説明

自動変速機用コントロールスイッチ

【課題】補強部材の耐腐食性を向上してハウジングの破損を防ぐ。
【解決手段】ハウジング1(ボディ1a)の鍔部6に、ハウジング1を車体(あるいは自動変速機)に取り付けるためのボルトが挿通される長円形のボルト挿通孔31が貫通した筒状の補強部材30がそれぞれインサート成形されている。また補強部材6は、表面が陽極酸化皮膜で覆われたアルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成されている。補強部材30の表面が陽極酸化被膜で覆われているため、融雪剤等の腐食性物質が補強部材30に付着しても補強部材30が腐食することがないから、ハウジング1の補強部材30を覆っている部位(鍔部6)が破損してしまう虞もない。また、補強部材30の腐食を避けるためにハウジング1の取付位置が制限されてしまうことも回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における自動変速機のシフトレバーの切換操作で、パーキング、リバース、ニュートラル、ドライブ、2速、1速というようなシフトポジションを示すポジション信号を発生する自動変速機用コントロールスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動変速機のシフトレバーの切換操作に応じてハウジング内を回動する可動体を備え、該可動体に可動接点を設けるとともに可動体の回動位置に応じて可動接点と接触・開離する複数の固定接点をハウジング内に設け、接触又は開離する可動接点と固定接点の組み合わせに対応した自動変速機のシフトポジションを示すポジション信号を出力する自動変速機用コントロールスイッチが種々提供されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2007−155068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、軽量化やコストダウンを図るためにハウジングが合成樹脂成形品で構成される場合が有る。一方、ハウジングを合成樹脂成形品で構成した場合、車体若しくは自動変速機にハウジングを取り付けるボルトを受けるため、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製のカラー(取付用のボルトを挿通するためのボルト挿通孔が貫通した筒状の補強部材)がハウジングにインサート成形される。
【0004】
しかしながら、ハウジングが取り付けられる位置によっては、融雪剤等の腐食性物質がカラー(補強部材)に付着し、カラー(補強部材)が腐食してしまうことがある。そして、カラー(補強部材)が腐食すると、ハウジングのカラー(補強部材)を覆っている部位にカラー(補強部材)の腐食膨張による応力がかかり、当該部位が破損してしまう虞があった。また、このようなカラー(補強部材)の腐食を避けるためにハウジングの取付位置が制限されてしまっていた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、補強部材の耐腐食性を向上してハウジングの破損を防ぐことができる自動変速機用コントロールスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、自動変速機のシフトレバーの切換操作に応じてハウジング内を回動する可動体を備え、該可動体に可動接点を設けるとともに可動体の回動位置に応じて可動接点と接触・開離する複数の固定接点をハウジング内に設け、接触又は開離する可動接点と固定接点の組み合わせに対応した自動変速機のシフトポジションを示すポジション信号を出力する自動変速機用コントロールスイッチにおいて、前記ハウジングは、取付用のボルトを挿通するためのボルト挿通孔が貫通した筒状の補強部材がインサート成形された合成樹脂成形品からなり、当該補強部材は、表面が陽極酸化皮膜で覆われたアルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成されている補強部材の表面が陽極酸化皮膜で覆われているので、補強部材の耐腐食性を向上してハウジングの破損を防ぐことができる。また、補強部材の耐腐食性が向上することでハウジングの取付位置が制限されないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態の自動変速機用コントロールスイッチは、図1及び図2に示すように、それぞれ略扇形に形成された合成樹脂成形品からなるボディ1aとカバー1bとを嵌合してなるハウジング1と、このハウジング1の内部に回動自在に収められる可動体10とを備えている。
【0009】
可動体10は一端に円筒形の軸部13を有する主体11を備え、主体11のボディ1aと対向する面(図1における下面)に設けられた凹所(図示せず)内にコイルばね14によりボディ1a側へ弾性付勢された複数個(図示は1個のみ)の可動接点15が収納される。
【0010】
ボディ1aは一面が開口する扁平な略扇形に形成され、扇の要に相当する部分には可動体10の軸部13の一端側が挿通されて回動自在に枢支する軸受孔4が厚み方向に貫設されている。また、ボディ1aの内底面には一端部にそれぞれ固定接点2が設けられた帯板状の複数の導電体3がインサート成形されている。各固定接点2は軸受孔4を中心にした同心円弧状に配設されており、ハウジング1内で可動体10が具備する可動接点15と対向させてある。また周壁で囲まれ筒状に形成されたコネクタ部20がボディ1aと一体に形成されており、コネクタ部20の内底面には、複数の導電体3の先端が複数列に突出されてコネクタ端子が形成してある。すなわち、ハウジング1に対する可動体10の回動位置に応じて可動体10に保持されている可動接点15が各固定接点2と選択的に接触・開離し、自動変速機のシフトポジションに対応したポジション信号がコネクタ部20に接続された相手側コネクタを介して取り出されるのである。
【0011】
さらにボディ1aにおける扇の要部分の両側には略山型の鍔部6,6が一体に形成されている。鍔部6には、ハウジング1を車体(あるいは自動変速機)に取り付けるためのボルト(図示せず)が挿通される長円形のボルト挿通孔31が貫通した筒状の補強部材30がそれぞれインサート成形されている(図2参照)。また補強部材6は、表面が陽極酸化皮膜で覆われたアルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成されている。
【0012】
而して、本実施形態の自動変速機用コントロールスイッチは、補強部材30のボルト挿通孔31に挿通されたボルトにナットを締め付けることで車体(あるいは自動変速機)に取り付けられるのであるが、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製の補強部材30の表面が陽極酸化被膜で覆われているため、融雪剤等の腐食性物質が補強部材30に付着しても補強部材30が腐食することがないから、ハウジング1の補強部材30を覆っている部位(鍔部6)が破損してしまう虞もない。また、補強部材30の腐食を避けるためにハウジング1の取付位置が制限されてしまうことも回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同上の斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 ハウジング
3 固定接点
6 鍔部
15 可動接点
10 可動体
30 補強部材
31 ボルト挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速機のシフトレバーの切換操作に応じてハウジング内を回動する可動体を備え、該可動体に可動接点を設けるとともに可動体の回動位置に応じて可動接点と接触・開離する複数の固定接点をハウジング内に設け、接触又は開離する可動接点と固定接点の組み合わせに対応した自動変速機のシフトポジションを示すポジション信号を出力する自動変速機用コントロールスイッチにおいて、
前記ハウジングは、取付用のボルトを挿通するためのボルト挿通孔が貫通した筒状の補強部材がインサート成形された合成樹脂成形品からなり、当該補強部材は、表面が陽極酸化皮膜で覆われたアルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成されていることを特徴とする自動変速機用コントロールスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−250360(P2009−250360A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99660(P2008−99660)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】