説明

自動車の荷物管理システム

【課題】荷主が運送業者に依頼して重要な荷物を運送する際に、荷物に対するセキュリティを向上させた自動車の荷物管理システムを提供することにある。
【解決手段】カードリーダ18は、ICカード5に予め登録された生体情報を読み込む。カードリーダ18により読み込まれた生体情報は、メモリ14に記憶される。赤外光源20,21と、イメージセンサ30とにより、生体情報である血管パターンを検出する。マイクロコンピュータ10は、メモリ14に記憶された生体情報と、イメージセンサ30により検出された生体情報が一致する場合、自動車の荷台のドアを解施錠するドア解施錠制御ユニット3に開錠信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の荷物管理システムに係り、特に、トラックやいわゆるバイク便などの物流向け商用車に積載した荷物の管理に好適な自動車の荷物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの物流向け商用車における荷室の解施錠のために、従来から鍵が用いられている。しかし、鍵の場合、鍵を盗難された場合や合鍵により荷室を開錠され、荷室内の荷物が盗難にあう可能性がある。
【0003】
乗用車においては、セキュリティを高めるため、鍵の代わりに生体情報の一種である指紋を個人認証手段(いわゆるバイオメトリクス)として利用して、自動車のドアロック解除やエンジンを始動させることが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
また、よりセキュリティを高める方法として、生体情報として指の血管パターンを含む画像を利用する個人認証の方法が知られている(例えば、特許文献3,4参照)。この方法は、指に近赤外光の成分を含む光源(赤外光源)から光を照射すると、指を透過して指から再放射される近赤外光の強度分布に指の血管パターン(主として静脈のパターン)の情報が含まれるので、これをイメージセンサにより検出し、検出した指の血管パターンとあらかじめ登録した指の血管パターンとの一致、不一致を判定することにより、指の血管パターンを登録した個人を特定し認証するものである。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−53972号公報
【特許文献2】特開平6−72291号公報
【特許文献3】特開2001−184507号公報
【特許文献4】特開2003−30632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、物流向け商用車は、乗用車と異なって、運転手が変わる可能性がある。生体認証装置への登録方法を知っている者は、荷室の荷物の盗難目的で生体認証装置に登録することで、認証において正当な開錠権利を持つ者と判定され、荷室の荷物を盗難する可能性がある。また、とくに荷物の運送を依頼する荷主が運送業者に依頼して重要な荷物を運ぶ際に、運送中に運転手を含む荷主以外の者が荷室を開錠されないようにしたい場合も考えられる。
【0007】
本発明の目的は、荷主が運送業者により重要な荷物を運送する際に、荷物に対するセキュリティを向上させた自動車の荷物管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、予め登録された生体情報を読み込む読込手段と、前記読込手段により読み込まれた前記生体情報を記憶する記憶手段と、生体情報を検出する検出手段と、前記記憶手段に記憶された生体情報と、前記検出手段により検出された生体情報が一致する場合、自動車の荷台のドアを解施錠する解施錠装置に開錠信号を送信する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
かかる構成により、荷主が運送業者に依頼して重要な荷物を運送する際に、荷物に対するセキュリティを向上し得るものとなる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記読込手段は、ICカードに登録された前記生体情報を読み込むカードリーダである。
【0011】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、前記ICカードから前記生体情報を読み込んだ後、前記ICカード内の前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0012】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記読込手段は、予め登録された前記生体情報を通信で読み込む無線通信回路である。
【0013】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、前記記憶手段に前記生体情報が記憶されている状態では、他の生体情報を追加記憶しないように制御するようにしたものである。
【0014】
(6)上記(1)において、好ましくは、前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0015】
(7)上記(6)において、好ましくは、消去スイッチを備え、前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、前記スイッチが操作されると、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0016】
(8)上記(6)において、好ましくは、前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに前記自動車のエンジン始動後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0017】
(9)上記(6)において、好ましくは、前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに定められた時間の経過後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0018】
(10)上記(6)において、好ましくは、前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに前記自動車が定められた距離の移動後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0019】
(11)上記(6)において、好ましくは、前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに前記自動車が定められた地域外への移動後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去するようにしたものである。
【0020】
(12)上記(6)において、好ましくは、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記生体情報の消去後に、新規の生体情報の登録を可能とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、荷主が運送業者に依頼して重要な荷物を運送する際に、荷物に対するセキュリティを向上し得るものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図1から図3を用いて、本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成および動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による自動車の荷物管理システムの構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【0023】
自動車の荷物管理システムは、個人認証装置2、ドア解施錠制御ユニット3から構成され、トラックなどの荷台に搭載される。このうち、ドア解施錠制御ユニット3は、トラックなどにおける荷室のドア6の鍵に接続され、解施錠に用いられる。
【0024】
個人認証装置2は、指などの生体を置く認証スペース22を有する。なお、個人認証に必要な生体情報としては、指紋、静脈パターン、顔、音声、虹彩、などの既知の生体認証技術を利用できる。生体認証技術として、ここでは、認証開始から結果の通知までの反応時間が短く、本人拒否はほとんどない、指の血管パターンを利用した個人認証装置2を例として説明する。
【0025】
指の血管パターンを利用した個人認証装置2は、マイクロコンピュータ10と、駆動回路12と、メモリ14と、電源回路16と、赤外光源20,21と、イメージセンサ30と、レンズ31と、窓32と、カードリーダ18とを備えている。また、通信路43を介してマイクロコンピュータ10とドア解施錠制御ユニット3に接続されている。
【0026】
赤外光源20,21とイメージセンサ30により、生体情報である血管パターンを検出する検出手段が構成される。
【0027】
マイクロコンピュータ10は、駆動回路12を介して、赤外光源20,21に通電して、赤外光を指Fに向かって照射する。赤外光源20,21は、近赤外光の成分を含む光源である。赤外光源20,21としては、発光ダイオードなどを用いることができる。照射された赤外光は、指F内部で散乱し、また血管内の血液のヘモグロビンで吸収される。散乱、吸収された赤外光は、指Fの掌面(屈側面)から再び放射する。
【0028】
血管パターンを含む再放射した光は、レンズ31を通過して、イメージセンサ30に入射する。イメージセンサ30として、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどを用いる。
【0029】
なお、窓32は個人認証装置2の内部を保護するためのものであるが、さらに、赤外光源の波長帯付近の光のみを透過する特性をもたせ、かつ外側から内部が見えないような機能を持たせてもよい。イメージセンサ30により撮像した血管パターンを含む画像は光電変換されて電気信号となり、マイクロコンピュータ10に取り込む。
【0030】
マイクロコンピュータ10は、照合時における照合用血管パターンと登録血管パターンの一致、不一致の判定、および、個人認証装置2全体の制御なども行なう。
【0031】
ICカード5には、予め、登録血管パターンが登録されている。カードリーダ18に、ICカード5を挿入されることで、マイクロコンピュータ10は、ICカード5に登録されている登録血管パターンを読み出し、メモリ14に記憶し、登録する。カードリーダ18は、予め登録された生体情報を読み込む読込手段である。
【0032】
次に、図2を用いて、本実施形態による自動車の荷物管理システムで個人認証に用いる血管パターンの一例について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムで個人認証に用いる血管パターンの説明図である。
【0033】
例えば、指Fを撮像部の撮像範囲IAの中心に置いた場合、図2に示すように、イメージセンサ30で撮像される像として、指Fの輪郭CFと、血管パターンBVが得られる。この血管パターンBVは個人により異なっている。個人により血管パターンBVが異なるので、あらかじめこのパターンを取得し後述する方法でメモリ14に登録しておくことで照合時に個人の特定が可能となる。
【0034】
次に、図3を用いて、本実施形態による自動車の荷物管理システムに用いる個人認証装置2による個人識別の動作について説明する。個人認証装置2による個人識別の動作は、図1に示したマイクロコンピュータ10に記憶されたプログラムにより制御される。
図3は、本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムに用いる個人認証装置による個人識別の動作を示すフローチャートである。
【0035】
プログラムが開始されると、まず、ステップS10において、マイクロコンピュータ10は、個人認証装置2を初期化する。
【0036】
次に、ステップS20の指検出・光量制御処理に移行する。ステップS22において、マイクロコンピュータ10は、所定の範囲内に指Fが置かれているか検出する。周囲が明るい環境の場合、指Fが置かれることにより、検出される光量レベルが低下するので、指Fが置かれたことを検出できる。また、周囲が暗い環境の場合、指Fが置かれたことにより、指Fからの散乱光により、検出される光量レベルが上がるので、指Fが置かれたことを検出できる。
【0037】
指Fが置かれていれば、さらにステップS24に移行して、適切な画像を取得できるように赤外光源20,21の光量制御を行なう。光量制御は、検出された光量のレベルが一定範囲内となるように、赤外光源20,21の光量を制御する。
【0038】
次に、ステップS30において、マイクロコンピュータ10は、照合開始かどうか判定する。ここでは、ステップS24にて適切に光量制御されたら自動的に認証開始とする。もし、認証開始でなければ、ステップS20に戻り、認証開始の場合には、ステップS40の認証処理に移行する。
【0039】
ステップS40では、取り込んだ画像を用いて照合処理を行なう。
【0040】
まず、ステップS41において、指Fから放射される光の強度分布画像をイメージセンサ30からマイクロコンピュータ10に取り込む。
【0041】
次に、ステップS42において、赤外光源20,21を消灯する。
【0042】
次に、ステップS43において、取得された強度分布に対して、演算処理を行ない、血管パターンBVの特徴パターンを算出する。この特徴パターンを照合用血管パターンとする。なお、本ステップにおける処理の方法については、特開2001−184507号公報に開示されているように、積分処理、微分処理を組み合わせたフィルタ処理を行うことにより実現可能である。
【0043】
次に、ステップS44において、抽出した照合用血管パターンと、あらかじめメモリ14に記憶された登録血管パターンとの照合を行なう。ここでは、ステップS43で抽出した照合用血管パターンと、メモリ14から呼び出した登録血管パターンを比較して、両者の相違の程度を算出する。
【0044】
次に、ステップS45において、ステップS44で算出された相違の程度から、照合結果の判定を行なう。もし、相違の程度が小さい結果があれば、登録されている本人であると判断し、ステップS50へ移行する。また、相違が大きければ、未登録者、または照合失敗として、ステップS46へ移行する。
【0045】
ステップS46では、全登録パターンを照合したか判断し、全パターンが照合されていれば、該当登録血管パターン無しと判断してステップS60へ移行し終了する。照合していない登録血管パターンがあれば、ステップS44へ戻り、照合を繰り返す。
【0046】
そして、照合OKであれば、ステップS50において、通信路43を介してドア解施錠制御ユニット3にドア開錠の信号を出力する。
【0047】
このようにすることで、到着地の荷主のみが荷室のドアの開錠を行なうことが可能となり、運送中に不意に荷室のドアを開錠して荷物を盗難される可能性が小さくなる。
【0048】
次に、自動車の荷物管理システム全体の動作を時間を追って説明する。
【0049】
まず、時刻t1において、個人認証装置2と同じ構成で、別に用意した別の個人認証用登録装置を用いて、荷物の到着地において荷台のドアを開錠する権利を持つ者の血管パターンを取得する作業を行なう。この取得作業は図3に示したフローチャートのステップS43までを行い、得られた特徴パターンを登録血管パターンとする。
【0050】
時刻t2において、取得された登録血管パターンを荷物の出発地に送付する。この送付には、既存の通信インフラ、例えばインターネットや電話回線網を用いる。あるいは、ICカード5などに登録して、出発地に郵送、または直接持参する方法をとっても良い。なお、登録血管パターンの通信送付、または、ICカード5などへの登録後には、個人認証用登録用装置から登録血管パターンを消去するのが望ましい。こうすることで、個人認証用登録装置から登録血管パターンが盗難される恐れが小さくなる。また、登録血管パターンの送付に際しては、暗号化するのが望ましい。また、登録血管パターンの一部のみを送付し、到着地で再合成する構成をとっても良い。また、登録作業は到着地に限定する必要はなく、出発地で行なっても良いし、到着地でも出発地でもない別の場所で行なっても良い。登録血管パターンは1パターンである必要はなく、同一人の複数指、または、複数人から複数の登録血管パターンを取得しても良い。
【0051】
なお、個人認証装置2に登録血管パターンを登録後は、荷主以外が個人認証装置に血管パターンを登録して、荷室のドアを開錠し荷物を盗難する可能性を小さくするために、追加の血管パターンを登録できない構成とすることができる。この構成をとることで、荷主以外が個人認証装置に登録して、荷室のドアを開錠し荷物を盗難する可能性が小さくなる。
【0052】
時刻t3において、荷物の出発地において荷台に荷物を積み込む。次に、時刻t4において、時刻t1で取得した登録血管パターンを個人認証装置2に登録する。この登録方法は時刻t2で送付された登録血管パターンを出発地でICカード5に登録し、個人認証装置2内のカードリーダ18にICカード5を挿入することで個人認証装置2のメモリ14に登録する。あるいは、時刻t2でICカード5にあらかじめ登録してあれば、このICカード5を個人認証装置2内のカードリーダ18に挿入して個人認証装置2のメモリ14に登録してもよい。なお、マイクロコンピュータ10は、個人認証装置2に登録血管パターンを登録した後は、ICカード5の盗難、紛失に備え、ICカード5から登録血管パターンを消去する。
【0053】
次に時刻t5において、荷室を施錠し、時刻t6からt7で荷物を輸送する。
【0054】
到着地に到着後、時刻t8において、時刻t1で登録血管パターンが取得され荷台のドアを開錠する権利を持つ者が個人認証装置2で認証作業を行なって、荷室を開錠し、荷降ろしを行なう。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、荷主が運送業者に依頼して重要な荷物を運送する際に荷物の盗難の可能性を小さくでき、安心して荷物を運送することが可能となる。
【0056】
次に、図4を用いて、本発明の第2の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成および動作について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0057】
本実施形態の個人認証装置2Aは、予め登録された生体情報を読み込む読込手段として、図1に示した個人認証装置2に備えてたカードリーダ18に代えて、登録血管パターンの登録する手段として、無線通信回路71を備えている。
【0058】
個人認証装置2Aへの登録血管パターンの登録は、無線通信回路71を用いて、携帯電話網などの既存の無線通信インフラを用いて送付し、登録する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、荷主が運送業者に依頼して重要な荷物を運送する際に荷物の盗難の可能性を小さくでき、安心して荷物を運送することが可能となる。
【0060】
次に、図5を用いて、本発明の第3の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成および動作について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0061】
本実施形態では、個人認証装置2Bのマイクロコンピュータ10Bには、GPS受信信号76などから得られる位置情報が入力する。
【0062】
また、ICカード5には、登録血管パターンの情報の他に、荷物の到着地の位置情報が登録されている。
【0063】
マイクロコンピュータ10Bは、ICカード5から登録された荷物の到着地の位置情報と、GPS受信信号76などから得られる位置情報とを比較して、到着地付近のみで、通信路43を介してドア解施錠制御ユニット3にドア開錠の信号を出力する。これによって、開錠できる場所を到着地に限定することができる。
【0064】
次に、図6〜図9を用いて、本発明の第4の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成および動作について説明する。
図6〜図9は、本発明の第4の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0065】
図6〜図9に示す各例では、荷物が到着地に到着し、開錠後、個人認証装置2内の登録血管パターンを消去するようにしている。荷物が到着地に到着し、開錠し、荷下ろしがされた後は、トラックは空荷状態で別の積荷場所に移動したり、また、別の荷物を積んで配送する場合が一般的である。その際、先の荷物のために登録した血管パターンが登録されたままでは、登録した血管パターンを有する者しか解錠ができなくなる。そのために、解錠後に、登録血管パターンを消去するようにしている。
【0066】
最初に、図6を用いて、登録血管パターン消去の第1の例について説明する。
【0067】
図6においては、個人認証装置2Cに消去スイッチ72が接続されている。マイクロコンピュータ10Cは、ドア解施錠制御ユニット3にドア開錠の信号を出力した後に、消去スイッチ72の操作信号を受け取ると、メモリ14に記憶した登録血管パターンを消去する。消去スイッチ72を有することで、消去するまでは何度も解施錠することが可能となる。
【0068】
次に、図7を用いて、登録血管パターン消去の第2の例について説明する。
【0069】
図7においては、個人認証装置2Dにエンジン始動信号73が入力する構成となっている。マイクロコンピュータ10Dは、ドア解施錠制御ユニット3にドア開錠の信号を出力した後に、エンジン始動信号73を受け取ると、メモリ14に記憶した登録血管パターンを消去する。
【0070】
このように構成することで、図6の例のように、消去スイッチによる登録血管パターンの消去忘れを防止して、確実に消去することができる。
【0071】
次に、図8を用いて、登録血管パターン消去の第3の例について説明する。
【0072】
図8においては、個人認証装置2Eの内部にタイマ74を備え、タイマ74の信号がマイクロコンピュータ10Eに入力する構成となっている。マイクロコンピュータ10Eは、ドア解施錠制御ユニット3にドア開錠の信号を出力した後に、タイマ74からの時間経過信号により、一定時間経過後に、メモリ14に記憶した登録血管パターンを消去する。
【0073】
このように構成することで、図6の例のように、消去スイッチによる登録血管パターンの消去忘れを防止して、確実に消去することができる。
【0074】
次に、図9を用いて、登録血管パターン消去の第4の例について説明する。
【0075】
図9においては、個人認証装置2Fに距離計75からの距離信号が入力する構成となっている。マイクロコンピュータ10Dは、ドア解施錠制御ユニット3にドア開錠の信号を出力した後に、距離計75からの距離信号をチェックして、開錠後、一定距離の移動後に、メモリ14に記憶した登録血管パターンを消去する。
【0076】
このように構成することで、図6の例のように、消去スイッチによる登録血管パターンの消去忘れを防止して、確実に消去することができる。
【0077】
なお、移動距離に関する他の例としては、図6に示したGPS信号から得られる位置情報を利用して、定められた一定の範囲外に出た場合に登録血管パターンを消去するようにすることもできる。
【0078】
また、以上の各例を複数組み合わせることも可能である。例えば、図6に示した消去スイッチ72と、図8に示したタイマ74を併用することもできる。
【0079】
以上のように、登録血管パターンを消去できるようにすることで、消去されるまでは何度も解施錠が可能となり、また、消去の忘れを防止できる。消去することで、個人認証装置2から登録血管パターンが盗難される可能性なくすことができる。また、別の荷主の荷物を荷室に搭載中に、それ以前に登録した荷主や盗難目的で生体情報を登録した者による荷室の開錠を防ぐことができる。
【0080】
なお、本発明は、トラックに限らず、いわゆるバイク便に代表されるバイクの荷台の荷物管理やコンテナなどにも応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムで個人認証に用いる血管パターンの説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による自動車の荷物管理システムに用いる個人認証装置による個人識別の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第4の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態による自動車の荷物管理システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
2…個人認証装置
3…ドア解施錠制御ユニット
5…ICカード
10…マイクロコンピュータ
14…メモリ
18…カードリーダ
20,21…赤外光源
30…イメージセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された生体情報を読み込む読込手段と、
前記読込手段により読み込まれた前記生体情報を記憶する記憶手段と、
生体情報を検出する検出手段と、
前記記憶手段に記憶された生体情報と、前記検出手段により検出された生体情報が一致する場合、自動車の荷台のドアを解施錠する解施錠装置に開錠信号を送信する制御手段とを備えることを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動車の荷物管理システムにおいて、
前記読込手段は、ICカードに登録された前記生体情報を読み込むカードリーダであることを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の自動車の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記ICカードから前記生体情報を読み込んだ後、前記ICカード内の前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の自動車の荷物管理システムにおいて、
前記読込手段は、予め登録された前記生体情報を通信で読み込む無線通信回路であることを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項5】
請求項1記載の自動車の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記記憶手段に前記生体情報が記憶されている状態では、他の生体情報を追加記憶しないように制御することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項6】
請求項1記載の自動車の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の荷物管理システムにおいて、
消去スイッチを備え、
前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、前記スイッチが操作されると、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項8】
請求項6記載の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに前記自動車のエンジン始動後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項9】
請求項6記載の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに定められた時間の経過後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項10】
請求項6記載の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに前記自動車が定められた距離の移動後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項11】
請求項6記載の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記荷台のドアを開錠後、さらに前記自動車が定められた地域外への移動後に、前記記憶手段に記憶された前記生体情報を消去することを特徴とする自動車の荷物管理システム。
【請求項12】
請求項6記載の荷物管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記生体情報の消去後に、新規の生体情報の登録を可能とすることを特徴とする自動車の荷物管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−97216(P2009−97216A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269073(P2007−269073)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】