説明

自動二輪車用の地図情報表示方法および走行情報表示方法

【課題】 自動二輪車のライダーにとってより適切な地図情報の表示方法を提供すること。
【解決手段】 画像表示装置100を有する自動二輪車における当該画像表示装置100に地図情報を表示する方法であって、自動二輪車の走行時において、地図情報は、線状の道路情報10のみからなる簡略化ナビゲーション表示50で画像表示装置100に表示される、自動二輪車用の地図情報表示方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車用の地図情報表示方法の表示方法に関する。特に、自動二輪車の走行を支援するために好適に用いられる地図情報表示方法に関する。本発明はまた、自動二輪車用の走行情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車の走行を支援するために、道路状況と車両の走行状態に応じて必要な警告をライダーに与える自動二輪車の情報提供装置が提案されており、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された自動二輪車には、ディスプレイ装置およびナビゲーション装置が搭載されており、それにより、ディスプレイ装置に自車データおよび地図データを表示させることができる。そして、ナビゲーション装置による地図の表示に重ねて、種々の警告表示(例えば、左カーブ注意の表示、障害物注意の表示、交差点車両有りの表示、対向車有りの表示など)を表示させて、自動二輪車の走行支援を実行することができる。
【特許文献1】特開2002―140800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、ナビゲーション装置については、専ら四輪乗用車に用いるものが開発・発展しており、自動二輪車の特性を考えたものは特段考えられていないのが実情である。さらに述べると、今日の技術常識に沿えば、四輪乗用車用のナビゲーション装置を単に自動二輪車のディスプレイに表示させる方向で進んでおり、技術的には、ほぼそれで十分と考えられている。
【0005】
しかしながら、四輪乗用車のシートに座って比較的視線を安定させて運転しているドライバーと比較して、走行中のライダーが、ナビゲーション装置による地図情報を瞬時に判断・理解するのは難しい。すなわち、走行中のライダーは、進行方向前方により視覚を集中しており、ライダーの目の前のハンドル周囲にディスプレイ装置が備え付けられていても、そのディスプレイ装置の複雑な地図情報を比較的じっくり見て、判断することは難しい。
【0006】
現在の四輪乗用車用のナビゲーション装置では、地図情報の画面が年々複雑になってきている。すなわち、道路名称の表示、番地の表示、ガソリンスタンド・コンビニエンスストアー表示、主要ビルや名所の表示などの他、ビルや道路の立体表示などがその例であり、それらの地図情報画面は、四輪乗用車のドライバーによっては便利で理解しやすいものになりやすいが、一方で、それを自動二輪車用とした場合、走行中のライダーによって必ずしも理解しやすいものとはいえない。
【0007】
また、自動二輪車の走行支援技術が発達するに従い、各種の警告表示が地図画面に重ねてまたはその周囲に表示される可能性が高くなるので、走行中のライダーにとっては、益々、地図情報が把握し難くなる。
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、自動二輪車のライダーにとってより適切な地図情報の表示方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、自動二輪車の走行支援を適切に行うための自動二輪車用の走行情報表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自動二輪車用の地図情報表示方法は、画像表示装置を有する自動二輪車における当該画像表示装置に地図情報を表示する方法であり、前記自動二輪車の走行時において、前記地図情報は、線状の道路情報のみからなる簡略化ナビゲーション表示で前記画像表示装置に表示されることを特徴とする。
【0009】
前記線状の道路情報には、車線幅の情報が含まれていることが好ましい。
【0010】
前記線状の道路情報は、前記道路が延びる領域と、当該道路の距離感を視覚化する方位線とによって表されていることが好ましい。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記線状の道路情報は、実際の道路の比例関係と異なる比例関係で前記画面表示装置に表示される。
【0012】
ある好適な実施形態において、前記線状の道路情報には、自車位置情報が含まれている。
【0013】
前記自車位置情報は、前記画像表示装置では表示せず、当該画像表示装置の手前位置で示してもよい。
【0014】
ある好適な実施形態では、前記自動二輪車の走行時と停車時との間の地図情報の画面の切り替えが自動的に実行される。
【0015】
前記自動二輪車の停車時においては、前記地図情報に、前記線状の道路情報および前記自車位置情報以外の他の地図情報が表示されてもよい。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記他の地図情報は、店舗名、番地名、駅名、線路名、道路名および方位名からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0017】
前記自動二輪車の走行時において、前記地図情報とともに、少なくとも速度メータが前記画像表示装置に表示されることが好ましい。
【0018】
本発明の自動二輪車用の走行情報表示方法は、画像表示装置を有する自動二輪車における当該画像表示装置に走行情報を表示する方法であり、前記自動二輪車の走行時において、前記画像表示装置には複数の走行情報が同時に表示され、前記走行情報には、少なくとも車速が含まれており、前記自動二輪車の走行時において、前記車速を示す車速メータは、他の走行情報を表示するマークによって覆われずに露出して表示されることを特徴とする。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記他の走行情報を表示するマークは、水温メータ、燃料メータ、走行距離メータおよびタコメータからなる群から選択される少なくとも一つである。
【0020】
ある好適な実施形態では、前記車速メータの背景に、ユーザが指定した画像の壁紙が配置されている。
【0021】
ある好適な実施形態では、前記車速メータの背景に、曜日または時間帯によって色が変化する画像の壁紙が配置されている。
【0022】
前記自動二輪車の始動時に、前記画像表示装置に車両の点検項目を表示することが好ましい。
【0023】
前記自動二輪車の始動時は、前回の点検項目表示時点から一定時間経過後または一定走行距離走行後の始動時であってもよい。
【0024】
ある好適な実施形態では、前記自動二輪車の始動時に、前回の乗車時との間隔を計算するともに、当該間隔の長さに応じて、前記画像表示装置に車両の点検項目を表示しない場合、第1の数の点検項目を表示する場合、および、前記第1の数の点検項目よりも多い数の第2の数の点検項目のいずれを表示する判断が実行される。
【0025】
本発明の自動二輪車は、画像表示装置を有する自動二輪車であって、前記自動二輪車は、前記画像表示装置の画像を制御する制御装置を備えており、前記制御装置は、前記画像表示装置に地図情報を表示する機能を有しており、かつ、前記自動二輪車の走行時において、前記地図情報は、線状の道路情報と自車位置情報とのみからなる簡略化ナビゲーション表示で前記画像表示装置に表示される、自動二輪車である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の自動二輪車用の地図情報表示方法によれば、自動二輪車の走行時において、地図情報は、線状の道路情報のみからなる簡略化ナビゲーション表示で表示されるので、自動二輪車のライダーにとってより適切な地図情報の表示方法を提供することができる。さらに、本発明の自動二輪車用の走行情報表示方法によれば、自動二輪車の走行時には、車速を示す車速メータは、他の走行情報を表示するマークによって覆われずに露出して表示されるので、走行時に常に車速を確認することができ、また、他の走行情報を表示するマークの認識も楽になり、したがって、自動二輪車の走行支援を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本願発明者は、自動二輪車にとってより適切な地図情報の表示は、四輪乗用車のものとは異なることに気づき、走行中のライダーが自動二輪車のディスプレイにそれほど意識を集中しなくても、瞬時に地図情報を把握できる表示方法は何かと鋭意検討し、本発明に至った。そして、従来、四輪乗用車の地図表示の転用であったものに代えて、自動二輪車の特性を考慮した地図情報表示方法が実現できることは、自動二輪車の走行支援において非常に大きな技術的意義を有するものとなる。
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0029】
まず、図1から図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る自動二輪車用の地図情報表示方法について説明する。図1および図2は、本実施形態の地図情報の表示方法を説明するためのコマ送り図である。図3は、画像表示装置100を有する自動二輪車200における画像表示装置100の周辺を表す図である。また、図4は、画像表示装置100を有する自動二輪車200の一例の構成を模式的に表す図である。
【0030】
本実施形態の地図情報表示方法では、図3および図4に示すような画像表示装置100を有する自動二輪車200における画像表示装置100に地図情報が表示されるものである。
【0031】
地図情報は、自動二輪車の走行時においては、図1(a)から(d)に示すように、線状の道路情報10(10a、10b、10c)のみからなる簡略化ナビゲーション表示50で画像表示装置100に表示される。この簡略化ナビゲーション表示50の線状の道路情報10において、自車位置情報は、画像表示装置100の手前位置で示すようにしている。なお、このように自車位置情報を画像表示装置100に表示しない場合の他に、自車位置情報を線状の道路情報10に含めて、画像表示装置100中に表すことも可能である。 図1に示した簡略化ナビゲーション表示50では、線状の道路情報10に車線幅25の情報が含まれている。自動二輪車にとって、車線幅25の情報はコーナリングの際などに有用な情報となり得るので、道路情報10に車線幅25の情報が含まれているので、非常に役立つ。この例では、車線幅25の情報を太さであらわしているが、太さに限らず、色や線種で表してもよい。例えば、片側一車線と片側二車線とで区別するように道路情報10を表示することができる。
【0032】
また、図1に示すように、本実施形態の方法では、線状の道路情報10は、道路が延びる領域(10a、10b)と、道路の距離感を視覚化する方位線20とによって表されている。すなわち、方位線20によって、縦方向に延びる道路10aおよび横方向に延びる道路10b(そして、両者による交差点10c)の遠近感が即座にわかるようにされている。ライダーにとって、距離感(遠近感)も有用な情報となり得るので、線状の道路情報10を方位線20を背景にして表示するのは好ましい。
【0033】
なお、簡略化ナビゲーション表示50が、線状の道路情報のみからなるというのは、簡略化ナビゲーション表示50において線状の道路情報(10、20、25)は含まれているが、簡略化またはシンプルさを阻害するキャラクター(すなわち、漢字などの文字)の情報(店舗名、番地名、駅名、線路名、道路名および方位名)の情報が含まれていないことをいう。したがって、簡略化ナビゲーション表示50において、簡略化またはシンプルさを阻害しない線・簡単なマークのもの(例えば、自車位置を表す簡単なマーク、信号を表す単なる棒又は簡単なマーク、進行方向・方位を表す矢印など)は、線状の道路情報10に含めることが可能である。このように、簡略化ナビゲーション表示50には、簡略化またはシンプルさを阻害するキャラクターを阻害するキャラクター情報が含まれていないので、シンプルな地図情報が画像表示装置100に表示されることになる。
【0034】
ここで、図1(a)から図2(e)に示したコマ送り図を参照しながら説明する。まず、図1(a)に示す状態から、自動二輪車(自車)が道路10a上を進行していくと、図1(b)から(d)に順に示すように、道路10bおよび交差点10cが迫ってくることがわかる。
【0035】
簡略化ナビゲーション50における線状の道路情報10は、建物や番地表示などが無く非常にシンプルであるが、方位線20の存在により、そのようなシンプルな構成でも距離感の把握に間違いが起こらない。図1(d)の後は、さらに、図2(a)から(d)に示すように順に進行していき、図2(e)に示した状態では、自動二輪車(自車)は交差点10cに差しかかる。その後、交差点10cの向こうの地図情報が表示されていくことになる。
【0036】
本実施形態の自動二輪車用の地図情報表示方法によれば、自動二輪車の走行時において、簡略化ナビゲーション表示50で地図情報が表示されるので、ライダーは、自動二輪車に搭載された画像表示装置100を見れば瞬時に地図情報を把握することができる。したがって、本地図情報表示方法を用いれば、自動二輪車の走行支援をより適切に行うことができる。
【0037】
なお、自動二輪車の走行時は、簡略化ナビゲーション表示50であるが、自動二輪車の停車時は詳細なナビゲーション表示にしてもよい。特に、自動二輪車の走行時と停車時との間の地図情報の画面の切り替えが自動的に実行されるようなシステムにしておくのが好適である。自動二輪車の停車時においては、地図情報に、線状の道路情報10および自車位置情報以外の他の地図情報が表示され、他の地図情報としては、例えば、信号、店舗名、番地名、駅名、線路名、道路名および方位名・方位マークなどを挙げることができる。
【0038】
本実施形態の画像表示装置100は、図3に示すような位置に設けておくことができる。図3に示すように、画像表示装置(モニター)100は、ハンドル204の奥に設けられている。画像表示装置100の周りの車体には、スクリーン(風よけスクリーン)205およびサイドミラー232が取り付けられている。なお、ハンドル204の下方には、エンジンをオン・オフするためのメインスイッチキー230も配置されている。
【0039】
本実施形態の画像表示装置100は、メーターユニット240内に配置された液晶表示装置(液晶ディスプレイ)である。なお、画像表示装置100は、有機EL表示装置のような他の画像表示装置であってもよい。
【0040】
図4に示した自動二輪車200は、走行支援システムに対応した自動二輪車である。自動二輪車200は、スクータ型の自動二輪車であり、前輪202、後輪203、ハンドル204、スクリーン205、駆動源であるユニットスイング式エンジン206、およびシート207から構成されている。シート207上には、頭部にヘルメット208を装着したライダーが座っている。
【0041】
なお、本実施形態では、自動二輪車200として、スクータ型自動二輪車を例示したが、スクータ型に限らず、他の自動二輪車でもよい。また、本明細書において「自動二輪車」とは、モーターサイクルの意味であり、具体的には、車体を傾動させて旋回可能な車両のことをいう。したがって、前輪および後輪の少なくとも一方を2輪以上にして、タイヤの数のカウントで三輪車・四輪車(またはそれ以上)としても、それは「自動二輪車」に含まれ得る。
【0042】
自動二輪車200には、簡略化ナビゲーション表示50が表示される画像表示装置100、および、制御部となるエレクトロニックコントロールユニット(ECU)120、ナビゲーション装置220が設けられている。画像表示装置100およびナビゲーション装置220はECU120に接続されており、そして、このECU120の機能により、図1および図2に示すような簡略化ナビゲーション表示50を画像表示装置100に表示することができる。
【0043】
さらに図示された自動二輪車200には、アンテナ209、DSRC(Dedicated Short-Range Communication)アンテナ210、検出器212及びDSRC受信機213と、音声・映像回路215、トランスミッタ217も設けられている。
【0044】
アンテナ209は、道路上に設置された路側マーカー218からの信号を受信するものであり、車体後部に設置された検出器212を介してDSRC受信機213に電気的に接続されている。DSRCアンテナ210は、電柱等に設置されたDSRC路側アンテナ219からの信号を受信するものであり、DSRC受信機213に接続されている。
【0045】
DSRC受信機213とGPS受信機122とは、ECU120に電気的に接続されている。ECU120は、車体前部に設置された音声・映像回路215にも接続されている。また、ECU120には、自動二輪車200の走行状態を検出する車載のセンサ(例えば、エンジン回転数を検出する回転センサ、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、ブレーキレバーの開度を検出するブレーキセンサ、車体の傾斜角を検出するためのヨーレートセンサ等)及び車載のナビゲーション装置220が接続されている。
【0046】
音声・映像回路215には、各種メータ類と共に車体前部に配置された画像表示装置100と、車体前部に配置されたトランスミッタ217とが接続されている。ヘルメット208には、音声受信機222、および、音声受信機222に接続された左右のスピーカ224が内蔵されている。
【0047】
スクータ型自動二輪車200が路側マーカー218を通過した場合、アンテナ209が路側マーカー218からの信号を受信して、これを検出器212を介してDSRC受信機213に送信する。次いで、DSRC受信機213は、その信号をECU120に対して出力する。路側マーカー218から発信される信号は、道路情報の提供の開始位置と終了位置をECU120に知らせる。ECU120は、情報提供の開始を検知すると、DSRC路側アンテナ219から発信される各種道路情報を受け取る。DSRC路側アンテナ219から発信される交差点、横断歩道、カーブや坂道等の存在を示す信号は、DSRCアンテナ210によって受信されて、DSRC受信機213に送信される。次いで、DSRC受信機213から、各種道路情報がECU120に入力される。
【0048】
ECU120は、GPS受信機122から入力された情報(位置情報)、DSRC受信機213から入力された道路情報、または、ナビゲーション装置220によって検出された車体の走行状態とから、車体の走行経過に対応する車体の走行特性値を求めてメモリマップを作成することができ、これをECUのメモリに設定記憶させることも可能である。
【0049】
この例の自動二輪車200には、上述したように、GPS受信機122およびナビゲーション装置220が搭載されているので、画像表示装置100に地図情報(簡略化ナビゲーション表示50の地図情報)と自車位置情報を表示することができる。自車位置情報を入手するのは、インフラの環境を考慮すると、GPS信号を受信するGPS受信機122を利用するのが便利であるが、他のものを使用することができる。例えば、インフラが整っていれば、携帯電話通信、無線LAN通信、路車間通信の受信機を用いて座標位置を特定することができる。
【0050】
加えて、画像認識装置を用いて自車位置を特定することも可能である。例えば、白線や周囲の建物などでコースまたはポイントを識別して、その識別によって座標を特定することができる。基点となる看板・標識などがあれば、更に識別は容易になる。それらの基点の情報は、上述したDSRC受信機213により得ることも可能である。また、一本道であれば、スタート位置さえ確認することができれば、積算計算でおおよその地図上の位置を特定することができる。なお、ライダー自身が基点位置をスイッチで入力することで、自車位置を特定する手法もある。
【0051】
図5は、自動二輪車の走行時において、画像表示装置100に簡略化ナビゲーション表示50とともに、速度メータ30および他のアイコン(31〜37)を表示させた例を示している。図5に示した簡略化ナビゲーション表示50の線状の道路情報10においては、自車位置情報(自車アイコン)12が明示されている。自車位置情報を表す自車アイコン12は、丸と三角の簡単な記号からなる。なお、自車アイコン12の三角の先端で自車進行方向も示している。
【0052】
また、この例の簡略化ナビゲーション表示50では、方位線20は存在していないが、線状の道路情報10が張り巡らされているので、それで距離感・遠近感をライダーに伝えている。また、道路情報10の中に、距離感を助ける働きも含めて、線路情報10dも含めている。なお、図5に示した例も簡略化ナビゲーション表示50であるので、道路名や番地名などのキャラクター情報は走行中には表示されない。
【0053】
簡略化ナビゲーション表示50は、地図ウインド40内にて映し出されている。地図ウインド40内に、図1および図2に示した簡略化ナビゲーション表示50を表示させることも勿論可能である。
【0054】
地図ウインド40の他の領域には、上述した速度メータ30に加えて、タコメータ31、走行距離メータ32、時計アイコン33、ハイビームアイコン34、ウインカアイコン35、燃料計アイコン36、水温計アイコン37が表示されている。さらに、図6に示すように、カーブに差しかかったら、カーブアイコン42が表示されるような構成にしてもよい。
【0055】
停車時には、図7に示すような詳細ナビゲーション表示55にすることができる。図7に示した詳細ナビゲーション表示55では、通り名、駅名、主要建物名などのキャラクター情報が表されている。このような詳細ナビゲーション表示55は、停車時になれば自動的に切り替えて表示させることが可能であり、したがって、走行時には簡略化ナビゲーション表示50で、停車時には詳細ナビゲーション表示55に切り替わり、また、走行時には簡略化ナビゲーション表示50と切り替わる。
【0056】
停止時での詳細ナビゲーション表示55への切り替えは、停止を感知して自動に行うもの他、前方・周囲交通に注意を向けるために交差点内での停止時には切り替えを行わない等のようにすることができる。交差点内かどうかはナビゲーションなどの位置情報で判断することができる。また、スイッチによる手動の切り替えを採用することもできる。加えて、案内経路から逸脱したときに切り替え動作が実行されるようなものを採用してもよいし、ブレーキや、ニュートラルスイッチ、ハザードスイッチが入った時に切り替え動作が行われるような構成も採用することができる。
【0057】
なお、図7に示した例では、詳細ナビゲーション表示55が存在する地図ウインド40の外に、バッテリーアイコン38が表示されている。また、詳細ナビゲーション表示55は、図8に示すような信号、横断歩道、コンビニエンスストアー(または、ガソリンスタンド)を含む交差点周辺の状況を表示するものにしてもよい。
【0058】
また、詳細ナビゲーション表示55は、停車時に考えてじっくり見ることができるものであるので、図9に示したような距離D1、D2が実際の距離と比例関係にある地図情報のものの他、図10に示したような距離D0を実際の距離と無関係に一定にした(すなわち、非比例関係にした)地図情報のもので表してもよい。図10に示した表示例の場合、より多くの情報を表すことができるとともに、この表示は停車時のものであるので、ライダーが距離感を瞬間的に判断できなくても問題はない。
【0059】
なお、図10に示したような非比例関係の地図情報を、図1に示したような簡略化ナビゲーション表示50にて表したい場合には、例えば、図1中の方位線20の方の間隔の濃淡で距離感をライダーに伝えるようにすればよい。非比例関係の表示は、例えば、交差点の数がいくつあるか等を認識する際に便利である。
【0060】
図5および図6に示したように、簡略化ナビゲーション表示50が存在する地図ウインド40とともに、速度メータ30を画像表示装置100に表示する場合、速度メータ30は、自動二輪車の走行時においては、他のマークによって覆われずに露出して画像表示装置100に表示させておくのが好ましい。これは走行時にライダーが注目するのは、地図情報50(10)、自車位置情報12および他の情報(31〜37)よりも、速度メータ30の表示だからである。
【0061】
したがって、図11に示すように、画像表示装置100に、さらに、走行中のカメラ画像データを表示するウインド44が現れたような場合でも、速度メータ30は、走行中は常に、他のマークに覆われずに露出させておく。
【0062】
一方で、速度メータ30の下地となる背景(画像表示装置の下地画面)は、ライダー(または、所有者等のユーザー)が指定した画像の壁紙に変更できるような構成にすることとも可能である。図12は、下地となる背景をユーザが指定した壁紙46にした例である。なお、壁紙46は、速度メータ30および他のアイコン(31等)の視認性を損なわないようにモノトーン処理しておくのも好適である。当該モノトーン処理を走行時だけにかけるようにしても構わない。
【0063】
また、背景または壁紙46の色が、曜日または時間帯によって変化するような表示構成を採用してもよい。これにより、特定の曜日(例えば、金曜日)ラッシュ時、夕暮れ時などのような事故の可能性が高まりそうなゾーンを色の表示によってライダーに通知して、自動二輪車の走行支援を補助的にサポートすることができる。
【0064】
自動二輪車の走行支援を補助的にサポートする手段の一つとして、自動二輪車の始動時に、画像表示装置100に車両の点検項目を表示させるようなものを採用することが好ましい。図13は、自動二輪車の始動時に、画像表示装置100に車両60の点検項目を表示させた例である。ここで、車両60にオイルに不良が見つかれば、図14に示すように、オイルの点検項目62が表示されて、ライダーにそれを喚起できるようにするのが好ましい。
【0065】
自動二輪車の始動時は、毎回の始動時でなくてもよく、前回の点検項目表示時点から一定時間経過後(例えば、一週間)または一定走行距離走行後(例えば、1000km)の始動時としてもよい。さらに、自動二輪車の始動時に、前回の乗車時との間隔を計算するともに、当該間隔の長さに応じて、点検項目の表示数を変えるようにしてもよい。例えば、前回の乗車時との間隔(例えば、1日)が短ければ、画像表示装置100に車両60の点検項目を表示せず、初期設定の間隔(例えば、2日から1週間)であれば、第1の数の点検項目(例えば、主要4項目)を表示し、そして、間隔が長ければ(例えば、1週間を超える期間)、第1の数の点検項目よりも多い数の第2の数の点検項目(例えば、主要4項目+複数項目)を表示させるようにしてもよい。そのような表示の判断は、ECU120を用いて行うことができる。
【0066】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、自動二輪車のライダーにとってより適切な地図情報の表示方法を提供することができ、自動二輪車の走行支援に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a)から(d)は、本発明の実施形態に係る地図情報の表示方法を説明するためのコマ送り図である。
【図2】(a)から(e)は、本発明の実施形態に係る地図情報の表示方法を説明するためのコマ送り図である。
【図3】画像表示装置100を有する自動二輪車200における画像表示装置100の周辺を表す構造図である。
【図4】画像表示装置100を有する自動二輪車200の一例の構成を模式的に表す側面図であ
【図5】画像表示装置100に簡略化ナビゲーション表示50と速度メータ30等を表示させた表示例を示す図である。
【図6】画像表示装置100に簡略化ナビゲーション表示50と速度メータ30等を表示させた表示例を示す図である。
【図7】画像表示装置100に詳細ナビゲーション表示55を表示させた例を示す図である。
【図8】画像表示装置100に詳細ナビゲーション表示55を表示させた例を示す図である。
【図9】実際の距離と比例関係にある地図情報の表示例を示す図である。
【図10】実際の距離と非比例関係にある地図情報の表示例を示す図である。
【図11】画像表示装置100に走行中のカメラ画像データを表示させた図である。
【図12】下地となる背景をユーザが指定した壁紙46にした図である。
【図13】画像表示装置100に車両60の点検項目を表示させた例を示す図である。
【図14】オイルの点検項目62を表示させた例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 線状の道路情報
12 自車位置情報(自車アイコン)
20 方位線
25 車線幅
30 速度メータ
31 タコメータ
32 走行距離メータ
33 時計アイコン
34 ハイビームアイコン
35 ウインカアイコン
36 燃料計アイコン
37 水温計アイコン
38 バッテリーアイコン
40 地図ウインド
42 カーブアイコン
44 カメラ画像データ表示ウインド
46 壁紙
50 簡略化ナビゲーション表示
55 詳細ナビゲーション表示
60 車両
62 点検項目
100 画像表示装置
122 受信機
200 自動二輪車
202 前輪
203 後輪
204 ハンドル
205 スクリーン
206 エンジン
207 シート
208 ヘルメット
209 アンテナ
210 DSRCアンテナ
212 検出器
213 受信機
215 映像回路
217 トランスミッタ
218 路側マーカー
219 路側アンテナ
220 ナビゲーション装置
222 音声受信機
224 スピーカ
230 メインスイッチキー
232 サイドミラー
240 メーターユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置を有する自動二輪車における当該画像表示装置に地図情報を表示する方法であって、
前記自動二輪車の走行時において、前記地図情報は、線状の道路情報のみからなる簡略化ナビゲーション表示で前記画像表示装置に表示されることを特徴とする、自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項2】
前記線状の道路情報には、車線幅の情報が含まれている、請求項1に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項3】
前記線状の道路情報は、前記道路が延びる領域と、当該道路の距離感を視覚化する方位線とによって表されている、請求項1に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項4】
前記線状の道路情報は、実際の道路の比例関係と異なる比例関係で前記画面表示装置に表示される、請求項1に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項5】
前記線状の道路情報には、自車位置情報が含まれている、請求項1に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項6】
前記自車位置情報は、前記画像表示装置では表示せず、当該画像表示装置の手前位置で示すことを特徴とする、請求項5に記載の自動二輪車の地図情報表示方法。
【請求項7】
前記自動二輪車の走行時と停車時との間の地図情報の画面の切り替えが自動的に実行されることを特徴とする、請求項1に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項8】
前記自動二輪車の停車時においては、前記地図情報に、前記線状の道路情報および前記自車位置情報以外の他の地図情報が表示される、請求項1に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項9】
前記他の地図情報は、店舗名、番地名、駅名、線路名、道路名および方位名からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項8に記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項10】
前記自動二輪車の走行時において、前記地図情報とともに、少なくとも速度メータが前記画像表示装置に表示される、請求項1から9の何れか一つに記載の自動二輪車用の地図情報表示方法。
【請求項11】
画像表示装置を有する自動二輪車における当該画像表示装置に走行情報を表示する方法であって、
前記自動二輪車の走行時において、前記画像表示装置には複数の走行情報が同時に表示され、
前記走行情報には、少なくとも車速が含まれており、
前記自動二輪車の走行時において、前記車速を示す車速メータは、他の走行情報を表示するマークによって覆われずに露出して表示されることを特徴とする、自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項12】
前記他の走行情報を表示するマークは、水温メータ、燃料メータ、走行距離メータおよびタコメータからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項11に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項13】
前記車速メータの背景に、ユーザが指定した画像の壁紙が配置されている、請求項11に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項14】
前記車速メータの背景に、曜日または時間帯によって色が変化する画像の壁紙が配置されている、請求項11に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項15】
前記自動二輪車の始動時に、前記画像表示装置に車両の点検項目を表示することを特徴とする、請求項11に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項16】
前記自動二輪車の始動時は、前回の点検項目表示時点から一定時間経過後または一定走行距離走行後の始動時である、請求項15に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項17】
前記自動二輪車の始動時に、前回の乗車時との間隔を計算するともに、当該間隔の長さに応じて、前記画像表示装置に車両の点検項目を表示しない場合、第1の数の点検項目を表示する場合、および、前記第1の数の点検項目よりも多い数の第2の数の点検項目のいずれを表示する判断が実行される、請求項11に記載の自動二輪車用の走行情報表示方法。
【請求項18】
画像表示装置を有する自動二輪車であって、
前記自動二輪車は、前記画像表示装置の画像を制御する制御装置を備えており、
前記制御装置は、前記画像表示装置に地図情報を表示する機能を有しており、かつ、
前記自動二輪車の走行時において、前記地図情報は、線状の道路情報と自車位置情報とのみからなる簡略化ナビゲーション表示で前記画像表示装置に表示される、自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−106510(P2006−106510A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295390(P2004−295390)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】