説明

自動車用開閉体のストッパ装置

【課題】カバー部材内への水分浸入を阻止すると共に、カバー部材の伸縮時に、カバー部材内の空気を外部へ排出できる、自動車用開閉体のストッパ装置を提供する。
【解決手段】このストッパ装置10は、伸縮可能なストッパ本体15と、ストッパ本体15の基端部を取付孔7に固着させる止め具60とを備え、止め具60には、フランジ部75と係合爪73とが設けられており、取付孔7から表側に突出するストッパ本体15を覆い、止め具60のフランジ部75に接合された伸縮可能なカバー部材90が設けられ、該カバー部材90が伸縮する際に、カバー部材90内の空気が、ストッパ本体15外周と止め具60のフランジ部75との隙間を通って外部に流通するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のドア等の開閉体を閉じたときに、その回動規制を行うための、自動車用開閉体のストッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のトランクや後部荷室には、トランクリッドやバックドア等の開閉体が開閉可能に取付けられている。このような開閉体は、トランクや荷室の開口部周縁に当接して、同開口部を閉塞するようになっている。この際、トランクリッドやバックドア等が勢い良く開口部周縁に当たって、過大な衝撃力が作用したり打音が生じたりするのを防止するため、自動車の開口部と開閉体との間にストッパを配置し、このストッパを介して開閉体を開口部周縁に間接的に当接させて、回動規制を図るようにした構造が採用されることがある。
【0003】
このようなストッパとして、下記特許文献1には、トランクリッドパネルに固定される基体と、該基体に装着される伸縮性を有するキャップ体とを備えた弾性体が記載されている。前記基体は、一対の係止爪を有する差込部と、該差込部に連設された保持部とを有している。この保持部には、その上端周縁に一対の係止肩片が設けられていると共に、軸方向途中に環状突起が突設されている。また、前記差込部及び前記保持部の中央には可動軸材が昇降可能に挿通されている。そして、可動軸材下端の下鍔部と前記保持部の下端段部との間にコイルスプリングが介装され、可動軸材の下端部が常時突出するように付勢されている。
【0004】
一方、前記キャップ体はラバー材等で形成された有底円筒状をなし、上端部内側に環状凹溝が形成されると共に、軸方向途中に伸縮可能な蛇腹部が形成され、更に下端部に半球形状の弾性当接部が設けられている。そして、キャップ体の上端部を広げて、その環状凹溝を保持部外周の環状突起に嵌着させることで、同環状突起と環状凹溝とが弾性的に密着され、基体とキャップ体との隙間が密閉シールされた状態で、基体にキャップ体が装着されるようになっている。更に、トランクリッドパネルの取付孔に挿入された差込部の係止爪が取付孔裏側に係合し、保持部の係止肩片が取付孔表側に係合することで、弾性体が一方の部材に取付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−11942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、キャップ体の環状凹溝が基体の環状突起に弾性的に密着し、基体とキャップ体との隙間が密閉シールされているので、キャップ体内に雨水等の水分が浸入しにくい構造となっている。その反面、キャップ体の弾性当接部が相手部材に当接して、スプリングの付勢力に抗して可動軸材が縮むと共に、キャップ体の蛇腹部が縮んだとき、キャップ体内の空気が外部に排出されないので、このキャップ体内の空気が、いわば空気ばねのように作用してしまって、トランクの開口部に対してトランクリッドを閉じるときの抵抗となり、トランクリッドが閉じにくくなる場合があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、カバー部材内への水分浸入を阻止することができると共に、カバー部材が伸縮するときに、カバー部材内の空気を外部へ排出することができる、自動車用開閉体のストッパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、自動車に設けられる開口部と、該開口部に取付けられる開閉体との間に配置され、前記開閉体の回動規制を行うものであって、伸縮可能なストッパ本体と、該ストッパ本体の基端部を前記開口部周縁又は前記開閉体のどちらか一方に固着させると共に、前記ストッパ本体の先端部を前記開口部周縁又は前記開閉体の他方に向けて指向させる止め具とを備え、前記止め具には、前記開口部周縁又は前記開閉体に設けられた取付孔の表側周縁に係合するフランジ部と、前記取付孔に挿入され前記取付孔の裏側周縁に係合する挿入部とが設けられており、前記取付孔から表側に突出する前記ストッパ本体を覆い、前記止め具のフランジ部に接合された伸縮可能なカバー部材が設けられ、該カバー部材が伸縮する際に該カバー部材内の空気が、前記ストッパ本体と前記止め具との隙間を通って、前記挿入部から前記取付孔の裏側の前記止め具の外部に流通するように構成されていることを特徴とする自動車用開閉体のストッパ装置を提供するものである。
【0009】
本発明の自動車用開閉体のストッパ装置においては、前記止め具の前記フランジ部の裏面側にシール部材が配置され、前記カバー部材の端縁部が前記フランジ部と前記シール部材とに挟まれて接合されていることが好ましい。
【0010】
本発明の自動車用開閉体のストッパ装置においては、前記シール部材は、発泡材料からなると共に、前記カバー部材の前記フランジ部への接合部外径よりも大きく形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の自動車用開閉体のストッパ装置においては、前記挿入部は、前記ストッパ本体の基端部を収容し、前記取付孔に挿入される筒部を有し、該筒部の一端開口部に前記フランジ部が形成され、前記筒部の側壁に前記取付孔の裏側周縁に係合する係合爪がスリットを介して形成されており、前記ストッパ本体と前記筒部との間に隙間が形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の自動車用開閉体のストッパ装置においては、前記ストッパ本体の基端部が、前記止め具の筒部の底面に固定手段によって固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開口部に対して開閉体を閉じるとき、ストッパ本体の先端部が開口部周縁又は開閉体に当接して、開閉体の回動規制が行われる。そして、取付孔から表側に突出するストッパ本体が、伸縮可能なカバー部材で覆われ、該カバー部材は止め具のフランジ部に接合されているので、ストッパ本体に雨水が接触したり、カバー部材内に雨水等が侵入したりすることを防止できる。
【0014】
更に、ストッパ本体が伸縮する際、カバー部材も一緒に伸縮することになるが、カバー部材内部の空気が、前記ストッパ本体と前記止め具との隙間を通って、前記挿入部から前記取付孔の裏側の前記止め具の外部に流通するように構成されているので、カバー部材内の空気が行き場所をなくして空気バネとなって抵抗を与えるのを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る自動車用開閉体のストッパ装置の、一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同ストッパ装置の要部組立斜視図である。
【図3】同ストッパ装置の断面斜視図である。
【図4】同ストッパ装置を構成するシリンダの、第1ボディの断面図である。
【図5】同ストッパ装置を構成するシリンダの、第2ボディを示しており、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図6】同ストッパ装置を構成する止め具を示しており、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A矢示線における断面図である。
【図7】同ストッパ装置を構成するカバー部材を示しており、(a)はその断面図、(b)は(a)のB−B矢示線における断面図である。
【図8】同ストッパ装置の使用状態を示しており、弾性手段によりピストンロッドが付勢された状態を示す説明図である。
【図9】同ストッパ装置の要部拡大説明図である。
【図10】同ストッパ装置の使用状態を示しており、弾性手段の付勢力に抗してピストン本体が移動した状態を示す説明図である。
【図11】同ストッパ装置を適用した開閉体及び開口部を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る自動車用開閉体のストッパ装置の、他の実施形態を示しており、同ストッパ装置を構成する止め具の斜視図である。
【図13】同ストッパ装置を構成する止め具を示しており、(a)はその平面図、(b)は(a)のC−C矢示線における断面図である。
【図14】同ストッパ装置の要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る自動車用開閉体のストッパ装置の一実施形態について説明する。図11に示すように、この実施形態における自動車用開閉体のストッパ装置10(以下、「ストッパ装置10」という)は、自動車の後部荷室に設けられる開口部3と、該開口部3に取付けられるハッチバックドアからなる開閉体5との間に配置され、開閉体5を閉じたときに、その回動規制を図るものである。なお、このストッパ装置10は、車両後方のハッチバックドアだけでなく、車両側面のヒンジドアやスライドドア等にも適用することができ、その配置箇所は特に限定されない。
【0017】
そして、このストッパ装置10は、図1及び図2に示すように、伸縮可能なストッパ本体15と、該ストッパ本体15の基端部を前記開閉体5に固着させると共に、同ストッパ本体15の先端部を、自動車の開口部3側に向けて指向させる止め具60と、開口部3に形成された取付孔7(図8参照)から表側に突出するストッパ本体15を覆う伸縮可能なカバー部材90とを有している。
【0018】
図1〜3及び図8に示すように、この実施形態におけるストッパ本体15は、一対のピストンロッド23,27が突出したピストン20と、ガスケット46を介して互いに連結される第1ボディ30A及び第2ボディ30Bからなり、前記ピストン20をスライド可能に収容するシリンダ30とから構成されている。
【0019】
前記ピストン20は、円形フランジ状のピストン本体21と、該ピストン本体21の一端面中央から所定長さで突出したピストンロッド23と、前記ピストン本体21の他端面中央から、前記ピストンロッド23と同軸的に且つ同ピストンロッド23よりも短く突出したピストンロッド27とを有している。前記ピストン本体21の外周には、切欠き状のオリフィス21a,21aが対向して形成されている。また、ピストンロッド23,27の軸方向途中にはシールリング装着溝23a,27aが形成され、それらにシールリング24,28がそれぞれ装着されている。更に、ピストンロッド23の先端部25は縮径した形状をなし、その外周にEリング装着溝25aが形成されている。なお、ピストンロッド23の先端部25が、本発明における「ストッパ本体の先端部」をなしている。
【0020】
また、図8に示すように本実施形態における前記シールリング24,28は、断面がY字状のいわゆるYリングが採用されているが、これに限定されるものではなく、断面が円形状のいわゆるOリングや、その他の断面形状のリングを採用してもよい。
【0021】
更に、本実施形態では、オリフィスとしてピストン本体21に切欠き状に形成されたものを採用したが、これに限定されるものではない。例えば、ピストン本体21に貫通した穴を設け、この穴をオリフィスとして用いたり、或いは、後述するシリンダ30の第1ボディ30Aの第2筒部32の内径と、ピストンロッド23の外径との間に隙間を設けて、この隙間をオリフィスとして利用してもよい。
【0022】
一方、シリンダ30の第1ボディ30Aは、図1,4,8に示すように、前記ピストン本体21をスライド可能に収容する円筒状の第1筒部31と、この第1筒部31の一端面から連結壁33を介して縮径して連設され、前記ピストンロッド23を挿通させる第2筒部32と、前記第1筒部31の他端周縁から外径方向に形成された第1フランジ部35とを有している。
【0023】
なお、図10に示すように、前記第2筒部32は、ピストン本体21が第2ボディ30B側に最大限スライドしたときに、ワッシャプレート50には当接しない長さとされている。すなわち、図8に示すように、コイルスプリング55により付勢されたピストン本体21が、第1ボディ30Aの連結壁33に当接して移動規制がなされたとき、ピストン本体21とガスケット46との間の距離aよりも、第2筒部32の上端とワッシャプレート50の下端との距離bの方が大きくなるように、第2筒部32の長さが設定されている。
【0024】
また、図4に示すように、第2ボディ30Bに連結される前の状態で、前記第1フランジ部35の周縁部35aは、第1ボディ30Aの軸方向に延出した筒状をなしている。更に図4及び図8に示すように、第1筒部31と第2筒部32とを連結する連結壁33は、第2筒部32に向かうほど軸方向に突出するように傾斜した形状をなしている。
【0025】
上記第1ボディ30Aに連結される第2ボディ30Bは、図1及び図5に示すように、前記ピストン20のピストンロッド27をスライド可能に支持する有底円筒状の第3筒部39と、該第3筒部39の開口部周縁から外径方向に広がり、前記第1フランジ部35の周縁部35aの内径よりも小径で形成された第2フランジ部45とを有している。なお、第2ボディ30Bの上記第3筒部39が、本発明における「ストッパ本体の基端部」をなしている。
【0026】
この第2フランジ部45と前記第1フランジ部35との間には、織布やゴム等からなり、シール性を高めるための環状のガスケット46が配置されている(図8〜10参照)。このガスケット46の内径寸法は、第1ボディ30Aの第1筒部31の内径寸法よりも小さく形成されている。
【0027】
図5(a),(b)に示すように、第3筒部39の底部41の中央には、貫通孔43が形成されており、この貫通孔43の外周には、周方向に均等な間隔で複数、この実施形態では3個の空気逃げ孔43aが形成されている。
【0028】
また、第3筒部39は前記ピストンロッド27よりも長く延出され、その先端部内側に、ピストンロッド27がスライドしても、ピストンロッド27が挿入されない空間部47が設けられている(図8及び図10参照)。この空間部47内には、シリンダ30と前記止め具60とを固定するリベット80の係合部80bが配置されるようになっている。なお、この係合部80bは、ピストン本体21が第2ボディ30B側に最大限スライドしても、ピストンロッド27に衝突しないようになっている(図10参照)。
【0029】
上記の第1ボディ30Aと第2ボディ30Bとが連結された状態では、一方のピストンロッド23は、第1ボディ30Aの第2筒部32にスライド可能に支持され、その先端開口から挿出されると共に、他方のピストンロッド27は、第2ボディ30Bの第3筒部39にスライド可能に支持されて、ピストン20が両持ち支持されるようになっている(図3,8,10参照)。そして、シリンダ30内でのピストン本体21のスライド動作に伴って、ピストンロッド23がスライドして、第2筒部32の先端開口からの突出量が変化することで、ストッパ本体15が伸縮するように構成されている。
【0030】
また、図8に示すように、第2筒部32の内周にシールリング24が当接し、第3筒部39の内周にシールリング28が当接して、シリンダ30の内部に粘性流体Rが封入され、シリンダ30内でピストン本体21がスライドするときに、オリフィス21aを通過するときの流動抵抗により、ピストン本体21に制動力が作用するようになっている。
【0031】
更に、ピストン本体21は、常時はコイルスプリング55により付勢され、第1ボディ30Aの連結壁33に当接し(図8参照)、コイルスプリング55の付勢力に抗して第2ボディ30B側に移動するときには、ガスケット46に当接して、それ以上の移動が規制されるようになっている(図10参照)。
【0032】
なお、ガスケット46が第1筒部31の内周からはみでないようにしたり、ガスケット46を用いずに、第1フランジ部35と第2フランジ部45とをかしめる等により接合し、第1ボディ30Aと第2ボディ30Bとを連結させたりして、ピストン本体21を第2ボディ30Bの第2フランジ部45に直接的に当接させて、その移動を規制するようにしてもよい。また、上記のように、ガスケット46を用いず、第1フランジ部35と第2フランジ部45とをかしめる場合には、両者の隙間をシールするために、第1フランジ部35と第2フランジ部45との間に接着剤を介在させておくことが好ましい。
【0033】
なお、この実施形態におけるストッパ本体15は、上記のようにピストン20及びこれをスライド可能に支持するシリンダ30からなり、第1ボディ30Aの第2筒部32の先端開口から突出したピストンロッド23がスライドすることで、伸縮する構造となっているが、この構造に限定されるものではない。例えば、ストッパ本体として、筒体及びこれに収容されるロッド等や、ゴム等からなる弾性部材を採用し、カバー部材90を伸縮させながら、伸縮する構造であればよい。
【0034】
また、前記ピストンロッド23の先端部25には、ワッシャプレート50が装着されている。図1及び図2に示すように、このワッシャプレート50は、中央に挿通孔51が形成され、この挿通孔51の外周に、複数の爪装着孔52が均等な間隔で設けられている。更にワッシャプレート50の外周には、切起こし状のスプリング支持爪53が形成されている。このワッシャプレート50は、図10に示すように、ピストン本体21が第2ボディ30B側に最大限スライドしたときでも、前記第2筒部32に当接しないように構成されている。
【0035】
上記ワッシャプレート50には、自動車の開口部3の周縁に弾性的に当接する弾性当接部材57が装着される。この弾性当接部材57は、ゴム等の弾性材料から形成され、その裏面側から前記ワッシャプレート50の爪装着孔52に挿入されて係合する複数の装着爪58が突設されている。なお、各装着爪58の中心には、成形性及び柔軟性を高めるための、肉抜き孔58aが軸方向に沿って形成されている(図3及び図8参照)。
【0036】
また、前記シリンダ30の第1ボディ30Aの外周に、コイルスプリング55が配置されている。このコイルスプリング55は、その一端が前記ワッシャプレート50に当接すると共に、該一端内周に前記ワッシャプレート50のスプリング支持爪53が挿入されて支持され、更に、他端が前記第1ボディ30Aの第1フランジ部35に当接して支持される。このように配置されたコイルスプリング55は、前記ワッシャプレート50を介して、ピストンロッド23を第2筒部32の先端開口から突出させ、自動車の開口部3の周縁に当接するように付勢するようになっている。
【0037】
上記構成からなるストッパ本体15の基端部を開閉体5に固着させる止め具60は、前記取付孔7の表側周縁に係合する第3フランジ部75と、前記取付孔7に挿入され、同取付孔7の裏側周縁に係合する挿入部64とを有している。具体的には、前記挿入部64は、開閉体5の取付孔7(図8参照)に挿入されると共に、前記シリンダ30の第3筒部39を収容する有底円筒状の収容筒部61と、前記取付孔7の裏側周縁に係合する係合爪73とを有しており、前記該収容筒部61の先端開口部周縁から外径方向に向けて、前記取付孔7の表側周縁に直接的又は間接的に係合する第3フランジ部75が形成されている。なお、前記第3フランジ部75が本発明における「フランジ部」をなし、前記収容筒部61が本発明における「筒部」をなしている。なお、上記収容筒部61の内径は、前記シリンダ30の第3筒部39の外径よりも大きく形成されている。
【0038】
図6(a),(b)に示すように、前記収容筒部61の底部63の中央には貫通孔65が形成されており、同底部63の内面には、該底部63から貫通孔64の軸心方向に突出すると共に、貫通孔64の中心から放射状に互いに間隔を空けて形成されている。この実施形態では十字状に伸びる複数の凸部67が形成されている。
【0039】
そして、図8に示すように、シリンダ30の貫通孔43及び止め具60の貫通孔65に、リベット80の軸部80aがそれぞれ挿入され、シリンダ30の空間部47内に配置された係合部80bが貫通孔43の周縁に係合すると共に、傘状部80cが止め具60の貫通孔65の周縁に係合することにより、リベット80を介してシリンダ30に止め具60が固定されるようになっている。このリベット80が、本発明における「固定手段」をなしている。なお、固定手段としては、上記リベット80以外にも、ボルトやナット、工業用ファスナー等の様々なものを採用することでき、特に限定されるものではない。
【0040】
また、この状態では図8に示すように、前記凸部67にシリンダ30の底部41が当接して、止め具60の底部63とシリンダ30の底部41との間に隙間S1が形成され、この隙間S1が、貫通孔43に設けられた空気逃げ孔43aを介して、第3筒部39の空間部47に連通するようになっている。
【0041】
前記収容筒部61の内周には、先端開口から底部63に至るまで、軸方向に沿って伸びる突条69が、周方向に互いに間隔を空けて複数突設されている(図6(a),(b)参照)。図6(a)に示すように、この実施形態における突条69は、収容筒部61を軸方向から見たとき、略三角形状をなすと共に、前記底部63に形成された複数の凸部67の間に配置されている。そして、上述したように、リベット80を介してシリンダ30に止め具60が固定されたときに、止め具60の収容筒部61の内周と、シリンダ30の第3筒部39の外周との間に隙間S2が形成されるようになっている(図8参照)。図8及び図10に示すように、この隙間S2は、止め具60の底部63とシリンダ30の底部41との間に形成された前記隙間S1に連通するようになっている。
【0042】
また、前記収容筒部61の側壁には、前記複数の突条69の間に位置する部分に、コ字状のスリット71(図1及び図6(b)参照)を介して、前記係合爪73が撓み可能に形成されている。図3及び図6に示すように、この係合爪73は、収容筒部61の外周側に次第に突出するテーパ部73aと、その先端部に設けられ、前記取付孔7の裏側周縁に係合する係合段部73bとを有している。
【0043】
図9に示すように、前記リベット80により前記シリンダ30に止め具60が固定された状態で、前記シリンダ30の第1フランジ部35及び第2フランジ部45は、前記第3フランジ部75の上面よりも上方に位置し、それらの間に隙間S3が形成されるようになっている。図8〜10に示すように、この隙間S3は、止め具60の収容筒部61の内周と、シリンダ30の第3筒部39の外周との間に形成された前記隙間S2に、連通するようになっている。
【0044】
上記構造をなすストッパ本体15は、止め具60を介して、その基端部(第3筒部39)が取付孔7に固着される一方、それ以外の部分が取付孔7から表側に突出し、この部分が伸縮可能なカバー部材90で覆われるようになっている。
【0045】
このカバー部材90はゴム等の弾性材料で形成され、図1,3,7に示すように、環状をなし、前記止め具60の第3フランジ部75に接合される基端部91と、この基端部91に連設された蛇腹状をなす伸縮可能な伸縮筒部95と、この伸縮筒部95の先端部から延設された環状の先端カバー部97とを有している。
【0046】
図7(a)に示すように、前記基端部91の内周には、その開口側に環状溝92が形成されると共に、環状溝92の上部は、内径方向に突出した突出部93をなしている。そして、前記環状溝92を前記止め具60の第3フランジ部75の外周に嵌着させることで、止め具60にカバー部材90の基端部91が装着され、その状態で前記突出部93がシリンダ30の第1フランジ部35の外周に密着するようになっている(図8及び図9参照)。
【0047】
また、図7(b)に示すように、前記突出部93の内周には、軸方向に沿って伸びる空気逃げ溝93aが、周方向に均等な間隔で複数形成され、止め具60にカバー部材90が装着され、前記突出部93が第1フランジ部35の外周に密着した状態で、シリンダ30とカバー部材90との間の空気をカバー部材90の外部へ排出可能となっている。
【0048】
更に、カバー部材90の先端カバー部97の内周には、環状溝97aが形成されている。この環状溝97aを、ワッシャプレート50に装着された弾性当接部材57の外周に嵌着させることにより、同弾性当接部材57にカバー部材90の先端カバー部97が装着される(図8参照)。このように先端カバー部97が弾性当接部材57に装着されると共に、前記基端部91が止め具60の第3フランジ部75に装着されることで、カバー部材90によって、シリンダ30の第1ボディ30A、ピストンロッド23及びコイルスプリング55が覆われるようになっている。
【0049】
また、前記止め具60の第3フランジ部75の裏面側には、発泡材料からなる環状のシール部材82が配置されている(図2参照)。その結果、図8及び図9に示すように、前記止め具60を介してストッパ本体15の基端部が取付孔7に固着されたときに、前記カバー部材90の基端部91の端縁部が、前記第3フランジ部75と前記シール部材82とに挟まれて接合されるようになっている。
【0050】
上記シール部材82は、止め具60の第3フランジ部75の外径よりも大きく、かつ、カバー部材90の、第3フランジ部75への接合部、すなわち、カバー部材90の基端部91の外径よりも大きくなるように形成されている。そのため、図9に示す状態で、カバー部材90の基端部91外周から、シール部材82の外周縁部82aがはみ出て盛り上がるようになっている。
【0051】
次に上記構造からなるストッパ装置10の作用効果について説明する。
【0052】
最初に組み立て作業について説明すると、シリンダ30及びピストンからなるストッパ本体15と、その外周に配置されるコイルスプリング55とは、例えば、次のようにして組み立てることができる。すなわち、前記ピストンロッド23を第1ボディ30Aの第2筒部32に挿入し、ピストン本体21を同第1ボディ30Aの第1筒部31に収容すると共に、第1筒部31内にシリコンオイルやグリース等の粘性流体Rを充填して、第1ボディ30Aの第1フランジ部35の裏面側に環状のガスケット46(図1参照)を配置する。
【0053】
その後、第2ボディ30Bの第2フランジ部45を、第1フランジ部35の周縁部35aの内周に配置し、前記ガスケット46を両フランジ部35,45で挟み込むと共に、ピストンロッド27を第2ボディ30Bの第3筒部39に挿入する。その状態で、第1フランジ部35の周縁部35aを、第2フランジ部45の表面側に被さるように、かしめることにより、第1ボディ30Aに第2ボディ30Bが連結される(図3及び図8参照)。このように、第1フランジ部35と第2フランジ部45との間にガスケット46を挟み込まれているので、両フランジ部35,45との間の隙間を封止して、両者のシール性を向上させることができる。
【0054】
上記のように、第1ボディ30Aと第2ボディ30Bとを連結した結果、ピストンロッド23が第1ボディ30Aの第2筒部32にスライド可能に支持され、ピストンロッド27が第2ボディ30Bの第3筒部39にスライド可能に支持されて、ピストン20が両持ち支持されるようになっている(図3,8,10参照)。
【0055】
また、平面状をなしたフランジ部35,45を利用して両ボディ30A,30Bを接合することができるので、第1ボディ30Aと第2ボディ30Bとを容易に連結することができる。更に、シリンダ30を、第1ボディ30A及び第2ボディ30Bの2つの部材だけで構成することができるので、部品点数を少なくして簡単な構造にすることができる。
【0056】
次いで、シリンダ30の第1ボディ30Aの外周に、コイルスプリング55を外装し、その端部を前記第1フランジ部35に当接させる。そして、ピストンロッド23の先端部25をワッシャプレート50の挿通孔51に挿通させ、同先端部25の段部25b(図8参照)でワッシャプレート50を支持すると共に、Eリング装着溝25aにEリング56を装着する。その結果、ピストンロッド23の先端部25にワッシャプレート50が抜け止め状態で装着され、ワッシャプレート50とシリンダ30の第1フランジ部35との間にコイルスプリング55が縮んだ状態で介装され、ワッシャプレート50を介して、ピストンロッド23が自動車の開口部3側に向けて付勢される。
【0057】
このように、剛性の高いワッシャプレート50をピストンロッド23の端部に取付けることにより、コイルスプリング55の一端をしっかりと保持できると共に、構成を簡略化することができる。また、前記コイルスプリング55は、一端が第1フランジ部35に支持され、他端がワッシャプレート50に支持されているので、コイルスプリング55の外径を十分に確保して、高いばね力を得ることができ、その結果、コイルスプリング55やシリンダ30の全長を短くでき、省スペース化を図ることができる。更に、コイルスプリング55の一端は、第1フランジ部35のかしめ加工用の周縁部35a(図9参照)ではなく、面精度の高い平面部分で支持されているので、コイルスプリング55が傾くことを抑制することができる。
【0058】
そして、図2に示すように、ワッシャプレート50の複数の爪装着孔52に、弾性当接部材57の複数の装着爪67aを整合させて、同弾性当接部材57を押し込むことにより、各装着爪67aを爪装着孔52に係合させて、ワッシャプレート50の表面に弾性当接部材57が装着される。
【0059】
上記シリンダ30は、第2ボディ30Bの第3筒部39を介して、止め具60に取付けられるようになっている。すなわち、止め具60の収容筒部61内に、シリンダ30の第3筒部39を挿入し、その底部41を止め具60の底部63の凸部67に当接させる。このとき、図6(a),(b)に示すように、複数の突条69の各先端部がシリンダ30の第3筒部39の外周に近接して配置されるので、シリンダ30の第3筒部39をガタ付くことなく、しっかりと支持することができる。
【0060】
次に、図3及び図8に示すように、シリンダ30の貫通孔43及び止め具60の貫通孔65に、リベット80の軸部80aをそれぞれ挿入して、かしめることにより、シリンダ30の空間部47内に配置された係合部80bが貫通孔43の周縁に係合すると共に、止め具60の貫通孔65の周縁に傘状部80cが係合して、リベット80を介してシリンダ30に止め具60が固定される。
【0061】
上記のように本実施形態では、ストッパ本体15の基端部である第3筒部39が、止め具60の収容筒部61の底面に、固定手段であるリベット80を用いて固定することができるようになっている。すなわち、止め具60の収容筒部61にストッパ本体15の第3筒部39が収容された状態で両者が固定されるので、固定構造を簡略化することができると共に、省スペース化を図ることができる。また、第3筒部39の先端部のピストンロッド27が挿入されない空間部47を利用して、リベット80を介してシリンダ30と止め具60とを固定することができるので、、両者の固定構造を簡略化することできる。
【0062】
その後、カバー部材90を、基端部91側からシリンダ30に被せていき、基端部91の環状溝92を、止め具60の第3フランジ部75の外周に嵌着させると共に、先端カバー部97の環状溝97aを、弾性当接部材57の外周に嵌着させることで、カバー部材90が、シリンダ30の第1ボディ30Aの外周に装着され、シリンダ30の第1ボディ30A、ピストンロッド23及びコイルスプリング55が覆われる(図3参照)。
【0063】
このとき、カバー部材90の基端部91に設けられた突出部93が、シリンダ30の第1フランジ部35の外周に密着するようになっているので(図8及び図9参照)、カバー部材90の基端部91をガタ付きなく、しっかりと支持することでき、カバー部材90の伸縮筒部95の伸縮動作がスムーズになされる。
【0064】
そして、このストッパ装置10は、止め具60を介して開閉体5の取付孔7に取付けられるようになっている。その取付けの際には、図2に示すように、止め具60の収容筒部61の外周に環状のシール部材82を装着しておき、その状態で止め具60の収容筒部61を取付孔7に挿入する。
【0065】
すると、取付孔内周にテーパ部73aが押圧されて係合爪73が内側に撓み、その係合段部73bが取付孔7を乗り越えると、係合爪73が弾性復帰して、係合段部73bが取付孔7の裏側周縁に係合する。
【0066】
それと共に、取付孔7の表側周縁にシール部材82が当接し、前記カバー部材90の基端部91の端縁部が、止め具60の第3フランジ部75と前記シール部材82との間で挟まれて接合される(図8及び図9参照)。更に、カバー部材90の基端部91が、シール部材82を若干押し潰すので、シール部材82の、カバー部材90により押された部分の外周から、シール部材82の外周縁部82aがはみ出て盛り上がった状態となる(図9参照)。
【0067】
以上のようにして、取付孔7の表側周縁にシール部材82を介して、止め具60の第3フランジ部75が間接的に係合し、この第3フランジ部75と、取付孔7の裏側周縁に係合した係合爪73とにより、取付孔7の周縁が挟持されて、取付孔7にストッパ装置10を取付けることができる。
【0068】
そして、上記取付状態では、ストッパ本体15の取付孔7から表側に突出した部分が、伸縮可能なカバー部材90で覆われていると共に、同カバー部材90は、その基端部91が、止め具60の第3フランジ部75に接合されているので、ストッパ本体15に雨水等の水分が接触したり、カバー部材90内に雨水等が侵入したりすることを防止することができる。
【0069】
なお、この実施形態では、ストッパ装置10を開閉体5の取付孔7に取付けるようにしたが、これとは逆に、自動車の開口部3の周縁に取付孔を形成しておき、自動車の開口部3の周縁にストッパ装置10を取付けるようにしてもよい。
【0070】
また、上記のように取付孔7にストッパ装置10が取付けられたとき、この実施形態においては、カバー部材90の基端部91の端縁部が、止め具60の第3フランジ部75とシール部材82とで挟まれて接合されるようになっているので、簡単な構成でカバー部材90の基端部91の端縁部を、シール性を向上させつつ固定することできるので、第3フランジ部75とシール部材82との隙間から、雨水等の水分がカバー部材90内に侵入することを、より確実に防止することができる。
【0071】
同じく取付孔7にストッパ装置10が取付けられたとき、この実施形態においては、シール部材82の、カバー部材90により押された部分の外周から、シール部材82の外周縁部82aがはみ出て盛り上がった状態となり、この盛り上がった外周縁部82aが、カバー部材90の基端部91の外周縁に配置されるので、止め具60の第3フランジ部75の外周から、カバー部材90を外れにくくすることができる。
【0072】
そして、図11に示される自動車の開口部3が開いた状態から開閉体5を閉じていくと、シリンダ30の第2筒部32の先端開口から突出したピストンロッド23の先端部が、弾性当接部材57を介して開口部3の周縁に間接的に当接し、ピストンロッド23がコイルスプリング55の付勢力に抗して、カバー部材90の伸縮筒部95を縮ませながら、シリンダ30の第2ボディ30B側に押し込まれる。
【0073】
すると、第2筒部32及び第3筒部39により、ピストンロッド23,27がそれぞれスライド支持されつつ、かつ、オリフィス21aを通過する粘性流体Rの流動抵抗を受けながら、第1筒部31内をピストン本体21がスライドし、それと共にカバー部材90の伸縮筒部95も縮む。
【0074】
このとき、カバー部材90の内部の空気は、ストッパ本体15と止め具60との隙間を通り、止め具60の挿入部64から取付孔7の裏側の止め具の外部に流通するように構成されている。
【0075】
具体的には、カバー部材90の内部の空気は、図9の矢印で示すように、カバー部材90の基端部91に形成された空気逃げ溝93aから排出されて、シリンダ30の第1フランジ部35及び第2フランジ部45と、止め具60の第3フランジ部75との間に形成された隙間S3を通って、止め具60の収容筒部61の内周と、シリンダ30の第3筒部39の外周との間に形成された隙間S2へと流れる。更に空気は、止め具60の収容筒部61の側壁に形成されたスリット71を通って、止め具60の外部へ排出される。この実施形態では、ストッパ装置10が開閉体5の取付孔7に取付けられているので、上記のカバー部材90内の空気は開閉体5内に排出される。
【0076】
上記のように、このストッパ装置10においては、ストッパ本体15が縮む際に、カバー部材90内の空気が、上記経路で外部へ流通するように構成されているので、カバー部材90内の空気が行き場所をなくして、空気バネとなって抵抗となるのを阻止し、開閉体5を閉じやすくすることができる。また、空気逃げ溝93aからカバー部材90内の空気が排出されることで、カバー部材90の伸縮筒部95が蛇腹形状を保持しつつ折り畳まれて、カバー部材90の伸縮動作がスムーズになされるようになっている。
【0077】
更に、ピストン本体21両面のピストンロッド23,27が、シリンダ30の第2筒部32及び第3筒部39にスライド可能に支持され、ピストン20が両持ち支持されているので、ピストン本体21の傾きを防止してスムーズにスライドさせることができる。
【0078】
また、第1筒部31内をスライドするピストン本体21は、この実施形態では、第1ボディ30Aの第2筒部32の内周面から突出したガスケット46に当接して、それ以上の移動が規制されると共に、第2ボディ30Bの第3筒部39内をスライドするピストンロッド27は、リベット80の係合部80bの手前で静止するようになっている(図10参照)。
【0079】
そして、図10の矢印に示すように、上記のピストンロッド27のスライド動作に伴って、第3筒部39の空間部47における空気は、第3筒部39の貫通孔43の空気逃げ孔43a(図5(a)参照)から排出され、止め具60の底部63とシリンダ30の底部41との間の隙間S1を通過する。更に空気は、止め具60の収容筒部61内周とシリンダ30の第3筒部39外周との隙間S2に流れ、止め具60の収容筒部61のスリット71を通って、止め具60の外部へと排出されて、ピストン20のスライド動作時の抵抗とならないようになっている。
【0080】
また、ピストンロッド23がコイルスプリング55の付勢力に抗して第2ボディ30B側に押し込まれたとき、ピストン本体21が第2ボディ30Bの第2フランジ部45に対して、ガスケット46を介して間接的に当接するので、第1ボディ30Aに大きな荷重が付加されることを防ぎ、第1ボディ30Aの変形を防止して、シリンダ30の変形や損傷を効果的に防止することができる。更に、ガスケット46にピストン本体21が当接して、それ以上の移動が規制されるので、ピストン本体21と第2ボディ30Bの第2フランジ部45が直接当接することを防止することでき、衝突音や、ピストン本体21及び第2ボディ30Bの摩耗等を抑制することができる。
【0081】
また、第1ボディ30Aの第2筒部32の長さが、ピストン本体21がガスケット46に当接したとき、ワッシャプレート50が第1ボディ30Aの第2筒部32に当接しないように設定されているので(図10参照)、同第2筒部32に大きな荷重がかからず、第1ボディ30Aの変形を効果的に防止することができる。更に、第2ボディ30Bの第3筒部39の長さが、ピストン本体21がガスケット46に当接したとき、ピストンロッド27とリベット80の係合部80bとの間に隙間が形成されるように設定されているので、ピストンロッド27がリベット80の係合部80bに当接することを防止することでき、それによる衝突音や両部材の摩耗等を抑制することができる。
【0082】
また、図4及び図9に示すように、第1ボディ30Aの連結壁33は、第2筒部32に向かうほど軸方向に突出するように傾斜した形状をなしているので、ピストン本体21が自動車の開口部3側へ移動するときに、図9の矢印に示すように、シリンダ30内の空気を連結壁33の傾斜に沿って第2筒部32側に誘導して、ピストン本体21とシリンダ30の内周との隙間に空気が咬み込むことを抑制することができる。更に、ピストン本体21が連結壁33に当接したときでも、連結壁33に対するピストン本体21の接触面積を比較的小さくすることができるので、ピストン本体21が連結壁33に貼り付いてしまって動かなくなることを防止することができる。
【0083】
図12〜14には、本発明に係る自動車用開閉体のストッパ装置の、他の実施形態が示されている。前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0084】
この実施形態における自動車用開閉体のストッパ装置10a(以下、「ストッパ装置10a」という)は、シリンダ30を構成する第2ボディ30Bの、ピストン本体21が当接する部分である、フランジ状をなした第2フランジ部45が、止め具60の第3フランジ部75を介して、開閉体5の取付孔7の周縁に間接的に当接するように構成されている(図14参照)。
【0085】
具体的には、図12及び図13(a),(b)に示すように、前記止め具60の第3フランジ部75の開口部の周縁部分が、所定高さで突出した突出部75aをなしている。この突出部75aが、リベット80を介してシリンダ30に止め具60を固定したときに、第2ボディ30Bの第2フランジ部45に当接して、同第2フランジ部45を支持するようになっている(図14参照)。その結果、前記第2ボディ30Bの第2フランジ部45は、止め具60の第3フランジ部75及びシール部材82を介して、取付孔7の表側周縁に間接的に当接することとなる。
【0086】
また、止め具60の第3フランジ部75の突出部75aには、前記底部63に設けられた十字状の凸部67と整合するように、複数の空気通過溝75bが放射状に形成されている(図12及び図13参照)。図14に示すように、この空気通過溝75bは、隙間S3及び隙間S2に連通するようになっており、空気逃げ溝93a及び隙間S3を通ったカバー部材90内の空気が通過するようになっている。
【0087】
そして、この実施形態では、第2ボディ30Bの第2フランジ部45が、止め具60の第3フランジ部75の突出部75aに当接して支持されているので、ピストンロッド23がコイルスプリング55の付勢力に抗して第2ボディ30B側に押し込まれ、ピストン本体21が、ガスケット46を介して間接的に第2フランジ部45に当接したとき、或いは、直接的に第2フランジ部45に当接したときでも、第2フランジ部45を変形させにくくすることができる。
【0088】
なお、上記実施形態以外にも、例えば、止め具60の第3フランジ部75の開口部周縁にリブを設けて、前記リベット80を介してシリンダ30に止め具60が固定されたときに、同リブが第2ボディ30Bの第2フランジ部45に当接して支持するように構成してもよく、第2フランジ部45を支持できる構造であればよい。
【0089】
また、上記実施形態では、止め具60の第3フランジ部75の裏側にシール部材82を配置したが、このシール部材82を省略して、第2ボディ30Bの第2フランジ部45を、止め具60の第3フランジ部75を介して取付孔7に間接的に当接させてもよく、更には、止め具60自体を利用せずに、第2ボディ30Bの第2フランジ部75を取付孔7に直接当接させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
3 開口部
5 開閉体
7 取付孔
10,10a ストッパ装置
15 ストッパ本体
60 止め具
61 収容筒部
63 底部
71 スリット
73 係合爪
75 第3フランジ部
90 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設けられる開口部と、該開口部に取付けられる開閉体との間に配置され、前記開閉体の回動規制を行うストッパ装置であって、
伸縮可能なストッパ本体と、該ストッパ本体の基端部を前記開口部周縁又は前記開閉体のどちらか一方に固着させると共に、前記ストッパ本体の先端部を前記開口部周縁又は前記開閉体の他方に向けて指向させる止め具とを備え、
前記止め具には、前記開口部周縁又は前記開閉体に設けられた取付孔の表側周縁に係合するフランジ部と、前記取付孔に挿入され前記取付孔の裏側周縁に係合する挿入部とが設けられており、
前記取付孔から表側に突出する前記ストッパ本体を覆い、前記止め具のフランジ部に接合された伸縮可能なカバー部材が設けられ、該カバー部材が伸縮する際に該カバー部材内の空気が、前記ストッパ本体と前記止め具との隙間を通って、前記挿入部から前記取付孔の裏側の前記止め具の外部に流通するように構成されていることを特徴とする自動車用開閉体のストッパ装置。
【請求項2】
前記止め具の前記フランジ部の裏面側にシール部材が配置され、前記カバー部材の端縁部が前記フランジ部と前記シール部材とに挟まれて接合されている請求項1記載の自動車用開閉体のストッパ装置。
【請求項3】
前記シール部材は、発泡材料からなると共に、前記カバー部材の前記フランジ部への接合部外径よりも大きく形成されている請求項2記載の自動車用開閉体のストッパ装置。
【請求項4】
前記挿入部は、前記ストッパ本体の基端部を収容し、前記取付孔に挿入される筒部を有し、該筒部の一端開口部に前記フランジ部が形成され、前記筒部の側壁に前記取付孔の裏側周縁に係合する係合爪がスリットを介して形成されており、前記ストッパ本体と前記筒部との間に隙間が形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用開閉体のストッパ装置。
【請求項5】
前記ストッパ本体の基端部が、前記止め具の筒部の底面に固定手段によって固定されている請求項4記載の自動車用開閉体のストッパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−19466(P2013−19466A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153121(P2011−153121)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】