説明

自動車の側部車体構造

【課題】車両重量の増加を抑制しつつ、リヤサイド部を構成するインナパネルの回り込んだ部位にショルダーアンカーを十分な剛性を確保しつつ取り付けることがことができると共に、リヤサイド部周辺の車体デザインの自由度を向上させることができる自動車の側部車体構造を提供する。
【解決手段】リヤサイドインナパネル20における車体後部3側に回り込んだ部位20bのショルダーアンカー5の取付部に、該部を補強するアンカーレインフォースメント50を接合すると共に、リヤサイド部4の下部に形成されたホイールハウス部4aの上端部から、前記リヤサイド部4の中空空間内を通って上方に延び、上端部が前記アンカーレインフォースメント5と接合されるリヤサイドレインフォースメント40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の側部車体構造に関し、シートベルト装置のショルダーアンカー取付部の補強構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、乗員の保護のためシートベルト装置が設けられる。このシートベルト装置は、周知のようにリトラクタ内に収容されたベルト部材を、車体側に支持されたショルダーアンカーを介して引き出し可能に構成されている。
【0003】
その場合に、車体側部にリヤサイドドア用開口部が、車体後部にテールゲート用開口部がそれぞれ設けられるような車両においては、後部座席用のショルダーアンカーは、リヤサイドドア用開口部とテールゲート用開口部との間のリヤサイド部の上部、例えばリヤピラー部に取り付けられる場合があるが、ショルダーアンカーの取付部には、車体に衝撃力が作用したような場合でも乗員を良好に保持可能なように十分な取付剛性が要求されており、そのための補強構造として特許文献1に記載のものがある。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載の補強構造は、リヤピラー部を構成するリヤピラーインナパネルとリヤピラーアウタパネルとの間に補強部材を介設すると共に、該補強部材とインナパネルとの重合部にショルダーアンカーを取り付けたものである。
【0005】
【特許文献1】特開平8−127312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のものの場合、補強部材はリヤピラー部の前端から後端まで設けられているので、該補強部材として比較的大きなものが必要となる。
【0007】
また、車体後部のデザイン上、前記リヤピラー部を比較的大きく前傾させたい場合があるが、この場合、リヤピラー部へのショルダーアンカーの取付位置が前方に移動することとなり、乗員を良好に保持できなくなる虞がある。そこで、リヤピラーインナパネル(リヤサイドインナパネル)の後端部を車体後部側に回り込ませると共に、この回り込んだ部位にショルダーアンカーを取り付けることが考えられるが、この場合、補強部材をリヤピラー部の前端から後端まで設けると、補強部材の前後方向長が長くなって該部材が一層大型化し、車両重量が増加することとなる。つまり、前傾させることに対しての制約となり、リヤサイド部周辺の車体デザインの自由度が少なくなる。
【0008】
そこで、本発明は、車両重量の増加を抑制しつつ、リヤサイド部を構成するインナパネルの回り込んだ部位にショルダーアンカーを十分な剛性を確保しつつ取り付けることがことができると共に、リヤサイド部周辺の車体デザインの自由度を向上させることができる自動車の側部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体側部にリヤサイドドア用開口部が、車体後部にテールゲート用開口部がそれぞれ設けられており、かつ、前記リヤサイドドア用開口部とテールゲート用開口部との間のリヤサイド部が、該リヤサイド部の外面を構成するリヤサイドアウタパネルと、該リヤサイド部の内面を構成し、前端部及び後端部が前記リヤサイドアウタパネルに接合されたリヤサイドインナパネルとで中空状に構成されていると共に、前記リヤサイドインナパネルの後端部が車体後部側に回り込み、この回り込んだ部位にシートベルト装置のショルダーアンカーが取り付けられる自動車の側部車体構造であって、前記リヤサイドインナパネルにおける前記前記車体後部側に回り込んだ部位のショルダーアンカーの取付部に、該部を補強するアンカーレインフォースメントが接合されていると共に、前記リヤサイド部の下部に形成されたホイールハウスから、前記リヤサイド部の中空空間内を通って上方に延び、上部が前記アンカーレインフォースメントと接合されるリヤサイドレインフォースメントが設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の自動車の側部車体構造において、前記アンカーレインフォースメントの後端部は、前記リヤサイドアウタパネルの後端部とインナパネルの後端部との接合部に重合して接合されていることを特徴とする。
【0012】
そして、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の自動車の側部車体構造において、前記アンカーレインフォースメントの前端部と後端部との間には、前記リヤサイドインナパネルに対して離間する離間部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項2または請求項3に記載の自動車の側部車体構造において、前記リヤサイドアウタパネルは、車体側部の意匠面を構成するサイドパネルと、車体側部の後端面を構成し、前記サイドパネルより厚板のコーナーパネルとで構成されていると共に、前部がホイールハウス上部に接合され、後部がコーナーパネルに接合されるブレース部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の自動車の側部車体構造において、前記ホイールハウスの上方で、前記リヤサイドインナパネル内面との間に略上下方向に延びる閉断面空間を形成し、下部が前記ホイールハウスの上部に前記ブレース部材と共に重合接合されるガセット部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
次に、本発明の効果について説明する。
【0016】
まず、請求項1に記載の発明によれば、シートベルト装置のショルダーアンカーの取付部を補強するアンカーレインフォースメントが、上下方向に延びるリヤサイドレインフォースメントを介してもともと比較的剛性の高いホイールハウスに連結されることとなるので、これにより、リヤサイドインナパネルにおける車体後部側に回り込んだ部位にショルダーアンカーを取り付けたとしても十分な取付剛性を確保することができる。したがって、リヤサイド部上部のリヤピラー部を例えば前傾させたような場合でも、リヤピラー部の前端から後端に至るような大きな補強部材が不要となり、リヤサイド部周辺の車体デザインの自由度が向上することとなる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記アンカーレインフォースメントの後端部は、前記リヤサイドアウタパネルの後端部とインナパネルの後端部との接合部、すなわち剛性の高い部位に重合して接合されているので、ショルダーアンカーの取付剛性が一層向上することとなる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記アンカーレインフォースメントの前端部と後端部との間には、前記リヤサイドインナパネルに対して離間する離間部が設けられているから、ショルダーアンカーの取付部近傍の剛性が向上することとなる。
【0019】
そして、請求項4に記載の発明によれば、リヤサイドアウタパネルは、車体側部の意匠面を構成するサイドパネルと、車体側部の後端面を構成し、前記サイドパネルより厚板のコーナーパネルとで構成されていると共に、前部がホイールハウス上部に接合され、後部がコーナーパネルに接合されるブレース部材が設けられているから、リヤサイドレインフォースメントとアンカーレインフォースメントとコーナーパネルとブレース部材とで枠状の補強構造が形成されることとなり、その結果、ショルダーアンカーの取付部だけでなく、その周囲の広い範囲にわたって車体剛性が向上することとなる。
【0020】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、ホイールハウスの上方で、前記リヤサイドインナパネル内面との間に略上下方向に延びる閉断面空間を形成し、下部が前記ホイールハウスの上部に前記ブレース部材と共に重合接合されるガセット部材が設けられているので、ホイールハウスの上部が補強されると共に、前記枠状の補強構造がさらに補強されることとなる。つまり、車体の剛性が一層向上することとなる。加えて、ホイールハウス上部には、サンスペンション装置のダンパが一般に支持されるので、該ダンパの支持剛性も向上することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る自動車の側部車体構造について説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係る自動車1の車体側面を構成する車体側部2の後部には、リヤサイドドア用の開口部X1が設けられていると共に、車体後面を構成する車体後部3にはテールゲート用開口部X2が設けられている。リヤサイドドア用開口部の車内側には、リヤシートSが設けられている。
【0023】
リヤサイドドア用開口部X1とテールゲート用開口部X2との間の車体を構成するリヤサイド部4の下部には、後輪用ホイールハウス部4aが形成されている。上部は、リヤピラー部4bを構成し、比較的大きな角度で前傾している。
【0024】
リヤピラー部4bの車内側の面、詳しくは、後述するがリヤサイドインナパネル20における車体後部側に回り込んだ面20bに、シートベルト装置のシートベルトアンカ5が取り付けられている(図3参照)。また、リヤサイド部4の内部空間には、シートベルト装置のリトラクタ6が収容されている(図3参照)。
【0025】
次に、リヤサイド部4の構造について説明する。
【0026】
このリヤサイド部4は、図2〜図4に示すように、主たる構成部材として、リヤサイド部4の外面(意匠面)を構成するリヤサイドアウタパネル10と、リヤサイド部4の内面(さらに内面側には必要に応じてトリム等が設けられている)を構成するリヤサイドインナパネル20と、リヤホイールハウス部4aの車幅方向内側部分を構成するリヤホイールハウスインナパネル30とを有している。
【0027】
リヤサイドアウタパネル10は、リヤサイド部4の外側面(意匠面)を構成するキャブサイドアウタパネル11と、車体側部2におけるテールゲートの閉時に左右の縁部が覆いかぶさる後端面を構成し、テールゲート用開口部X2の左右両縁に沿って略上下(前後)に延び、後方側が開口する断面略コ字状で前記キャブサイドアウタパネル11より厚板ののコーナーパネル12とで構成されている。キャブサイドアウタパネル11の前傾する後縁部には、折り返し部11aが設けられ、該折り返し部11aと、コーナーパネル12の縦壁部12aとが接合されている。なお、コーナーパネル12は、車体側部2の後縁部の剛性向上のためキャブサイドアウタパネル11やリヤサイドインナパネル20よりも厚い板材により形成されている。
【0028】
リヤサイドインナパネル20は、面方向が略車幅方向を指向する基本面部20aと、該基本面部20aの後端から車体後部側(車幅方向内側)に回り込んで斜め後方に延び、面方向が略車両前後方向を指向する回り込み面部20bと、該回り込み面部20bの後端(車幅方向内端)から後方に延びる(上方に立ち上がる)縦面部20cと、該縦面部20cの車幅方向内側に形成され、後述するアンカーレインフォースメント50の後端部50cを挟んでコーナーパネル12の後端部12b(車幅方向内端部、リヤサイドアウタパネル10の後端部)に接合される後端部20eと、リヤホイールハウス部4aの車幅方向外側部分を構成する膨出部20dとを有している。なお、特許請求の範囲における車体後部側へ回り込んだ部位は、前記回り込み面部20bと縦面部20cと後端部20eとを含むものである。
【0029】
リヤホイールハウスインナパネル30は、サスペンションダンパRが固定されるほぼ水平な水平面部30aと、該水平面部30aの前後の傾斜面部30b,30cと、水平面部30a及び傾斜面部30b,30cの車幅方向外端から上方に立ち上がり、前記リヤサイドインナパネル20に接合されるフランジ部30dと、水平面部30a及び傾斜面部30b,30cの車幅方向内端から下方に延びる縦面部30eとを有している。
【0030】
ここで、リヤサイド部4の閉断面空間内には、前記ショルダーアンカー5の取付部を補強するためのリヤサイドレインフォースメント40及びアンカーレインフォースメント50が配設されている
【0031】
リヤサイドレインフォースメント40は、リヤサイドインナパネル20の外面側で、前記リヤホイールハウス部4aの上部からリヤサイド部4における前記回り込み面部20bまで略上方に延びる形状とされている。詳しくは、該リヤサイドレインフォースメント40は、水平断面がハット状とされており、前後のフランジ部40a,40bがリヤサイドインナパネル20の基本面部20aの外面に接合され、下端部のフランジ部40cがリヤサイドインナパネル20における膨出部20dの上面に接合され、上端部の傾斜するフランジ部40dがリヤサイドインナパネル20の回り込み面部20bの外面に接合され、リヤサイドインナパネル20との間に略上下方向に延びる閉断面空間を形成している。
【0032】
また、アンカーレインフォースメント50は、リヤサイドインナパネル20の回り込み面部20bに接合される基面部50aと、該基面部50aの後端(図4、図5の上端)から、リヤサイドインナパネル20の縦面部20cに略平行に離間した状態で後方(図4、図5における上方)に延びる縦面部50bとを有している。そして、この縦面部50bの後端部50cと、前記コーナーパネル12の後端部(リヤサイドアウタパネル10の後端部)12bと、リヤサイドインナパネル20の後端部20eとが重合接合されると共に、前端部50dと、リヤサイドレインフォースメント40の上部のフランジ部40dと前記リヤサイドインナパネル20の回り込み面部20bとが重合接合されている。また、アンカーレインフォースメント50にはそれぞれアンカーレインフォースメント50自体の車幅方向の曲げ剛性を高めるための折り返し部50e,50fが設けられている。そして、前記コーナーパネル12の後端部(リヤサイドアウタパネル10の後端部)12bと、リヤサイドインナパネル20の後端部20eとが重合接合された部位に、ショルダーアンカー5がボルトナットにより固定されている。
【0033】
ここで、前記アンカーレインフォースメント50の縦面部50bと、リヤサイドインナパネル20の縦面部20cとは離間して設けられており、これにより、離間部Yが構成されている。
【0034】
また、リヤホイールハウス部4aの上部と、リヤサイドインナパネル20の回り込み面部20bにおけるリヤホイールハウス部4aの上部とほぼ同高さの部位との間には、これらを連結して車体を補強するブレース部材60が設けられている。
【0035】
このブレース部材60は、略水平な本体部60aを有し、該本体部60aの車幅方向外端から上方に立ち上がる外フランジ部60bが、前記リヤホイールハウスインナパネル30のフランジ部30d及びリヤサイドインナパネル20の基本面部20aに接合され、本体部60aの後端から上方に立ち上がる後フランジ部60cが、回り込み面部20bとコーナーパネル12とが面的に接合された部位に重合して接合され、本体部60aの車幅方向内端から下方に延びる内フランジ部60dの前端部が、リヤホイールハウスインナパネル30の縦面部30e上部に接合されている。また、本体部60aの前端部の車幅方向内方側の部分60eは、ホイールハスウスインナパネル30の水平面部30aの上面に接合された補強用厚板8に上方から覆いかぶさり、外方側の部分60fは、水平面部30aの上面に接合されている。そして、ホイールハスウスインナパネル30の水平面部30aと補強用厚板8とが接合された部位にサスペンションダンパRの上端部がボルトナットにより固定されている。
【0036】
リヤサイドインナパネル20の基本面部20aの車内側には、リヤホイールハウス部4aの上方で、上下方向に延びるガセット部材70が設けられている。このガセット部材70は、水平断面がハット状とされており、前後のフランジ部70a,70bがリヤサイドインナパネル20の基本面部20aの車内側の面に接合され、リヤサイドインナパネル20との間に略上下方向に延びる閉断面空間を形成している。また、前後のフランジ部70a,70bの下部は、ほぼ水平となっており、前側のフランジ部70aはリヤホイールハウスインナパネル30の上面部30aに接合されている。これに対し、後側のフランジ部70bはブレース部材60の本体部60bの前期外側の部分60fに接合されている。つまり、フランジ部70aの下部と、リヤホイールハウスインナパネル30の上面部30aと、ブレース部材60の本体部60bとが重合接合されている。また、ガセット部材70の基本面部70cの上部内面には、補強部材71が接合され、この接合部にリトラクタ6がボルトナットにより固定されている。つまり、ベルト部材からリトラクタ6に作用する上方への引っ張り力を十分に受け止め可能になっている。
【0037】
次に、本実施の形態に係る自動車1の側部車体構造の作用効果について説明する。
【0038】
まず、ショルダーアンカー5の取付部を補強するアンカーレインフォースメント50が、上下方向に延びるリヤサイドレインフォースメント40を介してもともと比較的剛性の高いリヤホイールハウス部4aに連結されることとなるので、これにより、リヤサイドインナパネル20における車体後部3側に回り込んだ部位20bにショルダーアンカー5を取り付けたとしても十分な取付剛性を確保することができる。したがって、リヤサイド部4の上部のリヤピラー部4bを例えば前傾させたような場合でも、リヤピラー部4bの前端から後端に至るような大きな補強部材が不要となり、リヤサイド部4周辺の車体デザインの自由度が向上することとなる。
【0039】
また、アンカーレインフォースメント50の後端部50cは、リヤサイドアウタパネル10の後端部12bとインナパネル20の後端部20eとの接合部、すなわち剛性の高い部位に重合して接合されているので、ショルダーアンカー5の取付剛性が一層向上することとなる。
【0040】
また、アンカーレインフォースメント50の前端部50dと後端部50cとの間には、前記リヤサイドインナパネル20に対して離間する離間部Yが設けられているから、ショルダーアンカー5が取り付けられる部位近傍の剛性が向上することとなる。
【0041】
そして、リヤサイドアウタパネル10は、車体側部2の意匠面を構成するキャブサイドアウタパネル11と、車体側部2の後端面を構成し、前記キャブサイドアウタパネル11より厚板のリヤサイドアウタパネルコーナーパネル12とで構成されていると共に、前端がリヤホイールハウス部4a上部に接合され、後端がコーナーパネル12に接合されるブレース部材60が設けられているから、リヤサイドレインフォースメント40とアンカーレインフォースメント50とコーナーパネル12とブレース部材60とで枠状の補強構造が形成されることとなり、その結果、ショルダーアンカー5の取付部だけでなく、その周囲の広い範囲にわたって車体剛性が向上することとなる。
【0042】
さらに、リヤホイールハウス部4aの上方で、前記リヤサイドインナパネル20内面との間に略上下方向に延びる閉断面空間を形成し、下部が前記リヤホイールハウス部4aの上部に前記ブレース部材60と共に重合接合されるガセット部材70が設けられているから、リヤホイールハウス部4aの上部が補強されると共に、前記枠状の補強構造がさらに補強されることとなる。つまり、車体の剛性が一層向上することとなる。加えて、サンスペンション装置のサスペンションダンパRの支持剛性も向上することとなる
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、自動車の側部車体構造に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動車の後部側面図である。
【図2】図1のリヤサイド部の拡大図である。
【図3】リヤサイド部の車内側の側面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−端面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 自動車
2 車体側部
3 車体後部
4 リヤサイド部
4a リヤピラー部
4b ホイールハウス部(ホイールハウス)
5 ショルダーアンカー
10 リヤサイドアウタパネル
11 キャブサイドアウタパネル(サイドパネル)
12 コーナーパネル
12b 後端部(リヤサイドアウタパネルの後端部)
20 リヤサイドインナパネル
20e 後端部
30 リヤホイールハウスインナパネル
40 リヤサイドレインフォースメント
50 アンカーレインフースメント
50c 後端部
50d 前端部
60 ブレース部材
70 ガセット部材
R サスペンションダンパ
X1 リヤサイドドア用開口部
X2 テールゲート用開口部
Y 離間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部にリヤサイドドア用開口部が、車体後部にテールゲート用開口部がそれぞれ設けられており、かつ、前記リヤサイドドア用開口部とテールゲート用開口部との間のリヤサイド部が、該リヤサイド部の外面を構成するリヤサイドアウタパネルと、該リヤサイド部の内面を構成し、前端部及び後端部が前記リヤサイドアウタパネルに接合されたリヤサイドインナパネルとで中空状に構成されていると共に、前記リヤサイドインナパネルの後端部が車体後部側に回り込み、この回り込んだ部位にシートベルト装置のショルダーアンカーが取り付けられる自動車の側部車体構造であって、
前記リヤサイドインナパネルにおける前記車体後部側に回り込んだ部位のショルダーアンカーの取付部に、該部を補強するアンカーレインフォースメントが接合されていると共に、
前記リヤサイド部の下部に形成されたホイールハウスから、前記リヤサイド部の中空空間内を通って上方に延び、上部が前記アンカーレインフォースメントと接合されるリヤサイドレインフォースメントが設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の自動車の側部車体構造において、
前記アンカーレインフォースメントの後端部は、前記リヤサイドアウタパネルの後端部とインナパネルの後端部との接合部に重合して接合されていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
【請求項3】
前記請求項2に記載の自動車の側部車体構造において、
前記アンカーレインフォースメントの前端部と後端部との間には、前記リヤサイドインナパネルに対して離間する離間部が設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
【請求項4】
前記請求項2または請求項3に記載の自動車の側部車体構造において、
前記リヤサイドアウタパネルは、車体側部の意匠面を構成するサイドパネルと、車体側部の後端面を構成し、前記サイドパネルより厚板のコーナーパネルとで構成されていると共に、
前部がホイールハウス上部に接合され、後部がコーナーパネルに接合されるブレース部材が設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。
【請求項5】
前記請求項4に記載の自動車の側部車体構造において、
前記ホイールハウスの上方で、前記リヤサイドインナパネル内面との間に略上下方向に延びる閉断面空間を形成し、下部が前記ホイールハウスの上部に前記ブレース部材と共に重合接合されるガセット部材が設けられていることを特徴とする自動車の側部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−296890(P2007−296890A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124607(P2006−124607)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】