説明

自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム及び車載装置

【課題】電気自動車が自動車専用道路を利用して長距離移動する場合を想定し、バッテリを充電可能な充電設備に関する有用な情報を乗員に知らせる。
【解決手段】電気自動車である車両2が自動車専用道路を利用して長距離移動する場合に、自動料金収受システムのETC車載器3とETC路側機5とが両者の間で狭域無線通信を行うことで、車両2のバッテリ29の残容量と、自動車専用道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)の充電設備の残容量とを照合し、バッテリ29を充電可能な充電設備が存在すると、そのバッテリ29を充電可能な充電設備が設置されているSAやPAを充電ポイントとして決定し、充電ポイントとして決定されたSAやPAに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側機と車載器とが両者の間で狭域無線通信を行う自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電気自動車に搭載されている車両ナビゲーション装置において、当該電気自動車の駆動源である電力を蓄積するバッテリを充電可能な充電設備(充電ユニット)に関する情報を予め地図データに格納しておくことで、バッテリを充電可能な充電設備の所在位置まで案内することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に開示されている構成では、充電設備の所在位置まで案内することが可能であるが、その充電設備の残容量が不明であるので、充電設備の残容量が不十分であると、目的とする充電設備の所在位置に到着したとしても充電することができないという問題が想定される。又、電気自動車における1回の充電で走行可能な距離が従来のガソリン車における1回の給油で走行可能な距離よりも短いという実情を考慮すると、電気自動車が自動車専用道路(高速道路等の有料道路)を利用して長距離移動する場合にはバッテリを充電したり交換したりする回数が多くなることが想定される。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気自動車が自動車専用道路を利用して長距離移動する場合を想定し、バッテリを充電可能な充電設備に関する有用な情報を乗員に知らせることで、付加価値を高めることができる自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム及び車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムによれば、自動料金収受システムの路側機との間で狭域無線通信を行う車載器側に設けられているバッテリ残容量特定手段は、電気自動車に搭載されているバッテリの残容量を特定し、自動料金収受システムの車載器との間で狭域無線通信を行う路側機側に設けられている充電設備残容量特定手段は、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備の残容量を特定する。充電ポイント決定手段は、自動料金収受システムの車載器と路側機とが両者の間で狭域無線通信を行うことで、バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量と、充電設備残容量特定手段により特定された充電設備の残容量とを照合し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在すると判定すると、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する。充電予約手段は、充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに対して充電を予約し、充電設備情報通知手段は、充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する。
【0007】
これにより、電気自動車が自動車専用道路を利用して長距離移動する場合に、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアにバッテリを充電可能な充電設備が存在すると、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定し、充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに対して充電を予約し、充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知することで、バッテリを充電可能な充電設備に関する有用な情報を乗員に知らせることができ、付加価値を高めることができる。しかも、既存の自動料金収受システムを利用することで、既存の資源を有効に活用することができると共に、新たなインフラの増設を最小限に抑えることができる。
【0008】
請求項2に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムによれば、充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量に基づいて車両の航続可能距離を推測し、車両の現在位置から当該推測した航続可能距離以内に存在するサービスエリアやパーキングエリアを対象とし、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定する。これにより、バッテリを充電可能な充電設備が存在するか否かを判定する対象とするサービスエリアやパーキングエリアを、車両の現在位置から航続可能距離以内に存在するサービスエリアやパーキングエリアに限定することができ、バッテリを充電可能な充電設備が存在するか否かを効率良く判定することができる。
【0009】
請求項3に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムによれば、充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量及び車両が走行する自動車専用道路の道路状況に基づいて車両の航続可能距離を推測する。これにより、車両が走行する自動車専用道路の道路状況に基づいて車両の航続可能距離を推測することで、車両が走行する区間に例えば交通渋滞や交通事故等が発生している場合には交通渋滞や交通事故等を考慮して航続可能距離を短く推測する等、適切に対応することができる。
【0010】
請求項4に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムによれば、充電ポイント決定手段は、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在しないと判定すると、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在すると判定すると、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されている充電スタンドを充電ポイントとして決定する。充電設備情報通知手段は、充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定された充電スタンドに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する。
【0011】
これにより、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアにバッテリを充電可能な充電設備が存在しなくとも、一般道路の充電スタンドにバッテリを充電可能な充電設備が存在すると、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されている充電スタンドを充電ポイントとして決定し、充電ポイントとして決定された充電スタンドに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知することで、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアにバッテリを充電可能な充電設備が存在しない場合であっても、適切に対応することができる。
【0012】
請求項5に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムによれば、充電ポイント決定手段は、路側機側に設けられている。これにより、バッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する処理を路側機側にて行うことができ、車載器側の処理負荷を軽減することができる。
【0013】
請求項6に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムによれば、充電ポイント決定手段は、車載器側に設けられている。これにより、バッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する処理を車載器側にて行うことができ、路側機側の処理負荷を軽減することができる。
【0014】
請求項7に記載した車載装置によれば、バッテリ残容量特定手段は、電気自動車に搭載されているバッテリの残容量を特定し、充電設備残容量取得手段は、自動料金収受システムの車載器と路側機とが両者の間で狭域無線通信を行うことで、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備の残容量を取得する。充電ポイント決定手段は、バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量と、充電設備残容量取得手段により取得された充電設備の残容量とを照合し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在すると判定すると、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する。充電設備情報通知手段は、充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する。
【0015】
これにより、上記した請求項1に記載した構成と同様の作用効果を得ることができ、電気自動車が自動車専用道路を利用して長距離移動する場合に、バッテリを充電可能な充電設備に関する有用な情報を乗員に知らせることができ、付加価値を高めることができる。しかも、既存の自動料金収受システムを利用することで、既存の資源を有効に活用することができると共に、新たなインフラの増設を最小限に抑えることができる。
【0016】
請求項8に記載した車載装置によれば、充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量に基づいて車両の航続可能距離を推測し、車両の現在位置から当該推測した航続可能距離以内に存在するサービスエリアやパーキングエリアを対象とし、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定する。これにより、上記した請求項2に記載した構成と同様の作用効果を得ることができ、バッテリを充電可能な充電設備が存在するか否かを判定する対象とするサービスエリアやパーキングエリアを、車両の現在位置から航続可能距離以内に存在するサービスエリアやパーキングエリアに限定することができ、バッテリを充電可能な充電設備が存在するか否かを効率良く判定することができる。
【0017】
請求項9に記載した車載装置によれば、充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量及び車両が走行する自動車専用道路の道路状況に基づいて車両の航続可能距離を推測する。これにより、上記した請求項3に記載した構成と同様の作用効果を得ることができ、車両が走行する自動車専用道路の道路状況に基づいて車両の航続可能距離を推測することで、車両が走行する区間に例えば交通渋滞や交通事故等が発生している場合には交通渋滞や交通事故等を考慮して航続可能距離を短く推測する等、適切に対応することができる。
【0018】
請求項10に記載した車載装置によれば、充電ポイント決定手段は、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在しないと判定すると、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在すると判定すると、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されている充電スタンドを充電ポイントとして決定する。充電設備情報通知手段は、充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定された充電スタンドに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する。
【0019】
これにより、上記した請求項4に記載した構成と同様の作用効果を得ることができ、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアにバッテリを充電可能な充電設備が存在しない場合であっても、適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
【図2】車両ナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図
【図3】一連の処理の流れを示すシーケンス図
【図4】図3相当図
【図5】充電設備情報通知画面を示す図
【図6】図5相当図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、自動料金収受(ETC)システムを利用した充電設備情報通知システムの全体構成を示している。自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム1は、車両2に搭載されているETC車載器3(本発明でいう自動料金収受システムの車載器)及び車両ナビゲーション装置4(本発明でいう車載装置)と、路側に設置されているETC路側機5(本発明でいう自動料金収受システムの路側機、充電設備残容量特定手段、充電ポイント決定手段、充電予約手段)とを備えて構成されている。車両2は電力を駆動源とする電気自動車である。
【0022】
ETC車載器3は、決済機能を有するICカードであるETCカード6を装着可能であり、ETCカード6が装着されている状態では車両2が自動車専用道路(高速道路等の有料道路)を走行する対価としての通行料金を決済するのに必要な各種情報を当該ETCカード6から読取る機能を有している。
【0023】
ETC路側機5は、自動車専用道路の料金所ゲートに設置され、料金所ゲートの所定範囲に狭域無線通信圏内を形成しており、ETC車載器3を搭載している車両2が当該狭域無線通信圏内を通過することに応じて当該ETC車載器3との間で狭域無線通信(路車間通信)を行い、各種情報(車両登録番号、車両区分、ETCカード番号、ETCカード有効期限等)をETC車載器3との間で送受信することで通行料金を自動的に決済する機能を有している。
【0024】
又、ETC路側機5は、自動車専用道路の複数地点に点在している複数の料金所ゲートに設置されている複数のETC路側機5を統括するETC管理センター装置7、自動車専用道路に関する道路交通情報(渋滞情報や事故情報等)を配信する道路交通情報センター装置8、自動車専用道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)に設置されている充電設備(充電ユニット)に関する各種情報を管理するSA/PA充電設備管理装置9、一般道路の充電スタンドに設置されている充電設備に関する各種情報を管理する充電スタンド充電設備管理装置10との間で広域通信網11を通じて接続されており、それら各装置7〜10との間で広域通信可能に構成されている。
【0025】
SA/PA充電設備管理装置9は、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備の残容量を管理する充電設備残容量データベースを保持しており、サービスエリアやパーキングエリアに設置されている端末装置(図示せず)と例えば定期的に広域通信を行うことで、サービスエリアやパーキングエリア毎の充電設備の最新の残容量を取得し、充電設備残容量データベースを逐一更新する。同様に、充電スタンド充電設備管理装置10は、一般道路の充電スタンドに設置されている充電設備の残容量を管理する充電設備残容量データベースを保持しており、充電スタンドに設置されている端末装置(図示せず)と例えば定期的に広域通信を行うことで、充電スタンド毎の充電設備の最新の残容量を取得し、充電設備残容量データベースを逐一更新する。
【0026】
図2は、車両ナビゲーション装置4の構成を機能ブロック図により示している。車両ナビゲーション装置4は、制御部12(本発明でいうバッテリ残容量取得手段、充電ポイント決定手段)、位置検出器13、記録媒体装着部14、操作スイッチ群15、通信制御部16、外部メモリ17、表示装置18(本発明でいう充電設備情報通知手段)、音声コントローラ19、音声認識部20、リモコンセンサ21、外部装置インタフェース部22(本発明でいう充電設備残容量取得手段)及びバッテリ残容量検出部23を備えて構成されている。
【0027】
制御部12は、CPU、RAM、ROM及びI/Oバスを有し、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。位置検出器13は、Gセンサ13a、ジャイロスコープ13b、距離センサ13c及びGPS受信機13dを備えて構成され、これらの各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。制御部12は、これら各構成要素から入力した検出信号を互いに補完して車両の現在位置を検出(特定)する。この場合、位置検出器13は、要求される検出精度で車両の現在位置を検出可能であれば、これら全ての構成要素を備える必要はなく、又、ステアリングの舵角を検出するステアリングセンサや各車輪の回転を検出する車輪センサ等が組合わされて構成されていても良い。
【0028】
記録媒体装着部14は、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード又はHDD等の記録媒体24を装着する。記録媒体24は、地図データ、道路データ、目印データ及びマップマッチング用データ等を記録している。操作スイッチ群15は、表示装置18の周辺に配置されているメカニカルスイッチや表示装置18に形成されるタッチスイッチから構成され、乗員が何れかのスイッチを操作すると、その操作内容を示す操作検出信号を制御部12に出力する。
【0029】
通信制御部16は、携帯電話機25を接続可能であり、携帯電話機25の通信動作を制御する。外部メモリ17は、HDD等の大容量記憶装置から構成され、大容量のデータを記憶する。表示装置18は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成され、メニュー画面や目的地設定画面等の各種の表示画面を表示すると共に、車両の現在位置を示す現在位置マークや走行軌跡等を地図データの地図上に重畳表示する。尚、表示装置18は、有機ELやプラズマディスプレイ装置等から構成されていても良い。
【0030】
音声コントローラ19は、音声認識部20を動作制御すると共に、スピーカ26から例えば経路案内ガイダンスや警告ガイダンス等を出力する。音声認識部20は、マイク27が入力した音声を音声認識アルゴリズムにしたがって音声認識する。リモコンセンサ21は、操作リモコン28から送信された操作検出信号を受信し、乗員が行う操作内容を検出して操作検出信号を制御部12に出力する。
【0031】
外部装置インタフェース部22は、上記したETC車載器3を有線接続しており、ETCカード6がETC車載器3に装着されている状態でETC車載器3がETCカード6から読取った通行料金を決済するのに必要な各種情報を入力すると、その入力した各種情報を制御部12に出力する。バッテリ残容量検出部23は、車両2の駆動源である電力を蓄積するバッテリ29の残容量を検出し、その検出した残容量を示す残容量検出信号を制御部12に出力する。
【0032】
上記した制御部12は、車両の現在位置と地図データに含まれている道路データとを使用して車両の現在位置が存在する道路をマップマッチングして特定するマップマッチング機能、マップマッチングして特定した車両の現在位置から乗員が設定した目的地までの経路を探索する経路探索機能、探索した経路及び地図データに含まれている道路データや交差点の位置データ等に基づいて経路案内に必要な地点を算出して経路案内する経路案内機能、車両の現在位置周辺の地図や高速道路の略図や交差点付近の拡大図等を描画する描画機能等のナビゲーションを行うための周知の機能を備えている。又、制御部12は、ボデー系ECU30及び走行制御系ECU31を接続しており、それらボデー系ECU30及び走行制御系ECU31との間で各種情報を送受信可能に構成されている。
【0033】
次に、上記した構成の作用について、図3乃至図6を参照して説明する。図3及び図4は、車両ナビゲーション装置4、ETC車載器3、ETC路側機5が本発明に関連して行う一連の処理の流れをシーケンス図により示している。
【0034】
ETC車載器3は、電源投入状態ではETC路側機5から送信されている電波信号をサーチすることで、ETC車載器3を搭載している車両がETC路側機5により形成されている狭域無線通信圏内に進入したか否かを監視している。ここで、ETC車載器3は、車両2がETC路側機5により形成されている狭域無線通信圏内に進入し、ETC路側機5から送信されている電波信号を受信したと判定すると、狭域無線通信開始信号を車両ナビゲーション装置4に出力する。
【0035】
車両ナビゲーション装置4において、制御部12は、ETC車載器3から出力された狭域無線通信開始信号を外部装置インタフェース部22を通じて入力すると、車両登録番号、バッテリ29の満容量(最大充電可能容量)、バッテリ残容量検出部23により検出されたバッテリ29の残容量、車格、燃費情報等を含む車両情報を外部装置インタフェース部22からETC車載器3に出力させる。ETC車載器3は、車両ナビゲーション装置4から出力された車両情報を入力すると、その入力した車両情報を狭域無線通信によりETC路側機5に送信する。
【0036】
ETC路側機5は、ETC車載器3から送信された車両情報を狭域無線通信により受信すると、当該ETC路側機5が設置されている料金所ゲートから近い(例えば料金所ゲートからの距離が数100キロメートル以内の)サービスエリアやパーキングエリアを対象とし、それら対象としたサービスエリアやパーキングエリアに充電設備が設置されているか否かを判定すると共に、充電設備が設置されていると判定した場合にはSA/PA充電設備管理装置9に保持されている充電設備残容量データベースに基づいて充電設備の残容量を取得し、充電設備が設置されているか否かを示す充電設備有無情報、充電設備の残容量等を含むSA/PA情報を狭域無線通信によりETC車載器3に送信する。ETC車載器3は、ETC路側機5から送信されたSA/PA情報を狭域無線通信により受信すると、その受信したSA/PA情報を車両ナビゲーション装置4に出力する。
【0037】
車両ナビゲーション装置4において、制御部12は、ETC車載器3から出力されたSA/PA情報を外部装置インタフェース部22を通じて入力すると、バッテリ残容量検出部23により検出されたバッテリ29の残容量と当該入力したSA/PA情報とに基づいてバッテリ29を充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する。具体的に説明すると、制御部12は、バッテリ29の残容量から航続可能距離を推定し、その推定した航続可能距離より近いサービスエリアやパーキングエリアにバッテリ29を充電するのに十分な残容量を有する充電設備が存在すると判定すると、そのサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する。そして、制御部12は、その充電ポイントとして決定したサービスエリアやパーキングエリアを特定可能な充電ポイント情報を外部装置インタフェース部22からETC車載器3に出力させる。ETC車載器3は、車両ナビゲーション装置4から出力された充電ポイント情報を入力すると、その入力した充電ポイント情報を狭域無線通信によりETC路側機5に送信する。
【0038】
ETC路側機5は、ETC車載器3から送信された充電ポイント情報を狭域無線通信により受信すると、例えば車両登録番号を含む予約情報を当該充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている端末装置に送信し、充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに対して充電を予約する。これ以降、サービスエリアやパーキングエリアに滞在している従業員は、ETC路側機5から送信された予約情報により特定される車両登録番号を確認することで、充電を予約した車両2が実際にサービスエリアやパーキングエリアに到着して充電設備で充電したか否かを確認することができる。そして、ETC路側機5は、充電の予約を完了すると、充電を予約した旨を特定可能な予約番号、充電を予約したサービスエリアやパーキングエリアの連絡先(電話番号)等を含む予約完了情報を狭域無線通信によりETC車載器3に送信する。ETC車載器3は、ETC路側機5から送信された予約完了情報を狭域無線通信により受信すると、その受信した予約完了情報を車両ナビゲーション装置4に出力する。
【0039】
車両ナビゲーション装置4において、制御部12は、ETC車載器3から出力された予約完了情報を外部装置インタフェース部22を通じて入力すると、充電ポイントとして決定したサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する。具体的には、制御部12は、図5に示すような充電設備情報通知画面32を表示装置18に表示させる。充電設備情報通知画面32では、バッテリ29の残容量を示す残容量情報32a、バッテリ29の残容量から推定された航続可能距離を示す航続可能距離情報32b、充電ポイントとして決定したサービスエリアやパーキングエリアまでの車両の現在からの距離、充電ポイントとして決定したサービスエリアやパーキングエリアの名称、充電の予約を特定可能な予約番号、充電を予約したサービスエリアやパーキングエリアの連絡先(電話番号)を含む予約情報32cが表示されると共に、乗員が操作可能な発信釦32dがタッチ釦として形成されている。
【0040】
この場合、制御部12は、乗員が発信釦32dを押下したと判定すると、携帯電話機25が接続されていることを条件とし、充電を予約したサービスエリアやパーキングエリアに設置されている電話機を発信先として携帯電話機25から自動発信し、発信先である充電を予約したサービスエリアやパーキングエリアに設置されている電話機が応答すると、携帯電話機25と発信先の電話機との間で音声回線を接続させる。これにより、乗員は、充電を予約したサービスエリアやパーキングエリアに滞在している従業員と音声通話することができる。
【0041】
ところで、上記した構成では、車両ナビゲーション装置4が充電ポイントを決定する構成を説明したが、図4に示すように、ETC路側機5が充電ポイントを決定するようにしても良い。又、航続可能距離より近いサービスエリアやパーキングエリアにバッテリ29を充電するのに十分な残容量を有する充電設備が存在していない場合に、充電スタンド充電設備管理装置10に保持されている充電設備残容量データベースを利用することで、車両の現在位置から近い一般道路の充電スタンドにバッテリ29を充電するのに十分な残容量を有する充電設備が存在するか否かを判定し、車両の現在位置から近い一般道路の充電スタンドにバッテリ29を充電するのに十分な残容量を有する充電設備が存在すると判定すると、図6に示すような、充電設備情報通知画面33を表示装置18に表示させても良い。充電設備情報通知画面33では、バッテリ29の残容量を示す残容量情報33a、バッテリ29の残容量から推定された航続可能距離を示す航続可能距離情報33b、充電可能な充電スタンドまでの案内、充電可能な充電スタンドの名称、充電可能な充電スタンドの連絡先(電話番号)を含む案内情報33cが表示されると共に、乗員が操作可能な発信釦33dがタッチ釦として形成されている。
【0042】
この場合も、制御部12は、乗員が発信釦33dを押下したと判定すると、携帯電話機25が接続されていることを条件とし、充電可能な充電スタンドに設置されている電話機を発信先として携帯電話機25から自動発信し、発信先である充電可能な充電スタンドに設置されている電話機が応答すると、携帯電話機25と発信先の電話機との間で音声回線を接続させる。これにより、乗員は、充電可能な充電スタンドに滞在している従業員と音声通話することができる。
【0043】
尚、ETC車載器3とETC路側機5とは、上記した本発明に関係する一連の処理を、従来からの通行料金を決済するのに必要な各種情報を送受信する処理と並行して行っても良いし、従来からの通行料金を決済するのに必要な各種情報を送受信する処理を終了した後に行っても良い。
【0044】
以上に説明したように本実施形態によれば、電気自動車である車両2が自動車専用道路を利用して長距離移動する場合に、自動料金収受システムのETC車載器3とETC路側機5とが両者の間で狭域無線通信を行うことで、車両2に搭載されているバッテリ29の残容量と、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備の残容量とを照合し、バッテリ29を充電可能な充電設備が存在すると、そのバッテリ29を充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定し、充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに対して充電を予約し、充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知するように構成したので、バッテリ29を充電可能な充電設備に関する有用な情報を乗員に知らせることができ、付加価値を高めることができる。しかも、既存の自動料金収受システムを利用することで、既存の資源を有効に活用することができると共に、新たなインフラの増設を最小限に抑えることができる。
【0045】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
車両2の航続可能距離を推測する場合に、単にバッテリ29の残容量のみに基づいて車両2の航続可能距離を推測することに限らず、道路交通情報センター装置8から配信された自動車専用道路に関する道路交通情報(渋滞情報や事故情報等)を利用して航続可能距離を推測するようにしても良い。即ち、車両2が走行する区間に例えば交通渋滞や交通事故等が発生している場合には交通渋滞や交通事故等を考慮して航続可能距離を短く推測するようにしても良い。
【0046】
充電設備情報通知画面32、33におけるバッテリ29の残容量を示す残容量情報32a、33aにおいて、バッテリ29の残容量に応じて表示色を区別しても良い。即ち、残容量情報32a、33aをバッテリ29の残容量が減少するにしたがって例えば青、緑、黄、赤の順序で表示させても良い。
【0047】
充電設備情報を乗員に対して通知する方法として、充電設備情報通知画面32、33を表示装置18に表示させることに限らず、その旨の音声ガイダンスをスピーカ26から出力させても良いし、それらを併用しても良い。
【0048】
車両2が料金所ゲートを通過する時点では料金所ゲートを通過した後に上り方向又は下り方向の何れを走行するかを判定不可能であるが、例えば過去の走行履歴を利用することで車両2が料金所ゲートを通過した後に走行する方向を推測し、その推測した方向のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備を対象としても良い。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム、3はETC車載器(自動料金収受システムの車載器)、4は車両ナビゲーション装置(車載装置)、5はETC路側機(自動料金収受システムの路側機、充電設備残容量特定手段、充電ポイント決定手段、予約情報通知手段)、12は制御部(バッテリ残容量取得手段、充電ポイント決定手段)、18は表示装置(充電設備情報通知手段)、22は外部装置インタフェース部(充電設備残容量取得手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動料金収受システムの路側機との間で狭域無線通信を行う車載器側に設けられ、電気自動車に搭載されているバッテリの残容量を特定するバッテリ残容量特定手段と、
自動料金収受システムの車載器との間で狭域無線通信を行う路側機側に設けられ、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備の残容量を特定する充電設備残容量特定手段と、
自動料金収受システムの車載器と路側機とが両者の間で狭域無線通信を行うことで、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量と、前記充電設備残容量特定手段により特定された充電設備の残容量とを照合し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在すると判定した場合に、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する充電ポイント決定手段と、
前記充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに対して充電を予約する充電予約手段と、
前記充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する充電設備情報通知手段と、を備えたことを特徴とする自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム。
【請求項2】
請求項1に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムにおいて、
充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量に基づいて車両の航続可能距離を推測し、車両の現在位置から当該推測した航続可能距離以内に存在するサービスエリアやパーキングエリアを対象とし、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定することを特徴とする自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム。
【請求項3】
請求項2に記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムにおいて、
充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量及び車両が走行する自動車専用道路の道路状況に基づいて車両の航続可能距離を推測することを特徴とする自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムにおいて、
前記充電ポイント決定手段は、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在しないと判定した場合に、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在すると判定した場合に、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されている充電スタンドを充電ポイントとして決定し、
前記充電設備情報通知手段は、前記充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定された充電スタンドに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知することを特徴とする自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムにおいて、
前記充電ポイント決定手段は、路側機側に設けられていることを特徴とする自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載した自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システムにおいて、
前記充電ポイント決定手段は、車載器側に設けられていることを特徴とする自動料金収受システムを利用した充電設備情報通知システム。
【請求項7】
電気自動車に搭載されているバッテリの残容量を特定するバッテリ残容量特定手段と、
自動料金収受システムの車載器と路側機とが両者の間で狭域無線通信を行うことで、自動車専用道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備の残容量を取得する充電設備残容量取得手段と、
前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量と、前記充電設備残容量取得手段により取得された充電設備の残容量とを照合し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在すると判定した場合に、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されているサービスエリアやパーキングエリアを充電ポイントとして決定する充電ポイント決定手段と、
前記充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定されたサービスエリアやパーキングエリアに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知する充電設備情報通知手段と、を備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項8】
請求項7に記載した車載装置において、
充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量に基づいて車両の航続可能距離を推測し、車両の現在位置から当該推測した航続可能距離以内に存在するサービスエリアやパーキングエリアを対象とし、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在するか否かを判定することを特徴とする車載装置。
【請求項9】
請求項8に記載した車載装置において、
充電ポイント決定手段は、前記バッテリ残容量特定手段により特定されたバッテリの残容量及び車両が走行する自動車専用道路の道路状況に基づいて車両の航続可能距離を推測することを特徴とする車載装置。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れかに記載した車載装置において、
前記充電ポイント決定手段は、バッテリを充電可能な充電設備がサービスエリアやパーキングエリアに存在しないと判定した場合に、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在するか否かを判定し、バッテリを充電可能な充電設備が一般道路の充電スタンドに存在すると判定した場合に、そのバッテリを充電可能な充電設備が設置されている充電スタンドを充電ポイントとして決定し、
前記充電設備情報通知手段は、前記充電ポイント決定手段により充電ポイントとして決定された充電スタンドに設置されている充電設備に関する充電設備情報を乗員に対して通知することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−220834(P2011−220834A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90370(P2010−90370)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】