説明

自動車の運転者によるエコ運転の採用を支援する対話式方法及びこの方法を用いる車両

本発明は対話式の運転支援方法に関する。この方法においては、所望の運転スタイルを選択し、検出された運転状況の間、運転者の挙動を解析する(F1)。次に、所望の運転スタイルに応じて現在の運転状況に推奨される運転者の挙動をメモリ(5)から選択する。次に、運転者の挙動と推奨される挙動とを比較し(F1、16)、改善の余地があるとみなされた挙動のポイントを識別する。最後に、運転者に対し、少なくとも最も重大なポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促す音声及び/又は映像メッセージ(7)を発信する(F4、F5、27)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によりその内容(明細書、特許請求の範囲及び図面)がここに組み込まれる2007年6月19日出願のフランス特許出願0755833号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は自動車の運転者がエコ運転を採用するのを支援するための対話式方法ならびにこの方法を用いる車両に関する。本発明は、運転者に対し、車の燃料消費を抑えるために改善すべき運転挙動を知らせることを特に目的とする。
【0003】
本発明は、熱機関又はハイブリッドエンジンを備え、マニュアル又はオートマチック式変速機を有する自動車の分野において特に有利に適用される。
【背景技術】
【0004】
自動車の燃料消費及び温室効果ガス(主にCO)の排出は、諸官庁(認証規格、現在から2008年にかけて平均排出量をCO/kmで140gまで低減することを目標とする自動車メーカーの約定、京都議定書)によって、また消費者(例えば石油価格の高騰、あるいは自動車関連報道の影響)によって、重要性を増している問題である。自動車を譲渡する際に「エネルギーラベル」を表示しなければならないという最近の義務も、省燃費に関するこの大きな期待を深めている。
【0005】
車の燃料消費は、エンジンの効率、車の質量、及び空力特性など、車固有の性能によっても、運転者が実施する利用方法によっても変わる。運転者がアグレッシブな運転(強くて頻繁な加速)を行い、且つ車の快適性に関する装置(特にエアコン及びオーディオ/ビデオシステム)をよく利用する場合には、燃料消費を増加させることがある。
【発明の概要】
【0006】
現在、(汚染ガスの排出量を低減するためであれ、燃料にかかる費用を低減するためであれ)自発的に「エコ」運転を行いたいと思う運転者に、その取り組みにおいてフルに運転者を支援する手引がない。
【0007】
事実、現在のところ、燃料の瞬間的消費量又は推奨ギア比を表示して運転者を支援する部分的表示を提供するシステムは2つしか市販されていない。
【0008】
前者の表示装置では、瞬間的な情報しか提供されず、したがって、直後及びその後に採用すべき最良の運転態度に関する情報は運転者に提供されない。さらに瞬間消費量はアクセルペダルを少しでも踏んだり、道路が坂になっていたりすることにより時々刻々変動するので、実際には、運転者はこの情報を活用することができない。後者の表示装置では、採用すべき挙動について与えられる情報はもっと多いが、きわめて部分的な情報しか提供されない。これらの市販システムのいずれも、より適切な加速方法又は制動方法についてはなんら運転者に示さない。
【0009】
また、特許文献US−4166382、FR−2437317、US−6092021に記載の先行技術においては、一次元的情報(ランプ、ポインタ、推奨ギア比)しか提供されない。
【0010】
したがって、運転スタイルを、例えば燃料の消費を最少にすることが可能な経済的スタイルなど所与の目標に合わせ、運転者の全ての行動を解析し適切な変更を提案することができる、真の意味でのアシスタントの必要性が存在する。
【0011】
言い換えれば、運転者の挙動を解析し、必要であれば例えば消費量を低減するのにより適した挙動を運転者に提案することができるアシスタントの必要性が存在する。
【0012】
本発明の目的は、
・ 所望の運転スタイルを選択するステップと、
・ 車両の運転状況を検出するステップと、
・ この運転状況の間、運転者の挙動を解析するステップと、
・ 所望の運転スタイルに応じて、現在の運転状況に推奨される運転者の挙動をメモリから選択するステップと、
・ 運転者の前記挙動と推奨される挙動とを比較するステップと、
・ 改善の余地があるとみなされた挙動のポイントを識別し、運転者に対し、少なくとも最も重大なポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促す音声及び/又は映像メッセージ(7)を発信するステップと
を含む対話式運転支援方法によって達成される。
【0013】
本発明による音声及び/又は映像メッセージは、例えば長時間制動、追い越し、安定速度など特定の運転状況の際に採用すべき挙動を詳細に示すメッセージである。これらのメッセージは、例えばいつギア比を変えるか、どのようにペダルを踏むか、あるいはいつクラッチを切るかを具体的に示す。
【0014】
したがって、本発明においては、車両の運転状況、すなわちある程度長い時間的シーケンスを識別するが、先行技術の既知の方法においては、提供される情報は瞬間的なものである(回転数及び現在速度)。したがって、本発明においては、結果から原因に遡って運転状況の検出が行われ、運転状況の解析後、好ましくは、運転者の注意を逸らすリスクのないタイミングで最終的に情報の提供が行われる。
【0015】
車両に機器が装備されている場合には、アシスタントは音声形態のメッセージ(音声メッセージ)又は音声及び映像メッセージ(ビデオ動画を伴う音声メッセージ)を提供することができる。この場合、運転者の注意を逸らさないよう、ビデオ動画は、車両が停止状態にあるとき、例えば運転者が、行程の初期化に続いて車載コンピュータに入力された、例えば直近の行程の間の運転の解析を求める「コンサルテーション」場合に表示されることが好ましい。
【0016】
アシスタントは、運転者の注意を逸らすことなく運転者にメッセージを送信することができる状態のとき、より適切な挙動を運転者に示すために、運転時に改善可能な挙動を記憶することができる。例えば、車両が停止していないときには一切の映像メッセージが禁止される。このケースでは、適切な条件下では、音声メッセージのみ可能である。
【0017】
アシスタントは、最も頻出する改善の余地があるポイントの要約を運転者に提案することもできる。
【0018】
好ましくは、このアシスタントは、(起動ボタンによるか、車載コンピュータ内のメニューによる)運転者の要求によって起動され、同じ方法によりいつでも停止することができる。しかしながら、例えば保有車両の管理者によって遠隔から起動することもできる。
【0019】
一実施形態においては、アシスタントは、特別な計装を一切必要としないソフトウェア機能である。ソフトウェア機能は、その作動にとって有用な情報を得るために、車両のコンピュータのうちの1つに組み込まれ、車両の通信ネットワーク(CANバス)に接続される。また、運転者に通知するために、ソフトウェア機能は音声(機器上可能な場合には映像)システムに接続される。
【0020】
しかしながら、本発明によるアシスタントは、車載コンピュータに接続された独立した電子回路の形態をとることも可能である。
【0021】
したがって本発明は、
・ 所望の運転スタイルを選択するステップと、
・ 車両の運転状況を検出するステップと、
・ この運転状況の間、運転者の挙動を解析するステップと、
・ 所望の運転スタイルに応じて、現在の運転状況に推奨される運転者の挙動をメモリから選択するステップと、
・ 運転者の前記挙動と推奨される挙動とを比較するステップと、
・ 改善の余地があるとみなされた挙動のポイントを識別し、運転者に対し、少なくとも最も重大なポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促す音声及び/又は映像メッセージ(7)を発信するステップと
を含む対話式運転支援方法に関する。
【0022】
一実施形態によれば、所望の運転スタイルは燃料消費量を最少にする運転である。
【0023】
一実施形態によれば、運転状況は、制動をともなわない減速段階、制動をともなう減速段階、追い越し、安定速度での走行の中から選択される。
【0024】
一実施形態によれば、運転状況が安定しているとみなされたときのみ音声及び/又は映像メッセージが発信される。
【0025】
一実施形態によれば、好ましい走行状態で、対応する情報を含むメッセージの発信又は再発信が可能になるように、改善可能な挙動は記憶される。
【0026】
一実施形態によれば、車両が停止しており、且つ運転者がアクセルペダルに足を置いていないときのみ映像メッセージが発信される。
【0027】
一実施形態によれば、車両が2秒以上同じ運転状況にあり、且つ運転者がアクセルペダルに足を置いている場合、走行状態が安定しているとみなされる。
【0028】
一実施形態によれば、さらに、車両が旋回している場合には安定した走行状態とみなされない。
【0029】
一実施形態によれば、観測される挙動ポイントは、アクセルペダルの踏み込み状態、ブレーキペダルの作動、ギア比の選択、クラッチ切りのうちの少なくとも2つの操作から選択される。
【0030】
一実施形態によれば、改善の余地があるとみなされる挙動が発生する度に、改善可能な挙動のカウンタが増分される。
【0031】
一実施形態によれば、観測される各挙動ポイントに、専用のポイントカウンタが関連付けられ、このカウンタは、そのポイントに対処する動作により改善することが可能であろうと思われる改善可能な挙動が検出される度に増分される。
【0032】
一実施形態によれば、改善可能な挙動のカウンタが特定のしきい値に達すると、カウンタの値が最も大きいポイントの改善を目的とするメッセージが発信され、運転者に対し、少なくとも最も重大なポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促す。
【0033】
一実施形態によれば、さらに、改善可能な挙動の頻度に関する統計を作成するために、運転状況の発生回数が記憶される。
【0034】
一実施形態によれば、メッセージの発信前及び発信後の挙動を比較できるように、カウンタ及び統計の情報の全てが記憶される。
【0035】
一実施形態によれば、ボタンにより又は車載コンピュータが提案する選択肢を選択することにより運転者が行う要求により、カウンタが0にリセットされる。
【0036】
一実施形態によれば、本発明による方法は、2つの停止レベル、すなわち
・ メッセージは発信しないが、改善可能な挙動の解析は継続する「監視」モード
・ 全ての支援機能が停止になる「無効」モード
を有する。
【0037】
一実施形態によれば、本発明による方法は、
・ 起動/監視/停止のための3ポジションボタンを用いて、
・ 押す度に、起動から監視、監視から停止、停止から起動に切り換わるプッシュボタンを用いて、又は
・ 車載コンピュータ内の選択肢を用いて
2つの停止レベルの区別を行うステップを含む。
【0038】
一実施形態によれば、カウンタ、メモリ及び統計の情報の全てを、車両内に設置されていないコンピュータにダウンロードすることができる。
【0039】
一実施形態によれば、本発明による方法は停止できないように構築される。
【0040】
さらに本発明は、本発明による方法を用いる自動車にも関する。
【0041】
以下の説明を読み、添付の図面を参照することにより、本発明に対する理解を深めることができる。これらの図は例示のみを目的としたものであり、いかなる意味でも本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明によるアシスタントの略図である。
【図2】本発明によるアシスタントが用いる機能F0−F5を示す論理線図である。
【図3】本発明によるアシスタントが用いる機能の別の論理線図である。
【図4】本発明によるアシスタントが用いる機能のまた別の論理線図である。
【図5】本発明によるアシスタントが用いる機能のまた別の論理線図である。
【図6】本発明によるアシスタントが用いる機能のまた別の論理線図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
同一の要素には図が異なっても同じ符号が付してある。
【0044】
図1は、運転者の運転を解析し、運転者の運転を最適化するため、特に燃料消費を制限するために採用すべき最良の挙動を運転者に知らせることが可能な機能F0−F5を用いる本発明による支援モジュール1を示す。
【0045】
機能F0はこの支援モジュール1の起動及び停止を行う。機能F1は運転者の挙動の解析ならびに改善可能な挙動ポイントの識別を行う。機能F2は、見つかった改善可能な挙動ポイントの記憶を行う。機能F3は支援機構からのメッセージの発信条件ならびに提供するメッセージの種類(音声又は映像)の検出を行う。機能F4は改善すべき挙動を音声により指示するが、機能F5はそれを音声及び映像で指示する。
【0046】
支援モジュール1は、所与の運転状況に対して推奨される挙動ポイントならびに改善の余地があり識別可能な各挙動に関連付けられた音声及び映像メッセージ7を含むデータベース5に結合される。
【0047】
モジュール1は、メッセージ7を運転者に向けて送信するために、車両のスピーカなどの音声システム9、ならびに車載コンピュータなどの映像システム10に接続される。
【0048】
さらに、支援モジュール1は、車両の通信ネットワーク13との間でデータを交換し、このとき支援モジュール1は、車両の運転状況を識別し運転者の挙動ポイントを解析するためにこのネットワーク13から情報を採取する。
【0049】
より正確には、運転者が専用のボタン15を押したとき又は機能F0を介して車載コンピュータのようなグラフィックインタフェース内でアクションを行ったときにモジュール1の起動が行われる。
【0050】
図2に示すように、起動補助機能3.2又は監視補助機能3.3により、送信メッセージのスタイル(音声及び/又は映像)の選択が可能である。さらに起動補助機能3.2により運転者は所望する運転のスタイルを選択することができる。初期設定ではこの運転スタイルは燃料消費を最少にする運転である。しかしながら、平均的な燃料消費を実現するか又は車両の速度を最適化することができる運転スタイルを採用することも可能である。
【0051】
いったんアシスタントが起動されると、機能F1は車両の運転状況ならびに運転者の改善可能な挙動ポイントを検出する。
【0052】
この目的のため、機能F1は、例えばアクセルペダルの踏み込み、ブレーキペダルの作動、車両の速度、エンジン回転数、ならびに改善可能な挙動の検出アルゴリズム17.1−17.Nのような通信ネットワーク13上で読み込まれる情報を基にして、運転者の動作をリアルタイムに解析する。
【0053】
図3に示すように、改善可能な挙動の検出アルゴリズム17.1−17.Nは、異なる2つのステップを有する。
【0054】
第1のステップ15では、アルゴリズム17.1−17.Nは特定の運転状況X−Zを検出するが、この運転状況X−Zは、制動をともなわない減速段階、安定速度での移動、追い越し、長時間加速階段の中から選択される。この運転状況は例えば2秒から45秒のタイムウインドウにおいてネットワーク13上で読み取られる車両のパラメータによって定義される。
【0055】
第2のステップ16では、アルゴリズム17.1−17.Nは検出された運転状況における運転者の挙動を解析する。この運転者の挙動は、アクセルペダルの踏み込み、ブレーキペダルの操作、ギア比の選択、及びクラッチの操作のうちの、少なくとも2つの観測された挙動ポイントによって定義される。
【0056】
アルゴリズム17.1−17.Nは、所望の運転スタイルに応じて現在の運転状況に推奨される運転者の挙動をデータベース5から選択する。所望の運転が消費を最少にする運転である場合、推奨される挙動は、検出された運転状況に対して車両の燃料消費が最少であるアクセルペダルの踏み込み、ブレーキペダルの操作、ギア比の選択、及びクラッチの操作のうちから選択された(観測された挙動ポイントに少なくとも対応する)推奨挙動ポイントによって定義される。
【0057】
次にアルゴリズム17.1−17.Nは、挙動ポイントを対応する推奨挙動ポイントと比較16する。次にアルゴリズムは、改善可能な挙動ポイント、すなわち推奨挙動ポイントから離れた挙動ポイントを識別する。そして機能F1は、識別された改善可能な挙動ポイントを機能F2に通知し、その結果、運転者は、少なくとも最も重大な(推奨挙動ポイントから最も離れた、あるはい最も頻繁に発生する)挙動ポイントに関して、その挙動を修正するよう促される。
【0058】
燃費を改善するためにできることを運転者に知らせるにあたり、改善可能な挙動を検出するタイミングは必ずしも適切であるとは限らない。実際には、アシスタントは運転者を妨害したり運転者の注意を逸らしたりしてはならない。運転者がカーブを走行しようとしている場合、あるいは加速しようとしている場合には、機能F4又はF5を介して音声及び/又は映像メッセージを発信するにあたり、安定した運転状況になるまで待機することが好ましい。
【0059】
一実施形態においては、機能F3は、車両速度が、例えば3秒というようにある一定時間に亘って安定しており、且つ運転者がアクセルペダルに足を置いているがカーブ走行状態にはないときに、音声発信のための運転状況が安定している(音声条件22が満たされている)とみなす。
【0060】
他方、機能F3は、車両が停止しており、且つ運転者がアクセルペダルに足を置いていないとき、映像発信のための運転状況が安定している(映像条件23が満たされている)とみなす。
【0061】
メッセージの発信のための音声及び/又は映像条件が満たされるまでの間、機能F2は、補助機能19を介して、識別された改善可能な挙動ポイントの記憶を行う。
【0062】
認識アルゴリズムは、アシスタントが機能している間は常時作動するので、メッセージ7を発信できるようになる前に、改善の余地のある複数の挙動ポイントを識別することができる。したがって、記憶機能F2は、図4に示すように、カウンタ18.1を使用して、改善の余地がある全ての挙動ポイント、及びこれらの挙動ポイントが関連付けられた運転状況X−Z、ならびにこれらの発生を保存することが好ましい。
【0063】
複数の挙動が記憶されている場合、発信すべきメッセージを補助機能25が選択する。一実施形態では、補助機能25は、改善の余地がある各挙動の発生を降順(反復性の高い方から低い順)にメッセージを選択する。変形形態では、補助機能25は、最も直近の改善可能な挙動に対応するメッセージを選択する。
【0064】
一実施形態では、改善可能な挙動のカウンタ18.1、18.2が特定のしきい値に達すると、補助機能25は、カウンタの値が最も大きいポイントの改善を目的とするメッセージを選択し、運転者に対し少なくとも最も頻繁な改善可能な挙動ポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促す。
【0065】
記憶された改善可能な挙動ポイント及びその発生回数は、採用すべき挙動を運転者に知らせる音声又は映像情報を機能F3が提供する度に減分される。したがって、図5に示すように、メッセージ発信機能F3と機能F2の間には対話21が存在する。
【0066】
加えて、機能F2は、発信メッセージとは無関係に、特に改善可能な挙動の頻度に関する統計を作成するために、全ての挙動ポイント、挙動ポイントが観測された一又は複数の運転状況及びそれらの発生状況をカウンタ18.2に保存することができる。したがってカウンタ18.2はメッセージの発信後も減分されない。
【0067】
運転者が(車載コンピュータのメニューを介して)要求したとき、あるいはエンジンを止めたとき、モジュール1は、前回エンジンを始動したときから最も頻繁に発生した改善可能な挙動ポイントの合計を表示することができる。これらの表示は、機能F2内の専用カウンタ18.2から発生の降順に行われる。改善可能な挙動が多過ぎる場合には、本機能は例えば最も頻繁なポイントを3つだけ表示する。
【0068】
一実施形態では、メッセージ7の発信前及び発信後の挙動の比較が行えるよう、カウンタ18.1、18.2及び統計の情報が全て記憶される。
【0069】
F2の補助機能20はカウンタ18.1、18.2をゼロにリセットする。機能F0は、運転者がアシスタントを停止するためにボタン15を押したとき、又は車載コンピュータを起動したとき、あるいはエンジンを再度始動したときにこのゼロへのリセットを指令する。
【0070】
また、図4に示すように、機能F3によりユーザに向けて一又は複数のメッセージ7の発信が行われる。この目的のために、機能F3は、図6に示すように、どのメッセージ7を発信すべきかを機能F4及びF5に指示する。次に補助機能31が、データベース5に保存されているメッセージ7を検索する。次に補助機能32が、メッセージを発信するために、音声システム9及び/又は映像システム10に向けて信号を送信する。
【0071】
カウンタ、メモリ及び統計の情報は全て車両内に設置されていないコンピュータにダウンロードすることができる。
【0072】
運転者が(ボタン15又は車載コンピュータを介して)アシスタントを停止すると、アシスタントはメッセージの送信を中断する。しかしながら、識別のため及び改善可能な挙動のカウントのためのアルゴリズムは、アシスタントが停止しても起動したままにしておくことができる。
【0073】
このような場合、再起動時に、アシスタントは、最後にエンジンが始動されて以来の全ての運転情報を含むので、運転者はより多くの関連情報を有する。
【0074】
図2に示すように、2つの停止レベル、すなわち
・ アシスタントがメッセージはもはや発信しないが、改善可能な挙動の解析及びカウントは継続する、補助機能3.3によって保証される「監視」モード
・ 全ての支援機能が停止される、補助機能3.1によって保証される「停止」モード
を実施することができる。
【0075】
この区別は、多状態ボタン15(例えば、起動/監視/停止のための3ポジションボタン、又は押す度に、起動から監視へ、監視から停止へ、停止から有効へと切り替わるプッシュボタン)、あるいは車載コンピュータの選択肢を用いることにより、行うことができる。
【0076】
アシスタントが「停止」モード3.1になると、補助機能20は機能F2によって記憶された全ての挙動を消去する。
【0077】
アシスタントから発信されるメッセージ7は、運転者がエコ運転を採用するのを支援する。音声によるメッセージは、燃費を最適化するために、アクセル、ギアボックス、クラッチ、及びブレーキをどのように操作すべきかを明快且つ簡潔に説明する。映像の形態の音声メッセージは、所与の状況における最適な動作を示すグラフィックアニメーションをともなう。
【0078】
第1の実施例においては、「車両の減速」という状況を認識する役割をもつアルゴリズム17.1がこの状況を検出し、例えば減速の開始時からクラッチを切ったため運転者の挙動が改善の余地があるものであったとみなした場合には、メッセージは「減速時の燃費を最適化するために、エンジンブレーキを使用し、エンジンの回転数がおよそ1500rpmになったらギア比を落として下さい。」とすることができる。
【0079】
第2の実施例においては、「60km/時から70km/時の安定した車両速度」という状況を認識する役割をもつアルゴリズム17.2がこの状況を検出し、例えば運転者が3速で走行しているため運転者の挙動が改善の余地があるものであったとみなした場合には、メッセージは「減速時の燃費を最適化するために、60km/時からはできるだけ早く5速で走行して下さい。」とすることができる。
【0080】
第3の実施例においては、「車両の加速」という状況を認識する役割をもつアルゴリズム17.3がこの状況を検出し、例えば運転者のギアチェンジのタイミングが遅すぎるため運転者の挙動が改善の余地があるものであったとみなした場合には、メッセージは「減速時の燃費を最適化するために、回転数がおよそ2500rpmになったら上のギア比に移行して下さい。」とすることができる。
【0081】
ここで提案するアシスタントにより、運転者が燃費を最適化することができるように、効果的且つ適切な支援を運転者に提供することが可能になる。アシスタントは、運転者の運転を細かく解析することにより、運転者に適した助言のみを提供する。これらの助言は採用すべき運転行動(加速のスタイル、ギアチェンジ回転数、制動のタイミング、クラッチ切りの有無等)をまとめたものである。
【0082】
ここで提供するアシスタントは、推奨ギア比の指示又は瞬間燃費のような部分的指示ではなく、運転者が行うことができる動作の全てをカバーするはるかに広範囲な情報(加速、制動、ギアチェンジ、クラッチ切り)を提供する。
【0083】
このアシスタントは対話式で「インテリジェント」である。というのも、この装置は、運転者の弱点をはっきりと把握して的確な助言を提供するために、運転者の行為を正確に解析するからである。また、運転者の注意を逸らさないために、これらの助言を提供するのに最も適したタイミングを決めることもできる。またメッセージの形態も運転条件に適合させることができる。
【0084】
このアシスタントは、運転者の改善の余地があるポイントであって反復的に発生するポイントを要約した情報も提供することができる。このことは全ての「瞬間的」指示では不可能である。
【0085】
このアシスタントは、接続を解除することができ、運転者が所与のタイミングにおいてメッセージに邪魔されることを望まず、後で自分の弱点について助言を受けたいと望む場合には、運転の解析を継続することができる待機モードを有する。
【0086】
最後に、このアシスタントは、車両の燃費を最適化するのに効果的な助言を提供する。実際のところ、エコ運転を実現するための「正しい」方法はあまり知られていない。したがって、自分の燃費を気にしている運転者にとってはこのアシスタントは貴重な補助となることがある。
【0087】
アシスタントはまた、停止不能に構築されている場合、フリート車両に対して有用である。この場合、各運転者は必然的にエコ運転を行なうように教育され、それがフリート車両の総燃費、すなわち使用コストに反映される。したがってアシスタントは、フリート車両の販売の際、営業的根拠となりうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の運転スタイルを選択するステップと、
車両の運転状況を検出するステップ(F1、15)と、
この運転状況の間、運転者の挙動を解析するステップ(F1)と、
所望の運転スタイルに応じて現在の運転状況に推奨される運転者の挙動をメモリ(5)から選択するステップと、
運転者の前記挙動と推奨される挙動とを比較するステップ(F1、16)と、
改善の余地があるとみなされた挙動のポイントを識別し、運転者に対し、少なくとも最も重大なポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促す音声及び/又は映像メッセージ(7)を発信するステップ(F4、F5、27)と
を含むことを特徴とする、対話式運転支援方法。
【請求項2】
所望の運転スタイルが燃料の消費量を最少にする運転であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
運転状況が、制動をともなわない減速段階、制動をともなう減速段階、追い越し、安定速度走行の中から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
運転状況が安定しているとみなされるときのみ音声及び/又は映像メッセージ(7)を発信することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
好ましい走行状態の間に、対応するメッセージを発信又は再発信できるように、改善可能な挙動を記憶することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
車両が停止しており且つ運転者がアクセルペダルに足を置いていないときのみ、映像メッセージ(7)が発信されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
車両が2秒以上同じ運転状況にあり且つ運転者がアクセルペダルに足を置いている場合、走行状態が安定しているとみなされることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
さらに、車両が旋回している場合は安定した走行状態とみなされないことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記観測された挙動ポイントが、アクセルペダルの踏み込み状態、ブレーキペダルの作動、ギアの選択、クラッチ切りのうちの少なくとも2つから選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
改善の余地があるとみなされる挙動が発生する度に、改善可能な挙動のカウンタ(18.1)を増分することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、観測される各挙動ポイントに専用のポイントカウンタ(18.1)を関連付け、そのポイントに対処する動作により改善できると思われる改善の余地がある挙動が検出される度に、そのポイントを増分することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
改善可能な挙動のカウンタが特定のしきい値に達したとき、カウンタの値が最も大きいポイントの改善を目的とするメッセージを発信することにより、運転者に対し、少なくとも最も重大なポイントについて、運転者の挙動を修正するよう促すことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、運転状況の発生回数を記憶することにより、改善可能な挙動の頻度に関する統計を作成することを特徴とする、請求項10又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カウンタ(18.1、18.2)及び統計の情報の全てを記憶することにより、メッセージの発信前と発信後の挙動の比較を可能とすることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ボタン(15)により又は車載コンピュータが提案する選択肢を選択することにより運転者が要求した場合、カウンタがゼロにリセットされる(F2、20)ことを特徴とする、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
カウンタ(18.1、18.2)、メモリ、及び統計の情報の全てを、車両内にないコンピュータにダウンロードすることができることを特徴とする、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
2つの停止レベル、すなわち
・メッセージは発信しないが、改善可能な挙動の解析は継続する「監視」モード、及び
・全ての支援機能を停止する「停止」モード、
を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
・起動/監視/停止の3ポジションボタン(15)を用いて、
・押す度に、起動から監視へ、監視から停止へ、停止から起動へと切り換わるプッシュボタンを用いて、又は
・車載コンピュータ上の選択肢を用いて
2つの停止レベルを区別するステップ
を含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
停止できないように構築されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を使用する自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−533320(P2010−533320A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512745(P2010−512745)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051056
【国際公開番号】WO2009/004224
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(507274799)プジョー シトロエン オートモビル エス アー (72)
【Fターム(参考)】