説明

自動車部材を製造する方法及び当該方法により製造された自動車部材

【課題】簡単に実施することができる繊維強化材料の製造方法を提供する。
【解決手段】繊維強化材料を、自動車のハイブリッド部材1を製造するために自動車部材中に挿入し、その際、自動車部材の予熱が、補強パッチ8の硬化に使用されるか、または自動車部材と補強パッチ8が熱せられるので、繊維強化材料が硬化し、形状形成の前及び/又は最中及び/又は後に、少なくとも部分的に金属の層10を繊維層上にもたらし、その際、金属の層10が、補強パッチ8の、自動車部材と反対に位置する側に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の特徴に従う自動車部材の製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
更に本発明は、請求項10の上位概念部に記載の特徴に従う繊維強化材料から成る自動車部材に関する。
【0003】
自動車工場においては、今日、法的要求によって及び製造過程によって、可能な限り燃料を節約する自動車を製造することが試みられている。これによって一つには、化石燃料の取扱いが思いやりをもって制限され、他方では、少ない燃料の燃焼によって環境負荷が減少される。
【0004】
燃料節約のために、先行技術には様々なアプローチが存在する。例えばこれは、より良好な効率を有する出力性能のよい内燃機関を開発することにある。
【0005】
別のコンセプトとしては、全ての自動車部材及び自動車ボディ自体の徹底した軽量構造への移行である。ここでもまた、様々なアプローチが先行技術に存在している。例えば、自動車ボディを高強度または最高強度の鋼または軽金属から製造することである。これによって、複数キログラムに及ぶ重量節約ポテンシャルが、自己支持する(selbsttragend)自動車ボディにおいて実現される。
【0006】
繊維強化材料部材の製造におけるプロセス自動化での徹底した継続開発によって、繊維強化材料もまた、ボリュームモデルにとって興味深いものとなった。繊維材料としては、例えば、カーボン繊維、ガラス繊維、バサルト繊維(Basaltfasern)、アラミド繊維(Aramitfasern)、鋼繊維、または同様の繊維材料が使用される。これらは、樹脂でもって付勢され、そして加工ツール内で所望の部材又は部材コンポーネントに加工され、そして硬化される。繊維強化材料は、比較可能な金属部材に対して、高強度を、より軽量な独自の特性と同時に有している。
【0007】
自動車のクラッシュの場合、繊維強化材料は金属部材と反対に、まずその高い強度によって耐性的であり、よって、良好な衝突エネルギー吸収の可能性を提供する。しかし、繊維強化材料内で個々の繊維が断裂すると、衝突特性は突如として、比較可能な金属部材の明らかに下方へと下がる。
【0008】
特許文献1から、ハイブリッド材料からパターンを製造する方法が公知である。浸透された繊維織物と金属薄板の交互の層からハイブリッド材料積層物が製造される。積層の後、材料は加工され、そして最後にオートクレーブないで圧力及び温度付勢のもと硬化される。このようなハイブリッド素材の製造および加工は、金属薄板の高い金属比率に基づき、非常に高コストである。その上、硬化されていない、よって未だ湿っている又は滑りやすい原材料を硬化ツール内で位置決めするのは困難である。繊維強化材料を金属層と結び付けた層状の構造によって、重量節約ポテンシャルは、従来の金属部材に対してわずかのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願第199 56 394 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって本発明の課題は、従来技術より公知の方法に対して特に簡単に実施することができる繊維強化材料の製造方法を提供することである。更に、本発明の課題は、簡単かつコスト面で安価に製造可能であり、先行技術より公知な繊維強化材料に対してより少ない重量及び/又はより良好なクラッシュ特性を有する繊維強化材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、発明に従い、請求項1に記載の自動車のハイブリッド部材を製造する方法により解決される。
【0012】
本発明に係る課題は、更に、具体的な部分において、請求項10に記載の特徴を有する自動車のハイブリッド部材によって解決される。
【0013】
本発明の有利な実施形は、従属請求項を構成している。
【0014】
金属製のベースボディ及び繊維強化材料から成る補強パッチにより自動車のハイブリッド部材を製造するための方法は、以下の方法ステップにより特徴づけられる。
・ ベースボディを、型成形され、熱間成型され、プレス硬化された三次元の自動車部材として製造する。
・ 少なくとも一つの層の繊維材料を準備し、好ましくは二つ、特に三つまたはより多数の層の繊維材料を準備し、これら層が、互いに重なり合い積層され、その際層が樹脂を浸透され、及び/又は樹脂によって付勢されるステップ。
・ 繊維強化材料積層物を、自動車部材中に挿入するステップ。
・ 繊維強化材料を、自動車のハイブリッド部材の製造の為に自動車部材中の形状に形成し、その際、補強パッチの硬化の為の自動車部材の予熱が使用されるか、または補強パッチを有する自動車が熱せられるので、繊維強化材料が硬化するステップ。
・ 形状形成の前、及び/又は中、及び/又は後に、金属層を少なくとも部分的に繊維層の上にもたらし、その際、金属の層が、補強パッチの、自動車部材と反対側の面に配置されるステップ。
【0015】
自動車のハイブリッド部材において、金属部材は、好ましくは軽金属合金からなる形成され、しかし鋼合金金属部材からも形成される。繊維材料を用いることによる部分的な強化のために、これは以下のように形成される、つまり、わずかな重量の増加のみで明らかな強度の向上が行われるように形成される。その際、繊維強化材料は、緊張された状態で金属の自動車部材上にもたらされ、主として担持する構造を支持する、つまり第一の部分的な破たんが、より大きな負荷の際にようやく発生するというように支持する。
【0016】
繊維強化材料の複数層状の構造によって、折れ曲り及び/又は凹みを、一層の繊維強化材料による単なるパッチよりも更にずっと遅れさせられる。しかし、例えばサンドイッチ構造の形式の複数層の構造のメリットを、できる限り少ない製造コストで利用することができるように、最も負荷が発生する領域において、追加的な金属の層が繊維強化材料の補強の上にもたらされる。追加的な金属の層は、繊維強化材料をベースボディ、つまり三次元に形成された自動車部材の形状に形成する前及び/又は最中及び/又は後にもたらされる。
【0017】
金属の層は、まず負荷に相当するブランクを受け入れ、これは高い応力集中によってその領域にわたって広がり、そして平らな板上部材として繊維強化材料層の上及び/又は繊維強化材料パッチの上にもたらされる。金属の層は、その際、その厚さを以下のように柔軟に選択される、つまりこれが、特に製造方法中に繊維強化材料の形状形成スタンプによって及び/又はプレススタンプによって、自動車部材の担持する構造の形状に形成されるよう選択される。これによって、三次元の形状形成が、補強パッチにおいても、金属の層においても行われる。引き続く繊維強化材料の硬化プロセスにおいて、材料結合的な接続が、特に接着接続が、補強パッチと金属の層の間に確立される。
【0018】
金属の層を補強パッチ上にもたらすことによって、製造プロセス中の少ない追加コストのみを伴って、衝突エネルギー吸収能力及び/又は自動車のハイブリッド部材の強度特性の明らかな向上が可能である。補強パッチの高コストであるサンドイッチ構造と関連して、製造コストが下降しより少なくさえある。製造された自動車のハイブリッド部材は、よって、従来の先行技術から公知の製造方法によるよりも、コスト面で安価に製造することが可能であり、ほぼ同等の特有の部材重量のもと、明らかに高い強度を有する。
【0019】
本発明の枠内で、更に好ましくは、軽金属製の金属の層が使用される。しかし本発明の枠内で、金属材料の金属の層を使用することも可能である。更に、金属の層は、薄板ブランクの形式で使用される。
【0020】
金属の層は、更に好ましくは、密閉する層として、補強パッチの繊維強化材料層の上にもたらされる。特に好ましくは、金属の層は、繊維材料を自動車部材の形状に形成する前または後にもたらされる。繊維材料層の形状形成の前に金属の層をもたらす場合、特に、形状形成の過程自体により繊維材料層から余剰の樹脂が発生するという利点がある。発生する樹脂は、本発明の枠内で、金属の層を繊維強化材料と接着するために使用さえることが可能である。後続する繊維強化材料の硬化過程自体の間に、これによって、金属の層と繊維強化材料の間に確立される接着接続が硬化する。本発明に係る自動車のハイブリッド材料の製造の為のコストは、その際、金属の層を追加的にもたらすことのみに限られる。複数層のサンドイッチ構造によるコストがかかる製造プロセスは割愛される。
【0021】
本発明の枠内で、更に、金属の層が、更に別の繊維材料層によりカバーされることが考えられる。これにより金属の層と金属の層を取り囲む繊維材料層との確実な結合が、両側に発生する樹脂により保証される。その上、金属の層をカバーする更なる繊維材料層により腐食防止が行われる。腐食防止によって、自動車のハイブリッド部材の強度影響が、長い年月の使用の後にも発生しない。
【0022】
本発明の枠内において、更に特に有利には、金属の層が繊維強化材料とプレスされる。更に有利には、繊維強化材料が、金属の層により自動車部材とプレスされる。これによってまた、均一な接着接続が、個々の層の間に形成されるので、高い製造精度を保持した状態で、エラーを有する接着接続が排除されることが可能である。
【0023】
本発明の枠内で、更に、自動車部材自体が、熱間加工され、プレス硬化された部材として製造され、そして、自動車部材の予熱が、補強パッチの硬化の為に使用され、または自動車部材が補強パッチとともに熱せられるので、繊維強化材料が硬化する。熱流入によって、補強パッチの迅速な硬化が保証される。本発明の枠内には、同様に、金属の層が熱流入によって硬化されることが含まれている。これによって短い硬化時間が達成されるので、製造過程中における遅れ方向の延期が、短いサイクルタイムを維持した状態においても回避される。
【0024】
本発明の別の有利な実施形においては、補強パッチがまず自動車部材と共に製造され、そして硬化される。引き続いて、金属の層が補強パッチに貼りつけられる。利用状況または製造する形状の複雑さに応じて、追加的な接着剤を金属の層と補強パッチの間にもたらすことは意味がある。例えば、ここで接着剤自体により、場合によって発生する高さの相違や、非平坦性がならされるので、金属の層と補強パッチの間の均一な接続が確立される。
【0025】
金属の層は、本発明の枠内で追加的に腐食防止により処理されることが可能である。またこれにより、自動車部材の全ての使用の間、つまり自動車の使用期間を越えて、衝突特性が、金属の層の腐食によって影響されない。
【0026】
特に、本発明の枠内で、0.1mmから4mmの間の厚さ、特に好ましくは0.2mmから2.1mmの間の厚さを有する金属の層が使用される。金属の層が0.6mm、1.0mm、2.0mmの厚さを有することが特に有利であると証明された。金属の層は、よって三次元の形状可能性、自動車のハイブリッド部材の特有重量の取るに足らない増加、およびこれに関する部材強度の最大限の向上の間の最善の状態を形成する。
【0027】
本発明に係る方法により、特に自動車のピラー、極めて有利には自動車のBピラーが製造される。補強パッチは、このため、極めて有利には、自動車のBピラーの中央部品及び/又は下部部品において使用される。
【0028】
本発明は、更に、自動車のハイブリッド部材に関する。このハイブリッド部材は、金属のベースボディ及び繊維強化材料製の補強パッチから成り、その際、この自動車のハイブリッド部材は、上述した特徴の少なくとも一つに従い製造され、そして、補強パッチの上に金属の層が自動車ボディの内側に位置して設けられ、その際、エネルギー収容能力が、従来の自動車のハイブリッド部材に対して、5%を越えて高められ、特に10%を越えて高められ、極めて有利には15%を越えて高められ、及び金属の層(10)が、自動車部材の、衝突の際に最も高い負荷が発生する領域に設けられることにより特徴づけられる。
【0029】
本発明に従い補強パッチにもたらされる金属の層により、自動車のハイブリッド部材は、ほぼ変わらない特有重量を有し、その際、衝突エネルギー吸収能力および部材強度によって際立たせられるエネルギー収容能力は明らかに高められる。金属の層により、補強パッチの繊維は極めて遅くになってようやく断裂するに至る。発明に従い補強パッチは、少なくとも高い負荷が発生する領域において、一つの金属の層構造によって二つの側から取り巻かれている。
【0030】
この構造の一方の側は、自動車部材自体であり、他方の側は金属の層である。これによって、まず補強パッチの上部の層、つまり外側に位置する層が裂け、その際、裂け目は、その下に位置する層または繊維強化材料の層に進行する。金属の層は、繊維材料層に対して明らかに高い破断点伸度(Bruchdehnung)を有している。よって、繊維材料層が裂けることは、遅れるかまたは完全に回避される。
【0031】
金属の層は、自動車ボディに対して、自動車のハイブリッド材料に内側に位置して設けられる。これは、一つには、デザイン技術上のまたは美観上の利点を与える、というのは金属の層がドライバーまたは他の同乗者から知覚できないからである。他方では、金属の層は、時としてその極めて薄い厚さに基づいて、衝突負荷、ひっかき負荷、または圧力負荷に対して抵抗力が低い。金属の層が内側に位置しているとき、つまり化学的な影響が届かないよう設けられているとき、金属の層の損傷は回避される。
【0032】
本発明の別の有利な実施形においては、金属の層は、全面で繊維材料層に設けられている。これによって、本発明の枠内で、全ての部材態様を、局所的に高く発生する負荷又は応力推移を有する領域に対してのみ補強するのではなく、全面にわたって補強することが可能である。ここでもまた、特有の部材重量の上昇は、これに対して反比例して上昇する強度上昇に対して取るに足らない程度のみ上昇する。
【0033】
本発明の枠内で、金属の層を、繊維強化材料層の両側に設けることもまた考えられる。本発明の枠内で、これは、先ず金属の層が自動車部材内に設けられ、その後、一又は複数の繊維強化材料層から成る構造が設けられ、そして引き続いて再度金属の層が設けられることを意味している。特に、本発明の枠内で、自動車部材におけるそのような構造を、軽金属から選択し、その際金属の層が、それぞれ鋼材料から形成されることが考えられる。
【0034】
金属の層は、自動車のハイブリッド材料のうち、衝突の際に局所的に高い応力が見込まれる領域に設けられる。繊維強化材料から発生する補強パッチの内部における応力亀裂(Spannungsrisse)は、これによって回避される。
【0035】
本発明のさらなる利点、特徴、特性および観点は、以下の説明に含まれている。有利な実施形が、簡略図に表されている。これらは発明の簡単な理解の為に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】発明に従い製造された自動車のハイブリッド部材の断面ず。
【図2】発明に従い製造された自動車のハイブリッド部材の内部図。
【図3a】補強パッチと金属層の間の簡略構造の図。
【図3b】補強パッチと金属層の間の簡略構造の図。
【図4】自動車のハイブリッド部材の力・経路ダイアグラムを、発明に従い製造された自動車のハイブリッド部材との比較において示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
繰り返しの説明が簡単の観点から省略されたたとしても、図中において、同様の部材または類似の部材に対しては、同一の符号が使用される。
【0038】
図1は、発明に係る自動車のハイブリッド部材1を断面図で表す。自動車のハイブリッド部材1は、ハット状輪郭2の形に形成される。ハット状輪郭2は、その際、ベースウェブ3とこのベースウェブ3に続く脚部4から成る。自動車のハイブリッド部材1は、ハット状輪郭2の端部において封鎖プレート5により閉じられている。ベースウェブ3の内側7には、ここでは詳細に表されていない複数の繊維強化材料層から成る補強パッチ8が設けられている。補強パッチ8の内側9には更に、発明に係る金属の層10が設けられている。補強パッチ8は、よって自動車のハイブリッド部材1のベースウェブ3の外側に位置する側を閉じられ、そして内側7をサンドイッチ部材としての金属の層10によりトレース(berandet)されている。
【0039】
図2は、Bピラーの形式の本発明に係る自動車のハイブリッド部材1を示す。補強パッチ8は、Bピラー11の内部空間12内に設けられ、その際Bピラー11は主として、ハット状輪郭推移を断面において有している。補強パッチ8は、その際、Bピラー11内で中央の領域13と上部の領域14に設けられている。金属の層10が、再び、中央の領域13の一部分のみにもたらされている。この部分には、部分的に局所的に高い応力負荷が、特に自動車の衝突の際に見込まれる。
【0040】
図3aおよび3bは、発明に係る金属の層10を有する補強パッチの簡略構造を示す。図3aにおいて、補強パッチ8は、一つの密閉する金属の層10と四つの繊維材料層16によって表されている。図3bにおいて、発明に係る補強パッチ8自体は、三つの下側に位置する繊維材料層16と、その上に位置する金属の層10により表されている。追加的に、上部の繊維材料層17が、これに接して形成されており、又は金属の層10の上にもたらされているので、追加的な強化および追加的な腐食防止が与えられる。個々の繊維材料層16は、ここには詳細に表されていない樹脂により互いに連結されている。場合によって、図解より把握される中間空間は、単に説明に使用される。
【0041】
図4は、ストレス伸長ダイアグラムを示す。その際、x座標には、部材にもたらされる力が表されており、及びy座標には、変形経路(Verformungsweg)が表されている。その際、曲線4aは、金属のベースボディ及び、これと接続された繊維強化材料製の補強パッチ8から成る従来の自動車のハイブリッド部材1を表す。曲線4bから4dは、逆に、追加的な金属の層10を補強パッチ8にもたらしたものを示す。その際、第二の金属の層10は、曲線4bの場合2mmの厚さを有し、曲線4cの場合1mmの厚さを有し、そして曲線4dの場合0.6mmの厚さを有する。0.6mmの厚さの金属の層10をもたらした場合ですでに、部材強度は、曲線4aの従来通り製造された自動車のハイブリッド部材1に対しておよそ10%向上する。
【符号の説明】
【0042】
1 - 自動車のハイブリッド部材
2 - ハット状輪郭(Hutprofil)
3 - ベースウェブ
4 - 脚部
5 - 封鎖プレート(Schliesblech)
6 - 2の端部
7 - 3の内側
8 - 補強パッチh
9 - 8の内側
10 - 金属の層
11 - Bピラー
12 - Bピラーの内部空間
13 - 11の中央の領域
14 - 11の上部の領域
15 - 13の部分
16 - 繊維材料層
17 - 上部の繊維材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のベースボディ及び繊維強化材料から成る補強パッチ(8)を有する自動車のハイブリッド部材(1)を製造する方法において、以下のステップを有することを特徴とする方法。
・ ベースボディを三次元に型成形され、熱間加工され、およびプレス硬化された自動車部材として製造するステップ。
・ 少なくとも一層の繊維材料(16)を準備し、好ましくは二層、特に三層またはより多くの層の繊維材料(16)を準備し、これら層が互いに重なり合って積層されており、その際、層が樹脂を浸透される、及び/又は樹脂によって付勢されるステップ。
・ 繊維強化材料積層物を自動車部材中に挿入するステップ。
・ 繊維強化材料を、自動車のハイブリッド部材(1)を製造するために自動車部材中に挿入し、その際、自動車部材の予熱が、補強パッチ(8)の硬化に使用されるか、または自動車部材と補強パッチ(8)が熱せられるので、繊維強化材料が硬化するステップ。
・ 形状形成の前及び/又は最中及び/又は後に、少なくとも部分的に金属の層(10)を繊維層(16)上にもたらし、その際、金属の層(10)が、補強パッチ(8)の、自動車部材と反対に位置する側に設けられるステップ。
【請求項2】
軽金属製の金属の層(10)が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金属の層(10)が、密閉する層として繊維材料層(16)上にもたらされ、好ましくは金属の層(10)が、繊維材料層(16)の形状形成の前または後にもたらされ、特に、金属の層(10)が、形状形成過程中に繊維強化材料から発生する余剰の樹脂によって接着されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
金属の層(10)が、更なる繊維材料層(17)によりカバーされることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
金属の層(10)が、繊維強化材料とプレスされることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
金属の層(10)が前処理され、好ましくは、下塗りによって前処理され、及び/又は、特に表面の粗面化によって前処理されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
先ず補強パッチ(8)が、自動車部材と共に製造されおよび硬化されること、及び金属の層(10)が、引き続いて補強パッチ(8)に接着されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属の層(10)が、腐食防止により処理されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
0.1mmから4.0mmの間の厚さ、特に好ましくは0.2mmから2.1mmの間の厚さを有する金属の層(10)が使用されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
金属のベースボディ及び、繊維強化材料製の補強パッチ(8)から成る自動車のハイブリッド部材であって、請求項1から9の少なくとも一項に記載の方法により製造される自動車のハイブリッド部材において、補強パッチ(8)に金属の層(10)が自動車ボディの内側に位置して設けられ、その際、エネルギー吸収能力が、従来の自動車のハイブリッド部材(1)に対して5%を越えて向上され、特に10%を越えて向上され、極めて有利には15%を越えて向上されており、及び金属の層(10)が、自動車部材のうち、衝突の際に最も高い負荷が発生する領域に設けられることを特徴とする自動車のハイブリッド部材。
【請求項11】
金属の層(10)が繊維材料層(16)に全面にわたって設けられることを特徴とする請求項10に記載の自動車部材。
【請求項12】
金属の層(10)が、繊維強化材料の両側に設けられることを特徴とする請求項10または11に記載の自動車部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−95417(P2013−95417A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236455(P2012−236455)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【出願人】(504258871)ベンテラー アウトモビールテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (60)
【氏名又は名称原語表記】Benteler Automobiltechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Elsener Strasse 95, D−33102 Paderborn, Germany
【Fターム(参考)】