説明

自動アナライザで使用済みの反応キュベットを選択的に洗浄する方法

使用済みの反応キュベットを浄化する方法であって、或る評価分析が反応キュベット内で実施されることになっているかまたは実施されていたときにはいつでも、多数の洗浄マニホルド、乾燥マニホルドを設けることによってキュベットに自動的に付加的な清掃作業を行うようになっており、洗浄マニホルド、乾燥マニホルドの各々が独立して選択的に起動して清掃作業を実施したり、実施しなかったりするようになっている方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿、血清、血漿、脳脊髄液などのような患者の生物学的流体を自動的に処理する方法および装置に関する。特に、本発明は、次に実施される評価分析の内容を考慮して分析システムにおける使用済みの反応キュベットを洗浄する別の方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
患者の感染部、体液または膿瘍部のサンプルの分析測定によって患者の診断および治療に関連した種々タイプの検査を実施できる。このような患者サンプルは、代表的には、サンプル・バイアルに入れられ、バイアルから抽出され、特殊な反応キュベットまたは反応チューブ内で種々の試薬と混ぜ合わされ、インキュベートされ、分析され、患者の治療の助けとする。代表的な臨床化学分析では、1つまたはそれ以上の分析試薬を、別々の時刻に、既知の濃度を有する液体サンプルに添加し、このサンプルと試薬の組み合わせを混合してインキュベートする。検査用測定、濁度または蛍光または吸収の読み取り等を行って終末点値またはレイト値を確定し、この値から周知の較正技術を使用して被検物質量を決定できる。
【0003】
サンプルの化学的、免疫化学的、生物学的な検査のためには種々の公知の臨床アナライザが利用できるが、分析臨床技術は、今、分析レベルの向上を迫られている。報告可能な結果当たりのコストを減らすよう臨床検査室への圧力が高まっていることにより、自動臨床アナライザの総コストパフォーマンスの向上が絶えず必要である。特に、ありとあらゆる反応評価分析に必要とされる消耗品またはそのコストを減らすという観点からサンプル分析のコスト効率を向上させることが絶えず必要である。
【0004】
報告価値のある結果当たりのコストを確実に減らす一因は、最初の反応が終了し、次の反応評価分析に移る前に洗浄または清掃した反応キュベットで反応評価分析を繰り返し実施できるかどうかにある。しかしながら、多くのこのような清掃システムで見過ごされていることは、洗浄技術が清掃した使用済みのキュベットを未使用のキュベットの清潔度まで戻すことが十分にできないということにある。したがって、前の反応評価分析からの試薬残留物が洗浄した反応キュベットに残る可能性がある。或る種の非常に敏感な評価分析では、前の反応評価分析からの或る種の試薬残留物が浄化済みの反応キュベットに存在する場合には結果が不正確になる可能性がある。1つの解決策は、単に新しい評価分析毎に新しい反応キュベットを使用するということであるが、これは、反応キュベットを洗浄、再利用することによって報告価値のある結果当たりのコストを低下させたいという願望に反するものである。
【0005】
米国特許第5,741,461号が、アナライザが作動し始めたときに清掃位置とサンプル添加位置との間に装填した複数の反応キュベットのうちの任意の反応キュベットを清掃すべきかどうかサンプル添加に先立って判断する手段を有するサンプル分析システムを開示している。
【0006】
米国特許第5,679,309号が、試薬が第1、第2の反応物添加ポイントで目標キュベットへ添加されたときに洗浄ポイントに第1、第2の洗浄して完全になるキュベット(wash complement cuvettes:洗浄補完キュベット)を位置させる自動分析装置を開示している。ひとたび洗浄補完品(wash complements)が決定されたならば、アナライザがこれらの補完品を洗浄指定キュベットの在庫と比較する。第1の補完品が洗浄を指定されたならば、コントローラが、第1の洗浄補完キュベットを同時かつ日和見的に洗浄しながら第1添加ポイントでの目標キュベットへの反応物添加を行えるように反応回転コンベヤを割り出し、そこに止めおく。第1の洗浄補完キュベットが洗浄の準備が整っておらず、第2の洗浄補完キュベットが洗浄の準備が整っている場合には、アナライザは、第2の洗浄補完キュベットを同時にかつ日和見的に洗浄しながら第2の反応物添加ポイントで目標キュベットに反応物を添加できるように反応回転コンベヤを割り出し、そこに止めおく。第1、第2いずれもの洗浄補完キュベットが洗浄の準備が整っていなければ、洗浄は行われず、アナライザは目標キュベットを第1の反応物添加ポイントに割り出し、そこに止めおき、反応物を添加させる。
【0007】
米国特許第6,027,691号が、(1)ランダム・アクセス分析ステーション内でキュベット洗浄サイトに配置されたキュベットを洗浄するために液体洗浄源からの加圧洗浄液をキュベット洗浄ステーション・プローブに供給すること、(2)キュベット洗浄ステーション・プローブの内部チャンバへ負圧を加えて、分析サイトでランダム・アクセス分析ステーション内に配置されたキュベットから廃液を取り出し、この廃液を廃棄サイトに移送することを交互に行うためのキュベット洗浄ステーション・プローブ供給・廃棄アセンブリを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動臨床アナライザにおける技術状態についての上記の説明から明らかなように、評価分析処理効率を高めることについてはかなりの発展があったけれども、評価分析の質を犠牲にすることなくアナライザにおいて反応キュベットを浄化、再利用する方法についての要望はまだ満たされていない。特に、本発明は、キュベット内で次に実施されるべき評価分析が非常に感度の高いまたは「例外的な」評価分析であると決定された場合にキュベットを選択的に洗浄するようにマルチストール(multi-stall)多段洗浄ステーションを作
動させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主目的は、或る「例外的な」評価分析が反応キュベットで次に実施されるようにスケジュールに組み込まれているときはいつでも、使用済みの反応キュベットが自動的に付加的な浄化作業または清掃作業を受けるように自動アナライザで使用済みの反応キュベットを浄化するのに適した自動洗浄ステーションを提供することにある。ここで用いる「清掃、浄化」という用語は洗浄、すすぎ洗い、乾燥を含む。使用済みの反応キュベットを選択的に清掃するというこの目的は、多数の洗浄マニホルド、乾燥マニホルドを設け、これらのマニホルドの各々が、この反応キュベットで次に実施するようにスケジュールに入れられた評価分析に依存して清掃作業を実施するか、実施しないか独立して選択的に起動するようにすることによって一部達成される。さらに、洗浄ステーションは、或るキュベットにおける生化学反応からのバイオハザード廃棄残留物を或るキュベットにおける化学反応からの化学廃棄残留物から分離するように作動させられる。洗浄ステーションの別の特徴は、キュベット内へ乾燥ブーツを確実に完全挿入するようになっているが、キュベットが乾燥スケジュールに組み込まれておらず、キュベット内へ乾燥ブーツを挿入しないことになっているときはいつでも自動的に離脱するようになっている「ブレークアウェイ」磁気クランプである。以下、洗浄された使用済みのキュベットは「清掃済みキュベット」と呼び、「新しいキュベット」という用語は評価分析を以前行わなかったキュベットを意味する。アナライザは、代表的には、評価分析反応キュベットを保持し、円形方向に段階的に移動する円形の回転可能な評価分析反応回転コンベヤを含み、この段階的な移動は静止状態の停止時間で分けてあり、この停止時間中に、洗浄ステーションが洗浄、乾燥作業を行って反応キュベットを清掃できる。本洗浄ステーションを有利に使用できるアナライザは、代表的には、センサのような個々に評価分析デバイスが設けてある複数の在来の評価分析作業ステーション、試薬添加ステーション、混合ステーション、分離ステーション、測定ステーションなどを有する。以下、添付図面を簡単に説明する。
【0010】
図1は、本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
図2は、図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
図3は、図1のアナライザで使用できる自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの立面透視図である。
図4は、図1のアナライザで使用できるアリコート容器アレイの立面透視図である。
図5は、図1のアナライザで使用できる代表的な反応キュベットの斜視図である。
図5Aは、図5の反応キュベットの側壁を示す断面図である。
図6は、本発明の自動洗浄ステーションの正面透視図である。
図7は、図6の自動洗浄ステーションの平面図である。
図8は、明確化のためにマニホルドを除いた本発明の自動洗浄ステーションの正面三測図である。
図9は、図6の洗浄ステーションで役に立つ洗浄プローブの斜視図である。
図10は、図6の洗浄ステーションで役に立つ乾燥プローブの斜視図である。
図10Aは、ソレノイドと係合した図10の乾燥プローブの斜視図である。
図10Bは、図10の乾燥プローブで役に立つ乾燥ブーツの斜視図である。
図11は、図6の洗浄ステーションで役に立つ洗浄マニホルドの断面図である。
図12は、図6の洗浄ステーションで役に立つ乾燥マニホルドの断面図である。
図12Aは、図6の洗浄ステーションで役に立つ廃棄物マニホルドの断面図である。
図13は、図6の洗浄ステーションで役に立つブレークアウェイ機構の断面図である。
図14は、図6の洗浄ステーションの或る特別な実施形態の平面図である。
【0011】
図1は、図2と共に、本発明を有利に実行できる自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート20を形成した外側キュベット回転コンベヤ14と、容器ポート22を形成した内側キュベット回転コンベヤ16とを支持している反応回転コンベヤ12を含む。外側キュベット回転コンベヤ14と内側キュベット回転コンベヤ16は開放溝18によって分離されている。キュベット・ポート20は、在来の臨床評価分析および免疫測定評価分析のための種々の試薬およびサンプル液を収容している複数の反応キュベット24を受け入れるようになっている。一方、容器ポート22は、超高感度発光免疫測定専用の試薬を収容している複数の反応容器25を受け入れるようになっている。反応回転コンベヤ12は、一定方向に段階的に移動するように回転可能であり、この段階的移動は一定の停止時間によって分けてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12は静止状態に保たれ、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどのコンピュータ制御式評価分析操作デバイス13が、必要に応じて、キュベット24内に収容されている評価分析混合物に作用する。
【0012】
アナライザ10は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.の販売しているDimension(R)臨床化学アナライザで使用されており、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって広く使用されているような機械語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータ15で実行されるソフトウェアにより制御される。コンピュータ15は、アナライザ10内の種々の分析手段17によって行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムも実行する。
【0013】
温度制御される試薬保管領域26、28が、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号09/949,132に記載されているように、複数の細長い多区画試
薬カートリッジ30を格納しており、これらの試薬カートリッジは、所与の評価分析を実施する必要に応じてウェル32内に試薬を収容している。
【0014】
入力レーン34Aおよび出力レーン34Bを有する双方向装入・送出サンプル・チューブ移送システム36が、試験しようとしている検体液を収容し、サンプル・チューブ・ラック42内に装着された個々の装入サンプル・チューブ40を液体サンプル採取アーム44のサンプル採取円弧内へ移送する。サンプル・チューブ40に収容された検体液は、その上に取り付けられたバーコード記号を在来のバーコードリーダを用いて読み取ることにより識別され、項目の中でも特に患者の身元、実施されるべき検査、サンプル・アリコートをアナライザ10内に保持すべきかどうか、またその場合にどのくらいの期間保持するのかという諸点を決定する。また、サンプル・チューブ・ラック42上にバーコード記号を設け、アナライザ10全体にわたって据え付けた多数の在来のバーコードリーダを使用してサンプル・チューブ40およびサンプル・チューブ・ラック42の位置を確認、制御、追跡することもよく行われている。
【0015】
サンプル採取アーム44は、回転可能シャフト48に装着された液体サンプル採取プローブ46を支持しており、サンプル採取アーム44の動きは、サンプル・チューブ移送システム36および図3に示すようなアリコート容器アレイ移送システム50を横切る円弧を描く。サンプル採取アーム44は、サンプル・チューブ40から液体サンプルを吸い込み、必要な評価分析を実施するのに必要なサンプルの量に応じて図4に示すようにアリコート容器アレイ52に設けた複数の容器52Vのうち1つまたはそれ以上にアリコート・サンプルを分配し、アナライザ10によって、環境室38内に保持されるべきサンプル・アリコートを提供するように作動可能である。
【0016】
アリコート容器移送システム50は、アリコート容器アレイ保管・分配モジュール56と、反応回転コンベヤ12に接近して設置したサンプル吸引・分配アーム54の下方にある多数のアリコート容器アレイ・トラック57内でアリコート容器アレイ52を双方向に移動させるようになっている多数のリニア駆動モータ58とを含む。サンプル吸引・分配アーム54は、コンピュータ15によって制御され、在来の液体プローブ54Pを使用してトラック57内のサンプル採取位置に位置した個々の容器52Vから制御した量のサンプルを吸引し、次いで、液体プローブ54Pを分配位置に移動させるようになっており、この分配位置において、適量の吸引サンプルをキュベット・ポート20にある1つまたはそれ以上のキュベット24に分配し、1つまたはそれ以上の被検物質についてアナライザ10が検査を行う。サンプルが反応キュベット24に分配された後、在来の移行手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ移送システム50、環境室38、廃棄領域(図示せず)間でアリコート容器アレイ52を動かす。
【0017】
それぞれ一対の在来型液体試薬プローブ60P、62Pを含む多数の試薬吸引・分配アーム60、62が、独立して装着してあり、それぞれ、試薬保管領域26、28間で移動可能となっている。プローブ60P、62Pは、試薬添加位置で適切な試薬カートリッジ30にあるウェル32から指定評価分析を行うのに必要な試薬を吸引する在来の機構を含む。その後、プローブ60P、62Pは、試薬が反応キュベット24に分配される試薬分配位置に動かされる。多数の試薬カートリッジ30は、試薬保管領域26、28内部の制御された環境条件で保管される。高い評価分析処理量を維持する際の鍵となる要因は、試薬保管領域26、28内部の試薬カートリッジ30をプローブ60P、62Pによって、アクセスできるように試薬添加位置まで迅速かつ正確に往復動させる能力である。
【0018】
反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63が、それぞれ、外側キュベット回転コンベヤ14および内側容器回転コンベヤ16に接近して設置してあり、たとえば摺動シュート65を使用して、後に説明するように反応キュベット24を横向きにキュベット・ポート20に装填し、また、反応容器25を容器ポート22に装填するようになっている。操作に当たって、評価分析を最終的に行った使用済みのキュベット24は本発明の洗浄ステーション67で洗浄され、乾燥させられる。本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/318,804に開示されているような理由のために他の指示がない限り、以降の評価分析が清掃された使用済みのキュベット24で行われる。キュベット取り出しステーション59が、再び装填ステーション61、63に示すような移動可能なロボットアーム65を使用してキュベット・ポート20から使用不可な反応キュベット24を取り出すようになっている。
【0019】
図5は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,436に記載されているような反応キュベット24の外観等角図である。この反応キュベットは、内壁面に沿った液体ウィッキングを阻止する特徴を有する。その結果、反応キュベット24の外面上の望ましくない汚染物質の存在を最小限に抑え、洗浄ステーション67での洗浄効率を向上させる。図5、5Aに示す反応キュベット24は、2つの相互に対向した側壁72に対して直角で、これらの側壁を分離している相互に対向した前壁、後壁70を備えるほぼ矩形ボックス状の部分24として形成してもよい。湾曲した底面75によって閉ざされたほぼ矩形の下方部分74が開口部77を有する開口頂部76を支持している。キュベット24の対向している側部には一対の突出している出張り78が形成してあり、各出張りには自動取り扱いを容易にするラッチ用隆起79が形成してある。図5Aでわかるように、側壁72の厚さ「a」は下方部分74内でほぼ均一であるが、下方部分74と頂部分76との間にあり、全体的に底面75から頂部開口77までの距離の約40%のところに位置する、破線80で示す接合部から徐々に減少する。ウィッキング防止フィレット82が滑らかな移行部として形成してあり、前後壁70と側壁72の交差部を効果的にブレンドする。図5Aでわかるように、側壁72の壁厚「a」は、その約75%の値「b」まで滑らかに減少し、その後、「a」の約60%の値「c」まで滑らかに減少する。こうして、キュベット24の内部寸法は、開口部77のところの値から破線80のところの値までゆっくりと減少し、後述するように図10Bに示す乾燥ブーツの挿入を容易にする。前後壁70も同じ理由から同じように形作られる。
【0020】
使用済みのキュベット24は、図6に示すように、本発明のキュベット洗浄ステーション67によって自動的に清掃される。洗浄ステーション67は、多数の洗浄マニホルド84と、多数の乾燥マニホルド86と、多数の廃棄物マニホルド88とを含む。洗浄マニホルド84および乾燥マニホルド86は、それぞれ、図8において最も良くわかるように、対応する数の洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pと流体連絡している。図8において、洗浄マニホルド84、乾燥マニホルド86および廃棄物マニホルド88は図示を明確にするために取り除いてある。図8は、洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pを、湾曲した垂直方向スライド92によって垂直方向に移動可能であるものとして示している。このスライドは、スリーブ91内に自由に配置したカラー90と、湾曲スライド92に装着したスリーブ91とを含む。湾曲スライド92は、固定モータ94に取り付けてあり、固定ポスト98(図8)に沿って湾曲スライド92の支持部分96を垂直方向に移動させるようになっている。よく見ると、モータ94は湾曲スライド92を垂直方向に昇降させるようになっており、それによって、洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pがスリーブ91内に自由に配置されている限り、洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pを昇降させる。図7、9、10でわかるように、洗浄マニホルド84および乾燥マニホルド86の各々が、さらに、洗浄プローブ・ソレノイド84Sおよび乾燥プローブ・ソレノイド86Sのそれぞれと組み合わせてある。洗浄マニホルド84および乾燥マニホルド86は、固定ソレノイド装着レール93に連結した湾曲板92Aに装着してある。
【0021】
本発明の鍵となる特徴は、個々の洗浄プローブ・ソレノイド84Sおよび乾燥プローブ・ソレノイド86Sを錠止部分84L、86Lのそれぞれが個々の洗浄プローブ84P、乾燥プローブ86Pの凹所84R、86R(図9、10A)内へ係合するように独立して選択的に起動させるということにある。その結果、ソレノイド84S、86Sの係合時に、個々の洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pを選択的に上方非作動位置に保持し、または、ソレノイド84S、86Sの非係合時に、湾曲スライド92をモータ94によって下降させたときに作動位置へ自由に下降させることができる。図10Aがこの特徴を示しており、そこでは、乾燥プローブ・ソレノイド86Sが乾燥プローブ86Pの側面にある凹所86R内に係合しており、スリーブ91が下降位置にある。しかしながら、係合した乾燥ソレノイド86Sのために、乾燥プローブ86Pがその上方非作動位置に留められ、カラー90(固定してあるが)がスリーブ91に対して「上方へ」垂直方向に変位させられる。図10Aにおいて、湾曲スライド92は図示の明確化のために省略してあるが、本明細書の読者には理解できるように、スライド92にスリーブ91が取り付けてあるため、スライド92を昇降させるモータ94の作動で、乾燥ソレノイド86Sが凹所86Rに係合していない限り、乾燥プローブ86Pも昇降させる。洗浄プローブ84Pも同様にスライド92に取り付けてあり、その結果、スライド92を昇降させるモータ94の作動で、洗浄ソレノイド84Sが図9に示すように凹所84Rに係合していない限り、洗浄プローブ84Pも昇降する。
【0022】
スライド92は、外側キュベット回転コンベヤ14の曲率半径に一致するように湾曲している。その結果、反応キュベット24を保持しているキュベット・ポート20は、洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pの直ぐ下に位置する。さらに、洗浄プローブ84P、乾燥プローブ86P間の半径方向距離は、隣り合ったキュベット・ポート20間の半径方向距離の倍数に一致しており、キュベット・ポート20直ぐ上方に洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pの結合アレイを創り出す。モータ94によって湾曲スライド92がその最上方位置に位置させられたとき、洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pの最下方部分が、キュベット・ポート20内の反応キュベット24の頂部開口77上方に位置させられる。その逆に、湾曲レール92がモータ92によってその最下方位置に下降させられ、洗浄プローブ・ソレノイド84Sおよび乾燥プローブ・ソレノイド86Sが係合していないときには、洗浄プローブ84Pおよび乾燥プローブ86Pは、自由に下降し、キュベット・ポート20内の反応キュベット24の底面75直ぐ上方に位置決めされる。
【0023】
図9は、さらに、洗浄プローブ84Pを脱イオン水に清掃用洗剤のパルス流(pulsed stream)または洗浄マニホルド84から脱イオン水をすすぎ洗いするパルス流を供給するための洗浄管路84Wを含むものとして示している。洗浄管路84Wは、洗浄しようとしているキュベット24内に伸びる最下方部分と、洗浄プローブ84Pから洗浄マニホルド84内に伸び、洗浄マニホルド84の最下方部分のところで洗浄マニホルド84から出る上方部分とを有する。図11において、洗浄マニホルド84が、洗浄チューブ84Wに連続的な経路を与え、そして、脱イオン水清掃用洗剤あるいはすすぎ洗い用脱イオン水の源87に外部接続していることが理解できる。
【0024】
洗浄プローブ84Pは、さらに、洗浄しようとしているキュベット24内に伸びる最下方部分を有する真空管路84Vと、洗浄プローブ84Pから洗浄マニホルド84内に伸び、洗浄マニホルド84の最下方部分のところで洗浄マニホルド84から出る上方部分とを有する。真空管路84Vの場合、図11に示すように、洗浄マニホルド84を貫く経路は、洗浄マニホルド84を出る前にインライン・フィルタ84Fおよびインライン・リレー弁84Dがあり、そして、真空源89に接続している。リレー弁84Dは、真空管路84Vを開閉して、キュベット24内へ延びる真空管路84Vの最下方部分に真空源89を直接接続したり、そこから遮断したりすることができるように作動する。キュベット24での代表的な全洗浄作業としては、(A1)生物学的廃棄物および無害な化学廃棄物を運び去るようになっている廃棄物ドレン管路67Cへ真空管路84Vによって、反応廃棄物を吸引させるために洗浄プローブ84Pを用いて後述する或るシリーズのミニ洗浄を行う作業、(A2)洗浄チューブ84Wによる脱イオンまたは洗剤水の給送、(A3)異なった吸引、給送回数を繰り返す作業がある。最後の給送後、水または洗剤が反応キュベット24内に残る。さらに、(B)脱イオン水での多くのシリーズのミニ洗浄を引き続いて行う作業、(C)乾燥プローブ86Pで反応キュベット24を乾燥させる作業がある。
【0025】
洗浄ステーション67の重要な特徴は、図6、7に示すように、洗浄マニホルド84と洗浄プローブ84Pの間の位置でホース85によって廃棄物マニホルド88を洗浄マニホルド84に接続することにある。このとき、所望ならば、特に、洗浄しようとしている反応キュベット24が潜在的に有害な化学物質を収容してしまっていた場合には、1回目のシリーズのミニ洗浄において、廃棄物マニホルド88を使用して反応キュベット24から洗浄プローブ84Pの真空管路84Vの頂部分を通してホース85へ、そして、廃棄物マニホルド88へ潜在的に有害な廃棄物を吸引させることができる。図12Aでわかるように、廃棄物マニホルド88は、フィルタ88Fおよびリレー弁88Dを含む洗浄マニホルド84と基本的に同じである。ただし、潜在的に有害な廃棄物をホース85からチューブ67Hを通って安全保管部88Kに通じる経路は別となる。この実施形態では、上記の初期洗浄工程(A1〜A3)は、廃棄物マニホルド88によって行われ、潜在的に有害な廃棄物は安全保管部88Hに放出される。それと対照的に、評価分析が生物学的廃棄物および無害な化学廃棄物のみを発生し、潜在的に有害な物質を発生しない場合には、上記初期洗浄工程(A1〜A3)は、洗浄マニホルド84によってのみ行われ、そして、真空管路84Vは、生物学的廃棄物および無害な化学反応廃棄物を生物学的廃棄物・無害な化学廃棄物の安全な保管部84Cに送る。
【0026】
図10、12に示す乾燥マニホルド86は、乾燥しようとしているキュベット24内に伸ばすことができる最下方部分と、乾燥プローブ86Pから乾燥マニホルド86内に伸び、その最下方部分から出る上方部分とを有する真空管路86Vを含むものとして乾燥プローブ86Pを示している。真空管路86Vの場合、図12に示すように、乾燥マニホルド86を通る経路は、乾燥マニホルド86を出る前にインライン・フィルタ86Fおよびインライン・リレー弁86Dを含み、そして真空源89に接続されている。リレー弁86Dは真空管路86Vを開閉するように作動可能であり、その結果、キュベット24内に延びている真空チューブ86Vの最下方部分に真空源89を直接接続したり、そこから分離したりすることができる。乾燥マニホルド86および洗浄マニホルド84は、場合により、真空管路86Vまたは84Vのそれぞれに取り付けてあり、その中の減圧を測定してたとえば部分的に詰まった真空管路を検出するようになっている圧力トランスデューサ86Tまたは84Tを含む。
【0027】
乾燥プローブ86Pの最下方部分は、外面86B−ESに側部隆起86B−SRおよび側方開口部86B−LOを設けた乾燥ブーツ86B(図10B)で終り、側部隆起86Bおよび側方開口部86B−LOは、乾燥プローブ86の真空チューブ86Vを真空源98に接続するようにリレー弁86Dが開き、ブーツ86Bがキュベット24内に挿入されたときはいつでもブーツ86Bまわりに乾燥プローブ86からのナイフ様の乾燥用空気の流れを発生させるように作用する。真空源98およびリレー弁86Dは、乾燥プローブ86Pがキュベット24内へ下降させられ、キュベット24から取り出された後に2、3秒不活動とされる前に作動可能である。ひとたびブーツ86Bがキュベット24の底に触れたならば、乾燥プローブ86Pは、場合により、やや上昇させられてから再び底まで下降させられてキュベット24内部に閉じ込められた水を除去する。乾燥ブーツ86Bの副次的な特徴は、意図的に、乾燥ブーツ86Bが非常に小さいクリアランスを持ってまたはやや締まりばめでキュベット24に嵌合して乾燥ナイフ効果の有効性を最大にするような寸法となっている。このような締りばめのために、ブーツ86Bをキュベット24内に完全に挿入するために克服されなければならない抵抗を乾燥プローブ86Pの下降動作に与えることができる。この抵抗を克服するために、乾燥プローブ86Pは、さらに、カラー90内の磁石部分86Mおよびスライド92内の強磁性部分86FMを含む「ブレークアウェイ」磁石を含む。図10A、13に最も良く示すように、ばね95がスライド92に向ってカラー90にバイアスをかけており、ソレノイド86Sが乾燥プローブ86に係合しておらず、スライド92がモータ94によって下降させられたときにはいつでも、乾燥プローブ86が、磁石部分86M、強磁性部分86FM間の磁気反発力に対応する付加的なばね負荷力を持って乾燥しようとしているキュベット24内へ下降させられる。対照的に、スライド92がモータ94によって下降させられたときに乾燥プローブ86が下降させられることがないようにソレノイド86Sが乾燥プローブ86内に係合したときはいつでも、磁石部分86M、強磁性部分86FM間の磁力が打ち勝ち、磁石部分86Mと強磁性部分86FMが自動的に分離する。
【0028】
上記の説明からわかるように、本発明の鍵となる特徴は、(a)外側キュベット回転コンベヤ14が階段的に回転するとき洗浄プローブ84Pまたは乾燥プローブ86Pをキュベット・ポート20にある反応キュベット24内へ独立して選択的に下降させる能力、(b)乾燥しようとしている反応キュベット24内へ下降されつつある乾燥プローブ86Pに付加的なばねバイアス力(spring-biased force)を与えてブーツ86Bが完全に反応キュベット24に挿入されるようにする能力、(c)洗浄マニホルド84に接続した廃棄物マニホルド88を選択的に起動して、その結果、ある洗浄マニホルドを効果的にバイパスし、評価分析からの潜在的に有害な廃棄物を生物学的廃棄物および無害な化学反応廃棄物から分離できる能力、(d)乾燥用空気のナイフ様の流れを発生するように作用する側部隆起86B−SRおよび側方開口部86B−LOをその外面に有する乾燥ブーツ86Bにある。評価分析の報告可能な結果当たりのコストを減らすという理由のために、使用済みの反応キュベット24をキュベット洗浄ステーション67で洗浄し、以降の反応評価分析で再利用すると有利である。アナライザ10内での評価分析処理量を高めるという理由のために、反応キュベット24を充分に洗浄するのにかかる時間、リソースを最少限にするのが望ましい。しかしながら、すべての評価分析反応残留物のすべての痕跡を1回または2回の洗浄作業できれいに除去でき、キュベット24に4回の浄化作業(3シリーズのミニ洗浄(以下の表1にしめす工程1、2、3)とそれに続く乾燥)を行うことによってキュベット24に残っている評価分析反応残留物を1ppm未満まで除去できることがわかった。さらに、キュベット内の評価分析反応残留物を3回の浄化作業(2シリーズのミニ洗浄(以下の表1における工程4および5)とそれに続く乾燥)で10ppm未満まで減らすことができることがわかった。本発明の鍵となる利点は、第1グループの評価分析におけるある評価分析を使用済みではあるが清掃済みの反応キュベットで次に実施するようにスケジュールが組んであるときはいつでも、使用済みの反応キュベットに対して自動的に付加的な清掃作業を行えるようにアナライザ10において使用済みの反応キュベットを清掃する能力にある。この利点を達成するためには、4回の浄化作業で或る使用済みの反応キュベット24を選択的に清潔にするように洗浄ステーション67を作動させると同時に、第2グループの評価分析におけるある評価分析を或る反応キュベット24で次に実施するようにスケジュールが組んであるときにはいつでも、その反応キュベット24を3回の浄化作業だけで選択的に清掃する。これらのシリーズのミニ洗浄では、反応キュベット24が表2に示す浄化作業で表1に示すように約500μLの液体を収容できる場合には近似した体積の洗浄水またはすすぎ洗い水の注入を含む。ここで、これらの洗浄作業が本質的に希釈作業であり、初期の比較的小さい体積の水(キュベット24の流体容量に対して)を使用済みの反応キュベット24内に注入して反応キュベット24の底にある沈殿物をまず除去し、続いて、比較的大きい体積の水(初期体積に水に対して)をキュベット24内に注入してそこに残っている希釈された廃棄物を除去するということに留意されたい。本発明を実施するに際して、評価分析アナライザ10で実行することになっている全メニューは2つのグループに分ける。すなわち、浄化されたキュベット24内の評価分析反応残留物が1ppmより大きい場合に潜在的に不正確な評価分析結果を有すると前もって決定した第1グループの評価分析と、浄化されたキュベット24内の評価分析反応残留物が10ppmより大きい場合に潜在的に不正確な評価分析結果を有すると前もって決定した第2グループの評価分析とに分ける。
【0029】
【表1】

【0030】
最も広い意味では、浄化作業という用語は洗浄またはすすぎ洗いまたは乾燥のうちの任意の作業を含む。次に実施するようにどんな評価分析がスケジュールに組み込まれているかに応じて行うキュベット24のこの独立した選択的な清掃は、3回の浄化作業だけで充分に清掃されてしまったキュベット24を直ちに次の評価分析で再利用できるので、アナライザ10の総処理量を向上させる。
【0031】
本発明の限定を意図していない実施形態では、キュベットポート20を有する反応回転コンベヤ12が、2.1秒の停止時間で分けられた段階的な1.5秒の移動を使用して時計回り方向に回転し、この停止時間中に、洗浄ステーション67は、洗浄プローブ84または乾燥プローブ86の下方に停止しているキュベット24について洗浄作業、すすぎ洗い作業または乾燥作業を実施してもよいし、実施しなくてもよい。この説明の目的のために、反応回転コンベヤ12は、外側キュベット回転コンベヤ14のキュベット・ポート20内に置かれた184個のキュベット24を有するような寸法となっている。反応回転コンベヤ12による77のキュベット位置の5段階または7段階の時計回りの回転で、キュベット24をその当初に位置に対して別の位置ではあるが、洗浄ステーション67の作業ゾーン内の位置へ移動させる。これらの特徴に類似した特徴がアナライザ10の作業簡略化を向上させることは知られているが、本発明を実施するのには不要である。キュベット24における第1、第2のグループの評価分析のための上記の異なった洗浄、乾燥作業が、図14に簡略化して示すアナライザ10の部分図に示してあるが、ここでは、異なった洗浄プローブ84および乾燥プローブ86が、それによって行われる洗浄作業、乾燥作業が何であるかに従って示してある。特に、図14の構成要素は表2の記載からわかるように、本明細書で記載されているような清掃作業を行うように作動し得る。
【0032】
【表2】

【0033】
アナライザ10のこの例示実施形態について与えられたパラメータによれば、コンピュータ15は、キュベット24Hが付加的なすすぎ洗い作業を受けて第1グループの評価分析のうちの次の評価分析に対する準備を確実に整えるように反応回転コンベヤ12の動作に合わせて洗浄ステーション67を作動させる。明らかに、付加的な清掃作業には、洗浄作業またはすすぎ洗い作業または乾燥作業のうち任意の作業を含めることができる。
【0034】
第2グループの評価分析のうちの或る評価分析が次に実施するようにスケジュールに組んであるキュベット24Eの清掃作業を最初に説明する。たとえば生物学的評価分析または化学的評価分析を実施するために、サンプル吸引・分配アーム54のプローブ54Pによってサンプルがキュベット24Eに添加され、適切な試薬が試薬アーム60のプローブ60Pによってキュベット24Eに添加された後、キュベット24Eにおける化学的評価分析が完了するまで反応回転コンベヤ12は回転する。上記のように、キュベット24Eは洗浄プローブ84−EW1の下方に動かされ、そこで第1の洗浄作業が行われることになっている。反応回転コンベヤ12が階段的な回転の間の停止時間にわたって停止する毎に湾曲スライド92がモータ94によってその最下方位置に下降させられ、洗浄プローブ84および乾燥プローブ86がキュベット24の下方まで下降するのを望まない場合にはソレノイド84S、86Sが起動または洗浄プローブ84および乾燥プローブ86に係合するように洗浄ステーション67が作動させられる。したがって、洗浄プローブ84−EW1と組み合ったソレノイド84Sだけが非起動または非係合状態に留まり、スライド92を下降させているモータ94の作用が洗浄プローブ84−EW1のみを下降させることになる。本明細書を読めばわかるように、アナライザが通常作動を行っているとき、キュベット24は、洗浄プローブ84および乾燥プローブ86の各々の下方に位置する。その結果、それぞれの洗浄プローブ84または乾燥プローブ86から離脱するソレノイドだけ(84Sまたは86S)が、回転コンベヤ12の各停止時間の間に起動する洗浄プローブ(単数または複数)84または乾燥プローブ86(単数または複数)関連のソレノイド(単数または複数)84Sである必要がある。
【0035】
最初の停止時間中、キュベット24Eは或るシリーズの洗浄作業を受けるが、このとき、化学反応廃棄物が真空管路84Vによって、生物学的・化学的廃棄物保管部84Cに吸引され、脱イオンすすぎ洗い水が洗浄チューブ84Wによってキュベット24Eに注入され、すすぎ洗い水が真空管路84Vによってキュベット24Eから吸い出される。すすぎ洗い作業は2回繰り返され、最終的には、洗浄チューブ84Wによってキュベット24Eに水が満たされる。しかしながら、先に説明したように、キュベット24Eにおいて実施される化学的評価分析が潜在的に有害な化学物質を含む場合には、代わりに真空管路88Vによって潜在的に有害な反応廃棄物が安全な格納部88Hに吸引されることになる。洗浄プローブ84−EW1によるこの第1の洗浄作業に続いて、キュベット24Eは、反応回転コンベヤ12の5回の階段的回転によって洗浄プローブ84−EW2まで運ばれ、そこにおいて、脱イオンすすぎ洗い水が洗浄チューブ84Wによってキュベット24E内に注入され、すすぎ洗い水が真空管路84Vによってキュベット24Eから吸い出される。すすぎ洗い作業は繰り返され、最終的に、キュベット24Eは洗浄チューブ84Wによって水を満たされる。これらの作業のすべては停止時間の間に行われる。この第2の洗浄作業に続いて、反応回転コンベヤ12の7回の階段的回転によって、キュベット24Eは乾燥プローブ86−EDまで運ばれる。そこで、すすぎ洗い水が真空管路86Vによってキュベット24Eから吸い出される。前述のように、ソレノイド84Sおよび86Sは、これらの選択的に独立した作業中、適宜、洗浄プローブ84および乾燥プローブ86に係合しなかったり、係合したりする。
【0036】
第1グループの評価分析のうち或る評価分析が次に実施するようにスケジュールに組んであるキュベット24Hの清掃は、以下の通りに同じように説明できる。たとえば生物学的評価分析を実施するためには、サンプル吸引・分配アーム54のプローブ54Pによってキュベット24Hにサンプルが添加され、試薬アーム61、62のプローブ61P、62Pのそれぞれによって適切な試薬がキュベット24Eに添加された後、キュベット24H内での評価分析が完了するまで反応回転コンベヤ12は回転する。上記したように、キュベット24Hが洗浄プローブ84−HW1にあるとき、ここで第1の洗浄作業が行われ、このとき、キュベット24Hが或るシリーズの洗浄作業を受け、潜在的に有害な反応廃棄物が真空管路88Vによって安全な廃棄物貯蔵88Hに吸引され、希釈洗剤水が洗浄チューブ84Wによってキュベット24H内に注入され、洗剤水が真空管路88Vによってキュベット24Hから吸い出される。すすぎ洗い作業は2回繰り返され、最終的に、洗浄チューブ84Wによってキュベット24Hに希釈洗剤水が満たされる。キュベット回転コンベヤ12の7回の階段的回転の後、キュベット24Hが洗浄プローブ84−HW2によって第2の洗浄作業を受け、キュベット回転コンベヤ12の5回の付加的な段階的回転の後、キュベット24Hが洗浄プローブ84−HW3によって3回目の洗浄作業を受ける。この3回目の洗浄作業に続いて、キュベット24Hは、反応回転コンベヤ12の7回の階段的回転によって乾燥プローブ86−EDまで運ばれ、そこにおいて、すすぎ洗い水が真空管路86Vによってキュベット24Eから吸い出される。
【0037】
自動臨床アナライザ・システム内で前述の作業を実施することについての詳細は、この技術分野で普通に行われる作業であり、本明細書で説明する必要はない。本発明の教示によれば、次に実施するようにスケジュールに組んである評価分析の内容に応じて使用済みの反応キュベットを選択的に浄化できるといえば充分であろう。本発明の明白な別の実施形態においては、洗浄ステーション67は、アナライザ10内の使用済みの反応キュベット24をそこで実施される評価分析の内容に従って自動的に付加的な清掃作業を行うように上記の通りに作動させることができる。選択的な清掃についてのこの目的は、多数の洗浄マニホルド、乾燥マニホルドを設け、各マニホルドを独立して選択的に起動し、そこで次に実施することになっている評価分析の内容またはそこで先に実施された評価分析の内容に応じて清掃作業を実施したり、しなかったりするということで部分的に達成される。これらの理由により、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
【図3】図1のアナライザで使用できる自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの立面透視図である。
【図4】図1のアナライザで使用できるアリコート容器アレイの立面透視図である。
【図5】図1のアナライザで使用できる代表的な反応キュベットの斜視図である。
【図5A】図5の反応キュベットの側壁を示す断面図である。
【図6】本発明の自動洗浄ステーションの正面透視図である。
【図7】図6の自動洗浄ステーションの平面図である。
【図8】明確化のためにマニホルドを除いた本発明の自動洗浄ステーションの正面三測図である。
【図9】図6の洗浄ステーションで役に立つ洗浄プローブの斜視図である。
【図10】図6の洗浄ステーションで役に立つ乾燥プローブの斜視図である。
【図10A】ソレノイドと係合した図10の乾燥プローブの斜視図である。
【図10B】図10の乾燥プローブで役に立つ乾燥ブーツの斜視図である。
【図11】図6の洗浄ステーションで役に立つ洗浄マニホルドの断面図である。
【図12】図6の洗浄ステーションで役に立つ乾燥マニホルドの断面図である。
【図12A】図6の洗浄ステーションで役に立つ廃棄物マニホルドの断面図である。
【図13】図6の洗浄ステーションで役に立つブレークアウェイ機構の断面図である。
【図14】図6の洗浄ステーションの或る特別な実施形態の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの反応キュベットを浄化する方法であって、第1グループの評価分析のうち或る評価分析をこのキュベットで次に実施するようにスケジュールに組んであるときにはいつでも、このキュベットに自動的に第1のシリーズの浄化作業を行い、第2グループの評価分析のうち或る評価分析をこのキュベットで次に実施するようにスケジュールに組んであるときにはいつでも、このキュベットに自動的に第2のシリーズの浄化作業を行う方法。
【請求項2】
第1グループの評価分析が、浄化された使用済みのキュベット内の反応残留物が既知の値より大きい場合には、不正確な評価分析結果を潜在的に有すると前もって決定された評価分析を含み、第2グループの評価分析が、浄化された使用済みのキュベット内の反応残留物が既知の値より大きい場合には、不正確な評価分析結果を潜在的に持たないと前もって決定された評価分析を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
浄化作業が、或るシリーズのミニ洗浄と、それに続くミニ洗浄からの残留物の乾燥とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1回目のシリーズの浄化作業が2回目のシリーズの浄化作業よりも多い浄化作業を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応評価分析が潜在的に有害な作用物質を伴い、ミニ洗浄からの残留物を第1の安全な保管部に排出し、反応評価分析が生物学的作用物質または無害な化学的作用物質を伴い、ミニ洗浄からの残留物を第2の安全な保管部に排出する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法を実施する自動洗浄ステーションであって、反応キュベット内へ下降させられるようになっている多数の独立して起動される洗浄プローブおよび乾燥プローブを含む自動洗浄ステーション。
【請求項7】
乾燥プローブが乾燥ブーツを含み、この乾燥ブーツが、それを反応キュベット内へ完全に挿入するようになっている関連したばねバイアス力を有する、請求項4に記載の洗浄ステーション。
【請求項8】
乾燥ブーツの外面に、乾燥用空気のナイフ様の流れを発生するように作用する側部隆起および側方開口部が設けてある、請求項5に記載の洗浄ステーション。
【請求項9】
洗浄プローブおよび乾燥プローブが、スリーブ内に自由に配置したカラーを含む湾曲垂直方向スライドによって反応キュベット内へ下降させられ、スリーブが湾曲垂直方向スライドに装着してあり、湾曲垂直方向スライドが、それを固定ポストに沿って垂直方向に移動させるように作動する固定モータに取り付けてある、請求項4に記載の洗浄ステーション。
【請求項10】
洗浄プローブおよび乾燥プローブの各々が、独立して作動可能なソレノイドによって湾曲垂直方向スライドに取り付けてある、請求項4に記載の洗浄ステーション。
【請求項11】
乾燥プローブの各々がさらに磁石を含み、湾曲垂直方向スライドが、場合によりその間に配置されたバイアスばねを有する強磁性部分を含み、乾燥プローブが湾曲垂直方向スライドに取り付けられていないときはいつでも、乾燥プローブが付加的なばね負荷力でキュベット内へ下降させられ、乾燥プローブが湾曲垂直方向スライドに取り付けられているときはいつでも、磁石と強磁性部分が自動的に分離するようになっている、請求項4に記載の洗浄ステーション。
【請求項12】
使用済みの反応キュベットを浄化する方法であって、第1グループの評価分析のうち或る評価分析がこのキュベットで先に実施されていたときはいつでも、このキュベットに自動的に第1のシリーズの浄化作業を行い、第2グループの評価分析のうち或る評価分析がこのキュベットで先に実施されていたときはいつでも、このキュベットに自動的に第2のシリーズの浄化作業を行うようになっている方法。
【請求項13】
浄化作業が、1つのシリーズのミニ洗浄と、このミニ洗浄からの残留物の乾燥とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1回目のシリーズの浄化作業が2回目のシリーズの浄化作業よりも多い浄化作業を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−524079(P2007−524079A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520355(P2006−520355)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022841
【国際公開番号】WO2005/010490
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】