説明

自動分析装置

【課題】洗剤の補充にかかる手間及び洗剤洗浄に関る時間を低減することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料を吸引及び吐出して分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を洗浄する洗剤を貯留する洗剤ポット714と、サンプル分注プローブ16を移動するサンプル分注アーム10と、洗剤ポット714の洗剤吸引位置で停止させるサンプル分注アーム10と、洗剤ポット714内へ洗剤を供給する洗剤供給ポンプ73とを備え、洗剤供給ポンプ73は、洗剤吸引位置で停止したサンプル分注プローブ16の試料の吸引が行われる一端部に接触する高さまで洗剤を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体を分注する分注プローブを備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の測光部で光学的に測定することにより、試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、多数の試料及び多数の検査項目を処理する必要があるため、各分析ユニットを高速で作動させて、試料毎に多数の検査項目の中から設定された検査対象の項目の分析を行う。そして、各分注プローブにより試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測光部で測定する。各分注プローブは分注終了毎に洗浄水で洗浄される。
【0004】
しかしながら、試料に高い精度が要求される成分や微量成分等の影響を受けやすい検査項目(影響項目)が設定されていると、先行試料が分注プローブを介して影響項目が設定された後続試料に持ち込まれる被検試料間のキャリーオーバにより、影響項目の分析データが悪化してしまう問題が発生することが知られている。また、影響を与える先行試薬が分注プローブを介して先行試薬から影響を受ける後続試薬に持ち込まれる試薬間のキャリーオーバにより、影響を受ける試薬を用いる検査項目の分析データが悪化してしまう問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、洗浄水よりも強力な洗浄力を有する洗剤を移した洗剤用容器を所定の位置にセットし、影響項目が設定された試料を分注する前に、洗剤用容器の洗剤を用いて分注プローブを洗浄することにより、影響項目の分析データの悪化を防ぐことができる。また、影響を与える試薬を分注した後、洗剤用容器の洗剤を用いて分注プローブを洗浄してから影響を受ける試薬を分注することにより、影響を受ける試薬を用いる検査項目の分析データの悪化を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−207944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、セットした洗剤用容器内の洗剤が不足すると、各分析ユニットの動作を一時停止させて洗剤を補充する必要があるため、手間がかかる問題がある。また、洗剤による洗浄回数が増加すると、洗剤用容器内の洗剤が消費されて液面が下がるため、分注プローブの移動距離が増して洗剤洗浄に時間がかかり過ぎる問題がある。
【0008】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、洗剤の補充にかかる手間及び洗剤洗浄に要する時間を低減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料及び試薬を分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を吸引して吐出する分注を行う分注プローブと、前記分注プローブを洗浄する洗剤を貯留するための洗剤ポットと、前記分注プローブを移動して、前記洗剤ポットの洗剤吸引位置又はこの位置の近傍に停止させる分注プローブ移動手段と、前記洗剤ポットの洗剤吸引位置又はこの近傍に停止した前記分注プローブが吸引する前記洗剤を前記洗剤ポットへ供給する洗剤供給手段とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】実施例に係るサンプル分注プローブを洗浄する洗浄部の構成を示す図。
【図4】実施例に係るサンプル分注プローブを洗浄する洗浄槽の配置を示す図。
【図5】実施例に係るサンプル分注プローブを洗浄する洗浄槽の構成を示す外観図。
【図6】実施例に係るサンプル分注プローブの洗剤洗浄を説明するための図。
【図7】実施例に係る第1試薬分注プローブを洗浄する洗浄部の構成を説明するための図。
【図8】実施例に係る第2試薬分注プローブを洗浄する洗浄部の構成を説明するための図。
【図9】実施例に係る表示部に表示される影響項目設定画面の一例を示す図。
【図10】実施例に係る自動分析装置のサンプル分注プローブを洗浄する動作を示すフローチャート。
【図11】実施例に係る自動分析装置のサンプル分注プローブを洗浄する動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
以下、自動分析装置の実施例を、図1乃至図11を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料等の各試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0014】
また、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0015】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を格納する試薬庫1と、この試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aと、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を格納する試薬庫2と、この試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aと、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0016】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、このサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、サンプル分注プローブ16を純水装置110からの洗浄水やこの洗浄水よりも強力な洗浄力を有する例えばアルカリ性洗剤等の洗剤を用いて洗浄する洗浄部70とを備えている。また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料及び洗浄部70に貯留された洗剤の各液体の液面を、この液面とサンプル分注プローブ16一端との接触により生じる各液体とサンプル分注プローブ16間の静電容量の変化から検出する試料検出器16aとを備えている。
【0017】
また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、この第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬分注プローブ14を純水装置110からの洗浄水や洗剤を用いて洗浄する洗浄部80と、試薬ラック1a保持された試薬容器6内の第1試薬及び洗浄部80に貯留された洗剤の各液体の液面を、この液面と第1試薬分注プローブ14との接触により検出する第1試薬検出器14aとを備えている。
【0018】
また、反応容器3内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
【0019】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、この第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬分注プローブ15を純水装置110からの洗浄水や洗剤を用いて洗浄する洗浄部90と、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬及び洗浄部90に貯留された洗剤の各液体の液面を、この液面と第2試薬分注プローブ15との接触により検出する第2試薬検出器15aとを備えている。
【0020】
また、反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aと、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定終了の反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄部12とを備えている。
【0021】
そして、測光部13は、回転移動して横切る反応容器3に光を照射し、この照射により反応容器3内の混合液を透過した光を検査項目の波長毎に検出し、検出した検出信号に基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0022】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する例えばモータを備えた機構を有する機構部26と、機構部26の各機構を制御する制御部27とを備えている。そして、機構部26は分析サイクル毎に、サンプルディスク5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、反応容器洗浄部12を上下移動する機構を備えている。また、洗浄部70,80,90の洗浄ユニットを夫々駆動する機構を備えている。
【0023】
制御部27は、機構部26のサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9等の各分析ユニットや、洗浄部70,80,90の洗浄ユニットを駆動する機構を夫々制御する制御回路を備えている。そして、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9の機構を制御することにより、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15を移動させる。
【0024】
制御部27のサンプル分注アーム10の制御回路は、サンプル分注アーム10の回動機構にサンプル分注プローブ16を上死点の高さでサンプルディスク5、反応容器3、及び洗浄部70の各上停止位置へ移動させる。また、サンプル分注アーム10の上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して各上停止位置から下に移動させ、分析部24の試料検出器16aからの信号に基づき所定の位置に停止させる。
【0025】
そして、サンプルディスク5の上停止位置から下へ移動させ、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料の液面が試料検出器16aにより検出される位置から、その試料の吸引が可能な深さである試料吸引距離下げた位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。また、反応容器3の上停止位置から下へ移動させ、一端が反応容器3内の底面に接触する位置でサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0026】
更に、洗浄部70の上停止位置から洗剤吸引位置に向けて下へ移動させる。そして、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、試料検出器16aにより洗剤の液面の検出が不可能である場合、洗剤吸引位置にサンプル分注プローブ16を停止させる。また、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、試料検出器16aにより洗剤の液面が検出されたとき、その検出位置から試料吸引距離以上の距離(洗剤吸引距離)下げた洗剤吸引位置近傍にサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0027】
制御部27の第1試薬分注アーム8の制御回路は、第1試薬分注アーム8の回動機構に第1試薬分注プローブ14を上死点の高さで試薬庫1、反応容器3、及び洗浄部80の各上停止位置へ移動させた後、第1試薬分注アーム8の上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して試薬庫1及び洗浄部80の各上停止位置から下に移動させ、分析部24の第1試薬検出器14aからの信号に基づき所定の位置に停止させる。
【0028】
そして、試薬庫1の上停止位置から下へ移動させ、第1試薬検出器14aにより試薬容器6内の各第1試薬の液面が検出される位置から、その第1試薬の吸引が可能な深さである試薬吸引距離下げた位置で第1試薬分注プローブ14を停止させる。
【0029】
また、洗浄部80の上停止位置から洗剤吸引位置に向けて下へ移動させる。そして、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、第1試薬検出器14aにより洗剤の液面の検出が不可能である場合、洗剤吸引位置に第1試薬分注プローブ14を停止させる。また、洗浄部80の洗剤吸引位置へ移動させている途中で、第1試薬検出器14aにより洗剤の液面が検出されたとき、その検出位置から洗剤の吸引が可能な深さである試薬吸引距離以上の距離(試薬用洗剤吸引距離)下げた洗剤吸引位置近傍に第1試薬分注プローブ14を停止させる。
【0030】
制御部27の第2試薬分注アーム9の制御回路は、第2試薬分注アーム9の回動機構に第2試薬分注プローブ15を上死点の高さで試薬庫2、反応容器3、及び洗浄部90の各上停止位置へ移動させた後、第2試薬分注アーム9の上下移動機構に下移動駆動パルスを供給して試薬庫2及び洗浄部90の各上停止位置から下に移動させ、分析部24の第2試薬検出器15aからの信号に基づき所定の位置に停止させる。
【0031】
そして、試薬庫2の上停止位置から下へ移動させ、第2試薬検出器15aにより試薬容器7内の各第2試薬の液面が検出される位置から、その第2試薬の吸引が可能な試薬吸引距離下げた位置に第2試薬分注プローブ15を停止させる。
【0032】
また、洗浄部90の上停止位置から洗剤吸引位置に向けて下へ移動させる。そして、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、第2試薬検出器15aにより洗剤の液面の検出が不可能である場合、洗剤吸引位置に第1試薬分注プローブ14を停止させる。また、洗浄部90の洗剤吸引位置へ移動させている途中で、第2試薬検出器15aにより洗剤の液面が検出されたとき、その検出位置から試薬用洗剤吸引距離下げた洗剤吸引位置近傍に第1試薬分注プローブ14を停止させる。
【0033】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0034】
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0035】
また、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから濃度値や活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0036】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0037】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0038】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で分析可能な検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、及びこの分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の分析に用いる試薬の情報を設定するための試薬情報設定画面を表示する。また、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から検査対象の項目を選択して設定するための検査項目設定画面を表示する。
【0039】
また、分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から被検試料間のキャリーオーバにより例えば高い精度が要求される成分や微量成分等の影響を受けやすい検査項目(影響項目)を設定するための影響項目設定画面を表示する。また、試薬間のキャリーオーバにより影響を与える第1及び第2試薬及びこの第1及び第2試薬により影響を受ける第1及び第2試薬を設定するための影響試薬設定画面等を表示する。
【0040】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータ、試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目、影響項目、影響を与える第1及び第2試薬及び影響を受ける第1及び第2試薬等を設定するための入力操作を行う。また、分析部24で各試料の測定を行わせるための測定開始操作を行う。
【0041】
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータの情報、試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目の情報、影響項目の情報、影響を与える第1及び第2試薬及び影響を受ける第1及び第2試薬の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0042】
次に、図2乃至図8を参照して、分析部24における洗浄部70,80,90の構成を説明する。図3は、洗浄部70の構成を示す図である。図4は、洗浄部70の一部の洗浄ユニットの配置を示す図である。図5は、図4に示した洗浄ユニットの構成を示す外観図である。図6は、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄を説明するための図である。図7は、洗浄部80の構成を説明するための図である。図8は、洗浄部90の構成を説明するための図である。
【0043】
図3において、洗浄部70は、洗浄水及び洗剤を用いてサンプル分注プローブ16の洗浄を行うための洗浄槽71、洗浄槽71に洗浄水を供給する洗浄水供給ポンプ72、洗浄槽71に洗剤を供給する洗剤供給ポンプ73、及び洗浄槽71から排出される洗浄水及び洗剤を貯留する排液タンク74の各洗浄ユニットにより構成される。
【0044】
図4は、洗浄槽71の配置を示した図である。この洗浄槽71は、サンプルディスク5に保持された試料容器17と反応ディスク4に保持された反応容器3間に配置され、且つ上死点の高さで移動するサンプル分注プローブ16の破線で示した円軌道上に配置される。
【0045】
このように、試料を分注するために往復移動する試料容器17と反応容器3の間に洗浄槽71を配置することにより、サンプル分注プローブ16を短時間で洗浄槽71の上停止位置へ移動することができる。これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。
【0046】
図5は、洗浄槽71の構成を示した外観図である。この洗浄槽71は、洗浄水供給ポンプ72からの洗浄水が流入する互いに対向して配置された2つの洗浄水供給口711と、この洗浄水供給口711から流入した洗浄水を吐出する互いに対向して配置された2つの吐出口712と、洗剤供給ポンプ73からの洗剤が流入する洗剤供給口713とを備えている。
【0047】
また、洗浄槽71は、洗剤供給口713から流入した洗剤を貯留するための上側に開口部を有する洗剤ポット714と、円軌道に沿って移動するサンプル分注プローブ16が洗浄槽71内を通り抜け可能なように設けられた2つの切欠き715と、サンプル分注プローブ16の洗浄に用いられた洗浄水や洗剤を排液タンク74に排出するための下側に設けられた排出口716とを備えている。
【0048】
洗浄水供給口711及び吐出口712は、円軌道に沿って移動するサンプル分注プローブ16の一端部と同じ高さに配置される。そして、洗浄水供給口711から流入した洗浄水を吐出口712からほぼ水平に吐出して、吐出口712を横切る位置(洗浄水洗浄位置)に移動したサンプル分注プローブ16一端部の試料と接触した外壁全体を洗浄する。この洗浄に並行して、他端部からサンプル分注プローブ16内に供給される洗浄水により試料に接触した内壁全体を洗浄する。
【0049】
また、洗剤と被検試料間のキャリーオーバを避けるために、洗浄水洗浄位置に移動する洗剤洗浄のために洗剤を吸引したサンプル分注プローブ16一端部の外壁に付着した洗剤を洗い落とす。この洗浄に並行して、他端部からサンプル分注プローブ16内に供給される洗浄水により吸引した洗剤を排出させると共に内壁に付着した洗剤を洗い落とす。
【0050】
洗剤ポット714は、吐出口712近傍に配置され、上端が上停止位置に停止したサンプル分注プローブ16の一端近傍に位置している。
【0051】
このように、上端が上停止位置のサンプル分注プローブ16の一端の近傍に位置するように洗剤ポット714を配置することにより、サンプル分注プローブ16を洗剤ポット714内へ短時間で移動することができる。また、洗剤ポット714を吐出口712近傍に配置することにより、洗剤洗浄を行ったサンプル分注プローブ16を短時間で洗浄水洗浄位置に移動することができる。これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。
【0052】
図3に示した洗浄水供給ポンプ72は、分析制御部25の機構部26により駆動され、純水装置110から洗浄水を吸引して洗浄槽71に洗浄水を供給する。
【0053】
洗剤供給ポンプ73は、洗浄槽71の下側に配置され、洗剤を収容する洗剤ボトル731と、洗浄液槽71に洗剤を供給するための洗剤ポンプ732と、第1端部がチューブで洗剤ボトル731に接続され、また第2端部がチューブで洗浄槽71の洗剤供給口713に接続され、更に第3端部がチューブで洗剤ポンプ732に接続された三方弁733とを備えている。
【0054】
洗剤ボトル731は、洗浄槽71の下側であり、図2における分析部24の各分析ユニットの下側に配置される。これにより、分析部24の水平方向における面積を拡大することなく配置することができるため、洗剤ボトル731の大容量化が可能となり、洗剤ボトル731内へ洗剤を補充する頻度を低減することができる。
【0055】
洗剤ポンプ732は、機構部26により駆動され、第2端部が閉じられて第1及び第3端部が開放された三方弁733を介して洗剤ボトル731から洗剤を吸引する。吸引した後、第1端部が閉じられて第2及び第3端部が開放された三方弁733を介して、吸引した洗剤を洗浄液槽71の洗剤供給口713に供給する。
【0056】
三方弁733は、制御部27により駆動制御される例えば三方電磁弁であり、洗剤ポンプ732により洗剤ボトル731から洗剤が吸引されるとき、第1及び第3端部を開放すると共に第2端部を閉じる。また、洗浄液槽71に洗剤が供給されるとき、第2及び第3端部を開放すると共に第1端部を閉じる。
【0057】
このように、洗剤ポット714へ洗剤を供給する洗剤供給ポンプ73を設けることにより、洗剤の補充にかかる手間を低減することができる。
【0058】
ここで、図6を参照して、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄について説明する。影響項目が設定された被検試料の分注前に洗剤洗浄を行うために、サンプル分注プローブ16を洗剤ポット714上方の上停止位置まで移動させた後、洗剤吸引位置に向けて下へ移動させる。
【0059】
そして、図6(a)に示すように、サンプル分注プローブ16一端が洗剤ポット714内へ例えば2mmの短距離である洗剤吸引距離D進入した位置となる洗剤吸引位置へ移動している途中で、試料検出器16aにより洗剤ポット714内の洗剤の液面の検出が不可能である場合、洗剤吸引位置にサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0060】
サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤供給ポンプ73は洗剤ポット714に洗剤を供給する。そして、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置に停止してから予め設定された許容時間内に試料検出器16aにより洗剤液面が検出された場合、その検出位置から洗剤吸引距離D上昇した位置に達する量の洗剤を供給する。この供給された洗剤の液面は、図6(b)に示すように、洗剤ポット714の略上端に位置する。そして、洗剤ポット714内の洗剤を吸引させてサンプル分注プローブ16の洗剤洗浄を行う。
【0061】
また、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置に停止してから許容時間内に試料検出器16aにより液面の検出が不可能である場合、例えば洗剤ボトル731内の洗剤量が不足していると判断する。そして、洗剤供給ポンプ73の供給動作及び後続する影響項目が設定された被検試料を分注する位置へのサンプル分注プローブ16の移動を停止させると共に、表示部42に例えば洗剤ボトル731内の洗剤量が不足している情報や、分注を停止した被検試料の情報を通知するメッセージを表示させる。
【0062】
更に、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置へ移動している途中で試料検出器16aにより洗剤の液面が検出されたとき、その検出位置から洗剤吸引距離D下がった洗剤吸引位置近傍にサンプル分注プローブ16を停止させる。
【0063】
サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗剤供給ポンプ73は洗剤ポット714内へ洗剤供給を停止している。そして、洗剤ポット714内の洗剤を吸引させてサンプル分注プローブ16の洗剤洗浄を行う。
【0064】
このように、サンプル分注プローブ16を洗剤吸引位置又は洗剤吸引位置の近傍に停止させることにより、サンプル分注プローブ16を短時間で下げることができる。そして、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤洗浄に必要な量の洗剤を洗剤ポット714内に供給することにより、洗剤を短時間で供給することができる。また、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗剤ポット714内への洗剤供給を停止することにより、洗剤供給の時間を削減することができることができる。
【0065】
これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。また、洗剤を洗剤用容器に移して使用する場合の吸引不可能な残量を廃棄する必要がないため、洗剤の浪費を防ぐことが可能となり、洗剤に掛かるコストを低減することができる。
【0066】
洗浄部80は、洗浄部70と同様に構成され、図7に示すように、試薬庫1に格納された試薬容器6と反応ディスク4に保持された反応容器3間に配置される第1試薬分注プローブ14の洗浄水及び洗剤洗浄を行うための洗浄槽81を備えている。また、図示しないが、純水装置110から吸引して洗浄槽81に洗浄水を供給する洗浄水供給ポンプ、洗浄槽81に洗剤を供給する洗剤供給ポンプ、及び洗浄槽81から排出される洗浄水及び洗剤を貯留する排液タンクの各洗浄ユニットを備えている。
【0067】
そして、第1試薬分注プローブ14一端が洗浄槽81の洗剤吸引位置へ移動している途中で、第1試薬検出器14aにより洗浄槽81に貯留した洗剤の液面の検出が不可能である場合、洗剤吸引位置に第1試薬分注プローブ14を停止させる。
【0068】
第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤供給ポンプは洗浄槽81に洗剤を供給する。そして、第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置に停止してから許容時間内に第1試薬検出器14aにより洗剤液面が検出された場合、その検出位置から試薬洗剤吸引距離上昇した位置に達する量の洗剤を供給する。そして、洗浄槽81の洗剤を吸引させて第1試薬分注プローブ14の洗剤洗浄を行う。
【0069】
また、第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置に停止してから許容時間内に第1試薬検出器14aにより液面の検出が不可能である場合、洗剤供給ポンプの供給動作及び後続する影響を受ける第1試薬を分注する位置への第1試薬分注プローブ14の移動を停止させると共に、表示部42に洗剤量が不足している情報や、分注を停止した第1試薬の情報を通知するメッセージを表示させる。
【0070】
更に、第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置へ移動している途中で第1試薬検出器14aにより洗剤の液面が検出されたとき、その検出位置から試薬洗剤吸引距離下がった洗剤吸引位置近傍に第1試薬分注プローブ14を停止させる。
【0071】
第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗剤供給ポンプは洗剤洗浄槽81へ洗剤供給を停止している。そして、洗浄槽81の洗剤を吸引させて第1試薬分注プローブ14の洗剤洗浄を行う。
【0072】
このように、第1試薬分注プローブ14を洗剤吸引位置又は洗剤吸引位置の近傍に停止させることにより、第1試薬分注プローブ14を短時間で下げることができる。そして、第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤洗浄に必要な量の洗剤を洗浄槽81に供給することにより、洗剤を短時間で供給することができる。また、第1試薬分注プローブ14が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗浄槽81への洗剤供給を停止することにより、洗剤供給の時間を削減することができることができる。
【0073】
これにより、第1試薬分注プローブ14の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。また、洗剤を洗剤用容器に移して使用する場合の吸引不可能な残量を廃棄する必要がないため、洗剤の浪費を防ぐことが可能となり、洗剤に掛かるコストを低減することができる。
【0074】
洗浄部90は、洗浄部70と同様に構成され、図8に示すように、試薬庫2に格納された試薬容器7と反応ディスク4に保持された反応容器3間に配置される第2試薬分注プローブ15の洗浄水及び洗剤洗浄を行うための洗浄槽91を備えている。また、図示しないが、純水装置110から吸引して洗浄槽91に洗浄水を供給する洗浄水供給ポンプ、洗浄槽91に洗剤を供給する洗剤供給ポンプ、及び洗浄槽91から排出される洗浄水及び洗剤を貯留する排液タンクの各洗浄ユニットを備えている。
【0075】
そして、第2試薬分注プローブ15一端が洗浄槽91の洗剤吸引位置へ移動している途中で、第2試薬検出器15aにより洗浄槽91に貯留した洗剤の液面の検出が不可能である場合、洗剤吸引位置に第2試薬分注プローブ15を停止させる。
【0076】
第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤供給ポンプは洗浄槽91に洗剤を供給する。そして、第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置に停止してから許容時間内に第2試薬検出器15aにより洗剤液面が検出された場合、その検出位置から試薬洗剤吸引距離上昇した位置に達する量の洗剤を供給する。そして、洗浄槽91の洗剤を吸引させて第2試薬分注プローブ15の洗剤洗浄を行う。
【0077】
また、第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置に停止してから許容時間内に第2試薬検出器15aにより液面の検出が不可能である場合、洗剤供給ポンプの供給動作及び後続する影響を受ける第2試薬を分注する位置への第2試薬分注プローブ15の移動を停止させると共に、表示部42に洗剤量が不足している情報や、分注を停止した第2試薬の情報を通知するメッセージを表示させる。
【0078】
更に、第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置へ移動している途中で第2試薬検出器15aにより洗剤の液面が検出されたとき、その検出位置から試薬洗剤吸引距離下がった洗剤吸引位置近傍に第2試薬分注プローブ15を停止させる。
【0079】
第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗剤供給ポンプは洗剤洗浄槽91へ洗剤供給を停止している。そして、洗浄槽91の洗剤を吸引させて第2試薬分注プローブ15の洗剤洗浄を行う。
【0080】
このように、第2試薬分注プローブ15を洗剤吸引位置又は洗剤吸引位置の近傍に停止させることにより、第2試薬分注プローブ15を短時間で下げることができる。そして、第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤洗浄に必要な量の洗剤を洗浄槽91に供給することにより、洗剤を短時間で供給することができる。また、第2試薬分注プローブ15が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗浄槽91への洗剤供給を停止することにより、洗剤供給の時間を削減することができることができる。
【0081】
これにより、第2試薬分注プローブ15の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。また、洗剤を洗剤用容器に移して使用する場合の吸引不可能な残量を廃棄する必要がないため、洗剤の浪費を防ぐことが可能となり、洗剤に掛かるコストを低減することができる。
【0082】
以下、図1乃至図11を参照して、自動分析装置100のサンプル分注プローブ16の洗浄動作の一例を説明する。図9は、表示部42に表示される影響項目設定画面の一例を示す図である。図10及び図11は、自動分析装置100のサンプル分注プローブ16を洗浄する動作を示すフローチャートである。
【0083】
図9において、影響項目設定画面43は、分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の名称を略称で表示する「項目」の欄と、影響項目を設定するための影響項目設定エリア43aとにより構成される。
【0084】
「項目」の欄には、分析パラメータ設定画面で設定された分析可能な検査項目である例えば「GOT」、「GPT」、「Ca」、「HBsAg」などの項目名が表示される。この「項目」の欄に表示された項目名の中から影響項目として例えば「HBsAg」を選択する操作が操作部50から行われると、影響項目設定エリア43aの「HBsAg」に対応する位置43bに「○」が表示され、未選択の位置には「・」が表示される。そして、この選択操作により影響項目設定画面43で設定された影響項目の情報は、システム制御部60の記憶回路に保存される。
【0085】
図10及び図11は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。システム制御部60には、分析可能な検査項目の分析パラメータ、試薬情報、被検試料の識別情報及びこの被検試料毎に設定された検査項目の情報、影響項目の情報、影響を与える第1及び第2試薬及び影響を受ける第1及び第2試薬の情報が保存されている。
【0086】
検査項目の分析に用いる第1及び第2試薬を収容した試薬容器6,7が試薬庫1,2に格納される。検査対象の被検試料を収容した試料容器17がディスクサンプラ5に保持される。そして、操作部50から被検試料の測定を開始する操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(図10のステップS1)。
【0087】
システム制御部60は、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40に被検試料の測定を指示すると共に分析制御部25に洗浄を指示する。分析制御部25の制御部27は、機構部26及び洗浄部70,80,90を制御して分析部24のサンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、及び第2試薬分注アーム9等を作動させ、サンプル分注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、及び第2試薬分注プローブ15等の各分析ユニットをホームポジションに設定する。また、洗浄部70,80,90における各洗浄槽71,81,91の洗剤をホームポジションに設定する。
【0088】
ここで、制御部27は、サンプル分注プローブ16を上死点の高さで洗浄槽71における洗剤ポット714の上停止位置へ移動させた後、サンプル分注プローブ16を下に移動させる。そして、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、試料検出器16aにより洗剤液面の検出が不可能である場合(図10のステップS2のいいえ)、図10のステップS3へ移行する。また、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、試料検出器16aにより洗剤液面が検出された場合(図10のステップS2のはい)、洗剤ポット714内の洗剤がホームポジションに設定されると判断して、図10のステップS5へ移行する。
【0089】
図10のステップS2の「いいえ」後に、制御部27は、サンプル分注プローブ16を洗剤吸引位置に停止させる(図10のステップS3)。
【0090】
サンプル分注プローブ16が停止した後、制御部27は、洗剤ポット714内の液面が試料検出器16aにより検出される位置から洗剤吸引距離D上昇する位置に達する量の洗剤を供給させる(図10のステップS4)。この供給により洗剤ポット714内の洗剤がホームポジションに設定される。
【0091】
このように、被検試料の分注を開始する前に、洗剤ポット714内の洗剤をホームポジションに設定しておくことにより、以降のサンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に必要な液量を洗剤ポット714内に短時間で供給することができる。これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。
【0092】
図10のステップS2の「はい」、又はステップS4の後に、制御部27は、サンプル分注プローブ16をホームポジションへ移動させる(図10のステップS5)。
【0093】
サンプル分注プローブ16がホームポジションへ移動した後、制御部27は、システム制御部60から供給される被検試料の識別情報及びこの被検試料毎に設定された検査項目の情報、並びに影響項目の情報に基づいて、分注しようとする被検試料に設定された検査項目の中に、図9の影響項目設定画面43で設定された影響項目である例えば「HBsAg」が含まれているか否かを判別する。そして、分注しようとする被検試料に影響項目が含まれている場合(図10のステップS6のはい)、図10のステップS7へ移行する。また、分注しようとする被検試料に影響項目が含まれていない場合(図10のステップS6のいいえ)、図11のステップS15へ移行する。
【0094】
制御部27は、サンプル分注プローブ16を上死点の高さで洗剤ポット714の上停止位置へ移動させた後、サンプル分注プローブ16を下に移動させる。そして、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、試料検出器16aにより洗剤液面の検出が不可能である場合(図10のステップS7のいいえ)、図10のステップS8へ移行する。また、洗剤吸引位置へ移動させている途中で、試料検出器16aにより洗剤液面が検出された場合(図10のステップS7のはい)、図10のステップS9へ移行する。
【0095】
図10のステップS7の「いいえ」後に、制御部27は、サンプル分注プローブ16を洗剤吸引位置に停止させる(図10のステップS8)。
【0096】
図10のステップS7の「はい」後に、制御部27は、サンプル分注プローブ16を洗剤ポット714内の洗剤液面が検出された位置から洗剤吸引距離D下げた洗剤吸引位置の近傍に停止させる(図10のステップS9)。
【0097】
サンプル分注プローブ16が停止した後、制御部27は、洗剤供給ポンプ73により洗剤ポット714内へ洗剤を供給させる(図11のステップS10)。
【0098】
そして、サンプル分注プローブ16が停止してから許容時間内に、洗剤ポット714内の液面が試料検出器16aにより検出された場合(図11のステップS11のはい)、その検出位置から洗剤吸引距離D上昇する位置に達する量の洗剤を供給させて、図11のステップS12へ移行する。また、サンプル分注プローブ16が停止してから許容時間内に洗剤ポット714内の液面が試料検出器16aにより検出不可能である場合(図11のステップS11のいいえ)、図11のステップS13へ移行する。
【0099】
図10のステップS9、又は図11におけるステップS11の「はい」の後に、サンプル分注プローブ16内に試料分注時の試料吸引量以上の洗剤を吸引させて洗剤洗浄を行う(図11のステップS12)。
【0100】
図11におけるステップS11の「いいえ」の後に、制御部27は、影響項目を含む被検試料の分注を停止させる(図11のステップS13)。
【0101】
影響項目を含む被検試料の分注を停止させた後、表示部42に分注を停止させた被検試料の情報等を通知するメッセージを表示する(図11のステップS14)。
【0102】
図10におけるステップS6の「いいえ」、図11のステップS12、又は図11のステップS14の後に、制御部27は、サンプル分注プローブ16を洗浄水洗浄位置に移動させて、サンプル分注プローブ16の洗浄水洗浄を行う(図11のステップS15)。
【0103】
影響項目を含む被検試料の分注を終えた後、又はこの被検試料の分注を停止した後に、分注を停止した被検試料以外の未分注の被検試料がある場合(図11のステップS16のはい)、図10のステップS6へ戻る。また、分注を停止した被検試料以外に未分注の被検試料がない場合(図11のステップS16のいいえ)、ステップS17へ移行する。
【0104】
システム制御部60が分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40に被検試料の測定の停止を指示すると共に分析制御部25に洗浄の停止を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する(図11のステップS17)。
【0105】
以上述べた実施例によれば、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄を行うための洗剤ポット714及びこの洗剤ポット714へ洗剤を供給する洗剤供給ポンプ73を設けることにより、洗剤の補充にかかる手間を低減することができる。
【0106】
また、試料を分注するために往復移動する試料容器17と反応容器3の間に洗剤ポット714を配置することにより、サンプル分注プローブ16を短時間で洗剤ポット714の上停止位置へ移動することができる。また、上端が上停止位置のサンプル分注プローブ16の一端の近傍に位置するように洗剤ポット714を配置することにより、サンプル分注プローブ16を洗剤ポット714内へ短時間で移動することができる。これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。
【0107】
そして、被検試料の分注を開始する前に、洗剤ポット714内の洗剤をホームポジションに設定しておくことにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に必要な液量を洗剤ポット714内に短時間で供給することができる。これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。
【0108】
また、洗剤洗浄を行うために、サンプル分注プローブ16を洗剤吸引位置又は洗剤吸引位置の近傍に停止させることにより、サンプル分注プローブ16を短時間で下げることができる。そして、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤洗浄に必要な量の洗剤を洗剤ポット714内に供給することにより、洗剤を短時間で供給することができる。また、サンプル分注プローブ16が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗剤ポット714内への洗剤供給を停止することにより、洗剤供給の時間を削減することができることができる。
【0109】
これにより、サンプル分注プローブ16の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。また、洗剤を洗剤用容器に移して使用する場合の吸引不可能な残量を廃棄する必要がないため、洗剤の浪費を防ぐことが可能となり、洗剤に掛かるコストを低減することができる。
【0110】
また、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の洗剤洗浄を行うための洗浄槽81,91及びこの洗浄槽81,91へ洗剤を供給する洗剤供給ポンプを設けることにより、洗剤の補充にかかる手間を低減することができる。そして、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を洗剤吸引位置又は洗剤吸引位置の近傍に停止させることにより、第1及び第2試薬分注プローブ14,15を短時間で下げることができる。次いで、第1及び第2試薬分注プローブ14,15が洗剤吸引位置に停止したとき、洗剤洗浄に必要な量の洗剤を洗浄槽81,91に供給することにより、洗剤を短時間で供給することができる。また、第1及び第2試薬分注プローブ14,15が洗剤吸引位置近傍に停止したとき、洗浄槽81,91への洗剤供給を停止することにより、洗剤供給の時間を削減することができることができる。これにより、第1及び第2試薬分注プローブ14,15の洗剤洗浄に要する時間を低減することができる。また、洗剤を洗剤用容器に移して使用する場合の吸引不可能な残量を廃棄する必要がないため、洗剤の浪費を防ぐことが可能となり、洗剤に掛かるコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0111】
16 サンプル分注プローブ
71 洗浄槽
72 洗浄水供給ポンプ
73 洗剤供給ポンプ
74 排液タンク
711 洗浄水供給口
712 吐出口
713 洗剤供給口
714 洗剤ポット
715 切欠き
716 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を吸引して吐出する分注を行う分注プローブと、
前記分注プローブを洗浄する洗剤を貯留するための洗剤ポットと、
前記分注プローブを移動して、前記洗剤ポットの洗剤吸引位置又はこの位置の近傍に停止させる分注プローブ移動手段と、
前記洗剤ポットの洗剤吸引位置又はこの近傍に停止した前記分注プローブが吸引する前記洗剤を前記洗剤ポットへ供給する洗剤供給手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記洗剤ポット内へ供給された前記洗剤の液面を、この液面と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段を有し、
前記分注プローブ移動手段は、前記分注プローブが前記洗剤吸引位置へ移動している途中で前記検出手段による前記液面の検出が不可能である場合、前記分注プローブを前記洗剤吸引位置に停止させ、
前記洗剤供給手段は、前記分注プローブが前記洗剤吸引位置に停止した後、前記検出手段により前記液面が検出される位置から、洗剤吸引距離上昇した位置に達する量の前記洗剤を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
影響を受けやすい検査項目を設定する影響項目設定手段を有し、
前記分注プローブ移動手段は、前記分注プローブが前記洗剤吸引位置に停止してから許容時間内に前記検出手段による前記液面の検出が不可能である場合、後続する前記影響項目設定手段により設定された検査項目を含む前記試料の分注を行うための前記分注プローブの移動を停止させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
分注を停止した前記試料の情報を通知するためのメッセージを出力する出力手段を有することを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗剤ポット内へ供給された前記洗剤の液面を、この液面と前記分注プローブとの接触により検出する検出手段を有し、
前記分注プローブ移動手段は、前記分注プローブが前記洗剤吸引位置へ移動している途中で前記検出手段により検出された位置から、洗剤吸引距離下げた位置で前記分注プローブを停止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記検出手段は、試料容器に収容された前記試料の液面を、この液面と前記分注プローブとの接触により検出し、
前記洗剤吸引距離は、前記試料の液面が前記検出手段により検出された位置から、前記試料の吸引が可能な深さまで前記分注プローブを移動する試料吸引距離以上の距離であることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記試料を収容する容器、この容器から吸引された前記試料が吐出される反応容器間に配置された前記分注プローブを分注終了毎に洗浄水で洗浄する洗浄手段を有し、
前記洗剤ポットは、前記洗浄手段の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項8】
試料及び試薬を分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試薬を吸引して吐出する分注を行う分注プローブと、
前記分注プローブを洗浄する洗剤を貯留するための洗剤ポットと、
前記分注プローブを移動して、前記洗剤ポットの洗剤吸引位置又はこの位置の近傍に停止させる分注プローブ移動手段と、
前記洗剤ポットの洗剤吸引位置又はこの近傍に停止した前記分注プローブが吸引する前記洗剤を前記洗剤ポットへ供給する洗剤供給手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−257248(P2011−257248A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131489(P2010−131489)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】