説明

自動車ブレーキシステムのブレーキ作動ユニットを操作する方法

【課題】
再生ブレーキ過程を実施し得る車両における構造的に確定された軸方向隙間が最小にされるこの種のブレーキ操作ユニットを作動する方法を提供すること。
【解決手段】
この発明は、a)ブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードにおいてブレーキペダルとブレーキブースタとの間の動力伝達結合を離脱する手段が設けられており、ブレーキペダルにより且つ電子制御ユニットにより運転者要求に依存して操作できるブレーキブースタと、b)ブレーキブースタの下流に接続されたマスターブレーキシリンダと、c)運転者の遅れた要求を検出する手段と、d)ブレーキペダルと協働し、ブレーキペダルに作用するリセット力によりブレーキブースタの作動に無関係にブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードで模擬され得て、ブレーキペダルとブレーキブースタの間の動力伝達結合が離脱されるときにブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードで接続でき、ブレーキ- バイ- ワイヤ操作モード以外で遮断できるペダル行程シミュレータと、から成るブレーキ- バイ- ワイヤタイプの自動車ブレーキシステムのブレーキ作動ユニットを操作する方法に関する。
再生ブレーキ作用においてブレーキペダル1に連結されたピストンロッド10の端部とブレーキブースタ3の制御弁9の制御ピストン11の間の構造的に所定軸方向隙間「a」を最小化するために、この発明は、ブレーキブースタ(3)の作動が企図されないときに、ブレーキペダル(1)の所定作動行程が戻されるのに対して、ブレーキペダル(1)とブレーキブースタ(3)の間の動力伝達結合が起こる直前にソフトウエアに関連した技術措置が実施され、ブレーキペダル(1)とブレーキブースタ(3)の間の動力伝達結合を阻止することを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、a)ブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードにおいてブレーキペダルとブレーキブースタとの間の動力伝達結合を離脱する手段が設けられており、ブレーキペダルにより且つ電子制御ユニットにより運転者要求に依存して操作できるブレーキブースタと、
b)ブレーキブースタの下流に接続されたマスターブレーキシリンダと、
c)運転者の遅れた要求を検出する手段と、
d)ブレーキペダルと協働し、ブレーキペダルに作用するリセット力によりブレーキブースタの作動に無関係にブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードで模擬され得て、ブレーキペダルとブレーキブースタの間の動力伝達結合が離脱されるときにブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードで接続でき、ブレーキ- バイ- ワイヤ操作モード以外で遮断できるペダル行程シミュレータと、から成るブレーキ- バイ- ワイヤタイプの自動車ブレーキシステムのブレーキ作動ユニットを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの作動ユニットは、国際特許出願公開第2005/014351号明細書(特許文献1)に開示される。このタイプのブレーキ作動ユニットは、特に、所謂再生ブレーキ作用が実施される自動車に使用されるブレーキシステムに適している。例としてハイブリット駆動又は電動駆動を備える車両が挙げられ、その車両では所定遅延値が発電機作動で作動する電動機によって達成される。この際に、ブレーキペダルと連結されたピストンロッドの一端と空圧式制御弁の制御ピストンとの間に設けられた軸方向隙間が運転作動ブレーキ- バイ- ワイヤでブレーキペダルとブレーキブースタの間の動力伝達結合の離脱に用いられ、その軸方向隙間は、特に操作ユニットが所謂もどり平面にて作動される制御弁の電気機械式操作の省略の場合には、ブレーキペダルに感じられる無負荷運転行程を意味する。それ故に、前記隙間をできる限り小さく設計することに意味がある。
【0003】
再生ブレーキ過程を実施するこの種のブレーキ操作ユニットの使用の際には、より大きいな隙間がより有効に思われる、というのは、その隙間は電動機がそのブレーキ作用を発揮する操作行程範囲を意味するからである。その外に、ABSブレーキでは、ペダル感覚刺激が回避される。けれども、この要求は、最小隙間を実現する前記要件と矛盾している。
【特許文献1】国際特許出願公開第2005/014351号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、再生ブレーキ過程を実施し得る車両における構造的に確定された軸方向隙間が最小にされるこの種のブレーキ操作ユニットを作動する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、この発明によると、ブレーキブースタの作動が企図されないときに、ブレーキペダルの所定作動行程が戻されるのに対して、ブレーキペダルとブレーキブースタの間の動力伝達結合が起こる直前にソフトウエアに関連した技術措置が実施され、ブレーキペダルとブレーキブースタの間の動力伝達結合を阻止することによって、解決される。
【0006】
この発明思想を具体化するために、ブレーキブースタは、マスターブレーキシリンダにおける全無負荷運転行程が取り除かれるように、電子制御ユニットにより作動されることが企図されている。
【0007】
前記方法の他の好ましい実施態様では、ブレーキブースタは、マスターブレーキシリンダに接続された車輪ブレーキにおける全隙間が取り除かれるように、電子制御ユニットによって作動される。
【0008】
この発明による他の好ましい実施態様では、ブレーキブースタは、出口弁を介して車輪ブレーキと接続できる低圧アキュムレータに定義された圧力流体容積を放出させるように、電子制御ユニットによって作動される。
【0009】
この発明による方法の他の特に好ましい特徴事項は、駆動電動機を備えて、自動車にて実施され、自動車の一車軸に関連した車輪ブレーキにおける隙間が取り除かれるのに対して、他の車軸のブレーキ作用が駆動電動機によって行われることである。
【0010】
この場合には、ソフトウエア技術的措置が実施されるときに、ブレーキと連結されたピストンロッドとブレーキブースタの空圧式制御弁の制御ピストンとの間に設けられた軸方向隙間が所定最小値を下回るときに、特に好ましい。
【0011】
この最小値は、特にピストンロッドの作動行程と、マスターブレーキシリンダを作動する出力部材によりブレーキブースタの作動により戻される行程とから検出される。
【0012】
その外には、ソフトウエア技術的措置がピストンロッドの作動速度に依存して実施され得る。
【0013】
この発明のそれ以上の特徴事項と利点は、次の詳細な説明で添付図面を参酌して詳細に説明され、その図面の唯一の図は、この発明による方法が使用され得るブレーキシステムの概略的表示を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
タイプ「ブレーキ- バイ- ワイヤ」の自動車ブレーキ装置を操作する図に示されたブレーキシステムは、実施的に、ブレーキブースタ、特に真空ブレーキブースタ3と、ブレーキブースタ3の下流に接続されたマスターブレーキシリンダ、特に図示されていないブレーキシリンダ圧力空間には液圧式制御ユニット17を考慮して自動車の車輪ブレーキ(13−16)が接続されいるテンダムマスターブレーキシリンダ4と、マスターブレーキシリンダ4に付属された圧力媒体貯蔵容器5と、運転者によってブレーキブースタ3を操作するブレーキペダル1と、ブレーキペダル1と特に運転モード「ブレーキ- バイ- ワイヤ」で共働して、運転者に一般にブレーキペダル感覚を伝えるペダル行程シミュレータ2と、運転者遅延要求或いはブレーキペダル1の操作行程を検出する検知装置6と、制御ユニットの出力信号がブレーキブースタ3への空気供給を制御する空圧式制御弁9の運転者意志と無関係な操作を可能とするブレーキブースタ3に付属された電磁石8を始動できる電子制御ユニット7とから成る。次の詳細な説明に詳細に説明されるように、この電子制御ユニット7はブレーキブースタ3、特にブレーキブースタ3の出力部材20から戻された行程の特徴とする量を制御する及びシステムに支配される液圧力を制御する又はそのいずれかの一方を行う制御回路を包含する。
【0015】
ブレーキペダル1と連結されたピストンロッド10の一端と前記制御弁9の制御ピストン11との間に設けられた軸方向隙間「a」は、運転モード「ブレーキ- バイ- ワイヤ」でブレーキペダル1とブレーキブースタ3の間の動力伝達結合の離脱を保証する。行程センサー18はブレーキブースタ3の補強力を伝達する可動壁19の行程或いはブレーキブースタ3の上記出力部材20の行程の検出に用いられ、このブレーキブースタはその出力動力をマスターブレーキシリンダ4の図示されていない第一ピストンに伝達する。その外に、液圧式制御ユニット17には、圧力センサー21が一体化されており、この圧力センサーはシステムに支配する液圧式入力圧力を検出する。
【0016】
既に記載されるように、運転モード「ブレーキ- バイ- ワイヤ」でブレーキペダルに作用するもどり力をブレーキブースタ3の操作と無関係に模擬できるペダル行程シミュレータ2は、ブレーキブースタが運転モード「ブレーキ- バイ- ワイヤ」でブレーキペダル1とブレーキブースタ3の間の動力伝達結合の離脱の際に接続でき、運転モード「ブレーキ- バイ- ワイヤ」以外では遮断できるように、形成されている。ペダル行程シミュレータ2の操作は、ブレーキペダル1に連接された操作部材12によって行われる。
【0017】
その外に、図面には、液圧式制御調整ユニット(HCU)17がブレーキ圧制御過程を実施するために必要である全液圧式及び電気液圧式成分を有することを引用する。ブレーキ回路には:それぞれ一個の分離弁22a,bと、一つの電気切替え弁23a,bと、液圧戻りポンプ24a,bと、各場合には 車輪ブレーキ13−16におけるブレーキ圧の選択的調整用の二つの電気的に作動可能な圧力制御弁或いは入口と出口弁25a,b,26a,b,27a,bと28a,bと、各一つの低圧アキュムレータ29a,b及び車輪ブレーキ13−16と連動された圧力センサー30,31とが属する。
【0018】
既に記載されるように、この発明による方法は、特に再生ブレーキ作用の実施の際に軸方向隙間「a」の出来るだけ最適次元化或いは最小化に役立ち、その際にブレーキ作用の一部が発電機運転に作動する電動機により準備される。この種の部分ブレーキ作用の場合には、ブレーキブースタ3が始動されることなしに、或いは車両の遅延が液圧作動可能な摩擦ブレーキによって生じることなしに、ブレーキペダル1より長い作動行程が許容されることが望まれる。それで、この軸方向隙間「a」は単に僅かな遅延、例えば0.1gのカバーのために設定される。この隙間がブレーキ作用中にほとんど克服されるならば、ピストンロッド10と制御弁9の制御ピストン11の間の動力伝達の開始の直前に、電磁石8は、ブレーキブースタ3の可動壁19或いはその出力部材20の方法によってマスターブレーキシリンダ4の両ピストンが、マスターブレーキシリンダ4に存在する無負荷運転行程で、例えば現存の中央弁の閉鎖行程が除去される幅に移動されるように、始動される。この方法は、隙間「a」の拡大を導くけれども、この隙間には車輪ブレーキ13−16における圧力発生が生じない。ブレーキペダル1のより強い操作によって隙間がほとんど克服されるならば、ブレーキブースタ3の補強された始動によって車輪ブレーキ13−16の空隙が除去されて、それはさらに隙間「a」の更なる拡大を導き、その隙間では車輪ブレーキ13−16における圧力は軽視可能に上昇する。この隙間「a」はブレーキペダル1のより強い操作によって再びほぼ克服されるならば、この際に所望の遅延がいつも再生的にもたらされ得て、ブレーキブースタ3は最終行程でなおさらに作動されて、この際に車輪ブレーキ13−16における圧力発生は圧力媒体の前記低圧アキュムレータ29a,bへの放出によって阻止される。
【0019】
本発明の範囲内にて、無論、他の修正も考慮できる。ソフトウエア技術的措置は追加的に走行状態或いは駆動列に利用された可能な遅延に依存して実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による方法が使用され得るブレーキシステムの概略的表示を示す。
【符号の説明】
【0021】
1.....ブレーキペダル
2.....シミュレータ
3.....ブレーキブースタ
4.....マスターブレーキシリンダ
5.....圧力媒体貯蔵容器
6.....検知装置
7.....電子制御ユニット
8.....電磁石
9.....制御弁
10....ピストンロッド
11....制御ピストン
12....操作部材
13−16...車輪ブレーキ
17....液圧式制御調整ユニット(HCU)
18....行程センサー
19....可動壁
20....出力部材
21....圧力センサー
22a,b...分離弁
23a,b...電気切替え弁
25a,b...入口と出口弁
26a,b...入口と出口弁
27a,b...入口と出口弁
28a,b...入口と出口弁
29a,b...低圧アキュムレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードにおいてブレーキペダルとブレーキブースタとの間の動力伝達結合を離脱する手段が設けられており、ブレーキペダルにより且つ電子制御ユニットにより運転者要求に依存して操作できるブレーキブースタと、
b)ブレーキブースタの下流に接続されたマスターブレーキシリンダと、
c)運転者の遅れた要求を検出する手段と、
d)ブレーキペダルと協働し、ブレーキペダルに作用するリセット力によりブレーキブースタの作動に無関係にブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードで模擬され得て、ブレーキペダルとブレーキブースタの間の動力伝達結合が離脱されるときにブレーキ- バイ- ワイヤ操作モードで接続でき、ブレーキ- バイ- ワイヤ操作モード以外で遮断できるペダル行程シミュレータと、
から成るブレーキ- バイ- ワイヤタイプの自動車ブレーキシステムのブレーキ作動ユニットを操作する方法において、ブレーキブースタ(3)の作動が企図されないときに、ブレーキペダル(1)の所定作動行程が戻されるのに対して、ブレーキペダル(1)とブレーキブースタ(3)の間の動力伝達結合が起こる直前にソフトウエアに関連した技術的措置が実施され、ブレーキペダル(1)とブレーキブースタ(3)の間の動力伝達結合を阻止することを特徴とする方法。
【請求項2】
ブレーキブースタ(3)は、マスターブレーキシリンダ(4)における全無負荷運転行程が取り除かれるように、電子制御ユニット(7)によって作動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブレーキブースタ(3)は、マスターブレーキシリンダ(4)に接続された車輪ブレーキ(13−16)における全隙間が取り除かれるように、電子制御ユニット(7)によって作動されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ブレーキブースタ(3)は、出口弁(26a,b;28a,b)を介して車輪ブレーキ(13−16)と接続できる低圧アキュムレータ(29a,b)に所定圧力流体容積を放出させるように、電子制御ユニット(7)によって作動されることを特徴とする請求項2或いは請求項3に記載の方法。
【請求項5】
自動車の一車軸に関連した車輪ブレーキにおける隙間が取り除かれるのに対して、他の車軸のブレーキ作用が駆動電動機によって行われることを特徴とする駆動電動機を備えており、自動車にて実施される請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ブレーキペダル(1)と連結されたピストンロッド(10)とブレーキブースタ(3)の空圧式制御弁(9)の制御ピストン(11)との間に設けられた軸方向隙間(a)は所定最小値を下回ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
この最小値はピストンロッド(10)の作動行程とマスターブレーキシリンダ(4)を作動する出力部材(20)によりブレーキブースタ(3)の作動により戻される行程とから検出されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ソフトウエアに関連した技術的措置がピストンロッド(10)の作動速度に依存して実施されることを特徴とする請求項6或いは請求項7に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−533542(P2007−533542A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508905(P2007−508905)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051717
【国際公開番号】WO2005/102804
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(399023800)コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト (162)
【Fターム(参考)】