを介して前記燃焼炉(ボイラ)6に燃料として投入され、余剰の廃材Bは第五コンベア機構3eによってヤード8に貯留される。
【0030】
前記乾燥装置5は、図2に示すように、投入ホッパ5aに投入された廃材Bを装置の長手方向に設置された回転軸5cに沿って取り付けられたフォーク状の攪拌部材5dで攪拌しながら下流側に搬送する攪拌搬送機構と、攪拌搬送される廃材Bに対して前記廃熱供給装置7からの高温の乾燥用ガスを供給する熱風供給路5eと、装置内で乾燥に使用されたガスを排気する排気路5fを有する熱風供給機構等を備えて構成される。
【0031】
前記燃焼炉(ボイラ)6で発生した蒸気が最終製品となる製材の乾燥処理に供給され、前記燃焼炉6の排ガスは、その一部が前記廃熱供給装置7により前記乾燥装置5に乾燥用熱源として供給された後に排煙ダクト6aを経由してサイクロン6cで除塵されて大気放出される。
【0032】
前記廃熱供給装置7は、前記排煙ダクト6aの上流側に形成された分岐ダクト7aに設けられた混気装置としての吸気ダンパ7bと、吸気ダンパ7bによって外気と混気され、乾燥処理に適した温度に調節された排ガスから煤塵を除去する第一サイクロン7cと、第一サイクロン7cの下流側に設けられた吸気ファン7dを排ガス供給路7eに沿って配置して構成されている。
【0033】
前記混気装置(吸気ダンパ)7bによって外気と混気されて約200℃から900℃に達する排ガス温度が約150℃に調節された後に、約100度から150℃で前記乾燥装置5に供給される。前記混気装置7bを前記排ガス供給路7eの上流側に設けることにより、前記混気装置7bの下流側の排ガス供給路7eには高価な耐熱構造を採用する必要が無くなり、設備コストを大きく低減させることができるようになる。
【0034】
前記第一サイクロン7cは、排ガス中に巻き上がる廃材の火の粉等を除去して、火の粉が前記乾燥装置5に流下して乾燥中の廃材の着火事故を未然に防止するもので、システムの安全性を確保するものである。
【0035】
前記排煙ダクト6aには風量調節用のダンパ機構6bが設けられ、当該ダンパ機構6bにより前記乾燥装置5に供給される排ガスの風量が調整される。前記乾燥装置5の排気路5fからの排ガスは第二サイクロン7fを介して前記排煙ダクト6aに導かれて大気開放される。前記第二サイクロン7fで除去された異物は主に乾燥時に飛散した廃材Bの微粒子であるので、燃料として利用すべく前記第三搬送コンベア機構3cに戻されるように構成されている。
【0036】
以下に、前記脱水装置4について図3から図6に基づいて説明する。当該脱水装置4は、図6に示すように、内部にその軸心P方向に処理対象物である廃材Bを搬送するフィードスクリュー4aを備えた筒状ケーシング4bと、前記筒状ケーシング4bの軸方向端部の出口部4cに出口側ほど縮径された筒状体でなる圧縮脱水処理部4dとを備えて構成され、前記圧縮脱水処理部4dと前記出口部4cとの境界部位で前記フィードスクリュー4aによる捻り力で前記廃材Bを捻り解砕することで脱水と同時に解砕処理するものである。
【0037】
詳述すると、前記脱水装置4は、図3から図6に示すように、装置フレーム4fに傾斜配置された前記筒状ケーシング4bの基部に上部に開口部を備えた投入部4gが形成され、当該投入部4gから投入された廃材Bがギヤードモータ4iによって軸心P周りに回転駆動されるフィードスクリュー4aにより上方に搬送されるように構成されている。
【0038】
前記筒状ケーシング4bは搬送方向上部が先窄まりに形成されるとともに前記フィードスクリュー4aのピッチが下流側程小さくなるように、つまり、搬送量が少なくなるように構成され、以って、前記フィードスクリュー4aによって搬送されるにつれて密に圧縮されるように構成されている。前記筒状ケーシング4bの下側側壁には多数の小孔が形成され、圧縮された廃材Bから搾り取られた水分が排水される排水路4nが設けられている。
【0039】
上述の圧縮脱水処理部4dは、側壁が軸心Pに沿って4分割され、揺動自在に軸支された基端側に対して夫々の出口側が油圧機構4jによって縮径駆動または拡径駆動される圧縮爪を備えて構成されている。前記油圧機構4jによって縮径駆動された状態で前記フィードスクリュー4aから廃材が搬送されると、樹皮等の廃材Bが前記圧縮脱水処理部4dで上流側から前記フィードスクリュー4aによって搬送される廃材Bによる押圧力が作用して一層の圧密化が図られ脱水処理が一層進むのである。
【0040】
しかも、前記フィードスクリュー4aによってケーシング4b内周に沿って回転しながら搬送される廃材Bと、回転することなく前記圧縮脱水処理部4dの先に形成された排出部4hに向けて軸芯P方向に押圧されるのみの廃材Bとの境界部位では捻り力が作用するために、圧縮脱水されるばかりでなく、解砕処理されるようになるのである。
【0041】
つまり、樹皮等の長尺物であっても、当該捻り力によって短く解砕されるばかりでなく、圧縮捻り力によって細胞膜が破壊されるので、殊の外、脱水性能が向上するのである。しかも、そのように細胞膜が破壊された樹皮等では、細胞膜が正常な樹皮等に比べて乾燥効率が飛躍的に高まるのである。さらに、初期に50mmから1000mmの長さの片状の樹皮を含む廃材Bはそのような解砕処理により数十mmの長さに分断されるので、前記乾燥装置5に投入されても前記攪拌部材5dに絡み付くこと無く効率的に乾燥処理されるのである。
【0042】
即ち、筒状ケーシング内でその軸心方向に沿って処理対象物が圧密になるように回転搬送させながら連続的に脱水処理するとともに、搬送方向下流側で前記処理対象物に対して回転を抑止しながら圧密化する抵抗を付与し、前記抵抗を付与された領域と前記回転搬送された領域の境界領域で前記処理対象物を脱水解砕する脱水解砕方法が具現化されている。
【0043】
前記筒状ケーシング4bの下流側端部と前記圧縮脱水処理部4dのケーシング4oとがフランジ接続され、両フランジ部の中間に一部が欠落したリング状のシール部材を当該欠落部4mが下方に位置するように挟持してあり、以って、脱水処理で分離された水分の排水口が形成されている。
【0044】
処理対象物である廃材Bは、特に捻り力が作用する圧縮脱水処理部4dと出口部4cとの境界部位で脱水処理が進むことになり、この部位から大量の水分が絞り取られる。そのような水分がさらに上流側の被処理物に流れ込むとせっかくの脱水処理も効果が落ちるようになるという不都合を解消するように構成されている。即ち、上述の脱水装置4により脱水解砕装置が構成される。尚、当該排水口は一部が欠落したシール部材で構成されるものに限るものではなく、フランジ部またはその近傍のケーシングに開口を形成するものであってもよいし、その他の構造により形成されるものでもよい。
【0045】
また、当該脱水装置4に投入される廃材Bは、製材過程で生じ、地面に落下した廃材のようなものであるので、小石等の固形異物が混入している可能性があり、前記フィードスクリュー4aで搬送される際に前記筒状ケーシング4bとの間に固形異物が挟まり、前記フィードスクリュー4aが破損する虞がある。そこで、前記フィードスクリュー4aの径方向端部を肉盛溶接することにより強度を確保するように構成されている。このように厚肉加工されているので、仮に固形異物を挟み込んで損傷を受けても容易に補修でき、部品交換のようなコストを要するメンテナンスが不要に構成されている。
【0046】
上述の脱水装置4対する駆動制御を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。装置の電源がオンされると、前記ギヤードモータ4iを作動させてフィードスクリュー4aにより廃材Bを搬送できる状態に立ち上げるとともに、前記油圧機構4jを通常の圧力で駆動して前記圧縮爪を縮径状態に設定する(S1)。この状態で上述の脱水解砕処理が行なわれる。運転中に前記ギヤードモータ4iの電流値Iが所定の下限設定値よりも低い状態が10分続くと(S2)、筒状ケーシング4b内に廃材Bが無いと判断して装置の運転を自動停止する(S11)。
【0047】
ステップS2で電流値Iが所定の下限設定値よりも高いと判断された状態で、当該電流値Iが所定の上限設定値を超えないときまたは超えても5秒以内のときには(S3)、通常油圧で運転を続行しながらステップS2に戻り、当該電流値Iが所定の上限設定値よりも高い状態が5秒以上連続すると(S3)、前記油圧機構4jの油圧回路を減圧状態に切替えることにより、油圧シリンダの圧を下げて前記圧縮脱水処理部4dの圧縮力を低下させる(S4)。このとき前記圧縮爪が次第に拡径状態に移行する。
【0048】
油圧を減圧状態に切替えた後に前記ギヤードモータ4iの電流値Iが所定の上限設定値を超えた状態が継続すると(S5)、3秒で前記圧縮爪が完全な拡径状態に移行し(S8)、6秒経過すると(S9)、安全のため装置を停止する(S10)。
【0049】
上述のステップS5で脱水解砕処理が進むことで電流値Iが低下し、所定の下限設定値よりも小さくなると(S6)、前記油圧回路を通常の油圧に戻す(S7)。このような制御を繰り返すことにより、装置に異常な負荷をかけることなく安定した脱水解砕運転を可能としている。
【0050】
上述したように、伐採木材の製材過程で生じる廃材である可燃廃棄物を脱水解砕処理する脱水解砕工程と、前記脱水解砕工程の後に乾燥処理する乾燥工程と、前記伐採木材からの製材を乾燥処理するための熱源が供給される燃焼炉の燃料として投入する燃焼工程とからなる可燃廃棄物の処理方法が実現されるのであり、このような廃材を燃料として用いることにより、化石燃料を消費が抑制され、経済性に富んだ可燃廃棄物の処理方法が実現できるのである。
【0051】
上述のシステムで、実際に廃材を処理したときのデータを図8に示す。図8に示すように、伐採木材を製材するときに発生する50mmから1000mmの寸法で含水率が68.42%、嵩比重0.231t/mの端材や樹皮(バーク)を前記脱水装置4で脱水解砕処理すると、5mmから100mmの寸法で含水率が43.65%、嵩比重0.206t/mになり、さらに前記乾燥装置5で乾燥処理することにより、含水率が14.75%、嵩比重0.164t/mになり、燃料として使用可能な含水率30%以下を確保できることが明らかである。
【0052】
図9に示す表は、廃材を燃焼炉(ボイラ)の燃料として使用するときに、自然乾燥(天日乾燥)させる方式1と、乾燥機を用いて乾燥させる方式2と、本発明による方式の経済性を比較したものであり、その経済性が示されている。
【0053】
以下に本発明の別実施形態を説明する。先の実施形態では、乾燥装置として攪拌式の乾燥装置を使用したものを説明したが、乾燥装置はこれに限るものではなく、廃熱を利用して乾燥できるものであれば他の方式による乾燥装置を使用することも可能で、例えば、キルン方式の乾燥装置を使用することもできる。
【0054】
上述のシステムにおいて廃材の乾燥の程度は特に限定されるものではなく、燃料として使用可能な含水率30%以下を確保できれば十分である。
【0055】
上述した脱水解砕装置及び廃材利用システムで説明した各ブロックの具体的構造は特に実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明の作用効果を奏する範囲で適宜変更設計されるものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】廃材利用システムの構成図
【図2】乾燥装置の構成図
【図3】脱水装置の側面図
【図4】脱水装置の平面図
【図5】脱水装置の右側面図
【図6】脱水装置の説明図
【図7】フローチャート
【図8】廃材に対する乾燥方式による乾燥程度の比較図
【図9】廃材に対する乾燥方式別の経済性の比較図
【符号の説明】
【0057】
4:脱水解砕装置(脱水装置)
4a:フィードスクリュー
4b:筒状ケーシング
4c:出口部
4d:圧縮脱水処理部
5:乾燥装置
6:燃焼炉(ボイラ)
7:廃熱供給装置
7a:分岐ダクト
7b:吸気ダンパ
7c:第一サイクロン
7d:吸気ファン
7e:排ガス供給路
B:廃材(可燃廃棄物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケーシング内でその軸心方向に沿って処理対象物が圧密になるように回転搬送させながら連続的に脱水処理するとともに、搬送方向下流側で前記処理対象物に対して回転を抑止しながら圧密化する抵抗を付与し、前記抵抗を付与された領域と前記回転搬送された領域の境界領域で前記処理対象物を脱水解砕する脱水解砕方法。
【請求項2】
内部にその軸心方向に処理対象物を搬送するフィードスクリューを備えた筒状ケーシングと、前記ケーシングの軸方向端部の出口部に出口側ほど縮径された筒状体でなる圧縮脱水処理部とを備えた脱水解砕装置であって、
前記圧縮脱水処理部と前記出口部との境界部位で前記フィードスクリューによる捻り力で前記処理対象物を捻り解砕するように構成されている脱水解砕装置。
【請求項3】
前記フィードスクリューの径方向端部が肉盛溶接されている請求項1記載の脱水解砕装置。
【請求項4】
前記筒状ケーシングと前記圧縮脱水処理部との接続部に排水口が形成されている請求項1または2に記載の脱水解砕装置。
【請求項5】
廃材を脱水処理する脱水装置と、前記脱水装置により脱水処理された廃材を乾燥処理する乾燥装置と、前記乾燥装置により乾燥処理された廃材を燃料とする燃焼炉と、前記燃焼炉の排ガスの廃熱を前記乾燥装置の乾燥熱源として供給する廃熱供給装置とを備えて構成される廃材利用システム。
【請求項6】
前記廃熱供給装置が、前記燃焼炉の排ガスを前記乾燥装置に供給する排ガス供給路と、前記排ガス供給路に送ガスする送ガスファンと、前記排ガスに空気を混入して温度調節する混気装置とを備えてなり、前記混気装置が前記排ガス供給路の上流側に設けられている請求項4記載の廃材利用システム。
【請求項7】
前記排ガス供給路に排ガス中の煤塵を除去するサイクロンが設けられている請求項4または5記載の廃材利用システム。
【請求項8】
前記脱水装置が、請求項1から3の何れかの脱水解砕装置で構成されている請求項4から6の何れかに記載の廃熱利用システム。
【請求項9】
伐採木材の製材過程で生じる可燃廃棄物を脱水解砕処理する脱水解砕工程と、前記脱水解砕工程の後に乾燥処理する乾燥工程と、前記伐採木材からの製材を乾燥処理するための熱源が供給される燃焼炉の燃料として投入する燃焼工程とからなる可燃廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−132852(P2006−132852A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323067(P2004−323067)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】