説明

自動精米装置

【課題】 利用者が持ち込んだ米粒を精米処理して白米を得ることができるのみならず、その場において所望の米粒(白米、あるいは籾や玄米)を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる自動精米装置及び自動精米装置における精米運転方法を得る。
【解決手段】 自動精米装置10は、精米処理部10A及びこれに併設する貯蔵庫10Bによって構成されている。貯蔵庫10Bは貯蔵した所定の米粒を精米処理部10Aへ供給することができる。これにより、精米処理部10Aは、利用者が持ち込んだ籾または玄米を精米処理して白米を得ることができるのみならず、貯蔵庫10Bからの米粒を処理して、その場で白米、あるいは籾や玄米を利用者に提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は投入された籾または玄米を精米処理する自動精米装置及び自動精米装置における精米運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】精米装置のうち、コインやプリペイドカードに応じて作動し、供給ホッパ内に投入された米粒(籾または玄米)を白米に処理する自動精米装置が知られている。
【0003】このような従来の自動精米装置では、機体の内部に籾摺機及び精米機が配置されており、精米機は石抜き機を介して籾摺機に連結されている。一方、機体の前面壁には米粒が投入される供給ホッパが配置されている。この供給ホッパには、米粒搬送用のスクリューコンベヤが設けられており、投入された米粒を機体の内部へ搬送できる。さらに、供給ホッパ(スクリューコンベヤ)は、機体の内部において昇降機に連結されている。昇降機の米粒搬送出口には切替え弁が設けられている。この切替え弁は、処理する米粒が籾あるいは玄米であるかを選択することにより作動して、昇降機によって搬送した米粒を籾摺機または石抜き機(すなわち、精米機)の何れかへ供給できるようになっている。
【0004】またさらに、機体の前面壁には、コイン投入部及びカード挿入部が設けられており、コインを投入できると共にカードが挿入できる。コインを投入後あるいはプリペイドカードを挿入後に運転スイツチを操作すると、投入されたコインまたは挿入されたプリペイドカードに応じて自動精米装置が作動する。
【0005】この自動精米装置を利用する際には、供給ホッパへ米粒を投入すると共に、コインを投入しまたはプリペイドカードを挿入し、次いで、穀物選択ボタンを選択操作することによって、処理する(供給ホッパへ投入した)米粒が籾か玄米かを選択する。さらに、運転スイツチを操作すると、投入された米粒が供給ホッパのスクリューコンベヤによって機体の内部へ搬送されて昇降機に供給される。昇降機では、選択された米粒の種別(籾か玄米か)に応じて切替え弁が切り替わり、籾の場合はそのまま籾摺機へ供給されて籾摺り処理された後に、石抜き機を介して精米機に送り込まれ、精米機で精米処理され白米となって取り出される。一方、処理する(供給ホッパへ投入した)米粒が玄米の場合には、昇降機から籾摺機へ供給されることなく、直接石抜き機を介して精米機へ供給され、同様に精米処理され白米となって取り出される。
【0006】このように、従来の自動精米装置は、投入された籾または玄米を自動的に精米処理して白米にできる。
【0007】ところで、このような籾または玄米を自動的に精米処理して白米にできる自動精米装置では、前述した如く米粒(籾か玄米)を利用者が持ち込み、持ち込んだ米粒を供給ホッパへ投入して精米処理が行われるようになっているが、利用者のなかには、このように米粒を持ち込んで精米処理するのは不便でありその場で直接所望の白米を購入したいと要求する者もいる。また利用者のなかには、このような自動精米装置で白米を得るのではなく、籾か玄米の状態のままで購入したいという者もいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情を考慮し、利用者が持ち込んだ米粒(籾か玄米)を精米処理して白米を得ることができるのみならず、その場において所望の米粒(白米、あるいは籾か玄米)を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる自動精米装置及び自動精米装置における精米運転方法を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の自動精米装置は、籾または玄米が投入されると共に投入された籾または玄米を搬送する供給ホッパを有し、前記供給ホッパに投入された籾または玄米を自動的に精米処理する精米処理部と、前記精米処理部に併設され、籾または玄米を貯蔵すると共に貯蔵された籾または玄米を前記精米処理部の供給ホッパに投入可能な貯蔵庫と、を備えている。
【0010】請求項1記載の自動精米装置では、例えば、利用者が籾または玄米を持ち込んで精米処理する場合には、持ち込んだ米粒(籾または玄米)を精米処理部の供給ホッパへ投入する。供給ホッパへ投入された米粒は、供給ホッパから精米処理部へ供給されて精米処理され、白米となって取り出される。
【0011】一方、利用者がその場において所望の米粒(白米、あるいは籾か玄米)を得たいという場合には、精米処理部に併設された貯蔵庫から所望の米粒が精米処理部の供給ホッパに投入される。籾か玄米を得たい場合にはそのまま取り出され、白米を得たい場合には、前述と同様の精米処理が実施されて白米となって取り出される。
【0012】このように、請求項1記載の自動精米装置では、利用者が持ち込んだ米粒(籾か玄米)を精米処理して白米を得ることができるのみならず、その場において所望の米粒(白米、あるいは籾か玄米)を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる。
【0013】請求項2に係る発明の自動精米装置における精米運転方法は、供給された籾または玄米を自動的に精米処理する精米処理部と、前記精米処理部に併設され籾または玄米を貯蔵すると共に貯蔵された籾または玄米を前記精米処理部へ供給可能な貯蔵庫と、から成る自動精米装置を設け、処理する籾または玄米を前記貯蔵庫から購入し前記購入した籾または玄米がそのまま前記精米処理部へ供給されて精米処理する第1の処理コースと、前記貯蔵庫から籾または玄米を購入することなく精米するための籾または玄米を直接前記精米処理部へ投入して精米処理する第2の処理コースと、を設定し、前記第1の処理コース及び第2の処理コースの何れか一方を選択して精米運転を実施する、ことを特徴としている。
【0014】請求項2記載の自動精米装置における精米運転方法では、精米処理部と貯蔵庫とから成る自動精米装置が設けられ、さらに、この自動精米装置において第1の処理コースと第2の処理コースとが設定される。
【0015】ここで、例えば、利用者が籾または玄米を持ち込んで精米処理する場合には、第2の処理コースを選択し、この第2の処理コースに基づいて精米運転が実施される。この場合には、持ち込んだ精米するための籾または玄米を直接精米処理部へ投入すると、精米処理部において精米処理が実施されて白米となって取り出される。
【0016】一方、利用者がその場において所望の白米を得たいという場合には、第1の処理コースを選択し、この第1の処理コースに基づいて精米運転が実施される。この場合には、精米処理部に併設された貯蔵庫から籾または玄米が精米処理部へ供給され、精米処理部において精米処理が実施され、白米となって取り出される。
【0017】このように、請求項2記載の自動精米装置における精米運転方法では、利用者が持ち込んだ米粒(籾か玄米)を精米処理して白米を得ることができるのみならず、その場において所望の白米を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる。
【0018】請求項3に係る発明の自動精米装置における精米運転方法は、供給された籾または玄米を自動的に精米処理する精米処理部と、前記精米処理部に併設され籾または玄米を貯蔵すると共に貯蔵された籾または玄米を前記精米処理部へ供給可能な貯蔵庫と、から成る自動精米装置を設け、処理する籾または玄米を前記貯蔵庫から購入し前記購入した籾または玄米がそのまま前記精米処理部へ供給されて精米処理する第3の処理コースと、籾または玄米を前記貯蔵庫から購入し購入した籾または玄米を前記精米処理部へ供給することなく終える第4の処理コースと、前記貯蔵庫から籾または玄米を購入することなく精米するための籾または玄米を直接前記精米処理部へ投入して精米処理する第5の処理コースと、を設定し、前記第3の処理コース乃至第5の処理コースの何れか一つを選択して精米運転を実施する、ことを特徴としている。
【0019】請求項3記載の自動精米装置における精米運転方法では、精米処理部と貯蔵庫とから成る自動精米装置が設けられ、さらに、この自動精米装置において第3の処理コース乃至第5の処理コースが設定される。
【0020】ここで、例えば、利用者が籾または玄米を持ち込んで精米処理する場合には、第5の処理コースを選択し、この第5の処理コースに基づいて精米運転が実施される。この場合には、持ち込んだ精米するための籾または玄米を直接精米処理部へ投入すると、精米処理部において精米処理が実施されて白米となって取り出される。
【0021】また、利用者がその場において所望の米粒を籾または玄米の状態のままで購入したい場合には、第4の処理コースを選択し、この第4の処理コースに基づいて運転が実施される。この場合には、精米処理部に併設された貯蔵庫から籾または玄米が購入できる。
【0022】一方、利用者がその場において所望の白米を得たいという場合には、第3の処理コースを選択し、この第3の処理コースに基づいて精米運転が実施される。この場合には、精米処理部に併設された貯蔵庫から籾または玄米が精米処理部へ供給され、精米処理部において精米処理が実施され、白米となって取り出される。
【0023】このように、請求項3記載の自動精米装置における精米運転方法では、利用者が持ち込んだ米粒(籾か玄米)を精米処理して白米を得ることができるのみならず、その場において所望の米粒(白米、あるいは籾か玄米)を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1には本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置10の全体正面図が示されている。
【0025】自動精米装置10は、精米処理部10Aと貯蔵庫10Bによって構成されている。ここで、図2にはこの精米処理部10Aの概略全体構成図が示されている。精米処理部10Aは、機体12の前面壁13を境にして機械室12Aと操作室12Bに区画されている。操作室12Bには、米粒(籾Mまたは玄米G)が投入される供給ホッパ14が設けられている。供給ホッパ14の底部には、米粒搬送用のスクリューコンベヤ15が内蔵されており、供給ホッパ14内に投入された米粒を機体12の機械室12Aへ搬送することができる。
【0026】スクリューコンベヤ15の米粒搬送方向終端部は、機体12の機械室12Aに配置された昇降機16に連結されている。昇降機16は、供給ホッパ14へ投入されスクリューコンベヤ15によって供給された米粒を機体12の上部へ持ち上げ搬送できる。また、昇降機16の放出口には切替弁44が設けられている。機体12内部の昇降機16の側方には、脱ぷ部としての籾摺機18が配置されている。籾摺機18は、一対のゴムロール機構を備えたロール式とされており、米粒(籾M)の脱ぷ処理ができる。なおこの脱ぷ部は、他の型式のもの例えば、高速回転羽を備えた衝撃式の遠心脱ぷ機であっても差し支えない。
【0027】籾摺機18の側方には石抜き機20が配置されており、籾摺機18の排出口18Aに対応している。このため、籾摺機18を経由した後の玄米Gは石抜き機20へ供給されるようになっている。
【0028】なお、これらの籾摺機18及び石抜き機20は、適宜の樋等によってそれぞれ独立して昇降機16の切替弁44に連通されており、切替弁44が切替え作動することにより、昇降機16からそれぞれ直接に米粒が供給されるようになっている。
【0029】また、機械室12Aの昇降機16の側方(図2では下方)には、精米機22が配置されており、石抜き機20を経由後の玄米Gが供給されるようになっている。精米機22は、精白ロールを備えた縦型円筒摩擦式とされており、玄米Gの精米処理ができる。なおこの精米機22は、他の型式のもの例えば、横型円筒式のものであっても差し支えない。
【0030】精米機22の側方には糠回収機24が配置されており、精米処理の際に発生する米糠を回収し袋25に集積できる。
【0031】また、精米機22の放出口22Aに対応した機体12の操作室12Bには、集積タンク26が配置されており、精米処理後の白米Hを袋27に集積できる。
【0032】一方、以上の構成の精米処理部10Aの側方には、貯蔵庫10Bが併設されている。ここで、図3にはこの貯蔵庫10Bの構成が概略的な側面図にて示されており、図4には貯蔵庫10Bの構成が概略的な平面図にて示されている。
【0033】この貯蔵庫10Bには、左右一対のタンク64及びタンク66が設けられている。各タンク64、66はそれぞれ漏斗状に設けられており、内部に米粒(籾Mまたは玄米G)を貯蔵することができる。また、これらのタンク64、66の側方には、張り込みホッパ68が配置されている。張り込みホッパ68には、外部から米粒を投入して張り込むことができる。張り込みホッパ68の側方には昇降機70が立設されており、張り込みホッパ68内の米粒を持ち上げ搬送することができる。
【0034】昇降機70の上端部付近には、上スクリューコンベヤ72が設けられている。上スクリューコンベヤ72は、タンク64、66の上端部に延出されており、昇降機70によって持ち上げ搬送された米粒をさらにタンク64、66の上部へ搬送することができる。さらに、上スクリューコンベヤ72の先端下部には繰出し口74が形成されると共に、中間下部には開閉弁76が設けられている。この開閉弁76を操作することで、上スクリューコンベヤ72によって搬送される米粒をタンク64あるいはタンク66の何れかに繰り出すことができる。例えば、開閉弁76を「開」状態とすれば、上スクリューコンベヤ72によって搬送される米粒を一方のタンク64へ繰り出すことができ、開閉弁76を「閉」状態とすれば、上スクリューコンベヤ72によって搬送される米粒を他方のタンク66へ繰り出すことができる構成である。
【0035】一方、タンク64、66の下端開口部には、それぞれ計量シャッタ78、80が設けられており、開閉作動することでタンク64、66内の米粒を下方へ落下供給することができる。計量シャッタ78、80のそれぞれ直下には、受ホッパ82が配置されており、計量シャッタ78、80から落下供給される米粒を受け取ることができる。また、受ホッパ82の底部には、米粒計量用のロードセル84、及び米粒搬送用のスクリューコンベヤ86が内蔵されている。このロードセル84によって受ホッパ82が受け取る米粒量(換言すれば、計量シャッタ78、80の開閉タイミング)を検出することができる。また、スクリューコンベヤ86は、受け取った米粒をエゼクタ88へ搬送することができる。
【0036】エゼクタ88には、パイプ90を介してブロア92が接続されており、スクリューコンベヤ86によって搬送された米粒を、ブロア92から送給される高圧空気によって送り出すことができる。さらにこのエゼクタ88には、搬送パイプ94が接続されている。搬送パイプ94の他端部は、前述した精米処理部10Aの供給ホッパ14に接続されている。すなわち、エゼクタ88によって送り出される米粒は、搬送パイプ94を介して精米処理部10Aの供給ホッパ14に送り込まれる構成である。
【0037】またさらに、精米処理部10Aには、操作パネル28が配置されている。操作パネル28は、機体12の前面壁13の供給ホッパ14の上方に設けられており、図5に示す如く、コイン投入部30及びカード挿入部32が設けられている。
【0038】コイン投入部30では、操作パネル28に開口する投入口34が設けられており、所定のコイン(例えば、100円硬貨)が投入できる。一方、カード挿入部32では、操作パネル28に開口する挿入口35が設けられており、所定のカード(例えば、所謂クローズド型のプリペイドカード)が挿入できる。
【0039】また、コイン投入部30の側方の操作パネル28には、コース別に設定された各種の選択ボタンが設けられている。ここで、この自動精米装置10は、本発明の第1の実施の形態に係る精米運転方法が適用されて2つの運転コース(後に詳述)が設定されており、各コース別に選択ボタンが設けられている。
【0040】第1の処理コースとしてのAコースは「米購入・精米コース」とされており、その場で白米Hを得ることができるコースであり、一方、第2の処理コースとしてのBコースは「米持込・精米コース」とされており、籾Mまたは玄米Gを持ち込んでこれを精米処理するためのコースである。
【0041】Aコース(米購入・精米コース)では、銘柄指定ボタン96、及び量指定ボタン98が設けられており、さらに、運転スタートボタン100が設けられている。また、Bコース(米持込・精米コース)では、種類選択ボタン102、及び白度選択ボタン104が設けられている。
【0042】以上の構成の各駆動部や選択ボタンは制御装置50に接続されている。ここで、図6には制御装置50の概略構成が示されている。制御装置50では、入力インタフエース52に前述した銘柄指定ボタン96、量指定ボタン98、運転スタートボタン100、種類選択ボタン102、及び白度選択ボタン104が接続されると共に、コインセンサ54、カードセンサ56、及び貯蔵庫10Bのロードセル84が接続されている。一方、出力インタフエース58には、精米処理部10Aのスクリューコンベヤ15、昇降機16、籾摺機18、石抜き機20、精米機22の各駆動モータ、切替弁44、精米機22の白度設定モータ60がそれぞれ接続されると共に、貯蔵庫10Bの昇降機70、上スクリューコンベヤ72、開閉弁76、計量シャッタ78、80、スクリューコンベヤ86、及びブロア92の各駆動モータがそれぞれ接続されている。また、CPU62は、予め記憶された制御ルーチンのプログラムに従って前記各部品を制御する。
【0043】ここで、図7には本第1の実施の形態に係る自動精米装置10に適用された精米運転の工程図が示されており、この図7を参照しながら本第1の実施の形態の作用を説明する。
【0044】上記構成の自動精米装置10を利用する際には、利用者は自動精米装置10において設定されたAコース(米購入・精米コース)またはBコース(米持込・精米コース)の何れかを選択する。
【0045】ここで、例えば、利用者が米粒(籾Mまたは玄米G)を持ち込んで精米処理する場合には、Bコース(米持込・精米コース)を選択し、このBコースに基づいて精米運転が実施される。
【0046】すなわち、持ち込んだ籾Mあるいは玄米Gを供給ホッパ14へ投入する(工程200)。さらに、コインをコイン投入部30の投入口34へ投入するか、カードをカード挿入部32へ挿入する(工程202)。次いで、工程204において種類選択ボタン102を操作すると、この種類選択ボタン102の操作に基づいて、すなわち処理する米粒が籾Mであるか、あるいは玄米Gであるかに基づいて、切替弁44が切替え作動される。さらに、工程206において白度選択ボタン104を操作すると、スクリューコンベヤ15、昇降機16、籾摺機18、石抜き機20、精米機22の各駆動モータ、精米機22の白度設定モータ23が作動されて運転が開始される(工程208)。
【0047】運転が開始されると、供給ホッパ14へ投入された籾Mあるいは玄米Gは、供給ホッパ14のスクリューコンベヤ15によって機体の内部へ搬送される。さらに、例えば仮に、処理する米粒が籾Mである場合には、籾Mが昇降機16へと搬送され、さらに、昇降機16によって持ち上げ搬送された籾Mは、切替弁44から籾摺機18へ送り込まれ、籾摺機18によって籾摺り処理(脱ぷ処理)されて玄米Gとなり、さらに石抜き機20へ供給される。一方、処理する米粒が玄米Gである場合には、玄米Gが昇降機16へと搬送され、さらに、昇降機16によって持ち上げ搬送された玄米Gは、切替弁44から直接に石抜き機20へ供給される。
【0048】さらに、石抜き機20を通過した玄米Gは、精米機22へ供給される。精米機22では、供給された玄米Gの精米処理が行われた後に、精米処理後の白米Hが集積タンク26へ排出されて袋27に集積される(工程210)。
【0049】一方、利用者がその場において(籾Mや玄米Gを持ち込むことなく)所望の白米Hを得たいという場合には、Aコース(米購入・精米コース)を選択し、このAコースに基づいて精米運転が実施される。
【0050】この場合には、銘柄指定ボタン96を選択して操作する(工程220)と共に、量指定ボタン98を選択して操作する(工程222)。さらに、コインをコイン投入部30の投入口34へ投入するか、カードをカード挿入部32へ挿入する(工程224)。次いで、工程226において運転スタートボタン100が操作されると、精米処理部10Aに併設された貯蔵庫10Bから指定された銘柄の米粒(籾Mまたは玄米G)が精米処理部10Aへ供給される。
【0051】すなわち、工程228において、指定された銘柄に対応するタンク64またはタンク66の計量シャッタ78または計量シャッタ80の何れかが開放され、受ホッパ82へ落下供給される。受ホッパ82では、落下供給された指定銘柄の米粒がロードセル84によって指定量計量される(工程230)。指定量に達した時点で、計量シャッタ78または計量シャッタ80は閉鎖される。
【0052】さらに、工程232において、受ホッパ82内の米粒はスクリューコンベヤ86によってエゼクタ88へ搬送され、搬送パイプ94を介して精米処理部10Aの供給ホッパ14へ送り込まれる。
【0053】以後は、工程234において、前述と同様に精米処理部10Aにおいて精米運転が実施され、精米処理後の白米Hが取り出される(工程236)。
【0054】このように、本第1の実施の形態に係る自動精米装置10及びその精米運転方法では、利用者が持ち込んだ米粒(籾Mか玄米G)を精米処理して白米Hを得ることができるのみならず、その場において所望の白米Hを得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる。
【0055】次に本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、前述した第1の実施の形態と基本的に同一の部品には、前記第1の実施の形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0056】第2の実施の形態に係る自動精米装置110では、操作パネル112が配置されている。図8に示す如く、操作パネル112には、コース別に設定された各種の選択ボタンが設けられている。ここで、この自動精米装置110は、本発明の第2の実施の形態に係る精米運転方法が適用されて3つの運転コース(後に詳述)が設定されており、各コース別に選択ボタンが設けられている。
【0057】第3の処理コースとしてのCコースは「米購入・精米コース」とされており、その場で白米を得ることができるコースであり、一方、第4の処理コースとしてのDコースは「米購入コース」とされており、所望の米粒(籾または玄米)を購入するコースである。また、第5の処理コースとしてのEコースは「米持込・精米コース」とされており、籾または玄米を持ち込んでこれを精米処理するためのコースである。
【0058】Cコース(米購入・精米コース)では、銘柄指定ボタン96、及び量指定ボタン98が設けられており、さらに、運転スタートボタン100が設けられている。また、Dコース(米購入コース)では、銘柄指定ボタン114、及び量指定ボタン116が設けられている。さらに、Eコース(米持込・精米コース)では、種類選択ボタン102、及び白度選択ボタン104が設けられている。
【0059】なお、他の精米処理部10Aの構成や貯蔵庫10Bの構成は、前記第1の実施の形態と同じである。
【0060】ここで、図9には本第2の実施の形態に係る自動精米装置10に適用された精米運転の工程図が示されており、この図9を参照しながら本第2の実施の形態の作用を説明する。
【0061】上記構成の自動精米装置110を利用する際には、利用者は自動精米装置110において設定されたCコース(米購入・精米コース)、Dコース(米購入コース)、またはEコース(米持込・精米コース)の何れかを選択する。
【0062】ここで、例えば、利用者が米粒(籾Mまたは玄米G)を持ち込んで精米処理する場合には、Eコース(米持込・精米コース)を選択し、このEコース(米持込・精米コース)に基づいて精米運転が実施される。なお、このEコース(米持込・精米コース)における精米運転工程は、前述した第1の実施の形態におけるBコース(米持込・精米コース)と同じである。
【0063】また、利用者がその場において所望の米粒を籾Mまたは玄米Gの状態のままで購入したい場合には、Dコース(米購入コース)を選択し、このDコース(米購入コース)に基づいて運転が実施される。
【0064】この場合には、銘柄指定ボタン114を選択して操作する(工程240)と共に、量指定ボタン116を選択して操作する(工程242)。さらに、コインをコイン投入部30の投入口34へ投入するか、カードをカード挿入部32へ挿入する(工程244)。これにより、精米処理部10Aに併設された貯蔵庫10Bから指定された銘柄の米粒(籾Mまたは玄米G)が精米処理部10Aへ供給される。
【0065】すなわち、工程246において、指定された銘柄に対応するタンク64またはタンク66の計量シャッタ78または計量シャッタ80の何れかが開放され、受ホッパ82へ落下供給される。受ホッパ82では、落下供給された指定銘柄の米粒がロードセル84によって指定量計量される(工程248)。指定量に達した時点で、計量シャッタ78または計量シャッタ80は閉鎖される。
【0066】さらに、工程250において、受ホッパ82内の米粒はスクリューコンベヤ86によってエゼクタ88へ搬送され、搬送パイプ94を介して精米処理部10Aの供給ホッパ14へ送り込まれ、米粒(籾Mまたは玄米G)のうち指定されたものがその状態のままで取り出される。この場合の米粒の取り出し方は、図示はしないが、供給ホッパ14内で袋に直接受け取れるようにしてある。なお、米粒を直接集積タンク26に搬送して袋27で受け取れるようにしてもよい。
【0067】一方、利用者がその場において(籾Mや玄米Gを持ち込むことなく)所望の白米Hを得たいという場合には、Cコース(米購入・精米コース)を選択し、このCコースに基づいて精米運転が実施される。なお、このCコース(米購入・精米コース)における精米運転工程は、前述した第1の実施の形態におけるAコース(米購入・精米コース)と同じであり、指定された精米処理後の白米Hが取り出される。
【0068】このように、本第2の実施の形態に係る自動精米装置110及びその精米運転方法では、利用者が持ち込んだ米粒(籾Mか玄米G)を精米処理して白米Hを得ることができるのみならず、その場において所望の米粒(白米H、あるいは籾Mか玄米G)を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができる。
【0069】なお、前述した各実施の形態においては、貯蔵庫10Bに一対のタンク64及びタンク66を設け、内部に籾Mまたは玄米Gを貯蔵することができる構成としたが、タンク64、66に銘柄の異なる籾Mをそれぞれ貯蔵するように構成したり、タンク64、66に銘柄の異なる玄米Gをそれぞれ貯蔵するように構成してもよい。また、一対のタンク64、66を設ける構成とするに限らず、3個以上のタンクを設け、籾Mまたは玄米Gを複数種類貯蔵するように構成してもよく、あるいは、単一のタンクを設けた構成としてもよい。これらの場合には、タンクに貯蔵される米粒に応じて、銘柄指定ボタン96、種類選択ボタン102、あるいは銘柄指定ボタン114等を適宜変更して設定すればよい。
【0070】また、前述した各実施の形態においては、精米処理部10Aに籾摺機18を設け、籾Mあるいは玄米Gの何れであっても対応して精米処理できる構成としたが、これに限らず、精米処理部10Aに籾摺機18を設けず玄米G専用の精米処理部として構成することもできる。
【0071】
【発明の効果】以上説明した如く本発明に係る自動精米装置及び自動精米装置における精米運転方法は、利用者が持ち込んだ米粒(籾か玄米)を精米処理して白米を得ることができるのみならず、その場において所望の米粒(白米、あるいは籾か玄米)を得たいという個々の利用者の異なるニーズにそれぞれ対応することができるという優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置の精米処理部の概略全体構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置の貯蔵庫の構成を示す概略的な側面図図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置の貯蔵庫の構成を示す概略的な平面図図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置の操作パネルの構成を示す正面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置の制御装置の構成図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る自動精米装置に適用された精米運転の工程図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る自動精米装置の操作パネルの構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る自動精米装置に適用された精米運転の工程図である。
【符号の説明】
10 自動精米装置
10A 精米処理部
10B 貯蔵庫
14 供給ホッパ
15 スクリューコンベヤ
16 昇降機
18 籾摺機
20 石抜き機
22 精米機
28 操作パネル
68 張り込みホッパ
70 昇降機
72 上スクリューコンベヤ
78 計量シャッタ
80 計量シャッタ
82 受ホッパ
86 スクリューコンベヤ
88 エゼクタ
M 籾
G 玄米
H 白米

【特許請求の範囲】
【請求項1】 籾または玄米が投入されると共に投入された籾または玄米を搬送する供給ホッパを有し、前記供給ホッパに投入された籾または玄米を自動的に精米処理する精米処理部と、前記精米処理部に併設され、籾または玄米を貯蔵すると共に貯蔵された籾または玄米を前記精米処理部の供給ホッパに投入可能な貯蔵庫と、を備えた自動精米装置。
【請求項2】 供給された籾または玄米を自動的に精米処理する精米処理部と、前記精米処理部に併設され籾または玄米を貯蔵すると共に貯蔵された籾または玄米を前記精米処理部へ供給可能な貯蔵庫と、から成る自動精米装置を設け、処理する籾または玄米を前記貯蔵庫から購入し前記購入した籾または玄米がそのまま前記精米処理部へ供給されて精米処理する第1の処理コースと、前記貯蔵庫から籾または玄米を購入することなく精米するための籾または玄米を直接前記精米処理部へ投入して精米処理する第2の処理コースと、を設定し、前記第1の処理コース及び第2の処理コースの何れか一方を選択して精米運転を実施する、ことを特徴とする自動精米装置における精米運転方法。
【請求項3】 供給された籾または玄米を自動的に精米処理する精米処理部と、前記精米処理部に併設され籾または玄米を貯蔵すると共に貯蔵された籾または玄米を前記精米処理部へ供給可能な貯蔵庫と、から成る自動精米装置を設け、処理する籾または玄米を前記貯蔵庫から購入し前記購入した籾または玄米がそのまま前記精米処理部へ供給されて精米処理する第3の処理コースと、籾または玄米を前記貯蔵庫から購入し購入した籾または玄米を前記精米処理部へ供給することなく終える第4の処理コースと、前記貯蔵庫から籾または玄米を購入することなく精米するための籾または玄米を直接前記精米処理部へ投入して精米処理する第5の処理コースと、を設定し、前記第3の処理コース乃至第5の処理コースの何れか一つを選択して精米運転を実施する、ことを特徴とする自動精米装置における精米運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2000−24528(P2000−24528A)
【公開日】平成12年1月25日(2000.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−199305
【出願日】平成10年7月14日(1998.7.14)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】