説明

膜形成方法及び電子装置の製造方法

【課題】自由度の高いパターニング方法に用いるパターニング装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るパターニング装置は、圧力を調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続され、かつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給するノズルと、前記真空チャンバー内に設けられた、基体を保持固定するための基体ステージと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ、表示光源などとして用いられる電気光学装置の製造方法に適用可能なパターニング方法、及び膜形成方法、パターニング装置、膜形成装置、電気光学装置とその製造方法、電子機器、及び電子装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイに替わる自発発光型ディスプレイとして、発光層に有機物を用いた有機エレクトロルミネセンス素子の開発が加速している。このような有機エレクトロルミネッセンス素子の製造において、発光層形成材料などの機能性材料を所望のパターンに形成するパターニング方法は、特に重要な技術のうちの一つであるとされている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子における有機物からなる発光層の形成プロセスとしては、低分子材料を蒸着法で成膜する方法(例えば、非特許文献1参照)と、高分子材料を塗布する方法(例えば、非特許文献2参照)とが主に知られている。
カラー化の手段としては、低分子系材料を用いる場合、所定パターンのマスク越しに異なる発光色の発光材料を所望の画素対応部分に蒸着し形成するマスク蒸着法が行われている。一方、高分子系材料を用いる場合には、微細かつ容易にパターニングができることから、インクジェット法を用いたカラー化が注目されており、このようなインクジェット法による有機エレクトロルミネッセンス素子の作製について開示されたものが従来より知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
【0004】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子では、発光効率、耐久性を向上させるために、正孔注入層または正孔輸送層を陽極と発光層との間に形成することが提示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−235378号公報
【特許文献2】特開平10−12377号公報
【特許文献3】特開平11−40358号公報
【特許文献4】特開平11−54270号公報
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.51(12)、21 September 1987、p.913
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.71(1)、7 July 1997、p.34
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような有機エレクトロルミネッセンス素子などの製造においては、各種構成要素に対する材料の多様化などにより、特に材料の選択自由度を高くした新たなパターニング方法の提供が望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、材料の選択自由度を高い、新たなパターニング方法又は膜形成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明に係る膜形成方法は、ノズルから気化した材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと前記ノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る他の膜形成方法は、複数のノズルから気化した少なくとも1つの材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと前記複数のノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の膜形成方法は、複数のノズルから気化した複数の材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと前記複数のノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る他の膜形成方法は、ノズルから気化した複数の材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと前記ノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の膜形成方法は、第1ノズル及び第2のノズルからそれぞれ第1材料及び第2材料を吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体上に形成すること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の膜形成方法は、第1材料と第2材料とを第1ノズルから吐出することにより基体上に前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体上に形成すること、を特徴とする。
上記の膜形成方法において、前記膜は前記第1材料と前記第2材料とを含んでいてもよい。
上記の膜形成方法において、前記第1材料はホスト材料であり、前記第2材料はゲスト材料であってもよい。
【0012】
上記の膜形成方法において、前記第1ノズルと前記基体とを相対的に移動するステップを含むことが好ましい。
【0013】
上記の膜形成方法において、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを前記基体とを相対的に移動するステップをさらに含んていてもよい。
【0014】
また、本発明に係る他の膜形成方法は、第1材料と第2材料とを第1ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体の第1の領域に形成する第1ステップと、第1材料と第2材料とを第1ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を前記第1領域とは異なる前記基体の第2の領域に形成する第2ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の膜形成方法は 第1材料と第2材料とをそれぞれ第1ノズル及び前記第2ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体の第1の領域に形成する第1ステップと、第1材料と第2材料とをそれぞれ第1ノズル及び前記第2ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を前記第1領域とは異なる前記基体の第2の領域に形成する第2ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0016】
上記の膜形成方法において、前記第1材料はホスト材料であり、前記第2材料はゲスト材料であってもよい。
【0017】
上記の膜形成方法において、前記膜を形成する際に前記基体は0.133Pa以下の真空度である雰囲気下に配置されることが好ましい。
【0018】
上記の膜形成方法において、前記膜を形成する際に前記基体は0.00133Pa以下の真空度である雰囲気下に配置されることが好ましい。
【0019】
上記の膜形成方法において、前記ゲスト材料は、発光材料であってもよい。
上記の膜形成方法において、前記発光材料は燐光材料であってもよい。
【0020】
上記の膜形成方法を電子装置の製造方法に適用することが可能である。つまり、上記の膜形成方法は電子装置の構成要素の少なくとも1部を形成する電子装置の製造方法に適用することが可能である。
【0021】
上記の電子装置の製造方法において、前記膜は電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層、及び発光層のうち少なくともいずれか一つの少なくとも一部としてもよい。
上記の電子装置の製造方法において、前記電子装置は電気光学装置であってもよい。
【0022】
上記の目的を達成するため本発明の第1のパターニング装置は、圧力を調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続され、かつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給するノズルと、前記真空チャンバー内に設けられた、基体を保持固定するための基体ステージと、を備え、前記ノズルまたは前記基体ステージに、前記ノズルと前記基体ステージとの相対的な位置を移動させる移動機構が設けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2のパターニング装置は、圧力を調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続され、かつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給する複数のノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備え、前記複数のノズルまたは前記基体ステージに、前記複数のノズルと前記基体ステージとの相対的な位置を移動させる移動機構が設けられていることを特徴とするパターニング装置。
【0024】
上記のパターニング装置において、前記複数のノズルのうちの少なくとも二つは、同一の前記材料を吐出するようにしてもよい。
【0025】
本発明の第3のパターニング装置は、圧力を調整可能な真空チャンバーと、第1の材料供給源に接続され、かつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの第1の材料を供給する第1のノズルと、第2の第1の材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記第2の材料供給源からの第2の材料を供給する第2のノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備え、前記複数の第1のノズル、前記複数の第2のノズル、または前記基体ステージに、前記複数の第1のノズルまたは前記複数の第2のノズルと前記基体ステージとの相対的な位置を移動させる移動機構が設けられていることを特徴とする。
【0026】
上記のパターニング装置において、前記材料を加熱するための加熱手段を備えていてもよい。
【0027】
上記のパターニング装置において、前記ノズルはキャリアガス供給源に接続されていることが好ましい。
【0028】
上記のパターニング装置によれば、ノズル内より十分に低い圧力雰囲気となる真空チャンバー内に材料を吐出すれば、材料を容易にかつ安定して吐出することができる。さらに、移動機構を利用すれば、ノズルと基体との相対的な位置を移動させつつ、この材料を基体上に射出することにより、マスクを特に必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
【0029】
また、複数のノズルを利用すれば、一度に材料を配置できる領域を拡大したり、時間あたりの材料の供給量を増やしたり、あるいは異なる材料を同時に放出したりすることが可能になり、スループットの向上が図られる。
【0030】
なお、上記のパターニング装置においては、ノズルと基体との相対的な位置を制御すればより効果的である。この制御とは、例えば、ノズルの位置を基体の水平方向における位置を相対的に制御することが挙げられる。このようにすることにより、前記基体の所望の位置に膜を選択的に形成することができる。
【0031】
また、ノズルと基体との距離を制御することにより、膜を形成する領域の面積を適宜設定することができる。特に、ノズルから材料を吐出する際に分子線あるいは超音速分子噴流状態(supersonic free jet)となる場合は、材料の空間的な広がりはノズル径と特に強く正に相関し、またノズルからの距離と特に強く正に相関するため、ノズル径が一定の場合は、ノズルと基体の距離を制御することにより、ある程度正確に膜の形成の面積を決定することができる。
【0032】
また、上記のパターニング装置において、同一の材料の吐出を行うのに、少なくとも二つのノズルを利用すれば、一度に材料を配置できる領域を拡大したり、時間あたりの材料の供給量を増やしたりできる。
【0033】
逆に、上記のパターニング装置において、少なくとも二つ材料をそれぞれ異なるノズルから吐出するようにすれば、異なる複数の材料からなる膜を基体上に短時間で形成することができる。この場合、異なる複数の材料膜を所定の配列パターンで配列させたり、あるいは異なる複数の材料を混合させ、特定の機能を持たせた機能膜を基体上に形成したりすることも可能である。
【0034】
上記のパターニング装置において、材料を加熱するための加熱手段を利用すれば、加熱手段によってノズルに供給する材料を予め加熱することにより、吐出時に材料を気化させ易くすることができ、したがって比較的気化しにくい材料でも容易に気化させてパターニングを行うことができる。前記加熱手段はノズルの材料供給源側に設ければより効果的である。
【0035】
上記のパターニング装置において、材料の吐出の際にキャリアガス供給源からのキャリアガスを利用すれば、吐出量の制御や材料の所望する位置へのより確実な配置等も可能となり、より高いパターニング精度が得られる。
【0036】
本発明の第1の膜形成装置は、所定の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられて、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給するノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、前記ノズル及び前記基体ステージのうち少なくともいずれか一方を移動させる移動機構と、を備え、前記移動機構により前記ノズルと前記基体との相対的な位置を制御可能となっていること、を特徴とする。
【0037】
本発明の第2の膜形成装置は、所定の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられて、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給する複数のノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備えていること、を特徴とする。
【0038】
上記の膜形成装置において、さらに、前記複数のノズル及び基体ステージのうち少なくともいずれか一方を移動させる移動機構と、を備え、前記移動機構により前記複数のノズルと前記基体との相対的な位置を制御可能となっていてもよい。
【0039】
上記の膜形成装置において、前記所定の真空度は0.133Pa以下であることが好ましい。
本発明の第3の膜形成装置は、0.133Pa以下の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられて、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給する複数のノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備えていることを特徴とする。
【0040】
本発明の第4の膜形成装置は、圧力を調整可能な真空チャンバーと、第1の材料供給源に接続され、かつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの第1の材料を供給する複数の第1のノズルと、第2の第1の材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記第2の材料供給源からの第2の材料を供給する複数の第2のノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備えていることを特徴とする。本発明の第5の膜形成装置は、0.133Pa以下の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられ、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給するノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備え、前記ノズルは間欠的に前記真空チャンバー内に前記材料を吐出ことが可能であることを特徴とする。
【0041】
本発明の第6の膜形成装置は、所定の真空度に調整可能な真空チャンバーと、材料供給源に接続されかつ前記真空チャンバーに取り付けられて、前記真空チャンバー内に前記材料供給源からの材料を供給する複数のノズルと、基体を保持固定するための、前記真空チャンバー内に設けられた基体ステージと、を備え、前記複数のノズルの各々から吐出された材料の分子が超音速分子噴流となることを特徴とする。
【0042】
上記の膜形成装置において、ノズルと基体との相対的な位置の制御とは、例えば、前記ノズルの位置を前記基体の水平方向における位置を相対的に制御することが挙げられる。このようにすることにより、基体の所望の位置に膜を選択的に形成することができる。また、ノズルと基体との距離を制御することにより、膜を形成する領域の面積を適宜設定することができる。特に、ノズルから材料を吐出する際に分子線あるいは超音速分子噴流状態となる場合は、材料の空間的な広がりはノズル径と特に強く正に相関し、またノズルからの距離と特に強く正に相関するため、ノズル径が一定の場合は、ノズルと基体の距離を制御することにより、ある程度正確に膜の形成の面積を決定することができる。
【0043】
本発明の第1の電子装置は、上記のパターニング装置または膜形成装置を用いて作製されたことを特徴とする。
【0044】
この電子装置にあっては、前記パターニング装置を用いて作製されていることにより、そのパターニングの際、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなく選択が可能となっている。
【0045】
上記の電子装置としては、エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置やトランジスタやダイオード等の電子素子を含む装置が挙げられる。
【0046】
本発明の第1のパターニング方法は、高真空度に調整された真空雰囲気中に基体を配置し、材料供給源に接続されたノズルから前記真空雰囲気中に材料を吐出して、前記基体上に前記材料からなるパターンを形成することを特徴としている。このパターニング方法において、ノズル内より十分に低い圧力雰囲気である真空雰囲気中に材料を吐出すれば、この材料を例えば気化した状態で、かつ理想的には分子線状に吐出することができる。したがって、ノズルと基体との相対的な位置を制御しつつ、この材料を基体上に射出することにより、特にマスクを必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
【0047】
また、本発明の別のパターニング方法は、高真空度に調整された真空雰囲気中に基体を配置し、材料供給源に接続された複数のノズルのうちの少なくとも一つから前記真空雰囲気中に材料を吐出して、前記基体上に前記材料からなるパターンを形成することを特徴としている。このパターニング方法において、ノズル内より十分に低い圧力雰囲気である真空雰囲気中に材料を吐出すれば、この材料を気化した状態で、理想的には分子線状に吐出することができる。したがって、ノズルと基体との相対的な位置を制御しつつ、この材料を基体上に射出することにより、特にマスクを必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
【0048】
また、材料供給源に複数のノズルが接続されていることにより、一度に材料を配置できる領域を拡大したり、時間あたりの材料の供給量を増やしたり、あるいは異なる材料を同時に放出したりすることが可能になり、スループットの向上が図られる。
【0049】
なお、このパターニング方法においては、前記複数のノズルのうちの少なくとも二つから同一の前記材料を吐出するようにしてもよい。このようにすれば、少なくとも二つのノズルから同一の材料を放出することにより、例えば、一度に材料を配置できる領域を拡大したり、あるいは複数の領域に一度に材料を配置することが可能となり、また、時間あたりの材料の供給量を増やしたりできる。
【0050】
また、このパターニング方法においては、前記ノズルと前記基体とを相対的に移動させて、前記基体に対して前記ノズルを位置決めするようにしてもよい。
このようにすれば、複数のノズルと基体とを相対的に移動させて、基体に対して複数のノズルを位置決めすることにより、基体上の所定の位置に材料を確実に配置することができる。また、基体上の複数の位置への材料の配置も容易にできる。
【0051】
また、上記のパターニング方法においては、前記ノズルからの真空雰囲気中への材料の吐出を、該材料が真空雰囲気中で気化した状態となるようにして行うのが好ましい。理想的には、材料を分子線状に吐出することが更に好ましい。このようにすれば、材料を気化させるので特に溶媒を必要とすることなく使用することができるので、溶媒に容易に溶解しない材料でも特に制限されることなく、より確実にパターニングすることができる。
【0052】
また、上記のパターニング方法においては、前記ノズルからの材料の吐出を間欠的に行うようにしてもよい。このようにすれば、例えば連続しないパターンの形成が可能となり、したがってこの方法を例えば有機エレクトロルミネッセンス素子の製造に適用した場合に、多数の独立した画素に対して発光層等の形成材料をパターニングするといったことが容易に行えるようになる。
【0053】
また、上記のパターニング方法においては、材料を、キャリアガスに同伴させてノズルから吐出するのが好ましい。このようにすれば、例えば材料をキャリアガスに同伴させることでこれの吐出が確実になされるようになるとともに、所望する位置により確実に配置させることができ、したがってパターニングの精度を高めることができる。
【0054】
また、上記のパターニング方法においては、必要とされる真空度はノズルから吐出される材料に基本的には依存し、低沸点材料では730Torr(98000Pa)以下でも良い場合があるが、一般的な材料であれば、前記真空雰囲気を10−3Torr(0.133Pa)以下の真空度とするのが好ましく、さらに10−5Torr(0.00133Pa)以下の真空度とするのがより好ましい。真空雰囲気を10−3Torr(0.133Pa)以下にすれば、例えば吐出されにくい材料についてもこれを容易に吐出することができ、10−5Torr(0.00133Pa)以下にすれば、さらに多くの種類の材料を吐出可能にできるとともに、吐出する材料を気化させてこれを分子線状にし易くすることができる。
【0055】
本発明の第1の膜形成方法は、材料供給源に接続されたノズルから所定の真空度に調整された雰囲気中に材料を吐出して、基体の第1の領域上に前記材料を含む膜または前記材料を前駆体とする膜を形成する第1のステップと、前記ノズルから前記雰囲気中に前記材料を吐出して、前記第1の領域とは異なる第2の領域上に前記材料を含む膜または前記材料を前駆体とする膜を形成する第2のステップと、を含んでいることを特徴とする。
【0056】
上記の膜形成方法において、前記第1のステップ及び前記第2のステップを大気圧に戻すことなしに、前記所定の真空度に調整された雰囲気中で連続して行うことが好ましい。このようにすることにより、外部からの不純物の混入を低減すると同時に前記基体上の複数の領域に対応して膜を形成することができる。
【0057】
本発明の第2の膜形成方法は、材料供給源に接続された第1のノズルから真空雰囲気中に材料を吐出して、基体の第1の領域上に前記材料を含む膜または前記材料を前駆体とする膜を形成する同時に、前記材料供給源に接続された第2のノズルから前記雰囲気中に前記材料を吐出して、前記第1の領域とは異なる第2の領域上に前記材料を含む膜または前記材料を前駆体とする膜を形成すること、を特徴とする。
上記の膜形成方法により、前記基体の複数の領域上に同時に膜を形成することができるので、膜形成工程の短縮が図られる。
【0058】
本発明の第3の膜形成方法は、第1の材料供給源に接続された第1のノズルから真空雰囲気中に第1の材料を吐出して、前記基体の第1の領域上に前記第1の材料を含む膜または前記材料を前駆体とする膜を形成する同時に、第2の材料供給源に接続された第2のノズルから前記雰囲気中に第2の材料を吐出して、前記第1の領域とは異なる第2の領域上に前記第2の材料を含む膜または前記材料を前駆体とする膜を形成すること、を特徴とする。
【0059】
上記の第3の膜形成方法により、前記基体の複数の領域上に同時に異なる組成を有する膜を形成することができるので、膜形成工程の短縮が図られる。
【0060】
なお、上記の膜形成方法において、必要とされる真空度はノズルから吐出される材料に基本的には依存し、低沸点材料では730Torr(98000Pa)以下でも良い場合があるが、一般的な材料であれば、前記真空雰囲気を10−3Torr(0.133Pa)以下の真空度とするのが好ましく、さらに10−5Torr(0.00133Pa)以下の真空度とするのがより好ましい。
【0061】
本発明の電気光学装置の製造方法は、前記のパターニング方法または膜形成方法を用いて構成要素の少なくとも一部をパターニングすることを特徴としている。この電気光学装置の製造方法によれば、上述したようにノズルと基体との相対的な位置を制御しつつ、材料を基体上に塗布することにより、マスクを特に必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、溶媒に容易に溶解しない材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
【0062】
本発明の電子装置の製造方法は、前記のパターニング方法または膜形成方法を用いて構成要素の少なくとも一部をパターニングすることを特徴としている。この電子装置の製造方法によれば、前述したようにノズルと基体との相対的な位置を制御しつつ、材料を基体上に塗布することにより、マスクを特に必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、溶媒に容易に溶解しない材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
【0063】
上記の電気光学装置の製造方法においては、材料として有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送層、正孔輸送層、発光層、電極のうちの少なくとも一つの形成材料を吐出し、電子輸送層、正孔輸送層、発光層または電極をパターニングするのが好ましい。このようにすれば、電子輸送層、正孔輸送層、発光層あるいは電極の形成材料を高い自由度で選択することができ、また溶媒を使用しないでこれら電子輸送層、正孔輸送層、発光層あるいは電極を形成した場合には、溶媒などから混入する不純物量を低減することができるので、得られる素子の寿命向上化を図ることができる。
【0064】
また、上記の電気光学装置の製造方法においては、前記基体上に予め画素間を隔てる隔壁を形成しておき、該隔壁内に前記形成材料を吐出して電子輸送層、正孔輸送層、または発光層をパターニングするのが好ましい。このようにすれば、形成材料を吐出した際、その着弾位置に少々バラツキがあっても、隔壁内に着弾すれば所望の位置に発光層等を形成することができ、したがって発光層等からなる画素をそれぞれ所望位置に形成することにより、表示品質を高めることができる。
【0065】
本発明の電気光学装置は、上記の電気光学装置の製造方法によって得られてなることを特徴としている。この電気光学装置によれば、上述したように低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングされたことにより、その構成要素の少なくとも一部が形成されたものとなるため、製造に際して材料の選択自由度の高いものとなる。
【0066】
本発明の電子機器は、前記の電気光学装置を表示手段として備えてなることを特徴としている。この電子機器にあっても、特にその表示手段について、上述したように製造に際して材料の選択自由度の高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、本発明のいくつかの具体的な実施形態について説明する。
【0068】
図1は本発明のパターニング装置の概略構成を示す図であり、図1中符号1はパターニング装置である。なお、このパターニング装置1は、本発明における膜形成装置の一例ともなるものである。このパターニング装置1は、真空チャンバー2と、この真空チャンバー2に取り付けられたノズル3と、真空チャンバー2内に設けられた基体ステージ4とを備えて構成されたものである。
【0069】
真空チャンバー2は、配管5を介して真空装置6に接続されたもので、その内部空間に基体ステージ4を配設し、また被パターニング体となる基体Sの出し入れを行うためのドア(図示せず)を気密に取り付けたものである。なお、配管5は、その端部が真空チャンバー2内に開口しており、これによって後述する真空装置の作動により、真空チャンバー2内を排気して高真空雰囲気にし得るようになっている。
【0070】
真空装置6は、分子ターボポンプやロータリーポンプなどが組み合わされたことによってチャンバー2内を高真空度に調整可能となるよう構成されたものである。ここで、真空チャンバー2内は、真空装置6によって好ましくは10−3torr(1.33322×10−1Pa)以下、より好ましくは10−5torr(1.33322×10−3Pa)以下の高真空雰囲気に調整されるようになっている。真空雰囲気を10−3torr以下にすれば、例えば吐出されにくい材料についてもこれを容易に吐出することができ、10−5torr以下にすれば、さらに多くの種類の材料を吐出可能にできるとともに、吐出する材料を気化させてこれを分子線状にし易くすることができる。なお、この真空装置6については、この装置を構成するポンプの振動が真空チャンバー2内に伝播しないよう、これらポンプを真空チャンバー2から十分に離しておくか、あるいはポンプ等に除振機能を付加させておくのが好ましい。
【0071】
ノズル3は、ノズル孔3aを形成した先端側が真空チャンバー2内に配置され、その後端側が真空チャンバー2の外側にて材料供給源となる材料供給室7に接続されたもので、さらにこの材料供給室7にはキャリアガス供給源8が接続されている。材料供給室7は、パターニング材料を収納保持するためのもので、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層や電子輸送層、正孔輸送層などの形成材料を、セルやルツボなどの保持具(図示せず)に保持した状態でこれを収納するものである。この材料供給室7には、前記保持具内に保持された形成材料を加熱してこれを液化させ、あるいは気化させるための加熱手段9が設けられている。加熱手段9としては、例えば、一般的な電気ヒータやYAGレーザ、窒素レーザ、エキシマレーザ、チタンサファイアレーザ等のレーザ、高周波加熱装置などが採用可能であり、材料に応じて、すなわち常温で液体か固体か、さらにはその沸点の高さなど気化し易さの度合いに応じて適宜に選択される。
【0072】
キャリアガス供給源8は、主にヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガスをキャリアガスとして材料供給室7に圧送するものである。なお、材料によっては、これと反応する反応性ガスをキャリアガスとして材料供給室7に圧送するようにしてもよい。材料供給室7に圧送されるキャリアガスは、材料供給源7内にて液化しあるいは気化している材料を後述する吐出機構側に同伴するものである。ここで、材料供給室7内での材料の調製、すなわち材料を液体の状態にするか気体の状態にするかといった調製については、後述するノズル3の吐出機構との関係で適宜に選択され、前記加熱手段9による加熱の度合いなどが決定されるようになっている。なお、ノズル3の吐出機構によっては、キャリアガス供給源8からのキャリアガスを使用することなく、材料を真空チャンバー2内に吐出するようにしてもよい。
【0073】
ノズル3には、その先端部に吐出機構10が設けられている。この吐出機構10は、特に限定されることなく種々のタイプのものが使用可能である。例えば、一般的なメカニカルシャッターによる機構や、さらには帯電制御型、加圧振動型といった連続方式による機構、電気機械変換式(いわゆるピエゾタイプ)、電気熱変換方式、静電吸引方式といったオンデマンド方式による機構などが採用可能である。
【0074】
ここで、メカニカルシャッターによる機構とは、例えば、ノズル孔3aにシャッター(図示せず)を設けておき、これを機械的に開閉することで、キャリアガスに同伴され圧送されてきた材料を間欠的(パルス的)に吐出するようにしたものである。なお、キャリアガスを用いることなく、ノズル孔3aの外側となる真空チャンバー2内とノズル3内との圧力差により、シャッターの開閉に伴ってノズル3内の材料を自発的にノズル孔3aより吐出させるような構成としてもよい。また、材料供給室7からノズル孔3aに至る経路のうち適当な箇所にメカニカルシャッターを設けてもよく、材料供給室7の出口側に設けてもよい。
【0075】
帯電制御型とは、送られてきた材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズル孔3aから吐出させるようにしたものである。また、加圧振動型とは、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるもので、制御電圧をかけない場合に材料が直進してノズル孔3aを吐出し、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料を飛散させてノズル孔3aを通過しないようにしたものである。
【0076】
また、電気機械変換方式とは、ピエゾ素子がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出してノズル孔3aから吐出させるようにしたものである。ここで、材料を貯留する空間については、例えば材料供給室7の内部空間に連通する微小な材料貯留空間を形成するようにすればよい。
【0077】
また、電気熱変換方式とは、一般には材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるようにしたものである。なお、本発明においては、これを加熱手段として用いることができる。
静電吸引方式とは、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すようにしたものである。
【0078】
なお、これら帯電制御型、加圧振動型、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式といった各機構については、先のメカニカルシャッターによる機構を併用して用いることにより、材料の吐出制御をより確実に行うようにし、または間欠的な吐出を確実に行うようにしてもよい。
【0079】
また、キャリアガスを用いる場合には、キャリアガスの送出を制御することにより、間欠的な吐出を行うようにしてもよい。
【0080】
基体ステージ4は、前記ノズル孔3aの直下に配置されたもので、例えば後述するように有機エレクトロルミネッセンス素子等からなる電気光学装置作製用の基体Sを保持固定するものである。この基体ステージ4には、保持固定した基体Sを前記ノズル孔3aに対してX方向、Y方向及びZ方向に移動可能にする移動機構11が設けられている。すなわち、この移動機構11は、ノズル孔3aに対して基体Sをその鉛直方向(Z方向)に移動可能かつ位置決めし、基体Sとノズル孔3aとの間の距離を調整するZ可動部(図示せず)と、基体ステージ4をノズル孔3aに対して水平方向(X方向、Y方向)にそれぞれ移動させかつ位置決めするX可動部(図示せず)及びY可動部(図示せず)とを備えてなるもので、これらの可動部の動作をそれぞれ制御部(図示せず)で設定したとおりに制御できるように構成されたものである。なお、これらX可動部、Y可動部及びZ可動部は、例えばリニアモータによって構成されたものとなっている。
【0081】
また、この基体ステージ4には、その載置面側に水冷式等の温度調整手段(図示せず)が設けられており、これによって基体ステージ4上の基体Sを所望温度に調整できるようになっている。
【0082】
次に、このような構成のパターニング装置1によるパターニングを、電気光学装置の製造に適用した例について説明する。なお、ここでのパターニング装置1によるパターニングは、本発明の膜形成装置による膜形成方法の一例とすることができる。
【0083】
まず、この製造によって得られる電気光学装置について、その概略構成を説明する。図2、図3は本発明に係る電気光学装置を、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用した場合の一例を示すもので、これらの図において符号20は表示装置である。なお、この例では、特に配線としての走査線、信号線及び共通給電線を利用して、光学材料としての発光層形成材料等を前記パターニング装置1によって配置する例を示している。
【0084】
この表示装置20は、回路図である図2に示すように透明の基体上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の共通給電線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素(画素領域素)1Aが設けられて構成されたものである。信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路3が設けられている。
【0085】
一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路4が設けられている。また、画素領域1Aの各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給される第1の薄膜トランジスタ142と、この第1の薄膜トランジスタ142を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2の薄膜トランジスタ143と、この第2の薄膜トランジスタ143を介して共通給電線133に電気的に接続したときに共通給電線133から駆動電流が流れ込む画素電極141と、この画素電極141と対向電極154との間に挟み込まれる発光部140と、が設けられている。
【0086】
このような構成のもとに、走査線131が駆動されて第1の薄膜トランジスタ142がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、第2の薄膜トランジスタ143の導通状態が決まる。そして、第2の薄膜トランジスタ143のチャネルを介して共通給電線133から画素電極141に電流が流れ、さらに発光素子140を通じて対向電極154に電流が流れることにより、発光部140は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
【0087】
ここで、各画素1Aの平面構造は、対向電極や有機エレクトロルミネッセンス素子を取り除いた状態での拡大平面図である図3に示すように、平面形状が長方形の画素電極141の四辺が、信号線132、共通給電線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
次に、このような表示装置20に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法について、図4〜図6を用いて説明する。なお、図4〜図6では、説明を簡略化するべく、単一の画素1Aについてのみ図示する。
【0088】
まず、基板を用意する。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子では後述する発光層による発光光を基板側から取り出すことも可能であり、また基板と反対側から取り出す構成とすることも可能である。発光光を基板側から取り出す構成とする場合、基板材料としてはガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明なものが用いられるが、特に安価なソーダガラスが好適に用いられる。ソーダガラスを用いた場合、これにシリカコートを施すのが、酸アルカリに弱いソーダガラスを保護する効果を有し、さらに基板の平坦性をよくする効果も有するため好ましい。
【0089】
また、基板に色フィルター膜や発光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を配置して、発光色を制御するようにしてもよい。
【0090】
また、基板と反対側から発光光を取り出す構成の場合、基板は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミックス、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0091】
本例では、基板として図4(a)に示すようにソーダガラス等からなる透明基板121を用意する。そして、これに対し、必要に応じてTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成する。
【0092】
次に、透明基板121の温度を約350℃に設定して、下地保護膜の表面にプラズマCVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半導体膜200を形成する。次いで、この半導体膜200に対してレーザアニールまたは固相成長法などの結晶化工程を行い、半導体膜200をポリシリコン膜に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。
【0093】
次いで、図4(b)に示すように、半導体膜(ポリシリコン膜)200をパターニングして島状の半導体膜210とし、その表面に対して、TEOSや酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜または窒化膜からなるゲート絶縁膜220を形成する。なお、半導体膜210は、図2に示した第2の薄膜トランジスタ143のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においては第1の薄膜トランジスタ142のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、図4〜図6に示す製造工程では二種類のトランジスタ142、143が同時に作られるのであるが、同じ手順で作られるため、以下の説明ではトランジスタに関しては、第2の薄膜トランジスタ143についてのみ説明し、第1の薄膜トランジスタ142についてはその説明を省略する。
【0094】
次いで、図4(c)に示すように、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を含む導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングし、ゲート電極143Aを形成する。
【0095】
次いで、この状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、半導体膜210に、ゲート電極143Aに対して自己整合的にソース・ドレイン領域143a、143bを形成する。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域143cとなる。
次いで、図4(d)に示すように、層間絶縁膜230を形成した後、コンタクトホール232、234を形成し、それらコンタクトホール232、234内に中継電極236、238を埋め込む。
【0096】
次いで、図4(e)に示すように、層間絶縁膜230上に、信号線132、共通給電線133及び走査線(図4に示さず)を形成する。このとき、信号線132、共通給電線133及び走査線の各配線については、配線として必要な厚さに捕らわれることなく、後述するようにこれらを隔壁として機能させるべく十分に厚く形成する。具体的には、各配線を1〜2μm程度の厚さに形成する。ここで、中継電極238と各配線とは、同一工程で形成されていてもよい。このとき、中継電極236は、後述するITO膜により形成されることになる。
【0097】
そして、各配線の上面をも覆うように層間絶縁膜240を形成し、中継電極236に対応する位置にコンタクトホール(図示せず)を形成し、そのコンタクトホール内にも埋め込まれるようにITOやフッ素をドープしてなるSnO、さらにZnOやポリアニリン等の透明電極材料からなる膜を形成し、さらにこの膜をパターニングして、信号線132、共通給電線133及び走査線(図示せず)に囲まれた所定位置に、ソース・ドレイン領域143aに電気的に接続する画素電極141を形成する。
【0098】
ここで、信号線132及び共通給電線133、さらには走査線(図示せず)に挟まれた部分が、後述するように正孔輸送層や発光層の形成場所となっている。すなわち、これら配線とこれを覆う層間絶縁膜240とから、画素1A間を隔てる隔壁150が形成されているのである。
そして、このような構成のもとに、正孔輸送層や発光層の形成場所、すなわちこれらの形成材料の配置(射出)位置とその周囲の隔壁150との間には、十分な高さの段差111が形成されているのである。
【0099】
このようにして各配線からなる隔壁150を形成したら、この基板121を図1に示した真空チャンバー2内に入れ上面側を上に向けた状態で基体ステージ4上に載置し、さらにここに保持固定させる。また、必要に応じて温度調整手段(図示せず)で基体ステージ4上の基板121を所望温度に、すなわちノズル孔3aから例えば気化した状態で射出されてきた形成材料を十分に冷却して、液化あるいは固化し得る温度に調整しておく。また、予め材料供給室7内の保持具に保持させておいた正孔輸送層の形成材料を加熱手段9によって所定温度にまで加熱しておく。
【0100】
ここで、正孔輸送層の形成材料としては、特に限定されることなく公知のものが使用可能であり、例えばピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4'−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。
【0101】
なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
【0102】
このような形成材料を前述したように加熱手段9で所定温度にまで加熱したら、キャリアガス供給源8からヘリウム等のキャリアガスを材料供給室7に導入するとともに、前記吐出機構10を作動させて形成材料をキャリアガスに同伴させた状態でノズル孔3aから真空チャンバー2内に吐出させる。すると、ほぼ常圧にあるノズル3内より十分に低い圧力雰囲気である真空チャンバー2内に形成材料が吐出されることにより、図5(a)に示すようにこの形成材料は気化した状態で吐出されることになる。なお、真空チャンバー2が特に高い真空度にある理想的な場合には、形成材料が分子線状に吐出されることもある。
【0103】
したがって、制御部(図示せず)によって移動機構11の動作を制御し、これによりノズル孔3aと基板121との相対的な位置関係を予め設定したとおりに移動させることにより、この形成材料114Aを基板121上の所定位置、すなわち隔壁150に囲まれた各画素1Aの領域に所望量射出することができる。このようにして形成材料を画素1A上に射出すると、この形成材料は基板121の温度にまで冷却されることにより、液化しあるいは固化してここに固定される。このとき、吐出された形成材料114Aが基板121上にて液状となった場合には、その流動性によって水平方向に広がろうとするものの、射出された位置を囲んで隔壁150が形成されていることにより、形成材料114Aは隔壁150を越えてその外側に広がることが防止されている。
【0104】
このように吐出された形成材料114Aが基板121上にて液化した場合には、基板121を真空チャンバー2内から一旦出し、必要に応じて加熱あるいは光照射等の処理を行うことにより、図5(b)に示すように画素電極141上に、固状の正孔輸送層140Aを形成することもできる。ここで、吐出された形成材料114Aが基板121上にて固化した場合には、前記の処理を行うことなく、続けて発光層の形成を行う。なお、このような正孔輸送層140Aの形成に代えて、前記の銅フタロシアニン(CuPc)等を用いて正孔注入層を形成するようにしてもよい。
また、特に正孔輸送層140Aの形成に先立って正孔注入層を画素電極141側に形成し、さらに正孔輸送層140Aを形成するのが好ましい。このように正孔注入層を正孔輸送層140Aとともに形成することにより、駆動電圧の上昇を制御することができるとともに、駆動寿命(半減期)を長くすることもできる。
【0105】
次いで、先の正孔輸送層(及び/又は正孔注入層)の形成材料の場合と同様にして、図5(c)に示すようにパターニング装置1により発光層の形成材料114Bを基板121上に吐出(射出)し、これによって図6(a)に示すように発光層140Bを形成する。発光層の形成材料114Bとしては、特に限定されることなく、低分子の有機発光色素や高分子発光体、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質からなる発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン構造を含むものが特に好ましい。低分子蛍光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。
【0106】
発光層の形成材料として高分子発光材料を用いる場合には、側鎖に発光基を有する高分子を用いることができるが、好ましくは共役系構造を主鎖に含むもので、特に、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリアリーレンビニレン、ポリフルオレンおよびその誘導体が好ましい。中でもポリアリーレンビニレンおよびその誘導体が好ましい。該ポリアリーレンビニレンおよびその誘導体は、下記化学式(1)で示される繰り返し単位を全繰り返し単位の50モル%以上含む重合体である。繰り返し単位の構造にもよるが、化学式(1)で示される繰り返し単位が全繰り返し単位の70%以上であることがさらに好ましい。
【0107】
【化1】

【0108】
〔ここで、Arは、共役結合に関与する炭素原子数が4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環化合物基、R、R'はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20の複素環化合物、シアノ基からなる群から選ばれた基を示す。〕
該高分子発光材料は、化学式(1)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、芳香族化合物基またはその誘導体、複素環化合物基またはその誘導体、およびそれらを組み合わせて得られる基などを含んでいてもよい。また、化学式(1)で示される繰り返し単位や他の繰り返し単位が、エーテル基、エステル基、アミド基、イミド基などを有する非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよい。
【0109】
ポリアリーレンビニレン類としては、例えば、式(2)に示したような、PPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))、MO−PPV(ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレンビニレン))、CN−PPV(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)))、MEH−PPV(ポリ[2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキシルオキシ)]−パラ−フェニレンビニレン)等のPPV誘導体などが挙げられる。
【0110】
【化2】

【0111】
前記に示した材料以外に、例えば、ポリ(パラフェニレン)、ポリアルキルフルオレン等が挙げられるが、化学式(3)に示すようなポリアルキルフルオレン(具体的には化学式(4)に示すようなポリアルキルフルオレン系共重合体)が特に好ましい。
【0112】
【化3】

【0113】
【化4】

【0114】
なお、前記高分子発光材料は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。発光の量子収率の高い高分子発光材料を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。また、ここで形成する有機EL素子は、薄膜からの発光を利用することから、高分子発光材料は固体状態で良好な発光量子収率を有するものが用いられる。
【0115】
前記の材料のうち、発光層を形成する際の温度において液状の材料、あるいは所望の溶媒に対して良好な溶解性を示す材料を、インクジェット法などの液体材料を用いた発光層の形成に用いることができる。該溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが好適に用いられる。高分子発光材料の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1wt%以上溶解させることができる。
【0116】
また、前記高分子発光材料としては、分子量がポリスチレン換算で10〜10であることが好ましい場合もあるが、分子量10以下のオリゴマーも使用することができる。
【0117】
なお、ここではインクジェット法に代えて本発明のパターニング方法または膜形成方法を用いることもできる。
【0118】
所望の高分子発光材料に応じた合成法を採用することにより、当該所望の高分子発光材料を得ることができる。例えば、アリーレン基にアルデヒド基が2つ結合したジアルデヒド化合物と、アリーレン基にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物とトリフェニルホスフィンとから得られるジホスホニウム塩からのWittig反応が例示される。また、他の合成法としては、アリーレン基にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物からの脱ハロゲン化水素法が例示される。さらに、アリーレン基にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物のスルホニウム塩をアルカリで重合して得られる中間体から熱処理により該高分子発光材料を得るスルホニウム塩分解法が例示される。
【0119】
さらに具体的に、前記高分子発光材料の1つの例であるアリーレンビニレン系共重合体の合成法を説明する。例えば、Wittig反応により高分子発光材料を得る場合には、例えば、まず、ビス(ハロゲン化メチル)化合物、より具体的には、例えば2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジブロミドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成し、これとジアルデヒド化合物、より具体的には、例えば、テレフタルアルデヒドとを、例えばエチルアルコール中、リチウムエトキシドを用いて縮合させるWittig反応により、フェニレンビニレン基と2,5−ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン基を含む高分子発光材料が得られる。このとき、共重合体を得るために2種類以上のジホスホニウム塩および/または2種類以上のジアルデヒド化合物を反応させてもよい。
【0120】
【化5】

【0121】
これらの高分子発光材料を発光層の形成材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、合成後、例えば、再沈精製、クロマトグラフなどによる分別等の精製処理をすることが望ましい。高分子材料の溶解性の低い材料の場合など、例えば、対応する前駆体を塗布した後、化学式(5)に示すように加熱硬化されることによって発光層を得ることができるものがある。例えば、ポリフェニレン−ビニレンが発光層を構成する高分子発光材料である場合、対応する前駆体のスルホニウム塩を発光層となる部位に配置した後、加熱処理することによりスルホニウム基が脱離し、ポリフェニレン−ビニレン(PPV)を得ることができる。ここで、このような材料を本発明に用いる場合、前記の前駆体を本発明のパターニング方法または膜形成方法によってパターニングしてから加熱処理してポリフェニレン−ビニレンとしてもよく、また、前駆体を加熱処理して得られたポリフェニレン−ビニレンを本発明のパターニング方法または膜形成方法によってパターニングするようにしてもよい。
【0122】
つまり、発光層、電子輸送層、正孔輸送層等、種々の機能層を形成する際、当該機能層を構成する材料を、本発明のパターニング方法あるいは膜形成方法により直接パターニングすることも可能であり、当該機能層の前駆体となる材料をパターニングすることも可能である。
【0123】
発光層を形成し得る低分子材料としては、可視域の発光を示す物質ならば、基本的に使用可能である。中でも芳香族系の置換基を有する材料が好適である。例えば、アルミキノリノール錯体(Alq3)やジスチリルビフェニル、さらに化学式(6)に示すBeBqやZn(OXZ)等の従来より一般的に用いられているものに加え、ピラゾリンダイマー、キノリジンカルボン酸、ベンゾピリリウムパークロレート、ベンゾピラノキノリジン、ルブレン、フェナントロリンユウロピウム錯体等が挙げられる。
【0124】
前記に代表される高分子材料及び低分子材料から、青色、緑色、及び赤色の発光を示す材料を適宜選択し、所定の位置に配置すればカラー表示が可能である。所定の位置に配置する際は、マスク蒸着法や印刷法も採用可能であるが、本発明のパターニング方法または膜形成方法を用いるのがより好ましい。
【0125】
【化6】

【0126】
発光層を、媒質として機能するゲストにホストを分散させた、いわゆるホスト/ゲスト型発光層とすることもできる。ホスト/ゲスト型発光層において、当該発光層の発光色を決定するのは、基本的にはゲスト材料であるので、所望の発光色に応じてゲスト材料を選択することができる。一般には、効率良く発光をなす材料が用いられる。ホスト材料は、基本的には、ゲスト材料の発光に関与する励起状態の準位より高いエネルギー準位を有する材料がホスト材料として好適である。キャリアの移動度が高い材料であることも要求される場合があるが、その場合は、上述の高分子発光材料の中から選択することもできる。
【0127】
青色発光を示すゲスト材料としては、例えば、コロネン類、ジスチリルビフェニル類などが挙げられ、緑色発光を示すゲスト材料としては、例えば、キナクリドン類、ルブレン類、などが挙げられ、赤色発光を示すゲスト材料としては、蛍光色素としては、赤色発光を示すゲスト材料としては、例えば、ローダミン類が挙げられる。
【0128】
ホスト材料は、ゲスト材料に応じて適宜選択することができる。数例を挙げれば、ホスト材料及びゲスト材料を、それぞれ、Zn(OXZ)及びコロネンとした発光層を形成することにより青色発光を示す発光層が得られる。
ゲスト材料としては燐光材料も使用することができる。例えば、化学式(7)に示すIr(ppy)、Pt(thpy)、PtOEPなどが好適に用いられる。
【0129】
【化7】

【0130】
なお、前記の化学式(7)に示した燐光物質をゲスト材料とした場合、ホスト材料としては、例えば、化学式(8)に示すCBP、DCTA、TCPB、あるいはAlq3などが好適に用いられる。
【0131】
ホスト/ゲスト型発光層は、本発明の方法を採用する場合、例えば以下の方法で形成される。
第1の方法としては、予め所定の比率で混合したホスト/ゲスト材料を形成しておき、これをノズル孔から吐出する。
第2の方法としては、異なる材料供給室にそれぞれホスト材料とゲスト材料とを格納しておき、それぞれの材料供給室へのキャリアガスの流量を適宜に設定することで吐出するホスト材料とゲスト材料との量比を調整し、または、材料供給室のノズル孔側に設けたバルブを調整することで基体上に吐出するゲスト材料とホスト材料の量比を調整し、その状態で基体上に吐出する。
さらに、適当な媒質に発光を担う材料を添加するドープ型の発光層も有用であり、したがってこのようなドープ型の発光層の形成材料も当然使用可能である。
【0132】
【化8】

【0133】
このようにして各画素1Aの正孔輸送層140A上に発光層140Bを形成したら、これら正孔輸送層140A、発光層140Bの場合と同様にして、パターニング装置1により電子輸送層の形成材料を基板121上に吐出(射出)し、図6(b)に示すように電子輸送層140Cを形成する。電子輸送層の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。
【0134】
なお、前述した正孔輸送層140Aの形成材料や電子輸送層140Cの形成材料を発光層140Bの形成材料に混合し、発光層形成材料として使用してもよく、その場合に、正孔輸送層形成材料や電子輸送層形成材料の使用量については、使用する化合物の種類等によっても異なるものの、十分な成膜性と発光特性を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決定される。通常は、発光層形成材料に対して1〜40重量%とされ、さらに好ましくは2〜30重量%とされる。
ここで、このようにして形成する正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cの膜厚については、予めノズル孔3aからの吐出量を適宜に設定しておくことにより、好ましい厚さ(例えば65nm)に形成する。なお、吐出量の調整については、ノズル孔3aの内径やキャリアガスの流量を適宜に設定しておくことなどによって行うことができる。また、水晶式膜厚モニターを用いたり、発光強度や吸光強度等の分光学的データをモニターすることにより、最適な膜厚(適宜厚さ)となるように制御してもよい。
【0135】
その後、図6(c)に示すように、透明基板121の表面全体に、あるいはストライプ状に対向電極154を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子を得る。このような対向電極154については、もちろんAl、Mg、Li、Caなどの単体材料やMg:Ag(10:1合金)の合金材料からなる1層で形成してもよいが、2層あるいは3層からなる金属(合金を含む。)層として形成してもよい。具体的には、LiO(0.5nm程度)/AlやLiF(0.5nm程度)/Al、MgF/Alといった積層構造のものも使用可能である。
【0136】
なお、本例では画素電極141、対向電極154のいずれについても従来法によって形成しているが、これら電極についても、本発明のパターニング装置1によって形成するようにしてもよい。すなわち、インジウム錫酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの透明電極(陽極)や、Al/Ca等の積層構造などによる陰極についても、本発明のパターニング装置1によって形成することができる。
【0137】
また、前記の正孔注入層(図示せず)、正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cに加えて、ホールブロッキング層を例えば発光層140Bの対向電極154側に形成して、発光層140Bの長寿命化を図ってもよい。このようなホールブロッキング層の形成材料としては、例えば化学式(9)に示すBCPや化学式(10)で示すBAlqが用いられるが、長寿命化の点ではBAlqの方が好ましい。
【0138】
【化9】

【0139】
【化10】

【0140】
また、本例では各材料を気化させた状態で真空チャンバー2内に吐出させているが、真空チャンバー2内の真空度や加熱手段9による加熱の度合い等を調整することにより、材料を例えば霧状、ミスト状のような液体として吐出させてもよく、さらにはヒューム状に吐出させるようにしてもよい。
【0141】
このようなパターニング装置1による正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cのパターニング方法にあっては、それぞれの形成材料をノズル3から真空雰囲気中に吐出することによってこれらの材料を例えば気化した状態で吐出するので、この材料を基板上に射出することにより、マスクを用いることなくパターニングを行うことができる。また、各形成材料を気化させて射出した場合、特に溶媒を必要とすることなく使用することができる。よって、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングし、正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cを形成することができる。
【0142】
また、各形成材料の吐出を間欠的に行っているので、それぞれが独立した多数の画素1aに対して、正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cのパターニングを容易に行うことができる。
【0143】
また、各形成材料をキャリアガスに同伴させてノズル孔3aから吐出するようにしているので、材料の吐出を確実に行うことができるとともに、所望する位置により確実に配置させることができ、したがってパターニングの精度を高めることができる。
【0144】
また、このようなパターニング装置1にあっては、前記のパターニング方法を実施できることから、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができ、したがって正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cの形成についてもその材料の選択を高い自由度で行うことができる。また、材料を気化させた状態で吐出(射出)してパターニングするので、特に溶媒を必要とすることなく各形成材料を用いることができ、したがって例えば得られた有機エレクトロルミネッセンス素子を用いてなる電気光学装置が、溶剤に起因して寿命が短くなってしまうといった不都合を回避することができる。
【0145】
また、材料供給室7に、材料を加熱するための加熱手段9を設けているので、この加熱手段9によって材料を加熱することにより、吐出時での材料の気化をより容易になさせることができ、したがって比較的気化しにくい材料でも確実に気化させてパターニングを行うことができる。
【0146】
また、材料供給室7に、キャリアガス供給源8を設けているので、分子線状に吐出した材料をキャリアガスに同伴させることで、所望する位置により確実に配置させることができ、したがってパターニングの精度を高めることができる。
【0147】
また、このようなパターニング装置1によるパターニング方法を用いた電気光学装置の製造方法にあっても、前述したように低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができ、したがって正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cの形成についてもその材料の選択を高い自由度で行うことができる。また、材料を気化させた状態で吐出(射出)してパターニングするので、特に溶媒を必要とすることなく各形成材料を用いることができ、したがって得られた有機エレクトロルミネッセンス素子を用いてなる電気光学装置が、溶剤に起因して寿命が短くなってしまうといった不都合を回避することができる。
【0148】
なお、前記パターニング装置1では、真空チャンバー2にノズル3を一つ取り付けた例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、ノズル3を複数取り付けた構成としてもよい。また、多数のノズル3を備えたヘッドを取り付けてもよい。
【0149】
図7(a)は、真空チャンバー2にノズル3を三つ取り付けた例を示す模式図であり、この例では、三つのノズル3‥が同じ材料供給室7に接続されている。このような構成とすることにより、三つのノズル3‥から同一の材料を基体Sに向けて放出することができ、したがって一度に材料を吐出し配置できる領域を拡大したり、時間あたりの材料の供給量を増やしたりしてスループットの向上を図ることができる。
【0150】
図7(b)は、真空チャンバー2に取り付けた三つのノズル3‥を、それぞれ異なる材料供給室7a、7b、7cに接続した例を示す模式図である。このような構成とすることにより、三つのノズル3‥からそれぞれ異なる材料を基体Sに向けて放出することができ、したがって三つの異なる材料によって基体S上にパターニングを行うことができる。例えば、前述の有機エレクトロルミネッセンス素子における発光層を基体上に形成する場合、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の各色に対応する発光層形成材料をそれぞれ異なるノズルから放出することにより、各色に対応する発光層を所定の配列パターンで基体上に形成することが可能となる。
【0151】
また、本発明では、ノズル3を複数設けた場合に、これらノズル3を同一の物体にまとめて設け、この物体を真空チャンバー2に取り付けるようにしてもよい。図8(a)〜(d)に、前記複数のノズル3を設ける物体としての吐出ヘッド12の構成例を模式的に示す。
【0152】
図8(a)に示した吐出ヘッド12は、単一の材料供給室7に接続されたものとなっている。また、材料供給室7から供給された材料は、吐出ヘッド12内で分岐して各ノズル3に送られるようになっている。
【0153】
図8(b)に示した吐出ヘッド12は、単一の材料供給室7に接続されたものとなっている。また、材料供給室7から供給された材料は、吐出ヘッド12に入る前に分岐され、吐出ヘッド12内では分岐されることなくそのまま各ノズル3に送られるようになっている。この例では、吐出ヘッド12内での分岐によるエネルギー損失の不均一をなくし、各ノズル3間での材料の吐出をより均一に行うことができるようになる。
【0154】
図8(c)に示した吐出ヘッド12は、異なる複数の材料供給室7a、7b、7cに接続されている。また、各材料供給室7a、7b、7cから供給された材料は、吐出ヘッド12に設けられた複数のノズルのうち、予め対応付けられた所定のノズルに送られるようになっている。
【0155】
図8(d)に示した吐出ヘッドは複数(12a、12b、12c)からなり、それぞれが異なる材料供給室7a、7b、7cに個別に接続されている。こうした吐出ヘッド12の構成やその材料の供給経路は、使用する材料に応じて適宜定められる。なお、吐出ヘッド12に設けられた複数のノズル3は、吐出機構10(図1参照)によってその材料吐出のタイミングが個々に制御されるようになっている。
【0156】
このようにしてノズル3を複数設けたパターニング装置によれば、一度に材料を吐出し配置(パターニング)できる領域を拡大することができ、したがって時間あたりの材料の供給量を増やしたり、あるいは異なる材料を同時に吐出したりすることができ、これによりスループットの向上を図ることができる。
【0157】
また、複数のノズル3と基体Sとを相対的に移動させて、基体Sに対して複数のノズル3を個々に位置決めできるようにすれば、基体S上の所定の位置にいずれのノズル3からも材料を確実に配置することができる。
【0158】
また、複数のノズル3にそれぞれ異なる材料供給室7a、7b、7cを接続しておけば、基体S上に異なる材料を吐出し配置する場合に、単に動作させるノズル3を切り替えるだけで、真空チャンバー2から基体Sを出し入れすることなく容易に異なる材料のパターニングを行うことができる。
【0159】
なお、三つ以上のノズル3を設けた場合に、全部のノズル3から同一の材料を吐出させ、あるいは全部のノズルから全て異なる材料を吐出させるよう構成する必要は特にはなく、三つ以上のノズル3のうち二つ以上から同一の材料を吐出させるようにし、かつ少なくとも二つのノズル3については異なる材料を吐出させるように構成してもよい。
【0160】
このようにすれば、前述したスループットの低減効果と、真空チャンバー2から基体Sを出し入れすることなく容易に異なる材料のパターニングを行うことができるといった効果を共に奏することができる。
【0161】
前記の単一あるいは複数のノズル3を有するパターニング装置1によって各種の構成要素をパターニングすることにより、本発明の電子装置、例えば有機エレクトロルミネッセンスなどの電気光学装置や、トランジスタやダイオードなどの電子素子を含む電子装置を作製することができる。
【0162】
このようにして作製された電子装置にあっては、前記パターニング装置1を用いて作製されていることにより、そのパターニングの際、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなく選択が可能となっている。
【0163】
図9は、前記パターニング装置1によるパターニングを、電気光学装置の製造に適用した場合の他の例について示す図であり、すなわち、本発明に係る電気光学装置を、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたパッシブマトリクス型の表示装置に適用した場合の一例を示すものである。なお、図9(a)は複数の第1のバス配線300と、これに直交する方向に配設された複数の第2のバス配線310との配置関係を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)のB−B線断面図である。なお、図2〜図6に示した例と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。また、製造工程等も先の例と同様であるため、その図示及び説明は要略する。
【0164】
すなわち、本例にあっては、発光部140が配置される所定位置を取り囲むようにして、例えばSiO等の絶縁膜320からなる隔壁150が配設されていて、これにより所定位置とその周囲との間に、段差111が形成されている。このような構成の表示装置にあっても、先の例と同様に正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cの形成材料として、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。したがって、これら正孔輸送層140A、発光層140B、電子輸送層140Cの形成について、その材料の選択を高い自由度で行うことができる。また、特に溶媒を必要とすることなく各形成材料を用いることができることから、得られた有機エレクトロルミネッセンス素子を用いてなる電気光学装置が、溶剤に起因して寿命が短くなってしまうといった不都合を回避することができる。
【0165】
なお、前記例では発光層140Bの下層として正孔輸送層140Aを形成し、上層として電子輸送層140Cを形成したが、本発明はこれに限定されることなく、例えばこの正孔輸送層140Aと電子輸送層Cのうちの一方のみを形成するようにしてもよく、また、前述したように正孔輸送層140Aに加えて正孔注入層を形成するようにしてもよい。
【0166】
また、前記例では画素1A間を隔てる隔壁150を、信号線132、共通給電線133及び走査線と、これを覆う層間絶縁膜240とから形成し、あるいは絶縁膜320によって隔壁150を形成したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば樹脂ブラックレジストなどによって隔壁を形成してもよく、さらには隔壁を設けることなく正孔輸送層や発光層を形成するようにしてもよい。
次に、前記例の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた電気光学装置が備えられた電子機器の具体例について説明する。
【0167】
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、500は携帯電話本体を示し、501は図2、図3に示した表示装置を備えたエレクトロルミネッセンス表示部(表示手段)を示している。
【0168】
図10(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(b)において、600は情報処理装置、601はキーボードなどの入力部、603は情報処理本体、602は前記の図2、図3に示したエレクトロルミネッセンス表示部(表示手段)を示している。
【0169】
図10(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(c)において、700は時計本体を示し、701は前記の図2、図3に示したエレクトロルミネッセンス表示部(表示手段)を示している。
【0170】
図10(a)〜(c)に示す電子機器は、前記電気光学装置が備えられたものであるので、優れた表示品質が得られる表示手段を備えた電子機器となる。
【0171】
以上説明したように本発明のパターニング方法によれば、ノズル内より十分に低い圧力雰囲気である真空雰囲気中に材料を吐出するので、この材料を例えば気化した状態、かつ理想的には分子線状に吐出することができる。したがって、ノズルと基体との相対的な位置を制御しつつ、この材料を基体上に射出することにより、特にマスクを必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、溶媒に容易に溶解しない材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
また、本発明の別のパターニング方法によれば、前記パターニング方法による効果に加え、特に材料供給源に複数のノズルが接続されていることにより、一度に材料を配置できる領域を拡大したり、時間あたりの材料の供給量を増やしたり、あるいは異なる材料を同時に放出したりすることができ、したがってスループットの向上を図ることができる。
【0172】
また、本発明の膜形成方法および膜形成装置によれば、外部からの不純物の混入を低減すると同時に前記基体上の複数の領域に対応して膜を形成することができ、または膜形成工程の短縮を図ることができる。
【0173】
本発明のパターニング装置によれば、ノズル内より十分に低い圧力雰囲気となる真空チャンバー内に材料を吐出することにより、この材料を容易にかつ安定して吐出することができる。したがって、移動機構によってノズルと基体との相対的な位置を移動させつつ、材料を基体上に射出することにより、マスクを必要とすることなくパターニングを行うことができ、また材料を気化させるので特に溶媒を必要とすることなく使用することができる。よって、溶媒に容易に溶解しない材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。
【0174】
また、本発明の別のパターニング装置によれば、前記パターニング装置による効果に加え、特にノズルを複数備えてなることにより、一度に材料を配置できる領域を拡大したり、時間あたりの材料の供給量を増やしたり、あるいは異なる材料を同時に放出したりすることができ、したがってスループットの向上を図ることができる。
【0175】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、前述したようにノズルと基体との相対的な位置を制御しつつ、材料を基体上に塗布することにより、マスクを必要とすることなくパターニングを行うことができる。よって、低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングすることができる。また、特に材料として有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送層、正孔輸送層、発光層、電極のうちの少なくとも一つの形成材料を吐出し、電子輸送層、正孔輸送層、発光層または電極をパターニングするようにすれば、電子輸送層、正孔輸送層、発光層あるいは電極の形成材料を高い自由度で選択することができ、また溶媒を使用しないでこれら電子輸送層、正孔輸送層、発光層あるいは電極を形成した場合に、得られる素子の寿命向上化を図ることができる。
【0176】
本発明の電気光学装置によれば、前述したように低分子系材料でも高分子系材料でも特に制限されることなくパターニングされたことにより、その構成要素の少なくとも一部が形成されたものとなるため、製造に際して材料の選択自由度の高いものとなる。
【0177】
本発明の電子機器にあっても、特にその表示手段について、前述したように製造に際して材料の選択自由度の高いものとなる。
本発明の電子装置とその製造方法によれば、前記パターニング装置を用いて作製されていることにより、そのパターニングの際、溶媒に容易に溶解しない材料でも特に制限されることなく選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】は本発明のパターニング装置の一例の、概略構成を示す側面図である。
【図2】は本発明の電気光学装置の配置部を示す回路図である。
【図3】は図2に示した電気光学装置における画素部の平面構造を示す拡大平面図である。
【図4】(a)〜(e)は図2、図3に示した電気光学装置の製造方法を工程順に説明するための要部側断面図である。
【図5】(a)〜(c)は図4に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図6】(a)〜(c)は図5に続く工程を順に説明するための要部側断面図である。
【図7】は複数のノズルと材料供給源との接続例を模式的に示す図である。
【図8】は複数のノズルが設けられた吐出ヘッドの構成例を模式的に示す図である。
【図9】は本発明の電気光学装置の他の例を説明するための図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図10】はエレクトロルミネッセンスディスプレイが備えられた電子機器の具体例を示す図であり、(a)は携帯電話に適用した場合の一例を示す斜視図、(b)は情報処理装置に適用した場合の一例を示す斜視図、(c)は腕時計型電子機器に適用した場合の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0179】
1パターニング装置
2真空チャンバー
3ノズル
3aノズル孔
4基体ステージ
6真空装置
7材料供給室(材料供給源)
8キャリアガス供給源
9加熱手段
10吐出機構
11移動機構
20表示装置
121透明基板
140A正孔輸送層
140B発光層
140C電子輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから気化した材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと
前記ノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項2】
複数のノズルから気化した少なくとも1つの材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと
前記複数のノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項3】
複数のノズルから気化した複数の材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと
前記複数のノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項4】
ノズルから気化した複数の材料と吐出し、基体上に膜を形成する第1のステップと
前記ノズルと前記基体を相対的に移動する第2のステップと、を含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項5】
第1ノズル及び第2のノズルからそれぞれ第1材料及び第2材料を吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体上に形成すること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項6】
第1材料と第2材料とを第1ノズルから吐出することにより基体上に前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体上に形成すること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の膜形成方法において、
前記膜は前記第1材料と前記第2材料とを含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の膜形成方法において、
前記第1材料はホスト材料であり、
前記第2材料はゲスト材料であること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項9】
請求項5乃至9のいずれかに記載の膜形成方法において、
前記第1ノズルと前記基体とを相対的に移動するステップを含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項10】
請求項5に記載の膜形成方法において、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルを前記基体とを相対的に移動するステップをさらに含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項11】
第1材料と第2材料とを第1ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体の第1の領域に形成する第1ステップと、
第1材料と第2材料とを第1ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を前記第1領域とは異なる前記基体の第2の領域に形成する第2ステップと、を含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項12】
第1材料と第2材料とをそれぞれ第1ノズル及び前記第2ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を基体の第1の領域に形成する第1ステップと、
第1材料と第2材料とをそれぞれ第1ノズル及び前記第2ノズルから吐出することにより前記第1材料と前記第2材料とを含む膜または前記第1材料及び前記第2材料の少なくともいずれか一つを前駆体とする膜を前記第1領域とは異なる前記基体の第2の領域に形成する第2ステップと、を含むこと、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の膜形成方法において、
前記第1材料はホスト材料であり、
前記第2材料はゲスト材料であること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の膜形成方法において、
前記膜を形成する際に前記基体は0.133Pa以下の真空度である雰囲気下に配置されること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれかに記載の膜形成方法において、
前記膜を形成する際に前記基体は0.00133Pa以下の真空度である雰囲気下に配置されること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項16】
請求項8又は13に記載の膜形成方法において、
前記ゲスト材料は、発光材料であること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項17】
請求項16に記載の膜形成方法において、
前記発光材料は燐光材料であること、
を特徴とする膜形成方法。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載の膜形成方法を用いて構成要素の少なくとも1部を形成すること、
を特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の電子装置の製造方法において、
前記膜は電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層、及び発光層のうち少なくともいずれか一つの少なくとも一部となること、
を特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の電子装置の製造方法において、
前記電子装置は電気光学装置であること、
を特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−183143(P2006−183143A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343370(P2005−343370)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【分割の表示】特願2003−529820(P2003−529820)の分割
【原出願日】平成14年9月12日(2002.9.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】